説明

ターンオフ制御を有する電力トランジスタおよびその動作方法

回路が、電力トランジスタ48、駆動制御回路16、可変クランプ回路24、およびターンオフ制御回路18を有する。電力トランジスタが、第1電源端子に接続される第1電流電極、回路の出力50としての第2電流電極、および制御電極を有する。駆動制御回路が、電力トランジスタの制御電極に接続される出力を有して、回路のアクティブモードの間、電力トランジスタを制御する。可変クランプ回路は、回路の出力と第1電源端子との間に接続される。ターンオフ制御回路は、可変クランプ回路に接続され、回路をアクティブモードから非アクティブモードに移行する間、可変クランプ回路のクランプレベルを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電力トランジスタに関するものであり、さらに詳しくはターンオフ制御を有する電力トランジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力トランジスタは、直流(DC)モータの制御のような種々の用途に用いられる。通常、電力トランジスタは、大きな電圧で動作して大きな電流を引き込んで、システムにおける他の部品と比較して大きな電力量を消費する。また、このような電力トランジスタが動作中にオフにされる時、システムの他の部分を損傷させる大きな電力ピークが起こる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良されたターンオフ制御を有する電力トランジスタの必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明の一実施形態にしたがった、可変クランプ回路、電力トランジスタ、DCモータを含む回路の部分的概略ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にしたがった、図1の回路の様々な信号のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は例示の方法により説明されており、添付の図面により限定されるものではなく、図面において、同様の参照符号は類似の要素を示す。図中の要素は簡潔かつ明確に説明されており、必ずしも寸法通りに描かれていない。
【0006】
一実施形態において、電力トランジスタが用いられてDCモータを駆動する。しかしながら、電力トランジスタがオフにされる時、損傷を与える大きなピーク電流が維持される。よって、一実施形態において、可変クランプは、電力トランジスタのターンオフ(turn off)を制御するように用いられて、オフにされる時に電力トランジスタにおけるピーク電力を制限する。これは、時間の所定周期でクランプ電圧を増加させてドレインを電力トランジスタのソースにクランプすることによって達成される。これによって、DCモータのインダクタンスコイルの放電時間が増加される。しかしながら、電力を制限してコイル放電時間を増加することによって、電力トランジスタのスイッチオフ電力能力が増加される。
【0007】
図1が、本発明の一実施形態にしたがった、回路10の部分的概略ブロック図及び部分的回路図を示す。回路10が、電力トランジスタ48、可変クランプ回路24、ターンオフ制御回路18、バッファ44、抵抗素子46、駆動制御回路16、DCモータ12、および負電圧クランプ14を含む。電力トランジスタ48のドレインは、ノードVbatに接続され、ノードVbatは、回路10に印加されるバッテリの電圧を受け取る回路10の電源端子に相当する。電力トランジスタ48のソースは出力ノード50(すなわち、OUT50)に接続され、電力トランジスタ48のゲートは抵抗素子46、駆動制御回路16、(バッファ44を介して)可変クランプ回路24、および負電圧クランプ14に接続される。また、電力トランジスタ48のソースおよびドレインは、電流電極と呼ばれ、電力トランジスタ48のゲートは、制御電極と呼ばれることを注意されたい。一実施形態において、電力トランジスタ48はn型電力トランジスタ(すなわちNチャネル電力トランジスタ)である。
【0008】
また、電力トランジスタ48のゲートは、駆動制御回路16に接続される。抵抗素子46は、電力トランジスタ48のゲートとソースとの間に接続される。一実施形態において、抵抗素子46は、駆動制御回路16の一部として含まれてもよい。一実施形態において、抵抗素子46は、電力トランジスタ48をオンまたはオフにスイッチするように動作するn型トランジスタ(すなわち、nチャネルトランジスタ)のようなトランジスタとして具体化される。例えば、(駆動制御回路16によって制御されるように)電力トランジスタ48がオンにされる、モータ12を駆動する回路10のアクティブモードの間、抵抗素子46は無限大(例えば、n型トランジスタはオフ)となる。しかしながら、電力トランジスタ48がオフにされる、モータ12を駆動しない回路10の非アクティブモードの間、電力トランジスタ48のゲートは抵抗素子46を介して電力トランジスタ48のソースに接続される。ここで、非アクティブモードの抵抗素子46は、電力トランジスタ48がオンされて、電力トランジスタ48のソースおよびドレインを互いに接続する時、n型トランジスタの固有抵抗を示す。代替実施形態において、他のスイッチ素子が用いられてもよく、よって、抵抗素子46が得られる。また、抵抗素子46は、出力、OUT50、とトランジスタ48の制御電極との間に接続される抵抗と呼ばれる。
【0009】
可変クランプ回路24が、直列に接続されたツェナーダイオードのチェーンと、トランジスタ26、28、30とに接続されるカレントミラー22とを含む。カレントミラー22が、Vbatに接続される第1電流電極および回路ノード20に接続される第2電流電極を有するトランジスタ32を含む。また、カレントミラー22は、Vbatに接続される第1電流電極、バッファ44を介して電力トランジスタ48のゲートに接続される第2電流電極、トランジスタ32の制御電極およびノード20に接続される制御電極を有するトランジスタ34を含む。一実施形態において、トランジスタ34の第2制御電極は、バッファ44の入力に接続され、バッファ44の出力は電力トランジスタ48のゲートに接続される。一実施形態において、トランジスタ32、34の各々はPNPバイポーラトランジスタであり、また、トランジスタ32、34の第1電流電極はエミッタと呼ばれてもよく、第2電流電極はコレクタと呼ばれてもよく、制御電極はベースと呼ばれてもよい。可変クランプ24が、連続して接続されるツェナーダイオード36〜42のチェーン43を含む。ツェナーダイオード36のカソードはノード20に接続され、ツェナーダイオード36のアノードはツェナーダイオード37のカソードに接続され、ツェナーダイオード37のアノードはツェナーダイオード38のカソードに接続され、ツェナーダイオード38のアノードはツェナーダイオード40のカソードに接続され、ツェナーダイオード40のアノードはツェナーダイオード42のカソードに接続され、ツェナーダイオード42のアノードは電力トランジスタ48のソースに接続される。また、可変クランプ回路24は、トランジスタ26、28、30を含む。トランジスタ26、28、30の各々の第1電流電極はノード20に接続される。トランジスタ26の第2電流電極はツェナーダイオード38のアノードに接続され、トランジスタ28の第2電流電極はツェナーダイオード39のアノードに接続され、トランジスタ30の第2電流電極はツェナーダイオード40のアノードに接続される。一実施液体において、トランジスタ26、28、30の各々はp型トランジスタ(すなわち、Pチャネルトランジスタ)であり、トランジスタ26、28、30の各々の第1電流電極がソースに相当し、各第2電流電極がドレインに相当する。トランジスタ26、28、30の各々の制御電極(またはゲート)はターンオフ制御回路18に接続され、ターンオフ制御回路18は、Vbatに接続される。
【0010】
負クランプ回路14が、カレントミラー53、トランジスタ56、アンプ58、および電源60を含む。カレントミラー53は、Vbatに接続される第1電流電極と、電力トランジスタ48のゲートに接続される第2電流電極とを有するトランジスタ52を含む。また、カレントミラー53は、Vbatに接続される第1電流電極と、トランジスタ52の制御電極に接続される制御電極とを有するトランジスタ54を含む。トランジスタ54の第2電流電極は、トランジスタ54の制御電極およびトランジスタ56の第1電流電極に接続される。トランジスタ56の第2電流電極はOUT50に接続され、トランジスタ56の制御電極はアンプ58の出力に接続される。アンプ58は、電源60の第1端子に接続される第1入力と、OUT50に接続される第2入力とを有する。電源60の第2端子は、(電源端子として呼ばれる)接地端子に接続される。一実施形態において、電源60が「5ボルト」の電圧を供給する。一実施形態において、トランジスタ52、54の各々はp型トランジスタ(すなわち、Pチャネルトランジスタ)であり、トランジスタ56はn型トランジスタ(すなわち、Nチャネルトランジスタ)である。
【0011】
DCモータ12は、任意のDCモータであってよく、OUT50とグランドとの間に直列に接続される抵抗素子62、(コイル64または誘導コイル64と呼ばれる)誘導素子64、および電源66によって示される。電源66がモータ12の逆起電力(back Electro Magnetic Force:BEMF)電圧を示す。
【0012】
動作において、回路10はアクティブモードまたは非アクティブモードで動作する。アクティブモードの間、電力トランジスタ48は駆動制御回路16によって制御されて、当業者によって理解されるようにモータ12を駆動する。アクティブモードの間、チェーン43のツェナーダイオード36〜42が互いに動作して、Vbatから、チェーン43によって供給される電圧を引いた電圧よりもOUT50が低下することを防止する。例えば、各ツェナーダイオードが「5ボルト」の電圧低下を与える場合、OUT50が「Vbat−35V」よりも低下することを防止するようにチェーン43が「35ボルト」の電圧低下を与える。また、負クランプ14が、グランドに対してOUT50をクランプして、OUT50を電源60の電圧よりも負に低下することを防止する。すなわち、負クランプ14がOUT50をグランドに対して負のレベルにクランプする。例えば、一実施形態において、電源60が5Vの電圧を供給する。よって、この例において、電源60と、(トランジスタ56のゲートにおける電圧を制御する)OUT50との比較を用いて、負クランプ14がOUT50を「−5ボルト」よりも低下することを防止する。図1の実施形態で示されるように、負クランプ14は、グランドに対して固定される。一実施形態において、図1で示されるように、DCモータ12が、電源66によって示されるようにBEMF電圧を与える。BEMF電圧は、DCモータ12の速度と比例する。すなわち、高速度によってより高いBEMF電圧が与えられる。したがって、一実施形態において、電力トランジスタ48はオンであってモータ12を駆動する時、BEMF電圧がBEMF電圧の最大値に達する。
【0013】
非アクティブモードの間、電力トランジスタ48はオフに切り替わって、DCモータ12を駆動しない。非アクティブモードにおいて、電力トランジスタ48のゲートは、抵抗素子46を介して電力トランジスタ48のソースに接続される。一実施形態において、該抵抗素子46は、オンにされたn型トランジスタの固有抵抗を示し、電力トランジスタ48のソースを電力トランジスタ48のドレインに接続する。トランジスタ48をオンからオフに移行する(すなわち、スイッチする)時、ターンオフ制御回路18がトランジスタ26、28、30を制御して、ドレインを電力トランジスタ48のソース電圧にクランプするように動作するチェーン43内のツェナーダイオードの数を変更する。このような構成では、例えば、トランジスタ26、28、30を選択的にイネーブルして、チェーン43の直列に接続されるツェナーダイオードの群を選択的に短絡することにより、アクティブモードから非アクティブモードに移行する間、ターンオフ制御回路18が可変クランプ回路24のクランプレベルを選択することができる。例えば、トランジスタ26がオンであり、且つトランジスタ28、30がオフである時、チェーン43がツェナーダイオード39〜42を含み、ツェナーダイオード36〜38は短絡される。各ツェナーダイオードが「5ボルト」の低下を提供する例を用いると、クランプの電圧は、(トランジスタ26、28、30の各々がオフである時)(4つのツェナーダイオードのみが動作するため)「35ボルト」から「20ボルト」に低下される。よって、OUT50はVbat「−20ボルト」にクランプされる。同様に、トランジスタ28はオンであり、且つトランジスタ26および30がオフである時、(ツェナーダイオード40〜42のみが動作して、ツェナーダイオード36〜39が短絡されて)クランプの電圧は「15ボルト」に低下される。したがって、OUT50はVbat「−15ボルト」にクランプされる。同様に、トランジスタ30がオンであり、且つトランジスタ26、28がオフである時、(ツェナーダイオード41、42のみが動作して、ツェナーダイオード36〜40が短絡されて)クランプの電圧は「10ボルト」に低下される。したがって、OUT50はVbat「−10ボルト」にクランプされる。したがって、トランジスタ26、28、30の各々がオンにされる時、トランジスタ26、28、30の各々が、チェーン43から特定群のツェナーダイオードを短絡させることに注意されたい。このように、アクティブモードから非アクティブモードに移行する間、チェーン43のツェナーダイオードまたはチェーン43のツェナーダイオードの群は選択的にイネーブルされる。また、図示される実施形態において、可変クランプ24の異なるクランプレベル(例えば、10V、15V,および20V)は、Vbatに対して固定される。
【0014】
一実施形態において、アクティブモードから非アクティブモードに移行する間(すなわち、電力トランジスタ48をオフにスイッチする時)、トランジスタ30、28、26の各々は、一定時間で順番にオンにされて、クランプ値が順次増加する。よって、アクティブモードから非アクティブモードに移行する間、可変クランプ回路14は、OUT50を複数の離散値でクランプするように動作可能であることを理解されたい。離散値は、(Vbat「−10ボルト」からVbat「−15ボルト」、Vbat「−20ボルト」へのように)Vbatに対する大きさを増大させ、グランドに対して値を低下させる。図2を参照してより詳細に説明するように、トランジスタ26、28、30の動作はターンオフ制御回路18によって制御される。非アクティブモードの間、負クランプ14は動作を継続して、OUT50を電源60の電圧よりも負になることを防止することに理解されたい。
【0015】
図示された実施形態において、バッファ44は、入力において比較的高いインピーダンスおよび出力において比較的低いインピーダンスを有するアダプタとして用いられる。一実施形態において、バッファ44が存在しない場合、動作中に抵抗素子46をかかる適切な電圧を生成するためにトランジスタ34、52が十分な電流を供給できないので、バッファ44が存在する。
【0016】
図2は、回路10をアクティブモードから非アクティブモードに移行する時間に伴う回路10の様々な信号のタイミング図を示す。時間=0において、回路は、電力48はオンであって、モータ12を駆動するアクティブモードである。この例において、Vbatは「14ボルト」であると仮定される。よって、Vout(OUT50における電圧)を示す曲線82は「14ボルト」で開始される。(OUT50における電流として図1で示される)電流Ioutは「30アンペア」であると仮定される。図2における曲線70は、可変クランプが電圧増加される間に亘る電流Ioutを示す。また、モータ12のBEMF電圧を示す曲線80が図2に描写される。この例において、時間=0において、BEMF電圧は、BEMF電圧の最大値(この例では、「11ボルト」)であると仮定される。
【0017】
時間=1ミリ秒(ms)において、非アクティブモードへの移行が開始する。この時間において、抵抗素子46を介して電力トランジスタ48のゲートを電力トランジスタ48のソースに接続することによって、電力トランジスタ48がオフにスイッチされる。この時点において、図2の信号84、86、88によって示されるようにトランジスタ28、26をオフに維持する間、ターンオフ制御回路18は、1msにおいてトランジスタ30をオンにする。すなわち、ターンオフ制御回路18が(Vbatに基づく大きさの)信号84、86、88の各々をトランジスタ30、28、26にそれぞれ出力する。当技術分野で知られるような如何なる回路設計も、ターンオフ制御回路18の信号84、86、88を制御する機能を具体化するように用いられてもよい。トランジスタ30がオンである時、電力トランジスタ48のソース電圧に対するドレイン電圧が「10ボルト」にクランプされるように、可変クランプの値は「10ボルト」になる。よって、Vout(OUT50における電圧)が低下されて、「4ボルト」にクランプされる。電力トランジスタ48のソース電圧へのドレインは「10ボルト」に初期的にクランプされ、ピーク電力(電流x電圧)は「30アンぺアx10ボルト」であり、よって、「300ワット」である。また、電流Ioutが低下し始める。また1ms後(時間=2msにおいて)、ターンオフ制御回路18が、トランジスタ28をオンにし、且つトランジスタ26、30をオフにする。したがって、可変クランプの値は、(単一のツェナーダイオードの電圧低下)「5ボルト」だけ高くなって「15ボルト」となる。よって、Voutは、低下し続けて「−1ボルト」にクランプされる。また、トランジスタ30がオンである時と比較して増加した割合で、電流Ioutは低下し続ける。またさらに1ms後(時間=3msにおいて)、ターンオフ回路18がトランジスタ30をオンにし、且つトランジスタ26、28をオフにする。したがって、可変クランプの値は、さらに「5ボルト」だけ高くなって「20ボルト」となる。また、電流Ioutは、増加した比率で低下し続ける。よって、Voutは、クランプ24によって「−6ボルト」よりも低下することを防止されるはずである。しかしながら、上記されるように、負クランプ14がVoutを「−5ボルト」にクランプすることを注意されたい。よって、Voutが「−6ボルト」に達しないが、Voutは、3msから4msまでの間の時間で「−5ボルト」にクランプされる。この時点において、電流Ioutが「0アンぺア」となって電力トランジスタ48がオフに完全に移行される(且つ、アクティブモードから非アクティブモードへの移行が完了する)。しかしながら、モータ12においてBEMF電圧がまだ存在し、よって、OUT50(Vout)における電圧がBEMF電圧のレベルになって、モータの速度が低下し続けて該BEMF電圧のレベルが低下し続けることに注意されたい。今、トランジスタ26、28、30のすべてがオフであって、クランプ24が「35ボルト」の完全クランプ値を付与する。
【0018】
一実施形態において、OUT50がVbat「−10ボルト」にクランプされるように、回路10がアクティブモードから非アクティブモードに移行する時、クランプ24の初期値は「10ボルト」である。大抵の場合、回路10がアクティブモードから非アクティブモードに移行する時、BEMFはBEMFの最大値となる。よって、最大BEMFは「11ボルト」であり、且つVbatは「14ボルト」である図2の例において、「10ボルト」の初期クランプ値が、Vout(OUT50の電圧)がBEMFの値よりも低下することを保障する。このように、コイル64は効果的に放電される。よって、一実施形態において、アクティブモードから非アクティブモードに移行する時、クランプ24の初期クランプ値(およびその後の離散クランプ値)は、(例えば、OUT50における電圧がBEMF電圧よりも低いことを保障することによって)コイル64が効果的に放電されることを保障するように設計される。一実施形態において、非アクティブモードに移行した初期クランプ値は、OUT50の電圧がBEMFよりも低いことを保障するように選択可能である。BEMF電圧がOUT50の電圧よりも大きくない場合(例えば、BEMF電圧がゼロである最悪の場合)、OUT50の電圧は次の時間間隔(図2の例のt=2ms)までBEMF電圧よりも低下しないため、コイル64が単に放電するのにより長い時間かかることを注意されたい。
【0019】
より高いクランプ値で初期的に開始するクランプと比較して、可変クランプ24を用いてアクティブモードから非アクティブモードに移行する間にわたってクランプ値を昇圧することによって、その移行の間のピーク電力は制限される。例えば、図2を参照して記載されるように、クランプ24の初期クランプ値は「10V」であり、電流は「30アンペア」であり、かつVbatは「14V」であると仮定すると、ピーク電力が「300ワット」に到達する。しかしながら、アクティブモードから非アクティブモードに移行する場合、可変クランプではなく、例えば、「35ボルト」の固定クランプ値が用いられると、(負クランプ14によってクランプされるように)OUT50の電圧が「−5V」に低下する。よって、「14V」のVbatから「−5V」へのOUT50における電圧降下は「19V」である。この場合において、移行するときのピーク電力は「30Ax19V」であり、よって、「570W」である。これは、可変クランプ24のような可変クランプの使用によって達しうる「300W」のピーク電力のほぼ二倍である。クランプの値が所定周期で増加する可変クランプの使用によって、トランジスタ48をオフにして、アクティブモードから非アクティブモードへの移行に必要な総時間は、−5VへのOUT50の初期降下を用いるよりも長いことを注意されたい。しかしながら、達成可能なピーク電力の減少と引き換えにこの時間の増加は許容される。
【0020】
代替実施形態において、可変クランプ24の異なる構成も用いられてもよい。例えば、クランプの離散電圧値は10V、15V、および20Vの上述例と異なってもよい。クランプ値は異なる比率で増加してもよく、所定周期は1msより大きいまたは小さくともよい。さらにまた、可変クランプ値および所定周期のうちの少なくとも一方は、プログラマブルであって、特定の回路または用途に対する必要に応じて調整可能である。例えば、DCモータ12ではなくて異なる負荷である場合、可変クランプは適宜調整され得る。
【0021】
上記では、電力トランジスタをオフにすることを含むアクティブから非アクティブモードへの移行の場合、ピーク電圧を制御する回路が提供されることを理解されたい。すなわち、一例において、可変クランプを用いて、出力電圧の降下が制御されて、ピーク電力を許容可能なレベルに制御することができる。さらに、電力トランジスタがDCモータを駆動するように用いられる場合、非アクティブモードへの移行を改良するために、可変クランプ24は、DCモータのBEMFを用いて構成される。
【0022】
本発明を具体化する装置の大部分は、当業者には周知の電子部品及び回路からなるので、回路の詳細については、上記に説明したような必要と認識される程度以上には説明されていない。これは、本発明の基本的な概念の理解と認識のためであり、また、本発明の教示を不明瞭にしたり、注意をそらしたりしないようにするためである。
【0023】
本発明は特定の電位の極性又は導電タイプに対して説明されてきたが、当業者であれば、導電タイプ及び電位の極性を逆にし得ることが理解されるであろう。
一実施形態において、可変クランプ24、ターンオフ制御回路18、および負クランプ14は同一集積回路に配置され、電力トランジスタ48は集積回路に接続される個別素子である。代替的には、他の構成が用いられてもよい。
【0024】
さらに、当業者は、上述した動作の機能間の境界は、単なる例示であることを認識するであろう。複数の動作の機能は、単一の動作に結合されること、及び、単一の動作の機能は、追加の動作に分配されることのうちの少なくとも一方が行われる。更に、別の実施形態では、特定動作の複数の例を含み、動作の順序は種々の他の実施形態において、変更可能である。
【0025】
前述の詳細な説明は、具体的な例示の実施の形態を参照しながら本発明を説明するものである。しかし、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が加えられ得ることが理解されよう。例えば、上述記載される特定チェーンのツェナーダイオード以外の異なる回路が使用されて、可変クランプ値を提供してもよい。詳細な説明及び添付図面は限定するものではなく、単に例と見なされるべきであり、そのような修正又は変更は、すべて本明細書で説明され定義された本発明の範囲内に入るものとする。以上、具体的な実施例に関して、利益、他の利点、及び問題の解決方法について説明してきたが、利益、利点、問題の解決方法、及びこうした利益、利点、問題 の解決方法をもたらし、又はより顕著なものにする構成要素は、全ての請求項又は何れかの請求項において重要とされ、要求され、不可欠とされる機能や構成要素であると見なされるべきではない。
【0026】
「接続された」という語は必ずしも直接的または間接的に、また機械的に結合する状態を意味するものではない。
特に明記しない限り、「第1」及び「第2」等の用語は、そのような用語が述べる要素間を任意に区別するために用いる。したがって、これらの用語は、必ずしもそのような要素の時間的な又は他の優先順位付けを示そうとするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
第1電源端子に接続された第1電流電極、前記回路の出力としての第2電流電極、及び制御電極を有する電力トランジスタと、
前記回路のアクティブモードの間、前記電力トランジスタを制御するための前記電力トランジスタの制御電極に接続された出力を有する駆動制御回路と、
前記回路の出力と前記第1電源端子との間に接続される可変クランプ回路と、
前記アクティブモードから前記回路の非アクティブモードに移行する間、前記可変クランプ回路のクランプレベルを選択する前記可変クランプ回路に接続されたターンオフ制御回路とを備える回路。
【請求項2】
前記可変クランプ回路は、
直列に接続され、且つ前記第1電源端子に接続される第1端部と、前記回路の前記出力に接続される第2端部とを有する複数のツェナーダイオードと、
前記複数のツェナーダイオードおよび前記ターンオフ制御回路に接続される複数のトランジスタとを備える、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記複数のトランジスタは、
前記複数のツェナーダイオードのうちの第1群のツェナーダイオードを短絡させて、第1レベルでクランプレベルを付与するための第1トランジスタと、
前記複数のツェナーダイオードのうちの第2群のツェナーダイオードを短絡させて、第2レベルでクランプレベルを付与するための第2トランジスタと、
前記複数のツェナーダイオードのうちの第3群のツェナーダイオードを短絡させて、第3レベルでクランプレベルを付与するための第3トランジスタとを含む、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記第1、第2、および第3トランジスタがPチャネルトランジスタを含む、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記可変クランプ回路は、
前記第1電源端子と前記複数のトランジスタとの間に接続されるカレントミラーを含み、
前記複数のトランジスタは、前記複数のトランジスタ及び前記複数のツェナーダイオードの前記第1端部に接続される第1信号端子と、前記電力トランジスタの前記制御電極に接続された第2信号端子とを有する、請求項2に記載の回路。
【請求項6】
前記カレントミラーがバイポーラトランジスタを含む、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記回路の前記出力に接続される負電圧クランプをさらに備える、請求項5に記載の回路。
【請求項8】
前記負電圧クランプは、第2電源端子に接続され、且つ出力を前記第2電源端子に応じた負レベルにクランプする、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記回路の前記出力と、負の電極であり、且つ第2電源端子に応じて固定される第2電源端子とに接続される負電圧クランプをさらに備える、請求項1に記載の回路。
【請求項10】
前記クランプレベルは、前記第1電源端子に従って固定される、請求項9に記載の回路。
【請求項11】
第1電源端子および第2電源端子に接続され、且つ電力トランジスタのソースに出力を有する回路の動作方法であって、
前記回路のアクティブモードの間、前記電力トランジスタを用いて出力信号を供給すること、
前記回路をアクティブモードから非アクティブモードに移行する間、前記出力を複数の離散値にクランプすることであって、前記移行する間、前記複数の離散値が、前記第1電源端子に従って増加して、前記第2電源端子に従って低下する、前記クランプすることを備える、方法。
【請求項12】
前記クランプすることは、前記複数の離散値のうちの各離散値が前記第1電源端子に従って固定されることによりさらに特徴付けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2電源端子に従った値及び負値に固定された負クランプ値を付与することであって、前記負クランプ値は、前記出力を前記クランプ値にクランプしてアクティブモードから非アクティブモードへの移行が完了する関数である、前記付与することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1電源端子と前記出力との間に直列に接続される複数のツェナーダイオードを提供すること、
前記アクティブモードから前記非アクティブモードに移行する間、前記直列に接続される複数のツェナーダイオードの群を短絡することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記短絡するは、
前記群に接続される複数のトランジスタを提供すること、
前記アクティブモードから前記アクティブモードに移行する間、前記複数のトランジスタのうちの幾つかのトランジスタを選択的にイネーブルすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記出力をモータに接続することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
回路であって、
第1電源端子に接続される第1電流電極、前記回路の出力としての第2電流電極、および制御電極を有する電力トランジスタと、
前記回路のアクティブモードの間、前記電力トランジスタを制御するための前記電力トランジスタの前記制御電極に接続される出力を有する駆動制御回路と、
前記出力と前記第1電源端子との間に接続される直列に接続される複数のツェナーダイオードと、
前記直列に接続されるツェナーダイオードの群に亘って接続される複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタを選択的にイネーブルして、前記直列に接続されるツェナーダイオードの群を選択的に短絡させる制御回路とを備える、回路。
【請求項18】
前記回路の前記出力および第2電源端子に接続され、且つ前記第2電源端子に従って固定される値にクランプする電圧クランプをさらに備える、請求項17に記載の回路。
【請求項19】
前記第1電源端子と、前記直列に接続される複数のツェナーダイオードとの間に接続されるカレントミラーをさらに備え、
前記直列に接続される複数のツェナーダイオードは、前記直列に接続される複数のツェナーダイオードの第1端部に接続された第1信号端子と、前記電力トランジスタの前記制御電極に接続された第2信号端子とを有する、請求項17記載の回路。
【請求項20】
前記出力と前記電力トランジスタの前記制御電極との間に接続される抵抗をさらに備える、請求項17に記載の回路。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503556(P2013−503556A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526805(P2012−526805)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044544
【国際公開番号】WO2011/031395
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】