説明

ダイボンディング用樹脂ペースト、該樹脂ペーストを用いた半導体装置の製造方法、および該製造方法により得られる半導体装置

【課題】比較的低い温度で半導体素子を貼り付ける必要がある基板を含む様々な基板に対して、印刷法によって容易に塗布して供給でき、かつ半導体素子貼付け前のプリベーク工程を省いても後硬化時にクラックやボイドが発生しないダイボンディング用樹脂ペースト、当該ダイボンディング用樹脂ペーストを用いた半導体装置の製造方法、および半導体装置を提供すること。
【解決手段】(A)カルボキシル基を有するブタジエンのポリマーと、(B)熱硬化性樹脂と、(C)フィラーと、(D)シリコーンゴム粒子をシリコーン樹脂で被覆したシリコーン複合パウダと、(E)印刷用溶剤とを含むダイボンディング用樹脂ペーストであって、成分(D)の含有量が、成分(A)、成分(B)及び成分(D)を含む樹脂成分の全重量を基準として、30重量%以上であることを特徴とするダイボンディング用樹脂ペーストを調製し、使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC、LSI等の半導体素子とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接合材料として用いられるダイボンディング用樹脂ペースト、当該樹脂ペーストを用いた半導体装置の製造方法、および当該製造方法により得られる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の半導体素子とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接合材料、すなわちダイボンディング材として、従来から、Au−Si共晶合金、半田、銀ペースト等が知られている。しかし、Au−Si共晶合金は、耐熱性及び耐湿性は高いが、弾性率が大きいために、大型チップに適用した場合に割れやすい傾向がある。また、Au−Si共晶合金は、高価であるという難点もある。一方、半田は、安価であるものの、耐熱性に劣り、その弾性率はAu−Si共晶合金と同様に高く、大型チップへの適用は難しい。
【0003】
これに対し、銀ペースト(例えば特許文献1を参照)は、安価で、耐湿性が高く、Au−Si共晶合金及び半田と比較して弾性率が低く、さらに350℃の熱圧着型ワイヤボンダーに適用できる耐熱性を有する。そのため、現在は、上述のダイボンディング材の中でも銀ペーストが広く用いられている。しかし、ICやLSIの高集積化が進み、それに伴ってチップが大型化していく状況に対応させて、銀ペーストをチップ全面に広げて塗布することは困難であり、効率的であるとはいえない。
【0004】
一方、チップの大型化に対応できるダイボンディング材として、特定のポリイミド樹脂を用いた接着フィルム、及び特定のポリイミド樹脂に導電性フィラーや無機フィラーを加えたダイボンディング用接着フィルム等のフィルム状のダイボンディング材が知られている(特許文献2〜4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−179769号公報
【特許文献2】特開平07−228697号公報
【特許文献3】特開平06−145639号公報
【特許文献4】特開平06−264035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接着フィルム型のダイボンディング材は、支持基板上に容易にダイボンディング層を形成することができる。特に、特許文献2〜4で開示されたような接着フィルムは、42アロイリードフレーム等の支持基板に対して好適に使用でき、さらに良好な熱時接着性を有する点で優れている。しかし、ダイボンディング材として接着フィルムを支持基板へ効率的に貼り付ける場合には、予め接着フィルムをチップサイズに切り出すか又は打ち抜き、次いで支持基板に貼り付けるための貼付装置が必要となる。また、接着フィルムを打ち抜いて複数個のチップ分を一括で貼り付ける方法は、接着フィルムの無駄が生じやすい傾向がある。さらに、支持基板の大部分は、基板内部に内層配線が形成されているため、接着フィルムを貼り付ける表面には凹凸が多く、接着フィルム貼付時に空隙が生じて、信頼性が低下しやすい傾向がある。
【0007】
また、近年、BOC(Board On Chip)型の半導体装置が注目され、有機基板等の絶縁性支持基板が使用されている。上述の絶縁性支持基板を使用する半導体装置の製造工程では、絶縁性支持基板の耐熱性等を考慮して、例えば200℃以下の比較的低い温度で半導体素子を搭載する必要がある。しかし、特許文献2〜4で開示されているような接着フィルムは、低温接着性に劣る傾向があり、比較的低い温度で半導体チップを貼り付けることが困難である場合が多い。そのため、BOC型の半導体装置の製造において、低温接着性に優れるダイボンディング用樹脂ペーストが注目されている。しかし、ダイボンディング用樹脂ペーストは、熱時接着性が十分ではなく、熱時接着性の更なる向上が望まれている。
【0008】
また、ダイボンディング用樹脂ペーストを用いて半導体装置を製造する場合には、一般的に、半導体素子をダイボンディング材に貼り付ける前に、基板やダイボンディング材が吸湿した水分を取り除く、いわゆる「プリベーク工程」が実施される。プリベーク工程によって、ダイボンディング層を形成する後硬化時にダイボンディング層にクラックやボイドが発生することを防ぐことができる。しかし、近年、工程管理や組立時間の短縮化の点から、上述のプリベーク工程を省いても、後硬化時にクラックやボイドの発生が少ないダイボンディング用樹脂ペーストが求められている。
【0009】
本発明は、上述の状況に鑑み、比較的低い温度で半導体素子を貼り付ける必要があるBOC(Board On Chip)用基板等を含む様々な基板に適用できるとともに、印刷法によって容易に塗布でき、熱時接着性を向上でき、かつプリベーク工程を省いても後硬化時にクラックやボイドの発生が少ないダイボンディング用樹脂ペーストの提供を目的とする。また、本発明は、当該ダイボンディング用樹脂ペーストを用いて、効率良く半導体装置を製造する方法、及び信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の第1の特徴は、(A)カルボキシル基を有するブタジエンのポリマーと、(B)熱硬化性樹脂と、(C)フィラーと、(D)シリコーンゴム粒子をシリコーン樹脂で被覆したシリコーン複合パウダと、(E)印刷用溶剤とを含むダイボンディング用樹脂ペーストであって、上記成分(D)の含有量が、上記成分(A)、上記成分(B)及び上記成分(D)を含む樹脂成分の全重量を基準として、30重量%以上であるダイボンディング用樹脂ペーストに関する。ここで、上記ダイボンディング用樹脂ペーストは、固形分が40〜90重量%であり、チキソトロピー指数が1.5〜8.0であり、粘度(25℃)が5〜1000Pa・sであることが好ましい。また、上記シリコーン複合パウダの平均粒径は1〜20μmであることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の特徴は、支持基板上に上記ダイボンディング用樹脂ペーストを塗布する工程と、塗布された上記樹脂ペーストを乾燥してBステージ化する工程と、Bステージ化した上記樹脂ペースト上に半導体素子を搭載する工程と、上記樹脂ペーストを後硬化する工程とを有する半導体装置の製造方法に関する。
【0012】
本発明の第3の特徴は、支持基板上に上記ダイボンディング用樹脂ペーストを塗布する工程と、塗布された上記樹脂ペースト上に半導体素子を搭載する工程と、上記樹脂ペーストを硬化する工程とを有する半導体装置の製造方法に関する。
【0013】
本発明の第4の特徴は、上記半導体装置の製造方法により得られる半導体装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のダイボンディング用樹脂ペーストは、扱いやすく、低応力性であることに加えて、低温接着性及び熱時接着性に優れている。なお、本明細書で記載する「低温接着性に優れる」とは、例えば、200℃以下の比較的低い温度で加熱及び加圧して半導体素子を搭載できることを意図している。また、「熱時接着性に優れる」とは、例えば、半導体素子搭載後の製造工程において高温加熱(例えば250℃)に置かれた場合であっても、ダイボンディング層が耐熱性を示し、接着信頼性を維持することを意図している。したがって、本発明によれば、半導体素子を搭載する基板に対して、印刷法によって容易に塗布することが可能なダイボンディング用樹脂ペーストを提供することができる。また、本発明のダイボンディング用樹脂ペーストは、比較的低い温度で半導体素子を貼り付ける必要があるBOC用基板を含む様々な基板に適用できる。例えば、200℃以下の比較的低い温度で半導体を貼り付ける必要がある、有機基板等の絶縁性支持基板に対して特に好適である。
【0015】
また、本発明のダイボンディング用樹脂ペーストはダイボンディング材の吸湿性が低いため、半導体素子貼付け前のプリベーク工程を省いても、後硬化時にダイボンディング層におけるクラック及びボイドの発生を改善することができる。これらのことによって、半導体装置組立時の工程管理や組立時間の短縮化が図れるだけでなく、信頼性の高い半導体装置を効率良く提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるダイボンディング用樹脂ペーストを用いたBOC型半導体装置の一実施形態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の第1の特徴は、ダイボンディング用樹脂ペーストに関する。本発明によるダイボンディング用樹脂ペースト(以下、単に「樹脂ペースト」という場合もある)は、(A)カルボキシル基を有するブタジエンのポリマーと、(B)熱硬化性樹脂と、(C)フィラーと、(D)シリコーン複合パウダと、(E)印刷用溶剤とを含む。
【0018】
成分(A)であるカルボキシル基を有するブタジエンのポリマーとしては、少なくともブタジエンと、カルボキシル基を有する化合物との共重合体であればよい。例えば、ブタジエンのホモポリマー又はブタジエンとアクリロニトリル等の他の重合性化合物とのコポリマーを主鎖とし、その末端の少なくとも一方にカルボキシル基を有するものであればよい。印刷性、低温接着性及び熱時接着力の観点からは、成分(A)の数平均分子量は500〜10000であることが好ましく、1000〜7000であることがより好ましい。本発明において、成分(A)は、下記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する。
【0019】
【化1】

【0020】
〔一般式(1)中、x/yは95/5〜50/50であり、nは5〜50の整数である。〕
【0021】
上記一般式(1)で表される化合物は、市販品として入手することも可能である。例えば、Hycar CTBN−2009×162、CTBN−1300×31、CTBN−1300×8、CTBN−1300×13、及びCTBNX−1300×9(いずれも宇部興産株式会社製、商品名)が挙げられる。これらの化合物は、アクリロニトリルを導入した低分子量液状ポリブタジエンを主鎖とし、その末端にカルボキシル基を有するものである。また、本発明において好適な成分(A)の他の例として、カルボキシル基を有する低分子量液状ポリブタジエンである、NISSO−PB−C−2000(日本曹達株式会社製、商品名)等が挙げられる。本発明では上述の化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
成分(B)である熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、硬化時の基板に対する接着強度に優れる点で、エポキシ樹脂を使用することが好ましい。エポキシ樹脂は、フェノール樹脂もしくは分子中にフェノール性水酸基を有する化合物と、硬化促進剤とを含む樹脂混合物として用いてもよい。エポキシ樹脂のなかでも、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含む多官能エポキシ樹脂が好ましい。硬化性や硬化物特性の点から、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が特に好ましい。このような樹脂の具体例として、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールFもしくはハロゲン化ビスフェノールA等のビスフェノールとエピクロルヒドリンとの縮合物; フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル; クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル; 及びビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
成分(B)として上記エポキシ樹脂を用いる場合の含有量は、上記成分(A)100重量部に対し1〜300重量部であることが好ましく、5〜200重量部であることがより好ましく、10〜100重量部であることが特に好ましい。この含有量が300重量部を超えると、ペーストの保管安定性が低下しやすい傾向がある。
【0024】
また、上記フェノール樹脂又は分子中にフェノール性水酸基を有する化合物は、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するものであればよい。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。フェノール樹脂又は分子中にフェノール性水酸基を有する化合物を用いる場合の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して1〜150重量部であることが好ましく、5〜100重量部であることがより好ましい。この含有量が150重量部を超えると、硬化性が不十分となる恐れがある。
【0025】
また、上記硬化促進剤は、エポキシ樹脂を硬化させるために用いられるものであればよい。特に限定されないが、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤を用いる場合の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。この含有量が50重量部を超えると、ペーストの保管安定性が低下する恐れがある。
【0026】
また、(B)熱硬化性樹脂として、1分子中に少なくとも2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化合物を使用することもできる。そのような化合物の例としては、オルトビスマレイミドベンゼン、メタビスマレイミドベンゼン、パラビスマレイミドベンゼン、1,4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
さらに、下記一般式(I)〜(III)で表されるイミド化合物等を用いることも好ましい。
【化2】

【0028】
〔式中、XやYは、O、CH、CF、SO、S、CO、C(CH又はC(CFを示し、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示し、mは0〜4の整数を示す。〕
【0029】
上記一般式(I)のイミド化合物としては、例えば、4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4,4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0030】
また、上記一般式(II)のイミド化合物としては、例えば、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕フルオロメタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ケトン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
【0031】
上記イミド化合物を用いる場合の含有量は、成分(A)100重量部に対して200重量部を超えない程度、好ましくは100重量部を超えない程度である。この含有量が200重量部を超えると、ペーストの保管安定性が低下しやすい。
【0032】
また、上記イミド化合物の硬化を促進するため、ラジカル重合剤を使用してもよい。ラジカル重合剤としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。ラジカル重合剤の使用量は、上記イミド化合物100重量部に対して、概ね0.01〜1.0重量部が好ましい。
【0033】
上記成分(C)のフィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉等の導電性(金属)フィラー;シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機物質フィラー等が挙げられる。これらフィラーのうち、銀粉、金粉、銅粉等の導電性(金属)フィラーは、接着剤に導電性、伝熱性又はチキソトロピー性を付与する目的で添加される。一方、シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機物質フィラーは、接着剤に低熱膨張性、低吸湿率、チキソトロピー性を付与する目的で添加される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
これら導電性フィラー又は無機物質フィラーは、それぞれ2種以上を混合して用いることもできる。物性を損なわない範囲であれば、導電性フィラーの1種以上と無機物質フィラーの1種以上とを混合して用いてもよい。また、必要に応じて、半導体装置の電気的信頼性を向上させる目的で、フィラー成分として無機イオン交換体を用いてもよい。
【0035】
無機イオン交換体としては、樹脂ペースト硬化物を熱水中で抽出したときに水溶液中に抽出されるイオン、例えば、Na、K、Cl、F、RCOO、Br等のイオンに対して捕捉作用が認められるものが有効である。このようなイオン交換体の具体例としては、天然に産出されるゼオライト、沸石類、酸性白土、白雲石、ハイドロタルサイト類等の天然鉱物、人工的に合成された合成ゼオライトが挙げられる。
【0036】
上記フィラー成分の含有量は、成分(A)100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜50重量部である。このフィラーの含有量は、ペーストに十分なチキソトロピー性(チキソトロピー指数:1.5以上)を付与する観点から、1重量部以上であることが好ましい。さらにこのフィラーの量は、接着性の観点から100重量部以下であることが好ましく、これを超えて含有量が多くなると、硬化物の弾性率が高くなる傾向があり、その結果、ダイボンディング材の応力緩和能が低くなって、半導体装置の実装信頼性が低下する恐れがある。
【0037】
また、上記フィラーの混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
【0038】
上記成分(D)であるシリコーン複合パウダは、シリコーンゴム粒子の表面をシリコーン樹脂で被覆した粉末であり、樹脂ペーストの吸湿性を低下させ、かつ低応力性を維持するのに有効である。このようなシリコーン複合パウダは、未被覆のシリコーンゴム粒子と比較して、樹脂ペースト中で優れた分散性を示す傾向がある。本発明において、成分(D)のシリコーン複合パウダは、耐熱性を有し、低吸湿であり、低応力及び低弾性であれば、シリコーンゴム粒子及びその表面を被覆するシリコーン樹脂の各構造は特に制限されるものではない。しかし、樹脂ペーストに対する良好な分散性を得る観点から、本発明では、成分(D)として、ジメチルシロキサンを架橋させたゴム粉末に対し、シロキサン結合を有する樹脂で三次元架橋させて得られるパウダを使用することが好ましい。
【0039】
また、本発明で使用するパウダは平均粒径が1〜20μmであることが好ましい。平均粒径が1〜10μmであることがより好ましい。パウダの平均粒径が20μmを超えると、樹脂ペーストへの分散性が低下するだけでなく、基板やチップに対してダメージを与える異物となる可能性がある。なお、本明細書で記載する「平均粒径」は、光散乱法による測定によって得られる値とする。本発明において好適に使用できるシリコーン複合パウダは、市販品として入手可能である。例えば、KMP−600、KMP−601、KMP−602、KMP−605、X−52−7030(いずれも信越化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。必要に応じて、これらを2種類以上混合して用いてもよい。
【0040】
上記(D)シリコーン複合パウダの含有量は、樹脂ペーストを構成する全樹脂成分の合計量を基準として、30重量%以上であることが好ましい。また、その上限は70重量%以下であることが好ましく、60重量%以下であることがより好ましい。なお、全樹脂成分とは、成分(A)、成分(B)、成分(D)及び必要に応じて添加されるその他の樹脂成分を意図している。全樹脂成分における(D)シリコーン複合パウダの含有量が30重量%未満であると、シリコーン複合パウダを配合することによって得られる所期の効果が得られ難くなる傾向がある。一方、含有量が70重量%を超えると、樹脂ペーストの硬化後の接着強度が低下する傾向にある。
【0041】
上記成分(E)である印刷用溶剤は、フィラーを均一に混練又は分散できる溶剤のなかから選択することが好ましい。また、印刷時の溶剤の揮散防止、及びBステージ化における乾燥性を考えて、沸点が100℃以上250℃以下の溶剤を選ぶことが好ましい。
【0042】
上記印刷用溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライムともいう)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライムともいう)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、γ−ブチロラクトン、イソホロン、カルビトール、カルビトールアセテート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、アニソール、印刷用インキの溶剤として使われる石油蒸留物を主体とした溶剤等が挙げられる。これらは2種類以上を混合して用いてもよい。これら溶剤の中でも特に、吸水性が低くいことから、カルビトールアセテートが好ましい。
【0043】
上記印刷用溶剤(E)の含有量は、成分(A)100重量部に対して、10〜100重量部であることが好ましい。
【0044】
本発明の樹脂ペーストの印刷中に、泡、ボイドの発生が目立つ場合は、上記印刷用溶剤(E)中に脱泡剤、破泡剤、抑泡剤等を添加することが効果的である。添加量は、抑泡効果を発揮させる観点から、溶剤(E)中に0.01重量%以上であることが好ましい。樹脂ペーストの粘度安定性や接着性の観点から、溶剤(E)中に10重量%以下とすることが好ましい。
【0045】
本発明の樹脂ペーストには、接着力を向上させるため、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等を適宜加えてもよい。
【0046】
上述の各種成分を含む本発明の樹脂ペーストは、樹脂ペースト乾燥後の体積減少に起因する形状変化抑制の観点から、固形分は40重量%以上であることが好ましい。また、樹脂ペーストの流動性及び印刷作業性向上の観点から、固形分は90重量%以下であることが好ましい。すなわち、本発明の樹脂ペーストの固形分は、40〜90重量%であることが好ましい。
【0047】
また、本発明の樹脂ペーストのチキソトロピー指数は、1.5〜8.0であることが好ましい。このチキソトロピー指数が1.5以上であると、印刷法による塗布によって、基板上に供給された樹脂ペーストのダレ等の発生を抑制して、印刷形状を良好に保ち易い点で好ましい。また、このチキソトロピー指数が8.0以下であると、印刷法による塗布によって基板上に供給された樹脂ペーストの「欠け」やカスレ等の発生を抑制し易くなる点で好ましい。なお、本明細書で記載する「チキソトロピー指数」は、E型回転粘度計で、25℃、回転数1min−1で測定したときの値と、回転数10min−1で測定したときの値との比として定義する。チキソトロピー指数の求め方については、実施例で詳しく説明する。
【0048】
また、本発明の樹脂ペーストの粘度(25℃)は、印刷作業性の観点から5〜1000Pa・sであることが好ましい。また、樹脂ペーストの粘度は、印刷法の種類により適宜調整することが好ましい。例えば、スクリーンメッシュ版等のようにマスク開口部にメッシュ等が貼ってある場合は、メッシュ部の抜け性を考慮して5〜100Pa・sの範囲に調整することが好ましく、ステンシル版等の場合は20〜500Pa・sの範囲に調整することが好ましい。また、乾燥後の樹脂ペーストに残存するボイドが多く見られる場合は、150Pa・s以下の粘度に調整することが有効である。なお、上記粘度は、E型回転粘度計を用いて、25℃、回転数0.5min−1で測定したときの値とする。
【0049】
本発明の第2の特徴は、半導体装置の製造方法に関する。本発明による半導体装置の製造方法の一実施形態は、支持基板上に本発明によるダイボンディング用樹脂ペーストを塗布する工程と、支持基板上に塗布された樹脂ペーストを乾燥してBステージ化(乾燥半硬化)する工程と、Bステージ化した樹脂ペースト上に半導体素子を搭載する工程と、樹脂ペーストを後硬化する工程とを有する。より具体的には、支持基板上に本発明の樹脂ペーストをスクリーン印刷法により供給(塗布)する工程と、次いで樹脂ペーストをBステージ化させることで半硬化の樹脂ペースト層(ダイボンディング層)を形成する工程と、乾燥半硬化の樹脂ペースト層上にIC、LSI等の半導体素子(チップ)を適当な条件下で加熱及び加圧して貼り付ける工程と、さらに樹脂ペースト層を後硬化することによって樹脂ペーストの硬化物からなるダイボンディング層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0050】
上記Bステージ化を行う工程の温度としては、100〜200℃が好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。Bステージ化のための加熱時間は、作業効率の観点から120分以下とすることが好ましい。有機溶剤(D)を用いる場合は、揮発率を高くする観点から、5分以上とすることが好ましい。また、Bステージ化させたペーストのクラックを防ぐためには、室温からの昇温工程、または昇温させた温度から室温への降温工程を、それぞれ10分以上かけて、徐々に加熱または冷却することが好ましい。また、乾燥半硬化の樹脂ペースト層上にIC及びLSI等の半導体素子(チップ)を適当な条件下で加熱及び加圧して貼り付ける工程において、加熱温度は、有機基板等を用いる場合には、有機基板の耐熱性の観点から200℃以下が好ましく、接着性の観点からは100〜200℃であることが好ましい。
【0051】
本発明の樹脂ペーストは溶剤を含有しているが、上述の製造方法を適用した場合、溶剤の大部分は樹脂ペーストのBステージ化等の加熱時に揮発する。そのため、本発明によれば、樹脂ペーストからなるダイボンディング層にボイドの少ない、良好な実装信頼性を有する半導体装置を提供することができる。一方、パッケージ信頼性に影響がなければ、樹脂ペーストの乾燥半硬化(Bステージ化)を省略し、製造工程を簡略化することも可能である。本発明の第3の特徴は、上述の製造方法における別の実施形態に関する。すなわち、本発明による半導体装置の製造方法における別の実施形態は、支持基板上に本発明のダイボンディング用樹脂ペーストを塗布する工程と、基板上に塗布された樹脂ペースト上に半導体装置を搭載する工程と、樹脂ペーストを硬化する工程を有する。
【0052】
上述の製造方法における実施形態のいずれも、ダイボンディング層の形成工程において、本発明の樹脂ペーストを使用することを除き、その実施方法及び条件、さらに他の製造工程等については慣用の技術を適用することができる。特に限定するものではないが、本発明による製造方法において、支持基板への樹脂ペーストの供給は、印刷法による塗布によって実施することが好ましい。支持基板としては、特に限定されないが、例えば、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム; ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂等のプラスチックフィルム; ガラス不織布等の基材にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂等を含む樹脂組成物を含浸し硬化させたもの(プリプレグ)、若しくはアルミナ等のセラミックス製の支持部材等であってよい。なお、樹脂ペーストの後硬化は、実装組立工程に支障がなければ、半導体素子を封止するための封止材の後硬化工程と併せて実施してもよい。
【0053】
本発明の第4の特徴は、上述の本発明による半導体装置の製造方法によって得られる半導体装置に関する。本発明による半導体装置は、本発明による樹脂ペーストから構成されるダイボンディング層を有することを特徴とするものであり、半導体装置のその他の構成部材及び構造については特に限定されない。本発明による半導体装置は、代表的には、支持基板に所定の配線を形成した半導体素子搭載用基板と、ダイボンディング層と、半導体素子と、上述の配線と半導体素子の端子とを接続するワイヤと、ワイヤによる接続部を少なくとも封止する封止材とから構成される。
【0054】
図1は、本発明による半導体装置の一実施形態であるBOC型半導体装置の構造を示す模式的断面図である。図1に示したように、BOC型半導体装置100は、中央部に窓を設けた基板2の一方の面にダイボンディング層4を介して半導体素子6が搭載され、基板2の半導体素子搭載面と反対面に配線パターン8、絶縁層10及び半田ボール12が形成され、半導体素子2の端子部(不図示)と配線パターン8とがワイヤ14によって接続され、さらに少なくともその接続部が樹脂等の封止材16によって封止された構造を有する。本発明による樹脂ペーストは、図1によって例示したBOC型半導体装置の製造において特に好適である。しかし、本発明による樹脂ペーストは、BOC型半導体装置の製造に限定されることなく、その他の構成を有する半導体装置の製造においても好適に使用可能である。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0056】
1.樹脂ペーストの調製
(実施例1)
カルボキシル基を有するブタジエンのポリマー(A)をベース樹脂として、CTBNX−1300×9(宇部興産株式会社製、商品名)を100重量部秤量し、これをらいかい機に入れた。ここに、熱硬化性樹脂(B)として予め用意していた、エポキシ樹脂(YDCH−702)25重量部とフェノール樹脂(H−1)15重量部とを含むカルビトールアセテート溶液(なお、溶剤であるカルビトールアセテートは60重量部)、及び硬化促進剤(TPPK)0.5重量部を加えて混合した。
【0057】
続いて、先に調製した混合物に、フィラー(C)として、シリカ微粉末であるアエロジルを8重量部、およびシリコーン複合パウダ(D)として、KMP−600を60重量部加え、さらに印刷用溶剤(E)であるカルビトールアセテートを26重量部添加し、粘度を調整した後に、1時間にわたって撹拌及び混練し、ダイボンディング用樹脂ペースト(固形分70.9重量%)を得た。
【0058】
(実施例2〜5、比較例1〜3)
ベース樹脂(A)、熱硬化性樹脂(B)、フィラー(C)、シリコーン複合パウダ(D)および溶剤(E)として使用する原料の種類や含有量を適宜変更したことを除き、実施例1と同様の工程に従って、各々のダイボンディング用樹脂ペーストを得た。各樹脂ペーストの配合を表1に示す。
【0059】
(比較例4〜6)
成分(D)として、シリコーン複合パウダにかえてシリコーンゴムを使用するとともに、その他のベース樹脂(A)、熱硬化性樹脂(B)、フィラー(C)、および溶剤(E)の種類や含有量を適宜変更したことを除き、実施例1と同様の工程に従って、各々のダイボンディング用樹脂ペーストを得た。各樹脂ペーストの配合を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
※各組成の含有量の単位は全て重量部である。
※表1における略号は次の通りである。
CTBNX−1300×9:宇部興産(株)製、商品名、カルボキシル基を有するブタジエン−アクリロニトリル共重合体(官能基数2.3/mol、数平均分子量:3500、アクリロニトリルの含有量:17重量%)
YDCH−702:東都化成(株)製、商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量220)
ESCN−195:日本化薬(株)製、商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200)
H−1:明和化成(株)製、商品名、フェノールノボラック樹脂(OH当量106)
VH−4170:大日本インキ化学工業(株)製、商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂(OH当量118)
TPPK:東京化成工業(株)製、商品名、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート
【0062】
アエロジル:日本アエロジル(株)製、商品名アエロジル#380(シリカの微粉末)
KMP−600:信越化学工業(株)製(平均粒径5μm)
トレフィルE−601:東レ・ダウコーニング(株)製、商品名、シリコーンエラストマ(平均粒径2μm)
CA:カルビトールアセテート
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0063】
2.樹脂ペーストの評価
各実施例及び各比較例で調製した各樹脂ペーストについて、以下の測定を実施した。
(粘度およびチキソトロピー指数)
粘度およびチキソトロピー指数の測定条件は以下のとおりである。測定結果を表2に示す。
・粘度:東機産業(株)製、E型粘度計で直径19.4mm、3°コーンを用いて、25℃での粘度を測定した(回転数0.5min−1)。
・チキソトロピー指数:上記粘度計を用いて、回転数1min−1および10min−1での粘度を測定し、次式により求めた。
[数1]
チキソトロピー指数=(1min−1での粘度)/(10min−1での粘度)
【0064】
(熱時ダイシェア強度)
太陽インキ製造(株)製のソルダーレジストPSR−4000AUS−5が塗布された有機基板に、各実施例および各比較例の樹脂ペーストを5×5mmの大きさで印刷した。次に、印刷した樹脂ペーストを、60℃で15分間、さらに90℃で30分間にわたって乾燥させ半硬化状態にした(Bステージ化)。次に半硬化状態の樹脂ペースト上に、5×5mmのシリコンチップ(厚さ0.4mm)を、160℃、4kgf、1sのダイアタッチ条件で貼り付けた。その後、180℃のオーブンで1時間にわたって加熱することにより樹脂ペーストを硬化させた。このようにして得た半導体装置サンプルについて、自動接着力試験機(デイジ社製、BT−400)を用い、250℃における剪断強さ(kgf/チップ)を測定した。測定結果を表2に示す。表2に示した測定値が高いほど、熱時接着性に優れていることを意味する。
【0065】
(クラック・ボイドの発生の有無)
厚さ0.2mmの銅箔を両面剥離処理したE−679F(日立化成工業(株)製、商品名)を基板として使用し、その上に各実施例および各比較例の樹脂ペーストを、乾燥後の厚みが約40μmになるように7mm角の大きさに塗布した。その後、これを120℃、100分にわたってオーブン中に入れ、樹脂ペースト層を乾燥した。ついで、23℃50%RHに調湿されたクリーンルーム中に入れ、24時間わたって放置した後、樹脂ペースト層に10mm角(厚さ:0.5mm)のガラスチップを120℃、7kgの条件で5秒間圧着した。引き続き、それらをオーブンに入れ、室温から180℃まで60分かけて昇温した後に、180℃で60分間にわたり加熱し、樹脂ペースト層を硬化させ、半導体装置サンプルを作製した。このようにして得られた各サンプルの樹脂ペースト層について、クラックやボイドの有無を目視にて観察した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示されるように、本発明によるシリコーン複合パウダを含む樹脂ペーストを使用した場合(実施例1〜5)、未被覆のシリコーンゴム(比較例4〜6)と比較して、熱時接着性に優れることが確認された。また、実施例1〜5と比較例1〜3との比較から分かるように、シリコーン複合パウダの含有量を全樹脂成分中の30重量%以上とすることによって、ダイボンド前のプリベーク処理なしでも、後硬化後の樹脂ペースト層(ダイボンディング層)中にクラックやボイドを抑制することができる。以上のことから、所定量のシリコーン複合パウダを含む本発明による樹脂ペーストによれば、熱時接着性に優れるとともに、ボイド又はクラックのないダイボンディング層、さらには信頼性の高い半導体装置を提供することができることが明らかである。
【符号の説明】
【0068】
2 基板
4 ダイボンディング層
6 半導体チップ
8 配線パターン
10 絶縁層
12 はんだボール
14 ワイヤ
16 封止材
100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシル基を有するブタジエンのポリマーと、(B)熱硬化性樹脂と、(C)フィラーと、(D)シリコーンゴム粒子をシリコーン樹脂で被覆したシリコーン複合パウダと、(E)印刷用溶剤とを含むダイボンディング用樹脂ペーストであって、
前記成分(D)の含有量が、前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(D)を含む樹脂成分の全重量を基準として、30重量%以上であることを特徴とするダイボンディング用樹脂ペースト。
【請求項2】
固形分が40〜90重量%であり、チキソトロピー指数が1.5〜8.0であり、粘度(25℃)が5〜1000Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載のダイボンディング用樹脂ペースト。
【請求項3】
支持基板上に請求項1または2に記載のダイボンディング用樹脂ペーストを塗布する工程、
塗布された前記樹脂ペーストを乾燥して、Bステージ化する工程、
Bステージ化した前記樹脂ペースト上に半導体素子を搭載する工程、および
前記樹脂ペーストを後硬化する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
支持基板上に請求項1または2に記載のダイボンディング用樹脂ペーストを塗布する工程、
塗布された前記樹脂ペースト上に半導体素子を搭載する工程、および
前記樹脂ペーストを硬化する工程
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法により得られる半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−177244(P2010−177244A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15181(P2009−15181)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】