説明

チアゾロチアゾール誘導体およびそれを用いた有機電子素子

本発明は新規なチアゾロチアゾール誘導体およびそれを用いた有機発光素子、有機トランジスタ、有機太陽電池などの有機電子素子に関する。本発明の化合物は、コア構造に様々な置換基が導入されることにより、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性および熱的安定性などを満足させることができ、置換基に応じて非結晶性または結晶性の性質を有し得るため、各素子に個別的に要求される要件も満足させることができる。また、n−type特性を有するコアに置換体を変化させ導入することによってp−typeまたはn−typeの有機半導体を製造することができ、それにより安定性を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なチアゾロチアゾール誘導体およびそれを用いた有機電子素子に関する。本出願は2006年6月15日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2006−0053801号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
情報化社会と呼ばれる現社会はシリコンに代弁される無機物半導体の発見とそれを用いた様々な電子素子の開発によってなされた。しかし、無機物を用いた電子素子は製造時に高温または真空工程を経なければならないために装置に多くの投資を行うべきであり、現在、次世代ディスプレイとして脚光を浴び始めたフレキシブルディスプレイ(flexible display)に適用し難い物性を有している。
【0003】
前記問題を克服するために、様々な物性を有した半導体物質として有機半導体物質が最近脚光を浴びている。有機半導体物質は無機半導体物質が用いられてきた各種電子素子に応用することができる。有機半導体物質が用いられる代表的な電子素子としては有機発光素子、有機太陽電池、有機薄膜トランジスタなどが挙げられる。
【0004】
有機太陽電池、有機発光素子、または有機トランジスタのような有機電子素子は有機半導体物質の半導体性質を用いる電子素子であって、通常、2つ以上の電極と2つの電極間に介在した有機物層とを含む。例えば、太陽電池は、太陽エネルギーによって有機物層から発生したエキシトン(励起子;exciton)から分離した電子と正孔を用いて電気を発生させる。有機発光素子は、2つの電極から有機物層に電子および正孔を注入して電流を可視光に変換させる。有機トランジスタは、ゲートに印加された電圧によって有機物層に形成された正孔または電子をソース電極とドレイン電極間で輸送させる。前記のような電子素子は、性能を向上させるために、電子/正孔注入層、電子/正孔抽出層、または電子/正孔輸送層をさらに含むことができる。
【0005】
前記電子素子に用いるための有機半導体物質は正孔または電子移動度が良くなければならない。それを満足するために大部分の有機半導体物質は共役構造を有している。
【0006】
また、それぞれの電子素子に用いられる有機半導体物質は素子に求められる特性に応じて各々好ましいモーフォロジー(morphology)が異なる。
【0007】
例えば、有機半導体物質を用いて薄膜を形成する時、有機発光素子では前記薄膜が非結晶質(amorphous)性質を有することが好ましい反面、有機薄膜トランジスタでは前記薄膜が結晶質(crystalline)性質を有することが好ましい。
【0008】
すなわち、有機発光素子において有機薄膜が結晶質性質を有する場合、これは、発光効率の低下や電荷輸送におけるクエンチングサイト(quenching site)の増加、漏れ電流の増加などを招いて素子性能を阻害し得る。
【0009】
その反面、有機トランジスタにおいては有機物層の電荷移動度が大きければ大きいほど良いため、有機物分子間パッキング(packing)がよく起こって有機薄膜が結晶性を有することが好ましい。このような結晶性有機膜は特に単結晶をなすことが最も好ましく、多結晶形態をなす場合にはそれぞれの結晶ドメインの大きさが大きく、これらのドメインが互いによく連結されていることが好ましい。
【0010】
前記のような要件を充足させるために、有機発光素子においては、非結晶質薄膜を形成できるようにNPB(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、Alq(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン))のように平面的ではない構造を有する物質が主に用いられ、有機トランジスタにおいては、分子間のパッキングが起こり易いようにペンタセン(pentacene)、ポリチオフェン(polythiophene)のような棒状(rodlike)構造やフタロシアニン(phthalocyanine)誘導体のような板状構造を有する物質が主に用いられている。
【0011】
一方、前記有機電子素子は、素子の性能向上のために相異なる用途を有する2種以上の有機半導体物質を各々積層し、2層以上の有機物層を含むように製造することができる。
【0012】
例えば、有機発光素子は正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層などをさらに含み、正極もしくは負極から正孔もしくは電子の注入および輸送を円滑にすることにより素子の性能を増加させることができる。
【0013】
有機薄膜トランジスタの場合には、主に半導体層と電極間の接触抵抗を減らすために有機半導体からなる補助電極を導入したり、有機物で電極にSAM(Self Assembled Monolayer)処理を施す方法を導入したりし、有機物で絶縁層の表面を処理するか有機絶縁膜を用いることにより、有機物からなる半導体との接触特性を改善する方法を用いる。
【0014】
また、前記有機電子素子に用いられる有機半導体物質は、素子内における電荷の移動時に発生するジュール熱に対し熱的安定性を有することが好ましく、電荷の円滑な注入もしくは輸送のために適切なバンドギャップとHOMOまたはLUMOエネルギー準位を有することが好ましい。その他にも前記有機半導体物質は化学的安定性、電極や隣接した層との界面特性などに優れるべきであり、水分や酸素などに対する安定性などに優れるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
当技術分野では、前述したような有機電子素子に共通に要求される特性または電子素子の種類に応じて個別的に求められる特性を満足し、必要な場合、特定用途により好適な有機物の開発が求められている。そこで、本発明は新規なチアゾロチアゾール(thiazolothiazole)誘導体およびそれを用いた有機電子素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らはチアゾロチアゾール基を含む新規な化合物を明らかにした。また、前記化合物においては、チアゾロチアゾール基がp−typeまたはn−typeの特性を有する他の置換基と結合され、p−typeとn−typeの特性を有する構造を1分子内に導入できるために高い安定性を与えることができ、このような化合物をポリマー(polymer)またはオリゴマー(oligomer)化することにより、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性および熱的安定性などを満足させることができるため、有機発光素子、有機トランジスタおよび有機太陽電池のような有機電子素子に用いることができるという事実を明らかにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の化合物は新規な化合物であり、コア構造に様々な置換基が導入されることにより、有機発光素子、有機トランジスタおよび有機太陽電池のような有機電子素子に用いられるための要件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性および熱的安定性などを満足させることができ、置換基に応じて非結晶性または結晶性の性質を有し得るために各素子に個別的に求められる要件も満足させることができる。また、n−type特性を有するコアに置換体を変化させて導入することによりp−typeまたはn−typeの有機半導体を製造することができ、それによって安定性を付与することができる。したがって、本発明の化合物は前記のような有機電子素子において様々な役割をすることができ、有機電子素子に適用するときに高い電荷移動度と安定性を確保した素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】基板1、正極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子注入層6、負極7からなる有機発光素子の例を示す図である。
【図2】基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、有機物層13からなるボトムコンタクト型(bottom contact type)有機薄膜トランジスタ素子の例を示す図である。
【図3】基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、有機物層13からなるトップコンタクト型(top contact type)有機薄膜トランジスタ素子の例を示す図である。
【図4】基板14、正極15、電子供与層16、電子受容層17、負極18からなる有機太陽電池の例を示す図である。
【図5】実施例1で合成した化合物のGPCグラフである。
【図6】実施例2で合成した化合物のNMRグラフである。
【図7】実施例2で合成した化合物のGPCグラフである。
【図8】実施例4で製造したトランジスタの特性グラフである。
【図9】実施例4で製造したトランジスタの特性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は下記化学式1の構造単位を含む化合物を提供する:
【0020】
【化1】

【0021】
前記式において、0<x≦1の実数、0≦y<1の実数、0≦z<1の実数、x+y+z=1であり、
nは1〜1000の整数であり、より好ましくは10〜1000の整数であり、
ArおよびAr’は互いに同一または異なり、独立して共役構造を有する2価の環状もしくは非環状の炭化水素基、または共役構造を有する2価の複素環基であり、
AとBは互いに同一または異なり、独立して共役構造を有する2価の環状もしくは非環状の炭化水素基、共役構造を有する2価の複素環基、または下記非環式基(acyclic group)である。
【0022】
【化2】

前記式において、R’およびR”は互いに同一または異なり、独立して水素原子;ハロゲン原子;直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基;直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基;チオアルコキシ基;ニトリル基;ニトロ基;アミノ基;置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよく、点線部分は化学式1の主鎖に連結される部分である。
【0023】
前記化学式1において、ArまたはAr’は共役構造を有するアリーレン基またはヘテロアリーレン基であってもよい。
【0024】
前記化学式1において、AまたはBは芳香族基(Ar”)であることが好ましい。
【0025】
AまたはBの例として前記芳香族基(Ar”)はアリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、好ましくは下記の化学式で示される基である。
【0026】
【化3】

【0027】
ここで、XはO、S、Se、NR、SiRまたはCR基であり、ここで、RとRは互いに同一または異なり、独立して水素原子、直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基またはアリール基であり、これらは互いに連結されて環を形成してもよく、
およびRは互いに同一または異なり、独立して水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミノ基、イミド基、シラン基、チオエステル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
および/またはRに含まれる互いに隣接していない2以上の炭素原子はO、S、NH、−NR−、SiROO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基によって連結されてもよく、ここで、RとROOは互いに同一または異なり、独立して水素、アリールまたは炭素数1〜12のアルキル基であり、
とRは互いに連結されて環を形成してもよい。
【0028】
前記式において、RまたはRが炭素数1〜20の置換されたアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基である場合、これらに結合された水素原子は1つ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトリル基によって置換されてもよい。
【0029】
前記式において、RまたはRが置換されたアリール基またはヘテロアリール基である場合、これらはハロゲン基、ニトリル基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ビニル基、アセチレン基、チオアルコキシ基、ニトロ基、アミド基、イミド基、エステル基、エーテル基、アミノ基、シラン基によって置換されてもよい。
【0030】
前記化学式において、Ar、Ar’、Ar”の例を下記に提示する。但し、これらは単に発明の理解を助けるためのものであって、これらに限定されるものではない。
【0031】
【化4】

【0032】
前記化学式中、いかなる置換基も表示していない位置は水素原子が来てもよく、1つ以上のハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミド基、アミド基、イミド基、ヘテロ基、ビニル基、アセチレン基、シラン基などで置換されてもよく、R、R’、R”は互いに同一または異なり、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基であり、mは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜6の整数である。
前記化学式1は下記化学式2の構造単位を含むことができる。
【0033】
【化5】

【0034】
前記化学式2において、
〜Rは互いに同一または異なり、独立して水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミノ基、イミド基、シラン基、チオエステル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
〜Rに含まれる互いに隣接していない2以上の炭素原子はO、S、NH、−NR−、SiROO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基によって連結されてもよく、ここで、RとROOは互いに同一または異なり、独立して水素、アリールまたは炭素数1〜12のアルキル基であり、
〜Rのうちの2以上が互いに連結されて環を形成してもよく、
n、x、y、z、AおよびBは化学式1で定義した通りである。
【0035】
前記化学式2において、R〜Rのうちのいずれか1つ以上が置換されたアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基である場合、これらに置換された水素原子は1つ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトリル基によって置換されてもよい。
【0036】
前記化学式2において、R〜Rのうちのいずれか1つ以上が置換されたアリール基またはヘテロアリール基である場合、これらはハロゲン基、ニトリル基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ビニル基、アセチレン基、チオアルコキシ基、ニトロ基、アミド基、イミド基、エステル基、エーテル基、アミノ基またはシラン基によって置換されてもよい。
【0037】
本発明の好ましい実施状態において前記化学式1のより具体的な例として下記化学式を提示する。但し、これらは単に本発明の理解を助けるためのものであって、これらに限定されるものではない。
【0038】
【化6A】

【0039】
【化6B】

【0040】
【化6C】

【0041】
【化6D】

【0042】
【化6E】

【0043】
【化6F】

【0044】
【化6G】

【0045】
前記化学式R−1〜R−5およびS−1〜S−41のうちに含まれたR〜R””’は互いに同一または異なり、独立して水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミノ基、イミド基、シラン基、チオエステル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。これらは互いに連結されて環を形成してもよく、
n、x、yは化学式1で定義した通りである。
【0046】
有機半導体を用いる有機電子素子には、代表的に、有機発光素子、有機トランジスタ、有機太陽電池がある。有機物半導体がこれらの素子に用いられており、このような有機半導体には無機半導体のようにn型半導体とp型半導体がある。
【0047】
これらを例に挙げれば、有機発光素子では、p型半導体は正孔注入層や輸送層として用いられ、n型半導体は電子輸送層や注入層として用いられる。また、発光層として用いられる半導体は、電子と正孔の両方に安定しなければならないため、n型とp型の特性を示す構造を全て含む場合もある。また、有機発光素子は、前述したように、分子間パッキングを最小化する構造を有する場合が好ましい。
【0048】
一方、有機トランジスタの場合にはゲート電圧によって誘導される電荷が正孔であるp型半導体と電子であるn型半導体が用いられ、これらを同時に1素子に用いて両極性(ambipolar)を有するトランジスタを製作し、電流消耗を少なくする方法を使ったりもする。しかし、現在まで知られたトランジスタ用有機半導体のうちのp型半導体がより良い特性を示し、安定性も相対的に高いと知られている。これを克服するために、n型特性とp型特性を有した物質を1分子内に導入して安全性を高めるか、これを両極性物質として用いたりもする。また、このような有機トランジスタの場合には、有機発光素子とは異なり、電荷移動度を高めるために分子間パッキングがよく起こり得る構造が好ましい。
【0049】
前記化学式1の化合物において、チアゾロチアゾール基はn−type特性を示す構造であり、ここに適切な置換体を導入した誘導体を有機発光素子の電子注入層もしくは電子移動層に適用することができる。また、この構造は平たくて堅固な棒状構造を有するため、パッキングがよく起こるように誘導できる置換体を前記化学式のArやAr’、A、Bなどに導入して、有機トランジスタの半導体層として用いることができる。これはn−型半導体として作用し、置換体としてp−型置換体を導入して両極性半導体を誘導するか、より強いp型置換体を導入する場合はp型半導体の特性を維持しながら安定性が向上した有機半導体物質を得ることができる。
【0050】
このように、本発明の化学式1の誘導体は、有機発光素子、有機トランジスタおよび有機太陽電池のような有機電子素子において有機半導体物質として用いるのに好適な特性を有することができる。
【0051】
前記化学式1の化合物を製造するためのチアゾロチアゾールのハロゲン置換体は、一般的に下記反応式1のような方法によって製造することができる。
【0052】
【化7】

【0053】
また、前記化学式1の化合物を製造するためのチアゾロチアゾールのハロゲン置換体は反応式2のように製造することができる。
【0054】
【化8】

【0055】
前記反応式1および反応式2において、臭素はハロゲン原子の例であって、フッ素、塩素、ヨウ素なども用いることができ、Arは化学式1で定義した通りである。
【0056】
次に、上記のように形成されたチアゾロチアゾールのハロゲン置換体は化学式1のAとBで示される構造を有した物質とスティルカップリング(Stille coupling)、クマダカップリング(Kumada coupling)、スズキカップリング(Suzuki coupling)などの方法によって高分子物質を作ることができる。特に、Arがチオフェン系の化合物である場合には、FeClなどを用いた酸化重合法によって自体的に重合することができる。
【0057】
一方、本発明において、前記有機電子素子は2以上の電極および2つの電極間に配置された1層以上の有機物層を含む有機電子素子であって、前記有機物層のうちの1層以上が化学式1または化学式2の化合物を含むことを特徴とする。前記有機電子素子は有機発光素子、有機トランジスタ、または有機太陽電池であり得る。このような有機電子素子において、前記化学式1の化合物は真空蒸着や溶液塗布法によって素子に適用され得る。特に、分子量の大きい誘導体である場合に溶液塗布法によって膜質に優れた薄膜を得ることができる。
【0058】
本発明に係る有機電子素子が有機発光素子である場合、これは、第1電極、1層以上の有機物層および第2電極が順次積層された形態を含む構造を有してもよい。前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層などから選択される2以上の層を含む多層構造であってもよいが、これに限定されず、単層構造であってもよい。本発明に係る有機発光素子の一例を図1に示す。例えば、本発明に係る有機発光素子は、スパッタリングや電子ビーム蒸発のようなPVD(physical vapor deposition)方法を利用するか溶液塗布法により、基板1の上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて正極2を形成し、その上に正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5または電子輸送層6のような有機物層を形成した後、その上に負極7を蒸着することによって製造することもできる。このような方法の他にも、基板上に負極物質から有機物層、正極物質を順次積層して有機発光素子を製造することもできる。
【0059】
本発明に係る有機電子素子が有機トランジスタである場合、その構造は図2または3の構造であり得る。すなわち、本発明に係る有機トランジスタは基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、有機物層13を含む構造であり得る。本発明の有機トランジスタのうちの前記有機物層は単層または多層で形成されてもよい。
【0060】
本発明に係る有機電子素子が有機太陽電池である場合、その構造は図4の構造であり得る。すなわち、本発明に係る有機太陽電池は基板14、正極15、電子供与層16、電子受容層17、負極18を順次積層した形態で含む構造であり得る。
【0061】
以下では実施例によって本発明をより詳細に説明する。但し、以下の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
単量体の合成
【化9】

【0063】
3−ドデシルチオフェン(3−Dodecylthiophene)の合成
活性化させたマグネシウム(1.22g;50mmol)に乾燥されたエチルエーテル(40ml)を加え、1−ブロモドデカン(12.46g;50mmol)を加えて、グリニャール試薬(Grignard reagent)を作った後、Ni(dppp)Cl(33mg)を加え、10mlのエーテルに溶かした3−ブロモチオフェン(3−bromothiophene)(8g;49mmol)を徐々に滴加した。反応液を1日間還流した後、2NのHCl/氷混合液(50ml)を加えて反応を終了した。エチルエーテルで抽出した後、溶媒を減圧蒸留して除去し、残留物をDMF(50ml)に溶かした後、濾過して残っているパラフィンを除去した。濾液を濃縮した後、残っていた残留物を真空上で蒸留し、無色の液体である3−ドデシルチオフェン(3−dodecylthiophene)(10.5g;85%)を得た。
【0064】
2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン(2−Bromo−3−dodecylthiophene)の合成
N−ブロモスクシンイミド(N−bromosuccinimide;NBS)(48g;0.27mol)をDMF(160ml)に溶かした溶液を、DMF(110ml)に溶かした3−ドデシルチオフェン(68g;0.27mol)溶液に徐々に加えた。反応液を1日間攪拌した後に750mlの水を加えた。有機物をエチルエーテル(3x300ml)で抽出し、これを再び食塩水(brine)と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで残留水分を除去した。溶媒を除去した後、残っている物質を125℃/〜5mmHgで減圧蒸留して生成物(84.85g、収率94%)を得た。
【0065】
3−ドデシルチオフェン−2カルボアルデヒドの合成
マグネシウム(0.63g;25.8mmol)と無水THF(25ml)をフラスコに加えた後、2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン(2−bromo−3−dodecylthiophene)(7.78g;23.5mmol)を徐々に加えた。グリニャール反応が始まった後、マグネシウムがほぼ無くなるまでに還流した後、精製されたDMF(3.65g;〜4ml;50mmol)を反応液に徐々に滴加した。反応液を1日間還流した後に0℃に冷却し、5%HCl(100ml)を加えて反応を終了した。有機層をエチルエーテルで抽出し、得られた有機層をNaHCO、NaClの飽和水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで残存水分を除去した。溶媒を除去した後、残っている物質を、シリカゲルを用いてカラム分離(エチルアセテート/ヘキサン=1/9)し、3−ドデシルチオフェン−2−カルボアルデヒド(3−dodecylthiophene−2−carboxaldehyde)(3.6g;55%)を得た。
【0066】
化合物Aの合成
3−ドデシルチオフェン−2カルボアルデヒド(3.9g;14mmol)とジチオオキサミド(dithiooxamide)(0.8g;6.6mmol)をフラスコに加えた後、180℃で一時間加熱した後に常温に冷却した。クロロホルムを加えて攪拌した後に濾過し、得られた物質をヘキサンで3回再結晶し、アセトン/エチルアセテートでもう一度再結晶して、純度99.57%(HPLCによる純度)の生成物(1.5g;35%)を得た。この物質の融点は60℃であった。
【0067】
化合物Bの合成
光を遮断した後、クロロホルム/酢酸混合物(20/10ml)に溶かしたNBS(0.28g、1.57mmol)溶液を0℃でCHCl/AcOH mixture(20/10ml)に溶かした化合物A(0.5g、0.78mmol)溶液に徐々に滴加した。反応液を同一温度で2時間攪拌した後、常温に温度を上げて1日間攪拌した。反応液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで処理した後、アセトン/ヘキサン1:1溶媒で再結晶して化合物B(0.6g、96%収率)を得た。
【0068】
化合物Cの合成
窒素雰囲気下で、マグネシウム(0.22g、9mmol)が分散した35mlのTHF溶液に2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン(6.0g、18mmol)を滴加した。グリニャール試薬が形成された後に反応液を常温に冷却し、Pd(dppp)Cl((1,3−ビス[ジフェニルホスフィノ]プロパン)ジクロロニッケル(II))(0.2g、0.4mmol)と15mlの無水THFを加えた後、24時間還流した。5%HCl水溶液で反応を終了した後、エチルエーテルで薄めた後に水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した。溶媒を除去した後、残っている物質をシリカゲル上でn−ヘキサンでカラム精製して化合物C(2.5g;54%収率)を得た。
【0069】
化合物Dの合成
150ml無水THFに溶かした化合物C(2.2g;4.37mmol)溶液を−70℃で2.5M n−ブチルリチウム(BuLi)(3.5ml;8.74mmol)で処理した。反応温度を0℃に上げた後に再び−70℃に冷却し、トリ(n−ブチル)スズクロライド(2.84g;8.74mmol)を加えた。反応温度を常温に上げた後、エチルエーテルとNaClの飽和水溶液を加えて相分離し、有機層から生成物4.4g(93% yield)を得た。
【0070】
化合物Eの合成
0℃下でDMF(15ml)に溶かした化合物C(5,5’−ビス(3−ドデシル)−2,2’−ジチオフェン)(17.6g;35mmol)溶液にNBS(6.23g;35mmol)を溶かしたDMF(20ml)溶液を滴加した。反応液を1日間攪拌し、水(100ml)に注いだ。有機層をエチルエーテル(50mlで3回)で抽出し、得られた有機層をNaCl飽和溶液で洗浄した後に無水硫酸マグネシウムで処理した。溶媒を除去した後、残っている有機物を減圧蒸留して14.5g(71%収率)の生成物を得た。
【0071】
化合物Fの合成
窒素雰囲気下で無水THF(50ml)に分散したマグネシウム(0.3g、12.5mmol)溶液に化合物E(14.5g、25mmol)を滴加した。グリニャール試薬が完全に形成された後に反応液を常温に冷却し、Pd(dppp)Cl(0.2g、0.4mmol)と無水THF(20ml)を加えて窒素雰囲気下で24時間還流した。5%塩酸水溶液で反応を終了した後、エチルエーテルで薄めた後に水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで残存水分を除去した。溶媒を除去した後、シリカゲル上でヘキサンを用いてカラム精製して生成物(11.5g;46%収率)を得た。
【0072】
化合物Gの合成
THF(150ml)に溶かした化合物F(5g;5mmol)溶液を−70℃でn−BuLi 2.5M(4.4ml;11mmol)で処理した。溶液を0℃に昇温した後に再び−70℃に冷却し、トリ(n−ブチル)スズクロライド(tri(n−butyl)tin chloride)(3.57g;11mmol)を加えた。反応液を常温に上げた後、クロロホルムとNaClの飽和水溶液を加えて相分離した後、アルミナ上でクロロホルム/ヘキサン(1/1)でカラム分離して生成物6.96g(88%収率)を得た。
【0073】
実施例1.化合物S−9(x=1)の合成
【化10】

【0074】
化合物A(1.0g;1.6mmol)をクロロベンゼン(30ml)に溶かした後、30分間にかけてFeCl(1.5g;9.2mmol)を徐々に加えた。反応液を常温で18時間攪拌した後、メタノール/HCl(10:1)溶液に加えて高分子化反応を終了した。得られた赤色の高分子をメタノール、アセトン、ヘキサン、メチレンクロライド、クロロホルムで順次洗浄した。
この物質をヘキサンに溶かした部分から得られた部分のGPCデータを図5に示す。
分子量(Mw)=4058、
【0075】
実施例2.化合物S−13(x=y=0.5)の合成
【化11】

【0076】
常温でクロロベンゼン(20ml)にPd(dba)(17mg;1mol%)とPPh(40mg;8mol%)を加えて攪拌した後、化合物D(2g;1.85mmol)と化合物B(1.48g;1.85mmol)を加えた。反応液を80℃で3日間攪拌した。常温に冷却した後、アセトンを加えて濃い赤色の固体を得た。濾過後、アセトンで洗浄して90%収率で高分子(polymer)を得た。
前記高分子のNMRとGPCを各々図6と図7に示す。
分子量(Mw)=7510、
【0077】
実施例3.化合物S−15(x=y=0.5)合成
【化12】

【0078】
Pd(dba)(17mg;1mol%)とPPh(40mg;8mol%)をクロロベンゼン(20ml)に加えて常温で攪拌した後、化合物G(2.9g;1.85mmol)と化合物B(1.48g;1.85mmol)を加えた。反応液を80℃で3日間攪拌した後に常温に冷却した。アセトンを加え、生成された深赤色の固体を濾過し、アセトンで洗浄して2.3gの高分子(80%収率)を得た。
【0079】
実験例1
n−ドーピングされたシリコンウェハーを基板およびゲート電極として用い、その上に熱処理によって成長製造されたシリコンオキシド(300nm)をゲート絶縁膜として用いた。このゲート絶縁膜上に電子ビーム(e−beam)を利用して金からなるソース電極およびドレイン電極を形成した。上記のように準備した基板をHMDS(ヘキサメチルジシラザン;hexamethyldisilazane)で処理した。上記のようにソース電極とドレイン電極が形成された基板上に、クロロベンゼンに1w/v%で溶かした前記化合物S−14をスピンコーティングし、100℃で10分間熱処理して有機半導体層を形成した。また、この時、有機トランジスタのチャネル幅と長さは各々1mmと100μmであった。
【0080】
上記のように製作されたトランジスタの飽和領域における電荷移動度は2.8x10−3cm/V.sであった。それを図8と9に示す。
【符号の説明】
【0081】
8 基板
9 絶縁層
10 ゲート電極
11 ソース電極
12 ドレイン電極
13 有機物層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物:
【化1】

前記式において、0<x≦1の実数、0≦y<1の実数、0≦z<1の実数、x+y+z=1であり、
nは1〜1000の整数であり、
ArおよびAr’は互いに同一または異なり、独立して共役構造を有する2価の環状もしくは非環状の炭化水素基、または共役構造を有する2価の複素環基であり、
AとBは互いに同一または異なり、独立して共役構造を有する2価の環状もしくは非環状の炭化水素基、共役構造を有する2価の複素環基、または下記非環式基(acyclicgroup)であり、
【化2】

前記式において、R’およびR”は互いに同一または異なり、独立して水素原子;ハロゲン原子;直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基;直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基;チオアルコキシ基;ニトリル基;ニトロ基;アミノ基;置換もしくは非置換のアリール基またはヘテロアリール基であり、点線部分は化学式1の主鎖に連結される部分である。
【請求項2】
前記ArまたはAr’は共役構造を有するアリーレン基またはヘテロアリーレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記AまたはBは芳香族基(Ar”)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記芳香族基(Ar”)は下記の化学式で示される基のうちから選択される、請求項3に記載の化合物:
【化3】

ここで、XはO、S、Se、NR、SiRまたはCR基であり、ここで、RとRは互いに同一または異なり、独立して水素原子、直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基またはアリール基であり、これらは互いに連結されて環を形成してもよく、
およびRは互いに同一または異なり、独立して水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミノ基、イミド基、シラン基、チオエステル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
および/またはRに含まれる互いに隣接していない2以上の炭素原子はO、S、NH、−NR−、SiROO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基によって連結されてもよく、ここで、RとROOは互いに同一または異なり、独立して水素、アリールまたは炭素数1〜12であるアルキル基であり、
とRは互いに連結されて環を形成してもよい。
【請求項5】
前記RまたはRが炭素数1〜20の置換されたアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基である場合、これらはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびニトリル基からなる群から選択される1以上の置換基によって置換される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記RまたはRが置換されたアリール基またはヘテロアリール基である場合、これらはハロゲン基、ニトリル基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ビニル基、アセチレン基、チオアルコキシ基、ニトロ基、アミド基、イミド基、エステル基、エーテル基、アミノ基およびシラン基からなる群から選択される1以上の置換基によって置換される、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
前記Ar、Ar’およびAr”は下記化学式から選択される、請求項3に記載の化合物:
【化4】

前記化学式のうちのいかなる置換基も表示されていない位置は水素原子であるかハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミド基、アミド基, イミド基、ヘテロ基、ビニル基、アセチレン基およびシラン基のうちから選択される置換基を有し、R、R’、R”は互いに同一または異なり、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基であり、mは1〜10の整数である。
【請求項8】
前記化学式1が下記化学式2である、請求項1に記載の化合物。
【化5】

前記化学式2において、R〜Rは互いに同一または異なり、独立して水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミノ基、イミド基、シラン基、チオエステル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
〜Rに含まれる互いに隣接していない2以上の炭素原子はO、S、NH、−NR−、SiROO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基によって連結されてもよく、ここで、RとROOは互いに同一または異なり、独立して水素、アリールまたは炭素数1〜12であるアルキル基であり、
〜Rのうちの2以上が互いに連結されて環を形成してもよく、
n、x、y、z、A、Bは化学式1で定義した通りである。
【請求項9】
前記R〜Rのうちのいずれか1つ以上が炭素数1〜20の置換されたアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基である場合、これらに置換された水素原子はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ニトリル基からなる群から選択される1以上の置換基によって置換される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記R〜Rのうちのいずれか1つ以上が置換されたアリール基またはヘテロアリール基である場合、これらはハロゲン基、ニトリル基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ビニル基、アセチレン基、チオアルコキシ基、ニトロ基、アミド基、イミド基、エステル基、エーテル基、アミノ基またはシラン基からなる群から選択される1以上の置換基によって置換される、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
前記化学式1の化合物は下記化学式R−1〜R−5、S−16〜S−31およびS−34〜S−41のうちから選択される、請求項1に記載の化合物:
【化6A】

【化6B】

【化6C】

【化6D】

【化6E】

前記式において、R〜R””’は互いに同一または異なり、独立して水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミノ基、イミド基、シラン基、チオエステル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは非置換の直鎖、分枝鎖もしくは環状のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【請求項12】
前記化学式R−1は下記化学式のうちから選択される、請求項11に記載の化合物:
【化7】

【請求項13】
前記化学式R−2は下記化学式のうちから選択される、請求項11に記載の化合物:
【化8】

【請求項14】
前記化学式R−3は下記化学式のうちから選択される、請求項11に記載の化合物:
【化9】

【請求項15】
前記化学式R−4は下記化学式S−15である、請求項11に記載の化合物:
【化10】

【請求項16】
前記化学式R−5は下記化学式のうちから選択される、請求項11に記載の化合物:
【化11】

【請求項17】
2以上の電極および2つの電極間に配置された1層以上の有機物層を含む有機電子素子であって、前記有機物層のうちの1層以上が請求項1〜請求項16のうちのいずれか一項の化合物を含む有機電子素子。
【請求項18】
前記有機電子素子は有機発光素子であって、第1電極、1層以上の有機物層および第2電極を順次積層した形態で含む構造を有し、前記有機物層のうちの1層以上は請求項1〜請求項16のうちのいずれか一項の化合物を含む、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項19】
前記有機電子素子は有機トランジスタであって、ゲート電極、絶縁層、1層以上の有機物層、ソース電極およびドレイン電極を含む構造を有し、前記有機物層のうちの1層以上は請求項1〜請求項16のうちのいずれか一項の化合物を含む、請求項17に記載の有機電子素子。
【請求項20】
前記有機電子素子は有機太陽電池であって、正極、電子供与層、電子受容層および負極を順次積層した形態で含む構造を有し、前記電子供与層および/または電子受容層は請求項1〜請求項16のうちのいずれか一項の化合物を含む、請求項17に記載の有機電子素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−541501(P2009−541501A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515309(P2009−515309)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/KR2007/002906
【国際公開番号】WO2007/145482
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】