説明

ディーゼルエンジンの排気処理装置

【課題】排気圧導入パイプの接続の外れ等による差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することができる、ディーゼルエンジンの排気処理装置を提供する。
【解決手段】DPF上流側排気通路12とDPF下流側排気通路13に差圧センサ5を連通させるに当たり、連通異常検出手段14と異常警告報知手段15と報知制御手段16とを設け、差圧センサ5は連通異常検出手段14と報知制御手段16とを介して異常警告報知手段15に連携させ、エンジン運転中、DPF上流側排気通路12やDPF下流側排気通路13に対する差圧センサ5の連通異常により、差圧センサ5が大気と連通した場合には、報知制御手段16が異常警告報知手段15で異常警告情報を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気処理装置に関し、詳しくは、排気圧導入パイプの接続の外れ等による差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することができる、ディーゼルエンジンの排気処理装置に関する。
この明細書及び特許請求の範囲の用語で、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタ、PMは排気中の粒子状物質、DOCは酸化触媒を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンの排気処理装置として、DPFとPM堆積量推定手段とDPF再生手段とDPF再生制御手段とを設け、PM堆積量推定手段は差圧センサに連携させ、PM堆積量推定手段は、差圧センサで検出したDPF上流側排気通路の上流側排気圧とDPF下流側排気通路の下流側排気圧との差圧検出値に基づいて、DPFに堆積するPMの堆積量を推定し、PM堆積量推定手段にDPF再生制御手段を連携させ、DPF再生制御手段は、PM堆積量の推定値が所定のDPF再生必要値に至ったことに基づいて、DPF再生手段でDPFを通過する排気の温度を上昇させ、排気の熱でDPFに堆積したPMが焼却除去されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種の排気処理装置によれば、DPFの再生によりDPFを継続して使用することができる利点がある。
しかし、この従来技術では、排気圧導入パイプの接続の外れ等による差圧センサの連通異常が生じた場合でも、これを報知する手段がないため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−174794号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することはできない。
排気圧導入パイプの接続の外れ等による差圧センサの連通異常が生じた場合でも、これを報知する手段がないため、差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することはできない。
このため、差圧センサの連通異常を修復する機会が得られず、DPFの再生を適正に行うことができない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することができる、ディーゼルエンジンの排気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、DPF(1)とPM堆積量推定手段(2)とDPF再生手段(3)とDPF再生制御手段(4)とを設け、PM堆積量推定手段(2)は差圧センサ(5)に連携させ、PM堆積量推定手段(2)は、差圧センサ(5)で検出したDPF上流側排気通路(12)の上流側排気圧とDPF下流側排気通路(13)の下流側排気圧との差圧検出値に基づいて、DPF(1)に堆積するPMの堆積量を推定し、PM堆積量推定手段(2)にDPF再生制御手段(4)を連携させ、DPF再生制御手段(4)は、PM堆積量の推定値が所定のDPF再生必要値に至ったことに基づいて、DPF再生手段(3)でDPF(1)を通過する排気(11)の温度を上昇させ、排気(11)の熱でDPF(1)に堆積したPMが焼却除去されるようにした、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
【0007】
図1に例示するように、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)に差圧センサ(5)を連通させるに当たり、
連通異常検出手段(14)と異常警告報知手段(15)と報知制御手段(16)とを設け、
差圧センサ(5)は連通異常検出手段(14)と報知制御手段(16)とを介して異常警告報知手段(15)に連携させ、
【0008】
図1、図2に例示するように、エンジン運転中、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、両方の通路(12)(13)に対する差圧センサ(5)の連通異常により、或いは、DPF上流側排気通路(12)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、差圧センサ(5)による差圧検出値が所定の正常最小差圧値よりも小さい値であることを連通異常検出手段(14)が検出したことに基づいて、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)するようにし、
【0009】
エンジン運転中、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF下流側排気通路(13)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、差圧センサ(5)による所定時間内での差圧検出値の変化値が所定の正常最大変化値よりも大きい値であることを連通異常検出手段(14)が検出したことに基づいて、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することができる。
図1、図2に例示するように、エンジン運転中、DPF上流側排気通路(12)やDPF下流側排気通路(13)に対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)するようにしたので、排気圧導入パイプ(6)(7)の接続の外れ等による差圧センサ(5)の連通異常を運転者が容易に確認することができる。
このため、差圧センサ(5)の連通異常を修復する機会が得られ、DPFの再生を常に適正に行うことができる。
【0011】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 差圧センサの連通異常の修復を運転者に強く喚起することができる。
図1、図2に例示するように、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)する場合には、エンジン制御手段(17)がエンジン運転モードを通常運転モードから出力制限モードに切り替え(S4)、通常運転モードの場合よりもエンジン出力を制限するようにしたので、差圧センサ(5)の連通異常が生じたままでのエンジン運転に制限を加え、差圧センサ(5)の連通異常の修復を運転者に強く喚起することができる。
【0012】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 典型的な差圧センサの連通異常を運転者が容易に確認することができる。
上流側排気圧導入パイプ(6)や下流側排気圧導入パイプ(7)の接続の外れや各パイプ(6)(7)の切断による典型的な差圧センサ(5)の連通異常を運転者が容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置の模式図を説明する図である。
【図2】図1の排気処理装置による制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図2は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置を説明する図であり、この実施形態では、コモンレール式の立形直列多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0015】
図1に示すディーゼルエンジンの概要は、次の通りである。
シリンダブロック(18)の上部にシリンダヘッド(19)を組み付け、シリンダブロック(18)の前部にエンジン冷却ファン(20)を配置し、シリンダブロック(18)の後部にはフライホイール(21)を配置し、フライホイール(21)にロータプレート(22)を取り付けている。また、シリンダブロック(18)の後部には動弁カム軸(23)に取り付けたセンサプレート(24)を配置している。シリンダヘッド(19)の一側には排気マニホルド(25)を配置し、この排気マニホルド(25)に過給機(26)を連通させている。この過給機(26)のタービン(45)の下流にDPF(1)を収容したDPF収容ケース(46)を配置している。DPF収容ケース(46)にはDOC(10)も収容している。シリンダヘッド(19)には気筒毎にインジェクタ(27)を配置し、各インジェクタ(27)はコモンレール(28)に接続している。各インジェクタ(27)には電磁弁(29)が設けられている。コモンレール(28)には燃料サプライポンプ(30)を介して燃料タンク(31)を接続している。
【0016】
エンジンの目標回転数設定手段(32)とエンジンの回転数検出手段(33)とクランク角検出手段(34)と気筒判別手段(35)とをエンジン制御手段(17)を介してインジェクタ(27)の電磁弁(29)に連係させている。エンジンの目標回転数設定手段(32)は、調速レバー(47)の設定位置からエンジンの目標回転数を電圧値として出力するポテンショメータである。エンジンの回転数検出手段(33)とクランク角検出手段(34)はロータプレート(22)の外周に臨ませたピックアップコイルで、ロータプレート(22)の外周に一定間隔で多数設けた歯の数を検出し、エンジンの回転数とクランク角を検出する。気筒判別手段(35)は、センサプレート(24)に設けた突起の検出により、各気筒の燃焼サイクルがいかなる行程にあるかを判別するためのセンサである。エンジン制御手段(17)は、エンジンECUである。ECUは、電子制御ユニットの略称である。
エンジン制御手段(14)は、エンジンの目標回転数とエンジンの回転数の偏差を小さくするように、インジェクタ(27)の電磁弁(29)の開弁タイミングと開弁継続時間を制御し、インジェクタ(27)から燃焼室に所定の噴射タイミングで所定量の燃料のメイン噴射を行わせる。
【0017】
図1に示すように、DPF(1)とPM堆積量推定手段(2)とDPF再生手段(3)とDPF再生制御手段(4)とを設け、PM堆積量推定手段(2)は差圧センサ(5)に連携させ、PM堆積量推定手段(2)は、差圧センサ(5)で検出したDPF上流側排気通路(12)の上流側排気圧とDPF下流側排気通路(13)の下流側排気圧との差圧検出値に基づいて、DPF(1)に堆積するPMの堆積量を推定する。
PM堆積量推定手段(2)にDPF再生制御手段(4)を連携させ、DPF再生制御手段(4)は、PM堆積量の推定値が所定のDPF再生必要値に至ったことに基づいて、DPF再生手段(3)でDPF(1)を通過する排気(11)の温度を上昇させ、排気(11)の熱でDPF(1)に堆積したPMが焼却除去されるようにしている。
【0018】
DPF(1)は、セラミックのハニカム担体で、隣合うセル(1a)の端部を交互に目封じたウォールフローモノリスである。セル(1a)の内部とセル(1a)の壁(1b)を排気(11)が通過し、セル(1a)の壁(1b)でPMを捕捉する。
PM堆積量推定手段(2)は、エンジン制御手段(17)の所定の演算部であり、エンジン負荷、エンジン回転数、DPF上流側排気温度センサ(36)による検出排気温度、DPF上流側排気圧センサ(38)による上流側排気圧、差圧センサ(37)による上流側排気圧と下流側排気圧の差圧検出値等に基づいて、予め実験的に求めたマップデータからPM堆積量を推定する。
【0019】
DPF再生手段(3)は、コモンレールシステム(9)とDPF(1)の上流に配置したDOC(10)の組み合わせから成り、コモンレールシステム(9)のインジェクタ(27)からメイン噴射後に行うポスト噴射により、排気中に未燃燃料を混入させ、この未燃燃料をDOC(10)により排気中の酸素で酸化燃焼させて、DPF(1)を通過する排気(11)の温度を上昇させる。
DOC(10)は、セラミックのハニカム担体で、酸化触媒を担持させ、セル(10a)の両端を開口したフロースルー構造で、セル(10a)の内部を排気(11)が通過するようになっている。
DPF自動再生手段(3)は、排気管内に燃料を噴射するインジェクタとDOC(10)の組み合わせから成るものや、DPF(1)の入口に配置した電熱ヒータから成るものでもよい。
【0020】
図1に示すように、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)に差圧センサ(5)を連通させるに当たり、連通異常検出手段(14)と異常警告報知手段(15)と報知制御手段(16)とを設け、差圧センサ(5)は連通異常検出手段(14)と報知制御手段(16)とを介して異常警告報知手段(15)に連携させている。
【0021】
図1に示すように、上流側排気圧導入パイプ(6)の一端部(6a)をDPF上流側排気通路(12)に、他端部(6b)を差圧センサ(5)にそれぞれ接続し、下流側排気圧導入パイプ(7)の一端部(7a)をDPF下流側排気通路(13)に、他端部(7b)を差圧センサ(5)にそれぞれ接続している。
差圧センサ(5)は、上流側排気圧と下流側排気圧の差圧で膜を歪ませ、この膜の歪みの度合いを歪みゲージで検出するもので、相対的な差圧を検出することはできるが、上流側排気圧と下流側排気圧の圧の大小を検出することはできない。
連通異常検出手段(14)はエンジン制御手段(17)の所定の演算部であり、上流側排気圧と下流側排気圧の差圧検出値や所定時間内での差圧の変化値に基づいて差圧センサ(5)の連通異常を検出する。
【0022】
報知制御手段(16)による制御の流れは次の通りである。
図2に示すように、ステップ(S1)でエンジン運転中か否かが判断され、ステップ(S2)で差圧検出値が正常最小差圧値よりも小さい値か否かが判断され、判断が肯定の場合には、ステップ(S3)で異常警告情報を報知し、ステップ(S4)でエンジン運転モードを通常運転モードから出力制限モードに切り替える。
正常最小差圧値とは、差圧センサ(5)の連通異常が生じていない正常運転時での最小差圧値であって、PMやアッシュによる目詰まりのない新品のDPF(1)を用いた場合に想定される正常差圧値の最小値をいう。
【0023】
ステップ(S2)での判断が否定の場合には、ステップ(S5)で所定時間内での差圧検出値の変化値が正常最大変化値よりも大きいか否かが判断され、判断が肯定の場合には、ステップ(S3)で異常警告情報を報知し、ステップ(S4)でエンジン運転モードを通常運転モードから出力制限モードに切り替える。
正常最大変化値とは、差圧センサ(5)の連通異常が生じていない正常運転時の差圧検出値の最大変化値であって、PM堆積によって想定される正常差圧検出値の変化値の最大値をいう。
ステップ(S5)での判断が否定の場合には、ステップ(S1)に戻る。
【0024】
差圧センサ(5)の連通異常に応じた具体的な処理は、次の通りである。
図1、図2に示すように、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、両方の通路(12)(13)に対する差圧センサ(5)の連通異常により、或いは、DPF上流側排気通路(12)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、差圧センサ(5)による差圧検出値が所定の正常最小差圧値よりも小さい値であることを連通異常検出手段(14)が検出したことに基づいて、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)する。
図2に示すように、フローチャート上では、ステップ(S1)で肯定の判断がなされ、ステップ(S2)で肯定の判断がなされ、ステップ(S3)で異常警告情報を報知する。
【0025】
エンジン運転中、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF下流側排気通路(13)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、差圧センサ(5)による所定時間内での差圧検出値の変化値が所定の正常最大変化値よりも大きい値であることを連通異常検出手段(14)が検出したことに基づいて、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)する。
具体的には、ステップ(S1)で肯定の判断がなされ、ステップ(S2)で否定の判断がなされ、ステップ(S5)で肯定の判断がなされ、ステップ(S3)で異常警告情報を報知する。
【0026】
エンジン運転中、差圧センサ(5)の連通異常が生じていない場合には、所定の正常最小差圧値よりも小さい値ではなく、所定時間内での差圧検出値の変化値が所定の正常最大変化値よりも大きい値でもないため、異常警告情報の報知(S3)は行われない。
図2に示すように、フローチャート上では、ステップ(S1)で肯定の判断がなされ、ステップ(S2)で否定の判断がなされ、ステップ(S5)で否定の判断がなされ、ステップ(S1)に戻る。
【0027】
図1に示すように、報知制御手段(16)をエンジン制御手段(17)に連携させる。
図1、図2に示すように、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)する場合には、エンジン制御手段(17)がエンジン運転モードを通常運転モードから出力制限モードに切り替え(S4)、通常運転モードの場合よりもエンジン出力を制限する。
図2に示すように、フローチャート上では、ステップ(S3)で異常警告情報を報知した後、ステップ(S4)で出力制限モードに切り替える。
出力制限モードでは、通常運転モードに比べ、燃料噴射量を制限し、走行運転は可能であるが、耕耘作業等の作業運転は行うことができないようになっている。
異常警告報知手段(15)はこのディーゼルエンジンを搭載したトラクタの運転席に設けた異常警告報知ランプであり、点灯により異常警告報知を行う。
【0028】
DPF上流側排気通路(12)及びDPF下流側排気通路(13)と差圧センサ(5)との具体的な連通構造や、連通異常の具体的態様は、次の通りである。
図1に示すように、上流側排気圧導入パイプ(6)の一端部(6a)をDPF上流側排気通路(12)に、他端部(6b)を差圧センサ(5)の上流側入口(51)にそれぞれ接続し、下流側排気圧導入パイプ(7)の一端部(7a)をDPF下流側排気通路(13)に、他端部(7b)を差圧センサ(5)の下流側入口(52)にそれぞれ接続している。
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、両方の通路(12)(13)に対する差圧センサ(5)の連通異常は、上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)のうち、両方のパイプ(6)(7)の接続が外れた場合と、両方のパイプ(6)(7)が切断された場合に生じる連通異常である。
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF上流側排気通路(12)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常は、上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)のうち、上流側排気圧導入パイプ(6)のみの接続が外れた場合と、上流側排気圧導入パイプ(6)のみが切断された場合に生じる連通異常である。
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF下流側排気通路(13)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常は、上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)のうち、下流側排気圧導入パイプ(7)のみの接続が外れた場合と、下流側排気圧導入パイプ(7)のみが切断された場合に生じる連通異常である。
【0029】
上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)はいずれもゴムパイプであり、上流側排気圧導入パイプ(6)の一端部(6a)はDPF上流側排気通路(12)の出口パイプ(12a)に嵌合で接続し、他端部(6b)は差圧センサ(5)の上流側入口バイプ(51a)に嵌合で接続し、下流側排気圧導入パイプ(7)の一端部(7a)はDPF下流側排気通路(13)の出口パイプ(13a)に嵌合で接続し、他端部(7b)は差圧センサ(5)の下流側入口パイプ(52a)に嵌合で接続している。
上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)はいずれも金属パイプであってもよく、この場合、各パイプ(6)(7)の一端部(6a)(7a)はDPF上流側排気通路(12)やDPF下流側排気通路(13)の出口にフランジで接続し、各パイプ(6)(7)の他端部(6b)(7b)は差圧センサ(5)の上流側入口(51)や下流側入口(52)にフランジで接続したものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
(1) DPF
(2) PM堆積量推定手段
(3) DPF再生手段
(4) DPF再生制御手段
(5) 差圧センサ
(6) 上流側排気圧導入パイプ
(7) 下流側排気圧導入パイプ
(11) 排気
(12) DPF上流側排気通路
(13) DPF下流側排気通路
(14) 連通異常検出手段
(15) 異常警告報知手段
(16) 報知制御手段
(51) 上流側入口
(52) 下流側入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DPF(1)とPM堆積量推定手段(2)とDPF再生手段(3)とDPF再生制御手段(4)とを設け、PM堆積量推定手段(2)は差圧センサ(5)に連携させ、PM堆積量推定手段(2)は、差圧センサ(5)で検出したDPF上流側排気通路(12)の上流側排気圧とDPF下流側排気通路(13)の下流側排気圧との差圧検出値に基づいて、DPF(1)に堆積するPMの堆積量を推定し、PM堆積量推定手段(2)にDPF再生制御手段(4)を連携させ、DPF再生制御手段(4)は、PM堆積量の推定値が所定のDPF再生必要値に至ったことに基づいて、DPF再生手段(3)でDPF(1)を通過する排気(11)の温度を上昇させ、排気(11)の熱でDPF(1)に堆積したPMが焼却除去されるようにした、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)に差圧センサ(5)を連通させるに当たり、
連通異常検出手段(14)と異常警告報知手段(15)と報知制御手段(16)とを設け、
差圧センサ(5)は連通異常検出手段(14)と報知制御手段(16)とを介して異常警告報知手段(15)に連携させ、
エンジン運転中、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、両方の通路(12)(13)に対する差圧センサ(5)の連通異常により、或いは、DPF上流側排気通路(12)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、差圧センサ(5)による差圧検出値が所定の正常最小差圧値よりも小さい値であることを連通異常検出手段(14)が検出したことに基づいて、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)するようにし、
エンジン運転中、DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF下流側排気通路(13)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常により、差圧センサ(5)が大気と連通した場合には、差圧センサ(5)による所定時間内での差圧検出値の変化値が所定の正常最大変化値よりも大きい値であることを連通異常検出手段(14)が検出したことに基づいて、報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
報知制御手段(16)をエンジン制御手段(17)に連携させ、
報知制御手段(16)が異常警告報知手段(15)で異常警告情報を報知(S3)する場合には、エンジン制御手段(17)がエンジン運転モードを通常運転モードから出力制限モードに切り替え(S4)、通常運転モードの場合よりもエンジン出力を制限するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
上流側排気圧導入パイプ(6)の一端部(6a)をDPF上流側排気通路(12)に、他端部(6b)を差圧センサ(5)の上流側入口(51)にそれぞれ接続し、下流側排気圧導入パイプ(7)の一端部(7a)をDPF下流側排気通路(13)に、他端部(7b)を差圧センサ(5)の下流側入口(52)にそれぞれ接続した場合に、
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、両方の通路(12)(13)に対する差圧センサ(5)の連通異常は、上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)のうち、両方のパイプ(6)(7)の接続が外れた場合と、両方のパイプ(6)(7)が切断された場合に生じる連通異常であり、
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF上流側排気通路(12)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常は、上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)のうち、上流側排気圧導入パイプ(6)のみの接続が外れた場合と、上流側排気圧導入パイプ(6)のみが切断された場合に生じる連通異常であり、
DPF上流側排気通路(12)とDPF下流側排気通路(13)のうち、DPF下流側排気通路(13)のみに対する差圧センサ(5)の連通異常は、上流側排気圧導入パイプ(6)と下流側排気圧導入パイプ(7)のうち、下流側排気圧導入パイプ(7)のみの接続が外れた場合と、下流側排気圧導入パイプ(7)のみが切断された場合に生じる連通異常である、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−67653(P2012−67653A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212247(P2010−212247)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】