説明

デジタル放送受信装置

【課題】 ナビゲーション画面の表示中において、VICS情報をより確実に活用できるデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】 本発明のデジタル放送受信装置は、放送受信部と、関連情報を記録した記録部と、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を関連情報により判別して選局及び受信を行うよう放送受信部を制御するサーチ部と、放送波よりVICS情報を抽出するVICS受信部と、VICS情報を用いて経路案内を行うナビゲーション部とを備える。また、放送波が受信されている状態においてナビゲーション部に対する動作指示を検知した場合に、VICS情報が伝送されている周波数帯域を判別し、判別した周波数帯域のサーチを実施するようサーチ部を制御するVICS制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送波を受信するデジタル放送受信装置に関するものであり、特に、放送波に含まれるVICS(Vehicle Information and Communication System)データを取得する機能を備えた、移動体用のデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送の普及が進められている。例えば日本においては、一部の地域を除き、地上アナログ放送が2011年に放送終了され、地上デジタル放送への移行が行われた。これに伴い、カーナビゲーション装置や携帯電話等に搭載される移動体用のデジタル放送受信装置も、広く開発が行われている。
【0003】
デジタル放送の中には、受信して即座に視聴や字幕・データ放送の表示等のデータ処理可能なリアルタイム型放送(例えば地上デジタル放送)の他に、放送波で送られてくる分割データを受信機に一旦記録し(以下、「蓄積」という)、分割データが所定条件を満たして蓄積された段階で再生等のデータ処理が可能となる蓄積型放送がある。
【0004】
蓄積型放送を含むデジタル放送としては、例えば、日本の総務省が中心となって実現化が進められているV−Highマルチメディア放送やV−Lowマルチメディア放送が存在する。蓄積型放送では、分割データとしてTS(transport stream)ファイル等を伝送することが検討されている。
【0005】
特にV−Lowマルチメディア放送の蓄積型放送では、画像や音声、データ放送などを多重することが検討されている他、ナビゲーション装置等で用いられるVICS情報を多重することも検討されている。
【0006】
上記に関連して特許文献1においては、デジタル放送の受信時において録画番組と視聴番組とが一致するか否かを判定し、録画番組を録画中に同録画番組の視聴をユーザが開始した場合に、録画の停止を自動的に行う録画装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−228085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、ナビゲーション機能とデジタル放送受信機能との両方を備えた装置、例えばカーナビゲーション装置や携帯電話等では、デジタル放送視聴中にナビゲーション画面を表示すると、デジタル放送の音だけを継続出力し、ナビゲーションを画面表示するというのが一般的である。もしくは、ナビゲーションを画面表示させながら、地上デジタル放送を縮小表示するといったものもある。
【0009】
しかしながら、V−Lowマルチメディア放送を受信している周波数帯域でVICS情報が伝送されているとは限らないため、デジタル放送の視聴中にナビゲーション画面を表示させたとしても、VICS情報を受信できる保証がない。
【0010】
ユーザがV−Lowマルチメディア放送を視聴している場合、ユーザは意図してナビゲーション画面を表示させていないため、渋滞情報等のVICS情報を受信できなくてもあまり問題にはならない。しかしながら、視聴中にユーザ操作等によりナビゲーション画面が表示された場合、視聴中の周波数帯域でVICS情報が伝送されていなければ、VICS情報を受信できず、VICS情報をナビゲーション画面に反映できないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ひとつのチューナICをマルチメディア放送の受信とVICS情報の受信とで兼用するデジタル放送受信装置であって、ナビゲーション画面の表示中においてVICS情報をより確実に利用できるデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波の識別情報と該放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部と、選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を前記関連情報により判別し、判別した前記周波数帯域による選局及び受信を行うよう前記放送受信部を制御するサーチ部と、前記放送受信部が受信する放送波よりVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を抽出するVICS受信部と、前記VICS情報を用いて経路案内を行うナビゲーション部と、前記放送受信部により放送波が受信されている状態において前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知した場合に、前記VICS情報が伝送されている周波数帯域を判別し、判別した該周波数帯域のサーチを実施するよう前記サーチ部を制御するVICS制御部と、を備えること特徴とする。
【0013】
この構成によると、本発明のデジタル放送受信装置は、放送受信部と、関連情報を記録した記録部と、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を関連情報により判別して選局及び受信を行うよう放送受信部を制御するサーチ部と、放送波よりVICS情報を抽出するVICS受信部と、VICS情報を用いて経路案内を行うナビゲーション部とを備える。また、放送波が受信されている状態においてナビゲーション部に対する動作指示を検知した場合に、VICS情報が伝送されている周波数帯域を判別し、判別した周波数帯域のサーチを実施するようサーチ部を制御するVICS制御部を備える。
【0014】
また上記目的を達成するために、本発明のデジタル放送受信装置は、前記VICS制御部は、前記放送受信部により放送波が受信されている状態において前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知したとしても、指示された動作がVICS情報を必要としない動作である場合、または指示された動作の動作時間が予め定められた時間を超えないと推定される場合は、前記判別及び前記サーチ部に対する前記制御を行わないことを特徴とする。
【0015】
この構成によると、VICS制御部は、放送波が受信されている状態においてナビゲーション部に対する動作指示を検知したとしても、指示された動作がVICS情報を必要としない動作である場合、または指示された動作の動作時間が所定時間を超えないと推定される場合は、VICS情報の取得動作を行わない。
【0016】
また上記目的を達成するために、前記VICS制御部は、前記判別及び前記サーチ部に対する制御を行う前に、前記放送受信部が選局中である周波数帯域を示す退避情報を前記記録部に記録し、前記ナビゲーション部の動作が終了した時点で、前記退避情報が示す周波数帯域を選局するよう前記放送受信部を制御することを特徴とする。
【0017】
この構成によると、VICS制御部は、VICS情報の取得を行う前に、選局中である周波数帯域を示す退避情報を記録部に記録し、ナビゲーション部の動作が終了した時点で、もとの周波数帯域を選局するよう放送受信部を制御する。
【0018】
また上記目的を達成するために、前記VICS制御部は、前記退避情報が前記記録部に記録されている状態において前記ナビゲーション部の動作が終了し、且つ予め定められた条件を満たす場合にのみ、前記退避情報が示す周波数帯域を選局するよう前記放送受信部を制御することを特徴とする。
【0019】
この構成によると、VICS制御部は、退避情報が記録部に記録されている状態においてナビゲーション部の動作が終了し、且つ所定条件を満たす場合、例えば所定時間が経過していない場合等にのみ、退避情報が示す周波数帯域を選局するよう放送受信部を制御する。
【0020】
また上記目的を達成するために、本発明のデジタル放送受信装置は、前記VICS制御部は、デジタル放送受信装置が放送波に含まれる情報の記録処理を行っている動作状態である場合は、前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知したとしても、前記判別及び前記サーチ部に対する前記制御を行わないことを特徴とする。
【0021】
この構成によると、VICS制御部は、デジタル放送受信装置が放送波に含まれる情報の記録処理を行っている動作状態である場合は、ナビゲーション部に対する動作指示を検知したとしても、VICS情報の取得を行わない。
【0022】
また上記目的を達成するために、前記VICS制御部は、前記記録処理を行っている動作状態において前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知し、且つ予め定められた条件を満たす場合は、該動作状態であったとしても前記記録処理を中断して前記判別及び前記サーチ部に対する前記制御を行い、中断した前記記録処理を再放送を用いて再試行することを特徴とする。
【0023】
この構成によると、VICS制御部は、記録処理を行っている動作状態においてナビゲーション部に対する動作指示を検知し、且つ所定条件を満たす場合は、記録処理を中断してVICS情報の取得し、中断した記録処理を再放送を用いて再試行する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ひとつのチューナでマルチメディア放送の受信とVICS情報の受信とを行うデジタル放送受信装置において、デジタル放送の表示画面からナビゲーション画面に切り替えられた際に、ユーザ操作を必要とすることなく、VICS情報を取得してナビゲーション画面に反映することができる。
【0025】
また本発明によれば、VICS情報の検索により録画/録音/蓄積処理が中断されたとしても、再放送を利用して録画/録音/蓄積処理を再実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のデジタル放送受信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の機能部の構成を示すブロック図である。
【図3】放送局情報テーブルを示すテーブル図である。
【図4】受信制御処理を示すフロー図である。
【図5】録画/録音/蓄積中の受信制御処理を示すフロー図である。
【図6】録画/録音/蓄積の中断通知を行うための画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100(=デジタル放送受信装置)の内部構成を示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本発明の車載用受信装置100は、一つのチューナでマルチメディア放送の視聴とVICS情報受信とを兼用することを前提にしている。
【0028】
車載用受信装置100は、外部装置としてダイバーシティアンテナ1を接続可能である。また車載用受信装置100は少なくとも、チューナ11(=放送受信部)、復調部12(=放送受信部)、HDD13(=記録部)、CPU14、RAM15、ROM16、オーディオフィルタ17、オーディオデコーダ18、ビデオフィルタ19、ビデオデコーダ20、データフィルタ21、データデコーダ22、出力部23、蓄積データフィルタ24(=VICS受信部)、及び操作入力部25を備えている。
【0029】
チューナ11は、ダイバーシティアンテナ1から地上デジタル放送信号を受信し、所望の物理チャンネル(=周波数帯域)での選局を行う。またチューナ11は、選局中の物理チャンネルにおいて放送波が受信不可となったか否かを監視する。具体的には例えば、車載用受信装置100を搭載した車両が受信地域を跨ぐ等により、これまで受信していた放送波の電界強度が所定の閾値を下回った場合に、受信不可となったとみなす。
【0030】
復調部12は、チューナ11から入力される選局された信号を復調、及びエラー訂正し、ワンセグと12セグとの、それぞれのTSを出力する。復調部12により復調されたTSは、後述するオーディオフィルタ17、ビデオフィルタ19、データフィルタ21、及び蓄積データフィルタ24に与えられる。
【0031】
HDD(Hard Disk Drive)13は、放送波より抽出された画像/音声データや蓄積データ等を格納する大容量の磁気記録媒体である。
【0032】
CPU14は、各種演算、処理、制御を行う演算処理装置である。CPU14は、車載用受信装置100の各部材の駆動を有機的に制御して、放送受信処理等を統括制御する。
【0033】
RAM15は、CPU14のワークメモリ等に用いられる、読み書き可能な記録媒体である。
【0034】
ROM16は、CPU14が実行する制御プログラム等を格納する、読み出し専用の記録媒体である。
【0035】
オーディオフィルタ17は、復調部12から出力されたTSからオーディオデータのみを抽出する。オーディオデコーダ18は、抽出されたオーディオデータを復号してデジタル音声信号を生成し、後述する出力部23へ与える。
【0036】
ビデオフィルタ19は、復調部12から出力されたTSからビデオデータのみを抽出する。ビデオデコーダ20は、抽出されたビデオデータを復号してデジタル画像信号を生成し、後述する出力部23へ与える。
【0037】
データフィルタ21は、復調部12から出力されたTSから伝送パラメータ、NIT(Network Information Table)、番組情報等のデータを抽出する。データデコーダ22は、抽出されたデータを復号する。復号されたデータは、HDD13やRAM15等に記録される。
【0038】
出力部23は液晶モニタ等の表示装置や、スピーカ等の音声装置を接続して画像信号及び音声信号を出力するための出力端子を含む。
【0039】
蓄積データフィルタ24は、復調部12から出力されたTSの中から、蓄積型放送により伝送される蓄積型データや、VICS情報を抽出する。そして抽出したデータを、必要であれば結合や復号等を行った後、HDD13やRAM15等に与える、記録処理を行う。
【0040】
操作入力部25は、不図示のリモコン、及びリモコン受光部を含む。リモコンには、車載用受信装置100に対して選局指示等を行うための、プッシュボタンやタッチセンサ等が備えられている。
【0041】
また操作入力部25は、車載用受信装置100のハウジングに設けられたハードキーやタッチパネル等を含む。操作入力部25は、上記装置のいずれかにより受け付けたユーザ操作に基づく操作信号を生成し、出力する。なお操作入力部25は、必ずしも上記装置の全てを含む必要はなく、上記装置の一部のみを含む形態でもよい。
〈2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る蓄積処理及び再生制御処理を実施するための各機能部の関係を、図2の機能ブロック図を用いながら説明する。なお図2においてCPU14の内部に図示されている機能ブロックは、CPU14が所定のプログラムを実行することにより実現される機能部を表している。
【0042】
図2に示すように、本実施形態の蓄積処理及び再生制御処理は、サーチ部14a、ナビゲーション部14b、及びVICS制御部14cにより実施される。
【0043】
サーチ部14aは、所定の放送波の受信を試行するサーチ処理を行う。サーチ部14aは、受信可能な周波数帯域を解析すると共に、図3に示す放送局情報テーブル(=関連情報)を用いて、ユーザに指示されたソフト事業者が情報を配信している放送波の受信を試行する。
【0044】
受信に成功した場合、この放送波の受信を開始する。受信に失敗した場合、サーチ部14aは放送局情報テーブルに含まれる未チェックのサーチ周波数を用いて、放送波の受信を試行する。
【0045】
図3は、サーチ部14aが参照する放送局情報テーブルの一例を示すテーブル図である。放送局情報テーブルは、ソフト事業者毎にサーチするサーチ周波数とを対応付けたテーブルである。なお図3の例では、service_idの値によりソフト事業者が一意に定まり、且つservice_idは現在地域で受信可能と想定している。
【0046】
ただし、service_idを持たずにサーチ対象の周波数だけを管理したテーブルを用いる形態でもよい。またサーチ周波数は、放送波のNIT等から取得するが、無線通信などで取得できる場合は通信により取得する形態でもよい。
【0047】
なお、V−Lowマルチメディア放送では、service_idの値やNITなどからservice_id毎にリアルタイム型放送のサービスか蓄積型放送のサービスかの区別が可能である。このため、このような放送形態では蓄積型のサービスか否かを示す情報を周波数情報管理テーブルに含める実施形態でも構わない。
【0048】
例えばサーチ部14aは、放送局情報テーブルが図3に示す状態であり、且つサービスID=0x2400のソフト事業者がユーザにより選択されたことを検知した場合、サーチ周波数として92.00MHzや98.00MHzを用いたサーチを行う。
【0049】
サーチにより受信に成功した場合、この放送波の受信を開始する。受信に失敗した場合、サーチ部14aは選局候補テーブルに含まれる未チェックの周波数帯域を用いて、放送波の受信を試行する。
【0050】
ナビゲーション部14bは、車載用受信装置100の現在位置や進行方向等を示す位置情報を不図示のGPS装置等から取得し、車載用受信装置100の周辺を示す地図画像を表示するための画像信号を生成し、出力部23より出力する。
【0051】
またナビゲーション部14bは、ユーザより目的地の指定を受け付け、地図画像上に経路案内のための各種情報を表示する。例えば誘導方向を示す矢印を表示したり、誘導経路の色を変更する強調表示を行ったりする。ナビゲーション部14bは、予めHDD13等に記録されている画像情報や、蓄積データフィルタ24より得られるVICS情報を用いて、これらの情報を表示する。
【0052】
VICS制御部14cは、マルチメディア放送受信中において、ナビゲーション部14bに対して所定動作が指示された場合、例えばナビゲーション画面の表示が指示された場合に、VICS情報を受信可能である周波数帯域を判別する。そして判別した周波数帯域でVICS情報を受信するよう、復調部12やサーチ部14aを制御する。なお、VICS制御部14cが実施する処理の詳細については後述する。
〈3.受信制御処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100が実施する受信制御処理の処理フローについて、図4のフロー図を用いながら説明する。
【0053】
本実施形態の処理フローは、ナビゲーション部14bの備えるナビゲーション機能がフォアグランドになった時点で開始される。例えば、車載用受信装置100のバックグランドでナビゲーション機能が動作し、フォアグランドでマルチメディア放送を受信している状態において、ナビゲーション画面に遷移した場合等に開始される。
【0054】
なおナビゲーション機能がフォアグランドになるタイミングとしては、例えばユーザ操作によるナビゲーション画面の表示指示が検知された場合や、車載用受信装置100の搭載されている車両が交差点等に到達することにより、経路案内の必要が発生した場合等があげられる。
【0055】
なお本実施形態では、ユーザ操作によるナビゲーション画面の表示指示を検知した場合を例に、以下の説明を行う。
【0056】
本処理の開始後、VICS制御部14cはステップS110において、受信中の周波数帯域でVICS情報を受信可能であるか否かを判定する。受信中の周波数でVICS情報を受信可能な場合は、マルチメディア放送の受信を継続するとともに、VICS情報を反映したナビゲーション画面の表示を行うよう、ナビゲーション部14bに指示し、本処理を終了する。
【0057】
受信中の周波数帯域でVICS情報を受信不可能な場合、VICS制御部14cはステップS120において、受信中の周波数帯域やservice_idを示す退避情報を生成してRAM15等に記録する。なお退避情報は、ナビゲーション画面から再度マルチメディア放送画面に遷移する場合や、VICS情報の受信に失敗した場合等に、元の周波数帯域に戻すために用いられる。
【0058】
次にVICS制御部14cはステップS130において、図3の放送局情報テーブルを参照し、未サーチの周波数帯域があるか否かを判定する。
【0059】
未サーチの周波数帯域がない場合、VICS制御部14cはステップS131において、受信する周波数帯域やservice_idを、上記の退避情報を参照することにより変更以前のものに戻した後、本処理を終了する。なおこの場合、現在地域ではVICS情報を受信できないとみなし、VICS情報なしでナビゲーション画面を表示するよう、ナビゲーション部14bに指示する。
【0060】
未サーチの周波数帯域がある場合、VICS制御部14cはステップS140において、サーチする周波数帯域を放送局情報テーブルより決定し、サーチの実施を行うよう、サーチ部14aに指示する。なおこの際、過去にVICS情報を受信した実績のある周波数帯域が分かっている場合、その周波数帯域を優先的にサーチする実施形態でもよい。
【0061】
次にVICS制御部14cはステップS150において、サーチを実施した周波数帯域でVICS情報の受信に成功したか否かを判定する。成功しなかった場合は、再びステップS130へ移行し、引き続きサーチを行う。
【0062】
VICS情報の受信に成功した場合、受信したVICS情報を反映したナビゲーション画面の表示を行うよう、ナビゲーション部14bに指示し、本処理を終了する。
〈4.録画/録音/蓄積中の受信制御処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100が実施する録画/録音/蓄積中の受信制御処理の処理フローについて、図5のフロー図を用いながら説明する。
【0063】
上記で説明した図4の処理フローは、ナビゲーション画面の表示指示を検知した際に受信中の周波数帯域でVICS情報を受信できない場合にサーチを実施する、という制御フローであった。
【0064】
しかし、録画/録音/蓄積中にナビゲーション画面を表示したときは、VICS情報の受信より録画/録音/蓄積を優先したい場合がある。そこで、録画/録音/蓄積中にナビゲーション画面の表示指示を検知した場合は、まず図5の制御フローを実施する。つまり、図5は図4の事前処理の位置づけとなる。
【0065】
図5に示す受信制御処理は、マルチメディア放送の受信中において、ナビゲーション部14bの備えるナビゲーション機能がフォアグランドになった時点で開始される。
【0066】
VICS制御部14cはステップS210において、復調部12や蓄積データフィルタ24による録画/録音/蓄積処理が実施中であるか否かを判定する。実施中ではない場合、図4に示すサーチ処理へ移行する。
【0067】
実施中である場合、VICS制御部14cはステップS220において、所定の通知画面を表示する等により、録画/録音/蓄積処理中であることを通知する。例えば図6に示す通知画面90を表示することにより、通知を行う。通知画面90にはカーソル91が含まれている。ユーザは操作入力部25を操作することにより、このカーソル91を操作し、録画/録音/蓄積処理を中断するか否かを選択できる。中断を指示されると、図4に示すサーチ処理へ移行する。
【0068】
またVICS制御部14cは、通知画面90を表示するにあたって、録画/録音/蓄積中であるマルチメディア放送の番組(=コンテンツ)の再放送日時を調査し、通知画面90に含めて表示する。
【0069】
なお再放送日時はEIT(Event Information Table)等から取得する。或いは、無線通信などから取得可能な場合は、無線通信により再放送日時を取得する実施形態でもよい。また、V−Lowマルチメディア放送のように同一番組の再放送日時が事前に通知されている場合は、再放送日時を予め不図示の再放送管理テーブルに記録しておく形態でもよい。
【0070】
次にVICS制御部14cはステップS230において、上記の再放送予定があるか否か否かにより、処理の分岐を行う。再放送予定がない場合、録画/録音/蓄積処理を継続し、従ってVICS情報の取得を試みないため、本処理を終了する。
【0071】
再放送予定がある場合、録画/録音/蓄積処理を中断し、図4に示すサーチ処理へ移行する。なおこの際、再放送日時における録画/録音/蓄積の予約を行うか否かの選択を、ユーザより受け付ける形態でもよい。
【0072】
以上に説明した本実施形態によれば、マルチメディア放送の受信中にナビゲーション機能がフォアグランドに切り替えられた場合に、VICS情報が伝送されている周波数帯域をサーチし、VICS情報の受信を試みる。このため、例えば放送番組の表示画面からナビゲーション画面への切り替えが行われた場合に、ユーザ操作を必要とすることなく、自動でVICS情報を取得してナビゲーション画面に反映することが可能である。
【0073】
また、録画/録音/蓄積処理中においてナビゲーション機能がフォアグランドに切り替えられた場合に、録画/録音/蓄積処理中である番組の再放送日時を検索し、再放送が予定されている場合にのみVICS情報の受信を試みる。このため、VICS情報の受信のため録画/録音/蓄積処理が中断されたとしても、再放送を利用して録画/録音/蓄積処理を実施できるため、ユーザの利便性向上を図ることができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0074】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0075】
(A)上記実施形態では、本発明の受信制御処理を実施するデジタル放送受信装置として、車載用受信装置100を例に説明しているが、これ以外のデジタル放送受信装置において実施する形態でもよい。例えば、ポータブルテレビやテレビ付き携帯電話等で実施する形態でもよい。
【0076】
(B)上記実施形態では、本発明の各種処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0077】
(C)上記実施形態では、図4の処理フローにおいて退避情報を生成しているが、周波数帯域やservice_idだけでなく、受信中の番組の終了時刻等を退避情報に含めて記録しておく形態でもよい。この場合、VICS情報を受信できる周波数帯域が発見できなかった、または放送番組の表示画面を再度表示する時点で番組の終了時刻を過ぎている場合に、元の周波数帯域に戻さないようにしてもよい。なお、VICS情報の検索後に元のサービス(または番組)に戻さないのであれば、退避情報を生成しない形態でもよい。
【0078】
(D)上記実施形態では、図4の処理フローにおいて、未サーチの周波数帯域を全てサーチするようにしているが、予めVICS情報が伝送されている周波数帯域が分かっている場合は、VICS情報が伝送されている周波数帯域のみをサーチする実施形態でもよい。なお、VICS情報が伝送されている周波数帯域の判別は、例えば過去にVICS情報を受信した周波数帯域を示す履歴情報を生成すること等により行う。
【0079】
(E)上記実施形態では、図4の処理フローにおいて、録画/録音/蓄積中であっても、その対象となる番組の再放送が行われることが分かっている場合はVICS情報の検索を優先している。しかし、再放送のある/なしにかかわらず、録画/録音/蓄積中はVICS情報の検索を行わず、録画/録音/蓄積を優先する形態でもよい。
【0080】
(F)上記実施形態では、ナビゲーション機能がフォアグランドに切り替えられた段階でVICS情報の検索を行っているが、このVICS情報の自動検索(図4及び図5)を実施するか否かを、予めユーザ設定により切り替え可能とする形態でもよい。例えば「VICS自動検索モード」を設け、このモードが有効に設定されている場合にのみ、本発明の自動検索を実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 車載用受信装置(デジタル放送受信装置)
11 チューナ(放送受信部)
12 復調部(放送受信部)
13 HDD(記録部)
14 CPU
14a サーチ部
14b ナビゲーション部
14c VICS制御部
15 RAM
16 ROM
17 オーディオフィルタ
18 オーディオデコーダ
19 ビデオフィルタ
20 ビデオデコーダ
21 データフィルタ
22 データデコーダ
23 出力部
24 蓄積データフィルタ(VICS受信部)
25 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、
放送波の識別情報と該放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部と、
選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を前記関連情報により判別し、判別した前記周波数帯域による選局及び受信を行うよう前記放送受信部を制御するサーチ部と、
前記放送受信部が受信する放送波よりVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を抽出するVICS受信部と、
前記VICS情報を用いて経路案内を行うナビゲーション部と、
前記放送受信部により放送波が受信されている状態において前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知した場合に、前記VICS情報が伝送されている周波数帯域を判別し、判別した該周波数帯域のサーチを実施するよう前記サーチ部を制御するVICS制御部と、
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記VICS制御部は、前記放送受信部により放送波が受信されている状態において前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知したとしても、指示された動作がVICS情報を必要としない動作である場合、または指示された動作の動作時間が予め定められた時間を超えないと推定される場合は、前記判別及び前記サーチ部に対する前記制御を行わないこと
を特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記VICS制御部は、前記判別及び前記サーチ部に対する制御を行う前に、前記放送受信部が選局中である周波数帯域を示す退避情報を前記記録部に記録し、前記ナビゲーション部の動作が終了した時点で、前記退避情報が示す周波数帯域を選局するよう前記放送受信部を制御すること
を特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記VICS制御部は、前記退避情報が前記記録部に記録されている状態において前記ナビゲーション部の動作が終了し、且つ予め定められた条件を満たす場合にのみ、前記退避情報が示す周波数帯域を選局するよう前記放送受信部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記VICS制御部は、デジタル放送受信装置が放送波に含まれる情報の記録処理を行っている動作状態である場合は、前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知したとしても、前記判別及び前記サーチ部に対する前記制御を行わないこと
を特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記VICS制御部は、前記記録処理を行っている動作状態において前記ナビゲーション部に対する動作指示を検知し、且つ予め定められた条件を満たす場合は、該動作状態であったとしても前記記録処理を中断して前記判別及び前記サーチ部に対する前記制御を行い、中断した前記記録処理を再放送を用いて再試行すること
を特徴とする請求項5に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−51507(P2013−51507A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187611(P2011−187611)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】