説明

デッキクレーンの液圧駆動システム

【課題】 省スペース化を図りつつ、ポンプレギュレータの応答性を確保することができるデッキクレーンの液圧駆動システムを提供する。
【解決手段】 油圧駆動システム1では、油圧ポンプ11が方向流量制御弁12を介して旋回用モータ2に接続され、ポンプレギュレータ13が油圧ポンプ11の圧液により駆動するようになっている。リリーフ弁14が方向流量制御弁12の上流圧と設定負荷圧との差圧が所定圧になるとその上流側を流れる圧液を逃すようになっている。設定負荷圧は、設定負荷圧切換装置15により方向流量制御弁12により流れが遮断されると第1設定負荷圧に切換えられ、逆に流れが許容されると第2設定負荷圧に切換えられる。第1設定負荷圧は、第2設定負荷圧より低くて前記ポンプレギュレータを駆動可能な駆動下限圧以上に設定され、第2設定負荷圧は、前記方向流量制御弁の下流側の使用可能な上限圧力に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキクレーンに備わるアクチュエータを駆動するためのデッキクレーンの液圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デッキクレーンには、様々なアクチュエータが備わっており、例えばデッキクレーンの回転ポストを旋回させるための旋回用油圧モータがある。この旋回用油圧モータは、油圧駆動システムに接続されており、油圧駆動システムから供給される圧油により旋回運動するようになっている。油圧駆動システムとしては、例えば特許文献1に記載されるようなデッキクレーンの旋回制御装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載のデッキクレーンの旋回制御装置は、旋回用油圧モータが方向切換弁を介して油圧ポンプとタンクとに接続されており、油圧ポンプで吐出される圧油の流れる方向を方向切換弁で切換えることにより旋回用油圧モータを旋回駆動させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−24006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるデッキクレーンの旋回制御装置に接続される油圧ポンプは、省エネルギーの観点からすると、旋回用油圧モータを作動していない非作動時に吐出容量が少なくなるように構成されていることが好ましく、斜板ポンプや斜軸ポンプ等の可変容量形の油圧ポンプを用いることが考えられる。可変容量形の油圧ポンプを用いる場合、その吐出容量を調整するレギュレータが設けられている。
【0006】
レギュレータは、油圧で駆動するようになっており、その応答性を確保するために最小パイロット圧源として数L/min以上、且つ数MPa以上のパイロット圧が必要となる。そこで、別の補助ポンプを設けてアンロード時も上記パイロット圧が供給されるようにし、レギュレータの応答性を確保するようにしている。
【0007】
補助ポンプは、主ポンプに比べて小形であり、主ポンプとレギュレータから成るポンプユニットに取付ける簡単な構成である。しかし、補助ポンプはポンプユニットから外側に張り出すように取付けられるため、小形化が図られるデッキクレーンの限られたスペース内に補助ポンプを取付けたポンプユニットが収まらないという状況が生じる。また、補助ポンプをポンプユニットと別置きにすることも考えられるが、補助ポンプ、及び主ポンプと補助ポンプとを繋ぐ通路を設けるスペースをデッキクレーン内に確保することが難しい。それ故、補助ポンプを用いることなくデッキクレーンの旋回制御装置を構成することが考えられるが、そうすると、前述するように油圧ポンプの吐出量が減少した時に最小パイロット圧源を確保できずにレギュレータの応答性が低下してしまうおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、省スペース化を図りつつ、ポンプレギュレータの応答性を確保することができるデッキクレーンの液圧駆動システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデッキクレーンの液圧駆動システムは、デッキクレーンのアクチュエータに接続され、吐出容量が変更可能な可変容量形ポンプと、前記アクチュエータと前記可変容量形ポンプとの間に設けられ、前記可変容量形ポンプから吐出される圧液の方向及び流量を制御する方向流量制御弁と、前記可変容量形ポンプの圧液により駆動し、前記可変容量形ポンプの吐出容量を切換え可能なポンプレギュレータと、前記方向流量制御弁の上流の圧力と設定負荷圧との差圧が予め定められた値になると前記方向流量制御弁の上流側を流れる圧液を逃すリリーフ弁と、前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を遮断するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記設定負荷圧を第1設定負荷圧に切換え、前記前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を許容するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記設定負荷圧を第2設定負荷圧に切換える設定負荷圧切換手段とを備え、前記第2設定負荷圧は、前記方向流量制御弁の下流側の圧力に設定され、前記第1設定負荷圧は、第2設定負荷圧より低く、且つ前記ポンプレギュレータを駆動可能な駆動下限圧以上に設定されているものである。
【0010】
本発明に従えば、方向流量制御弁により可変容量形ポンプからアクチュエータへの圧液の供給が許容されると、設定負荷圧切換手段がリリーフ弁の設定負荷圧を第2設定負荷圧に切換える。これにより、方向流量制御弁の上流側と下流側との差圧(即ち、前後の差圧)が一定となり、圧力に関わらず一定の流量がデッキクレーンのアクチュエータへと流すことができる。他方、方向流量制御弁により可変容量形ポンプとアクチュエータとの間が遮断されると、設定負荷圧切換手段がリリーフ弁の設定負荷圧を第2設定負荷圧より低い第1設定負荷圧に切換えられる。更に、第1設定負荷圧がポンプレギュレータの駆動下限圧以上に設定されているので、第1設定負荷圧に切換えられている状態であっても補助ポンプを要さずにポンプレギュレータを駆動し、ポンプを小傾転角(小容量)にて運転可能である。それ故、補助ポンプを設ける必要がないため省スペース化及び低コスト化を図ることができ、またポンプレギュレータの応答性を確保することができる。
【0011】
上記発明において、第2設定圧が前記方向流量制御弁の下流側での使用可能な上限圧力になると前記方向流量制御弁の下流側の圧液を逃がす高圧側リリーフ弁を設けられていることが好ましい。
【0012】
上記構成に従えば、第2設定負荷圧がアクチュエータの使用可能な上限圧力以上になることを防ぐことができるので、可変容量ポンプの過負荷運転を防止することができる。これにより、液圧駆動システムの耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0013】
上記発明において、前記方向流量制御弁を備える第1ブロックと、前記リリーフ弁を備える第2ブロックとを備え、前記設定負荷圧切換手段は、第3ブロックに設けられ、第3ブロックを前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間に挟み込むように取付けることによって前記方向流量制御弁及び前記リリーフ弁に接続されるようになっていることが好ましい。
【0014】
上記構成に従えば、第1バルブブロックと第2バルブブロックとの間に設定負荷圧切換手段を備える第3バルブブロックを挟み込むだけでの容易な作業で、ポンプレギュレータのパイロット圧源を前記油圧ポンプから取出しつつ、ポンプレギュレータの応答性を確保することが可能な液圧駆動システムを実現することができる。また、方向流量制御弁やリリーフ弁と設定負荷圧切換手段とを接続される配管を別途設ける必要がなく、部品点数をあまり増やすことなく切換機能を追加することができる。
【0015】
上記発明において、前記リリーフ弁は、前記方向流量制御弁と前記ポンプとを繋ぐ主通路の液圧に応じた第1パイロット圧を開方向に受圧し、前記第1パイロット圧に抗するように閉方向にパイロット通路を通じて導かれる液圧に応じた第2パイロット圧を受圧し、前記設定負荷圧切換手段は、前記パイロット通路に接続される切換弁と、前記切換弁に接続される低圧側リリーフ弁とを有し、前記切換弁は、前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を遮断するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記パイロット通路を前記低圧側リリーフ弁に接続し、前記前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を許容するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記パイロット通路を前記方向流量制御弁の下流側に接続するようになっており、前記低圧側リリーフ弁は、前記パイロット通路の液圧が前記第1設定負荷圧以上になると圧液を逃すようになっていることが好ましい。
【0016】
上記構成に従えば、補助ポンプの機能を切換弁及び低圧側リリーフ弁のような簡単な構成によって代替することができるので、液圧駆動システムの構成を簡単にすることができ、製造コストを削減することができる。
【0017】
上記発明において、前記方向流量制御弁のスプールを移動させるスプール駆動装置を備え、前記方向流量制御弁は、前記スプールの位置に応じて圧液の方向を切換えるようになっており、前記スプール駆動装置は、前記可変容量形ポンプに接続され、前記可変容量形ポンプからの圧液を用いて前記スプールを動かすようになっていることが好ましい。
【0018】
上記構成に従えば、ポンプレギュレータと同様に、スプール駆動装置もまた可変容量形ポンプを圧源として方向流量制御弁のスプールを動かすので、方向流量制御弁のスプールを駆動させる補助ポンプを設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0019】
上記発明において、前記ポンプレギュレータは、前記方向流量制御弁が圧液の流れを許容すると前記可変容量形ポンプの吐出容量を増加させ、前記可変容量形ポンプの吐出容量を減少させるようになっていることが好ましい。
【0020】
上記構成に従えば、アクチュエータが駆動しているときのように大きな流量を必要とする場合に可変容量形ポンプの吐出容量が増加し、アクチュエータが停止しているときのように流量が必要でない場合に可変容量形ポンプの吐出容量が減少するようになっている。それ故、アクチュエータ駆動時は、アクチュエータに大きな力を作用させることができ、またアクチュエータ停止時は、可変容量形ポンプの負荷を抑えて省エネルギー化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、省スペース化を図りつつ、ポンプレギュレータの応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る油圧駆動システムを示す油圧回路図である。
【図2】図1に示す油圧駆動システムに備わるバルブアッセンブリを切断して見た断面図である。
【図3】バルブアッセンブリを紙面右側から見た右側面図である。
【図4】バルブアッセンブリを図3に示す切断線IV−IVで切断して見た断面図である。
【図5】バルブアッセンブリを図2に示す切断線V−Vで切断して見た断面図である。
【図6】バルブアッセンブリを図2に示す切断線VI−VIで切断して見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、前述する図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るデッキクレーンの油圧駆動システム(以下、単に「油圧駆動システム」ともいう)1を説明する。なお、実施形態における上下の方向の概念は、説明の便宜上使用するものであって、油圧駆動システム1に関して、それらの構成の配置及び向き等をその方向に限定することを示唆するものではない。また、以下に説明する油圧駆動システム1は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、及び変更が可能である。
【0024】
デッキクレーンは、船体に固定される固定ポストと、その固定ポストに回転可能に設けられたクレーン本体と、前記クレーン本体に作業半径を変えることができるジブとを備えており、固定ポストに対してクレーン本体を回転させることで、ジブの向きを変えることができるようになっている。また、クレーン本体には、旋回用モータ2が設けられており、旋回用モータ2を駆動することでクレーン本体が回転するようになっている。アクチュエータである旋回用モータ2は、いわゆる油圧モータであり、油圧駆動システム1から圧油の供給を受けて駆動するようになっている。以下では、油圧駆動システム1の構成について詳しく説明する。
【0025】
[油圧駆動システムの油圧回路]
油圧駆動システム1は、基本的に可変容量形油圧ポンプ11と、方向流量制御弁12と、ポンプレギュレータ13と、リリーフ弁14と、設定負荷圧切換装置15とを備えている。可変容量形油圧ポンプ(以下、単に「油圧ポンプ」ともいう)11は、いわゆる斜板ポンプであり、そこに備わる斜板11aを傾動させることで圧油の吐出量を変更することができるようになっている。油圧ポンプ11の吐出口11bは、主通路16に接続されており、油圧ポンプ11は、この主通路16を介して旋回用モータ2に接続されている。旋回用モータ2は、いわゆる油圧モータであり、供給される油圧の方向を切換えることで第1及び第2方向に夫々回転するようになっている。そして、主通路16には、旋回用モータ2に供給する油圧の方向を切換えるべく方向流量制御弁12が介在している。
【0026】
方向流量制御弁12は油圧ポンプ11と旋回用モータ2との間に設けられ、更にタンク22aにも接続されている。また、方向流量制御弁12は、スプール12aを備えており、このスプール12aを動かすことで油圧ポンプ11から吐出された圧油の流れる方向を切換ることができるようになっている。即ち、スプール12aを動かすことで旋回用モータ2の回転方向を切換え、また回転を止めることができるようになっている。スプール12aには、それを動かして流れを切換えるべく切換手段17が接続されている。
【0027】
スプール駆動手段である切換手段17は、主通路16から分岐する副通路18に減圧弁19を介して接続され、方向流量制御弁12に並列にするように油圧ポンプ11に接続されている。切換手段17は、2つの電磁比例減圧弁20,21を備えている。これら2つの電磁比例減圧弁20,21は、副通路18に並列するように設けられており、スプール12aの一端及び他端に夫々接続されている。また、電磁比例減圧弁20,21は、タンク22bにも接続されており、中立位置にてスプール12aとタンク22bとを接続し、図示しない操作手段(例えば、操作レバー)が操作されるとその操作量に応じて副通路18の開度を調整するようになっている。
【0028】
このように構成される切換手段17は、操作手段が一方側に操作(例えば、傾倒)されると一方の電磁比例減圧弁20を開いてスプール12aを一方(即ち、スプール12aの一端から他端に向かう方向)に動かす。これにより、油圧ポンプ11から旋回用モータ2に圧油が流れ、旋回用モータ2が第1の方向に回転する。他方、操作手段が他方側に操作されると、切換手段17は、他方の電磁比例減圧弁21を開いてスプール12aを他方(即ち、スプール12aの他端から一端に向かう方向)に動かす。これにより、方向流量制御弁12から旋回用モータ2に流れる圧油の方向が切換えられ、旋回用モータ2が第2の方向に回転する。そして、操作手段を中立位置に戻すことによって、スプール12aの両端がタンク22bに接続され、スプール12aが中立位置に戻る。これにより、油圧ポンプ11と旋回用モータ2との間が遮断されて油圧ポンプ11から旋回用モータ2へ圧油の流れが止まり、旋回用モータ2の動きが止まる。
【0029】
このように、油圧駆動システム1では、油圧ポンプ11からの圧油により旋回用モータ2を動かすと共に、方向流量制御弁12のスプール12aを動かすことができるようになっている。そのため、スプール12aを動かす補助ポンプが不要になり、部品点数を削減すると共に省スペース化を図ることができる。このように旋回用モータ2及び方向流量制御弁12を駆動する油圧ポンプ11には、レギュレータ13が設けられている。
【0030】
ポンプレギュレータであるレギュレータ13は、サーボピストン23と、方向切換弁24と、レギュレータ用リリーフ弁25と、電磁開閉弁26とを有している。サーボピストン23は、油圧ポンプ11の斜板11aに連結されており、動くことで斜板11aの傾きを変えるようになっている。サーボピストン23は、大略円柱状に形成されており、一端23a側に対して他端23b側が大径になっている。サーボピストン23の一端23aは、主通路16に繋がっており、そこに油圧ポンプ11の吐出圧を受圧している。これに対して、サーボピストン23の他端23bは、レギュレータ主通路27を介して主通路16に繋がっており、このレギュレータ主通路27に方向切換弁24が介在している。
【0031】
方向切換弁24は、更にタンク22cに繋がっており、スプール24aを備えている。方向切換弁24は、このスプール24aを動かすことでサーボピストン23の他端23bの接続先をレギュレータ主通路27又はタンク22cに切換えたり、それらの間を遮断したりして圧油の流れる方向を切換えることができるようになっている。このスプール24aには、ばね部材28が設けられており、ばね部材28は、サーボピストン23の他端23bとタンク22cとを接続するようにスプール24aを付勢している。また、スプール24aの一端には、レギュレータ主通路27が接続され、他端には、絞り29を介してレギュレータ主通路27に接続されている。そのため、スプール24aの一端は、ばね部材28のばね力に抗する方向に油圧ポンプ11の吐出圧に応じたパイロット圧p1を受け、他端は、絞り29を介して導かれたパイロット圧p2を前記ばね力と同じ方向に受圧している。
【0032】
また、絞り29の下流には、レギュレータ用リリーフ弁25と、電磁開閉弁26とが並列して設けられている。レギュレータ用リリーフ弁25は、予め定められた許容圧力(例えば、レギュレータ13が許容可能な圧力)を超えると開くようになっている。電磁開閉弁26は、タンク22dに接続されており、図示しない操作手段の操作に応じてレギュレータ主通路27とタンク22dとの間を開閉するようになっている。
【0033】
このように構成されたレギュレータ13では、操作手段が操作されることで電磁開閉弁26が開弁し、レギュレータ主通路27が絞り29を介してタンク22dと接続される。これにより、スプール24aの一端側のパイロット圧p1が低下し、サーボピストン23の他端23b側とタンク22cとを接続するようにスプール24aが動く。そうすると、サーボピストン23の一端23a側の圧力が高くなり、サーボピストン23がその一端23aから他端23bに向かう方向に移動して斜板11aを大傾転させる。これにより、油圧ポンプ11の吐出量が増加する。
【0034】
操作手段を中立状態に戻して旋回用モータ2の動きを止めると、電磁開閉弁26が閉弁し、レギュレータ主通路27がタンク22dとの間が遮断される。これにより、絞り29によりレギュレータ主通路27の圧力が立って一端側のパイロット圧が高くなってスプール24aが動き、サーボピストン23の他端23b側とレギュレータ主通路27とが接続される。そうすると、サーボピストン23の他端23b側の圧力が高くなって一端23a側の圧力に近づいていく。サーボピストン23の他端23b側は、その一端23a側に対して大径に形成されているため、他端23b側及び一端23a側の差圧がそれらの面積差に応じた所定の値になるとサーボピストン23がその一端23b側から他端23a側に向かう方向に移動して斜板11aを小傾転させる。これにより、油圧ポンプ11の吐出量が減少する。
【0035】
このように油圧駆動システム1は、操作手段の操作に応じてレギュレータ13が油圧ポンプ11の吐出量を切換えるようになっている。具体的には、油圧駆動システム1では、旋回用モータ2駆動時は油圧ポンプ11の吐出量を大きくし、他方、旋回用モータ2停止時は油圧ポンプ11の吐出量を抑えるようにしている。それ故、デッキクレーン旋回時は、旋回用モータ2に大きな力を作用させることができる、また旋回停止時は、油圧ポンプ11の負荷を抑えて省エネルギー化を図ることができる。
【0036】
このように吐出量を調整するレギュレータ13は、前述の通り油圧ポンプ11をパイロット圧源として駆動している。それ故、油圧駆動システム1は、油圧ポンプ11以外の補助ポンプがなくても油圧ポンプ11の吐出量を調整することができるので、その部品点数が低減され、省スペース化を図ることができる。このように省エネルギー化及び省スペース化を達成することができる油圧駆動システム1では、旋回用モータ2が駆動していないときに主通路16に流れる圧油をタンク22aに戻すべく、主通路16にリリーフ弁14が接続されている。
【0037】
リリーフ弁14は、方向流量制御弁12より上流側にそれと並列するように主通路16に接続されている。また、リリーフ弁14は、方向流量制御弁12と繋がるタンク通路30にも接続されており、タンク通路30において方向流量制御弁12より下流側にそれと並列するように接続されている。このように主通路16とタンク通路30とを接続するように設けられたリリーフ弁14は、主通路16の油圧(即ち、ポンプ圧)に相当する第1パイロット圧p3を開弁する方向に受圧している。また、リリーフ弁14には、ばね部材31が設けられており、ばね部材31は、第1パイロット圧p3に抗してリリーフ弁14の弁体14a(図2参照)を閉弁する方向に付勢している。更に、リリーフ弁14には、パイロット通路32が接続されており、このパイロット通路32を介してリリーフ弁14と設定負荷圧切換装置15とが接続されている。
【0038】
設定負荷圧切換装置15は、電磁方向切換弁33と、低圧側リリーフ弁34とによって構成されている。電磁方向切換弁33は、いわゆる4ポートの切換弁であり、主通路16と、パイロット通路32と、低圧側リリーフ弁34と、後述する方向切換弁35に接続されている。電磁方向切換弁33は、図示しない操作手段に応じて接続状態を切換えるようになっている。具体的には、電磁方向切換弁33は、操作手段が操作されていない非操作状態で主通路16と、パイロット通路32と低圧側リリーフ弁34とが接続されている第1接続状態となり、操作手段が操作されるとパイロット通路32と方向切換弁35とが接続されている第2接続状態となる。
【0039】
低圧側リリーフ弁34は、タンク通路30にも接続されており、主通路16から電磁方向切換弁33を介して導かれる圧力が第1リリーフ圧を越えると開弁するようになっている。この低圧側リリーフ弁34は、電磁方向切換弁33が第1接続状態にあるときパイロット通路32に繋がっており、このときのパイロット通路32の油圧は、低圧側リリーフ弁34の第1リリーフ圧で保持されている。それ故、このパイロット通路32を通じて導かれるリリーフ弁14の第2パイロット圧p4は、低圧側リリーフ弁34の第1リリーフ圧で保持される。これにより、リリーフ弁14の設定負荷圧が第1リリーフ圧に切換えられ、油圧ポンプ11の吐出圧(以下、単に「ポンプ圧」ともいう)が低圧側リリーフ弁34の第1リリーフ圧を超えると、リリーフ弁14が開弁して主通路16とタンク通路30とが繋がる。それ故、ポンプ圧が第1リリーフ圧にて保持される。
【0040】
この低圧側リリーフ弁34の第1リリーフ圧を低圧に設定することで、非操作時(即ち、旋回停止時)において油圧ポンプ11の負荷を抑えることができ、油圧駆動システム1の省エネルギー化を図ることができる。そして、電磁方向切換弁33の接続状態を第2接続状態に切換えると、パイロット通路32は、方向切換弁35に接続される。
【0041】
方向切換弁35は、絞り36が介在する旋回用モータ2のブレーキ解除通路37を介して電磁方向切換弁33に接続されている。方向切換弁35は、いわゆる4ポートの方向切換弁であり、電磁方向切換弁33の他に方向流量制御弁12の下流側にある2つの通路とタンク22bとに夫々接続されている。方向切換弁35は、スプール35aを備えており、スプール35aは、その一端及び他端が電磁比例減圧弁20,21に夫々接続され、方向流量制御弁12のスプール12aに連動して動くようになっている。また、方向切換弁35は、このスプール35aの位置に応じて4つのポートの接続状態を切換えるようになっており、スプール12aが中立位置から動くとブレーキ解除通路37に旋回用モータ2に供給される供給圧を導くようになっている。それ故、第2接続状態では、リリーフ弁14の設定負荷圧は前記供給圧に基づき設定される。
【0042】
リリーフ弁14は、設定負荷圧とポンプ圧との差圧による力がばね部材31のばね力以上になると開弁するようになっている。第2パイロット圧p4が方向流量制御弁12の上流圧に対応しているので、リリーフ弁14は、方向流量制御弁12の圧力補償弁としての機能を果たし、方向流量制御弁12の上流側と下流側との差圧を常に一定に保持している。それ故、方向流量制御弁12及びリリーフ弁14は、圧力補償付流量制御弁として機能し、圧力に関わらずスプール12aの位置に応じた流量を旋回用モータ2に供給する。これにより、前記操作手段の操作量に応じた速度で旋回用モータ2を回転させることができる。
【0043】
また、ブレーキ解除通路37には、ブレーキシリンダ39が接続されている。ブレーキシリンダ39は、伸縮可能になっており、ブレーキ解除通路37に供給圧が導かれると伸長して旋回用モータ2にブレーキ力を作用させるようになっている。また、ブレーキシリンダ39は、タンク22bとブレーキ解除通路37とが接続されると収縮して旋回用モータ1に作用するブレーキ力を解除するようになっている。つまり、ブレーキシリンダ39は、切換手段17の操作レバーが操作されると伸張してブレーキ力を解除させ、操作レバーの操作が解除されると収縮してブレーキ力を作用させて旋回用モータ2を制動するようになっている。
【0044】
更に、ブレーキ解除通路37には、高圧側リリーフ弁38が接続されている。高圧側リリーフ弁38は、ブレーキ解除通路37の油圧が第2リリーフ圧を越えると開弁してブレーキ解除通路37とタンク通路30とを繋ぎ、ブレーキ解除通路37の圧液をタンク22aに逃がすようになっている。それ故、第2接続状態の時にブレーキ解除通路37が第2リリーフ圧になると、リリーフ弁14が開弁して主通路16とタンク通路30とを繋いで主通路16の圧油がタンク22aに逃される。これにより、ポンプ圧が第2リリーフ圧以上になることを防ぐことができる。この第2リリーフ圧は、第1リリーフ圧より高く設定されており、例えば油圧駆動システム1の許容圧力に設定されている。それ故、油圧駆動システム1に許容圧力以上の油圧が流れることを防ぐことができ、油圧駆動システム1の耐久性及び信頼性を向上させることができる。なお、高圧側リリーフ弁38は、必ずしもブレーキ解除通路37に接続されている必要はなく、主通路16の方向切換弁12より下流側の圧力を逃せるように接続されていればよい。
【0045】
このように油圧駆動システム1では、リリーフ弁14の設定負荷圧を設定負荷圧切換装置15によって変更して油圧ポンプ11の吐出圧を低圧(第1リリーフ圧)と高圧(旋回用モータ2への供給圧)に切換えることができる。旋回用モータ2が駆動しているときは、油圧ポンプ11の吐出圧を高圧にして旋回用モータ2を操作手段の操作量に応じた速度で駆動し、旋回用モータ2が止まっているときは、油圧ポンプ11の吐出圧を低圧に切換えることで油圧ポンプ11の負荷を抑えて油圧駆動システム1全体を省エネ駆動することができる。
【0046】
また、低圧側リリーフ弁34の第1リリーフ圧は、サーボピストン23の一端側を油圧により押して動かすことができる圧力以上に設定されている。それ故、主通路16の油圧が前記圧力以上に保持されているので、旋回用モータ2を駆動させる際に油圧ポンプ11の吐出圧が上昇するのを待つことなくレギュレータ13を駆動させることができる。従って、油圧駆動システム1では、アンロード時にポンプ圧を低圧にし、且つレギュレータ13を駆動可能な駆動下限圧力以上の第1設定負荷圧に切換えることができるため、レギュレータ13のパイロット圧源を油圧ポンプ11から取り出しレギュレータ13を駆動することができ、レギュレータ13の応答性を確保することができる。そのため、レギュレータ13を動かす補助ポンプが不要になり、低コスト化や省スペース化を図ることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、旋回用モータ2を駆動するために圧油が用いられているが水や他の液体であってもよい。また、デッキクレーンのアクチュエータも旋回用モータ2に限定されず、荷物の巻上巻下やジブの巻上巻下用油圧モータ、液圧で駆動可能な回転機器やシリンダピストン等の直動機器であってもよい。又、ジブの巻上巻下とポンプを共有する場合も、両方のコントロール弁のハンドルが中立位置にあることを切換条件としてポンプ傾転を小とすることで省エネ化を図ることができる。
【0048】
[油圧駆動システムの機械的構造]
このように構成される油圧駆動システム1では、油圧ポンプ11とレギュレータ13とが1つのポンプ装置として一体的に構成され、方向流量制御弁12と、リリーフ弁14と、設定負荷圧切換装置15と1つのバルブアッセンブリ40として一体的に構成されている。以下では、バルブアッセンブリ40の機械的構造について説明する。
【0049】
バルブアッセンブリ40は、図2に示すように、3つのバルブブロック41〜43によって構成されている。第1バルブブロック41は、方向流量制御弁12を備え、第2バルブブロック42は、リリーフ弁14を備え、第3バルブブロック43は、設定負荷圧切換装置15を備えている(後述する図5も参照)。バルブアッセンブリ40は、第1バルブブロック41及び第2バルブブロック42の間に挟み込むように第3バルブブロック43を取付けることによって構成され、これにより設定負荷圧切換装置15が方向流量制御弁12及びリリーフ弁14に接続されるようになっている。以下では、各バルブブロック41〜43の構成について説明する。
【0050】
第1バルブブロック41は、大略直方体状になっており、図3に示すようにその前面に油圧ポンプ11に繋がるポンプポート44a、及びタンク22aにつながるタンクポート44bが形成され、背面に旋回用モータ2に繋がる2つのポート45a,45bが形成されている。
【0051】
また、第1バルブブロック41内には、方向流量制御弁12のスプール12aが収容されている。スプール12aは、大略中空円筒状になっており、上下方向に摺動移動可能に第1バルブブロック41内に配置されている。このスプール12aの周りには、上下方向に間隔をあけて4つの円環状通路46a〜46dが形成されており、各円環状通路46a〜46dは、上から順に第1のポート45a、ポンプポート44a、第2のポート45b及びタンクポート44bが夫々接続されている、これら4つの円環状通路46a〜46dは、スプール12aの動きに応じて個々に接続されるようになっている。
【0052】
例えば、スプール12aは、中立位置にあると全ての円環状通路46a〜46dを遮断するようになっている。スプール12aを下方に移動させると上側にある2つの円環状通路46a、46b同士と下側にある2つの円環状通路46c,46d同士を夫々接続し、これによって第1のポート45aとポンプポート44aとが接続され、第2のポート45bとタンクポート44bとが接続される。スプール12aは、その中にバイパス48を有しており、スプール12aを上方に移動させると、このバイパス48によって上下両端側に夫々位置する円環状通路46a,46dが繋がり、第1のポート45aとタンクポート44bとが繋がるようになっている。
【0053】
このように構成されるスプール12aを収容する第1バルブブロック41は、上部カバー41aと下部カバー41bとを有しており、これらを上下に組み合わせることで構成されている。上部カバー41aの外周部の左側には、図2及び図3に示すように切換手段17及び減圧弁19が設けられている。この切換手段17に備わる一方の電磁比例減圧弁20が上部カバー41a内にあるスプール12aの一端(図2の上端12b)に繋がっており、他方の電磁比例減圧弁21が下部カバー41b内にあるスプール12aの他端(図2の下端12c)に繋がっている。
【0054】
また、下部カバー41bの外周部の左側には、方向切換弁35に設けられ(図3も参照)、この方向切換弁35は、図4に示すようにスプール35aを有している。このスプール35aの一端及び他端には、電磁比例減圧弁20,21が夫々接続されており、第1バルブブロック41に形成されるブレーキ解除通路37の接続先を、第1のポート45aに繋がる第1供給通路49a、第2のポート45bに繋がる第2供給通路49b、及びタンク22aに繋がる図示しない第3供給通路の何れかに切換えるようになっている。
【0055】
他方、第2バルブブロック42は、大略直方体状になっており、その中にリリーフ弁14を構成する弁体14aが収容されている。弁体14aは、大略円柱状になっており、上下方向に摺動可能に第2バルブブロック42内に配置されている。弁体14aの外周部には、周方向全周にわたって延びる凹所14bが形成され、その凹所14bより上方において、第2バルブブロック42の内周部に円環状凹所42aが形成されている。これら2つの凹所14b,42aは、第2バルブブロック42から第3バルブブロック43を貫通して第1バルブブロック41まで延在する連通路50a、50bにより2つの円環状通路46b、46dを介してポンプポート44a及びタンクポート44bに接続されている。
【0056】
また、弁体14aには、弁体内通路14cが形成されている。弁体内通路14cは、円環状凹所42aと弁体14aの一端(図2の下端)とを繋いでおり、これによりポンプ圧が弁体14aの一端に導かれる。これにより、弁体14aは、その一端にポンプ圧に応じた第1パイロット圧p3を上方に向かって受圧する。また、第2バルブブロック42内には、ばね部材31が設けられており、ばね部材31は、この第1パイロット圧p3に抗する方向(即ち、図2の下方)に向かって弁体14aの他端(図2の上端)を付勢している。また、第2バルブブロック42には、調整ねじ42bが設けられており、この調整ねじ42bを進退させることで、ばね部材31のばね力を調整できるようになっている。
【0057】
更に、第2バルブブロック42には、パイロット通路32が形成されている。パイロット通路32は、第2バルブブロック42のばね部材31が収容される空間を介して弁体14aの他端に繋がっている。これにより、弁体14aの他端には、パイロット通路32により導かれた油圧が第2パイロット圧p4として第1パイロット圧p3に抗する方向に作用している。また、パイロット通路32は、第3バルブブロック43にも延在しており、第3バルブブロック43の上部に備わる設定負荷圧切換装置15の電磁方向切換弁33に接続されている。また、第3バルブブロック43には、連通路50aを介して電磁方向切換弁33とポンプポート45aとを繋ぐ第1通路51、及び方向切換弁35から電磁方向切換弁33まで延在するブレーキ解除通路37が形成されている。更に、第3バルブブロック43の前面には、図5に示すように低圧側リリーフ弁34が備わっている。
【0058】
低圧側リリーフ弁34は、第3バルブブロック43に形成される第2通路52によって電磁方向切換弁33に接続されており、また第3バルブブロック43に形成される第3通路53によって連通路50bを介してタンクポート44bに接続されている。低圧側リリーフ弁34は、ポペット34aを有し、このポペット34aが弁座34bに着座している。低圧側リリーフ弁34は、第2通路52を介して電磁方向切換弁33から導かれるポンプ圧をポペット34aが受圧し、前記ポンプ圧が第1リリーフ圧以上のときにポペット34aが弁座34bから離れて開弁するようになっている。この低圧側リリーフ弁34は、ポペット34aを弁座34bに向かって付勢するばね部材34cを有しており、調整ねじ34dを進退させることでばね部材34cによる付勢力を調整し、第1リリーフ圧を調整できるようになっている。
【0059】
また、第2バルブブロック42の前面には、高圧側リリーフ弁38が設けられている。高圧側リリーフ弁38は、図示しないが、ブレーキ解除通路37に接続されている。高圧側リリーフ弁38は、図6に示すようにポペット38aとばね部材38bと調整ねじ38cを有している。高圧側リリーフ弁38は、低圧側リリーフ弁34と同じ構造を有しており、その説明については省略する。
【0060】
このように構成される3つのバルブブロック41〜43は、第1及び第2バルブブロック41,42の間に第3バルブブロック43を挟むように取付けるだけで、各通路が接続されて方向流量制御弁12、リリーフ弁14、及び設定負荷圧切換装置15が接続されるようになっている。このように、第1及び第2バルブブロック41,42の間に第3バルブブロック43を挟むサンドイッチ構造であるので、取付が容易である。また、サンドイッチ構造であるので、方向流量制御弁12及びリリーフ弁14と設定負荷圧切換装置15とを接続する配管を別途設ける必要がなく、部品点数をあまり増やすことなく切換機能を追加することができる。また、第1及び第2バルブブロック41,42は、それらの間から第3バルブブロック43を抜くことで油圧駆動システム1から設定負荷圧切換装置15を取外すことができるようになっており、その着脱が容易な構成になっている。
【0061】
更に、設定負荷圧切換装置15が電磁方向切換弁33及び低圧側リリーフ弁34の簡単な構成によって実現することができるので、油圧駆動システム1の構成を簡単にすることができ、製造コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 油圧駆動システム
2 旋回用モータ
11 油圧ポンプ
12 方向流量制御弁
13 レギュレータ
14 リリーフ弁
15 設定負荷圧切換装置
17 切換手段
32 パイロット通路
33 電磁方向切換弁
34 低圧側リリーフ弁
38 高圧側リリーフ弁
40 バルブアッセンブリ
41 第1バルブブロック
42 第2バルブブロック
43 第3バルブブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキクレーンのアクチュエータに接続され、吐出容量が変更可能な可変容量形ポンプと、
前記アクチュエータと前記可変容量形ポンプとの間に設けられ、前記可変容量形ポンプから吐出される圧液の方向及び流量を制御する方向流量制御弁と、
前記可変容量形ポンプの圧液により駆動し、前記可変容量形ポンプの吐出容量を切換え可能なポンプレギュレータと、
前記方向流量制御弁の上流の圧力と設定負荷圧との差圧が予め定められた値になると前記方向流量制御弁の上流側を流れる圧液を逃すリリーフ弁と、
前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を遮断するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記リリーフ弁の設定負荷圧を第1設定負荷圧に切換え、前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を許容するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記リリーフ弁の設定負荷圧を第2設定負荷圧に切換える設定負荷圧切換手段とを備え、
前記第2設定負荷圧は、前記方向流量制御弁の下流側の圧力に設定され、
前記第1設定負荷圧は、第2設定負荷圧より低く、且つ前記ポンプレギュレータを駆動可能な駆動下限圧以上に設定されている、デッキクレーンの液圧駆動システム。
【請求項2】
第2設定圧が前記方向流量制御弁の下流側での使用可能な上限圧力になると前記方向流量制御弁の下流側の圧液を逃がす高圧側リリーフ弁を設けられている、デッキクレーンの液圧駆動システム。
【請求項3】
前記方向流量制御弁を備える第1ブロックと、前記リリーフ弁を備える第2ブロックとを備え、
前記設定負荷圧切換手段は、第3ブロックに設けられ、第3ブロックを前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間に挟み込むように取付けることによって前記方向流量制御弁及び前記リリーフ弁に接続されるようになっている、請求項1又は2に記載のデッキクレーンの液圧駆動システム。
【請求項4】
前記リリーフ弁は、前記方向流量制御弁と前記ポンプとを繋ぐ主通路の液圧に応じた第1パイロット圧を開方向に受圧し、前記第1パイロット圧に抗するように閉方向にパイロット通路を通じて導かれる液圧に応じた第2パイロット圧を受圧し、
前記設定負荷圧切換手段は、前記パイロット通路に接続される切換弁と、前記切換弁に接続される低圧側リリーフ弁とを有し、
前記切換弁は、前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を遮断するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記パイロット通路を前記低圧側リリーフ弁に接続し、前記前記可変容量形ポンプから前記アクチュエータへの圧液の供給を許容するように前記方向流量制御弁が圧液の方向を制御すると前記パイロット通路を前記方向流量制御弁の下流側に接続するようになっており、
前記低圧側リリーフ弁は、前記パイロット通路の液圧が前記第1設定負荷圧以上になると圧液を逃すようになっている、請求項1乃至3に記載のデッキクレーンの液圧駆動システム。
【請求項5】
前記方向流量制御弁のスプールを移動させるスプール駆動装置を備え、
前記方向流量制御弁は、前記スプールの位置に応じて圧液の方向を切換えるようになっており、
前記スプール駆動装置は、前記可変容量形ポンプに接続され、前記可変容量形ポンプからの圧液を用いて前記スプールを動かすようになっている、請求項1乃至5の何れか1つに記載のデッキクレーンの液圧駆動システム。
【請求項6】
前記ポンプレギュレータは、前記方向流量制御弁が圧液の流れを許容すると前記可変容量形ポンプの吐出容量を増加させ、前記可変容量形ポンプの吐出容量を減少させるようになっている、請求項1乃至5の何れか1つに記載のデッキクレーンの液圧駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101931(P2012−101931A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254004(P2010−254004)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】