説明

デュアルメタルゲートデバイスの形成方法

異種金属により形成されるデュアルメタルゲートを備えるMOSトランジスタ(10)を形成する方法を提供する。HfOのようなゲート誘電体(34)を半導体基板(31)の上に堆積させる。次に、犠牲層(35)をゲート誘電体(34)を覆うように堆積させる。犠牲層(35)をパターニングして、基板(31)の第1領域(32)(例えばpMOS)の上のゲート誘電体(34)が露出し、かつ基板(31)の第2領域(33)(例えばnMOS)の上のゲート誘電体(34)が犠牲層(35)によって保護されたままになるようにする。第1ゲート導体材料(51)を残りの犠牲領域(35)の上に、かつ露出したゲート誘電体(34)の上に堆積させる。基板(31)の第2領域(33)の上の第1ゲート導体材料(51)がエッチングにより全て除去されるように第1ゲート導体材料(51)をパターニングする。第1ゲート導体材料(51)を取り除く際に、第2領域(33)上の犠牲層(35)は、下層の誘電体材料(34)にダメージが加わるのを防止するように機能することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して半導体デバイスの設計及び形成に関し、特にデュアルメタルゲートを有し、デュアルメタルゲートの形成をゲート下の誘電体材料へのダメージが緩和されるように行なうことができる金属酸化物半導体(MOS)デバイスの設計及び形成に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス技術は、サブミクロンパターンサイズの領域に向かって高性能化し続けざるを得ない。パターンサイズが小さくなる結果として、長チャネルデバイスに2次効果しかもたらすことができなかったことにより一度は無視されたデバイス設計及び形成の局面が今では重要になっており、かつ従来のデバイス設計及び形成技術に加える非常に多くの変更を有効にした。例えば、従来のMOSトランジスタのチャネル長及びゲート酸化膜厚の縮小を過度に行なうと、ポリシリコンゲートの空乏化、ゲート抵抗の上昇、ゲートトンネル電流の増大、及びドーパント(すなわちボロン)のデバイスチャネル領域への突き抜けの問題を悪化させる。特に、これまでポリシリコンをゲート導体として、かつ二酸化シリコンをゲート誘電体として使用してきたCMOS技術では現在、デュアルメタルゲート導体及び金属酸化物(MeOx)ゲート誘電体の使用が検討されている。
【0003】
MeOxゲート誘電体材料は、これらの材料がかなり高い誘電率(K)を示し、厚いゲート誘電体層を堆積誘電体層の物理特性及び電気特性に悪影響を及ぼすことなく堆積させることができるので有利である。例えば、薄い酸化膜は大きな電界によってストレスが加えられると、破壊をもたらすブレークダウンを起こし易い。SiOは特に、約12mv/cmの最大電界に耐えることができる。多くの遷移金属酸化物がこの用途におけるSiOの代替物として適切であることが判明しており、このような遷移金属酸化物としては、例えばジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ランタン、ストロンチウム、チタン、及びこれらの金属の組合せの酸化物が挙げられる。
【0004】
ゲート誘電体の高性能化に加えて、メタルゲートをポリシリコンの代わりに使用する手法が大きな注目を集めている。メタルゲートはゲートの空乏化及びボロンの突き抜け現象を防止するだけでなく、非常に低いシート抵抗を実現する。一つの手法では、モノリシックゲート構造をCMOS設計に取り入れることができる。この手法では一貫して、シリコンの価電子帯と伝導帯との間のほぼ中央に仕事関数を有する金属を用いている。しかしながら、金属の仕事関数をこのような値にすると、結果として得られるデバイスのしきい値電圧Vが高くなり過ぎてチャネルドーピングを容易に制御する、ということができない。Vを下げるためのチャネルにカウンター(打ち返し)ドーピングを行なうと他の問題、例えば短チャネル特性及びターンオフ特性の悪化が生じる。従って、高密度デュアルメタルゲートの構成において一つの解決方法をCMOS設計に適用することが提案されている。MeOxゲート誘電体及び高密度デュアルメタルゲート導体に関して予測されるCMOSトランジスタ設計について以下に記載する。
【0005】
図1は、MeOxゲート誘電体11及び高密度デュアルメタルゲート導体12を組み込んだ先行技術によるCMOSトランジスタ10の簡易断面図である。CMOSトランジスタ自体は、通常nウェル(図示せず)に形成されるpMOSトランジスタ101及びpウェル(図示せず)に形成されるnMOSトランジスタ102を含む。デバイス設計者は、CMOSトランジスタ10がトレンチアイソレーション(図1には示さず)を基板に含んでpMOSトランジスタ101をnMOSトランジスタ102から分離するということをアプリオリにわかっている(論理や認識に先立って絶対的かつ自明なものとしてわかっている)。ゲート誘電体11は、pMOSトランジスタ101及びnMOSトランジスタ102の両方を覆うように半導体基板表面の上に堆積させる。上に提案したように、CMOSトランジスタ10はまた、デュアルメタルゲート導体12を第1メタルゲート導体121及び第2メタルゲート導体122の形で組み込む。第1メタルゲート導体121はpMOS領域101を覆うようにゲート誘電体11の上に堆積させて、形成する。第2メタルゲート導体122は第1メタルゲート導体121を覆うように堆積させ、かつnMOS領域102を覆うようにゲート誘電体11の上に堆積させる。
【0006】
上に示したように、かつ今から説明する理由により、デュアルメタルゲート導体121及び122は異種金属材料により形成される。詳細には、第1メタル導体121(pMOS領域101の上に形成される)の仕事関数がシリコンの価電子帯に近く、かつ第2メタル導体122(nMOS領域102の上に形成される)の仕事関数がシリコンの伝導帯に近い場合、好ましい性能が得られることが判明している。実際、ゲート長が50ナノメートル未満のバルクCMOSに関して、それぞれの仕事関数をシリコンのバンド端(価電子帯及び伝導帯)の約0.2eVの内側に有する2つの異なるゲート金属があることがかなり良く知られている。従って、メタルゲート導体121の候補として、レニウム、イリジウム、白金、モリブデン、ルテニウム、及びルテニウム酸化物が挙げられ、メタルゲート導体122の候補として、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、及び窒化タンタルが挙げられる。しかしながら、上に列挙した物質が全てを網羅していると考えるべきではなく、他の金属、合金、または化合物がデュアルメタルゲート構造のゲート導体として使用するために適する、または適することが分かっている。
【0007】
通常、CMOSトランジスタ10のゲート構造を形成するための既存のプロセスは図2に概略を示すように進行する。基板表面上にMeOxゲート誘電体11を堆積させた後、第1メタルゲート導体121を、好適には化学気相成長(CVD)法により堆積させるが、物理気相成長(PVD)または原子層堆積(ALD)のような他の堆積法も利用することができる。次に、第1金属材料をフォトリソグラフィ法によりパターニングしてpMOS領域101上の第1金属材料をフォトレジスト21によって保護する。次に図2に示すように、金属除去エッチングを行ってnMOS領域102上の覆う第1金属材料を誘電体層11の位置まで取り除く。一の実施形態では、金属除去は、硫酸、過酸化水素、及び水から成る溶液の中でウェットエッチングすることにより行なうことができる。次に第2金属材料を堆積させると、図1に具体的に示す構造が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上のプロセスによってnMOS領域102上の領域のゲート誘電体11にダメージが加わる恐れがある。ゲート誘電体11のダメージに弱い領域は図2の破線領域111で示す。この問題の原因は図2を参照すれば理解することができる。まず、nMOS領域102を覆う領域のゲート誘電体11は2つの金属堆積工程に送られる。すなわち、最初に第1金属材料を堆積させ、次に第2金属材料を堆積させる。しかしながら恐らくは更に有害な形で、nMOS部分のゲート誘電体11が、nMOS領域上の第1金属材料の選択エッチングに適用される金属除去エッチングプロセスに晒される。nMOS領域102上の第1金属121を除去すると、ほとんど間違いなく露出ゲート誘電体にダメージが加わる。
【0009】
上記プロセスは、或る強固なMeOx材料(例えばHfO)をゲート誘電体材料として使用する場合に適用が可能であることが示されてきたが、他のゲート誘電体は上述のデュアルメタル集積化プロセスを実施するとダメージを受けると予想することができる。従って、必要なのは、MeOx誘電体層に損傷を与えることなくデュアルメタルゲートデバイスを形成する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下において一層明瞭になるように、本発明は一の態様では、例えばCMOSトランジスタのような半導体デバイスを形成する方法であり、この半導体デバイスは、少なくとも2つのそれぞれ異なる金属材料により形成される高密度ゲート導体を有する。今まで、MeOxゲート誘電体を高密度にCMOSデバイスに形成するためには、MeOx層で停止する金属除去エッチングが必要であり、このエッチングによって、第2ゲート導体材料を堆積させるために第1ゲート導体材料の一部を除去することができる。第1ゲート導体材料を除去するエッチングによって下層のMeOxにダメージが加わることが分かっている。ここに記載する形成プロセスによって下層のゲート誘電体に加わる可能性のあるダメージを未然に防止するが、これはゲート誘電体を犠牲層(例えばSiO)で保護することにより行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
デュアルメタルゲートデバイスを形成するための本方法については、この技術分野の当業者が、直ぐ下に簡単な形で示し、かつここに添付する図を参照することにより、より一層深く理解することができ、更に本方法の多くの特徴、利点、及び機能が当業者に明らかになるが、これらの図の幾つかの図においては、同じ参照番号(あるとすれば)は同じ、または同様な構成要素を指す。
【0012】
当業者であれば、図の構成要素は説明を簡単かつ明瞭にするために示され、必ずしも寸法通りには描かれていない(記述において特に断らない限り)。例えば、図の幾つかの構成要素の寸法を他の構成要素に対して誇張して描いて本発明の実施形態に対する理解を容易にし、かつ深めることができる。
【0013】
デュアルメタルゲートデバイスを形成するための本方法を完全に理解するために、添付の請求項を含む詳細な記述を添付の図と関連付けながら参照する。
以下において一層明瞭になるように、本発明は一の態様では、例えばCMOSトランジスタのような半導体デバイスを形成する方法であり、この半導体デバイスは、少なくとも2つのそれぞれ異なる金属材料により形成される高密度ゲート導体を有する。今まで、MeOxゲート誘電体を高密度にCMOSデバイスに形成するためには、MeOx層で停止する金属除去エッチングが必要であり、このエッチングによって、第2ゲート導体材料を堆積させるために第1ゲート導体材料の一部を除去することができる。第1ゲート導体材料を除去するエッチングによって下層のMeOxにダメージが加わることが分かっている。ここに記載する形成プロセスによって下層のゲート誘電体に加わる可能性のあるダメージを未然に防止するが、これはゲート誘電体を犠牲層(例えばSiO)で保護することにより行なわれる。
【0014】
本発明を理解するためには図3〜図6を分析すると便利であり、これらの図はいずれも、デュアルメタルゲートCMOSトランジスタの形成を模式的に示すプロセスフローの核心となる局面を構成する。しかしながらここで、本明細書に記載する本発明に関して、CMOSデバイスの形成に発明の適用可能性が限定されるのではないことを理解されたい。
【0015】
次に図3に注目すると、従来の方法に従って半導体基板31が設けられる。基板31にはpMOSトランジスタ32及びnMOSトランジスタ33を形成することができる。能動素子領域を基板31に形成する方法はこの技術分野の当業者には公知であるので、図3に詳細は示さない。一般的に基板31は低不純物濃度n型またはp型単結晶シリコンを構成する、と説明するだけで十分である。基板に不純物を導入した後、pMOSトランジスタ32を収容するためにnウェル(図示せず)を基板31に形成し、そしてnMOSトランジスタ33を収容するためにpウェル(図示せず)を形成する。普通、ここに提案するようなツインウェル構造に関連する説明を行なうと、nウェルは、pMOSトランジスタ32を形成することになる基板31の領域に注入を選択的に行なうことによって形成し、そしてpウェルは、nMOSトランジスタ33を形成することになる基板31の領域に注入を選択的に行なうことによって形成する。一の実施形態では、nウェルはそれ自体を、p型導電性を有するタブ(tub:図示せず)の内部に閉じ込めることができる。別の実施形態では、基板31は低不純物濃度エピタキシャル層を含むことができ、このエピタキシャル層は高不純物濃度バルクシリコンを覆うように形成される。すなわち、基板31は実際にはPバルクシリコンに形成されるPエピタキシャル層とすることができる。公知のように、n型導電領域はリンまたは砒素の注入により形成することができ、p型導電領域はボロンまたはアンチモンの注入により形成することができる。実際には、デバイスのpMOS領域及びnMOS領域は絶縁構造(図示せず)によって分離される。種々の絶縁方法が知られており、この方法にはLOCOS分離、シャロートレンチアイソレーション、ディープトレンチアイソレーションなどが含まれる。絶縁分離方法に関する図及び記載はここでは改めて示すものでもないと考えられるので、説明を明瞭かつ簡単にするために省略している。更に、シリコンオンインシュレータ(SOI)構造をCMOSデバイスの形成に用いることもできるので、本発明をSOI技術に同じように適用することができる。
【0016】
図3を続いて参照すると、ゲート誘電体材料34が基板31の表面311の上に形成されることが分かる。好適な実施形態では、誘電体材料34はMeOxである。好適な実施形態では、MeOx34はHfOとすることができる。しかしながら、他の適切な金属酸化物として、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ランタン、ストロンチウム、チタン、シリコン、及びこれらの材料の組合せの酸化物または酸窒化物が挙げられる。MeOxゲート誘電体の利点は上に列挙してきた。次に、犠牲層35を、一の実施形態では、50〜500オングストロームの厚さに、ゲート誘電体層34を覆うように形成する。犠牲層35は、公知の方法により堆積させるSiOとすることができる。しかしながら、有機ポリマー、フォトレジスト、Siなどのような他の材料も使用することができる。層35が重要であることが以下に明らかになる。
【0017】
この時点で、フォトレジスト層36を犠牲層35の上に形成し、そして犠牲層35の内のpMOS領域の上の部分351が露出し、そして犠牲層35の内のnMOS領域の上の部分352がフォトレジスト36によって保護されるようにパターニングする。図3を参照されたし。好適な実施形態では、ウェット化学エッチング工程において、犠牲酸化物の内のpMOS領域の上の誘電体材料を覆う部分351を除去する。詳細には、犠牲酸化物層35がSiOの場合、除去は、下層のMeOx層34を侵食しないHF溶液を使用して行なうことができる。このプロセス工程を実施した結果を図4に示す。ここで、誘電体材料34上の犠牲層35の残留部分352がnMOS領域を覆うことに注目されたい。
【0018】
残留犠牲層352が正規の位置に形成されると、第1ゲート導体材料51を、pMOS領域を覆う誘電体材料34の上、及び残留犠牲層352の上に堆積させる。一の実施形態では、第1ゲート導体材料51は、例えばIrとすることができ、かつ50〜500オングストロームの厚さを有することができる。第1メタルゲート導体材料51の他の候補としては、レニウム、白金、モリブデン、ルテニウム、及びルテニウム酸化物が挙げられる。プロセスのこの段階で得られる結果は、図5に示す初期ゲート構造である。
【0019】
次のプロセス工程では、第1ゲート導体材料51を、フォトレジスト61を使用してパターニングする。すなわち、フォトレジスト層61は、第1ゲート導体材料の内のpMOS領域の上に位置する部分を覆うように形成される。次に、第1ゲート導体51の内、デバイスのnMOS領域の上の露出部分に対して金属除去工程を実施して露出部分を犠牲層の位置まで、恐らくは犠牲層にまで食い込む形で除去する。ゲート導体の除去は、ガスを使用するプラズマドライエッチングにより行なうことが好ましい。先行技術では、プラズマエッチングによって下層のMeOx層が必ずアタックされる。図2を参照されたし。しかしながら、本発明に関しては、犠牲層352によってこのような有害な効果を排除することができ、かつゲート誘電体を劣化させることなく露出ゲート導体材料を完全に取り除くことができる。この時点で得られる結果を図6に示す。次に残留犠牲層352を適切なウェット化学エッチングにより全て除去し、そしてレジスト61を除去する。
【0020】
図7において、第2ゲート導体材料71を、(i)誘電体34の上、かつpMOS領域32の上に位置する第1ゲート導体材料51を覆い、かつ(ii)nMOS領域33の上の誘電体材料34を覆うように堆積させる。第2ゲート導体材料71はTaSiNとすることができ、かつ50〜500オングストロームの厚さを有することもできる。第2ゲート導体材料71の他の候補としては、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、及び窒化タンタルが挙げられる。その結果、ゲート誘電体の完全性を維持する形成プロセスによりもたらされる非常に優れた性能特性を有する高密度デュアルメタルゲート(MOS)デバイスが得られる。
【0021】
従って、今まで、高密度デュアルメタルゲートCMOSトランジスタを形成するためのプロセスによって、ゲート誘電体材料にダメージが加えられる機会が生じると考えられてきた。先行技術による一の実施形態では、ダメージは主として、nMOSトランジスタのゲート誘電体を覆う第1ゲート導体を除去するために使用する金属エッチングプロセスに選択性が無い結果、加えられることになる。特に、メタルゲート導体材料を除去するために一般的に使用されるガスプラズマエッチング工程によって、下層のMeOxゲート誘電体も直接アタックされる。金属除去工程を実施するために、ゲート誘電体材料のこの部分を覆う犠牲層を挟む形で設ける手法は、単純で分かり易い効果的な対策となる。ゲート誘電体は、犠牲層の除去に使用するウェット化学エッチング(例えばHF溶液中で)による侵食に対して容易に耐える。
【0022】
ここで、本発明について本明細書では、第1ゲート導体がまずCMOSトランジスタのpMOS領域の上に形成され、続いて第2ゲート導体がnMOS領域の上に形成される特定の実施形態を参照しながら記載してきた。別の実施形態では、第1ゲート導体はトランジスタのnMOS領域の上に形成することができる。この場合、nMOS特性に一層適合する金属(例えばTaSiN)をまず堆積させる。上に記載した形成プロセスに正確に類似する方法で、第2ゲート導体を続いて、nMOSデバイスを覆う第1ゲート導体の上、及びpMOSデバイスを覆うゲート誘電体の上に形成する。本例の第2金属導体も、例えばIrとすることができる。ここでの重要な点は、本発明が高密度デュアルメタルゲート導体を形成するために、犠牲層を設けてゲート誘電体を保護する別のプロセスシーケンスを含むことである。しかしながら、ゲート導体を堆積させるシーケンスに関係なく、該当するゲート導体材料を上に特定した方法により、導体を形成するための下地となるデバイス領域の導電型に一致させる必要があることが重要な点である。
【0023】
更に、金属除去のための多くのドライまたはウェットエッチングまたはプロセスを使用して金属層をデュアルメタルゲートの形成過程において除去することができる。同様に、本発明ではSiOを犠牲層として使用することを考えているが、有機ポリマー、フォトレジスト、Siなどを含むがこれらの材料に限定されない他の材料を犠牲層35として使用すれば良好な結果が得られる。この点に関して、犠牲層自体の除去は、犠牲層35の除去に使用する工程によって下層の誘電体に検出できるほどの劣化が生じないとすると、ドライエッチングまたはウェットエッチングまたは別の利用可能な除去プロセスによって行なうことができる。
【0024】
上の記載に従って形成されるデュアルメタルCMOSデバイスから得られる実験データを収集すると、ゲート容量及びゲートリーク電流のようなデバイス特性が本発明によって大きく改善されることが分かる。詳細には、特に−1.0〜+1.0ボルトのゲート電圧が印加されているときのゲート容量は、本発明の利点を用いることなく形成されるデュアルメタルゲートデバイスが示すゲート容量よりもかなり小さい。同様に、ゲートリーク電流が0〜2.0ボルトのゲート電圧範囲の大部分に渡ってほぼ2桁小さいことが判明した。
【0025】
更に、賢明な製造業者は、例えばnMOS領域の上の犠牲層の堆積及びそれに続く除去自体が、下層のゲート誘電体へのダメージをもたらし得るのではないかと疑念を抱くが、実験による分析によれば、犠牲層の除去によってゲート特性の劣化が全く生じることがないことが判明している。すなわち、MeOxゲート誘電体はウェット化学エッチング(例えばHF溶液中における)を使用する犠牲層の除去の影響を受けない。単一のメタルゲート導体をMeOxゲート誘電体の上に堆積させる構成であって、犠牲層を除去する中間工程のないごく単純な構成のプロセスに従って形成された基準デバイスと比較すると、本発明に従って形成されるデバイスは、ほぼ同等のゲート容量及びゲートリーク特性を有することが判明した。
【0026】
従って、上の記述においては、本発明について、例示的な形で、かつ本発明を完全に理解できるような形で、特定の多くの実施形態に関連して示してきた。しかしながら、半導体不揮発性メモリデバイスの設計及び形成に関与するこの技術分野の当業者であれば、種々の変形及び変更を、特定の形で記載した実施形態に、本発明の技術範囲から逸脱しない範囲において加え得ることが理解できるであろう。従って、本発明は、添付の請求項の表現上の技術範囲に含まれる全ての主要事項のみならずこれらの主要事項の等価物を包含するものとして捉えられるべきである。例えば、本発明は本明細書において指定される特定の材料及び厚さに限定されるものとして解釈されるべきではない。同様に、この技術分野の当業者であれば、必須の一貫性が維持されると仮定すると、導電型(P型、N型)は普通、逆にすることができることが理解できる。従って、記述及び図は、制限的な意味ではなく、本発明の例示として正しく解釈され、その結果、記述及び図に対する全ての変形、または記述及び図の波生物が本発明の技術範囲に含まれるものであると理解される。
【0027】
同様に、効果、利点、機能、及び動作上の問題、または他の技術的問題に対する解決法について、本明細書に提示したように本発明の特定の実施形態に関して列挙してきた。しかしながら、効果、利点、機能、及び問題解決法、及びこのような効果、利点、機能、及び問題解決法をもたらし、またはさらに顕著にし得る、或いは顕著にさせるすべての要素(群)または制限事項(群)が、明示的な形で、或いは黙示または禁反言によるかを問わず、いずれかの請求項または全ての請求項の必須の、必要な、または基本的な要素、或いは制限事項であると考えられる、または解釈されるべきではない。更に、本明細書で使用されるように、「comprises」、「comprising」という用語、または他のすべてのこれらの変形は包括的な意味で適用されるものであり、引用した一連の要素を備えるプロセス、方法、製品、または装置がこれらの引用要素のみを含むだけでなく、明らかには引用されていない、または列挙されていないがそのようなプロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素も含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】先行技術によるMeOxゲート誘電体(11)及び高密度デュアルメタルゲート(121,122)導体を組み込んだCMOSトランジスタの簡易断面図。
【図2】図1のデバイスの形成過程において行われる金属除去エッチング工程を図に表わしたものであり、ダメージが先行技術によるゲート誘電体に加わる様子を示す断面図。
【図3】本発明による模式的なプロセスフローを構成する図であり、かつ犠牲層を使用してゲート誘電体へのダメージを回避することができる様子を示す断面図。
【図4】本発明による模式的なプロセスフローを構成する図であり、かつ犠牲層を使用してゲート誘電体へのダメージを回避することができる様子を示す断面図。
【図5】本発明による模式的なプロセスフローを構成する図であり、かつ犠牲層を使用してゲート誘電体へのダメージを回避することができる様子を示す断面図。
【図6】本発明による模式的なプロセスフローを構成する図であり、かつ犠牲層を使用してゲート誘電体へのダメージを回避することができる様子を示す断面図。
【図7】本発明による模式的なプロセスフローを構成する図であり、かつ犠牲層を使用してゲート誘電体へのダメージを回避することができる様子を示す断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有し、かつ第1領域及び第2領域を有する半導体基板を設けるステップと、
第1領域を覆い、かつ第2領域を覆う表面の上にゲート誘電体を形成するステップと、
犠牲層をゲート誘電体の上に形成するステップと、
第1領域上のゲート誘電体が露出し、かつ残りの犠牲層が第2領域上のゲート誘電体を保護すべく前記犠牲層をパターニングするステップと、
第1ゲート導体材料を露出ゲート誘電体の上に、かつ残りの犠牲層の上に堆積させるステップと、
第1ゲート導体材料をパターニングして残りの犠牲層が露出するようにするステップと、
残りの犠牲層を除去して第2領域上のゲート誘電体を露出させるステップと、
第2ゲート導体材料をパターニング済みの第1ゲート導体材料を覆い、かつ第1ゲート導体材料をパターニングしたことにより露出したゲート誘電体を覆うように堆積させるステップとを備える、半導体デバイスの製造方法。
【請求項2】
表面を有し、かつ第1領域及び第2領域を有する半導体基板を設けるステップと、
第1領域を覆い、かつ第2領域を覆う表面の上にゲート誘電体を形成するステップと、
ゲート誘電体を保護して後続の金属エッチングの影響を受けないようにするステップと、
第1金属を第1領域上の露出したゲート誘電体の上に堆積させるステップと、
第2領域上の第1金属をエッチングして全て除去するステップとを備える、半導体デバイスの製造方法。
【請求項3】
第1導電型の第1領域及び第2導電型の第2領域を有する半導体基板を設ける工程と、
誘電体材料を、第1領域を覆い、かつ第2領域を覆う基板の表面の上に形成する工程と、
犠牲層を形成して、第1領域上の誘電体材料が露出し、かつ第2領域上の誘電体材料が残りの犠牲層によって保護されるようにする工程と、
第1ゲート導体材料を露出誘電体材料の上に堆積させる工程と、
残りの犠牲層を除去して第2領域上のゲート誘電体(第1ゲート導体材料)を露出させる工程と、
第2ゲート導体材料を、第2領域を覆う露出したゲート誘電体(第1ゲート導体材料)の上に堆積させる工程とを備える方法によって製造された半導体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524992(P2007−524992A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508738(P2006−508738)
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/004326
【国際公開番号】WO2004/095527
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】