説明

デューティ比補正回路及びデューティ比補正方法

【課題】非同期信号のデューティ比を補正可能なデューティ比補正回路を提供すること。
【解決手段】本発明に係るデューティ比補正回路は、第1クロック信号が入力されるクロック用入力バッファと、補正信号に基づいて、前記クロック用入力バッファから出力される第2クロック信号のデューティ比を調整して第3クロック信号を生成するクロック用デューティ調整回路と、第1データ信号が入力されるデータ用入力バッファと、前記補正信号に基づいて、前記データ用入力バッファから出力される第2データ信号のデューティ比を調整して第3データ信号を生成するデータ用デューティ調整回路と、前記第3クロック信号に基づいて、前記補正信号を生成するデューティ比較回路と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デューティ比補正回路及びデューティ比補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ等の高速化、低電圧化によりメモリのインターフェースの高速化が進んでいる。特に、DDR(Double-Data-Rate)方式では、回路内部に伝わったクロックのデューティ比がずれた場合、セットアップホールド特性を悪化させる大きな要因となる。特許文献1、2には、クロックのデューティ比補正方法が開示されている。
【0003】
また、入力回路やその他の回路の特性により、データやアドレス等の非同期信号のデューティ比がずれた場合も、クロックの場合と同様に、セットアップホールド特性を悪化させる大きな要因となる。なお、特許文献3、4にはデータ遅延量を補正する技術が開示されている。
【0004】
図8は、本発明の課題を説明するための図であって、クロックのデューティ比補正回路の一例を示す図である。このデューティ比補正回路は、データ用の入力バッファ1、クロック用の入力バッファ2、デューティ調整回路4、デューティ比較回路5、ラッチ回路6を備えている。
【0005】
データ用の入力バッファ1は、外部データ信号IN_EXを内部データ信号INへ変換する。そして、内部データ信号INがラッチ回路6に入力される。
クロック用の入力バッファ2は、半導体記憶装置の外部から入力される外部クロック信号CLKを波形整形し、半導体記憶装置内部で用いる信号レベルに変換する。そして、クロック信号P_CLKを出力する。
【0006】
デューティ調整回路4は、デューティ比較回路5からフィードバックされた電位信号DUTY_DCに基づいて、入力バッファ2の出力であるクロック信号P_CLKのデューティ比を補正する。そして、ラッチ回路6及びデューティ比較回路5へ内部クロック信号IN_CLKを出力する。
【0007】
デューティ比較回路5は、内部クロック信号IN_CLKのデューティ比をモニタし、そのデューティ比のずれを、サイクル毎に積分する。そして、電位信号DUTY_DCを出力する。以上の構成により、内部クロック信号IN_CLKのデューティ比補正が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−190196号公報
【特許文献2】特開2007−121114号公報
【特許文献3】特開2006−012363号公報
【特許文献4】特開2006−013990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9(A)には、外部クロック信号CLKに対する外部データ信号IN_EXの理想的な波形を示す。外部クロック信号CLKに対し、データシートなどに記載されているセットアップ時間(TS)及びホールド時間(TH)の期間中、有効(VALID)となるように、外部データ信号IN_EXが入力される。
【0010】
具体的には、外部データ信号IN_EX(H)は、セットアップ時間TS及びホールド時間THの期間中にHとなるように、L→H→Lと変化する。一方、外部データ信号IN_EX(L)は、セットアップ時間TS及びホールド時間THの期間中にLとなるように、H→L→Hと変化する。
【0011】
図9(B)の内部クロック信号IN_CLK、内部データ信号IN(H)、IN(L)は、各々図9(A)の外部クロック信号CLK、外部データ信号IN_EX(H)、IN_EX(L)が、入力バッファ1及び2などを通過し、ラッチ回路6に到達した時点での信号を示している。
【0012】
ここで、内部データ信号IN(H)がH→Lに変化する時間と内部データ信号IN(L)がL→Hに変化したときの時間のずれを、デューティずれ時間TDとする。図9(B)に示すように、入力バッファ1などを通過することにより、内部クロック信号IN_CLKに対するホールド時間THが、データのデューティずれ時間TD分悪化してしまう。従って、上述の通り、データやアドレスのデューティ比も補正する必要がある。
【0013】
ところが、クロック用のデューティ調整回路4及びデューティ比較回路5を、データやアドレス等の非同期信号に対しては適用することができないという問題があった。以下に、この理由を説明する。
【0014】
データやアドレス等の非同期信号は、外部クロック信号CLKに対しデータシートなどに記載されたセットアップ、ホールド時間を満たしていれば、それ以外の時間にはH、Lのいずれの信号レベルであってもよい。
【0015】
そのため、例えば図10のように、内部データ信号INが、外部クロック信号CLKに対し、L→L→Hで変化した場合、データ用の入力バッファ1によるデューティ比ずれがなかったとしても、T_INを周期とする信号のデューティ比を調整しようとする。この場合、デューティ比は1/3=33%で小さいと誤判定されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るデューティ比補正回路は
第1クロック信号が入力されるクロック用入力バッファと、
補正信号に基づいて、前記クロック用入力バッファから出力される第2クロック信号のデューティ比を調整して第3クロック信号を生成するクロック用デューティ調整回路と、
第1データ信号が入力されるデータ用入力バッファと、
前記補正信号に基づいて、前記データ用入力バッファから出力される第2データ信号のデューティ比を調整して第3データ信号を生成するデータ用デューティ調整回路と、
前記第3クロック信号に基づいて、前記補正信号を生成するデューティ比較回路と、を備えるものである。
【0017】
本発明に係るデューティ比補正方法は
入力された第1クロック信号からクロック用入力バッファを介して第2クロック信号を生成し、
入力された第1データ信号からデータ用入力バッファを介して第2クロック信号を生成し、
補正信号に基づいて、前記第2クロック信号のデューティ比を調整して第3クロック信号を生成し、
前記補正信号に基づいて、前記第2データ信号のデューティ比を調整して第3データ信号を生成し、
前記第3クロック信号に基づいて、前記補正信号を生成するものである。
【0018】
第3クロック信号に基づいて生成された補正信号を用いることにより、第2データ信号のデューティ比を調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、非同期信号のデューティ比を補正可能なデューティ比補正回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデューティ比補正回路のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るデューティ比較回路の一例である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るデューティ調整回路の一例である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るデューティ比補正回路のブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るデューティ比較回路の一例である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るデューティ比較回路の内部波形である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るデューティ調整回路の一例である。
【図8】本発明の課題を説明するためのデューティ比補正回路のブロック図である。
【図9】外部データ信号の波形図(a)、内部データ信号の波形図(b)である。
【図10】問題となる入力波形の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。なお、本明細書におけるデータ信号は、アドレス信号を含むものとする。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデューティ比補正回路のブロック図である。このデューティ比補正回路は、例えば半導体記憶装置に用いられる。このデューティ比補正回路は、データ用の入力バッファ101、クロック用の入力バッファ102、データ用のデューティ調整回路103、クロック用のデューティ調整回路104、デューティ比較回路105、ラッチ回路106を備えている。
【0023】
入力バッファ101には、半導体記憶装置の外部からデータやアドレスなどの外部データ信号IN_EXが入力される。入力バッファ101は、入力される外部データ信号IN_EXの波形を整形し、半導体記憶装置内部で用いる信号レベルに変換する。
【0024】
入力バッファ102には、半導体記憶装置の外部から外部クロック信号CLKが入力される。入力バッファ102は、入力される外部クロック信号CLKの波形を整形し、半導体記憶装置内部で用いる信号レベルに変換する。
ここで、入力バッファ101、102は同一の回路構成とするのが好ましい。
【0025】
デューティ調整回路103には、入力バッファ101が接続され、そこから出力されるデータ信号P_INが入力される。また、デューティ調整回路103には、デューティ比較回路105が接続され、そこから電位信号DUTY_DCが入力される。デューティ調整回路103は、電位信号DUTY_DCに基づいて、入力バッファ101から入力されたデータ信号P_INのデューティ比を補正する。そして、ラッチ回路106へ内部データ信号INを出力する。
【0026】
デューティ調整回路104には、入力バッファ102が接続され、そこから出力されるクロック信号P_CLKが入力される。また、デューティ調整回路104には、デューティ比較回路105が接続され、そこからフィードバックされた電位信号DUTY_DCが入力される。デューティ調整回路104は、電位信号DUTY_DCに基づいて、入力バッファ102から入力されたクロック信号P_CLKのデューティ比を補正する。そして、ラッチ回路106及びデューティ比較回路105へ内部クロック信号IN_CLKを出力する。
ここで、デューティ調整回路103、104は同一の回路構成とするのが好ましい。
【0027】
デューティ比較回路105には、デューティ調整回路104が接続され、そこから出力される内部クロック信号IN_CLKが入力される。そして、デューティ比較回路105は、内部クロック信号IN_CLKのデューティ比をモニタし、そのデューティ比のずれを、サイクル毎に積分する。そして、デューティ調整回路103、104に対し、電位信号DUTY_DCを出力する。
【0028】
ラッチ回路106には、上述の通り、デューティ調整回路103、104が接続され、各々によりデューティ比が補正された内部データ信号IN、内部クロック信号IN_CLKが入力される。
【0029】
図2にデューティ比較回路105の一例を示す。
ここで、クロック信号PPは、内部クロック信号IN_CLKと同相で、所定の遅延が加えられたものである。一方、クロック信号PNは、内部クロック信号IN_CLKと逆相で、クロック信号PPと等しい遅延が加えられたものである。
【0030】
クロック信号PP、PNが、PチャネルMOSトランジスタP5、P6及びNチャネルMOSトランジスタN5、N6で構成される差動アンプに入力される。具体的には、クロック信号PP、PNは、それぞれNチャネルMOSトランジスタN5、N6のゲートに入力される。
【0031】
差動アンプを構成するPチャネルMOSトランジスタP5、6のソースは、共に電源VDDに接続されている。PチャネルMOSトランジスタP5、6のドレインは、それぞれNチャネルMOSトランジスタN5、N6のドレインに接続されている。PチャネルMOSトランジスタP5、P6のゲートは、それぞれ自己のドレインに接続されている。
【0032】
差動アンプを構成するNチャネルMOSトランジスタN5、N6のソースは、共に電流源I1の一端に接続されている。電流源I1の他端は、接地されている。NチャネルMOSトランジスタN5、N6のドレインは、それぞれPチャネルMOSトランジスタP5、P6のドレインに接続されている。
【0033】
また、PチャネルMOSトランジスタP5及びNチャネルMOSトランジスタN5のドレインが互いに接続されたノードから差動アンプ出力信号VHDUTYLが出力される。また、このノードには、容量C1の一端が接続されている。容量C1の他端は接地されている。
【0034】
また、PチャネルMOSトランジスタP6及びNチャネルMOSトランジスタN6のドレインが互いに接続されたノードから差動アンプ出力信号VHDUTYHが出力される。また、このノードには、容量C2の一端が接続されている。容量C2の他端は接地されている。
【0035】
内部クロック信号IN_CLKのデューティ比が低い場合、1周期の中でNチャネルMOSトランジスタN5がオンしている期間が短くなり、NチャネルMOSトランジスタN6がオンしている期間が長くなる。その結果、VHDUTYLは上昇し、VHDUTYHは下降していく。従って、VHDUTYH、VHDUTYLの間に電位差が生じる。
反対に、内部クロック信号IN_CLKのデューティ比が高い場合、VHDUTYLは下降し、VHDUTYHは上昇していく。
【0036】
図3にデューティ調整回路104の一例を示す。
ここで、デューティ調整回路104は直列に接続された2つのクロックドインバータ及びインバータ107から構成されている。1段目のクロックドインバータにクロック信号P_CLKが入力され、インバータ107から内部クロック信号IN_CLKが出力される。
【0037】
1段目のクロックドインバータはPチャネルMOSトランジスタP1、P2及びNチャネルMOSトランジスタN1、N2から構成されている。PチャネルMOSトランジスタP1のソースは、電源VDDに、ドレインはPチャネルMOSトランジスタP2のソースに接続されている。PチャネルMOSトランジスタP2のドレインは、NチャネルMOSトランジスタN1のドレインに接続されている。NチャネルMOSトランジスタN1のソースは、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインに接続されている。そして、NチャネルMOSトランジスタN2のソースは接地されている。
【0038】
また、PチャネルMOSトランジスタP2のゲートと、NチャネルMOSトランジスタN1のゲートとには、共にクロック信号P_CLKが入力されている。他方、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートと、NチャネルMOSトランジスタN2のゲートとには、共にデューティ比較回路5から出力される信号VHDUTYLが入力されている。そして、PチャネルMOSトランジスタP2のドレインと、NチャネルMOSトランジスタN1のドレインとが接続されたノードから、1段目のクロックドインバータの出力信号が出力される。
【0039】
2段目のクロックドインバータはPチャネルMOSトランジスタP3、P4及びNチャネルMOSトランジスタN3、N4から構成されている。PチャネルMOSトランジスタP3のソースは電源VDDに、ドレインはPチャネルMOSトランジスタP4のソースに接続されている。PチャネルMOSトランジスタP4のドレインは、NチャネルMOSトランジスタN3のドレインに接続されている。NチャネルMOSトランジスタN3のソースは、NチャネルMOSトランジスタN4のドレインに接続されている。そして、NチャネルMOSトランジスタN4のソースは接地されている。
【0040】
また、PチャネルMOSトランジスタP4のゲートと、NチャネルMOSトランジスタN3のゲートとには、1段目のクロックドインバータからの出力信号が入力される。他方、PチャネルMOSトランジスタP3のゲートと、NチャネルMOSトランジスタN4のゲートとには、デューティ比較回路5から出力される信号VHDUTYHが入力される。そして、PチャネルMOSトランジスタP4のドレインと、NチャネルMOSトランジスタN3のドレインとが接続されたノードから、2段目のクロックドインバータの出力信号DRVCLKが出力される。
【0041】
インバータ107には、2段目のクロックドインバータの出力信号DRVCLKが入力される。そして、インバータ107は2段目のクロックドインバータの出力信号DRVCLKを反転、整形し、内部クロック信号IN_CLKとして出力する。
【0042】
次に、動作について説明する。
例えば、クロック信号P_CLKのデューティ比が50%より高い場合、VHDUTYHがVHDUTYLよりも大となる。そのため、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートソース間電圧(Vgs)が上昇し、NチャネルMOSトランジスタN2のゲートソース間電圧(Vgs)が低下する。従って、第1段目のクロックドインバータの出力は内部クロック信号IN_CLKよりもデューティ比が大きくなる。
【0043】
この場合、2段目のクロックドインバータでは、VHDUTYHが大きいため、PチャネルMOSトランジスタP3のゲートソース間電圧(Vgs)は低下し、NチャネルMOSトランジスタN4のゲートソース間電圧(Vgs)は上昇する。従って、VHDUTYHがVHDUTYLよりも大きい場合、第2段目のクロックドインバータの出力信号DRVCLKのデューティ比が低下する。
【0044】
逆に、クロック信号P_CLKのデューティ比が50%より低い場合、第2段目のクロックドインバータの出力信号DRVCLKのデューティ比が上昇する。
【0045】
デューティ比50%の正常な入力信号に対し、デューティ比がずれる要因は主に入力バッファの"H"の伝達時間(外部クロック信号CLKが"H"になってからクロック信号P_CLKが"H"になるまでの時間)と"L"の伝達時間(外部クロック信号CLKが"L"になってからクロック信号P_CLKが"L"になるまでの時間)の差分である。この伝達時間を一致させることにより、デューティ比ずれを補正する。
【0046】
一方、非同期外部データ(アドレス)も同様に"H"の伝達時間(IN_EXが"H"になってからP_INが"H"になるまでの時間)と"L"の伝達時間(IN_EXが"L"になってからP_INが"L"になるまでの時間)の差分が生じる。これがデータ(アドレス)のデューティ比のずれである。
【0047】
本実施の形態のように、同期信号であるクロック信号P_CLKと非同期信号であるデータ信号P_INのデューティ比のずれは、同一の回路構成の入力バッファを用いれば同等になる。従って、クロック信号P_CLKのデューティ比補正値(本実施の形態では、電位信号DUTY_DC)をデータ信号P_INのデューティ調整回路に入力することにより、データ信号P_INのデューティ比補正を行うことができる。
【0048】
(実施の形態2)
次に、図4を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
ここで、実施の形態1に係るデューティ調整回路103、104の回路構成と、本実施の形態に係るデューティ調整回路203、204の回路構成とが相違する。また、実施の形態1に係るデューティ比較回路105と、本実施の形態に係るデューティ比較回路205とが相違する。さらに、本実施の形態では、デューティ比較回路205の後段に制御回路208が付加されている。
【0049】
このような構成により、実施の形態1に係るデューティ比較回路105から出力される電位信号DUTY_DCに代わり、制御論理信号DUTY_SELが制御回路208から出力され、デューティ調整回路203、204に入力される。この制御論理信号DUTY_SELは、電位信号DUTY_DCよりもノイズに対して安定した動作を期待することができる。その他の構成は図1と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
図5は本実施形態に係るデューティ比較回路205の一例である。デューティ比較回路205は、電流源I2、比較対象クロックの入力MOSトランジスタN10、N11、負荷MOSトランジスタP13、P14、プリチャージMOSトランジスタP10、P11、P12、入力制御回路212a、212b、容量C3〜C6、出力を比較するコンパレータ216から構成されている。
【0051】
プリチャージMOSトランジスタP10、P11、P12は、いずれもPチャネルトランジスタである。プリチャージMOSトランジスタP10、P11、P12のゲートには、いずれもプリチャージ信号PREが入力される。プリチャージMOSトランジスタP10、P11のソースは電源VDDに接続されている。プリチャージMOSトランジスタP10、P11のドレインは、それぞれプリチャージMOSトランジスタP12のソース又はドレインに接続されている。
【0052】
負荷MOSトランジスタP13、P14は、いずれもPチャネルトランジスタである。負荷MOSトランジスタP13、P14のソースは、それぞれプリチャージMOSトランジスタP10、P11のドレインに接続されている。比較対象クロックの入力MOSトランジスタN10、N11は、いずれもNチャネルトランジスタである。比較対象クロックの入力MOSトランジスタN10、N11のソースは、共に電流源I2の一端に接続されている。電流源I2の他端は、接地されている。比較対象クロックの入力MOSトランジスタN10、N11のドレインは、それぞれ負荷MOSトランジスタP13、P14のドレインに接続されている。
【0053】
負荷MOSトランジスタP13、P14のゲートには、それぞれORゲート213a、213bの出力信号が入力される。ORゲート213aには、内部クロック信号IN_CLKと同相のクロック信号LCLKOETと、検知開始信号LDCSMTの反転信号が入力される。ORゲート213bには、内部クロック信号IN_CLKと逆相の反転クロック信号LCLKOEBと、検知開始信号LDCSMBの反転信号が入力される。
【0054】
比較対象クロックの入力MOSトランジスタN10、N11のゲートには、それぞれANDゲート214a、214bの出力信号が入力される。ANDゲート214aには、クロック信号LCLKOETと、検知開始信号LDCSMTとが入力される。ANDゲート214bには、反転クロック信号LCLKOEBと、検知開始信号LDCSMBとが入力される。
【0055】
そして、比較対象クロックの入力MOSトランジスタN10のドレインと負荷MOSトランジスタP13のドレインとが接続されたノードから出力信号DUTY_LBが出力される。比較対象クロックの入力MOSトランジスタN11のドレインと負荷MOSトランジスタP14のドレインとが接続されたノードから出力信号DUTY_HBが出力される。
【0056】
出力信号DUTY_LB及びDUTY_HBはコンパレータ216に入力される。また、出力信号DUTY_LBは容量C3、C4の一端に接続されている。容量C3の他端は電源VDDに接続されており、C4の他端は接地されている。同様に、出力信号DUTY_HBは容量C5、C6の一端に接続されている。容量C5の他端は電源VDDに接続されており、C6の他端は接地されている。
【0057】
本回路の動作を図6のタイミング図を参照して説明する。
まず、デューティ検知の前準備として、プリチャージMOSトランジスタP10,P11,P12のゲートにプリチャージ信号PREが入力される。プリチャージにより、出力信号DUTY_HB、DUTY_LBの信号レベルを電源電位VDDまで引き上げる。
【0058】
次に、検知開始信号LDCSMT/Bの活性化により検知が開始される。クロック信号LCLKOETがハイレベル"H"の間には、NチャネルMOSトランジスタN10がオン状態となる。そのため、充電されていた電荷が一部放電され、出力信号DUTY_LBの電位が低下する。反転クロック信号LCLKOEBがハイレベル"H"の間には、NチャネルMOSトランジスタN11がオン状態となる。そのため、充電されていた電荷が一部放電され、出力信号DUTY_HBの電位が低下する。
【0059】
クロック信号LCLKOET/Bがローレベル"L"の間には、NチャネルMOSトランジスタN10、N11がオフ状態となり、出力信号DUTY_HB、DUTY_LBの電位は保持される。すなわち、クロックのハイレベル期間の長さに比例して出力信号DUTY_HB、DUTY_LBの電位が低下する。例えば、クロックを2サイクル入力させ、そのときの出力信号DUTY_HB、DUTY_LBの電位をコンパレータ216で比較し、その電位差を判定し、判定信号LDCTを出力する。
【0060】
クロックのデューティ比が等しい場合、出力信号DUTY_HB、DUTY_LBの電位は等しくなる。一方、例えば、デューティ比=40%(サイクル期間のハイレベル"L"の期間が40%)でデューティ比にずれがある場合を考える。この場合、反転クロック信号LCLKOEBが入力されるNチャネルMOSトランジスタN11のオン期間が、クロック信号LCLKOETが入力されるNチャネルMOSトランジスタN10のオン期間よりも長くなる。従って、出力DUTY_LBの電位よりも出力信号DUTY_HBの電位の方が低下する。
【0061】
逆に、デューティ比=60%では、クロック信号LCLKOETが入力されるNチャネルMOSトランジスタN10のオン期間の方が長くなる。そのため、図6に示すように、出力信号DUTY_HBの電位よりも出力DUTY_LBの電位の方が低下する。このように、電源電位VDDに充電した電位をデューティ比に比例した期間で放電することで、電位差を生じさせる。そして、この電位差をコンパレータで比較し、デューティ比のずれを検知している。
【0062】
図7は、デューティ調整回路204の一例である。デューティ調整回路204では、PチャネルMOSトランジスタP7のソースに、PチャネルMOSトランジスタスイッチP8、P9・・・Pnのドレインが接続されている。PチャネルMOSトランジスタスイッチP8、P9・・・Pnのソースは、いずれも電源VDDに接続されている。他方、NチャネルMOSトランジスタスイッチN7のソースには、NチャネルMOSトランジスタスイッチN8、N9・・・Nnのドレインが接続されている。NチャネルMOSトランジスタスイッチN8、N9・・・Nnのソースは、いずれも接地されている。
【0063】
PチャネルMOSトランジスタスイッチP8のゲートには制御論理信号IDP8が接続され、同様にPチャネルMOSトランジスタスイッチP9にはIDP9、PチャネルMOSトランジスタスイッチPnにはIDPnが接続されている。一方、NチャネルMOSトランジスタスイッチN8のゲートには制御論理信号IDN8が接続され、同様にNチャネルMOSトランジスタスイッチN9にはIDN9、NチャネルMOSトランジスタスイッチNnにはIDNnが接続されている。ここで、"n"はデューティ調整ステップ数に依存する。
【0064】
インバータ211には、PチャネルMOSトランジスタP7のドレインとNチャネルMOSトランジスタN7のドレインとが互いに接続されたノードから出力されるクロック信号D_CLKが入力される。そして、インバータ211は、クロック信号D_CLKを反転、整形し、内部クロック信号IN_CLKとして出力する。
【0065】
内部クロック信号IN_CLKの"L"幅をクロック信号P_CLKに対して延ばしたい場合、制御論理信号IDN8〜IDNnのうち、調整量に相当する数だけ"L"にする。NチャネルMOSトランジスタスイッチN8〜Nnのうち、"L"が入力されたものはオフする。この結果、NチャネルMOSトランジスタN7の電流能力を下げ、クロック信号D_CLKの"L"出力を遅延させる。この場合、PチャネルMOSトランジスタP7の電流能力は変化しないため、"H"出力は変化しない。従って、インバータ211により反転、整形された内部クロック信号IN_CLKの"L"幅を長くすることができる。
【0066】
反対に、内部クロック信号IN_CLKの"H"幅をクロック信号P_CLKに対し延ばしたい場合、制御論理信号IDP8〜IDPnのうち、調整量に相当する数だけ"H"にする。PチャネルMOSトランジスタスイッチP8〜Pnのうち、"H"が入力されたものはオフする。この結果、PチャネルMOSトランジスタP7の電流能力を下げ、クロック信号D_CLKの"H"出力を遅延させる。この場合、NチャネルMOSトランジスタN7の電流能力は変化しないため、"L"出力は変化しない。従って、インバータ211により反転、整形された内部クロック信号IN_CLKの"H"幅を長くすることができる。
【0067】
ここで、制御論理信号IDP8〜IDPn及びIDN8〜IDNnが、図4における制御論理信号DUTY_SELを構成している。この制御論理信号DUTY_SELは、上述の通り、デューティ比較回路205及び制御回路208で決定される。そのため、クロックのデューティ比を自動的に補正することができる。そして、この制御論理信号DUTY_SELを非同期の外部データ信号IN_EXの補正値として適用することにより、外部データ信号IN_EXのデューティ比も補正することができる。
【符号の説明】
【0068】
101、102 入力バッファ
103、104、203、204 デューティ調整回路
105、205 デューティ比較回路
106 ラッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号が入力されるクロック用入力バッファと、
補正信号に基づいて、前記クロック用入力バッファから出力される第2クロック信号のデューティ比を調整して第3クロック信号を生成するクロック用デューティ調整回路と、
第1データ信号が入力されるデータ用入力バッファと、
前記補正信号に基づいて、前記データ用入力バッファから出力される第2データ信号のデューティ比を調整して第3データ信号を生成するデータ用デューティ調整回路と、
前記第3クロック信号に基づいて、前記補正信号を生成するデューティ比較回路と、を備えるデューティ比補正回路。
【請求項2】
前記第1データ信号が非同期信号であることを特徴とする請求項1に記載のデューティ比補正回路。
【請求項3】
前記クロック用入力バッファの回路構成と、前記データ用入力バッファの回路構成とが同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデューティ比補正回路。
【請求項4】
前記クロック用デューティ調整回路の回路構成と、前記データ用デューティ調整回路の回路構成とが同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のデューティ比補正回路。
【請求項5】
前記第3クロック信号と、前記第3データ信号とが入力されるラッチ回路を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のデューティ比補正回路。
【請求項6】
前記クロック用デューティ調整回路及び前記データ用デューティ調整回路が、前記第3クロック信号に対して同相の信号と逆相の信号とが入力される差動増幅回路を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のデューティ比補正回路。
【請求項7】
前記デューティ比較回路が、直列接続された複数のクロックドインバータを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のデューティ比補正回路。
【請求項8】
前記デューティ比較回路が、
第1Pチャネルトランジスタと第1Nチャネルトランジスタとからなるインバータと、
前記第1Pチャネルトランジスタのソースと高電位側電源との間に並列接続された複数Pチャネルトランジスタと、
前記第1Nチャネルトランジスタのソースと低電位側電源との間に並列接続された複数のNチャネルトランジスタと、を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のデューティ比補正回路。
【請求項9】
入力された第1クロック信号からクロック用入力バッファを介して第2クロック信号を生成し、
入力された第1データ信号からデータ用入力バッファを介して第2クロック信号を生成し、
補正信号に基づいて、前記第2クロック信号のデューティ比を調整して第3クロック信号を生成し、
前記補正信号に基づいて、前記第2データ信号のデューティ比を調整して第3データ信号を生成し、
前記第3クロック信号に基づいて、前記補正信号を生成するデューティ比補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−206348(P2010−206348A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47692(P2009−47692)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】