説明

データファイル格納システムと通信装置

【課題】 PCの指定フォルダのアドレスが変化しても、多機能機がスキャンデータファイルを指定フォルダ内に格納することを可能とすること。
【解決手段】 多機能機20は、PC60の予め指定されている指定フォルダのアドレスを記憶するアドレス帳28を有する。多機能機20は、スキャナ40によって作成されたスキャンデータファイルを上記の指定フォルダのアドレスに格納する。PC60は、指定フォルダのアドレスが変化すると、変化後のアドレスを多機能機20に送信する。多機能機20は、PC60からの変化後のアドレスを受信すると、アドレス帳28を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の通信装置から送信されるデータファイルを他方の通信装置の予め指定されている指定フォルダ内に格納する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿をスキャンすることによってスキャンデータファイルを作成するスキャナが広く知られている。スキャナの中には、「Scan To WebDAV」と呼ばれる機能、「Scan To CIFS」と呼ばれる機能、「Scan To FTP」と呼ばれる機能等を有するものが存在する。このような機能を有するスキャナは、他のデバイス(例えばパーソナルコンピュータ)の予め指定されている指定フォルダの位置情報(例えばURL(Uniform Resource Locator))を記憶する。このスキャナは、自身が記憶している指定フォルダの位置情報を格納先としてスキャンデータファイルを他のデバイスに送信する。これにより、他のデバイスの指定フォルダ内にスキャンデータファイルが格納される。下記の特許文献1には、「Scan To FTP」の機能を有するスキャナが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−60499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指定フォルダの位置情報が変化することがある。例えば、ユーザが指定フォルダを別の場所に移動させると、指定フォルダの位置情報が変化する。この場合、変化前の指定フォルダを格納先としてデータファイル(上記の例ではスキャンデータファイル)を送信しても、そのデータファイルを指定フォルダ内に格納することができない。
【0005】
本明細書では、指定フォルダの位置情報が変化してもデータファイルを指定フォルダ内に格納することを可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される一つの技術は、第1通信装置と、その第1通信装置に通信可能に接続される第2通信装置とを備えるシステムである。このシステムでは、第1通信装置から送信されるデータファイルを第2通信装置の予め指定されている指定フォルダに格納する。なお、上記の「通信装置」という用語は、最も広義に解釈されるべきものであり、情報を通信(送信及び/又は受信)することができるあらゆる装置を含む概念である。通信装置の一例として、パーソナルコンピュータ、サーバ、プリンタ、スキャナ、多機能機(複合機)、携帯端末等を挙げることができる。また、「指定フォルダ」は、例えば、ユーザによって指定されてもよいし、第1通信装置又は第2通信装置によって指定されてもよい。前者の場合、ユーザが第1通信装置を操作することによって第2通信装置のフォルダが指定されてもよいし、ユーザが第2通信装置を操作することによって第2通信装置のフォルダが指定されてもよい。また、ユーザがこれらとは別の通信装置を操作することによって第2通信装置のフォルダが指定されてもよい。
【0007】
第1通信装置は、第1位置情報メモリと、位置情報−ファイル送信手段と、位置情報受信手段と、第1更新手段とを有する。第1位置情報メモリは、指定フォルダの位置情報を記憶する。位置情報−ファイル送信手段は、第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とデータファイルとを第2通信装置に送信する。位置情報受信手段は、第2通信装置から送信される位置情報を受信する。第1更新手段は、第1位置情報メモリに記憶されている位置情報を位置情報受信手段によって受信された位置情報に更新する。
第2通信装置は、データメモリと、位置情報−ファイル受信手段と、記憶制御手段と、位置情報送信手段とを有する。データメモリは、フォルダとファイルの階層構造を利用してデータファイルを記憶することが可能である。位置情報−ファイル受信手段は、第1通信装置から送信される位置情報とデータファイルとを受信する。記憶制御手段は、位置情報とデータファイルとが位置情報−ファイル受信手段によって受信された場合に、その位置情報により特定される指定フォルダ内にそのデータファイルが格納されるように、そのデータファイルをデータメモリに記憶する。位置情報送信手段は、指定フォルダの位置情報を第1通信装置に送信する。
【0008】
上記のシステムでは、第1通信装置から第2通信装置に指定フォルダの位置情報とデータファイルが送信される。これにより、第2通信装置の指定フォルダ内に上記のデータファイルが格納されることになる。第1通信装置から送信されるデータファイルを第2通信装置の指定フォルダ内に格納することができるシステムが実現されている。このシステムでは、第2通信装置が、指定フォルダの位置情報を第1通信装置に送信することができる。即ち、指定フォルダの位置情報が変化しても、変化後の位置情報が第1通信装置に通知される。これにより、第1通信装置は、自身が記憶している指定フォルダの位置情報を変化後の位置情報に更新することができる。この結果、指定フォルダの位置情報が変化しても、第1通信装置から送信されるデータファイルを変化後の位置情報を有する指定フォルダ内に格納することが可能となる。
【0009】
第1通信装置から第2通信装置に送信されるデータファイルの種類は、特に限定されない。しかしながら、上記の技術は、第1通信装置で作成されるスキャンデータファイルを第2通信装置の指定フォルダ内に格納するシステムに好適に利用することができる。
即ち、第1通信装置は、原稿をスキャンしてスキャンデータファイルを作成するスキャニング装置をさらに有していてもよい。この場合、位置情報−ファイル送信手段は、第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とスキャニング装置によって作成されたスキャンデータファイルとを第2通信装置に送信する。
この構成によると、第1通信装置によって作成されるスキャンデータファイルを第2通信装置の指定フォルダ内に格納することができる。
【0010】
第2通信装置が指定フォルダの位置情報を第1通信装置に送信するタイミングは、特に限定されない。例えば、第2通信装置は、指定フォルダの位置情報を定期的(変化の有無にかかわらず)に第1通信装置に送信してもよい。また、例えば、第2通信装置は、指定フォルダの位置情報を予め決められたタイミング(例えば電源ON時)で第1通信装置に送信してもよい。また、第1通信装置と第2通信装置の間のネットワークの通信負荷を低減させるために、以下の構成を採用してもよい。
即ち、第2通信装置は、指定フォルダの位置情報が変化したことを特定する変化特定手段をさらに有していてもよい。この場合、位置情報送信手段は、指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、変化後の位置情報を第1通信装置に送信してもよい。
この構成によると、指定フォルダの位置情報が変化したことを契機として、第2通信装置から第1通信装置に変化後の位置情報が送信される。指定フォルダの位置情報が変化しない間は、第2通信装置から第1通信装置に指定フォルダの位置情報が送信されない。このために、指定フォルダの位置情報が変化していないにもかかわらず第2通信装置から第1通信装置に指定フォルダの位置情報が送信される構成と比べて、第1通信装置と第2通信装置の間のネットワークの通信負荷を低減させることができる。
【0011】
例えば、第2通信装置は、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信を利用することによって、指定フォルダの位置情報を第1通信装置に送信してもよい。一方において、第2通信装置は、第1通信装置の識別情報(例えばIPアドレス、ノード名、MACアドレス等)を記憶していてもよい。この場合、第2通信装置は、自身が記憶している識別情報により特定される装置に向けて指定フォルダの位置情報を送信することによって、指定フォルダの位置情報を第1通信装置に送信してもよい(いわゆるユニキャスト通信を実行してもよい)。このユニキャスト通信を採用する場合、以下の構成を採用してもよい。
【0012】
即ち、第1通信装置は、自身を特定する識別情報を第2通信装置に送信する識別情報送信手段をさらに有していてもよい。この場合、第2通信装置は、第1通信装置から送信される識別情報を受信する識別情報受信手段と、識別情報受信手段によって受信された識別情報を記憶する識別情報記憶手段とをさらに有していてもよい。位置情報送信手段は、識別情報記憶手段に記憶されている識別情報により特定される第1通信装置に指定フォルダの位置情報を送信してもよい。
この構成によると、第1通信装置の識別情報が第2通信装置に自動的に記憶される。このために、第2通信装置のユーザは、第1通信装置の識別情報を第2通信装置に入力する必要がない。
【0013】
第1通信装置は、自身を特定する識別情報が第2通信装置の識別情報記憶手段に記憶されているのか否かを判断する識別情報判断手段をさらに有していてもよい。この場合、識別情報送信手段は、識別情報判断手段によって否定的に判断されたことを条件として、自身を特定する識別情報を第2通信装置に送信してもよい。
この構成によると、第1通信装置は、自身を特定する識別情報が第2通信装置(識別情報記憶手段)に記憶されている場合に、自身を特定する識別情報を第2通信装置に送信しない。第2通信装置に既に記憶されている情報が第2通信装置に送信されることが禁止される。第1通信装置から第2通信装置に無駄な情報が送信されない。この結果、第1通信装置と第2通信装置の間のネットワークの通信負荷を低減させることができる。
【0014】
上記のシステムを構築するための第2通信装置の単体も有用である。この通信装置は、他の通信装置(上記の第1通信装置)から送信されるデータファイルを自身の予め指定されている指定フォルダに格納する通信装置(上記の第2通信装置)である。この通信装置は、上記のデータメモリと位置情報−ファイル受信手段と記憶制御手段と位置情報送信手段とを備える。
【0015】
上記の通信装置は、指定フォルダの位置情報が変化したことを特定する変化特定手段をさらに有していてもよい。この場合、位置情報送信手段は、指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、変化後の位置情報を上記の他の通信装置に送信してもよい。
この構成によると、本通信装置と上記の他の通信装置の間のネットワークの通信負荷を低減させることができる。
【0016】
上記の通信装置は、指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、上記の他の通信装置と通信可能であるのか否かを判断する通信判断手段をさらに有していてもよい。例えば、通信判断手段は、上記の他の通信装置に所定の信号を送信して返信信号の有無を監視することによって、上記の他の通信装置と通信可能であるのか否かを判断してもよい。この場合、位置情報送信手段は、通信判断手段によって肯定的に判断されたことを条件として、変化後の位置情報を上記の他の通信装置に送信してもよい。
例えば、上記の他の通信装置の電源がOFFされている状態では、上記の他の通信装置は通信することができない。この場合、通信判断手段によって否定的に判断され、変化後の位置情報が上記の他の通信装置に送信されない。位置情報を受信することができない通信装置に向けて変化後の位置情報が送信されるという事象が発生しない。この結果、本通信装置と上記の他の通信装置の間のネットワークの通信負荷を低減させることができる。
【0017】
通信判断手段は、否定的に判断してから所定期間が経過した場合に、上記の他の通信装置と通信可能であるのか否かを再び判断してもよい。
この構成によると、上記の他の通信装置が通信不能状態から通信可能状態に移行した後に、本通信装置から上記の他の通信装置に変化後の位置情報を送信することができる。
【0018】
指定フォルダの位置情報が変化したことを特定するための手法としては、様々な手法を採用することができる。例えば、次の手法を採用することができる。即ち、上記の通信装置は、指定フォルダの位置情報を記憶する第2位置情報メモリと、指定フォルダの(最新の)位置情報を特定する位置情報特定手段とをさらに有していてもよい。この場合、変化特定手段は、第2位置情報メモリに記憶されている位置情報と位置情報特定手段によって特定された位置情報とを比較することによって、指定フォルダの位置情報が変化したことを特定してもよい。また、上記の通信装置は、指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、第2位置情報メモリに記憶されている位置情報を変化後の位置情報に更新する第2更新手段をさらに有していてもよい。
【0019】
上記の変化特定手段は、指定フォルダが削除されたことを特定することが可能であってもよい。また、通信装置は、指定フォルダの位置情報を記憶する第2位置情報メモリをさらに有していてもよい。この場合、通信装置は、指定フォルダが削除されたことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、第2位置情報メモリに記憶されている位置情報と削除を示す情報とを上記の他の通信装置に送信する削除情報送信手段をさらに有していてもよい。
この構成によると、指定フォルダが削除されたことを上記の他の通信装置に通知することができる。
【0020】
上記の通信装置は、フォルダの位置情報を入力することをユーザに許容する第1入力手段をさらに有していてもよい。第2位置情報メモリは、第1入力手段に入力された位置情報を記憶することによって、指定フォルダの位置情報を記憶してもよい。
【0021】
また、第2位置情報メモリは、所定ファイルを格納しているフォルダの位置情報を記憶することによって、前記指定フォルダの位置情報を記憶してもよい。この場合、通信装置は、所定ファイルをフォルダ内に格納することをユーザに許容する第2入力手段をさらに有してもよい。
【0022】
上記の第2通信装置を実現するためのコンピュータプログラムも有用である。このコンピュータプログラムは、通信装置に搭載されるコンピュータに、記憶制御処理と位置情報送信処理を実行させる。記憶制御処理では、他の通信装置から送信される位置情報とデータファイルとが受信された場合に、その位置情報から特定される指定フォルダ内にそのデータファイルが格納されるように、そのデータファイルを記憶する。位置情報送信処理では、指定フォルダの位置情報を上記の他の通信装置に送信する。
このコンピュータプログラムを利用すると、上記の第2通信装置を実現することができる。
【0023】
上記のコンピュータプログラムは、指定フォルダの位置情報が変化したことを特定する変化特定処理を上記のコンピュータにさらに実行させてもよい。この場合、位置情報送信処理では、指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定処理で特定されたことを条件として、変化後の位置情報を上記の他の通信装置に送信してもよい。
このコンピュータプログラムによると、指定フォルダの位置情報が変化していないにもかかわらず位置情報を上記の他の通信装置に送信することを禁止する通信装置を実現することができる。
【0024】
上記のシステムを構築するための第1通信装置の単体も有用である。この通信装置は、他の通信装置(第2通信装置)の予め指定されている指定フォルダにデータファイルを格納する通信装置(第1通信装置)である。この通信装置は、上記の第1位置情報メモリと位置情報−ファイル送信手段と位置情報受信手段と第1更新手段とを備える。
【0025】
上記の通信装置は、原稿をスキャンしてスキャンデータファイルを作成するスキャニング装置をさらに有していてもよい。この場合、位置情報−ファイル送信手段は、第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とスキャニング装置によって作成されたスキャンデータファイルとを上記の他の通信装置に送信してもよい。
この構成によると、自身によって作成されたスキャンデータファイルを上記の他の通信装置の指定フォルダ内に格納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
ここでは、以下の実施例に記載の技術の主要な特徴をまとめておく。
(形態1)複数の第1通信装置が存在する。第2通信装置は、各第1通信装置を特定する識別情報(例えばIPアドレス、MACアドレス、ノード名等)を含む識別情報ファイルを記憶している。
(形態2)識別情報ファイルは、指定フォルダ内に格納される。
(形態3)各第1通信装置は、自身を特定する識別情報を第2通信装置に送信することによって、自身を特定する識別情報を識別情報ファイルに書き込む。
(形態4)第2通信装置は、第1通信装置の識別情報を識別情報ファイルから削除することをユーザに許容する手段を有する。第2通信装置は、識別情報ファイルから第1通信装置の識別情報が削除された場合に、その第1通信装置に所定のコマンドを送信する。この結果、第1通信装置は、自身を特定する識別情報が第2通信装置から削除されたことを知ることができる。第1通信装置は、自身を特定する識別情報が第2通信装置から削除されたことを表示する手段を有する。
(形態5)第1通信装置は、第2通信装置の指定フォルダの位置情報を第1位置情報記憶手段から削除することをユーザに許容する手段を有する。第1通信装置は、第2通信装置の指定フォルダの位置情報が第1位置情報記憶手段から削除された場合に、第2通信装置の指定フォルダ内に格納されている識別情報ファイルから自身を特定する識別情報を削除する。
【0027】
(形態6)第2通信装置の指定フォルダは、共有フォルダである。「共有フォルダ」とは、他のデバイス(第1通信装置)からのアクセスを許容するフォルダを意味する。即ち、他のデバイスは、共有フォルダ内にファイルを格納したり、共有フォルダ内に格納されているファイルを削除したり、共有フォルダ内に格納されているファイルに情報を書き込んだりすることができる。
【実施例】
【0028】
(第1実施例)
図面を参照して実施例を説明する。図1は、本実施例の多機能機システム10を示す。多機能機システム10は、多機能機20とPC(パーソナルコンピュータ)60を備える。なお、図1では、1つの多機能機20と1つのPC60が示されている。しかしながら、実際には複数の多機能機20と複数のPC60が存在する。各多機能機20は、各PC60に通信可能に接続されている。
【0029】
(多機能機の構成)
多機能機20は、操作部22と表示部24とメモリ26と制御部34とスキャナ40とFAX通信部42と印刷部44と受話器46と入出力ポート48を有する。操作部22は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部22を操作することによって、様々な情報や指示を多機能機20に入力することができる。表示部24は、様々な情報を表示することができる。
【0030】
メモリ26は、アドレス帳28とプログラム30を記憶することができる。メモリ26は、アドレス帳28とプログラム30以外の様々な情報を記憶することができる記憶領域32も有する。図2は、アドレス帳28の記憶内容の一例を示す。アドレス帳28は、名前100と宛先102と種類104とフラグ106の組合せを記憶している。以下では、1つの組合せのことを「組合せ情報」と呼ぶ。図2の例では、6つの組合せ情報110,112,114,116,118,120が存在する。ユーザは、操作部22を操作することによって、名前100と宛先102と種類104とを多機能機20に入力することができる。これにより、アドレス帳28に1つの組合せ情報が書き込まれる。なお、ユーザがPC60に組合せ情報を入力することによって、多機能機20のアドレス帳28に組合せ情報が書き込まれるようにしてもよい。この場合、PC60から多機能機20に組合せ情報が送信されることになる。
【0031】
ユーザは、様々な宛先102を入力することができる。例えば、組合せ情報110,112,114の場合、他のデバイスに存在するフォルダのアドレス(パス名と言うこともできる)が宛先102として指定されている。また、組合せ情報116の場合、Eメールアドレスが宛先102として指定されている。組合せ情報118の場合、電話番号が宛先102として指定されている。組合せ情報120の場合、ファクシミリ番号が宛先102として指定されている。種類104は、通信形式を意味している。例えば、組合せ情報110,112,114の場合、「CIFS(Common Internet File System)」が種類104として指定されている。フラグ106は、多機能機20によって管理されるものであり、ユーザによって入力されるものではない。「delete1」と「delete2」と「exist」の3つの種類のフラグが存在する。新しい組合せ情報がアドレス帳28に書き込まれる時点では、「exist」のフラグが書き込まれる。
【0032】
図1に示される制御部34は、メモリ26に記憶されているプログラム30に従って、様々な処理を実行する。制御部34が実行する処理の内容は、後で詳しく説明する。スキャナ40は、原稿をスキャンしてスキャンデータを作成することができる。FAX通信部42は、制御部34の指示に従ってファクシミリを送受信する。印刷部44は、様々なデータを印刷することができる。例えば、印刷部44は、FAX通信部42によって受信されたファクシミリデータを印刷することができる。また、印刷部44は、スキャナ40によって作成されたスキャンデータを印刷することができる。受話器46は、ユーザが電話する際に利用される。入出力ポート48は、LAN(Local Area Network)49を介してPC60の入出力ポート78に接続されている。多機能機20は、入出力ポート48及びLAN49を介してPC60と通信可能である。
【0033】
(PCの構成)
PC60は、操作部62と表示部64と制御部66とメモリ68と入出力ポート78を有する。操作部62は、マウスやキーボードによって構成されている。ユーザは、操作部62を操作することによって、様々な情報や指示をPC60に入力することができる。表示部64は、様々な情報を表示することができる。制御部66は、メモリ68に記憶されているプログラム74に従って、様々な処理を実行する。制御部66が実行する処理の内容は、後で詳しく説明する。メモリ68は、フォルダ70とファイル72の階層構造を利用してデータを記憶することが可能である。この様子は、後で詳しく説明する。入出力ポート78は、LAN49を介して多機能機20の入出力ポート48に接続されている。PC60は、入出力ポート78及びLAN49を介して多機能機20と通信可能である。
【0034】
図3は、PC60のメモリ68の記憶内容の一例を示す。本実施例のPC60は、「bbb−server」というノード名を有するものである。このノード名は、図2のアドレス帳28の組合せ情報112に含まれている。図3の例では、メモリ68に含まれる共有フォルダ130,132,134,140が示されている。「共有フォルダ」とは、他のデバイス(例えば多機能機20)からのアクセスを許容するフォルダを意味する。即ち、他のデバイスは、共有フォルダ内にファイルを格納したり、共有フォルダ内に格納されているファイルを削除したりすることができる。また、他のデバイスは、共有フォルダ内に格納されているファイルに情報を書き込むことができる。PC60のユーザは、所望のフォルダを共有フォルダとして設定することができる。
【0035】
フォルダ130が最上位のフォルダである。フォルダ130は、「user」というフォルダ名を有する。フォルダ130の下位フォルダとして、2つのフォルダ132,140が存在する。即ち、フォルダ130は、2つのフォルダ132,140を格納している。フォルダ132は、「mike」というフォルダ名を有する。フォルダ140は、「ken」というフォルダ名を有する。フォルダ132の下位フォルダとして、フォルダ134が存在する。即ち、フォルダ132は、フォルダ134を格納している。フォルダ134は、「shared」というフォルダ名を有する。フォルダ134の下位ファイルとして、Nodesファイル138が存在する。即ち、フォルダ134は、Nodesファイル138を格納している。Nodesファイル138は、「Nodes.doc」というファイル名を有する。後で詳しく説明するが、フォルダ134は、多機能機20で作成されたスキャンデータファイル150を格納するフォルダとして機能する。なお、図3の例では、フォルダ134の下位ファイルとして、実行型ファイル136が存在する。実行型ファイル136は、後述する第2実施例で利用される。ここでは、実行型ファイル136の説明を省略する。
【0036】
なお、以下では、フォルダ(又はファイル)の絶対的なアドレスを意味するものとして「アドレス」という用語を使用する。例えば、フォルダ132のアドレスは、「user¥mike」である。なお、PC60の外部からフォルダ132を見た場合、フォルダ132のアドレスは、「bbb−server¥user¥mike」である。また、例えば、Nodesファイル138のアドレスは、「(bbb−server¥)user¥mike¥shared¥Nodes.doc」である。一方において、フォルダ(又はファイル)の相対的なアドレスを意味するものとして、「フォルダ名」(又は「ファイル名」)という用語を使用する。例えば、フォルダ132のフォルダ名は、「mike」である。また、例えば、Nodesファイル138のファイル名は、「Nodes.doc」である。なお、「アドレス」という用語は、最も広義に解釈されるべきものであり、フォルダやファイルのロケーションを特定するデータであれば、あらゆるものを含む概念である。例えば、URL(Uniform Resource Locator)、UNC(Universal Naming Convention)、パス名等が、「アドレス」に含まれる。
【0037】
(多機能機のアドレス帳管理処理)
続いて、多機能機20が実行するアドレス帳管理処理の内容について説明する。この処理は、多機能機20の制御部34によって実行される。図4は、アドレス帳管理処理のフローチャートを示す。ユーザは、アドレス帳28の内容を変更する場合に、アドレス帳28を表示部24に表示させるための操作を操作部22に加えることができる。これにより、図4のアドレス帳管理処理が制御部34によって実行される。
【0038】
制御部34は、アドレス帳28を表示部24に表示する(S10)。図5は、表示部24の表示内容の一例を示す。表示部24には、名前160と宛先162と種類164が対応づけて表示される。図5の例は、図2に示される内容に対応する。即ち、図5の情報170は図2の組合せ情報110に対応し、図5の情報172は図2の組合せ情報112に対応する。また、図5の情報176は図2の組合せ情報116に対応し、図5の情報178は図2の組合せ情報118に対応し、図5の情報180は図2の組合せ情報120に対応する。S10では、「delete2」のフラグ106に対応する情報が表示されない。即ち、図2の組合せ情報114に対応する情報が表示されない。また、「delete1」のフラグ106に対応する情報には、「このフォルダは削除されています」というコメントが付される。例えば、図2の組合せ情報110は、「delete1」のフラグ106を有する。このために、図5の情報170には、上記のコメントが付されている。また、種類104が「CIFS」である組合せ情報110,112に対応する情報170,172では、種類164の欄に「Shared Folder」と表示される。
【0039】
ユーザは、操作部22を操作することによって、宛先追加コマンドや宛先変更コマンドを入力することができる。これらのコマンドが入力された場合、S12でYESと判断される。宛先追加コマンドが入力された場合、ユーザは、操作部22を操作することによって新たな組合せ情報(名前と宛先と種類)を入力することができる。この場合、制御部34は、新たな組合せ情報をアドレス帳28に記憶する(S14)。また、宛先変更コマンドが入力された場合、ユーザは、操作部22を操作することによって既存の組合せ情報の内容を変更することができる。この場合、制御部34は、変更後の組合せ情報をアドレス帳28に記憶する(S14)。S14を終えると、制御部34は、Nodes登録処理を強制的に実行する(S16)。後で詳しく説明するが、Nodes登録処理は、所定のインターバルで定期的に実行される処理である。インターバルの途中であってNodes登録処理が実行されていない状態では、制御部34は、Nodes登録処理を開始させる。また、Nodes登録処理が実行されている状態では、制御部34は、そのNodes登録処理が終了するのを待ってから、Nodes登録処理を再び開始させる。S16を終えると、S10に戻る。これにより、追加又は変更された組合せ情報を含むアドレス帳28が表示部24に表示されることになる。
【0040】
ユーザは、操作部22を操作することによって、宛先削除コマンドを入力することができる。このコマンドが入力された場合、S18でYESと判断される。宛先削除コマンドが入力された場合、ユーザは、操作部22を操作することによって既存の1つの組合せ情報を指定することができる。この場合、制御部34は、指定された組合せ情報のフラグ106が「delete1」であるのか否かを判断する(S20)。例えば、図5の情報170が指定された場合(図2の組合せ情報110が指定された場合)、S20でYESと判断される。この場合、制御部34は、指定された組合せ情報110をアドレス帳28から削除する(S22)。S22を終えると、S10に戻る。
【0041】
一方において、S20でNOの場合、ユーザによって指定された組合せ情報のフラグ106は、「exist」である。「delete2」のフラグ106を有する組合せ情報は、S10で表示されないために指定することができないからである。S20でNOの場合、制御部34は、指定された組合せ情報のフラグ106を「exist」から「delete2」に変更する(S24)。例えば、図5の情報172が指定された場合(図2の組合せ情報112が指定された場合)、制御部34は、組合せ情報112のフラグ106を「exist」から「delete2」に変更する。S24を終えると、制御部34は、Nodes登録処理を強制的に実行する(S26)。
【0042】
ユーザは、操作部22を操作することによって、終了コマンドを入力することができる。このコマンドが入力された場合、S28でYESと判断される。この場合、制御部34は、表示部24の表示内容をクリアしてアドレス帳管理処理を終了する。一方において、S28でNOの場合、制御部34は、S12に戻ってコマンドの入力を監視する。
【0043】
(多機能機のNodes登録処理)
続いて、多機能機20が実行するNodes登録処理の内容について説明する。この処理は、多機能機20の制御部34によって実行される。図6は、Nodes登録処理のフローチャートを示す。
【0044】
制御部34は、一定時間スリープし(S40)、その後に処理を実行することを繰り返す。これにより、所定のインターバルでNodes登録処理が実行されることになる。制御部34は、「CIFS」の種類104を有する1つの組合せ情報をアドレス帳28から読み出す(S42)。なお、S42の処理では、「delete1」のフラグ106を有する組合せ情報は読み出されない。即ち、「exist」又は「delete2」のフラグ106を有する組合せ情報のみが読み出される。次いで、制御部34は、S42で読み出された組合せ情報の宛先102に対してオープンを試行する(S44)。例えば、S42で組合せ情報112が読み出された場合、「¥¥bbb−server¥user¥mike¥shared」のアドレス(即ちPC60のフォルダ134(図3参照))に対してオープンを試行する。「アドレスに対してオープンを試行する」とは、そのアドレスを有するフォルダにアクセスすることを試行することを意味する。例えば、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダが存在しない場合は、オープンすることできない。また、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダが共有フォルダでない場合も、オープンすることができない。これらのケースでは、S46でNOと判断される。この場合、S60に進む。
【0045】
一方において、S46でYESの場合、制御部34は、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダ内に存在するファイル名やフォルダ名を取得することができる。例えば、上記の例のアドレス(PC60のフォルダ134(図3参照))に対してオープンを試行すると、制御部34は、フォルダ134に格納されているファイル名(例えば「Nodes.doc」)を取得することができる。なお、フォルダ134に何も格納されていない状態の場合には、フォルダ内に何も格納されていないことを示す情報を取得することができる。S46でYESの場合、制御部34は、Nodesファイルが存在するのか否かを判断する(S48)。即ち、制御部34は、S44の処理の結果として、「Nodes.doc」というファイル名が取得されたのか否かを判断する。ここでNOの場合、制御部34は、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダ内にNodesファイルを格納させる(S50)。具体的には、制御部34は、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダに「Nodes.doc」という名称のドキュメントファイルが格納されるように、そのフォルダを有するデバイス(例えばPC60)にコマンドを送信する。この結果、上記のデバイスは、上記のコマンドとアドレスを受信し、そのアドレスを有するフォルダ内にNodesファイルを格納することになる。例えば、図3に示されるように、PC60のフォルダ134内にNodesファイル138が格納される。S50を終えると、S54に進む。
【0046】
S48でYESの場合、制御部34は、Nodesファイルに自身のノード名が存在するのか否かを判断する(S52)。ここでNOの場合、制御部34は、Nodesファイルに自身のノード名を書き込む(S54)。S50でNodesファイルが新たに作成された場合も、S54の処理が実行される。S54の処理は、以下のようにして実行される。即ち、制御部34は、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダ内に格納されているNodesファイルに自身のノード名(多機能機20のノード名)が書き込まれるように、そのNodesファイルを有するデバイス(例えばPC60)にコマンドを送信する。この結果、Nodesファイルを有するデバイスは、上記のコマンドを受信し、Nodesファイルに多機能機20のノード名を書き込むことになる。例えば、図3に示されるように、PC60のフォルダ134内に格納されているNodesファイル138に多機能機20のノード名が書き込まれる。図7は、Nodesファイル138の内容の一例を示す。この例の場合、「mfp001」と「mfp002」と「mfp003」の3つのノード名が存在する。図7では、「mfp004」というノード名194がS54の処理で書き込まれる様子が示されている。なお、ID192は、PC60によって書き込まれるものである。ID192がどのように利用されるのかについては、後で詳しく説明する。
【0047】
なお、図8も、Nodesファイル138の内容の一例を示す。この例に示されるように、Nodesファイルは、複数のID192を含むことがある。S54の処理では、最新のID(最も数値の大きいID192)に対応づけてノード名が書き込まれる。例えば、図8に示されるNodesファイル138に対してS54の処理が実行される場合、ID「002」に対応づけてノード名が書き込まれる。
【0048】
S52でYESの場合、制御部34は、S42で読み出された組合せ情報のフラグ106が「delete2」であるのか否かを判断する(S56)。例えば、S42で読み出された組合せ情報が図2の組合せ情報114である場合、制御部34は、S56でYESと判断する。この場合、制御部34は、Nodesファイルから自身のノード名(多機能機20のノード名)を削除する(S58)。具体的には、制御部34は、S42で読み出されたアドレスを有するフォルダ内に格納されているNodesファイルから多機能機20のノード名が削除されるように、そのNodesファイルを有するデバイス(例えばPC60)にコマンドを送信する。この結果、上記のデバイスは、上記のコマンドを受信し、Nodesファイルから多機能機20のノード名を削除することになる。また、制御部34は、S42で読み出された組合せ情報をアドレス帳28から削除する(S58)。上述した図4のS24の処理では、削除対象の組合せ情報がユーザによって指定されたにもかかわらず、組合せ情報は削除されない(フラグ106が「delete2」に変更される)。図4のS24の処理でフラグ106が「delete2」に変更された組合せ情報は、図6のS58の処理でアドレス帳28から削除される。即ち、アドレス帳28から組合せ情報が削除されることと、その組合せ情報に含まれるアドレスに格納されているNodesファイルから多機能機20のノード名が削除されることが、同時的に実行される。
【0049】
制御部34は、「CIFS」の種類104を有する全ての組合せ情報(「delete1」のフラグ106を有する組合せ情報を除く)について、S44以降の処理が実行されたのか否かを判断する(S60)。ここでNOの場合、制御部34は、S42に戻って、他の組合せ情報を読み出す。一方において、S60でYESの場合、制御部34は、S40に戻ってスリープする。
【0050】
(多機能機のスキャン処理)
続いて、多機能機20が実行するスキャン処理の内容について説明する。この処理は、多機能機20の制御部34によって実行される。図9は、スキャン処理のフローチャートを示す。ユーザは、スキャンデータを他のデバイスのフォルダに格納させる場合に、それを実行させるための操作を操作部22に加えることができる。これにより、図9のスキャン処理が制御部34によって実行される。
【0051】
ユーザは、操作部22を操作することによって、アドレス帳表示コマンドを入力することができる。このコマンドが入力された場合、S80でYESと判断される。この場合、制御部34は、アドレス帳28を表示部24に表示する(S82)。ここでの表示内容は、図5の表示内容(図4のS10)とほぼ同様である。ただし、S82では、「exist」のフラグ106を有する組合せ情報のみが表示される。即ち、S82では、図5の情報170は表示されない。この点がS10の表示処理と異なる。S82を終えると、制御部34は、宛先アドレスが選択されるまで待機する(S84)。ユーザは、操作部22を操作することによって、S82で表示された組合せ情報の中から一又は複数の組合せ情報を選択することができる。この場合、S84でYESと判断され、S88に進む。
【0052】
ユーザは、アドレス帳28から宛先アドレス(組合せ情報)を選択する代わりに、操作部22に宛先アドレスを直接入力することができる。この場合、S86でYESと判断され、S88に進む。S88では、制御部34は、ユーザによって用意された原稿をスキャンしてスキャンデータファイルを作成する。具体的には、制御部34は、スキャナ40によって作成されたスキャンデータにファイル名を付与する。ファイル名は、予め決められている固定値であってもよいし、スキャン毎に変動する値であってもよい。後者の場合、ファイル名は、スキャン日時等を含んでいてもよい。なお、以下では、スキャンデータファイル名を「xxx.jpeg」とする。次いで、制御部34は、S84で選択された組合せ情報の宛先アドレス(又はS86で入力された宛先アドレス)に向けて、スキャンデータファイルを送信する(S90)。
【0053】
例えば、S84で選択された組合せ情報が図2の組合せ情報112である場合、制御部34は、「bbb−server」(即ちPC60)に向けて、「user¥mike¥shared¥xxx.jpeg」のアドレスとスキャンデータファイルとを送信する。より具体的には、「user¥mike¥shared」のアドレスを有するフォルダ134内にスキャンデータファイル(xxx.jpeg)が格納されるように、PC60にコマンド(以下では「スキャンデータ格納コマンド」と呼ぶ)を送信する。この結果、PC60のフォルダ134内にスキャンデータファイル150(図3参照)が格納されることになる。また、例えば、S84で選択された組合せ情報が図2の組合せ情報116である場合、制御部34は、「aaa.bbbb@cccc.com」というEメールアドレスに向けて、スキャンデータファイルが添付されているEメールを送信する。また、例えば、S84で選択された組合せ情報が図2の組合せ情報118である場合、制御部34は、「012−345−6789」というファクシミリ番号にスキャンデータがファクシミリ送信されるように、FAX通信部42に指示する。S90を終えると、スキャン処理が終了する。ユーザは、操作部22を操作することによって、終了コマンドを入力することができる。この場合、S92でYESと判断され、スキャンが実行されることなくスキャン処理が終了する。
【0054】
(PCのスキャンデータ格納処理)
続いて、PC60が実行するスキャンデータ格納処理の内容について説明する。この処理は、PC60の制御部66によって実行される。図10は、スキャンデータ格納処理のフローチャートを示す。
【0055】
制御部66は、多機能機20からのスキャンデータ格納コマンド(図9のS90で多機能機20から送信される)を受信することを監視している(S110)。このスキャンデータ格納コマンドは、スキャンデータファイルとフォルダのアドレスを含んでいる。S110でYESの場合、制御部66は、S110で受信されたアドレスを有するフォルダ内に、S110で受信されたスキャンデータファイルを格納する(S112)。例えば、S110で受信されたアドレスが「user¥mike¥shared」である場合、制御部66は、フォルダ134内にスキャンデータファイル150(図3参照)を格納する。即ち、制御部66は、フォルダ134の下位ファイルとして、スキャンデータファイル150をメモリ68に記憶させる。
【0056】
(PCのフォルダ監視処理)
続いて、PC60が実行するフォルダ監視処理の内容について説明する。この処理は、PC60の制御部66によって実行される。図11と図12は、フォルダ監視処理のフローチャートを示す。ユーザは、操作部62を操作することによって、監視すべきフォルダのアドレスをPC60に入力することができる。これにより、図11と図12のフォルダ監視処理が制御部66によって実行される。
【0057】
制御部66は、ユーザによって共有フォルダとして指定(入力)されたフォルダ(以下では「指定フォルダ」と呼ぶ)のアドレスを監視アドレス記憶領域に記憶する(S130)。メモリ68の所定の記憶領域が監視アドレス記憶領域として利用される。図13は、監視アドレス記憶領域200の記憶内容の一例を示す。監視アドレス記憶領域200は、ID212とアドレス214の組合せを記憶している。図13の例では、図3のフォルダ134が指定フォルダ(user¥mike¥shared)である。S130の処理が実行される時点では、ID212として初期値(本実施例では「001」)が利用される。
【0058】
なお、S130の処理が実行される時点では、指定フォルダ内にNodesファイルが格納されていることもあれば、格納されていないこともある。例えば、図3のフォルダ134を指定フォルダとしてPC60にユーザが入力するタイミングよりも、多機能機20のアドレス帳28にフォルダ134のアドレスを追加するタイミングが早い場合、S130の処理が実行される時点では、指定フォルダ(フォルダ134)にNodesファイル138が格納されている。この場合、制御部66は、Nodesファイル138のID192(図7参照)に初期値「001」を書き込む。一方において、例えば、図3のフォルダ134を指定フォルダとしてPC60にユーザが入力するタイミングよりも、多機能機20のアドレス帳28にフォルダ134のアドレスを追加するタイミングが遅い場合、S130の処理が実行される時点では、指定フォルダ(フォルダ134)にNodesファイル138が格納されていない。この場合、制御部66は、指定フォルダ(フォルダ134)にNodesファイル138が格納されるまで待機する。制御部66は、指定フォルダ(フォルダ134)にNodesファイル138が格納されると、Nodesファイル138のID192に初期値「001」を書き込む。次いで、制御部66は、S132以降の処理を実行する。
【0059】
また、例えば、S132以降の処理を実行している間に指定フォルダ(フォルダ134)に格納されているNodesファイル138が削除される可能性がある。この場合も、制御部66は、S132以降の処理を中止し、指定フォルダ(フォルダ134)にNodesファイル138が再び格納されるまで待機する。制御部66は、指定フォルダ(フォルダ134)にNodesファイル138が再び格納されると、監視アドレス記憶領域200に記憶されているID212(図13参照)をNodesファイル138のID192に書き込む。次いで、制御部66は、S132以降の処理を実行する。
【0060】
フローチャートに図示していないが、制御部66は、指定フォルダのログ(変化履歴)を収集する。このログ収集処理は、メモリ68に記憶されている所定のプログラム74に従って実行される。メモリ68の所定の記憶領域がログ記憶領域として利用される。図14は、ログ記憶領域210の記憶内容の一例を示す。ログ記憶領域210は、ID212とアドレス214の組合せを記憶している。指定フォルダのアドレスが変化する毎にログ記憶領域210に組合せが追加される。例えば、図3の状態では、フォルダ134は、フォルダ132の下位フォルダである。フォルダ134を破線の矢印のように移動させた場合、フォルダ134は、フォルダ140の下位フォルダになる。この場合、フォルダ134のアドレスは、「user¥ken¥shared」に変化する。これにより、変化後のアドレスがログ記憶領域210に記憶されることになる。この変化後のアドレスは、図14のID「002」に示されている。制御部66は、変化後のアドレスをログ記憶領域210に記憶させる場合、その変化後のアドレスに対応するIDをインクリメント(プラス1)する。
【0061】
また、例えば、指定フォルダのフォルダ名が変更された場合も、指定フォルダのアドレスが変化する。例えば、図3のフォルダ134のフォルダ名「shared」が「shared100」に変更された場合、フォルダ134のアドレスは、「user¥mike¥shared100」になる。この場合も、ログ記憶領域210に組合せが追加される。また、指定フォルダが削除された場合、削除を示す情報(DELETE)がログ記憶領域210に記憶される。例えば、図14のID「003」は、フォルダ140の下位フォルダとして存在している指定フォルダ134が削除されたことを意味する。
【0062】
制御部66は、図11のS130の処理を実行した後にスリープする(S132)。次いで、制御部66は、ログ記憶領域210の最新のIDに対応するアドレスを読み込む(S134)。例えば、図14においてID「002」が最新のIDである場合、「user¥ken¥shared」が読み込まれる。制御部66は、S134で読み込まれた最新のアドレス(もしくはDELETE)と監視アドレス記憶領域200に記憶されているアドレスを比較し、アドレスが変化したのか否かを判断する(S136)。ここでYESの場合、S138に進む。一方において、NOの場合、図12のS170に進む。
【0063】
S138では、制御部66は、最新のIDに対応するのがDELETEであるのか否かを判断する。ここでNOの場合、制御部66は、S134で読み込まれた最新のアドレスを監視アドレス記憶領域200(図13参照)に記憶する(S140)。この処理では、最新のアドレスに対応するIDも、監視アドレス記憶領域200に記憶される。例えば、最新のアドレスが図14の「user¥ken¥shared」である場合、ID「002」と「user¥ken¥shared」の組合せが監視アドレス記憶領域200に記憶される。次いで、制御部66は、S142の処理を実行する。なお、S138でYESの場合、制御部66は、S140をスキップしてS142の処理を実行する。
【0064】
S142では、制御部66は、指定フォルダ(この例ではフォルダ134)に格納されているNodesファイル138に含まれる1つのノード名を選択する(S142)。例えば、図7の例では、「mfp001」と「mfp002」と「mfp003」の3つのノード名が存在する。制御部66は、これらの3つのノード名から1つのノード名(例えば「mfp001」)を選択する。次いで、制御部66は、S142で選択されたノード名を有する多機能機にパケットを送信して返信を監視することによって、その多機能機と通信可能であるのか否かを判断する(S144)。返信パケットが得られた場合、制御部66は、S144でYESと判断する。この場合、S146に進む。所定時間を経過しても返信パケットが得られなかった場合、制御部66は、S144でNOと判断する。この場合、S146とS148をスキップしてS150に進む。
【0065】
S146では、制御部66は、CHANGEコマンドとDELETEコマンドのいずれかをS142で選択された多機能機に送信する。S138でNOと判断された場合は、S146でCHANGEコマンドが送信される。S138でYESと判断された場合は、S146でDELETEコマンドが送信される。CHANGEコマンドには、変化前のアドレスと変化後のアドレスが付加される。例えば、「user¥mike¥shared」(ID「001」)から「user¥ken¥shared」(ID「002」)に指定フォルダのアドレスが変化し、図7のNodesファイル138が存在しているものとする。この場合、制御部66は、S142で選択された多機能機(例えば「mfp001」)に向けて、旧アドレス「user¥mike¥shared」と新アドレス「user¥ken¥shared」とCHANGEコマンドを送信する。この結果、多機能機は、後述する図15のS206の処理において旧アドレスを新アドレスに更新する。
【0066】
DELETEコマンドには、削除されたフォルダのアドレスが付加される。例えば、「user¥mike¥shared」のフォルダ134が削除されたものとする。この場合、制御部66は、S142で選択された多機能機(例えば「mfp001」)に向けて、アドレス「user¥mike¥shared」とDELETEコマンドを送信する。この結果、多機能機は、後述する図15のS212の処理においてアドレスのフラグを更新すする。
【0067】
制御部66は、S146の処理を実行すると、Nodesファイル138を書き換える(S148)。例えば、上記の例の場合(ID「001」からID「002」に指定フォルダのアドレスが変化した例の場合)、制御部66は、Nodesファイル138にID「002」を新たに追加し、そのID「002」に対応づけて「mfp001」を記憶させる。この結果、図8に示されるように、ID「002」と「mfp001」の組合せがNodesファイル138に記憶されることになる。この場合、ID「001」に対応づけられている「mfp001」が削除される。
【0068】
制御部66は、Nodesファイル138に含まれる全てのノード名に対してS142以降の処理を実行したのか否かを判断する(S150)。ここでNOの場合、制御部66は、S142に戻って次のノード名を選択する。例えば、制御部66は、「mfp002」を選択する。次いで、制御部66は、「mfp002」のノード名を有する多機能機と通信可能であるのか否かを判断する(S144)。ここでYESの場合、制御部66は、コマンドを送信し(S146)、Nodesファイル138を書き換える(S148)。この結果、図8に示されるように、ID「002」と「mfp002」の組合せがNodesファイル138に記憶されることになる。
【0069】
次いで、制御部66は、「mfp003」を選択する。例えば、「mfp003」のノード名を有する多機能機と通信不能である場合(S144でNOの場合)、S146とS148の処理が実行されない。この場合、図8に示されるように、ID「001」と「mfp003」の組合せが維持されることになる。制御部66は、Nodesファイル138に含まれる全てのノード名に対してS142以降の処理を実行した場合(S150でYESの場合)、S132に戻ってスリープする。制御部66は、所定時間毎にS134以降の処理を繰り返す。
【0070】
例えば、図8に示されるNodesファイル138が存在する状態で、「user¥ken¥shared」(ID「002」)から別のアドレス(新アドレス)に指定フォルダが変化した場合について考察する。この場合、S146の処理において、制御部66は、「mfp001」のノード名を有する多機能機に向けて、旧アドレス「user¥ken¥shared」と新アドレスとCHANGEコマンドを送信する。同様に、制御部66は、「mfp002」のノード名を有する多機能機に向けて、旧アドレス「user¥ken¥shared」と新アドレスとCHANGEコマンドを送信する。ただし、制御部66は、「mfp003」のノード名を有する多機能機に向けて、「user¥mike¥shared」を旧アドレスとして送信する(新アドレスとCHANGEコマンドも送信する)。「mfp003」は、ID「001」(即ち「user¥mike¥shared」(図14参照)に対応づけられているからである。
【0071】
S146の処理でDELETEコマンドを送信する場合も、同様のことが言える。即ち、制御部66は、「mfp001」又は「mfp002」のノード名を有する多機能機に向けて、アドレス「user¥ken¥shared」とDELETEコマンドを送信する。しかしながら、制御部66は、「mfp003」のノード名を有する多機能機に向けて、アドレス「user¥mike¥shared」とDELETEコマンドを送信する。
【0072】
続いて、図12を参照しながら、S136でNOと判断された以降の処理について説明する。制御部66は、Nodesファイル138の内容をチェックすることによって、最新のID以外のIDに対応づけられているノード名が存在するのか否かを判断する(S170)。例えば、図7に示されるNodesファイル138が存在する場合、S170でNOと判断される。この場合、図11のS132に戻る。一方において、図8に示されるNodesファイル138が存在する場合、S170でYESと判断される。最新のID「002」以外のID「001」に対応づけられているノード名が存在するからである。
【0073】
S170でYESの場合、制御部66は、最新のID以外のIDに対応づけられている1つのノード名を選択する(S172)。例えば、図8の例の場合、「mfp003」が選択される。次いで、制御部66は、S172で選択されたノード名「mfp003」を有する多機能機と通信可能であるのか否かを判断する(S174)。ここでYESの場合、S176に進む。ここでNOの場合、S176とS178をスキップしてS180に進む。
【0074】
S176では、制御部66は、CHANGEコマンドとDELETEコマンドのいずれかをS172で選択された多機能機に送信する。この処理は、図11のS146の処理と同様である。例えば、図8の例の場合、制御部66は、「mfp003」のノード名を有する多機能機に向けて、旧アドレス「user¥mike¥shared」(ID「001」)と新アドレス「user¥ken¥shared」(ID「002」)とCHANGEコマンドを送信する。
【0075】
制御部66は、S176の処理を実行すると、Nodesファイル138を書き換える(S178)。例えば、上記の例の場合、制御部66は、Nodesファイル138のID「002」に対応づけて「mfp003」を記憶させる。この結果、ID「001」に対応するノード名が存在しなくなる。この場合、制御部66は、Nodesファイル138からID「001」を消去してもよい。また、この場合、制御部66は、ログ記憶領域210(図14参照)からID「001」とそれに対応するアドレスとを消去してもよい。
【0076】
制御部66は、Nodesファイル138に含まれる全ての未送信ノード名(最新のID以外のIDに対応づけられているノード名)に対してS172以降の処理を実行したのか否かを判断する(S180)。ここでNOの場合、S172に戻って別のノード名が選択され、S174以降の処理が実行される。一方において、S180でYESの場合、図11のS132に戻る。
【0077】
(多機能機のアドレス更新処理)
続いて、多機能機20が実行するアドレス更新処理の内容について説明する。この処理は、多機能機20の制御部34によって実行される。図15は、アドレス更新処理のフローチャートを示す。
【0078】
制御部34は、外部からのコマンドを受信することを監視している(S200)。例えば、図11のS146や図12のS176の処理がPC60によって実行されると、多機能機20に向けてCHANGEコマンドが送信されることがある。この場合、制御部34は、S202でYESと判断する。制御部34は、CHANGEコマンドとともに受信された旧アドレスが、アドレス帳28に存在するのか否かを判断する(S204)。ここでNOの場合、以降の処理をスキップする。ここでYESの場合、制御部34は、アドレス帳28を更新する処理を実行する(S206)。即ち、制御部34は、アドレス帳28に含まれる旧アドレスを新アドレスに更新する。例えば、旧アドレスが「user¥mike¥shared」であり、新アドレスが「user¥ken¥shared」である場合、制御部34は、図2に示される組合せ情報112の宛先102を「bbb−server¥user¥ken¥shared」に書き換える。
【0079】
また、例えば、図11のS146や図12のS176の処理がPC60によって実行されると、多機能機20に向けてDELETEコマンドが送信されることがある。この場合、制御部34は、S208でYESと判断する。制御部34は、DELETEコマンドとともに受信されたアドレスが、アドレス帳28に存在するのか否かを判断する(S210)。ここでNOの場合、以降の処理をスキップする。ここでYESの場合、制御部34は、アドレス帳28を更新する処理を実行する(S212)。即ち、制御部34は、アドレス帳28に含まれるフラグ106を「exist」から「delete1」に変更する。例えば、DELETEコマンドとともに受信されたアドレスが「user¥mike¥shared」である場合、制御部34は、図2に示される組合せ情報112のフラグ106を「exist」から「delete1」に変更する。なお、制御部66は、他の種類のコマンドが受信された場合は、そのコマンドに応じた処理を実行する(S214)。
【0080】
本実施例によると、スキャンデータファイルを格納するための指定フォルダ(上記の例では図3のフォルダ134)のアドレスが変化すると、PC60から多機能機20に変化後のアドレスが送信される。多機能機20は、指定フォルダのアドレスを更新することができる。PC60の指定フォルダのアドレスが変化した後も指定フォルダにスキャンデータファイルを格納することができるシステム10が実現されている。PC60は、指定フォルダのアドレスが変化したことを契機に、変化後のアドレスを多機能機20に送信する。指定フォルダのアドレスが変化していないにもかかわらずPC60から多機能機20に指定フォルダのアドレスが送信される構成と比べて、多機能機20とPC60の間のネットワークの通信負荷を低減させることができる。
【0081】
(第2実施例)
本実施例では、PC60の指定フォルダをユーザが指定する手法と、PC60が指定フォルダを監視する手法が、第1実施例と異なる。ユーザは、PC60の操作部62を操作(例えばドラック&ドロップ)することによって、スキャンデータファイルを格納するためのフォルダ内に実行型ファイルを移動させる。例えば、図3には、フォルダ134内に実行型ファイル136が格納されている様子が示されている。制御部66は、メモリ68に記憶されている所定のプログラム74に従って、実行型ファイル136を格納しているフォルダ134のアドレスを監視する。
【0082】
(PCのフォルダ監視処理)
本実施例のフォルダ監視処理の内容について説明する。この処理は、PC60の制御部66によって実行される。図16は、フォルダ監視処理のフローチャートを示す。制御部66は、実行型ファイル136がフォルダ(本実施例ではフォルダ134)に格納されると、フォルダ監視処理を実行する。
【0083】
制御部66は、実行型ファイル136を格納しているフォルダ134のアドレス「user¥mike¥shared」を読み込む(S230)。次いで、制御部66は、S232で読み込んだアドレスを監視アドレス記憶領域200(図13参照)に記憶させる。なお、本実施例では、ID212という概念を利用しない。即ち、監視アドレス記憶領域200は、アドレスのみを記憶している。なお、本実施例では、Nodesファイル138でも、ID192(図7参照)という概念を利用しない。次いで、制御部66は、スリープする(S234)。一定時間のスリープの後、制御部66は、S236以降の処理を実行する。
【0084】
S236では、制御部66は、実行型ファイル136を格納しているフォルダ134のアドレスを読み込む(S236)。例えば、図3の破線の矢印に示されるようにフォルダ134が移動した場合、実行型ファイル136を格納しているフォルダ134のアドレスは「user¥ken¥shared」になる。この場合、このアドレスがS236で読み込まれる。制御部66は、監視アドレス記憶領域200に記憶されているアドレスと、S236で読み込まれたアドレスとを比較する(S238)。2つのアドレスが一致する場合、S234に戻る。
【0085】
一方において、2つのアドレスが一致しない場合、制御部66は、CHANGEコマンドを送信する(S240)。上述したように、本実施例のNodesファイル138は、ID192(図7参照)を含んでいない。Nodesファイル138は、各多機能機のノード名のみを含んでいる。S240では、制御部66は、Nodesファイル138に含まれるノード名を有する各多機能機に向けて、旧アドレス(監視アドレス記憶領域200に記憶されているアドレス)と、新アドレス(S236で読み込まれたアドレス)と、CHANGEコマンドとを送信する。この結果、多機能機は、後述する図17のS266の処理において旧アドレスを新アドレスに更新する。続いて、制御部66は、監視アドレス記憶領域200に記憶されている旧アドレスをS236で読み込まれた新アドレスに更新する(S242)。S242を終えると、S234に戻る。
【0086】
(多機能機のアドレス更新処理)
続いて、本実施例のアドレス更新処理の内容について説明する。この処理は、多機能機20の制御部34によって実行される。図17は、アドレス更新処理のフローチャートを示す。
【0087】
制御部34は、外部からのコマンドを受信することを監視している(S260)。例えば、図16のS240の処理がPC60によって実行されると、多機能機20に向けてCHANGEコマンドが送信されることがある。この場合、制御部34は、S262でYESと判断する。制御部34は、CHANGEコマンドとともに受信された旧アドレスが、アドレス帳28に存在するのか否かを判断する(S264)。ここでNOの場合、以降の処理をスキップする。ここでYESの場合、制御部34は、アドレス帳28を更新する処理を実行する(S266)。即ち、制御部34は、アドレス帳28に含まれる旧アドレスを新アドレスに更新する。なお、制御部66は、他の種類のコマンドが受信された場合は、そのコマンドに応じた処理を実行する(S268)。
【0088】
本実施例によって、PC60の指定フォルダのアドレスが変化した後も指定フォルダにスキャンデータファイルを格納することができるシステム10を実現することができる。
【0089】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0090】
(1)第2実施例では、ユーザがPC60の操作部62を操作することによって、フォルダ134内に実行型ファイル136を格納させる。しかしながら、多機能機20が、PC60のフォルダ134(即ちアドレス帳28の「CIFS」のアドレス)をオープンし、そのフォルダ134内に実行型ファイル136を格納させるようにしてもよい。この場合、指定フォルダのアドレスを多機能機20に入力すれば、PC60の指定フォルダ内に実行型ファイル136が自動的に格納されることになる。
【0091】
(2)CIFS以外の通信形式が利用されてもよい。例えば、FTP(File Transfer Protocol)、SMB(Server Message Block)、WebDAV(Web Distributed Authoring and Versioning protocol)等が利用されてもよい。
【0092】
(3)上記の各実施例では、多機能機20によって作成されたスキャンデータファイルをPC60の指定フォルダに格納する。しかしながら、他の種類のデータファイルをPC60の指定フォルダに格納するシステムでも、上記の各実施例の技術を利用することができる。例えば、多機能機20によって受信されたファクシミリデータをPC60の指定フォルダに格納するシステムを実現してもよい。
【0093】
(4)上記の各実施例では、PC60は、指定フォルダのアドレスが変化したことを契機として、変化後のアドレスを多機能機20に送信する。しかしながら、PC60は、変化の有無にかかわらず、所定のタイミング(例えば定期的)で指定フォルダのアドレスを多機能機20に送信してもよい。
【0094】
(5)上記の各実施例では、PC60は、Nodesファイル138に含まれるデバイスを特定し、特定されたデバイスにCHANGEコマンドやDELETEコマンドを送信する。即ち、PC60は、ユニキャスト通信によってCHANGEコマンドやDELETEコマンドを送信する。しかしながら、PC60は、ブロードキャスト通信を利用して(宛先を特定せずに)、各デバイスにCHANGEコマンドやDELETEコマンドを送信してもよい。この場合、Nodesファイルが不要になる。
【0095】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】多機能機システムの構成を示す。
【図2】多機能機のアドレス帳の記憶内容の一例を示す。
【図3】PCのメモリの記憶内容の一例を示す。
【図4】多機能機のアドレス帳管理処理のフローチャートを示す。
【図5】多機能機の表示部の表示内容の一例を示す。
【図6】多機能機のNodes登録処理のフローチャートを示す。
【図7】Nodesファイルの一例を示す。
【図8】Nodesファイルの一例を示す。
【図9】多機能機のスキャン処理のフローチャートを示す。
【図10】PCのスキャンデータ格納処理のフローチャートを示す。
【図11】PCのフォルダ監視処理のフローチャートを示す。
【図12】図11の続きのフローチャートを示す。
【図13】監視アドレス記憶領域の記憶内容の一例を示す。
【図14】ログ記憶領域の記憶内容の一例を示す。
【図15】多機能機のアドレス更新処理のフローチャートを示す。
【図16】PCのフォルダ監視処理のフローチャートを示す。
【図17】多機能機のアドレス更新処理のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0097】
10:多機能機システム
20:多機能機
26:メモリ
28:アドレス帳
30:プログラム
34:制御部
40:スキャナ
60:PC
66:制御部
68:メモリ
70:フォルダ
72:ファイル
74:プログラム
130,132,134,140:フォルダ
136:実行型ファイル
138:Nodesファイル
150:スキャンデータファイル
200:監視アドレス記憶領域
210:ログ記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置と、第1通信装置に通信可能に接続される第2通信装置とを備え、
第1通信装置から送信されるデータファイルを第2通信装置の予め指定されている指定フォルダに格納するデータファイル格納システムであり、
第1通信装置は、
前記指定フォルダの位置情報を記憶する第1位置情報メモリと、
第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とデータファイルとを第2通信装置に送信する位置情報−ファイル送信手段と、
第2通信装置から送信される位置情報を受信する位置情報受信手段と、
第1位置情報メモリに記憶されている位置情報を位置情報受信手段によって受信された位置情報に更新する第1更新手段とを有し、
第2通信装置は、
フォルダとファイルの階層構造を利用してデータファイルを記憶することが可能であるデータメモリと、
第1通信装置から送信される位置情報とデータファイルとを受信する位置情報−ファイル受信手段と、
位置情報とデータファイルとが位置情報−ファイル受信手段によって受信された場合に、その位置情報により特定される前記指定フォルダ内にそのデータファイルが格納されるように、そのデータファイルをデータメモリに記憶する記憶制御手段と、
前記指定フォルダの位置情報を第1通信装置に送信する位置情報送信手段とを有する
ことを特徴とするデータファイル格納システム。
【請求項2】
第1通信装置は、原稿をスキャンしてスキャンデータファイルを作成するスキャニング装置をさらに有し、
位置情報−ファイル送信手段は、第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とスキャニング装置によって作成されたスキャンデータファイルとを第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータファイル格納システム。
【請求項3】
第2通信装置は、前記指定フォルダの位置情報が変化したことを特定する変化特定手段をさらに有し、
位置情報送信手段は、前記指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、変化後の位置情報を第1通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデータファイル格納システム。
【請求項4】
第1通信装置は、自身を特定する識別情報を第2通信装置に送信する識別情報送信手段をさらに有し、
第2通信装置は、第1通信装置から送信される識別情報を受信する識別情報受信手段と、識別情報受信手段によって受信された識別情報を記憶する識別情報記憶手段とをさらに有し、
位置情報送信手段は、識別情報記憶手段に記憶されている識別情報により特定される第1通信装置に前記指定フォルダの位置情報を送信する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のデータファイル格納システム。
【請求項5】
第1通信装置は、自身を特定する識別情報が第2通信装置の識別情報記憶手段に記憶されているのか否かを判断する識別情報判断手段をさらに有し、
識別情報送信手段は、識別情報判断手段によって否定的に判断されたことを条件として、自身を特定する識別情報を第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項4に記載のデータファイル格納システム。
【請求項6】
他の通信装置から送信されるデータファイルを自身の予め指定されている指定フォルダに格納する通信装置であり、
フォルダとファイルの階層構造を利用してデータファイルを記憶することが可能であるデータメモリと、
前記他の通信装置から送信される位置情報とデータファイルとを受信する位置情報−ファイル受信手段と、
位置情報とデータファイルとが位置情報−ファイル受信手段によって受信された場合に、その位置情報により特定される前記指定フォルダ内にそのデータファイルが格納されるように、そのデータファイルをデータメモリに記憶する記憶制御手段と、
前記指定フォルダの位置情報を前記他の通信装置に送信する位置情報送信手段と
を備える通信装置。
【請求項7】
前記指定フォルダの位置情報が変化したことを特定する変化特定手段をさらに有し、
位置情報送信手段は、前記指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、変化後の位置情報を前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、前記他の通信装置と通信可能であるのか否かを判断する通信判断手段をさらに有し、
位置情報送信手段は、通信判断手段によって肯定的に判断されたことを条件として、前記変化後の位置情報を前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
通信判断手段は、否定的に判断してから所定期間が経過した場合に、前記他の通信装置と通信可能であるのか否かを再び判断する
ことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記指定フォルダの位置情報を記憶する第2位置情報メモリと、前記指定フォルダの位置情報を特定する位置情報特定手段とをさらに有し、
変化特定手段は、第2位置情報メモリに記憶されている位置情報と位置情報特定手段によって特定された位置情報とを比較することによって、前記指定フォルダの位置情報が変化したことを特定し、
前記指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、第2位置情報メモリに記憶されている位置情報を変化後の位置情報に更新する第2更新手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の通信装置。
【請求項11】
変化特定手段は、前記指定フォルダが削除されたことを特定することが可能であり、
前記指定フォルダの位置情報を記憶する第2位置情報メモリと、
前記指定フォルダが削除されたことが変化特定手段によって特定されたことを条件として、第2位置情報メモリに記憶されている位置情報と削除を示す情報とを前記他の通信装置に送信する削除情報送信手段とをさらに有する
ことを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の通信装置。
【請求項12】
フォルダの位置情報を入力することをユーザに許容する第1入力手段をさらに有し、
第2位置情報メモリは、第1入力手段に入力された位置情報を記憶することによって、前記指定フォルダの位置情報を記憶する
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の通信装置。
【請求項13】
第2位置情報メモリは、所定ファイルを格納しているフォルダの位置情報を記憶することによって、前記指定フォルダの位置情報を記憶する
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の通信装置。
【請求項14】
他の通信装置から送信されるデータファイルを自身の予め指定されている指定フォルダに格納する通信装置のためのコンピュータプログラムであり、
その通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記他の通信装置から送信される位置情報とデータファイルとが受信された場合に、その位置情報により特定される前記指定フォルダ内にそのデータファイルが格納されるように、そのデータファイルを記憶する記憶制御処理と、
前記指定フォルダの位置情報を前記他の通信装置に送信する位置情報送信処理と
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記指定フォルダの位置情報が変化したことを特定する変化特定処理をさらに実行させ、
位置情報送信処理では、前記指定フォルダの位置情報が変化したことが変化特定処理で特定されたことを条件として、変化後の位置情報を前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
他の通信装置の予め指定されている指定フォルダにデータファイルを格納する通信装置であり、
前記指定フォルダの位置情報を記憶する第1位置情報メモリと、
第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とデータファイルとを前記他の通信装置に送信する位置情報−ファイル送信手段と、
前記他の通信装置から送信される位置情報を受信する位置情報受信手段と、
第1位置情報メモリに記憶されている位置情報を位置情報受信手段によって受信された位置情報に更新する第1更新手段と
を備える通信装置。
【請求項17】
原稿をスキャンしてスキャンデータファイルを作成するスキャニング装置をさらに有し、
位置情報−ファイル送信手段は、第1位置情報メモリに記憶されている位置情報とスキャニング装置によって作成されたスキャンデータファイルとを前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項16に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−89182(P2009−89182A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258093(P2007−258093)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】