説明

データ処理装置及びデータ処理方法

【課題】データ処理装置における消費電力を抑える。
【解決手段】データ処理装置であって、パケット識別子を有し放送暗号で暗号化されたパケットを伝送する受信信号に復調及び誤り訂正を行い、誤り訂正後のデータを出力する誤り訂正器と、前記誤り訂正後のデータに基づいてトランスポートストリームを再生するトランスポートストリーム再生器とを有する。前記誤り訂正器は、設定されたパケット識別子を有するパケットを選択して前記誤り訂正後のデータとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルテレビジョン放送信号等を処理するデータ処理装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビジョン放送信号の処理においては、基本的には次の流れで処理が行われる。すなわち、アンテナで受信された信号から必要な信号をチューナで選択し、TS(トランスポートストリーム)再生を行う。その後、TSに対するパケットのIDによるフィルタリング、放送暗号の復号(デスクランブル)、セクションフィルタリング、蓄積、及びAV処理を行う(例えば特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−327051号公報
【特許文献2】特開平7−297855号公報
【特許文献3】特開平9−275381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、放送暗号を復号するデスクランブル処理では非常多くの演算を行う必要があるので、この処理を行う回路を高速に動作させる必要があり、回路の消費電力が大きくなる。また、デスクランブル前のデータを共有メモリに一時的に格納しておく場合には、デスクランブル処理のために共有メモリの伝送帯域幅の多くが占有されるので、共有メモリを用いる他の処理の速度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、データ処理装置における消費電力を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によるデータ処理装置は、パケット識別子を有し放送暗号で暗号化されたパケットを伝送する受信信号に復調及び誤り訂正を行い、誤り訂正後のデータを出力する誤り訂正器と、前記誤り訂正後のデータに基づいてトランスポートストリームを再生するトランスポートストリーム再生器とを有する。前記誤り訂正器は、設定されたパケット識別子を有するパケットを選択して前記誤り訂正後のデータとして出力する。
【0007】
これによると、設定されたパケット識別子を有するパケットが選択されるので、処理の対象とするパケットの数を減らすことができる。このため、データ処理装置における消費電力を抑えることができる。
【0008】
本発明の実施形態によるデータ処理方法は、パケット識別子を有し放送暗号で暗号化されたパケットを伝送する受信信号に復調及び誤り訂正を行い、誤り訂正後のデータを出力する誤り訂正ステップと、前記誤り訂正後のデータに基づいてトランスポートストリームを再生するトランスポートストリーム再生ステップとを有する。前記誤り訂正ステップは、設定されたパケット識別子を有するパケットを選択して前記誤り訂正後のデータとして出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、データ処理装置における消費電力を抑えることができる。また、処理の対象とするパケットの数を減らすことができるので、共有メモリを用いる場合には、データ処理装置以外の処理の速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ処理装置を有する受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】(a)は、TSパケット(セクションフォーマット)の構成例を示す説明図である。(b)は、TSパケット(PESフォーマット)の構成例を示す説明図である。
【図3】TSパケットのフォーマットの例を詳細に示す説明図である。
【図4】図1のデータ処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1の誤り訂正器の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5の誤り訂正器の第1の変形例を示すブロック図である。
【図7】図5の誤り訂正器の第2の変形例を示すブロック図である。
【図8】図5の誤り訂正器の第3の変形例を示すブロック図である。
【図9】図5の誤り訂正器の第4の変形例を示すブロック図である。
【図10】図3のアダプテーションフィールドのフォーマットの例を示す説明図である。
【図11】図1のデータ処理装置の変形例における処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図1のデータ処理装置の一部の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図面において下2桁が同じ参照番号で示された構成要素は、互いに対応しており、同一の又は類似の構成要素である。
【0012】
本明細書における各機能ブロックは、典型的にはハードウェアで実現され得る。例えば各機能ブロックは、IC(集積回路)の一部として半導体基板上に形成され得る。ここでICは、LSI(Large-Scale Integrated circuit)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含む。代替としては各機能ブロックの一部又は全ては、ソフトウェアで実現され得る。例えばそのような機能ブロックは、プロセッサ上で実行されるプログラムによって実現され得る。換言すれば、本明細書で説明される各機能ブロックは、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの任意の組合せで実現され得る。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るデータ処理装置を有する受信装置の構成例を示すブロック図である。図1の受信装置は、チューナ104と、フロントエンド部110と、バックエンド部130と、ディスプレイ142とを有している。フロントエンド部110及びバックエンド部130は、データ処理装置を構成している。
【0014】
フロントエンド部110は、A/Dコンバータ112と、同期検出器114と、高速フーリエ変換器116と、波形等化器118と、誤り訂正器122と、TS(トランスポートストリーム:Transport Stream)再生器124とを有している。バックエンド部130は、トランスポートデコーダ132と、映像再生器としてのAV(audiovisual)再生器134とを有している。フロントエンド部110は単一の半導体基板上に形成されていてもよく、バックエンド部130は他の単一の半導体基板上に形成されていてもよい。
【0015】
例として、図1の受信装置が、日本や欧州等での地上デジタルテレビジョン放送において用いられているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の信号を受信する場合について説明する。また、図1の受信装置は、OFDM信号を構成する複数のセグメントのうち、例えば1セグメントのみを受信してもよいし、より多くのセグメントを受信してもよい。図1の受信装置が受信する信号は、パケット識別子を有する複数のTSパケット(以下では単にパケットとも称する)を伝送する。
【0016】
アンテナ102は、放送局等から送信された信号を受信し、受信された信号をチューナ104に供給する。チューナ104は、供給された受信信号から所望の周波数の信号を選択し、A/Dコンバータ112に出力する。A/Dコンバータ112は、入力された信号をA/D変換して同期検出器114に出力する。
【0017】
同期検出器114は、受信信号について、同期確立及び同期状態の検出を行う。例えば、既知の信号であるパイロット信号が所定のタイミングで受信されると、同期確立が検出されたことになる。同期検出器114は、同期確立された信号を高速フーリエ変換器116に出力する。高速フーリエ変換器116は、入力された信号に対して高速フーリエ変換を行い、変換後の信号を波形等化器118に出力する。
【0018】
図2(a)は、TSパケット(セクションフォーマット)の構成例を示す説明図である。図2(b)は、TSパケット(PES(Packetized Elementary Stream)フォーマット)の構成例を示す説明図である。セクションフォーマット及びPESフォーマットのいずれにおいても、TSパケットはヘッダ及びアダプテーションフィールドを有し、パケットのサイズは188バイトである。TSパケットは、アダプテーションフィールドの後にセクションフィールド又はPESフィールドを有している。セクションフィールドには、TSに含まれている番組とその番組を構成しているストリームの番組要素との関係等を表すセクションデータ(例えばPID)が格納される。この情報は、PSI(Program Specific Information)と呼ばれる。TSパケットのペイロード、すなわち、セクションフィールド及びPESフィールド等のデータが放送暗号で暗号化されており、かつ、TSパケットの全体がリードソロモン符号化されているとする。
【0019】
図3は、TSパケットのフォーマットの例を詳細に示す説明図である。TSパケットは、例えばMPEG−2(Moving Picture Experts Group-2)に規定されている。TSパケットのヘッダには、8ビットの同期バイト及び13ビットのパケット識別子(PID)が含まれている。
【0020】
図4は、図1のデータ処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。図5は、図1の誤り訂正器122の構成例を示すブロック図である。誤り訂正器122は、デインターリーバ152と、デマッパ154と、ビタビ復号器156と、フィルタ部158と、バッファ166と、リードソロモン復号器168とを有している。フィルタ部158は、リードソロモン復号器161と、PIDフィルタ162と、PID設定部163とを有している。図1〜図5を参照して、図1のデータ処理装置の動作を説明する。
【0021】
図4のステップS102では、波形等化器118は、高速フーリエ変換器116から入力された信号を波形等化し、等化後の信号を誤り訂正器122のデインターリーバ152に出力する。ステップS112では、デインターリーバ152は、等化後の信号にデインターリーブ処理を行い、得られた結果をデマッパ154に出力する。ステップS114では、デマッパ154は、デインターリーブ処理結果を対応するデータに変換するデマッピング処理(復調処理)を行い、得られた結果をビタビ復号器156に出力する。ステップS116では、ビタビ復号器156は、デマッピング処理結果にビタビ復号を行い、得られた結果をリードソロモン復号器161に出力する。
【0022】
ステップS118では、フィルタ部158は、ビタビ復号結果にPIDフィルタリング処理を行う。より具体的には、次のような処理を行う。PID設定部163には、フィルタ部158を通過させるべきパケットのPIDが設定されている。PID設定部163は、設定されたPIDをPIDフィルタ162に出力する。リードソロモン復号器161は、ビタビ復号結果のうち、PIDを含む部分にリードソロモン復号処理を行い、その結果をPIDフィルタ162に出力する。図3のように同期バイトの後の2バイトにPIDが含まれていることが分かっているので、この際、リードソロモン復号器161は、まずビタビ復号結果にリードソロモン復号処理を行って同期バイトを探し、同期バイトの2バイト後ろまでリードソロモン復号処理を行う。PIDフィルタ162は、PID設定部163に設定されたPIDを含むパケットを、リードソロモン復号処理結果から選択してバッファ166に出力する。
【0023】
バッファ166は、PIDフィルタ162から出力されたパケットを格納し、リードソロモン復号器168に出力する。ステップS120では、リードソロモン復号器168は、バッファ166から出力されたパケットに対して、リードソロモン復号器161で処理されなかった部分にもリードソロモン復号処理を行い、処理結果をTS再生器124に出力する。
【0024】
このように、誤り訂正器122は、受信信号に復調及び誤り訂正を行い、誤り訂正後のデータをTS再生器124に出力する。この際、誤り訂正器122は、設定されたパケット識別子を有するパケットを選択して誤り訂正後のデータとして出力する。
【0025】
ステップS132では、TS再生器124は、リードソロモン復号器168での処理結果からTSを再生する。すなわち、TS再生器124は、リードソロモン復号器168で処理されたパケットを、等間隔に所定のレートでトランスポートデコーダ132に出力する。
【0026】
ステップS140では、トランスポートデコーダ132は、パケットを再生されたTSから選択してメモリに出力し、蓄積させる。その後、トランスポートデコーダ132は、パケットをメモリから読み出してデスクランブル処理を行う。ステップS142では、トランスポートデコーダ132は、パケットをメモリから読み出し、読み出されたパケットに対して放送暗号の復号、すなわち、デスクランブルを行う。
【0027】
ステップS144では、トランスポートデコーダ132は、デスクランブルされたパケットがAVデータを含むか否かを判定する。AVデータが含まれる場合にはステップS152に進み、含まれない場合にはステップS146に進む。ステップS146では、トランスポートデコーダ132は、AVデータを含まないパケットにセクションフィルタリング、すなわち、番組の再生に必要とされるパケットの選択を行う。ステップS148では、トランスポートデコーダ132は、ステップS146で選択されたパケットに対して、そのパケットに含まれるセクションデータを利用するためのセクション処理を行う。
【0028】
ステップS152では、トランスポートデコーダ132は、AVデータを含むパケットを選択してAV再生器134に出力する。AV再生器134は、トランスポートデコーダ132で選択されたAVデータを含むパケットから動画像及び音声の復号を行い、得られた映像信号及び音声信号をディスプレイ142に出力する。ディスプレイ142は、ステップS152で得られた映像信号及び音声信号に従って、表示及び音声出力を行う。
【0029】
放送暗号を復号するデスクランブル処理では非常多くの演算を行う必要があるので、デスクランブルを行うトランスポートデコーダ132は、高速に動作する必要がある。このため、トランスポートデコーダ132を有するバックエンド部130は、例えばフロントエンド部110のクロック周波数の10倍以上の周波数を有するクロックに従って動作している。
【0030】
図1のデータ処理装置によると、フィルタ部158がPIDに従って必要なパケットのみを通過させるので、TS再生器124は不要なパケットを出力する必要がなく、トランスポートデコーダ132は不要なパケットに対してデスクランブル処理を行う必要がない。したがって、TS再生器124及びトランスポートデコーダ132の消費電力を減らすことができる。また、デスクランブル前のデータを共有メモリに一時的に格納してもよい。この場合には、図1のデータ処理装置によると、デスクランブル処理のために占有される、共有メモリの伝送帯域幅が減少する。すると、共有メモリを用いる他の処理に、より広い伝送帯域を割り当てることができるようになるので、共有メモリを用いる他の処理の速度が向上する。
【0031】
以下に図5の誤り訂正器122の変形例を示す。図6は、図5の誤り訂正器の第1の変形例を示すブロック図である。図6の誤り訂正器222は、バッファ166に代えてバッファ266をビタビ復号器156の前に有する点が、図5の誤り訂正器122とは異なっている。バッファ266は、デマッパ154でのデマッピング処理結果を、格納した後にビタビ復号器156に出力する。その他の点は、図5の誤り訂正器122と同様である。
【0032】
図7は、図5の誤り訂正器の第2の変形例を示すブロック図である。図7の誤り訂正器322は、フィルタ部158及びリードソロモン復号器168に代えて、フィルタ部358及びリードソロモン復号器368を有する点が、図6の誤り訂正器222とは異なっている。フィルタ部358は、リードソロモン復号器161を有しない点が、フィルタ部158とは異なっている。
【0033】
リードソロモン復号器368は、ビタビ復号結果にリードソロモン復号処理を行い、その結果をPIDフィルタ162に出力する。この際、リードソロモン復号器368は、パケットの全体を対象にリードソロモン復号処理を行う。PIDフィルタ162は、PID設定部163から出力されたPIDを含むパケットのみを、リードソロモン復号処理結果から選択して、TS再生器124に出力する。図7の誤り訂正器322によると、リードソロモン復号器の数を減らすことができる。
【0034】
図8は、図5の誤り訂正器の第3の変形例を示すブロック図である。図8の誤り訂正器422は、フィルタ部158に代えて、フィルタ部458を有する点が、図5の誤り訂正器122とは異なっている。フィルタ部458は、PIDフィルタ462と、リードソロモン符号化器464と、PID設定部163とを有する。
【0035】
フィルタ部458は、ビタビ復号結果に次のようなPIDフィルタリング処理を行う。PID設定部163には、フィルタ部458を通過させるべきパケットのPIDが設定されている。PID設定部163は、設定されたPIDをリードソロモン符号化器464に出力する。
【0036】
リードソロモン符号化器464は、図3の先頭の3バイト(すなわち、同期バイトからPIDまで)にリードソロモン符号化処理を行い、その符号化結果をPIDフィルタ462に出力する。ここで、符号化されるPIDは、PID設定部163から出力されたPIDである。また、PID毎に、トランスポートエラーインジケータ(transport error indicator)とパケットユニットスタートインジケータ(packet unit start indicator)との全ての組合せについて、図3の先頭の3バイトの符号化処理を行う。PIDフィルタ462は、リードソロモン符号化器464から出力された符号化結果を含むパケットを、ビタビ復号結果から選択してバッファ166に出力する。
【0037】
図8の誤り訂正器422によると、全てのパケットを対象にして同期バイトやPIDのリードソロモン復号処理を行う必要がないので、PIDフィルタリング処理のための演算量を減らすことができる。
【0038】
図9は、図5の誤り訂正器の第4の変形例を示すブロック図である。図9の誤り訂正器522は、バッファ166に代えてバッファ266をビタビ復号器156の前に有する点が、図8の誤り訂正器422とは異なっている。バッファ266は、デマッパ154でのデマッピング処理結果を、格納した後にビタビ復号器156に出力する。その他の点は、図8の誤り訂正器422と同様である。
【0039】
図10は、図3のアダプテーションフィールドのフォーマットの例を示す説明図である。図10のように、アダプテーションフィールド内のオプショナルフィールドを利用してデータを伝送することができる。そこで、送信を行う放送局において、セクションフィルタリングのためのデータをオプショナルフィールドのデータとして伝送してもよい。セクションフィルタリングのためのデータは、例えばそのパケットで伝送されるセクションデータが必要であるか否かを判別可能にするようなデータである。
【0040】
以下では、このようにセクションフィルタリングのためのデータが、伝送されるパケットのアダプテーションフィールドに含まれている場合について、図1のデータ処理装置のいくつかの変形例を説明する。図11は、図1のデータ処理装置の変形例における処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
図11のステップS217では、図5の誤り訂正器122のリードソロモン復号器161は、ビタビ復号結果のうち、TSヘッダ及びアダプテーションフィールドを含む部分にリードソロモン復号処理を行い、その結果をPIDフィルタ162に出力する。この際、リードソロモン復号器161は、まずビタビ復号結果にリードソロモン復号処理を行って同期バイトを探し、その後、アダプテーションフィールドまでリードソロモン復号処理を行う。TSヘッダ及びアダプテーションフィールドを含む部分には、放送暗号による暗号化はなされていない。PIDフィルタ162は、アダプテーションフィールドに含まれているセクションフィルタリングのためのデータを取得する。
【0042】
ステップS218では、フィルタ部158は、次のようにビタビ復号結果にPIDフィルタリング処理を行う。PID設定部163には、フィルタ部158を通過させるべきパケットのPID、及び必要なパケットを選択するセクションフィルタリングのためのデータが設定される。PID設定部163は、設定されたPID及びセクションフィルタリングのためのデータをPIDフィルタ162に出力する。
【0043】
PIDフィルタ162は、設定されたセクションフィルタリングのためのデータと、取得したセクションフィルタリングのためのデータとに基づいて、そのパケットが必要であるか否かを判定する。PIDフィルタ162は、必要であると判定され、かつPID設定部163に設定されたパケット識別子を有するパケットを、リードソロモン復号処理結果から選択してバッファ166に出力する。図11のその他の処理は、図4の処理と同様である。図6及び図7の誤り訂正器222、322において、同様に変形してもよい。
【0044】
このようにアダプテーションフィールドのデータを利用して、デスクランブル処理(ステップS142)の前に必要なパケットを選択すると、デスクランブルの対象となるパケットの数を更に減らすことができる。したがって、データ処理装置における消費電力を抑えることができる。また、共有メモリを用いる場合には、データ処理装置以外の処理の速度を向上させることができる。
【0045】
図8の誤り訂正器422において、次のように変形してもよい。PID設定部163には、PIDだけではなく、必要なパケットを選択するセクションフィルタリングのためのデータも設定される。PID設定部163は、設定されたPID及びセクションフィルタリングのためのデータをリードソロモン符号化器464に出力する。
【0046】
リードソロモン符号化器464は、PID設定部163に設定されたセクションフィルタリングのためのデータに基づいて、必要であると判定されるべきパケットのアダプテーションフィールドのデータを生成する。リードソロモン符号化器464は、図3の先頭からアダプテーションフィールドまでの部分に相当するデータにリードソロモン符号化処理を行い、リードソロモン符号化されたPID及びアダプテーションフィールドのデータをPIDフィルタ462に出力する。ここで、符号化されるPIDは、PID設定部163に設定されたPIDであり、アダプテーションフィールドの内容は、必要であると判定されるべきパケットのアダプテーションフィールドのデータである。また、PID毎に、トランスポートエラーインジケータとパケットユニットスタートインジケータとの全ての組合せについて、図3の先頭からアダプテーションフィールドまでの部分に符号化処理を行う。
【0047】
PIDフィルタ462は、リードソロモン符号化器464から出力された符号化結果を含むパケットを、ビタビ復号結果から選択してバッファ166に出力する。図9の誤り訂正器522において、同様に変形してもよい。
【0048】
同様に、トランスポートデコーダ132において、デスクランブル処理の前に、アダプテーションフィールドのデータを用いてセクションフィルタリングを行ってもよい。すなわち、ランスポートデコーダ132には、必要なパケットを選択するセクションフィルタリングのためのデータが設定される。トランスポートデコーダ132は、パケットのアダプテーションフィールドに含まれているセクションフィルタリングのためのデータを取得し、格納する。
【0049】
トランスポートデコーダ132は、設定されたセクションフィルタリングのためのデータと、取得したセクションフィルタリングのためのデータとに基づいて、そのパケットが必要であるか否かを判定する。トランスポートデコーダ132は、必要であると判定された場合に、そのパケットをTSから選択してメモリに出力し、蓄積させる(ステップS140)。その後、トランスポートデコーダ132は、パケットをメモリから読み出してデスクランブル処理を行う。
【0050】
このように、トランスポートデコーダ132においても、アダプテーションフィールドのデータを利用して、デスクランブル処理の前に必要なパケットを選択することができ、デスクランブルの対象となるパケットの数を更に減らすことができる。
【0051】
図12は、図1のデータ処理装置の一部の変形例を示すブロック図である。図12のデータ処理装置は、TS再生器124及びトランスポートデコーダ132に代えてTS再生器624及びトランスポートデコーダ632を有する点が、図1のデータ処理装置とは異なっている。
【0052】
TS再生器624は、TSを、映像を表すデータ及び音声を表すデータを含むAVデータAVDと、セクションデータSEDと、PCR(Program Clock Reference)等の映像の再生に必要な特殊データPCDとに分離して、トランスポートデコーダ632に出力する。トランスポートデコーダ632は、AVデータAVDをそのままAV再生器134に出力し、セクションデータSED及び特殊データPCDには必要な処理を行う。
【0053】
図12のデータ処理装置によると、トランスポートデコーダ632が処理しなければならないデータの量が減るので、トランスポートデコーダ632の負荷を軽減することができる。特に、TS再生器624を有するフロントエンド部と、トランスポートデコーダ632バックエンド部とを1つのLSIに統合する場合には、TS再生器624とトランスポートデコーダ632との間がチップ内で接続されるので、図12のような構成を容易に実現することができる。
【0054】
本発明の多くの特徴及び優位性は、記載された説明から明らかであり、よって添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び優位性の全てをカバーすることが意図される。更に、多くの変更及び改変が当業者には容易に可能であるので、本発明は、図示され記載されたものと全く同じ構成及び動作に限定されるべきではない。したがって、全ての適切な改変物及び等価物は本発明の範囲に入るものとされる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、データ処理装置等について有用である。
【符号の説明】
【0056】
122,222,322,422,522 誤り訂正器
124,624 TS再生器
132,632 トランスポートデコーダ
134 AV再生器
154 デマッパ
156 ビタビ復号器
158,358,458 フィルタ部
161,168,368 リードソロモン復号器
162,462 PIDフィルタ
163 PID設定部
464 リードソロモン符号化器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット識別子を有し放送暗号で暗号化されたパケットを伝送する受信信号に復調及び誤り訂正を行い、誤り訂正後のデータを出力する誤り訂正器と、
前記誤り訂正後のデータに基づいてトランスポートストリームを再生するトランスポートストリーム再生器とを備え、
前記誤り訂正器は、設定されたパケット識別子を有するパケットを選択して前記誤り訂正後のデータとして出力する
データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記誤り訂正器は、
前記受信信号を復調し、復調されたデータを出力するデマッパと、
前記復調されたデータにビタビ復号を行い、ビタビ復号結果を出力するビタビ復号器と、
前記設定されたパケット識別子を有するパケットを前記ビタビ復号結果から選択するフィルタ部と、
前記フィルタ部で選択されたパケットにリードソロモン復号を行い、リードソロモン復号されたパケットを前記誤り訂正後のデータとして出力する第1のリードソロモン復号器とを有する
データ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ処理装置において、
前記フィルタ部は、
前記ビタビ復号結果のうちのパケット識別子を含む部分にリードソロモン復号を行う第2のリードソロモン復号器と、
前記設定されたパケット識別子を出力するパケット識別子設定部と、
前記第2のリードソロモン復号器でリードソロモン復号されたデータから、前記設定されたパケット識別子に従ってパケットを選択するパケット識別子フィルタとを有する
データ処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ処理装置において、
前記フィルタ部は、
前記設定されたパケット識別子を出力するパケット識別子設定部と、
前記設定されたパケット識別子をリードソロモン符号化し、リードソロモン符号化されたパケット識別子を出力するリードソロモン符号化器と、
前記ビタビ復号されたデータから、前記リードソロモン符号化されたパケット識別子に従ってパケットを選択するパケット識別子フィルタとを有する
データ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記誤り訂正器は、
前記受信信号を復調し、復調されたデータを出力するデマッパと、
前記復調されたデータにビタビ復号を行い、ビタビ復号されたデータを出力するビタビ復号器と、
前記ビタビ復号されたデータにリードソロモン復号を行い、リードソロモン復号されたデータを出力する第1のリードソロモン復号器と、
前記リードソロモン復号されたデータから、前記設定されたパケット識別子を有するパケットを選択し、前記誤り訂正後のデータとして出力するフィルタ部とを有する
データ処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記受信信号で伝送される前記パケットのアダプテーションフィールドには、セクションフィルタリングのためのデータが含まれており、
前記誤り訂正器は、
前記受信信号を復調し、復調されたデータを出力するデマッパと、
前記復調されたデータにビタビ復号を行い、ビタビ復号されたデータを出力するビタビ復号器と、
前記ビタビ復号されたデータに含まれる前記パケットのアダプテーションフィールドのデータに基づいて前記パケットが必要であるか否かを判定し、必要であると判定され前記設定されたパケット識別子を有するパケットを前記ビタビ復号されたデータから選択するフィルタ部と、
前記フィルタ部で選択されたパケットにリードソロモン復号を行い、リードソロモン復号されたパケットを前記誤り訂正後のデータとして出力する第1のリードソロモン復号器とを有する
データ処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ処理装置において、
前記フィルタ部は、
前記ビタビ復号されたデータのうちの前記パケットのアダプテーションフィールド及びパケット識別子を含む部分にリードソロモン復号を行う第2のリードソロモン復号器と、
前記設定されたパケット識別子を出力するパケット識別子設定部と、
前記第2のリードソロモン復号器でリードソロモン復号されたデータに含まれる前記パケットのアダプテーションフィールドのデータに基づいて前記パケットが必要であるか否かを判定し、必要であると判定され前記設定されたパケット識別子を有するパケットを前記第2のリードソロモン復号器でリードソロモン復号されたデータから選択するパケット識別子フィルタとを有する
データ処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載のデータ処理装置において、
前記フィルタ部は、
前記設定されたパケット識別子を出力するパケット識別子設定部と、
前記パケット識別子設定部から出力されたパケット識別子、及び必要であると判定されるべきパケットのアダプテーションフィールドのデータをリードソロモン符号化し、リードソロモン符号化されたパケット識別子及びアダプテーションフィールドのデータを出力するリードソロモン符号化器と、
前記ビタビ復号されたデータから、前記リードソロモン符号化されたパケット識別子及びアダプテーションフィールドのデータに従ってパケットを選択するパケット識別子フィルタとを有する
データ処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記トランスポートストリーム再生器で再生されたトランスポートストリームに対して、放送暗号の復号及びセクションフィルタリングを行うトランスポートデコーダと、
前記トランスポートデコーダで放送暗号の復号が行われたトランスポートストリームから映像信号を生成する映像再生器とを更に備える
データ処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載のデータ処理装置において、
前記受信信号で伝送されるパケットのアダプテーションフィールドには、セクションフィルタリングのためのデータが含まれており、
前記トランスポートデコーダは、前記パケットのアダプテーションフィールドを参照して前記パケットが必要であるか否かを判定し、必要であると判定された場合に前記パケットに対して放送暗号の復号を行う
データ処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記トランスポートストリーム再生器は、前記トランスポートストリームを、映像を表すデータと、セクションデータと、PCR(Program Clock Reference)データとに分離して出力する
データ処理装置。
【請求項12】
パケット識別子を有し放送暗号で暗号化されたパケットを伝送する受信信号に復調及び誤り訂正を行い、誤り訂正後のデータを出力する誤り訂正ステップと、
前記誤り訂正後のデータに基づいてトランスポートストリームを再生するトランスポートストリーム再生ステップとを備え、
前記誤り訂正ステップは、設定されたパケット識別子を有するパケットを選択して前記誤り訂正後のデータとして出力する
データ処理方法。
【請求項13】
請求項12に記載のデータ処理方法において、
前記受信信号で伝送されるパケットのアダプテーションフィールドには、セクションフィルタリングのためのデータが含まれており、
前記パケットのアダプテーションフィールドのデータに基づいて前記パケットが必要であるか否かを判定するステップと、
前記判定するステップで必要であると判定された場合に前記パケットに対して放送暗号の復号を行うステップとを更に備える
データ処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−49667(P2011−49667A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194478(P2009−194478)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】