説明

データ処理装置

【課題】立ち上がりが急峻な一定周期の外来ノイズのレベルが一時的に低下した場合であっても、誤動作を防止することができるデータ処理装置を提供する。
【解決手段】入力波形の立上がり時間が短く、周期が異なる場合、(1)センサの出力電圧が0.45V以上になってから450msが経過していない、(2)入力波形の山の数が7以上である、(3)センサ信号発生中状態、(4)過去7山分の周期差の最大値が10ms以下である、(5)過去7山分のピーク発生時間が25ms以下である、という5つの条件を連続して判別し、全ての条件が成立した場合、その成立をホールドしてセンサ出力に基づくデータ処理を禁止する。一方、外来ノイズには見られない、ピークまでの立ち上がり時間が生じた場合、すなわち、過去7山分のピーク発生時間が25ms以上になった場合には、上記の禁止をキャンセルしてデータ処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号のA/D変換出力により波形の特徴検出等のデータ処理を行うデータ処理装置に関し、特に、ノイズによる誤動作を防止することができるデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
あるセンサから得られた信号に基づいて何らかの制御を行うといった装置は多数存在し、例えば、車両のセキュリティシステムでは、アーミング(警戒)中に不正なドア開、車室内への侵入、車両の振動、ガラス割れ等の不正侵入を検出するとアラームを発生させたり、あるいは所定場所に不正侵入があったことを無線通報するようにしているが、このセキュリティシステムに使用される侵入センサでは、物体の移動による波形の変動を抽出することで車両への不正侵入の有無を検出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−142660号公報
【0003】
図1は一般的なセキュリティシステムの構成を示すブロック図であり、セキュリティECU31はロック制御を行うキーレスエントリー機能を内蔵しており、車両のドアロック/アンロック制御、ドアの開閉制御を行ったり、不正な手段による車室内への侵入等があったとき警報を発したりするもので、送信機32からの要求信号に応じてアーミング/ディスアーミング制御、車両のドアロック/アンロック制御等を行う。
送信機32はロックボタンLとアンロックボタンUを有し、ロックボタンLの押下によりセキュリティセット(アーミング)、アンロックボタンUの押下によりセキュリティリセット(ディスアーミング)となる。
【0004】
このセキュリティECU31には、ドアの開閉状態を検出するカーテシSW33、フードの開閉状態を検出するフードSW34、正規の方法以外でドアが開けられたり、車室内への侵入があったことを検出する侵入センサ35、車両の振動を検出する振動センサ36、イグニッションスイッチのオン/オフのスイッチング状態を検出するIGSW37、ドアのロック、アンロックを検出するロックポジションSW38等のSWやセンサの出力が入力されるとともに、ドアのロック、アンロックを行うドアロック機構を駆動するロックモータ39、警報時に警報動作を行うホーン40、ハザードランプ41等が接続されている。
【0005】
また、図2は上記の侵入センサ35の一例を示すもので、ミリ波帯の高周波信号を使用した侵入センサの構成を示すブロック図であり、4MHzの高周波信号を発生する発振回路51の出力が逓倍・増幅回路52により24GHzの周波数信号に逓倍・増幅され、送信アンテナ53から送出される。そして、送信アンテナ53からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波が受信アンテナ54によって受信され、受信アンテナ54からの受信信号と逓倍・増幅回路52からの送信信号を混合回路56により混合し、検波回路57に入力する。
そして、検波回路57が受信信号と送信信号との差の周波数成分をビート信号として抽出し、マイコン58は検波回路57の出力をA/D変換したデータに基づいて、物体の移動による波形の変動を抽出することで車両への不正侵入の有無を検出するようになっている。
【0006】
上記の侵入センサのように、入力信号をデータ処理するマイコンを利用したデータ処理装置では、センサからの信号をA/D変換器でサンプリングしてデジタル化し、このデジタル信号に基づいてデータ処理回路で判定処理を行っている。
この場合、サンプリング周期が短いと、A/D変換された波形は原信号に近いものとなるが、サンプリング周期が長いと、A/D変換された波形は原信号から離れたものとなり、原信号の波形の形を認識することができないので、通常、原信号に含まれる最高周波数がfpである場合、サンプリング周波数を2fp以上にしている。
【0007】
このようなデータ処理装置は、そのシステムで必要な周波数成分よりも高い周波数を有する信号が外来ノイズとしてセンサに入力された場合、A/D変換器のサンプリング周波数よりも高い周波数成分の信号は波形を認識できないため、外来ノイズか否かの認識がうまくできず、誤動作する可能性があるので、高周波ノイズが入った場合は、データ処理を中止する必要がある。
【0008】
また、データ処理装置として、周期は不定であるが、ほぼ一定時間間隔の信号を検出するものがあるが、このようなデータ処理装置に、一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号、例えば、図3に示すような携帯電話の電源オン・オフ信号が入力された場合、このような信号はA/D変換器のサンプリング周波数を高くしないと、波形の認識がうまくできないので、データ処理装置が誤動作することがあった。
【0009】
このため、従来、図4に示すように、(1)センサの出力電圧が0.45V以上になってから450msが経過していない、(2)入力波形の各山の周期差の最大値が10ms以下である、(3)入力波形の山の数が7以上である、(4)センサ信号発生中状態、すなわち、センサの出力電圧が0.45V未満の状態が100ms継続していない、(5)ピーク発生時間、すなわち、センサ出力が基準電圧を超えてから、ピーク電圧が発生するまでの時間の7山分の積算値が25ms以下である、という5つの条件が成立した場合に、センサ出力に基づくデータ処理を禁止することにより、立ち上がりが急峻な一定周期の信号が入力した場合の誤動作を防止するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、従来は、信号発生から山が7つ発生するまでの時間のデータで判定しているので、その時間内に外来ノイズのレベルが低下し、外来ノイズと判定するための条件である周期性を正しく獲得できなかった場合、例えば、図5の周期T3の山のように外来ノイズのレベルが一時的に低下し、周期が大となった場合、周期差の最大値が10ms以下という条件が成立しないので、上記のロジックが作動せず、検知禁止がかからずに、侵入者の誤検知をしてしまうという、問題が生じていた。
【0011】
また、侵入者が車内に侵入してきたときの波形、すなわち、物取り波形がたまたま図6(a)に示すように、上記の5つの条件を満たすような波形となった場合、すなわち、周期差が一定でピークまでの時間もさほど変化のない波形が検出された場合、データ処理、すなわち、侵入者検知処理が禁止となってしまう、という問題もあった。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、立ち上がりが急峻な一定周期の外来ノイズのレベルが一時的に低下した場合であっても、誤動作を防止することができるとともに、外来ノイズでない入力波形が一時的に外来ノイズの判定条件を満たした場合にも、データ処理を実行することができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明に係るデータ処理装置は、入力波形の立上がり時間が所定時間内で、周期が異なる場合、入力信号の周期差及びピーク発生時間に基づく外来ノイズ判定を連続して行うようにした。
【0014】
すなわち、入力波形の立上がり時間が短く、周期が異なる場合、図7に示すように、(1)センサの出力電圧が0.45V以上になってから450msが経過していない、(2)入力波形の山の数が7以上である、(3)センサ信号発生中状態、(4)過去7山分の周期差の最大値が10ms以下である、(5)過去7山分のピーク発生時間が25ms以下である、という5つの条件を連続して判別し、全ての条件が成立した場合、その成立をホールドしてセンサ出力に基づくデータ処理を禁止する。
【0015】
また、たまたま物取り波形で外来ノイズ判定条件を満たす、すなわち、周期差が一定でピークまでの時間もさほど変化のない波形が検出され、データ処理禁止となってしまった場合であっても、図6(b)に示すように、外来ノイズには見られないピークまでの立ち上がり時間が生じた場合、すなわち、過去7山分のピーク発生時間が25ms以上になった場合には、上記のホールドを解除してデータ処理を実行するとともに、このように一度禁止解除になった場合には、以降上記の5つの条件が成立してもデータ処理の禁止をかけないようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るデータ処理装置によれば、入力波形の立上がり時間が所定時間内で、周期が異なる場合、入力波形の周期差の最大値、及びピーク発生時間の判定を入力波形の山が7個を越えても連続して行うので、立ち上がりが急峻な一定周期の信号のレベルが一時的に低下した場合であっても、データ処理を禁止し、誤動作を防止することができる。
また、たまたま物取り波形で上記の5つの条件を満たす、すなわち、周期差が一定でピークまでの時間もさほど変化のない波形が検出され、データ処理禁止となってしまった場合であっても、外来ノイズには見られないピークまでの立ち上がり時間が生じた場合には、データ処理禁止がキャンセルされるので、データ処理の誤った禁止を防ぐことができる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明のデータ処理装置をセキュリティシステムの侵入センサに適用した実施例について説明する。
図8は、セキュリティシステムのシステム構成を示すブロック図であり、このシステムは侵入センサ1とセキュリティECU2、ホーン3等よりなり、侵入センサ1は車室内に電波を張りめぐらせておき、ガラスが割られたり、車室内で人が動いたりしたときの電波の周波数の乱れを検出すると、セキュリティECU2に通知し、セキュリティECU2がホーン3またはハザードランプ(図示せず)により警報動作を行う。
【0018】
侵入センサ1は、4MHzの高周波信号を発生する発振回路11と、発振回路11の出力を逓倍・増幅して送信アンテナ13に出力するとともに、出力信号の一部を分岐させて混合回路16に出力する逓倍・増幅回路12と、送信アンテナ13からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波を受信するための受信アンテナ14と、受信アンテナ14からの信号を受信する受信回路15と、受信回路15からの受信信号と逓倍・増幅回路12からの送信信号を混合して出力する混合回路16と、混合回路16からの混合出力を検波する検波回路17と、検波回路17の出力が入力されるサンプルホールド回路18と、サンプルホールド回路の出力が入力される低周波増幅器19と、間欠駆動回路20と、マイコン21よりなる。
【0019】
マイコン21は、受信信号と送信信号との差の周波数成分をビート信号として抽出するとともに、オフセット電圧を除去する低周波増幅器19からの信号が入力されるA/D変換器22と、このA/D変換器22のA/D変換出力が入力され、不審者の侵入を判定する判定部23と、定周期ノイズ認識部24及びアンド回路25により構成されている。
この侵入センサ1の動作中には、消費電力を低減するため、マイコン21が一定時間ごとに間欠駆動回路20に信号を送出し、間欠駆動回路20はマイコン21から信号を受けると、一定時間発振回路11を駆動する。
【0020】
そして、4MHzの高周波信号を発生する発振回路11の出力が逓倍・増幅回路12により24GHzの周波数信号に逓倍・増幅され、送信アンテナ13から送出される。送信アンテナ13からの送信電波が周囲の物体に当たって反射してくる反射波は、受信アンテナ14によって受信されて受信回路15に入力され、受信回路15からの受信信号と逓倍・増幅回路12からの送信信号が混合回路16により混合された後、検波回路17により検波される。
【0021】
この検波信号がサンプルホールド回路18を介して低周波増幅器19に入力され、受信信号と送信信号との差の周波数成分がビート信号としてマイコン21に入力され、マイコン21は低周波増幅器19の出力をA/D変換したデータに基づいて、物体の移動による波形の変動を抽出することによって車両への不正侵入の有無を検出する。
すなわち、判定部23が、A/D変換器22の出力に基づいて判定処理、例えば、人の動きを検知して人の存在を判定する侵入判定処理を行う。
【0022】
一方、定周期ノイズ認識部24は、A/D変換器22の出力に基づいて定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号が入力したか否かを判定し、立ち上がりが急峻な一定周期の信号が入力した場合には、アンド回路25にハイレベルの信号を出力することにより、判定部23の判定処理出力のセキュリティECU2への出力を禁止することにより、判定部23でのノイズによる誤った判定結果がセキュリティECU2に入力されることを防止する。
【0023】
図9は上記のマイコン21の判定部23、定周期ノイズ認識部24及びアンド回路25の機能を実現するハードウェア構成を示す図であり、A/D変換器22、CPU26、ROM(Read Only Memory)27及びRAM28(Random Access Memory)から構成されている。
CPU26は、マイコン21のハードウェア各部を制御するとともに、ROM27に記憶されたプログラムに基づいてノイズ認識プログラム、侵入判定処理プログラム等の各種のプログラムを実行する。また、RAM28はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータ、例えば、A/D変換器22からのサンプリング値や周期差、ピークまでの時間を記憶するとともに、侵入検知禁止フラグを記憶するフラグ記憶領域を備えている。
このように、判定部23、定周期ノイズ認識部24、アンド回路25はCPU26、ROM27、RAM28により構成され、ソフトウェアによりその機能が実行される。
【0024】
次に、定周期ノイズ認識部24の作用を図10のフローチャート及び図11、図12の波形図により説明する。
定周期ノイズ認識部24を構成するCPU26は、A/D変換器22から0.5ms毎に入力されるA/D変換出力に基づいて入力信号のレベルが0.45Vを超えたか否かを常時判定しており、図5に示すように、入力信号のレベルが0.45Vを超えると、図10のフローチャートに示す侵入検知禁止判定プログラムを開始してA/D変換器22からのサンプリング値のRAM28への記憶を開始する(ステップ101)。
【0025】
次に、CPU26はRAM28に記憶されているサンプリング値に基づいて入力波形中に山が7個以上発生したか否かを判定する(ステップ102)。すなわち、CPU26は、図11に示すように、今回のサンプリング値が0.45V未満から0.45Vを超えた時点で山の数をカウントアップし、前回のカウントアップから0Vを下回ってない場合はカウントアップしないことにより山の数をカウントしており、このカウント値を7と比較することにより山が7個以上発生したか否かを判定する。
【0026】
ステップ102で山が7個以上発生していないと判定した場合、CPU26は、プログラムを開始してから450msが経過したか否かを判定し(ステップ103)、プログラムを開始してから450msが経過していないと判定した場合、センサ信号が発生中状態、すなわち、サンプリング値の値が0.45V未満の状態が100ms継続しているか否かを判定する(ステップ104)。
【0027】
サンプリング値が0.45V未満の状態が100ms継続していない、すなわち、センサ信号が発生中状態と判定した場合、CPU26は、ステップ102に戻って再び山が7個以上発生したか否かを判定し、センサの出力電圧が0.45V未満の状態が100ms継続したと判定した場合、センサの出力がなくなったと判断し、検知禁止フラグやサンプリング値等の記憶値をクリアした(ステップ106)後、プログラムを終了する。
また、ステップ103でプログラムを開始してから450msが経過したと判定した場合には、定周期ノイズが発生していないと判断して不審者の侵入検知の判定結果の出力を許可し(ステップ105)、検知禁止フラグやサンプリング値等の記憶値をクリアした(ステップ106)後、プログラムを終了する。
【0028】
一方、ステップ102で山が7個以上発生したと判定した場合、CPU26は、図5に示すように、各山の周期T1、T2、・・・及び隣り合う山との周期差の絶対値|T2−T1|、|T3−T2|、・・・を計算した(ステップ107)後、過去7山分の周期差をRAM28に記憶する(ステップ108)。なお、既に過去7山分の周期差がRAM28に記憶されている場合には、その値を更新する。
【0029】
次に、CPU26は、過去7山分の周期差の最大値MaxをRAM28に記憶または更新した(ステップ109)後、過去7山分のピークまでの時間積算値Tpを演算し、RAM28に記憶または更新する(ステップ110)。
すなわち、CPU26は図12に示すように、波形の立ち上がりからピークまでの時間tp1、tp2、tp3、・・・を演算し、7山分の波形の立ち上がりからピークまでの時間tpの積算値Tpを求める。
【0030】
上記の演算が終了すると、CPU26は、過去7山分のピークまでの時間積算値Tpが25msより小さいか否かを判定し(ステップ111)、時間積算値Tpが25msより大きいと判定した場合、定周期ノイズには見られないピークまでの立ち上がり時間が生じていると判断して不審者の侵入検知の判定結果の出力を許可し(ステップ105)、検知禁止フラグやサンプリング値等の記憶値をクリアした(ステップ106)後、プログラムを終了する。
【0031】
一方、ステップ111で時間積算値Tpが25msより小さいと判定した場合、CPU26は、過去7山分の周期差の最大値Maxが10msより小さいか否かを判定し(ステップ112)、過去7山分の周期差の最大値Maxが10msより小さいと判定した場合、定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な定周期ノイズが発生していると判断し、RAM28のフラグ記憶領域の検知禁止フラグをオンする(ステップ113)。
【0032】
検知禁止フラグをオンした後、CPU26は、RAM28に記憶されているサンプリング値に基づいて入力波形の次の山が終了したか否かを判定し(ステップ114)、次の山が終了していないと判定した場合、センサ信号が発生中状態か否かを判定する(ステップ115)。
【0033】
ステップ115でセンサ信号が発生中状態と判定した場合、CPU26は、ステップ114に戻って再び次の山が終了したか否かを判定し、センサ信号が発生していないと判定した場合、検知禁止フラグやサンプリング値等の記憶値をクリアした(ステップ106)後、プログラムを終了する。
また、ステップ114で次の山が終了したと判定した場合、ステップ107に戻って、再び、過去7山分の周期差の最大値Max、過去7山分のピークまでの時間積算値Tpを演算して、入力信号がノイズか否かの判定を実行する。
【0034】
一方、ステップ112で過去7山分の周期差の最大値Maxが10msより大きいと判定した場合、CPU26は、図5の周期T3のように、立ち上がりが急峻な一定周期のノイズ信号のレベルが一時的に低下した可能性があると判断して禁止判定を延期し、次の山が終了した場合に、再び、過去7山分の周期差の最大値Max、過去7山分のピークまでの時間積算値Tpを演算して入力信号がノイズか否かの判定を実行する。
【0035】
すなわち、ステップ112で過去7山分の周期差の最大値Maxが10msより大きいと判定した場合、CPU26は、RAM28に記憶されているサンプリング値に基づいて入力波形の次の山が終了したか否かを判定し(ステップ116)、次の山が終了していないと判定した場合、センサ信号が発生中状態か否かを判定する(ステップ117)。
【0036】
センサ信号が発生中状態と判定した場合、CPU26は、プログラムを開始してから450msが経過したか否かを判定し(ステップ118)、プログラムを開始してから450msが経過していないと判定した場合、ステップ116に戻って、再び入力波形の次の山が終了したか否かを判定する。
そして、ステップ116で次の山が終了したと判定した場合、CPU26は、ステップ107に戻って、再び、過去7山分の周期差の最大値Max、過去7山分のピークまでの時間積算値Tpを演算して入力信号がノイズか否かの判定を実行する。
【0037】
また、ステップ117でサンプリング値が0.45V未満の状態が100ms継続し、センサ信号が発生していないと判定した場合、CPU26は、検知禁止フラグやサンプリング値等の記憶値をクリアした(ステップ106)後、プログラムを終了する。
【0038】
一方、ステップ118でプログラムを開始してから450msが経過したと判定した場合、CPU26は、RAM28の検知禁止フラグを参照することにより、その時点で検知禁止フラグがオンになっているか否かを判定し(ステップ119)、検知禁止フラグがオンになっていると判定した場合、
立ち上がりが急峻な一定周期のノイズ信号のレベルが一時的に低下した可能性があるので、ステップ116に戻って、再び入力波形の次の山が終了したか否かを判定する。
【0039】
また、ステップ119で検知禁止フラグがオフであると判定した場合、CPU26は、入力信号がノイズ信号でないと判断して不審者の侵入検知の判定結果の出力を許可し(ステップ105)、検知禁止フラグやサンプリング値等の記憶値をクリアした(ステップ106)後、プログラムを終了する。
【0040】
以上のように、入力波形の立上がり時間が短く、周期が異なる場合、センサの出力信号の周期差の最大値、及び出力信号のピーク発生時間の判定が次の山が終了するたびに行われるので、立ち上がりが急峻な一定周期の信号のレベルが一時的に低下した場合であっても、不審者の侵入検知を禁止し、誤動作を防止することができる。
すなわち、図13に示すようなセンサ信号が発生した場合、信号有り状態移行後、P3の時点で周期差大が検出されるので、7山分のデータが確認されるP8時点でも検知禁止はかからないが、P10時点で過去7山分のデータが条件を満たすので、不審者の侵入検知を禁止することができる。
【0041】
また、たまたま物取り波形で条件を満たす、すなわち、周期差が一定でピークまでの時間もさほど変化のない波形が検出され、検知禁止となってしまった場合であっても、ステップ111で定周期ノイズには見られないピークまでの立ち上がり時間が生じた場合には、検知禁止がキャンセルされ、不審者の侵入検知の判定結果出力が許可されるので、誤った検知禁止を防ぐことができる。
【0042】
なお、上記の実施例で説明した、ノイズ判定を行う山の数、信号有無の判定を行う電圧値、周期差の最大値・ピーク発生時間の判定値等は一例であり、適宜変更することが可能である。
また、上記の実施例では、入力信号の振幅が一定値以上になった場合に、検知禁止判定プログラムを実行したが、最初の1波形または数波形の周期、時間を使用しないようにすれば、波形が安定してからのみノイズ検出を行うようにすることができる。
【0043】
さらに、上記の実施例では、周期差を演算するのに、前後の山の周期の差を求めたが、最初の1波形を基準値とし、以降の波形の周期と基準値との差を演算することにより、周期差を求めることもできる。
また、上記の実施例では、本発明のデータ処理装置をセキュリティシステムに適用した場合の例について説明したが、本発明のデータ処理装置は、上記以外の様々な波形認識を行うデータ処理装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】一般的なセキュリティシステムの構成を示すブロック図。
【図2】侵入センサの構成を示すブロック図。
【図3】一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な波形の一例。
【図4】従来の一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号を判定するための条件。
【図5】図4の条件が成立しない場合の波形の一例。
【図6】誤ってノイズと判定される物取り波形の一例。
【図7】本発明の一定周期の信号で信号の立ち上がりが急峻な信号を判定するための条件。
【図8】セキュリティシステムのシステム構成を示すブロック図。
【図9】マイコンのハードウェア構成を示す図。
【図10】定周期ノイズ認識部の作用を示すフローチャート。
【図11】波形の山の数のカウントの説明図。
【図12】波形の立ち上がりからピークまでの時間の積算値を求めるための説明図。
【図13】検知禁止フラグがオンとなる波形の一例。
【符号の説明】
【0045】
1 侵入センサ
11 発振回路
12 逓倍/増幅回路
13 送信アンテナ
14 受信アンテナ
15 受信回路
16 混合回路
17 検波回路
18 サンプルホールド回路
19 低周波増幅器
20 間欠駆動回路
21 マイコン
22 A/D変換器
23 判定部
24 定周期ノイズ認識部
25 アンド回路
2 セキュリティECU
3 ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のA/D変換出力をデータ処理するデータ処理手段と、
連続して同じ周期の波形が入力され、かつ、波形の立上り時間が所定時間内であると判別したとき、外来ノイズと判定する外来ノイズ判定手段とを備え、
外来ノイズと判定した場合、上記外来ノイズ判定手段が上記データ処理手段のデータ処理を禁止するとともに、波形の立上がり時間が所定時間内で、周期が異なる場合、上記外来ノイズ判定手段が連続して外来ノイズ判定を行うことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたデータ処理装置において、
上記外来ノイズ判定手段が、入力信号の複数のピークの周期差、立上がり時間に基づいて外来ノイズか否かを判定するとともに、立上がり時間が所定時間内で、周期が異なる場合、次の山が終了したとき、再び、複数のピークの周期差、立上がり時間に基づいて外来ノイズか否かを判定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたデータ処理装置において、
上記入力信号が発生してから所定時間以内に、入力信号が外来ノイズであると判定できない場合、上記データ処理手段がデータ処理を開始することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたデータ処理装置において、
上記データ処理禁止状態において、波形の立上り時間が所定時間以上になったと判別したとき、上記外来ノイズ判定手段がデータ処理禁止を解除するとともに、以降のデータ処理禁止を行わないことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたデータ処理装置を備えることを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたデータ処理装置を備えることを特徴とする侵入センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−249338(P2008−249338A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87331(P2007−87331)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】