説明

データ収集装置及びプログラム

【課題】データ収集先から受信するデータ量を抑制しながらトリガ条件成立時の情報を確実に収集できるデータ収集装置を実現する。
【解決手段】データ収集装置1は、トリガ条件が成立する前段階を先行計測条件とし、運用指令装置3からの運用指令情報をモニタし、モニタの結果、先行計測条件が成立していると判断した際に、制御機器2にモータ21に対するセンサ値のバッファリングを指示し、トリガ条件が成立していると判断した際にバッファリングしているセンサ値を送信するよう制御機器2に指示する。これにより、制御機器2から受信するデータ量を抑制しながらトリガ条件成立時のセンサ値を確実に収集できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器から効率的にデータを収集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
データ収集装置は、複数の機器に接続され、各機器が取得したデータを収集し、記録する。
例えば、データ収集装置が複数の制御機器に接続されている場合は、各制御機器の故障や異常を検出するために、各制御機器の動作状態を示す状態情報を収集、記録する。
状態情報は、例えば各種のセンサ値である。
データ収集装置は、通常、データ収集装置が得ることのできる情報、例えば運転指令やセンサ値をトリガ条件とし、設定したトリガ条件が成立した時(例えば、運転指令を受信した時、特定のセンサ値が検出された時)の情報を蓄積する動作を行う。
例えば特許文献1では、トリガ条件を外部から設定可能とすることで、データ収集装置を交換しなくてもトリガ条件を変更したり、追加できるようにする方法が提案されている。
このとき、トリガ条件となる情報の時間遅延、および条件判定のための処理遅延が発生し、トリガ条件成立時の情報が取得できない問題に対処するため、特許文献1のデータ収集装置は常に制御機器から状態情報を収集し、収集した状態情報を一時的にデータ収集装置内のバッファに格納しながらトリガ条件が成立しているか否かの判断を行う。
トリガ条件の成立時には、データ収集装置はバッファ内容を記録用メモリに転送することで、バッファに蓄積されている状態情報の中からトリガ条件成立後の状態情報を記録することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−261408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のデータ収集装置は、このようにトリガ条件成立時の情報を得るために、情報を常に収集し続ける必要があるため、伝送負荷が高いという課題がある。
特に劣化判断や寿命予測に必要なセンサアナログ波形情報を高精度、高サンプリングに取得する場合には、大容量の情報伝送設備を必要とし、設備が高価になるという課題がある。
また、トリガ条件成立時の前後の一定の時間範囲の情報を取得するためには、バッファに常に当該時間範囲分の情報を蓄積させておく必要があり、このため、データ収集装置のバッファ容量も大規模にならざるを得ず、結果的にシステム全体が高価となる課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決することを主な目的の一つとしており、データ収集先から受信するデータ量を抑制しながらトリガ条件成立時の情報を確実に収集できるデータ収集装置等を実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデータ収集装置は、
データを取得するデータ取得装置から、前記データ取得装置が取得した取得データを受信するデータ収集装置であって、
前記データ取得装置と通信する通信部と、
前記データ取得装置から取得データを送信させるための条件をトリガ条件として定義する条件定義情報を記憶する条件定義情報記憶部と、
トリガ条件が成立する状況が生じる前に、取得データのバッファリングを開始するよう前記データ取得装置に指示するバッファリング開始指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信するバッファリング開始指示部と、
トリガ条件が成立する状況が生じた際に、バッファリングしている取得データを送信するよう前記データ取得装置に指示するデータ送信指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信するデータ送信指示部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トリガ条件が成立する前にデータ取得装置に取得データのバッファリングを指示し、トリガ条件が成立した際にバッファリングしている取得データを送信するようデータ取得装置に指示するため、データ取得装置から受信するデータ量を抑制しながらトリガ条件成立時の取得データを確実に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係るシステム構成例を示す図。
【図2】実施の形態1に係るデータ収集装置の動作の概要を示す図。
【図3】実施の形態1に係る状態モデルの例を示す図。
【図4】実施の形態1に係るデータ収集装置の動作例を示すフローチャート図。
【図5】実施の形態1に係るデータ収集装置のモジュール構成例を示す図。
【図6】実施の形態1に係るデータ収集装置のハードウェア構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本実施の形態では、ユーザが設定したトリガ条件に対し、トリガ条件成立の前段階を示す先行計測条件を生成し、先行計測条件が成立した時にデータ収集先の機器において情報の取得(動作状態の計測)を開始させるとともに情報のバッファリングを開始させる。
更に、トリガ条件が成立した際に、データ収集装置は、各機器においてバッファリングされている情報を受信する。
これにより、データ収集装置は、各機器から受信するデータ量を抑制するとともに、トリガ条件成立前の前段階からの情報を効率的に収集することができる。
以下、本実施の形態に係るデータ収集装置を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係るデータ収集装置を、一例としてモータ制御システムに適用した際の機器構成を示すシステム構成図である。
【0011】
図1において、データ収集装置1は、通信ケーブル等の伝送路4を介して複数の制御機器2、運転指令装置3に接続され、複数の制御機器2、運転指令装置3と通信を行い、各制御機器2からセンサ値を収集する。
データ収集装置1は、収集したセンサ値を蓄積するストレージ12を備える。
なお、データ収集装置1の詳細は後述する。
【0012】
制御機器2は、運転指令装置3からの運転指令情報に基づいて、制御対象であるモータ21に対し制御信号を出力し、モータ21に配置されているセンサのセンサ値22を入力する。
また、制御機器2は、センサ値22を蓄積するバッファを備える。
なお、制御機器2はデータ取得装置の例であり、モータ21は対象機器の例である。
また、制御機器2が取得したセンサ値22は取得データの例である。
【0013】
運転指令装置3は、制御機器2に対する制御指示である運転指令情報を出力する。
なお、運転指令装置3からの運転指令情報は伝送路4に配置されているスイッチ装置(中継装置)により複製が生成され、各制御機器2だけでなくデータ収集装置1にも運転指令情報の複製が入力される。
【0014】
図5は、本実施の形態に係るデータ収集装置1のモジュール構成例を示す。
【0015】
図5において、トリガ条件設定部101は、データ収集装置1のユーザからトリガ条件を入力し、入力したトリガ条件を後述の収集トリガ条件記憶部104に格納するとともに、後述の先行計測条件生成部102に出力する。
なお、本実施の形態では、トリガ条件は、各制御機器2からセンサ値22(取得データ)を送信させるための条件である。
トリガ条件設定部101は、トリガ条件入力部の例である。
【0016】
先行計測条件生成部102は、トリガ条件設定部101からトリガ条件を入力し、入力したトリガ条件が成立する状況の前段階の状況を表す値を先行計測条件として生成する。
先行計測条件は、各制御機器2においてセンサ値のバッファリングを開始させる条件であり、バッファリング開始条件の例である。
そして、先行計測条件生成部102は、バッファリング開始条件指定部の例である。
【0017】
状態モデル記憶部103は、先行計測条件生成部102が先行計測条件を生成するために用いる状態モデルを記憶している。
状態モデルとは、例えば図3に示すように、モータ21における変化特性をモデル化した情報である。
状態モデルには、先行計測条件生成部102が先行計測条件を指定する際に基準となる指定基準が示されており、基準情報の例である。
そして、状態モデル記憶部103は、基準情報記憶部の例である。
状態モデルの詳細は図3を用いて後述する。
【0018】
収集トリガ条件記憶部104は、先行計測条件生成部102により入力されたトリガ条件と先行計測条件生成部102により生成された先行計測条件を収集トリガ条件として記憶する。
収集トリガ条件は条件定義情報の例であり、収集トリガ条件記憶部104は条件定義情報記憶部の例である。
【0019】
情報管理部105は、トリガ条件が成立する状況が生じる前に、センサ値のバッファリングを開始するよう指示する計測指示(バッファリング開始指示)を通信部106から制御機器2に対して送信する。
具体的には、情報管理部105は、先行計測条件が成立する状況が生じた際に、計測指示を通信部106から制御機器2に対して送信する。
また、情報管理部105は、トリガ条件が成立する状況が生じた際に、バッファリングしているセンサ値を送信するよう指示する収集指示(データ送信指示)を通信部106から制御機器2に対して送信する。
情報管理部105は、バッファリング開始指示部及びデータ送信指示部の例である。
【0020】
通信部106は、伝送路4を介して、複数の制御機器2、運転指令装置3とデータを送受信する。
【0021】
次に動作について説明する。
【0022】
制御機器2は、運転指令装置3の運転指令情報を伝送路4を経由して受け取り、運転指令内容に従いモータ21の回転トルクを制御する。
制御機器2は、モータ21の制御演算や、異常判断を行うため、モータ21から電流値、トルク値等のセンサ値22を入力している。
制御機器2は、通常は制御演算や異常判断に使用した後はセンサ値22を破棄している。
【0023】
データ収集装置1は、伝送路4をモニタすることで制御機器2への運転指令情報の複製を採取し、後述する先行計測条件の生成方法によって生成された先行計測条件の成立有無の判断を実施し、先行計測条件が成立していれば、計測指示を伝送路4経由で制御機器2に送信する。
また、データ収集装置1は、トリガ条件の成立有無の判断を実施し、トリガ条件が成立していれば、収集指示を伝送路4経由で制御機器2に送信する。
【0024】
制御機器2は、計測指示を受信した際にセンサ値22のバッファリングを開始する。
また、制御機器2は、収集指示を受信した際にバッファリングしているセンサ値22のサンプリング情報を伝送路4に出力する。
データ収集装置1は、制御機器2からのセンサ値22のサンプリング情報を受信し、ストレージ12に蓄積する。
【0025】
ここで、先行計測条件の生成方法を説明する。
図2は、データ収集装置1において、トリガ条件の設定から、先行計測条件を生成し、先行計測条件の成立にともなって計測指示を送信し、トリガ条件の成立にともなって収集情報を送信し、制御機器2からセンサ値22を受信し、ストレージ12にセンサ値22を蓄積するまでを示したフロー図である。
【0026】
まず、トリガ条件設定部101において、ユーザが収集したいトリガを設定する。
ここでは、伝送路4をモニタすることでデータ収集装置1が収集可能な項目が、条件項目201としてリスト化される。
例えば、現在時刻、温度や湿度等の環境情報、モータ回転数等の状態情報、運転切替などの運転情報等が項目の例となる。
ユーザはリスト化された項目の中から選択する項目(トリガ条件)を指定し、トリガ条件設定部101は、ユーザが指定した項目が示される情報を入力し、ユーザが指定した項目を組み合わせて、トリガ条件の集合を設定する。
設定したトリガ条件の集合は、収集トリガ条件記憶部104に格納されるとともに、先行計測条件生成部102に引き渡される。
【0027】
先行計測条件生成部102は、トリガ条件から先行計測条件を生成する。
先行計測条件の生成にあたり、先行計測条件生成部102は、状態モデル記憶部103から状態モデル202を取得する。
状態モデル202は、条件項目201の項目ごとに、その変化特性をモデル化したものであり、先行計測条件を指定する際の基準となる指定基準が示されている。
状態モデル202は、大きくは図3に示すような3種類のカテゴリーに分別され、先行計測条件生成部102は入力したトリガ条件が以下の3種類のカテゴリーのうちのいずれのカテゴリーに属するかを判定し、判定したカテゴリーにおける先行計測条件の状態モデルと入力したトリガ条件とに基づき、先行計測条件を生成する。
【0028】
図3(a)に示すモデル(1)は、時間に対し線形変化するもので、経過時間に対して値が予測できるものを示す。時刻情報がこれにあたる。
この場合、トリガ条件に対する先行計測条件は、時間変化の特性を逆引きしたものに一致するため、容易に変換することができる。
モデル(1)の状態モデルでは、例えば図3(a)に示すグラフ又は当該グラフに相当する情報が指定基準として示される。
【0029】
次に、図3(b)に示すモデル(2)は、連続ながら非線形変化するもので、近い時間の傾向はつかめるものの確定した時間特性は示せないものを示す。
温度、湿度、モータ回転数等の情報がこれにあたる。
モデル(2)の状態モデルでは、例えば以下に示す計算式が指定基準として示される。
モデル(2)の場合は、線形予測に基づき先行計測条件を生成する。
すなわち、運転指令装置3からの定期的な運転指令情報からそのときどきの特性傾斜aを求め、現在値y1とトリガ条件値y2が、以下の関係にある時を先行計測条件とする。
a>0:y1+a*t≧y2
a<0:y1+a*t≦y2 (t=トリガ条件に対する先行時間)
【0030】
図3(c)に示すモデル(3)は、非連続変化するもので、それ自体は突発的に変化するものを示す。
運転切替がこれにあたる。
モデル(3)の状態モデルでは、以下に示す関連情報が指定基準として示される。
モデル(3)の場合、項目そのものからは先行計測条件を取得できないため、関連情報を用いる。
例えば、運転切替は、運転規定にてモータ回転がある範囲に達したときに切替るものであれば、モータ回転数にて先行計測条件を生成する。
モデル(3)の関連情報の導出方法は、前記のように仕様や規律から求めるほか、過去情報の関連性分析から求めてもよい。
【0031】
以上のトリガ条件の各項目に対するモデルの種別と、先行計測条件の生成方法は、状態モデル202として部品化されており、先行計測条件生成部102は、トリガ条件設定部101から与えられたトリガ条件の項目を分解し、項目毎のモデルを抽出し、先行計測条件への変換式にトリガ条件に含められたトリガ条件値を代入し項目別の先行計測条件を導出する。
その後、先行計測条件生成部102は、項目別の先行計測条件をトリガ条件の論理式に戻し、項目別の先行計測条件が組み合わされている先行計測条件の集合を生成する。
そして、先行計測条件生成部102は、生成した先行計測条件を収集トリガ条件記憶部104に格納するが、このとき、生成した先行計測条件をオリジナルのトリガ条件と対応付けて格納する。
対応付けられた1対のトリガ条件と先行計測条件を収集トリガ条件という。
また、収集トリガ条件(トリガ条件と先行計測条件)は、情報管理部105に与えられる。
【0032】
情報管理部105は、図4に示すフロー図に従い計測、収集判定を行う。
すなわち、情報管理部105は、収集トリガ条件記憶部104から収集トリガ条件(トリガ条件の集合と先行計測条件の集合)を読み出す(条件定義情報読み出しステップ)とともに、通信部106を介した伝送路4のモニタにより運転指令情報203を抽出し、抽出した運転指令情報203を先行計測条件の集合と比較し、全ての先行計測条件が成立しているか否かを判定する(S401)。
運転指令情報203と全ての先行計測条件とが合致し、先行計測条件が成立している場合(S401でYES)は、制御機器2に計測指示を出しセンサ値22のバッファリングを開始させるとともに伝送路4への出力準備を実施させる(S402)(バッファリング開始指示ステップ)。
一般的に伝送路4はイーサネット(登録商標)のような情報ネットワークが用いられるので、センサ値22は、パケットデータとして形成される。
さらに情報管理部105は、運転指令情報203のモニタを続け、次に運転指令情報203をトリガ条件の集合と比較する(S403)。
ここで運転指令情報203と全てのトリガ条件とが合致し、トリガ条件が成立している場合(S403でYES)は、情報管理部105は、制御機器2に収集指示を出し、制御機器2に生成したパケットデータを伝送路4に出力させ(データ送信指示ステップ)、パケットデータを受信し、ストレージ12にパケットデータ内のセンサ値を蓄積し(S404)、制御機器2から全てのパケットデータを受信し終えた場合に情報管理部105は収集処理を終了し(S405)、S401の状態に戻る。
一方、トリガ条件が成立していない場合は、情報管理部105は、運転指令情報203を解析し、トリガ条件から外れる傾向にあるか否かを判断する(S406)。
例えば、前述のモデル(2)に分類される項目に対して値が下降中であれば、トリガ条件を達成できない可能性が高いので、情報管理部105は、例えば、制御機器2におけるバッファリングを停止させ、バッファリングされたセンサ値を破棄させて、S401の状態に戻る。
【0033】
このように、本実施の形態に係るデータ収集装置は、ユーザの指示に基づいて設定されたトリガ条件をもとに、先行計測条件を生成する。
これにより、先行計測条件の成立時点から制御機器においてデータの蓄積を開始し、トリガ条件成立により制御機器で蓄積されていたデータが出力される。
このため、伝送路に常時収集情報を発信する必要がなくなり、伝送負荷が減少する。
【0034】
また、計測指示により制御装置側で収集が必要な期間の情報をパケットデータ化しているので、例えば伝送負荷に応じて分割して情報伝送するなど、低伝送容量の伝送手段でも大きなデータを伝送できる。
結果的に、高精度、高サンプリング情報を、既存伝送手段上で伝送することができる。
また、先行計測条件の生成において、各項目に対しモデルと変換式を定義し、これを部品として扱うので、トリガ条件が複雑な式となっても、先行計測条件を演算処理で生成することができる。
なお、本実施の形態では制御機器の数について言及していないが、複数の制御機器を1つのデータ収集装置で管理することができる。
この場合は、トリガ条件設定時に対象機器の指定を行うことで実現できる。
また対象機器をグループ化することで、同グループの制御機器に同時に計測、収集指示を与えることもできる。
また、図2のフローをデータ収集装置内の動作として説明したが、トリガ条件設定部101および先行計測条件生成部102の処理をデータ収集装置外の外部装置で行ってもよい。
これらを遠隔地で実施し、生成した収集トリガ条件を伝送路4を通じてデータ収集装置に伝達することで、遠隔地からのリモート収集が可能となる。
【0035】
以上、本実施の形態では、
ネットワーク上に設置され、ネットワーク上の運転指令情報をトリガに同ネットワーク上に接続される制御機器から計測情報を取得するデータ収集装置であって、トリガ条件に対し、先行計測条件を定義し、監視する運転指令情報が先行計測条件に合致した際に計測収集を開始するデータ収集装置を説明した。
【0036】
また、前述の先行計測条件は、トリガ条件から生成することを説明した。
【0037】
また、先行計測条件の生成方法として、トリガ候補として用意した複数の運転指令情報項目各々に対し、状態変化モデルをあらかじめ定義し、トリガ条件の選択内容に応じて先行計測条件となる情報および値を求めることで、先行計測条件を生成することを説明した。
【0038】
また、状態変化モデルを、
(1)時間のように進行方向が一方でかつ線形変化するもの、
(2)温度のように非線形ではあるが連続性をもつもの、
(3)運転切替のように突発的、もしくは非連続的な変化するものに分別して定義することを説明した。
【0039】
また、前述の状態モデル(1)については、一定時間前の情報値が確定できるので、これを先行計測条件とすることを説明した。
【0040】
また、前述の状態モデル(2)については、情報の特性傾斜を監視し、その時々の傾斜角に一定時間を積算した値がトリガ条件に到達する時を先行計測条件とすることを説明した。
【0041】
また、前述の状態モデル(3)については、関連する状態モデル(1)もしくは状態モデル(2)の他情報の条件の組合せとすることを説明した。
【0042】
また、前述の状態モデル(3)については、運転時の各運転指令情報の変化を収集・解析することで関連する他情報を抽出することを説明した。
【0043】
最後に、本実施の形態に示したデータ収集装置1のハードウェア構成例について説明する。
図6は、本実施の形態に示すデータ収集装置1のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図6の構成は、あくまでもデータ収集装置1のハードウェア構成の一例を示すものであり、データ収集装置1のハードウェア構成は図6に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0044】
図6において、データ収集装置1は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、SSD(Solid State Drive)、光ディスク装置、メモリカード(登録商標)読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
本実施の形態で説明した状態モデル記憶部103、収集トリガ条件記憶部104及びストレージ12は、RAM914、磁気ディスク装置920等により実現される。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、スキャナ装置907、FDD904などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力装置の一例である。
【0045】
通信ボード915は、図1に示すように、伝送路4に接続されている。
例えば、通信ボード915は、LAN(ローカルエリアネットワーク)の他、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)、SAN(ストレージエリアネットワーク)などに接続されていてもよい。
【0046】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
プログラム群923のプログラムは、CPU911がオペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922を利用しながら実行する。
【0047】
また、RAM914には、CPU911に実行させるオペレーティングシステム921のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAM914には、CPU911による処理に必要な各種データが格納される。
【0048】
また、ROM913には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが格納され、磁気ディスク装置920にはブートプログラムが格納されている。
データ収集装置1の起動時には、ROM913のBIOSプログラム及び磁気ディスク装置920のブートプログラムが実行され、BIOSプログラム及びブートプログラムによりオペレーティングシステム921が起動される。
【0049】
上記プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」(「状態モデル記憶部103」及び「収集トリガ条件記憶部104」以外、以下同様)、として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0050】
ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜の判断」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の評価」、「〜の更新」、「〜の設定」、「〜の登録」、「〜の選択」、「〜の入力」、「〜の出力」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。
ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出される。
そして、読み出された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、本実施の形態で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。
データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。
また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0051】
また、本実施の形態の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。
すなわち、本実施の形態で説明したフローチャートに示すステップ、手順、処理により、本実施の形態に係るデータ収集装置の動作をデータ収集方法として把握することもできる。
また、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。
或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。
プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。
すなわち、プログラムは、本実施の形態の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、本実施の形態の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0052】
このように、本実施の形態に示すデータ収集装置1は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータである。
そして、上記したように「〜部」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【符号の説明】
【0053】
1 データ収集装置、2 制御機器、3 運転指令装置、4 伝送路、12 ストレージ、21 モータ、101 トリガ条件設定部、102 先行計測条件生成部、103 状態モデル記憶部、104 収集トリガ条件記憶部、105 情報管理部、106 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを取得するデータ取得装置から、前記データ取得装置が取得した取得データを受信するデータ収集装置であって、
前記データ取得装置と通信する通信部と、
前記データ取得装置から取得データを送信させるための条件をトリガ条件として定義する条件定義情報を記憶する条件定義情報記憶部と、
トリガ条件が成立する状況が生じる前に、取得データのバッファリングを開始するよう前記データ取得装置に指示するバッファリング開始指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信するバッファリング開始指示部と、
トリガ条件が成立する状況が生じた際に、バッファリングしている取得データを送信するよう前記データ取得装置に指示するデータ送信指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信するデータ送信指示部とを有することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
前記条件定義情報記憶部は、
前記データ取得装置に取得データのバッファリングを開始させるための条件をバッファリング開始条件として定義する条件定義情報を記憶し、
前記バッファリング開始指示部は、
バッファリング開始条件が成立する状況が生じた際に、バッファリング開始指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記データ収集装置は、更に、
トリガ条件を入力するトリガ条件入力部と、
前記トリガ条件入力部により入力されたトリガ条件が成立する前段階の状況をバッファリング開始条件として指定するバッファリング開始条件指定部を有し、
前記条件定義情報記憶部は、
前記トリガ条件入力部により入力されたトリガ条件を定義するとともに、前記バッファリング開始条件指定部により指定されたバッファリング開始条件を定義する条件定義情報を記憶することを特徴とする請求項2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記データ収集装置は、更に、
トリガ条件のカテゴリーを複数設け、カテゴリーごとにバッファリング開始条件を指定する際に基準となる指定基準を示す基準情報を記憶する基準情報記憶部を有し、
前記バッファリング開始条件指定部は、
前記トリガ条件入力部により入力されたトリガ条件が属するカテゴリーにおける指定基準と、前記トリガ条件入力部により入力されたトリガ条件とに基づき、当該トリガ条件に対するバッファリング開始条件を指定することを特徴とする請求項3に記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記基準情報記憶部は、
トリガ条件のカテゴリーとして、少なくとも、時間に対して連続かつ線形に変化する事象を対象とするトリガ条件のカテゴリーと、時間に対して連続であるが非線形に変化する事象を対象とするトリガ条件のカテゴリーと、時間に対して非連続に変化する事象を対象とするトリガ条件のカテゴリーとを設けている基準情報を記憶していることを特徴とする請求項4に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前記トリガ条件入力部は、
2以上のトリガ条件を対応付けて入力し、
前記バッファリング開始条件指定部は、
前記トリガ条件入力部により入力された2以上のトリガ条件に対する2以上のバッファリング開始条件を対応付けて生成し、
前記条件定義情報記憶部は、
前記トリガ条件入力部により対応付けられて入力された2以上のトリガ条件を対応付けて定義するとともに、前記バッファリング開始条件指定部により対応付けられて生成された2以上のバッファリング開始条件を対応付けて定義する条件定義情報を記憶し、
前記バッファリング開始指示部は、
前記条件定義情報において対応付けられて定義されている2以上のバッファリング開始条件の全てが成立する状況が生じた際に、バッファリング開始指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信し、
前記データ送信指示部は、
前記条件定義情報において対応付けられて定義されている2以上のトリガ条件の全てが成立する状況が生じた際に、データ送信指示を前記通信部から前記データ取得装置に対して送信することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記データ取得装置は、
所定の対象機器を管理する管理装置から前記対象機器に対する制御指示を受信し、受信した制御指示に基づいて前記対象機器を制御し、前記対象機器から出力されるデータを取得し、
前記通信部は、
前記管理装置から前記データ取得装置に送信された制御指示の複製を受信し、
前記バッファリング開始指示部は、
前記通信部により受信された制御指示の複製の内容を解析して、バッファリング開始条件が成立する状況であるか否かを判定し、
前記データ送信指示部は、
前記通信部により受信された制御指示の複製の内容を解析して、トリガ条件が成立する状況であるか否かを判定することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のデータ収集装置。
【請求項8】
データを取得するデータ取得装置から、前記データ取得装置が取得した取得データを受信するコンピュータに、
前記データ取得装置と通信する通信ステップと、
前記データ取得装置から取得データを送信させるための条件をトリガ条件として定義する条件定義情報を、所定の記憶領域から読み出す条件定義情報読み出しステップと、
トリガ条件が成立する状況が生じる前に、取得データのバッファリングを開始するよう前記データ取得装置に指示するバッファリング開始指示を前記通信ステップを通じて前記データ取得装置に対して送信するバッファリング開始指示ステップと、
トリガ条件が成立する状況が生じた際に、バッファリングしている取得データを送信するよう前記データ取得装置に指示するデータ送信指示を前記通信ステップを通じて前記データ取得装置に対して送信するデータ送信指示ステップとを実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−117960(P2012−117960A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269292(P2010−269292)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】