説明

トナー供給ローラ及びその製造方法

【課題】長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができるトナー供給ローラを提供する。
【解決手段】導電性軸体の外周上に2層以上の導電性発泡ゴム層を有するトナー供給ローラであって、該導電性発泡ゴム層の最外層の発泡ゴム平均セル径が100μm以上800μm以下であり、該導電性発泡ゴム層の内層の発泡ゴム平均セル径が300μm以上800μm以下であり、該最外層と該内層の界面にはスキン層が存在し、該スキン層の厚さが10μm以上200μm以下であることを特徴とするトナー供給ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置において用いられるトナー供給ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置には、電子写真感光体や静電記録誘電体等の潜像担持体上に形成した静電潜像の現像を行う現像装置が設けられる。現像装置には、例えば、所定のトナー(現像剤)を収納する現像容器と、現像容器の開口を閉塞し、一部は現像容器から露出して、露出した部分で潜像担持体と対向するように配置され、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラとが設けられる。現像容器内には、現像ローラ表面にトナーを供給するトナー供給ローラや、現像ローラ上に余剰のトナーを除去してトナーの薄膜を形成するブレード等が設けられる。
【0003】
このような現像装置に用いられるトナー供給ローラとしては、現像ローラ表面にトナーを供給しこれと同時に不要分を掻き取り、一定量のトナー供給を行うため、低硬度で、柔軟性を有し、表面にセル開口を有するウレタンスポンジ層を有するものが多く用いられている。
【0004】
従来のトナー供給ローラにおいては、長期に亘りトナーの供給と不要分の掻き取りを繰り返すことで、スポンジ層中にトナーが入り込むため、ローラ硬度が上昇し、一定量のトナー供給を維持することが困難であり、画像不良が発生する場合がある。
【0005】
このようなトナー供給ローラにおいて、トナーや回収トナーに含まれる異物の蓄積によって生じるセルの閉塞という問題を解決するために、平均セル径0.5mm以上、連続気泡率70%以上、アスカーF硬度90°以下であるトナー供給ローラが報告されている。(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載されるトナー供給ローラにおいては、セルの開口径が大きいため、トナーのセル内への蓄積によりトナーの供給量が低減することと、現像ローラ上の残留トナーの掻き取りが十分になされない場合があることが問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−004963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができるトナー供給ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は以下の本発明〔1〕〜〔4〕によって解決される。
〔1〕導電性軸体の外周上に2層以上の導電性発泡ゴム層を有するトナー供給ローラであって、該導電性発泡ゴム層の最外層の発泡ゴム平均セル径が100μm以上800μm以下であり、該導電性発泡ゴム層の内層の発泡ゴム平均セル径が300μm以上800μm以下であり、該最外層と該内層の界面にはスキン層が存在し、該スキン層の厚さが10μm以上200μm以下であることを特徴とするトナー供給ローラ。
〔2〕23℃/55RH%環境下における抵抗値をR[Ω]としたとき、前記内層のLogRが5.0以上8.0以下であり、且つ、前記トナー供給ローラのLogRが5.6以上8.0以下であることを特徴とする前記〔1〕に記載のトナー供給ローラ。
〔3〕アスカーC硬度が、25°以下であることを特徴とする前記〔1〕に記載のトナー供給ローラ。
〔4〕前記導電性発泡ゴム層の最外層と内層とを2層同時押出法にて形成することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のトナー供給ローラの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトナー供給ローラによれば、長期に亘り一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のトナー供給ローラの斜視図である。
【図2】本発明のトナー供給ローラを適用した電子写真装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のトナー供給ローラは、導電性軸体の外周上に2層以上の導電性発泡ゴム層を有する。
〔導電性軸体〕
本発明の導電性軸体の材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。また、導電性軸体として、樹脂製の基材の表面を金属等で被覆して表面導電性としたものや、導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。
〔導電性発泡ゴム層〕
本発明の導電性発泡ゴム層は、2層以上の多層構造であり、発泡ゴム平均セル径が100μm以上800μm以下の最外層と、発泡ゴム平均セル径が300μm以上800μm以下の内層を少なくとも有する。尚、セル径とは発泡ゴム層の気泡径である。
【0012】
導電性発泡ゴム層が2層以上の多層構造であることからゴム成分の配合比率を変更することで各ゴム層の抵抗値を容易に制御することができ、トナー供給ローラの抵抗値を制御できる。また、内層が最外層で覆われていることから、内層に軟化剤等のオイル成分を添加した場合にオイル成分がトナー供給ローラの表面に浸出しにくく、接触する他部材を汚染することがない。
【0013】
最外層の発泡ゴム平均セル径が100μm以上であれば、トナーがセルに進入して目詰まりを生じることを抑制し、一定量のトナーの供給を維持することができる。また、トナーの進入を抑制し、トナーの劣化を抑制することができる。平均セル径が800μm以下であれば、セルに侵入するトナー量の増大による表面の硬度の上昇を抑制し、一定量のトナーの供給を維持することができる。最外層の発泡ゴム平均セル径は好ましくは200〜500μmである。
【0014】
内層の発泡ゴム平均セル径が300μm未満であると、発泡ゴムローラが硬くなり、良好なニップが得られない。内層の発泡ゴム平均セル径が800μmを超えると、セルの連続気泡割合が多くなるため、圧縮永久歪性(C−SET)が悪化する。内層の発泡ゴム平均セル径は好ましくは400〜600μmである。
【0015】
導電性発泡ゴム層の最外層と内層の界面には厚さが10μm以上200μm以下のスキン層が存在する。このスキン層が、スポンジ層構造の内層中に入り込むトナーをブロックするため、ローラ硬度が上昇することなく、一定量のトナー供給を維持することができ、長期に亘って、良好な画像を得ることができる。
【0016】
導電性発泡ゴム層を構成するゴム組成物としては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等の汎用ゴムやエチレンプロピレンジエンゴム、エピクロロヒドリン系ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等を単独でまたは2種類以上併用して使用可能である。前記エピクロロヒドリン系ゴムは、エピクロロヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体、或は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体、或は、その混合物が好ましい。また、エピクロロヒドリン系ゴムの電気抵抗値は、エチレンオキサイド含量が大きくなるに従って小さい値になる。エチレンオキサイド含量が40モル%以上のものを使用した場合、所望の抵抗値が得られ易くなる。また、80モル%以下の場合には、エチレンオキサイドが結晶化し難く、抵抗値及び環境依存性がともに低くなり易い。
【0017】
前記ゴム組成物には一般のゴムに使用されるその他の成分を必要に応じて含有させることができる。例えば、硫黄や有機含硫黄化合物、有機過酸化物、トリアジン、ポリアミン等の加硫剤、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系、スルフェンアミド系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系の加硫促進剤、p.p’−オキシビススルホニルヒドラジド(OBSH)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等の発泡剤、尿素系化合物等の発泡助剤、各種滑剤やサブ等の加工助剤、各種老化防止剤、酸化亜鉛やステアリン酸等の加硫助剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー等の各種充填剤が必要に応じて配合可能である。更に、導電性を付与する目的で、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンナノチューブ、金属、導電性の各種金属酸化物(酸化チタン等)、LiClO4やNaSCN等のイオン導電剤等を前記ゴム組成物に単独で、若しくは複数併用して添加し分散させることによって、所望の電気抵抗値を得ることが可能である。
〔抵抗値R〕
23℃/55RH%環境下における抵抗値をR[Ω]としたとき、内層のLogRが5.0以上8.0以下であり、且つ、トナー供給ローラのLogRが5.6以上8.0以下であることが好ましい。
【0018】
内層のLogRが23℃/55%RH環境下で5.0以上であると、トナーの供給量を好適なものとし、トナーに対する負荷を低減することができる。内層のLogRが5.0未満であると、内層に導電性のカーボンブラックを含有する必要があるが、導電性のカーボンブラックを含有すると、硬度が上昇することと、ローラ周方向の電気特性(周ムラ)が悪化する。内層のLogRが23℃/55%RH環境下で8.0以下であると、低温低湿環境下で長期間放置した場合においても、トナーのチャージアップ等に起因する濃度薄等の画像不良が発生することもない。
【0019】
トナー供給ローラのLogRが23℃/55%RH環境下で5.6以上であると、トナーの供給量を好適なものとし、トナーに対する負荷を低減することができる。導電性のカーボンブラックを含有すると、硬度が上昇することと、ローラ周方向の電気特性(周ムラ)が悪化する。また、液状のイオン導電剤を含有すると、トナー供給ローラの表面に浸出し、接触する他部材を汚染する場合がある。LogRが23℃/55%RH環境下で8.0以下であると、低温低湿環境下で長期間放置した場合においても、トナーのチャージアップ等に起因する濃度薄等の画像不良が発生することもない。これは、電気抵抗値が小さいためにチャージアップを防ぎ、層規制ブレードだけでトナー量を制御できるためであろうと推察される。
〔アスカーC硬度〕
本発明の導電性ゴムローラのアスカーC硬度は、25°以下であることが好ましい。アスカーC硬度計で25°以下であれば容易にニップを確保でき、一定量のトナーの供給を維持することができる。アスカーC硬度は15°以下がより好ましい。
〔トナー供給ローラの製造方法〕
本発明のトナー供給ローラは、前記導電性発泡ゴム層の最外層と内層の2層を、2層同時押出法にて形成することによって、製造することができる。前記ゴム組成物をバンバリーミキサー、ニーダー等の密閉式混練機、或いは、オープンロールを用いて混練し、この混練物を2層同時押出が可能な押出機に供給して2層構造のチューブを製造する。
【0020】
押出機としては二層同時押出機が使用できる。例えば、最外層用のスクリュー径70mmの押出機と内層用のスクリュー径60mmの押出機をクロスヘッドで接続したものである。外層は調芯が必要となるが、ダブルハート形状の芯金を使用することで、偏芯の少ない2層構造のチューブを製造できる。押出機のスクリュー径に特に制限はなく、所望の吐出量が得られるように適宜選択して用いればよい。内層、最外層の肉厚は、押出機の回転数を調節して所望の肉厚になるように調整される。押出機の口金は、チューブの内径、外径を考慮して適宜調整される。押出後の外層の厚みは1mm以上が好ましく2mm以上であることがより好ましい。
【0021】
得られた未加硫チューブは、加硫缶、或いは、加硫装置と連続加硫炉で加熱・発泡され、更に必要に応じて二次加硫される。二次加硫は、架橋密度を増加させブリードを抑制する効果がある。得られた加硫チューブに、導電性軸体を挿入して、所定の外径になるまで研磨することによりトナー供給ローラが製造される(図1)。
〔電子写真装置〕
本発明のトナー供給ローラを適用した電子写真装置の一例として、カラー電子写真装置を挙げることができる。かかるカラー電子写真装置には、イエロートナー、マゼンダトナー、シアントナー、ブラックトナーの各色トナー毎に設けられる、図2に示すような、画像形成ユニットが設けられる。画像形成ユニットには、所定の速度で回転する感光体11が設けられる。感光体の周囲には、感光体を一様に帯電するための帯電ローラ16、一様に帯電した感光体にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像を形成した感光体にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置Dが設けられる。現像装置Dには図示しないトナーの収納容器内に設けられた、上記トナー供給ローラ1と、トナー供給ローラにより残留するトナーが掻き取られ、新たなトナーが供給される現像ローラ12が設けられる。更に、現像ローラに当接してブレード13が設けられ、現像ローラの回転に伴い現像ローラ上のトナーは薄膜状に形成されつつ搬送され、感光体上の静電潜像へ移動し、トナー像となる。
【0022】
一方、紙等の記録媒体17が搬送ベルト等により、感光体と転写ローラ14間に搬送され、裏面から転写ローラを介して静電潜像と逆極性の電荷が印加されると、感光体上のトナー像は記録媒体に転写される。記録媒体は順次各画像形成ユニットに搬送され、各画像形成ユニットにおいて形成された各色のトナー像が、記録媒体上のトナー像に順次重畳して転写される。更に、電子写真装置には、記録媒体上に重畳転写したトナー像を加熱等により定着する定着装置が設けられ、画像が形成された記録材が装置外へ排出されるようになっている。
【0023】
一方、各画像形成ユニットには各感光体上に転写されずに残存する転写残トナーを除去し表面をクリーニングするクリーニングブレード15が設けられ、クリーニングされた感光体が画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
【実施例】
【0024】
以下に実施例及び比較例を用いて、本発明を詳細に説明する。各実施例、比較例における評価条件及び使用したゴム材料は以下の通りである。
〔1.セル径の測定〕
チューブ状の導電性発泡ゴム加硫物を長手方向3点で各5mm幅に切断し、それぞれの断面を電子顕微鏡にて9mm2の範囲内にある発泡セルの径を測定し、内層、外層それぞれについてその平均値を求めることによった。
〔2.スキン層の厚さ測定〕
チューブ状の導電性発泡ゴム加硫物を長手方向3点で各5mm幅に切断し、それぞれの断面を電子顕微鏡で拡大し、9mm2の範囲内の平均スキン層厚さを測定した。
〔3.トナー供給ローラの抵抗値〕
トナー供給ローラの軸体に片側4.9Nの荷重が両方に掛かるようにし、外径30mmのアルミニウム製のドラムに圧着し、30rpmで回転させた状態で、軸体とアルミドラムとの間に50Vの電圧を印加して(内部抵抗1kΩ)23℃/55%RH(N/N)環境下で電圧値を測定し、オームの法則により抵抗値を算出した。
〔4.硬度測定〕
トナー供給ローラにアスカーC硬度計を500g荷重でゆっくり押し当て5秒後の数値を測定した。(測定方法はJIS K 6253に準じた。)
【0025】
〔5.C−SET評価〕
トナー供給ローラをフルカラーレーザープリンター(キヤノン社製;LBP−2510)のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、これらに使用されるカートリッジの現像ローラに接触させ、両端に500gの荷重を加え、40℃/95%RHの環境下に一週間放置した。放置後、荷重を外し、10分放置後ローラ表面の圧接跡を観察し、跡が無いものを○とし、跡があるものを×と表示した。
〔6.画像評価〕
トナー供給ローラをフルカラーレーザービームプリンタ(キヤノン(株)製;LBP−2510)のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、このカートリッジをフルカラーレーザービームプリンタにセットした。組み込み終了後、温度15℃、相対湿度10%環境下に1晩以上放置してから、初期画像として各色ベタ画像を作像した後、連続耐久試験用のテキストページを連続4000枚出力した。出力終了後1晩以上放置してから耐久画像として各色ベタ画像を作像して下記の基準により評価した。尚、温度15℃、相対湿度10%の低温低湿環境は、現像不良に起因する画像不良が顕著に現れる、現像に対する苛酷な条件であり、この環境下の試験により、問題がなければ、いずれの環境においも良好な画像が得られることが予想される。
○:不具合が全く認められない良好な画像
△:不具合の予兆が若干認められる画像
×:不具合が明確に認められる画像。
【0026】
〔7.ゴム材料〕
1.アクリロニトリルブタジエンゴム
[結合アクリロニトリル量18質量%、商品名:Nipol DN401LL、日本ゼオン(株)社製]]
2.エピクロルヒドリン系ゴム
[エチレンオキサイド含量73モル%、商品名:EPION 301、ダイソー(株)社製]
[エチレンオキサイド含量64モル%、商品名:Hydrin T3108、日本ゼオン(株)社製]。
3.ポリエーテル系共重合体
[エチレンオキサイドープロピレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル共重合比率=87:1:12、商品名 ゼオスパン8010、日本ゼオン(株)社製]
4.加硫促進助剤
[酸化亜鉛、商品名:亜鉛華2種、ハクスイテック(株)社製]
[ステアリン酸、商品名:ステアリン酸つばき、日本油脂(株)社製]
5.充填剤
[炭酸カルシウム、商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム(株)社製]
[カーボンブラック、商品名:旭#15、旭カーボン(株)社製]。
【0027】
6.軟化剤
[セバシン酸系ポリエステル、商品名:ポリサイザーP−202、大日本インキ化学(株)社製]
7.イオン導電剤
[四級アンモニウム塩、商品名:アデカサイザーLV70、旭電化工業(株)社製]
8.加硫剤
[硫黄(S)、商品名:サルファックスPMC、鶴見化学工業(株)社製]。
9.加硫促進剤
[2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、商品名:ノクセラーM、大内新興化学工業(株)社製]
[ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業(株)社製]]
[テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、商品名:ノクセラーTET、大内新興化学工業(株)社製]
10.発泡剤
[p.p’−オキシビススルホニルヒドラジド(OBSH)、商品名:ネオセルボンN#1000S、永和化成(株)社製]
[アゾジカルボンアミド(ADCA)、商品名:ビニホールAC#LQ、永和化成(株)社製]
11.発泡助剤
[尿素、商品名:セルペースト101、永和化成(株)社製]。
【0028】
〔実施例1〜5及び比較例1〜4〕
表1に示す配合のゴム組成物をバンバリーミキサーを用いて混練し、2層同時押出機に供給し、2層構造の未加硫チューブを成形した。この未加硫の2層チューブの内層、外層の厚さは、発泡後に内層の厚みが3.5mmになり、かつ、研磨後の外層の厚さが0.5mmを確保できる厚み1mm乃至2mmになるようにした。尚、最外層用押出機はスクリュー径70mm、押出機の口金サイズ(直径7mm乃至8mm)、設定温度は、30℃乃至40℃、クロスヘッド内圧力は、23MPa乃至26MPaであった。また、内層用押出機はスクリュー径60mm、押出機の口金サイズ(直径3mm)、設定温度は30℃乃至40℃、クロスヘッド内圧力は23MPa乃至26MPaであった。次いでこの未加硫のチューブを加硫缶(温度170℃)にて加硫と発泡を行いチューブ状の導電性発泡ゴム加硫物を得た。
【0029】
次いで、直径5mm、長さ290mmの導電性軸体をこのチューブ状のゴム加硫物の内径部に挿入してローラ状の成形体を得た。この成形体を外径が16mmになるように研磨し、トナー供給ローラを得た。
【0030】
抵抗値の調整はエピクロロヒドリン系ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムのブレンド比を変えることで行った。また、硬度については、加硫速度と発泡剤の量、また加硫条件により調整した。評価結果を表2に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
実施例1〜5から、本発明のトナー供給ローラであれば、良好な画像が得られることが分かる。
【0034】
比較例1では、外層のセル径が100μm以下となり、良好なニップが得られないため、画像不良が発生した。比較例2では、外層のセル径が800μm以上となり、一定量のトナーの供給を維持することができなかったため、画像不良が発生した。比較例3では、内層のセル径が300μm未満となり、ローラが硬くなり、良好なニップが得られないため、画像不良が発生した。比較例4では、内層のセル径が800μmを越えたため、圧縮永久歪性(C−SET)が悪化した。
【符号の説明】
【0035】
61 導電性軸材
62 導電性発泡ゴム層の内層
63 導電性発泡ゴム層の最外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸体の外周上に2層以上の導電性発泡ゴム層を有するトナー供給ローラであって、該導電性発泡ゴム層の最外層の発泡ゴム平均セル径が100μm以上800μm以下であり、該導電性発泡ゴム層の内層の発泡ゴム平均セル径が300μm以上800μm以下であり、該最外層と該内層の界面にはスキン層が存在し、該スキン層の厚さが10μm以上200μm以下であることを特徴とするトナー供給ローラ。
【請求項2】
23℃/55RH%環境下における抵抗値をR[Ω]としたとき、前記内層のLogRが5.0以上8.0以下であり、且つ、前記トナー供給ローラのLogRが5.6以上8.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー供給ローラ。
【請求項3】
アスカーC硬度が25°以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー供給ローラ。
【請求項4】
前記導電性発泡ゴム層の最外層と内層とを2層同時押出法にて形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナー供給ローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−164179(P2011−164179A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23974(P2010−23974)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】