説明

トラクタのキャビン

【課題】 アンテナを有するトラクタ作業機のキャビンにあっては、運転者がキャビン内の運転席に着座したままの姿勢で、キャビン外側のアンテナを伸縮操作することが多く、このアンテナの伸縮操作を行い易い位置に配置されることを要する。
【解決手段】 サイドフェンダ1上にリヤピラー2を立設して、このリヤピラー2の前側には外側へ大きく開閉回動するサイドガラス3後端のガラス縁4を当接させて閉鎖可能に設け、このリヤピラー2の外側に、コンビネーションランプ5を取付けると共に、上下伸縮可能のアンテナ6を取付ける

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャビン室内からアンテナの伸縮操作を行い易くするトラクタのキャビンに関する。
【背景技術】
【0002】
キャビンのフロントピラーの外側に伸縮自在のアンテナを設けたり、キャビンのアウタルーフの内側に横向のアンテナを設ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−123841号公報(第1頁、図1、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラジオ、パソコン等の受信器、及びこのアンテナを有するトラクタ作業機のキャビンにあっては、運転者がキャビン内の運転席に着座したままの姿勢で、キャビン外側のアンテナを伸縮操作することが多く、このアンテナの伸縮操作を行い易い位置に配置されることを要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、サイドフェンダ1上にリヤピラー2を立設して、このリヤピラー2の前側には外側へ大きく開閉回動するサイドガラス3後端のガラス縁4を当接させて閉鎖可能に設け、このリヤピラー2の外側に、コンビネーションランプ5を取付けると共に、上下伸縮可能のアンテナ6を取付けることを特徴とするトラクタのキャビンの構成とする。キャビンのリヤピラー2の外側には、コンビネーションランプ5を取付けると共に、このうち左右一側のリヤピラー2には、上下方向へ伸縮可能のアンテナ6を取付ける。このアンテナ6を伸縮するときは、運転席に着座している運転者が、このアンテナ6を配置している側のサイドガラス3側へ手を伸ばして、このサイドガラス3を外側へ大きく開いて、このサイドガラス3の後端ガラス縁4を、リヤピラー2のガラス閉鎖面から外側へ大きく開いて手の差出間隔を形成する。この差出間隔から外側へ手を出して、リヤピラー2の外側に位置するアンテナ6を把持して上方へ引き伸ばしたり、下方へ押し下げて収縮操作することができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記リヤピラー2の外側面に、コンビネーションランプ5を有する取付ステー7を取付けると共に、この取付ステー7の下端部にアンテナ6を取付ける。前記アンテナ6を取付けるときは、コンビネーションランプ5を有する取付ステー7を利用して、この取付ステー7の下端部にアンテナ6を取付けて、上方へ引き伸したり、下方へ押込んで収縮させることにより、このアンテナ6の引出をリヤピラー2の外側面に沿うように行わせて、引出長さの自由を維持させる。アンテナ6の取付を簡単、容易化するものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、サイドガラス3の後端のガラス縁4を、リヤピラー2のガラス閉鎖面から外側へ大きく開いて差出間隔を形成し、運転席からの手の差出を容易にして、リヤピラー2の外側に取付けられているアンテナ6の把持を行い易くすると共に、この把持したアンテナ6の上下方向へ引出しや、収縮操作を容易に行うことができる。又、キャビン内の運転席の着座した姿勢の目線の高さ、及びコンビネーションランプ5の高さで、かつ至近距離でアンテナ6を伸縮することができる。又、アンテナ6は、リヤピラー2の外側に沿って上方へ引き伸ばすことによって、運転席からの作業操作視界を妨げることなく、良好な作業操作性を維持する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記リヤピラー2の外側に取付けるコンビネーションランプ5の取付ステー7の下端部にアンテナ6の下端部を取付けて、上方へ引出し伸長させるため、このアンテナ6の引出長さをキャビンルーフ等によって制限を受けることなくアンテナ6操作容易で、しかもコンビネーションランプ5の視界域保持を確保し易くするものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】キャビンの側面図。
【図2】その背面図。
【図3】その斜視図。
【図4】そのリヤピラー部の側面図。
【図5】そのアンテナ部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面に基づいて、キャビン8は、ステアリングハンドル9によって操向の前輪と、車体前部に搭載のエンジンによって伝動される後輪とを軸装して走行する四輪操向形態の車体に搭載して、運転席10からステアリングハンドル9を有するダシュボード11、及び運転フロア上部を覆う形態である。キャビンフロア13の中央後部に前記運転席10を取付支持するシートフロア14を形成し、この左右両側部に後和上部を覆うサイドフェンダ1を形成し、この左右のサイドフェンダ1の後端部間はリヤカバー15で連結している。このキャビンフロア13の前端部は、ボンネットの後端部を左右にまたぐ正面視門形状のフロントフレーム16を形成し、このフロントフレーム16の後側底部にステップフロア12を設けている。このキャビン8は、左右前後の四隅部にフロントピラー17、及びリヤピラー2を配置して、これら各リヤピラー2の上端部間にわたってフロントビーム18、リヤビーム19、及び左右のサイドビーム20等から井桁状に形成のルーフフレーム21を取付支持し、上側部にキャビンルーフ22を取付ける。
【0011】
又、このキャビン8の左右の各フロントピラー17間にはフロントガラス23を設け、左右の各リヤピラー2間にはリヤガラス24を設け、又、フロントピラー17とリヤピラー2との間には、中間部にドアピラー25を設けて、このドアピラー25周りに開閉回動させるガラスドア26とサイドガラス3を設ける。このうちフロントガラス23は、左右のフロントピラー17と、上部のフロントビーム18と、下部のフロントフレーム16と等の間にわたって正面門形状の形態として構成される。又、リヤガラス24は、左右のリヤピラ2と、上部のリヤビーム19と、下部のリヤカバー15と等の間にわたって構成する。又、左右両側のガラスドア26は、前側のフロントピラー17と、後側のドアピラー25と、上部ルーフフレーム21部のサイドビーム20と、下部のフロア12、及びサイドフェンダ1の前上縁部27と等の間にわたるドア口に設けて、この後端をドアピラー25に対してドアヒンジ28で開閉回動自在に設け、このドアガラス26の前部に有するドアハンドル29を把持して外側へ開回動する形態である。このドア口の下方には昇降ステップ30を設けている。又、前記サイドガラス3は、前記ドアピラー25と、リヤピラー2と、上部のサイドビーム20と、下部のサイドフェンダ1の後上縁部31と等の間にわたって形成の窓口に設け、前縁をドアピラー25に対して窓ヒンジ32で外側へ開回動して、この開口された窓口から手を容易に外側へ差し出すことができるように、できる限り広く開くことができるように構成している。
【0012】
ここにおいて、このキャビン8は、サイドフェンダ1上にリヤピラー2を立設して、このリヤピラー2の前側には外側へ大きく開閉回動するサイドガラス3後端のガラス縁4を当接させて閉鎖可能に設け、このリヤピラー2の外側に、コンビネーションランプ5を取付けると共に、上下伸縮可能のアンテナ6を取付ける。キャビンのリヤピラー2の外側には、コンビネーションランプ5を取付けると共に、このうち左右一側のリヤピラー2には、上下方向へ伸縮可能のアンテナ6を取付ける。このアンテナ6を伸縮するときは、運転席に着座している運転者が、このアンテナ6を配置している側のサイドガラス3側へ手を伸ばして、このサイドガラス3を外側へ大きく開いて、このサイドガラス3の後端ガラス縁4を、リヤピラー2のガラス閉鎖面から外側へ大きく開いて手の差出間隔を形成する。この差出間隔から手を出して、リヤピラー2の外側に位置するアンテナ6を把持して上方へ引き伸ばしたり、下方へ押し下げて収縮することができる。
【0013】
又、前記リヤピラー2の外側面に、コンビネーションランプ5を有する取付ステー7を取付けると共に、この取付ステー7の下端部にアンテナ6を取付ける。前記アンテナ6を取付けるときは、コンビネーションランプ5を有する取付ステー7を利用して、この取付ステー7の下端部にアンテナ6を取付けて、上方へ引き伸したり、下方へ押込んで収縮させることにより、このアンテナ6の引出をリヤピラー2の外側面に沿うように行わせて、引出長さの自由に設定する。アンテナ6の取付を簡単、容易化するものである。
【0014】
前記コンビネーションランプ5は、左右のリヤピラー2の外側部に取付けられる。このリヤピラー2の上下方向に沿うように長く形成された取付ステー7に取付けられて、この取付けステー7をビス止め等によってリヤピラー2の外側面に取付けることができる。又、この取付けステー7の下端部には、アンテナ6の下端部を支持軸34間周りに回動可能に取付けて、このアンテナ6の上方突出の角度を変更可能に、しかも上方へ引伸して伸縮可能に構成している。このリヤピラー2の外側上方には、前記キャビンルーフ22のルーフ縁33が張り出すが、このアンテナ6を直上方へ伸出させることができる形態に構成している。又、これら取付けステー7は、リヤピラー2の中段部に位置させて、運転席10に着座した姿勢から運転者が手を伸ばして、この窓口から容易にアンテナ6を把持して、伸縮操作を行い易くする。このとき、この窓口のサイドガラス3を開けたときの開度が広いため、この窓口から外側のアンテナ6側へ手を差出し易くして、伸縮操作を行い易くするものである。
【0015】
前記のように開閉するサイドガラス3や、ガラスドア26の上端縁が前後水平状形態であると、雨水が溜り易くするため、この上端縁を前後に傾斜させ形成したり、前後に円弧状に形成することによって、雨水を受けても流下して停滞し難い形態とすることができる。
【0016】
前記キャビンルーフ22内部には、空調ユニット35や、ラジオ等を装着している。このキャビンルーフ22の前側には前照灯36を設け、後側には後照灯37等を設けて、作業を行い易くする。フロントピラー17の外側には、ハンドルキャッチャ38を有し、サイドミラー39を有する。キャビンフロア13の下側には、前後左右両側部に、フロントブラケット40、リヤブラケット41を有して、トラクタ車体に搭載してボルト締め等によって着脱する。
【符号の説明】
【0017】
1 サイドフェンダ
2 リヤピラー
3 サイドガラス
4 ガラス縁
5 コンビネーションランプ
6 アンテナ
7 取付ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドフェンダ(1)上にリヤピラー(2)を立設して、このリヤピラー(2)の前側には外側へ大きく開閉回動するサイドガラス(3)後端のガラス縁(4)を当接させて閉鎖可能に設け、このリヤピラー(2)の外側に、コンビネーションランプ(5)を取付けると共に、上下伸縮可能のアンテナ(6)を取付けること特徴とするトラクタのキャビン。
【請求項2】
前記リヤピラー(2)の外側面に、コンビネーションランプ(5)を有する取付ステー(7)を取付けると共に、この取付ステー(7)の下端部にアンテナ(6)を取付けることを特徴とする請求項1に記載のトラクタキャビン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−46303(P2011−46303A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197013(P2009−197013)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】