説明

トロンボポエチン疑似体

非ペプチドTPO疑似体が発明された。本発明による化合物の調製に使用される新規方法および中間体も発明された。また、治療を必要とするヒトを含む哺乳類における血小板減少症の治療方法も発明され、該方法は、かかる哺乳類に有効量の選択されたヒドロキシ-1-アゾベンゼン誘導体を投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロンボポエチン(TPO)疑似体およびその血小板新生および巨核球形成の促進因子としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
巨核球は循環する血液血小板の産生を担う骨髄-由来細胞である。それらはほとんどの種において<0.25%の骨髄細胞を構成するが、典型的な髄細胞の10倍を超える体積を有する。Kuter et al. Proc. Natl. Acad. Aci. USA 91: 11104-11108 (1994)を参照されたい。巨核球は核内分裂と称されるプロセスを経、そこでその核を複製するが、細胞分裂には至らず、それによって多数体細胞が生じる。血小板数の減少に応答して核内分裂速度(endomitotic rate)は上昇し、より高い倍数性の巨核球が形成され、巨核球数は3-倍に上昇することもある。Harker J. Clin. Invest. 47: 458-465 (1968)を参照されたい。一方、血小板数の上昇に応答して、核内分裂速度は低下し、より低い倍数性の巨核球が形成され、巨核球数は50%減少することがある。
【0003】
循環する血小板の量が骨髄巨核球の核内分裂速度と数を制御する正確な生理的フィードバック機構は知られていない。このフィードバックループの媒介に関与している循環する血小板新生因子は現在はトロンボポエチン(TPO)であると考えられている。より具体的には、TPOは血小板減少症を伴う状況に置ける主な体液性調節因子であることが示されている。例えば、Metcalf Nature 369:519-520 (1994)を参照されたい。TPOはいくつかの研究において血小板数を増加させ、血小板サイズを大きくし、レシピエント動物の血小板への同位体取り込みを上昇させることが示されている。具体的には、TPOはいくつかの方法で巨核球形成に影響を及ぼすと考えられている:(1)巨核球のサイズと数の上昇を引き起こす; (2) 巨核球における多数体形態におけるDNA含量を増加させる; (3) 巨核球核内分裂を促進する; (4) 巨核球成熟を促進する;そして(5) 骨髄における小さいアセチルコリンエステラーゼ-陽性細胞の形態の前駆細胞の割合を増加させる。
【0004】
血小板(platelets、thrombocytes)は血液凝固に必要であり、その数が非常に少ないと、患者は破局的出血により死亡する危険があるため、TPOは様々な血液障害、例えば、血小板欠損症に主に起因する疾患(Harker et al. Blood 91: 4427-4433 (1998)を参照されたい)の診断および治療の両方の用途に適用できる可能性を有する。TPOについての進行中の臨床試験により、TPOは患者に安全に投与できることが示された(Basser et al. Blood 89: 3118-3128 (1997); Fanucchi et al. New Engl. J. Med. 336: 404-409 (1997)を参照されたい)。さらに、最近の研究により、血小板減少症、特に、化学療法、放射線療法、または癌またはリンパ腫の治療としての骨髄移植に起因する血小板減少症の治療におけるTPO療法の有効性の予測についての基礎が提供された(Harker、Curr. Opin. Hematol. 6: 127-134 (1999)を参照されたい)。
【0005】
TPOをコードする遺伝子は既にクローニングされており、特徴付けもなされている。Kuter et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11104-11108 (1994); Barley et al.、Cell 77:1117-1124 (1994); Kaushansky et al.、Nature 369:568-571 (1994); Wendling et al.、Nature 369: 571-574 (1994);およびSauvage et al.、Nature 369: 533-538 (1994)を参照されたい。トロンボポエチンはみかけの分子量25 kDaと31 kDaの共通のN-末端アミノ酸配列を有する少なくとも2つの形態を有する糖タンパク質である。Baatout、Haemostasis 27: 1-8 (1997); Kaushansky、New Engl. J. Med. 339: 746-754 (1998)を参照されたい。トロンボポエチンは潜在的 Arg-Arg 切断部位によって分離されている2つの異なる領域を有するようである。アミノ末端領域はヒトおよびマウスにおいて高度に保存されており、エリスロポエチンならびにインターフェロン-aおよびインターフェロン-bとある程度の相同性を示す。カルボキシ末端領域は種によって大きく相違する。
【0006】
ヒトTPO受容体 (TPO-R; c-mplとしても知られる)のDNA 配列およびコードされるペプチド配列は既に記載されている (Vigon et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5640-5644 (1992)を参照されたい)。 TPO-Rは、細胞外ドメインの共通の構造設計によって特徴づけられる造血性(haematopoietin)成長因子受容体ファミリーのメンバーであり、かかる構造としては、N-末端部分における保存されたC残基および膜貫通領域に近接するWSXWSモチーフが挙げられる (Bazan Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6934-6938 (1990)を参照されたい)。この受容体が造血において機能的な役割を果たしているという証拠には、その発現がマウスにおいて脾臓、骨髄、または胎児肝臓に限定されているという観察 (Souyri et al. Cell 63: 1137-1147 (1990)を参照されたい)およびヒトにおいて巨核球、血小板およびCD34+細胞に限定されているという観察(Methia et al. Blood 82: 1395-1401 (1993)を参照されたい) が含まれる。 TPO-Rが巨核球形成の鍵となる調節因子であるというさらなる証拠は、CD34+ 細胞をTPO-R RNAに対してアンチセンスである合成オリゴヌクレオチドに曝すと、赤血球または骨髄球コロニー形成に影響を与えることなく巨核球コロニーの出現を有意に阻害するという事実である。この受容体はG-CSFおよびエリスロポエチンの受容体についての状況と同様に、ホモダイマーとして機能するという仮説を唱える学者もいる (Alexander et al. EMBO J. 14: 5569-5578 (1995)を参照されたい)。
【0007】
血小板減少症を患う患者における血小板レベルの回復が遅いということは重要な課題であり、血小板再生を促進することが出来る血液成長因子アゴニストが緊急に求められている (Kuter、Seminars in Hematology、37: Supp 4: 41-49 (2000)を参照されたい)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
TPO疑似体として作用することによって血小板減少症の治療を可能とする化合物の提供が望まれている。
【0009】
本明細書に開示するように、予期せぬことに特定のヒドロキシ-1-アゾベンゼン誘導体がTPO 受容体のアゴニストとして有効であり、強力なTPO疑似体であることが見いだされた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は式(I)の化合物:
【化1】

【0011】
[式中:
R、R、RおよびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、−(CHOR、−C(O)OR、ホルミル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、−S(O)、シクロアルキル、−NR、保護された−OH、−CONR、ホスホン酸、スルホン酸、ホスフィン酸、−SONR、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化2】

および式(VII)によって表される置換基、
【化3】

ここで、
pは0−6、
nは0−2、
WおよびZはそれぞれ独立に以下から選択される:C、O、SおよびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
VおよびXはそれぞれ独立に以下から選択される:O、SおよびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、アルキル、置換されたアルキル、C3−6シクロアルキル、およびアリール、
あるいは、RおよびRはそれらが結合している窒素と共に、酸素及び窒素から選択される1までのその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
Tは存在しないか、O、SおよびNR16から選択され、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
Pは以下から選択される:OR、SR、NR、およびR、ここでRは以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
25は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
30は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;
【0012】
15は以下からなる群から選択される:アルキル、C−C12アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルキル、置換されたC−C12アリールおよびハロゲン;
mは0−6;そして
Yは3〜16の炭素原子を含む環式または多環式、不飽和または飽和、非芳香族環であって、以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたアリール、アリールオキシ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)1011、−S(O)NR1011、−S(O)および保護された−OH、
ここで
nは0−2、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
10およびR11は独立に、水素、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたC−C12アリール、アルキルまたは以下からなる群から選択される1または複数の置換基で置換されたアルキル:アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、オキソ、ヒドロキシ、−C(O)OR、−S(O)、−C(O)、−S(O)NR、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、アリール、置換されたアリールおよび保護された−OH,
あるいはR10およびR11はそれらが結合している窒素と共に酸素及び窒素から選択される1までのその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
ここでRは上記の通りであり、nは0−2;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物およびエステル;に関する。
ただし、R、R、RおよびRの少なくとも1つは置換されたアリール基または式(III)において表される複素環メチレン置換基あるいは式(VII)において表される置換基である。
【0013】
本発明は、必要とする対象に有効量の式(I)のTPO疑似体化合物を投与することを含む血小板減少症の治療方法に関する。
【0014】
本発明はまた、式(I)の化合物がTPO受容体のアゴニストとして活性であるという発見に関する。
【0015】
本発明のさらなる態様において本発明によるTPO疑似体化合物の調製に有用な新規方法および新規中間体が提供される。
【0016】
本発明には、本発明の方法に有用な医薬キャリアおよび化合物を含む医薬組成物も含まれる。
【0017】
本発明にはまた、本発明によるTPO疑似体化合物とさらなる活性成分との共投与方法も含まれる。
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は上記の式(I)の化合物に関する。
本発明による式(I)の化合物の中には式(V)のもの:
【化4】

[式中:
R、R、RおよびRは、それぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、−(CHOR、−C(O)OR、ホルミル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、−S(O)、シクロアルキル、−NR、保護された−OH、−CONR、ホスホン酸、スルホン酸、ホスフィン酸、−SONR、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化5】

および、式(VII)によって表される置換基、
【化6】

ここで、
pは、0−6、
nは、0−2、
WおよびZはそれぞれ独立に以下から選択される:C、O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
VおよびXは、それぞれ独立に以下から選択される:O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
およびRは、それぞれ独立に以下から選択される:水素、アルキル、置換されたアルキル、C3−6シクロアルキル、およびアリール、
あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
Tは存在しないか、O、SおよびNR16から選択され、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
Pは以下から選択される:OR、SR、NR、およびR、ここでRは以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
25は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、および
30は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、C−C12アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルキル、置換されたC−C12アリールおよびハロゲン;
mは0−6;そして、
Yは4〜15の炭素原子を含む環式または多環式、不飽和または飽和、非芳香族環であって、以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたアリール、アリールオキシ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)1011、−S(O)NR1011、−S(O)および保護された−OH、
ここでnは0−2、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
10およびR11は独立に、水素、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたC−C12アリール、アルキルまたは以下からなる群から選択される1または複数の置換基で置換されたアルキル:アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、オキソ、ヒドロキシ、−C(O)OR、−S(O)、−C(O)、−S(O)NR、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、アリール、置換されたアリールおよび保護された−OH,
あるいはR10およびR11はそれらが結合している窒素と共に酸素及び窒素から選択される1までのヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
ここでRは上記の通りであり、nは、0−2;
]およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物およびエステルが含まれる;
ただしR、R、RおよびRの少なくとも1つは置換されたアリール基または式(III)において表される複素環メチレン置換基あるいは式(VII)において表される置換基。
【0019】
本発明による式(I)の化合物の中には式(II)のもの:
【化7】

[式中:
R、R、RおよびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、−(CHOR、−C(O)OR、ホルミル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、−S(O)、シクロアルキル、−NR、保護された−OH、−CONR、ホスホン酸、スルホン酸、ホスフィン酸、−SONR、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化8】

および、式(VII)によって表される置換基、
【化9】

ここで、
pは、0−6、
nは、0−2、
WおよびZは、それぞれ独立に以下から選択される:C、O、SおよびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
VおよびXはそれぞれ独立に以下から選択される:O、SおよびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、アルキル、置換されたアルキル、C3−6シクロアルキル、およびアリール、
あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素と共に酸素及び窒素から選択される1までのヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
Tは存在しないかあるいはO、SおよびNR16から選択され、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
Pは以下から選択される:OR、SR、NR、およびR、ここで、Rは以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
25は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
30は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、C−C12アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルキル、置換されたC−C12アリールおよびハロゲン;
mは0−6;そして、
Yは、5〜14の炭素原子を含む環式または多環式、不飽和または飽和、非芳香族環であって、以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたアリール、アリールオキシ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)1011、−S(O)NR1011、−S(O)および保護された−OH、
ここでnは0−2、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
10およびR11は独立に水素、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたC−C12アリール、アルキル、または以下からなる群から選択される1または複数の置換基で置換されたアルキル:アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、オキソ、ヒドロキシ、−C(O)OR、−S(O)、−C(O)、−S(O)NR、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、アリール、置換されたアリールおよび保護された−OH,
あるいは、R10およびR11はそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
ここでRは上記の通りであり、nは0−2;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物およびエステルが含まれる;
ただし、R、R、RおよびRの少なくとも1つは置換されたアリール基または式(III)において表される複素環メチレン置換基あるいは式(VII)において表される置換基。
【0020】
本発明による式(II)の化合物には、R15がアルコキシではない化合物が含まれる。
【0021】
本発明による式(II)の化合物には式(VI)のもの:
【化10】

[式中:R、R、RおよびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−C(O)OR、ホルミル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、−S(O)、シクロアルキル、−NR、保護された−OH、−CONR、ホスホン酸、スルホン酸、ホスフィン酸、−SONR、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化11】

そして、式(VII)によって表される置換基、
【化12】

ここで、
nは0−2、
WおよびZはそれぞれ独立に以下から選択される:C、O、SおよびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
VおよびXはそれぞれ独立に以下から選択される:O、SおよびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、アルキル、置換されたアルキル、C3−6シクロアルキル、およびアリール、
あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
Tは存在しないかあるいはO、SおよびNR16から選択され、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
Pは以下から選択される:OR、SR、NR、およびR、ここでRは以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
25は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
30は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、C−C12アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルキル、置換されたC−C12アリールおよびハロゲン;
mは、0−6;そして、
Yは、5〜12の炭素原子を含む環式または多環式、不飽和または飽和、非芳香族環であって、以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたC−C12アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、アルコキシ、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、ハロゲンおよび保護された−OH;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルが含まれる;
ただしR、R、RおよびRの少なくとも1つは置換されたアリール基または式(III)において表される複素環メチレン置換基または式(VII)において表される置換基。
【0022】
本発明による式(II)の化合物にはまた、R15がアルコキシでない式(VI)の化合物が含まれる。
【0023】
本発明による式VIの化合物には以下のもの:
Rは置換されたアリール;そしてRは水素;
Rは水素;そしてRは置換されたアリール;
Rは水素;そしてRは式(III)において表される置換基;または、
Rは水素;そしてRは式(VII)において表される置換基;
そして上記各場合において:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、シクロアルキル、ホスホン酸、ホスフィン酸およびスルホン酸;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
mは0−4;そして、
Yは以下から選択される、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここで、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルが含まれる。
【0024】
本発明による式VIの化合物のなかでは以下のもの:
Rは置換されたC−C12アリール;そしてRは水素;
Rは水素;そしてRは式(III)において表される置換基;または
Rは水素;そしてRは式(VII)において表される置換基;
そして上記各場合において:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、置換されたアルキルおよびシクロアルキル;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
mは0−2;そして
Yは以下から選択される、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここでシクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
そしてさらに、Rが水素;Rが式(VII)において表される置換基である場合;
25およびR30はそれぞれ以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルキルおよびシクロアルキル;
そしてさらに、Rが水素;Rが式(VII)において表される置換基である場合;ならびにRが水素;Rが式(III)において表される置換基である場合;
は以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルキルおよびシクロアルキル;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルが好ましい。
【0025】
本発明による式VIの化合物のなかでは以下のいずれか:
Rは置換されたフェニル環およびRは水素;または、
Rは水素;およびRは式(III)において表される置換基;
および上記各場合において:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、置換されたアルキルおよびハロゲン;
15は以下からなる群から選択される:C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C−C12アリールおよびハロゲン;
mは0;そして、
Yは以下から選択される、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここでシクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
そしてさらに、Rが水素;Rが式(III)において表される置換基である場合;
は以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルキルおよびシクロアルキル;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルが好ましい。
【0026】
本発明による化合物としては以下:
3’−(1−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ)−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
3’−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
3’−[1−(3,4−ジメチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
3’−[1−(3,4−ジクロロ−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
5−[4−(1−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ)−3−ヒドロキシ−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−{4−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−{4−[1−(3,4−ジメチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−{4−[1−(3,4−ジクロロ−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
(E)−3−{4−[1−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシフェニル}−2−メチルアクリル酸;
(E)−3−(4−{N’−3−エチルシクロペンチル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロフェニル−2−メチルアクリル酸;および、
(E)−3−[4−(N’−{1−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン}−ヒドラジノ)−3−ヒドロキシフェニル]−2−メチルアクリル酸;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルが好ましい。
【0027】
本発明による化合物のなかでは以下:
3’−(1−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ)−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
5−{4−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
(E)−3−{4−[1−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシフェニル}−2−メチルアクリル酸;
(E)−3−(4−{N’−3−エチルシクロペンチル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロフェニル−2−メチルアクリル酸;および
(E)−3−[4−(N’−{1−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン}−ヒドラジノ)−3−ヒドロキシフェニル]−2−メチルアクリル酸;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルが好ましい。
【0028】
式(I)の化合物のなかで、国際出願第PCT/US01/16863号(国際出願日2001年5月24日); 国際公報WO 01/89457号(国際公開日2001年11月29日)には一般的に記載されている化合物もあるが、これらは実際に合成されてはいない。具体的には、本発明の化合物において、Yが非芳香族、不飽和または飽和、環式または多環式C−C12であって、R、R、RまたはRは式(VII)
【化13】

以外の置換基であるものが、国際出願PCT/US01/16863号に一般的に、具体的にではなく、記載されている。本発明は、部分的には、本明細書に記載する化合物の予期せぬ増強された特性に関する。具体的には、本発明の化合物は国際特許出願PCT/US01/16863において合成されている化合物と比較して好ましい溶解特性を有することが驚くべきことに見いだされた。特に、本発明の化合物は国際特許出願PCT/US01/16863において合成されている化合物と比較して好ましい毒性特性を有することが驚くべきことに見いだされた。
【0029】
式(I)の化合物は、本発明の医薬組成物に含まれ、本発明の方法に用いられる。
【0030】
本明細書において用いる「保護されたヒドロキシ」または「保護された−OH」という語は、当該技術分野において常套の保護基、例えばTheodora W. Greene、Wiley-Interscience、1981、New Yorkによる「Protective Groups In Organic Synthesis」に記載のものなどによって保護されたアルコール性またはカルボキシル性−OH基をいう。保護されたヒドロキシ基を含む化合物は、医薬上活性な本発明の化合物の調製における中間体としても有用である。
【0031】
本明細書において用いる「アリール」の語は、特に断りのない限り、1から14の炭素原子を含み、所望により1から5のヘテロ原子を含んでいてもよい環式または多環式芳香環を意味するが、ただし、炭素原子数が1の場合、芳香環は少なくとも4のヘテロ原子を含み、炭素原子数が2の場合、芳香環は少なくとも3のヘテロ原子を含み、炭素原子数が3の場合、芳香環は少なくとも2のヘテロ原子を含み、炭素原子数が4の場合、芳香環は少なくとも1のヘテロ原子を含む。
【0032】
本明細書において用いる「C−C12アリール」の語は、特に断りのない限り、フェニル、ナフタレン、3,4-メチレンジオキシフェニル、ピリジン、ビフェニル、キノリン、ピリミジン、キナゾリン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾールおよびテトラゾールを意味する。
【0033】
式(I)および(II)の化合物について言及する場合、本明細書において用いる「置換された」との語は、特に断りのない限り、問題の化学部分が以下からなる群から選択される1または複数の置換基を有することを意味する:−CO20、アリール、−C(O)HS(O)20、−NHS(O)20、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、−C(O)2122、アシルオキシ、アルキル、アミノ、N−アシルアミノ、ヒドロキシ、−(CHC(O)OR、−S(O)、ニトロ、テトラゾール、シアノ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、保護された−OH、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化14】

、および式(VII)によって表される置換基、
【化15】

、ここで、gは0−6;Rは水素またはアルキル;R20は水素、C−Cアルキル、アリールおよびトリフルオロメチルから選択される;R21およびR22は独立に水素、C−Cアルキル、アリールおよびトリフルオロメチルから選択される;WおよびZはそれぞれ独立に以下から選択される:C、O、S、およびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;VおよびXはそれぞれ独立に以下から選択される:O、S、およびNR16、ここでR16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;R25およびR30は独立に以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;およびnは0−2。
【0034】
式(V)および(VI)の化合物について言及する場合、本明細書において用いる「置換された」の語は、特に断りのない限り、問題の化学部分が以下からなる群から選択される1または複数の置換基を有することをいう:−CO20、アリール、−C(O)HS(O)20、−NHS(O)20、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、−C(O)2122、アシルオキシ、アルキル、アミノ、N−アシルアミノ、ヒドロキシ、−(CHC(O)OR、−S(O)、ニトロ、テトラゾール、シアノ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチルおよび保護された−OH、ここでgは0−6、Rは水素またはアルキル、R20は水素、C−Cアルキル、アリールおよびトリフルオロメチルから選択され、R21およびR22は独立に水素、C−Cアルキル、アリールおよびトリフルオロメチルから選択され、nは0−2である。
【0035】
本明細書において用いる「アルコキシ」の語は、アルキルが本明細書に記載するものである、−Oアルキルを意味し、例えば、−OCHおよび−OC(CHCHが挙げられる。
【0036】
本明細書において用いる「シクロアルキル」の語は、特に断りのない限り、非芳香族、不飽和または飽和、環式または多環式C−C12を意味する。
【0037】
本明細書において用いるシクロアルキルおよび置換されたシクロアルキル置換基の例としては以下が挙げられる:シクロヘキシル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、プロピル4−メトキシシシクロヘキシル、4−メトキシシシクロヘキシル、4−カルボキシシクロヘキシル、シクロプロピルおよびシクロペンチル。
【0038】
本明細書において用いる「アシルオキシ」の語は、アルキルが本明細書に記載するものである−OC(O)アルキルを意味する。本明細書において用いるアシルオキシ置換基の例としては以下が挙げられる:−OC(O)CH、−OC(O)CH(CHおよび−OC(O)(CHCH
【0039】
本明細書において用いる「N−アシルアミノ」の語は、アルキルが本明細書に記載するものである−N(H)C(O)アルキルを意味する。本明細書において用いるN−アシルアミノ置換基の例としては以下が挙げられる:−N(H)C(O)CH、−N(H)C(O)CH(CHおよび−N(H)C(O)(CHCH
【0040】
本明細書において用いる「アリールオキシ」の語は、−Oアリールを意味し、ここで、アリールは、フェニル、ナフチル、3,4−メチレンジオキシフェニル、ピリジルまたはビフェニルであって、所望により以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよいものである:アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ヒドロキシ、−(CHC(O)OR、−S(O)、ニトロ、シアノ、ハロゲンおよび保護された−OH、ここで、gは0−6、Rは水素またはアルキル、nは0−2。本明細書において用いるアリールオキシ置換基の例としては以下が挙げられる:フェノキシ、4−フルオロフェニルオキシおよびビフェニルオキシ。
【0041】
本明細書において用いる「ヘテロ原子」の語は、酸素、窒素または硫黄を意味する。
【0042】
本明細書において用いる「ハロゲン」の語は、臭化物、ヨウ化物、塩化物およびフッ化物から選択される置換基を意味する。
【0043】
「アルキル」の語およびそれに由来する語および本明細書において用いるすべての炭素鎖は、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和炭化水素鎖を意味し、特に断りのない限り、炭素鎖は1〜12の炭素原子を含む。本明細書において用いるアルキル置換基の例としては以下が挙げられる:−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−CH(CH、−C(CH、−(CH−CH、−CH−CH(CH、−CH(CH)−CH−CH、−CH=CH、および−C・C−CH
【0044】
本明細書において用いる「治療」の語およびそれに由来する語は予防的および治療的療法を意味する。
【0045】
本明細書において言及するすべての刊行物、例えばこれらに限定されないが特許および特許出願は完全に開示されているかのように引用により本明細書に含まれる。
【0046】
式(I)の化合物は本発明の医薬組成物に含まれ、本発明の方法に用いられる。−COOHまたは−OH基が存在する場合、医薬上許容されるエステル、例えば−COOHについてはメチル、エチル、ピバロイルオキシメチルなどを使用してもよく、−OHについては、酢酸エステル、マレイン酸エステルなどを用いてもよく、溶解性または加水分解特性を変えるための当該技術分野において公知のエステルを、徐放またはプロドラッグ製剤に用いてもよい。
【0047】
式IおよびIIの新規化合物は、以下のスキームIからVIに示すものと類似の方法によって調製される。すべての出発物質は市販されているか、市販の出発物質から当業者が容易に調製できるものである。
【0048】
スキームI
【化16】

【0049】
(a)NaNO、HSO;(b)MeI、KCO、アセトン;(c)3−カルボキシフェニルボロン酸、Pd(PPh、NaCO、ジオキサン、HO;(d)48%aq.HBr、AcOH;(e)H、10%Pd/C;(f)i−NaNO、HCl、EtOH/HO、ii−2−シクロヘキシル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−オール、NaHCO
【0050】
式Iの化合物はスキームIに示すのと同様にして調製できる。適当なブロモフェノール、例えば、1−スキームIを、硫酸中のNaNOと反応させて、対応するニトロフェノール、2−スキームIを得る。あるいは、ニトロ化を硝酸を用いて行うことが出来る。この変換を行うためのその他の別法も存在し、当業者に知られている。かかる方法の組み合わせが標準的有機合成テキスト、例えば、March、"Advanced Organic Chemistry:Reactions、mechanisms、and structure," Wiley、N.Y. (1992)にみることが出来る。該フェノールは次いで好適な溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはアセトン中の、塩基、例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムの存在下でアルキル化剤、例えば、臭化ベンジルまたは好ましくはヨウ化メチルによる反応によって保護されて、保護されたニトロフェノール、3−スキームIが生じる。次いで、好適な溶媒、例えば、水性1,4−ジオキサンまたはジメチルホルムアミド中の、触媒、好ましくは、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウムおよび塩基、例えば、炭酸ナトリウムまたはトリエチルアミンの存在下での置換されたアリールボロン酸、例えば、3−カルボキシフェニルボロン酸または4−カルボキシフェニルボロン酸との反応により、置換されたアリール化合物、4−スキームIが得られる。保護基の除去はプロトン性またはルイス酸;例えば、濃臭化水素酸、トリ臭化ホウ素またはヨウ化トリメチルシリルを用いて達成され、フェノール5−スキームIが得られる。触媒的水素化または好適な溶媒、例えば、エタノール、酢酸;または水中の還元金属、例えば、鉄またはスズのジ塩化物を介するニトロ基の還元により、アニリン6−スキームIが得られる。これを適当な水性溶媒、例えば、水または好ましくは、エタノール−水混合物中の亜硝酸ナトリウムおよび適当な酸、例えば、硝酸、硫酸または、好ましくは、塩酸との反応によりジアゾ化して、ジアゾニウム種を得、これを塩基、好ましくは炭酸水素ナトリウム、または酸、好ましくは塩酸の存在下での適当なピラゾールとの反応により直接式(I)の化合物(7−スキームI)に変換する。
【0051】
スキームII
【化17】

【0052】
(a)プロパンジオール、p−TsOH、トルエン、還流;(b)PtO、H、EtOAc;(c)i−NaNO、HCl、EtOH/HO、ii−2−シクロヘキシル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−オール、NaHCO;(d)HCl、MeOH/HO;(e)チアゾリジンジオン、ピペリジン、EtOH、還流。
【0053】
あるいは、式(I)の化合物はスキームIIに示すようにして調製できる。適当なニトロアルデヒド、例えば、1−スキームIIのアルデヒド官能基を1,3−プロパンジオールとの反応により保護して、対応する環式アセタール、2−スキームIIを得る。様々な保護基が当業者に利用可能であり、スキームIIに挙げる工程を阻害しない限りここで用いることが出来る。かかる基については、Greene and Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis. 2nd Ed.、Wiley、N.Y. (1991)にみることが出来る。ニトロ基を次いで、還元金属または適当な触媒、例えば、酸化プラチナによる触媒的水素化を用いて還元して対応するアニリン、3−スキームIIを得る。適当な水性溶媒、例えば、エタノール−水混合物中での亜硝酸ナトリウムおよび適当な酸、例えば、硝酸、硫酸または、好ましくは、塩酸によるジアゾ化によりジアゾニウム種が得られ、これを適当なピラゾロンと直接カップリングさせて生成物、例えば、4−スキームIIを得る。保護されたアルデヒドは酸性水性条件下でアンマスクされて、親アルデヒド、例えば、5−スキームIIが得られる。活性メチレン化合物とのKnoevenagel縮合(Knoevenagel、Chemische Berichte 29: 172 (1896))により、式(I)の化合物、例えば、6−スキームIIが得られる。
【0054】
スキームIII
【化18】

【0055】
(a)(カルベトキシエチリデン)トリフェニルホスホラン、トルエン、還流;(b)1N LiOH、THF/HO;(c)SnCl、濃HCl、80℃;(d)i−NaNO、HCl、EtOH/HO、ii−2−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン、NaHCO
【0056】
あるいは、式(I)の化合物はスキームIIIに示すように調製することも出来る。適当なアルデヒド、例えば、1−スキームIIIのHorner-Wadsworth-Emmons 反応、または好ましくは、適当なホスホラン、例えば、(カルベトキシエチリデン)トリフェニルホスホランとの塩無含Wittig反応を用いたオレフィン化により対応するオレフィン、2−スキームIIIが得られる。酸性、または好ましくは、塩基性水溶液、例えば、THF−水中の水酸化リチウムを用いる塩基性条件下でのエステルの鹸化により、対応する酸、3−スキームIIIが得られる。ニトロ基を次いで、触媒的水素化または好適な溶媒、例えば、酢酸または塩酸中の還元金属、例えば、鉄またはスズジ塩化物を用いて還元し、対応するアニリン、4−スキームIIIを得る。適当な水性溶媒、例えば、エタノール−水混合物中での亜硝酸ナトリウムおよび適当な酸、例えば、硝酸、硫酸または、好ましくは、塩酸によるジアゾ化によって、ジアゾニウム種が得られ、これを直接適当なピラゾロンとカップリングさせて式(I)の化合物、例えば、5−スキームIIIを得る。
【0057】
スキームIV
【化19】

【0058】
(a)t−ブチルカルバゼート、CHCl;(b)H、50psi、10%Pd/C、THF;(c)4N HCl/ジオキサン;(d)アセト酢酸メチル、氷酢酸、100℃。
【0059】
スキームIVはスキームI−IIIに用いたピラゾールの形成を説明する。ケトン、例えば、1−スキームIVを適当な溶媒、例えば、塩化メチレン中の、適当なカルバゼート、例えば、t−ブチルカルバゼートと反応させて、対応するヒドラゾン、例えば、2−スキームIVを得る。適当な溶媒、例えば、THF中の適当な触媒、例えば、炭素上のパラジウムを用いる触媒的水素化によりヒドラゾンを還元して保護されたヒドラジン、例えば、3−スキームIVを得る。酸性条件下での保護基の除去、次いで、適当な溶媒、例えば、氷酢酸中での適当なケトエステル、例えば、アセト酢酸メチルとのシクロ縮合により対応するピラゾール、例えば、5−スキームIVを得る。
【0060】
本発明による式(I)の化合物の調製において、以下の新規中間体が調製される:
2−シクロヘキシル−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン;
2−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン;
5−(3−ヒドロキシ−4−ニトロ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン;
(E)−3−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステルハイドロクロライド;
2−(3−エチルシクロペンチル)−5−メチル−2,4−ジヒドロキシプラゾール−3−オン;
2−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−5−メチル−2,4−ジヒドロキシピラゾール−3−オン;
(E)−3−(3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)−2−メチルアクリル酸エチルエステル;
(E)−3−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステルハイドロクロライド;
3−エチルシクロペンチルヒドラジントリフルオロアセテート;および、
3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチルヒドラジントリフルオロアセテート。
【0061】
本明細書に記載する血小板減少症の治療は、血小板産生を増加させることにより達成される。
【0062】
本明細書において用いる「共投与」およびそれに由来する語は、本明細書に記載するTPO疑似体化合物およびさらなる血小板減少症(化学療法-誘発性血小板減少症および血小板産生が抑制された骨髄移植およびその他の状況を含む)の治療用として知られている1または複数の活性成分の同時投与またはあらゆる方法の別々の逐次投与を意味する。本明細書において用いる、さらなる1または複数の活性成分という語は、TPOまたはTPO疑似体とともに投与されることが知られているか、または、TPOまたはTPO疑似体とともに投与されると有利な特性を示すあらゆる化合物または治療剤を含む。好ましくは、投与が同時でない場合、化合物は互いに近い時期で投与されるのがよい。さらに、化合物が同一剤形において投与されるかは問題にならず、例えば1つの化合物を局所的に投与し、もう1つの化合物を経口投与してもよい。
【0063】
本発明によるTPO疑似体化合物と組み合わせて用いられるさらなる1または複数の活性成分の例としては、これらに限定されないが以下が挙げられる:化学保護(chemoprotective)または骨髄保護(myeloprotective)剤、例えば、G-CSF、BB10010 (Clemons et al.、Breast Cancer Res. Treatment、1999、57、127)、アミフォスティン(amifostine)(Ethyol) (Fetscher et al.、Current Opinion in Hemat.、2000、7、255-60)、SCF、IL-11、MCP-4、IL-1-β、AcSDKP (Gaudron et al.、Stem Cells、1999、17、100-6)、TNF-a、TGF-b、MIP-1a (Egger et al.、Bone Marrow Transpl.、1998、22 (Suppl. 2)、34-35)、およびその他の抗-アポトーシス、生存または増殖活性を有することが同定された分子。
【0064】
Tpoは幹細胞の末梢血への動員因子として作用することが確かめられている(Neumann T. A. et al.、Cytokines、Cell. & Mol. Ther,2000、6、47-56)。この活性は幹細胞動員因子、例えば、G-CSF (Somolo et al.、Blood、1999、93、2798-2806)と協同しうる。本発明のTPO疑似体化合物は、骨髄切除化学療法を受ける患者における造血幹細胞移植のための白血球分離に先立つドナーにおける循環中の幹細胞の数を増加させるのに有用である。
【0065】
同様に、TPOは骨髄球性細胞の増殖、特に、顆粒球/マクロファージ系統の増殖を刺激する(Holly et al.、米国特許5989537号)。顆粒球/マクロファージ前駆体は、骨髄球性系統の細胞であり、好中球、単球、好塩基球および好酸球として成熟する。本発明に記載する化合物はしたがって、好中球減少性症状の患者における好中球の増殖を刺激するという治療用途を有する。
【0066】
本発明によるTPO疑似体化合物と組み合わせて用いられるさらなる1または複数の活性成分の例はこれらに限定されないが以下を含む:幹細胞、巨核球、好中球動員因子、例えば、化学治療薬(即ち、サイトキサン(cytoxan)、エトポシド、シスプラチン(Ballestrero A. et al.、Oncology、2000、59、7-13)、ケモカイン、IL-8、Gro-ベータ(King、A. G. et al. J. Immun.、2000、164、3774-82)、受容体アゴニストまたはアンタゴニスト抗体、低分子 サイトカインまたは受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、SCF、Flt3 リガンド、接着分子阻害剤または抗体、例えば、: 抗-VLA-4 (Kikuta T. et al.、Exp. Hemat.、2000、28、311-7)または抗-CD44 (Vermeulen M. et al.、Blood、1998、92、894-900)、サイトカイン/ケモカイン/インターロイキンまたは受容体アゴニストまたはアンタゴニスト抗体、MCP-4 (Berkhout TA.、et al.、J. Biol. Chem.、1997、272、16404-16413; Uguccioni M. et al.、J. Exp. Med.、1996、183、2379-2384)。
【0067】
本発明の医薬上活性な化合物はTPO 疑似体として活性であるため、血小板減少症および血小板産生が抑制されているその他の症状の治療において治療用途を示す。
【0068】
本明細書において用いる「血小板減少症」およびそれに由来する語は、正常または健康な個体に望ましいと考えられている数以下に血液の血小板数が減少している疾患を広く意味する。血小板減少症には多くの原因があることが知られており、例えばこれらに限定されないが、放射線療法、化学療法、免疫療法、免疫性血小板減少性紫斑病 (ITP、Bussel J. B.、Seminars in Hematology、2000、37、Suppl 1、1-49)、骨髄異形性症候群(MDS)、再生不良性貧血、AML、CML、ウイルス感染(例えばこれらに限定されないが以下のウイルス; HIV、C型肝炎、パルボウイルス)、肝臓疾患、骨髄切除、骨髄移植、幹細胞移植、末梢血幹細胞移植、前駆体細胞欠損症、幹細胞および前駆細胞における多型、Tpo欠損症、好中球減少(Sawai、N. J. Leukocyte Biol.、2000、68、137-43)、樹状細胞動員(Kuter D. J. Seminars in Hematology、2000、37、Suppl 4、41-49)、増殖、活性化または分化。医薬上活性な本発明の化合物は、症状を引き起こす因子に拘わらず血小板減少症の治療に有用である。医薬上活性な本発明の化合物はまた、原因または病因が知られていないか、同定されていない場合においても血小板減少症の治療に有用である。
【0069】
本発明の化合物の予防的使用は、血液または血液血小板の減少が予測される場合に考慮される。本発明の化合物の予防的使用により、予測される血液または血液血小板の欠損に先立って血小板が構築されるか血小板産生が開始する。本発明の化合物の予防的使用にはこれらに限定されないが以下の場合が挙げられる:移植手術、手術、出産時の麻酔および腸保護。
【0070】
ヒト樹状細胞はTPO受容体を発現することが示されており(Kumamoto et al.、Br. J. Haem、1999、105、1025-1033)、TPOは樹状細胞の強力な動員因子である。本発明のTPO疑似体化合物は、樹状細胞の活性と移動性を増加させる点で、ワクチンアジュバントとしても有用である。医薬上活性な本発明の化合物は、経口、経皮または皮下に送達されるワクチンおよび/または免疫調節物質と組み合わせた場合、樹状細胞の活性と移動性を向上させることにより、免疫学的アジュバントとして有用である。
【0071】
Tpoは、抗-アポトーシス/巨核球、血小板および幹細胞の生存効果、そして幹細胞および巨核球細胞に対する増殖効果を含む様々な効果を有することが知られている(Kuter D. J. Seminars in Hematology、2000、37、41-9)。これらのTpo活性は、幹細胞および前駆細胞の数を有効に増加させ、Tpoを分化を誘導するその他のサイトカインと組み合わせて用いた場合、相乗効果がみられる。
【0072】
本発明のTPO疑似体化合物は、生存または増殖のために細胞に作用することが知られている公知の薬剤と組み合わせて生存または増殖のために細胞に作用する点で有用である。かかるその他の薬剤としてはこれらに限定されないが以下が含まれる: G-CSF、GM-CSF、TPO、M-CSF、EPO、Gro-ベータ、IL-11、SCF、FLT3 リガンド、LIF、IL-3、IL-6、IL-1、プロゲニポイエチン(Progenipoietin)、NESP、SD-01、またはIL-5あるいは上記薬剤のいずれかの生物学的に活性な誘導体、KT6352(Shiotsu Y. et al.、Exp. Hemat. 1998、26、1195-1201)、ウテロフェリン(uteroferrin)(Laurenz JC.、et al. Comp. Biochem. & Phys.、Part A. Physiology.、1997、116、369-77)、FK23 (Hasegawa T.、et al. Int. J. Immunopharm.、1996、18 103-112)および抗-アポトーシス、幹細胞、前駆細胞のための生存または増殖特性を有することが同定されているその他の分子あるいはその他のTPO受容体を発現する細胞。
【0073】
TPO 疑似体の有効性の測定において、以下のアッセイを用いた:
増殖アッセイ
本発明の化合物を、ヒト Tpo-Rでトランスフェクトしたマウス BaF3 細胞株を用いるインビトロ増殖アッセイにおいて、TPOの疑似体としての有効性を調べた。生存および増殖はTPOの存在に依存する。
【0074】
本発明の化合物はヒト UT7TPO 細胞株を用いたインビトロ増殖アッセイにおいて、活性であった。UT7TPO 細胞はTpo-Rを発現するヒト巨核芽球細胞株であり、その生存および増殖はTPOの存在に依存する(Komatsu et al. Blood 1996、87,4552)。
【0075】
分化アッセイ
同様に、本発明のもっとも好ましい化合物のなかにはヒト骨髄細胞由来の巨核球の成熟の刺激において陽性であるものもあった。このアッセイにおいて、精製ヒトCD34+前駆細胞を被験化合物とともに10日間液体培地でインキュベートし、巨核球マーカーである膜貫通糖タンパク質 CD41 (gpIIb)を発現する細胞数を、フローサイトメトリーによって測定した(Cwirla、S. E. et al Science、1997、276、1696参照)。
【0076】
本発明の医薬上活性な化合物は、それを必要とする哺乳類、特にヒトにおけるTPO 疑似体として有用である。
【0077】
本発明の化合物はまた、0.003 〜30 uMの濃度でUT7TPOおよび32D-mpl 細胞の増殖を促進した。本発明の化合物はまた、0.003〜30 uMの濃度でCD41 巨核球アッセイにおいて活性を示した。
【0078】
本発明はそれゆえ血小板減少症および血小板産生が抑制されたその他の症状の治療方法を提供し、該方法は、血小板産生の促進に有効な量における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物またはエステルを投与することを含む。式(I)の化合物はまた、TPO 疑似体として作用する能力が示されたことから、上記疾患状態の治療方法も提供する。該薬剤はそれを必要とする患者に常套の投与経路で投与すればよく、かかる投与経路には、例えばこれらに限定されないが以下が含まれる:静脈内、筋肉内、経口、皮下、皮内、および非経口。
【0079】
医薬上活性な本発明の化合物は常套の剤形に組み込まれる。かかる剤形としては、例えば、カプセル、錠剤、または注射用製剤が挙げられる。固体または液体の医薬キャリアが用いられる。固体キャリアとしては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、石膏、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸等が含まれ;液体キャリアとしては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、塩水、および水が含まれる。同様に、キャリアまたは希釈剤は例えば以下のような徐放性物質を含んでいてもよい;モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル、それらの単体またはワックスとの組み合わせ。固体キャリアの量は広範に変動し、好ましくは、単位用量あたり約 25 mg〜約 1 gである。液体キャリアを用いる場合、製剤はシロップ、エリキシル、乳濁液、軟ゼラチンカプセル、無菌注射可能液体例えば、アンプル、または水性または非水性液体懸濁液の形態である。
【0080】
医薬製剤は製薬学者の常套の技術にしたがって作られ、かかる技術は混合工程、顆粒化工程および必要であれば、錠剤形態への圧縮工程を含むか、あるいは、混合工程、充填工程、および適宜成分の溶解工程を含み、所望の経口または非経口製剤が得られる。
【0081】
上記の医薬単位用量における本発明による医薬上活性な化合物の用量は、有効かつ、非毒性量であり、好ましくは、活性化合物0.001 - 100 mg/kgの範囲、好ましくは 0.001 - 50 mg/kgから選択される。TPO 疑似体を必要とするヒト患者の治療の場合、選択した用量を好ましくは1日 1-6回、経口または非経口で投与する。好ましい非経口投与形態には、局所、直腸、経皮的が含まれ、注射および注入による連続形態が含まれる。ヒト投与のための経口単位用量は、好ましくは活性化合物を0.05〜3500 mg含む。より低い用量を用いる経口投与が好ましい。しかしより高い用量の非経口投与も患者にとって安全かつ便利であれば用いてもよい。
【0082】
投与すべき最適用量は当業者が容易に決定できるものであり、使用するTPO 疑似体の種類、製剤の強度、投与様式、および疾患状態の進行に依存する。特定の治療される患者に依存し、用量の調整を必要とするその他の因子としては、患者の年齢、体重、食事および投与時期が含まれる。
【0083】
ヒトを含む哺乳類においてTPO疑似体活性を誘導する本発明の方法は、かかる活性を必要とする対象にTPO疑似体として有効量の本発明の医薬上活性な化合物を投与することを含む。
【0084】
本発明はまた、TPO疑似体として使用するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用も提供する。
【0085】
本発明はまた、治療用の医薬の製造における式(I)の化合物の使用も提供する。
【0086】
本発明はまた、血小板産生の促進に使用する医薬の製造における式(I)の化合物の使用も提供する。
【0087】
本発明はまた、血小板減少症の治療に使用する医薬の製造における式(I)の化合物の使用も提供する。
【0088】
本発明はまた、式(I)の化合物および医薬上許容されるキャリアを含むTPO疑似体として使用するための医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明はまた、式(I)の化合物および医薬上許容されるキャリアを含む血小板減少症の治療に使用するための医薬組成物を提供する。
【0090】
本発明はまた、式(I)の化合物および医薬上許容されるキャリアを含む血小板産生の促進に使用するための医薬組成物を提供する。
【0091】
許容不可能な毒性作用は本発明にしたがって本発明の化合物を投与する場合みられない。
【0092】
さらに、医薬上活性な本発明の化合物はさらなる活性成分と共投与してもよく、かかる活性成分としては、例えば、血小板減少症を治療することが知られているその他の化合物または、TPO疑似体と組み合わせて用いた場合有用であることが知られている化合物が含まれ、血小板減少症としては、化学療法-誘導性血小板減少症および骨髄移植およびその他の血小板産生が抑制された症状が挙げられる。
【0093】
考えられる均等物
当業者であれば、式IおよびIIの化合物は互変異性形態でも存在しうることを理解するであろう。例えば、式Iにおいて、2つの窒素原子の間にかかれている二重結合は、下方の窒素原子と5-員環の間に存在しうる。式IおよびIIの化合物の互変異性形態は下記式(IV)によって表される:
【化20】

[式中「R」基は上記の通り]。かかる化合物はすべて本発明の範囲に含まれ、式IおよびIIの化合物の定義に含まれる。
【0094】
当業者であれば容易に上記説明を用いて本発明を完全に実施できると考えられる。したがって以下の実施例は単に例示の目的であり本発明の範囲を限定するものではない。
実験の詳細
【実施例1】
【0095】
3’−[N’−(1−シクロヘキシル−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン)−ヒドラジノ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸の調製
a)2−シクロヘキシル−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン
シクロヘキシルヒドラジンハイドロクロライド(2.00g、13.3mmol)およびアセト酢酸メチル(2.37g、20.4mmol)を氷酢酸(55mL)中で混合した。反応は100℃に18時間加熱した。反応をRTに冷却した後、溶媒を減圧下で除いて2.46gの所望の生成物を淡橙色固体として得た。この物質をさらに精製せずに用いた。
MS (ES+) m/z 181.2 (M+H+)
【0096】
b)3’−[N’−(1−シクロヘキシル−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン)−ヒドラジノ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸
EtOH(1mL)およびHO(1mL)中の3’−アミノ−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸ハイドロクロライド(0.05g、0.19mmol、WO200189457にしたがって調製)に3N HCl(0.13mL、0.23mmol)を添加した。反応を0℃に冷却し、NaNO(16mg、0.23mmol)を添加した。0℃で15分後、実施例1(a)の化合物(0.03g、0.19mmol)のEtOH(1mL)中の溶液を添加した。反応を固体NaHCOでpH8に調整し室温で撹拌した。18時間後、反応を3N HClでpH3に調整した。その結果得られた沈殿を収集し、ヘキサンですすいだ。減圧下での乾燥により63mgの標題の化合物を橙色固体として得た。
MS (ES+) m/z 421.2 (M+H+)
【実施例2】
【0097】
5−(4−{N’−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロキシ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
a)5−(3−ヒドロキシ−4−ニトロベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン
エタノール(120mL)中の2,4−チアゾリジンジオン(3.50g、30.0mmol)の溶液に3−ヒドロキシ−4−ニトロベンズアルデヒド(5.00g、30.0mmol)およびピペリジン(0.44mL、4.50mmol)を添加した。混合物を15時間還流しながら撹拌し次いで0℃に冷却した。その結果得られた沈殿を収集し、冷エタノールで洗浄して3.53gの所望の化合物を褐色固体として得た。さらなる母液の濃縮および沈降によりさらに3.1gの生成物を得た。これをさらに精製せずに次の反応に用いた。
1H NMR (CDCl3) δ 8.20 (1H、d、J = 8.8 Hz)、7.75 (1H、s)、7.26 (1H、s)、7.12 (1H、d、J = 8.8 Hz)
【0098】
b)5−(4−アミノ−3−ヒドロキシベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン
実施例2(a)の化合物(1.00g、3.50mmol)の濃塩酸(45mL)中の溶液に塩化スズ(II)(2.00g、11.0mmol)を添加した。混合物を80℃に1.5時間加熱し、次いで0℃に冷却した。その結果得られた沈殿を収集しジエチルエーテルですすいで0.78gの所望の化合物を得た。これをさらに精製せずに用いた。
1H NMR (DMSO) δ 10.3 (1H、br s)、7.59 (1H、s)、6.86?6.95 (3H、m)
【0099】
c)2−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン
CHCl(50mL)中の4−tert−ブチルシクロヘキサノン(3.95g、25.6mmol)の溶液にtert−ブチルヒドラジンカルボキシラート(3.83g、25.6mmol)を添加した。MgSO/Na2SOの1:1混合物を反応に添加し、スラリーとし、反応を激しく撹拌した。18時間後、反応をCHCNで希釈し、ろ過した。溶媒をろ液から減圧下で除いて6.78gのN’−(4−tert−ブチル−シクロヘキシリジン)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルを白色泡状物として得た。この物質をさらに精製せずに次の工程に用いた。
1H NMR (400mHz、DMSO-d6) δ 9.51 (s、1H)、2.93 (d、J = 15 Hz、1H)、2.30 (d、J = 13 Hz、1H)、2.08 (m、1H)、1.89 (m、2H)、1.66 (m、1H)、1.43 (s、9H)、1.25 (m、1H)、1.13 (m、1H)、1.03 (m、1H)、0.85 (s、9H)
【0100】
THF(150mL)中の上記からの粗生成物(6.78g)に10%Pd/C(20mg)を添加した。物質を水素を50psiにて用いて18時間水素化した。水素の通気後、触媒をろ過により除き、溶媒を減圧下で除いて7.61gのN’−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルを黄色油として得た。この物質をさらに精製せずに次の工程に用いた。
MS (ES+) m/z 271.4 (M+H+)
【0101】
CHCl(30mL)中のN’−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステル(7.61g)にTFA(10mL)を添加した。RTで5時間後、溶媒を減圧下で除去した。残渣を氷酢酸(100mL)に溶解し、アセト酢酸メチル(4.46g、38.4mmol)を添加し、反応を100℃に18時間加熱した。反応をRTに冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。残渣のフラッシュクロマトグラフィー(50%〜80%EtOAc/ヘキサン、シリカゲル)により2−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オンの2つの異性体を淡黄色油として得た。
異性体1:2.67g;TLC R0.30(シリカゲル、1:1EtOAc/ヘキサン);
MS (ES+) m/z 237.0 (M+H+)
異性体2:0.66g;TLC R0.15(シリカゲル、1:1EtOAc/ヘキサン);
MS (ES+) m/z 237.4 (M+H+)
【0102】
d)5−(4−{N’−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロキシ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン
実施例2(b)の化合物(0.06g、0.23mmol)のEtOH(0.5mL)およびHO(0.5mL)中の溶液に3N HCl(0.16mL、0.48mmol)を添加した。反応を0℃に冷却し、NaNO(19mg、0.28mmol)を添加した。0℃で1.5時間後、EtOH(1mL)中の実施例2(c)の化合物(異性体1:0.06g、0.23mmol)の溶液を添加し、次いで固体NaHCOを反応混合物がpH8となるまで添加した。反応を60℃に18時間加熱した。反応をRTまで冷却した後、3N HClを混合物がpH3となるまで添加した。その結果得られた沈殿を収集し水ですすいだ。フラッシュクロマトグラフィー(15%アセトン/CHCl、シリカゲル)により26mgの標題の化合物を橙色固体として得た。
MS (ES+) m/z 484.6 (M+H+)
【実施例3】
【0103】
5−(4−{N’−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロキシ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオンの調製
実施例2(d)と同様にして、実施例2(b)の化合物(0.07g、0.30mmol)および実施例2(c)の化合物(異性体2:0.7g、0.30mmol)から10mgの標題の化合物を橙色固体として得た。
MS (ES+) m/z 484.4 (M+H+).
【実施例4】
【0104】
(E)−3−{4−[1−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシフェニル}−2−メチルアクリル酸の調製
a)(E)−3−(3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)−2−メチルアクリル酸エチルエステル
3−ヒドロキシ−4−ニトロベンズアルデヒド(1.00g、5.98mmol)および2−(トリフェニル−l−ホスファニリデン)−プロピオン酸エチルエステル(2.60g、7.16mmol)をトルエン(50mL)中で混合した。還流下で18時間後、反応をRTに冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、30%〜50%EtOAc/ヘキサン)にかけ、黄色固体を得た。この物質をトルエンから再結晶させ、1.10gの所望の物質を黄色針状物として得た。
MS (ES+) m/z 252.2 (M+H+)
【0105】
b)(E)−3−(3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)−2−メチルアクリル酸
THF(4mL)中の実施例4(a)の化合物(0.50g、2.00mmol)に、1N LiOH(4.40mL、4.40mmol)を添加した。RTで5時間後、反応混合物を3N HClを用いて酸性にした。その結果得られた沈殿を収集し、HOとヘキサンで順に洗浄し減圧下で乾燥させて0.23gの所望の生成物を黄色固体として得た。この物質をさらに精製せずに用いた。
MS (ES+) m/z 224.4 (M+H+)
【0106】
c)(E)−3−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステルハイドロクロライド
実施例4(b)の化合物(0.23g、1.03mmol)およびSnCl(0.59g、3.11mmol)を濃HCl(5mL)中で混合し、80℃に加熱した。18時間後、反応をRTに冷却した。その結果得られた沈殿を収集しEtOですすぎ、乾燥させて0.17gの所望の化合物を白色固体として得た。これをさらに精製せずに用いた。
1H NMR (400mHz、DMSO-d6) d 10.78 (ブロード s、1H)、7.48 (s、1H)、7.31 (m、1H)、7.14 (s、1H)、6.96 (dd、J = 8.2、1.4 Hz、1H)、2.01 (s、3H).
【0107】
d)(E)−3−{4−[1−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシフェニル}−2−メチルアクリル酸
EtOH(0.5mL)とHO(0.5mL)の混合物中の実施例4(c)の化合物(0.05g、0.22mmol)に、3N HCl(0.15mL、0.45mmol)を添加した。反応を0℃に冷却した後、固体NaNO(0.018g、0.26mmol)を添加し、懸濁液を15分間撹拌した。EtOH(1mL)中の実施例2(c)の化合物(0.052g、0.22mmol)の溶液を添加した。固体NaHCOを添加し、反応をpH8にした。RTに昇温後、反応を18時間撹拌した。反応混合物を3N HClで酸性(pH3)にした。その結果得られた沈殿を単離し、EtOH/HO(1:1v/v)ですすぎ、減圧下で乾燥させて0.046gの所望の物質を赤色固体として得た。
MS (ES+) m/z 441.4 (M+H+)
【実施例5】
【0108】
(E)−3−(4−{N’−3−エチルシクロペンチル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロフェニル−2−メチルアクリル酸の調製
a)3−エチルシクロペンチルヒドラジントリフルオロアセテート
(±)−3−エチルシクロペンタノン(0.5g.、4.46mmol)とt−ブチルカルバゼート(0.59g.、4.46mmol)の塩化メチレン(25mL)中の混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を蒸発させ、残渣をエタノール(100mL)と10%炭素上のパラジウム(1.0g.)の混合物で処理した。懸濁液を50psiで16時間水素化し、ろ過し、蒸発させた。残渣を塩化メチレン(50mL)およびトリフルオロ酢酸(10mL)に溶解し、一晩撹拌した。溶媒の蒸発により、1.1gの標題の化合物をジアステレオマー混合物として得た。
MS (ES+) m/z 129.3 (M+H)+
【0109】
b)2−(3−エチルシクロペンチル)−5−メチル−2,4−ジヒドロキシピラゾール−3−オン
メタノール(50mL)中のアセト酢酸メチル(0.53g、4.5mmol)および実施例5(a)の化合物(1.1g、4.4mmol)の溶液をアルゴン下で還流しながら加熱した。16時間後、溶液を蒸発させ、残渣をフラッシュシリカクロマトグラフィー(3%メタノール/塩化メチレン)で精製し、0.16gの標題の化合物をジアステレオマー混合物として得た。
MS (ES+) m/z 195.2 (M+H)+
【0110】
c)(E)−3−(4−{N’−3−エチルシクロペンチル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロフェニル−2−メチルアクリル酸
亜硝酸ナトリウム(0.07g、1.02mmol)を実施例4(b)の化合物(0.20g、0.77mmol)の3N HCl(1.3mL)、エタノール(9.2mL)および水(5.6mL)の混合物中の冷たい(0℃)、撹拌溶液に添加した。反応を10分間撹拌し、エタノール(2.0mL)中の実施例5(b)の化合物(0.16g、0.82mmol)の溶液を一部ずつ添加した。固体炭酸水素ナトリウムを添加して反応をpH8に調整した。混合物を60℃に2時間加熱し、一晩室温で維持して蒸発させた。その結果得られた残渣の水(20mL)中のスラリーを0.5N HClで中和し、混合物を酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)蒸発させて0.11gの標題の化合物をジアステレオマー混合物として得た。
MS (ES+) m/z 399.2 (M+H)+
【実施例6】
【0111】
(E)−3−[4−(N’−{1−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン}−ヒドラジノ)−3−ヒドロキシフェニル]−2−メチルアクリル酸の調製
a)3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチルヒドラジントリフルオロアセテート
実施例5(a)と類似の手順にて、(±)−3−(1,1−ジメチル−プロピル)−シクロペンタノン(1.0g、6.5mmol)およびt−ブチルカルバゼート(0.86g、6.5mmol)から1/85gの標題の化合物をジアステレオマー混合物として得た。
MS(ES+) m/z 171.2 (M+H)+
【0112】
b)2−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−5−メチル−2,4−ジヒドロキシピラゾール−3−オン
実施例5(b)と類似の手順にて、実施例6(a)の化合物(1.85g、6.5mmol)およびアセト酢酸メチル(0.75g、6.5mmol)から、フラッシュシリカクロマトグラフィー(2%メタノール/塩化メチレン)による精製後、0.50gの標題の化合物を得た。
MS(ES+) m/z 237.4 (M+H)+
【0113】
c)(E)−3−[4−(N’−{1−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン}−ヒドラジノ)−3−ヒドロキシフェニル]−2−メチルアクリル酸
実施例5(c)と類似の手順にて、実施例6(b)の化合物(0.32g、1.35mmol)および実施例4(b)の化合物(0.33g.、1.27mmol)から0.23gの標題の化合物を得た。
MS(ES+) m/z 441.2 (M+H)+ .
【実施例7】
【0114】
カプセル組成物
本発明のTPO受容体アゴニストの経口投与用製剤を、標準的2ピース硬ゼラチンカプセルに以下の表Iに示す割合にて成分を詰めることにより作成した。
【表1】

【実施例8】
【0115】
注射用非経口組成物
本発明のTPO受容体アゴニストの注射投与用製剤を、1.5%重量部の5−(4−{N’−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロキシ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン(実施例2の化合物)を水中10%体積部のプロピレングリコール中で撹拌することにより作成した。
【実施例9】
【0116】
錠剤組成物
スクロース、硫酸カルシウム二水和物および本発明のTPO受容体のアゴニストを以下の表IIに示す割合で10% ゼラチン溶液を用い、混合および顆粒化した。湿った顆粒を選別し、乾燥し、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し;選別および圧縮して錠剤を得た。
【0117】
【表2】

【0118】
化合物、3’−[N’−(1−シクロヘキシル−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン)−ヒドラジノ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸は、上記BaF3/hTPO-R 増殖アッセイにおいてEC50 = 0.80 uM、160%TPOの活性を示した。
【0119】
本発明の好適な態様を上記に示したが、本発明は本明細書に開示した特定の説明に限定されず、特許請求の範囲から導かれるすべての改変に対する権利は保持されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)によって表される化合物:
【化1】

[式中:
R、R、RおよびRは、それぞれ独立に以下から選択される;水素、C1−6アルキル、−(CHOR、−C(O)OR、ホルミル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、−S(O)、シクロアルキル、−NR、保護された−OH、−CONR、ホスホン酸、スルホン酸、ホスフィン酸、−SONR、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化2】

および、式(VII)によって表される置換基、
【化3】

ここで、
pは0−6、
nは0−2、
WおよびZはそれぞれ独立に以下から選択される;C、O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
VおよびXはそれぞれ独立に以下から選択される;O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される;水素、アルキル、置換されたアルキル、C3−6シクロアルキル、およびアリール、
あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
Tは存在しないかまたはO、SおよびNR16から選択され、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
Pは以下から選択される;OR、SR、NR、およびR、ここで、Rは以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
25は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
30は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;
15は以下からなる群から選択される;アルキル、C−C12アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルキル、置換されたC−C12アリールおよびハロゲン;
mは0−6;および、
Yは炭素原子数3〜16の環式または多環式、不飽和または飽和、非芳香族環であって、以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたアリール、アリールオキシ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)1011、−S(O)NR1011、−S(O)および保護された−OH、
ここで、nは0−2、
は水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
10およびR11は独立に、水素、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたC−C12アリール、アルキルまたは以下からなる群から選択される1または複数の置換基で置換されたアルキル:アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、オキソ、ヒドロキシ、−C(O)OR、−S(O)、−C(O)、−S(O)NR、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、アリール、置換されたアリールおよび保護された−OH、
あるいは、R10およびR11はそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
ここでRは上記の通りであり、
nは0−2;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル;
ただし、少なくともR、R、RおよびRの1つは置換されたアリール基または式(III)において表される複素環メチレン置換基または式(VII)において表される置換基。
【請求項2】
下記式(II)によって表される請求項1の化合物:
【化4】

[式中:
R、R、RおよびRはそれぞれ独立に以下から選択される;水素、C1−6アルキル、−(CHOR、−C(O)OR、ホルミル、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、−S(O)、シクロアルキル、−NR、保護された−OH、−CONR、ホスホン酸、スルホン酸、ホスフィン酸、−SONR、式(III)によって表される複素環メチレン置換基、
【化5】

および、式(VII)によって表される置換基
【化6】

ここで、
pは0−6、
nは0−2、
WおよびZはそれぞれ独立に以下から選択される:C、O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
VおよびXはそれぞれ独立に以下から選択される:O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される;水素、アルキル、置換されたアルキル、C3−6シクロアルキル、およびアリール、
あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
Tは存在しないかまたは以下から選択される:O、SおよびNR16、ここで、R16は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
Pは以下から選択される;OR、SR、NR、およびR、ここで、Rは以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、
25は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
30は以下から選択される:水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、C−C12アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、置換されたアルキル、置換されたC−C12アリールおよびハロゲン;
mは0−6;そして、
Yは5〜14の炭素原子を含む環式または多環式、不飽和または飽和、非芳香族環であって、以下からなる群から選択される1または複数の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたアリール、アリールオキシ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、アシルオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)OR、−C(O)1011、−S(O)NR1011、−S(O)および保護された−OH、
ここで、nは0−2、
は水素、アルキル、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキルおよび置換されたC−C12アリール、そして、
10およびR11は独立に、水素、シクロアルキル、C−C12アリール、置換されたシクロアルキル、置換されたC−C12アリール、アルキルまたは以下からなる群から選択される1または複数の置換基で置換されたアルキル:アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アミノ、N−アシルアミノ、オキソ、ヒドロキシ、−C(O)OR、−S(O)、−C(O)、−S(O)NR、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、アリール、置換されたアリールおよび保護された−OH、
あるいはR10およびR11はそれらが結合している窒素と共に1までの酸素及び窒素から選択されるその他のヘテロ原子を含む5−6員環飽和環を表す、
ここで、Rは上記の通りであり、
nは0−2;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル;
ただし、少なくともR、R、RおよびRの1つは置換されたアリール基または式(III)において表される複素環メチレン置換基または式(VII)において表される置換基。
【請求項3】
請求項2の式(II)によって表される化合物:
[式中:
Rは置換されたアリール;およびRは水素;
Rは水素;およびRは置換されたアリール;
Rは水素;およびRは式(III)において表される置換基;または、
Rは水素;およびRは式(VII)において表される置換基;
および上記場合のそれぞれにおいて:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、シクロアルキル、ホスホン酸、ホスフィン酸およびスルホン酸;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
mは0−4;および、
Yは以下から選択される;シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここで、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル。
【請求項4】
請求項2の式(II)によって表される化合物
[式中:
Rは置換されたC−C12アリール;およびRは水素;
Rは水素;およびRは式(III)において表される置換基;または、
Rは水素;およびRは式(VII)において表される置換基;
そして、上記場合のそれぞれにおいて:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、置換されたアルキルおよびシクロアルキル;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
mは0−2;および、
Yは以下から選択される:シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここで、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
そしてさらに、Rが水素;およびRが式(VII)において表される置換基である場合;
25およびR30はそれぞれ以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルキルおよびシクロアルキル;
そしてさらに、Rが水素;およびRが式(VII)において表される置換基の場合;およびRが水素;およびRが式(III)において表される置換基の場合;
は以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルキルおよびシクロアルキル;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル。
【請求項5】
請求項2の式(II)によって表される化合物
[式中:
Rは置換されたフェニル環およびRは水素;または、
Rは水素;およびRは式(III)において表される置換基;
および上記各場合において:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、置換されたアルキルおよびハロゲン;
15は以下からなる群から選択される:C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C−C12アリールおよびハロゲン;
mは0;および、
Yは以下から選択される:シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここで、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
そしてさらに、Rが水素;およびRが式(III)において表される置換基の場合;
は以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルキルおよびシクロアルキル;]
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル。
【請求項6】
以下から選択される請求項1の化合物:
3’−(1−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ)−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
3’−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
3’−[1−(3,4−ジメチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
3’−[1−(3,4−ジクロロ−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
5−[4−(1−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ)−3−ヒドロキシ−ベンジリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−{4−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−{4−[1−(3,4−ジメチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−{4−[1−(3,4−ジクロロ−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
(E)−3−{4−[1−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシフェニル}−2−メチルアクリル酸;
(E)−3−(4−{N’−3−エチルシクロペンチル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロフェニル−2−メチルアクリル酸;および、
(E)−3−[4−(N’−{1−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン}−ヒドラジノ)−3−ヒドロキシフェニル]−2−メチルアクリル酸;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル。
【請求項7】
3’−[N’−(1−シクロヘキシル−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン)−ヒドラジノ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物およびエステルである、請求項1の化合物。
【請求項8】
哺乳類に治療的に有効量の請求項1の式(I)の化合物を投与することを含む、それを必要とするヒトを含む哺乳類における、血小板減少症の治療方法。
【請求項9】
哺乳類がヒトである請求項8の方法。
【請求項10】
化合物が請求項6に挙げる化合物から選択される請求項9の方法。
【請求項11】
哺乳類に治療的に有効量の請求項1の化合物を投与することを含む、それを必要とするヒトを含む哺乳類における、血小板産生の促進方法。
【請求項12】
哺乳類がヒトである請求項11の方法。
【請求項13】
化合物が請求項6に挙げる化合物から選択される請求項11の方法。
【請求項14】
請求項1の化合物および医薬上許容されるキャリアを含む血小板産生の促進に使用するための医薬組成物。
【請求項15】
血小板減少症の治療用医薬の製造における請求項1の式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
化合物が経口的に投与される請求項8の方法。
【請求項17】
化合物が非経口的に投与される請求項8の方法。
【請求項18】
有効量の請求項1の式(I)の化合物を投与することを含む対象におけるTPO受容体にアゴナイズする方法。
【請求項19】
式(I)の化合物を医薬上許容されるキャリアまたは希釈剤と組み合わせる工程を含む医薬上許容されるキャリアまたは希釈剤および有効量の請求項1の式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステルを含有する医薬組成物の調製方法。
【請求項20】
式(XX)の化合物またはその保護された形態と式(XXI)の化合物または互変異性同等体(XXII)の反応による式(II)の化合物の調製方法:
【化7】

【化8】

[式中:
Rは置換されたアリール;およびRは水素;
Rは水素;およびRは置換されたアリール;
Rは水素;およびRは式(III)において表される置換基;または、
Rは水素;およびRは式(VII)において表される置換基;
そして上記場合のそれぞれにおいて:
およびRはそれぞれ独立に以下から選択される:水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アリール、置換されたアリール、置換されたアルキル、シクロアルキル、ホスホン酸、ホスフィン酸およびスルホン酸;
15は以下からなる群から選択される:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;
mは0−4;および、
Yは以下から選択される:シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチル、ここで、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘプチルは以下からなる群から選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよい:アルキル、置換されたアルキル、C−C12アリール、置換されたC−C12アリール、アルコキシおよびハロゲン;]
該方法において必要または所望の場合は次いで塩形成を行う。
【請求項21】
さらに治療的に有効量の以下からなる群から選択される薬剤を共投与する工程を含む請求項8の方法:コロニー刺激因子、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキンまたはサイトカイン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、可溶性受容体、受容体アゴニストまたはアンタゴニスト抗体、あるいは1または複数の前記薬剤と同じ機構で作用する低分子またはペプチド。
【請求項22】
薬剤が以下からなる群から選択される請求項21の方法:G−CSF、GM−CSF、TPO、M−CSF、EPO、Gro−ベータ、IL−11、SCF、FLT3リガンド、LIF、IL−3、IL−6、IL−1、プロゲニポイエチン、NESP、SD−01、IL−8、またはIL−5あるいは該薬剤のいずれかの生物学的に活性な誘導体。
【請求項23】
さらに治療的に有効量の以下からなる群から選択される薬剤を共投与することを含む請求項14の医薬組成物:コロニー刺激因子、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキンまたはサイトカイン受容体アゴニスト。
【請求項24】
薬剤が以下からなる群から選択される請求項23の組成物:G−CSF、GM−CSF、TPO、M−CSF、EPO、Gro−ベータ、IL−11、SCF、FLT3リガンド、LIF、IL−3、IL−6、IL−1、またはIL−5あるいは該薬剤のいずれかの生物学的に活性な誘導体。
【請求項25】
ドナーから得た血小板産生を促進する方法であって、かかるドナーに血小板交換療法、血液供与または血小板供与の前に治療的に有効量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項26】
ドナーから得た末梢血幹細胞数を増加させる方法であって、かかるドナーに白血球分離の前に治療的に有効量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項27】
さらに以下からなる群から選択される治療的に有効量の造血−細胞動員薬剤を共投与することを含む請求項26の方法:コロニー刺激因子、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキンまたはサイトカイン受容体アゴニスト、接着分子アンタゴニストまたは抗体。
【請求項28】
動員薬剤が以下からなる群から選択される請求項27の方法:G−CSF、GM−CSF、TPO、EPO、Gro−ベータ、IL−8、サイトキサン、VLA−4阻害剤、SCF、FLT3リガンドあるいはG−CSF、GM−CSF、TPO、EPO、Gro−ベータまたはIL−8の生物学的に活性な誘導体。
【請求項29】
有効量の請求項1の化合物をTPO受容体を発現する細胞の培地に添加する工程を含む巨核球成熟および/または血小板産生の刺激の促進のインビトロまたはエキソビボ方法。
【請求項30】
有効量の請求項1の化合物を、幹細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞または末梢血細胞の培地に添加する工程を含む巨核球成熟および/または血小板産生の刺激の促進のインビトロまたはエキソビボ方法。
【請求項31】
巨核球または血小板が化学療法または放射線療法の後、哺乳類に戻される請求項30の方法。
【請求項32】
培養中の幹細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞、末梢血細胞またはその他のタイプのTPO受容体を発現する細胞の生存および/または増殖を促進するインビトロまたはエキソビボ方法であって、該細胞を有効量の請求項1の化合物を含有する培地で培養することを含む方法。
【請求項33】
さらに治療的に有効量のコロニー刺激因子、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキンまたはサイトカイン受容体アゴニストを共−投与することを含む請求項32の方法。
【請求項34】
幹細胞が化学療法または放射線療法の後に哺乳類に戻される請求項32の方法。
【請求項35】
治療的に有効量の請求項1の式(I)の化合物を哺乳類に投与することを含む、必要とするヒトを含む哺乳類における好中球減少の治療方法。
【請求項36】
有効量の請求項1の化合物を幹細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞、末梢血細胞またはその他のタイプのTPO受容体を発現する細胞の培地に添加することを含む、好中球産生の刺激を促進するインビトロまたはエキソビボ方法。
【請求項37】
好中球が化学療法または放射線療法の後に哺乳類に戻される請求項36の方法。
【請求項38】
血小板減少症が化学療法または放射線療法によって起こる骨髄抑制に起因する請求項8の方法。
【請求項39】
血小板減少症が臓器移植に起因する請求項8の方法。
【請求項40】
血小板減少症が骨髄、幹細胞または肝臓移植に起因する請求項8の方法。
【請求項41】
血小板減少症が特発性血小板減少症紫斑(ITP)に起因する請求項8の方法。
【請求項42】
血小板減少症が骨髄異形性症候群(MDS)、再生不良性貧血または白血病に起因する請求項8の方法。
【請求項43】
血小板減少症がウイルス、真菌、微生物または寄生虫の感染に起因する請求項8の方法。
【請求項44】
血小板減少症が肝臓機能障害に起因する請求項8の方法。
【請求項45】
血小板減少症が外科手術に起因する請求項8の方法。
【請求項46】
血小板減少症が抗ウイルス剤または抗生物質による治療に起因する請求項8の方法。
【請求項47】
請求項1の化合物の免疫学的アジュバントとしての使用。
【請求項48】
免疫学的アジュバントがワクチンおよび/または免疫調節物質と共に投与される請求項42の使用。
【請求項49】
以下から選択される請求項6の化合物:
3’−[N’−(1−シクロヘキシル−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−ピラゾール−4−イリデン)−ヒドラジノ]−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物およびエステル。
【請求項50】
以下から選択される請求項1の化合物の調製に使用する中間体:
2−シクロヘキシル−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン;
2−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン;
5−(3−ヒドロキシ−4−ニトロ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン;
5−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン;
(E)−3−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステルハイドロクロライド;
2−(3−エチルシクロペンチル)−5−メチル−2,4−ジヒドロキシプラゾール−3−オン;
2−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−5−メチル−2,4−ジヒドロキシピラゾール−3−オン;
(E)−3−(3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)−2−メチルアクリル酸エチルエステル;
(E)−3−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステルハイドロクロライド;
3−エチルシクロペンチルヒドラジントリフルオロアセテート;および、
3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチルヒドラジントリフルオロアセテート。
【請求項51】
以下から選択される請求項1の化合物:
3’−(1−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ)−2’−ヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸;
5−{4−[1−(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシ−ベンジリデン}−チアゾリジン−2,4−ジオン;
(E)−3−{4−[1−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イルアゾ]−3−ヒドロキシフェニル}−2−メチルアクリル酸;
(E)−3−(4−{N’−3−エチルシクロペンチル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]−ヒドラジノ}−3−ヒドロフェニル−2−メチルアクリル酸;および、
(E)−3−[4−(N’−{1−[3−(1,1−ジメチルプロピル)−シクロペンチル]−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン}−ヒドラジノ)−3−ヒドロキシフェニル]−2−メチルアクリル酸;
およびその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和化合物ならびにエステル。

【公表番号】特表2006−501164(P2006−501164A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−510805(P2004−510805)
【出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/017837
【国際公開番号】WO2003/103686
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】