説明

ドアウェザーストリップの取付構造

【課題】簡易かつ軽量なサッシュカバー一体型のドアウェザーストリップの取付構造を提供する。
【解決手段】自動車用ドアDのドアサッシュS外周縁部に沿って取付けられる取付基部21と、取付基部21の車内側と車外側に一体成形されドア閉時にボディパネルBに弾接して車内外をシールするメインシール部22とサブシール部23を備え、ドアサッシュ外周縁部には、平担のベース部S1と、ベース部の車外側端部に略垂直方向に立設された外表部S2とからなる断面略T字状部が形成され、取付基部21は、ドアサッシュSのベース部S1上とそこから外表部S2のボディパネルB側の一端部S3に至る側に沿って、リテーナ及び嵌合部を介することなく、取付けられるとともに、取付基部21に、外表部S2の一端部S3から外表部S2の車外側を覆い外表部S2の他端部S4を巻き込んで取付けられるサッシュカバー25が延設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアサッシュ外周に取付けられるドアウェザーストリップの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3及び図4に示すように、自動車のドアDのドアサッシュSには、その外周縁部に沿ってドアウェザーストリップ10が取付けられ、ドアDの閉時には、ボディパネルBに弾接するようになっている。
ドアウェザーストリップ10は、ドアサッシュSに取付けられる取付基部11と、その取付基部11の車内側に一体成形されドアDの閉時にボディパネルBに弾接して車内外をシールする中空のメインシール部12と、取付基部11の車外側に一体成形されドアDの閉時にメインシール部12とともにボディパネルBに弾接して車内外をシールするサブシール部13を備えている。
【0003】
そして、図4に示す断面において左右に突出した取付基部11の部位は、ドアサッシュSに形成された嵌合部K1,K2に嵌め込まれることによって取付けられている。
なお、嵌合部K1は、ドアサッシュSを構成するパネルの先端をボディパネルB側に折り曲げることによって形成され、嵌合部K2は、同じくドアサッシュSを構成するパネルを車内側に向けて突出湾曲させた部分の付け根部の凹部に形成されているが、これにかえて、ドアサッシュS上にリテーナ(図示しない)を設けて断面左右部を嵌合部とすることもできる。
【0004】
また、図4に示すように、ドアサッシュSの外表面のさらに外側にサッシュカバー15を装着して装飾性を高めるものも知られている。
このようなサッシュカバーを設けたドアウェザーストリップは、例えば、特許文献1の第4図に開示されている。
【0005】
しかし、ドアウェザーストリップ10とは別体のサッシュカバー15を設けたものは、図4に示すように、サッシュカバー15の外観幅Lが、嵌合部K2を形成する凹凸を必要とするため20mm以上と拡大して、見栄えが悪いといった問題があった。
【0006】
そこで、そのサッシュカバーをドアウェザーストリップと一体成形してサッシュカバーの外観幅を抑えたものが、特許文献1の第1図,第2図や、特許文献2の図1〜図3に開示されている。
【特許文献1】実開平1−141156号公報
【特許文献2】特開平6−135288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サッシュカバーをドアウェザーストリップと一体成形した、特許文献1の第1図,第2図や、特許文献2の図1〜図3で示されるドアウェザーストリップは、取付基部がドアサッシュに形成された嵌合部に嵌め込まれているため問題があった。
すなわち、ドアサッシュの嵌合部は、金属製のパネルを湾曲させて形成するため、その分、重量が増加するとともに、ドアサッシュの断面構造が複雑であった。
また、サッシュカバーには金属製の芯材が埋設されているので、さらに重量が増加していた。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、簡易かつ軽量なサッシュカバー一体型のドアウェザーストリップの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、自動車用ドア(D)のドアサッシュ(S)外周縁部に沿って取付けられる取付基部(21)と、前記取付基部(21)の車内側に一体成形されドア(D)閉時にボディパネル(B)に弾接して車内外をシールする中空のメインシール部(22)と、前記取付基部(21)の車外側に一体成形されドア(D)閉時に前記メインシール部(21)とともにボディパネル(B)に弾接して車内外をシールするサブシール部(23)とを備えるドアウェザーストリップ(20)の取付構造であって、
前記ドアサッシュ(S)外周縁部には、平担のベース部(S1)と、そのベース部(S1)の車外側端部にベース部(S1)の延びる方向に対して略垂直方向に立設された外表部(S2)とからなる断面略T字状部が形成され、前記取付基部(21)は、前記ドアサッシュ(S)の前記ベース部(S1)上とそこから前記外表部(S2)の前記ボディパネル(B)側の一端部(S3)に至る側に沿って、リテーナ及び嵌合部を介することなく、取付けられるとともに、前記取付基部(21)に、前記外表部(S2)の一端部(S3)から外表部(S2)の車外側を覆い外表部(S2)の他端部(S4)を巻き込んで取付けられるサッシュカバー(25)が延設されたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記サッシュカバー(25)の車外側には装飾が施されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記サッシュカバー(25)は、前記取付基部(21)の剛性よりも大きい剛性をした樹脂製,ゴム製及び熱可塑性エラストマーのうちいずれか一つの材質で、しかも前記サッシュカバー(25)の前記取付基部(21)側は、取付基部(21)に埋設され、取付基部(21)の芯材を構成していることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記取付基部(21)は、前記ドアサッシュ(S)のベース部(S1)に両面テープを介して取付けられていることを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ドアサッシュ外周縁部には平担のベース部と外表部が形成され、取付基部は、ベース部上とそこから外表部のボディパネル側の一端部に至る側に沿って、リテーナ及び嵌合部を介することなく取付けられるので、特に重量が増加することはなく、ドアサッシュの断面構造も簡易であるので製造が容易である。
また、取付基部には、外表部の一端部から外表部の車外側を覆い外表部の他端部を巻き込んで取付けられるサッシュカバーが延設されているので、従来例で示したような、外観幅の大きい別体のサッシュカバーは不要になる。また、ドアサッシュにドアウェザーストリップを取付ける際には、サッシュカバーを外表部に取付けるだけでよいので、取付作業が簡易である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、サッシュカバーの車外側には装飾が施されているので、サッシュカバーは装飾部の機能と、ドアウェザーストリップをドアサッシュに取付けるホルダーの機能の両方を有し、構造の簡素化が図れる。
【0016】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、サッシュカバーは、取付基部の剛性よりも大きい剛性をした樹脂製,ゴム製及び熱可塑性エラストマーのうちいずれか一つの材質で、しかもサッシュカバーの取付基部側は、取付基部に埋設され、取付基部の芯材を構成するので、強度が強く、しかも金属製の芯材が埋設されていないので、重量が増加することが防止される。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、取付基部は、ドアサッシュのベース部に両面テープを介して取付けられているので、取付作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第一実施形態)
図1及び図3を参照して、本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップ20の取付構造について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップの取付構造を示す図3のA−A線拡大断面図である。
【0019】
本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップ20の取付構造は、図3に示すように、自動車のドアDのドアサッシュSの外周縁部に沿って取付けられるものであり、ドアウェザーストリップ20とそれが取付けられるドアサッシュSに特徴を有する。
ドアウェザーストリップ20は、取付基部21と、メインシール部22と、サブシール部23とを備え、取付基部21からは、サッシュカバー25が延設されている。
【0020】
ドアサッシュSには、その外周縁部に、平担のベース部S1と、そのベース部S1の車外側端部に立設された外表部S2が形成されている。
外表部S2は、ベース部S1の延びる方向に対して略垂直方向に立設され、断面略T字状部が形成されている。ベース部S1の車外側端部は、外表部S2の略中央に位置している。外表部S2は、板状(断面直線状)であり、ボディパネルB側の一端部S3側と、ボディパネルB側とは逆側の他端部S4側にそれぞれフランジが形成されている。また、外表部S2の車内側には、取付基部21を嵌合するための係止部や湾曲した凹凸部を利用した嵌合部は一切形成されていない。
なお、ベース部S1も平担であるので、ベース部S1の上部、すなわち、ボディパネルB側には、取付基部21を嵌合するための係止部や湾曲した凹凸部を利用した嵌合部は一切形成されていない。
【0021】
ドアウェザーストリップ20の取付基部21は、ドアサッシュSのベース部S1上とそこから外表部S2のボディパネルB側の一端部S3に至る側に沿って、リテーナ及び嵌合部を介することなく取付けられる。取付基部21の、ベース部S1に対向する当接面及び、外表部S2の車内側に対向する当接面は、ベース部S1及び外表部S2とともに平担である。
【0022】
ドアウェザーストリップ20のメインシール部22は、取付基部21の車内側に一体成形された中空状のものであり、ドアDの閉時に対向するボディパネルBに弾接して車内外をシールする。また、ドアウェザーストリップ20のサブシール部23は、取付基部21の車外側に一体成形された断面舌状のものであり、ドアDの閉時にメインシール部22とともに対向するボディパネルBに弾接して車内外をシールする。
【0023】
取付基部21から延設されたサッシュカバー25は、外表部S2の一端部S3から外表部S2の車外側を覆い外表部S2の他端部S4を巻き込んでいて、これにより、ドアウェザーストリップ20の取付けと位置決めが行われている。
また、サッシュカバー25の車外側には装飾が施されている。この装飾としては、色や模様を付するものや、つや有無によって周りとの差を際立たせるものや、加飾テープを配したものなど種々の態様がある。
【0024】
なお、サッシュカバー25の取付基部21から露出した部分25aは、外表部S2の車外側を覆うように断面略コ字状であり、サッシュカバー25の取付基部21に埋設された部分25bは、ベース部S1とそれから外表部S2の一端部S3側に沿った断面略L字状であり、取付基部21の内部において取付基部21の芯材を構成している。
また、取付基部21は、ドアサッシュSのベース部S1に対して両面テープ(図示しない)を介して取付けられている。
【0025】
サッシュカバー25の剛性は、取付基部21の剛性よりも大きく、外表部S2を車内側と車外側から挟み込むようにして、サッシュカバー25はドアサッシュSに取付けられている。なお、サッシュカバー25の取付基部21に埋設された部分25bの外表部S2側には突部25cが形成され、外表部S2の挟み込み時に応力の集中を図っている。
サッシュカバー25の材質としては、樹脂製,ゴム製,あるいは熱可塑性エラストマーがあげられるが、いずれの場合であってもサッシュカバー25の剛性は、取付基部21の剛性よりも大きい剛性が使用される。
【0026】
このように構成されたドアウェザーストリップ20の取付構造によれば、ドアサッシュSのベース部S1及び外表部S2の車内側は平担で、取付基部21を嵌合するための係止部や湾曲した凹凸部を利用した嵌合部は一切形成されていないので、特に重量が増加することはなく、ドアサッシュSの断面構造も簡易であると共にサッシュカバー25の外観幅lを従来例で示した(図4)サッシュカバー15の外観幅Lと比較して短くすることが可能であるので製造が容易である。
また、ドアウェザーストリップ20の取付基部21には、取付基部21の剛性よりも大きい剛性をしたサッシュカバー25の車内側の部分25bが埋設されているので、強度が強く、しかも金属製の芯材が埋設されていないので、重量が増加することが防止される。
【0027】
さらに、サッシュカバー25の露出部25aには装飾が施され、装飾部の機能と、ドアウェザーストリップ20をドアサッシュSに取付けるホルダーの機能を果たすので、特に外観幅の大きい別体のサッシュモールを装着する必要はない。
また、ドアサッシュSにドアウェザーストリップ20を取付ける際には、サッシュカバー25の露出部25aを外表部S2に取付けるだけでよいので、取付作業が簡易である。
また、取付基部21にサッシュカバー25の埋設部25bが設けられることによって、メインシール部22及びサブシール部23のシール性が強化される。
【0028】
(第二実施形態)
図2及び図3を参照して、本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップ20の取付構造について説明する。図2は、本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップの取付構造を示す図3のA−A線拡大断面図である。
【0029】
本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップ20の取付構造では、取付基部21からサッシュカバー25を延設し、サッシュカバー25の車内側の部分25bを取付基部21に埋設するようにしたが、本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップ20の取付構造では、取付基部21とサッシュカバー25を一体化し、同じ材質で成形したものである。その他の部分は、第一実施形態と同様である。
【0030】
これによれば、製造が極めて容易であり、コストを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップの取付構造を示す、図3のA−A線拡大断面図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップの取付構造を示す、図3のA−A線拡大断面図である。
【図3】自動車を示す側面外観図である。
【図4】従来例に係るドアウェザーストリップの取付構造を示す、図3のA−A線拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 ドアウェザーストリップ
11 取付基部
12 メインシール部
13 サブシール部
15 サッシュカバー
20 ドアウェザーストリップ
21 取付基部
22 メインシール部
23 サブシール部
25 サッシュカバー
25a サッシュカバーの露出した部分
25b サッシュカバーの埋設された部分
25c 突部
B ボディパネル
D ドア
K1 嵌合部
K2 嵌合部
L 外観幅
l 外観幅
S ドアサッシュ
S1 ベース部
S2 外表部
S3 一端部
S4 他端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアのドアサッシュ外周縁部に沿って取付けられる取付基部と、前記取付基部の車内側に一体成形されドア閉時にボディパネルに弾接して車内外をシールする中空のメインシール部と、前記取付基部の車外側に一体成形されドア閉時に前記メインシール部とともにボディパネルに弾接して車内外をシールするサブシール部とを備えるドアウェザーストリップの取付構造であって、
前記ドアサッシュ外周縁部には、平担のベース部と、そのベース部の車外側端部にベース部の延びる方向に対して略垂直方向に立設された外表部とからなる断面略T字状部が形成され、
前記取付基部は、前記ドアサッシュの前記ベース部上とそこから前記外表部の前記ボディパネル側の一端部に至る側に沿って、リテーナ及び嵌合部を介することなく、取付けられるとともに、前記取付基部に、前記外表部の一端部から外表部の車外側を覆い外表部の他端部を巻き込んで取付けられるサッシュカバーが延設されたことを特徴とするドアウェザーストリップの取付構造。
【請求項2】
前記サッシュカバーの車外側には装飾が施されていることを特徴とする請求項1に記載のドアウェザーストリップの取付構造。
【請求項3】
前記サッシュカバーは、前記取付基部の剛性よりも大きい剛性をした樹脂製,ゴム製及び熱可塑性エラストマーのうちいずれか一つの材質で、しかも前記サッシュカバーの前記取付基部側は、取付基部に埋設され、取付基部の芯材を構成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のドアウェザーストリップの取付構造。
【請求項4】
前記取付基部は、前記ドアサッシュのベース部に両面テープを介して取付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−166565(P2009−166565A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4847(P2008−4847)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】