説明

ドアスイッチ装置及びそれを用いたドア装置

【課題】ドアの開閉操作における誤操作が抑制できる静電容量センサを備えたドアスイッチ装置、及び、それを用いたドア装置を提供する。
【解決手段】ドア3のドアノブ100に設けられ、ドアノブ100のノブ表面101aへの接触(タッチ)により静電容量が変化する第1の静電容量センサとしての送信電極201と、ドアノブ100に設けられ、ドアノブ100の把持に伴う変形により静電容量が変化する第2の静電容量センサとしての送信電極201・受信電極202、を有してドアスイッチ装置10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアスイッチ装置及びそれを用いたドア装置に関し、特に、静電容量センサを備えたドアスイッチ及びそれを用いたドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の外の検知エリアに入っている携帯機との間でユーザ認証用の相互通信を行ない、車両のドアのロック(施錠)及びアンロック(解錠)を制御する車両ドア装置がある。この車両ドア装置は、車両の外から触ることのできる部位に、それぞれタッチ式のアンロックセンサ及びロックセンサである静電容量センサとを備える。このアンロックセンサ及びロックセンサは、使用者の使い勝手を考慮して車両ドアのドアハンドル付近に設けられている。
【0003】
車両ドアを開扉する場合、車両ドアをアンロックした後にドアハンドルを握って車両ドアを開けるのでこれを考慮して、アンロックセンサは車両ドア(運転席ドア)の外側にあるドアハンドルの車両ドアとの対向面(ドアハンドルの内側)に設けられている。一方、ロックセンサは、アンロックセンサの配置場所以外で使用者が操作し易い場所に配置するのが好ましいので、車両ドア(運転席ドア)の外側にあるドアハンドルの前方側(車両の前進方向側)の上面及び下面に設けられている、さらに、ロックセンサが触られた場合に、誤接触か否かを判定し、誤接触である場合はドアのロックを中止することによって、ユーザの意図に反したロック動作を抑制する制御部を有する構成とされている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この車両用ドア装置によれば、ユーザの意図に反したロック動作を抑制することができる車両用ドア装置を提供することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−174119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の車両用ドア装置は、静電容量センサであるアンロックセンサ及びロックセンサの配置位置を工夫すると共に、誤接触による誤操作を抑制するための誤接触判定手段を備えた制御部を必要としていた。このように、従来は、静電容量式のアンロックセンサ及びロックセンサを用いた車両用ドア装置では誤接触による誤操作が問題となり、また、誤接触判定手段を備えた制御部によるコスト高も問題であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、ドアの開閉操作における誤操作が抑制できる静電容量センサを備えたドアスイッチ装置、及び、それを用いたドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、ドアのドアノブに設けられ、前記ドアノブへの接触により静電容量が変化する第1の静電容量センサと、前記ドアノブに設けられ、前記ドアノブの把持に伴う変形により静電容量が変化する第2の静電容量センサと、を有することを特徴とするドアスイッチ装置を提供する。
【0009】
[2]前記第1の静電容量センサは、第1の電極と第1の検出回路により構成され、前記第2の静電容量センサは、前記第1の電極及び第2の電極と第2の検出回路により構成され、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔が前記ドアノブの把持に伴って変化することを特徴とする請求項1に記載のドアスイッチ装置であってもよい。
【0010】
[3]本発明は、上記目的を達成するため、上記[1]又は[2]のドアスイッチ装置を備え、前記第1の静電容量センサ及び前記第2の静電容量センサのそれぞれの出力値に基づいて、前記ドアのロック、アンロックの開閉制御を行なうことを特徴とするドア装置であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一形態によれば、ドアの開閉操作における誤操作が抑制できる静電容量センサを備えたドアスイッチ装置、及び、それを用いたドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10のドアノブ100の断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10が車両1に適用された全体斜視図であり、図2(b)は、ドアスイッチ装置10が車両1に適用されたドアノブ付近の拡大図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10の送信電極201、受信電極202および検出回路300による全体回路構成図である。
【図4】図4(a)は、ユーザの手指400がドアノブ100のノブ表面101aに接触(タッチ)した場合を示す一部断面図、図4(b)は、ユーザの手指400によりドアノブ100が把持(グリップ)された場合を示す一部断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10へのタッチおよびグリップ動作による検出信号と判定条件を示す図表である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10を適用したドア装置を備えた車両1の電子キーシステム(スマートエントリーシステム)の、主にドア開閉関係のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10の構成)
本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10は、ドア3のドアノブ100に設けられ、ドアノブ100のノブ表面101aへの接触(タッチ)により静電容量が変化する第1の静電容量センサとしての送信電極201と、ドアノブ100に設けられ、ドアノブ100の把持に伴う変形により静電容量が変化する第2の静電容量センサとしての送信電極201・受信電極202、を有して構成されている。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10のドアノブ100の断面図である。また、図2(a)は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10が車両1に適用された全体斜視図であり、図2(b)は、ドアスイッチ装置10が車両1に適用されたドアノブ付近の拡大図である。上記示したドアスイッチ装置10の構成は、車両1に適用された場合を想定して説明するが、ドアスイッチ装置10はこれに限られずにドア全般に適用可能である。
【0015】
図1に示すように、ドアノブ100は、その断面が、ノブ樹脂部101、ノブ裏面部102、及び、ノブ樹脂部101とノブ裏面部102とを繋ぐ湾曲したノブ湾曲部103とから外形が構成される。このドアノブ100の内部には、送信電極201、受信電極202、検出回路基板203、及び、送信電極201と受信電極202を接続する接続コネクタ110等が収容されている。
【0016】
ノブ樹脂部101は、例えば、ABS等の樹脂で形成されている。ノブ樹脂部101の一方の面であるノブ表面101aは、ドアノブ100を操作するユーザが手指で接触(タッチ)する部分であり、車両1に適用される場合には、このノブ表面101aが車両の外側面となる。また、このノブ表面101aは、ユーザがドアノブ100を把持(グリップ)する場合にも接触される。ノブ樹脂部101の他方の面には後述する送信電極201が装着される。ノブ表面101aと送信電極201で挟まれたノブ樹脂部101の厚さは、例えば、1〜3mm程度である。
【0017】
ノブ裏面部102は、ドアノブ100の内部側に基板支持部104が形成され、検出回路基板203を支持する。
【0018】
ノブ湾曲部103は、ノブ樹脂部101とノブ裏面部102とを湾曲して繋ぐ部分である。上記のノブ樹脂部101、ノブ裏面部102、ノブ湾曲部103は、別体として形成されたものが一体化されてドアノブ100の外形を構成してもよいが、図1では、ノブ樹脂部101、ノブ裏面部102、および、ノブ湾曲部103は、樹脂により一体として形成されたものとして図示した。
【0019】
上記示したノブ樹脂部101、ノブ裏面部102、および、ノブ湾曲部103により形成されるドアノブ100の外形は、ユーザが把持することにより変形するように形成されている。上記各部の肉厚が把持により変形する程度に設定されている。特に、ノブ湾曲部103は、ユーザの把持により、後述する送信電極201と受信電極202間のギャップD(間隔)が平行に変化するように変形する形状とされている。
【0020】
送信電極201は、例えば、ポリイミドシート等によるフレキシブル基板の表面に銅箔パターンとして電極形成されている。この銅箔パターンは静電容量センサとして使用するので、例えば、ランド状のベタパターンである。送信電極201は、上記したように、ノブ樹脂部101の他方の面に装着される。この送信電極201は、フレキシブル基板の一端から接続コネクタ110を介して受信電極202および検出回路300に接続されている。
【0021】
ここで、送信電極201は、第1の静電容量センサとして機能する。すなわち、ユーザが手指でノブ表面101aに接触(タッチ)すると、送信電極201とユーザの手指がコンデンサを形成する。このコンデンサの静電容量Ctは、手指接触面積St、樹脂の比誘電率ε、真空の比誘電率ε、手指と送信電極201間の距離dとすると、静電容量Ctは、Ct=εε×St/dである。従って、ユーザの手指がノブ表面101aに接触すると、距離dと手指接触面積Stが有限値をとり静電容量Ctはある値となるが、接触がない場合は、静電容量Ctは大となって近似的にオープン状態となる。
【0022】
受信電極202は、検出回路基板203の表面に、例えば、銅箔パターンとして電極形成されている。この銅箔パターンは静電容量センサとして使用するので、例えば、ランド状のベタパターンである。受信電極202は、検出回路基板203が基板支持部104により支持され、これにより送信電極201と所定のギャップD(間隔)で平行に支持されている。ギャップDは、例えば、1mm程度に設定される。
【0023】
ここで、送信電極201は、送信電極201・受信電極202の組み合わせにより、第2の静電容量センサとして機能する。すなわち、ユーザが手指でドアノブ100を把持(グリップ)すると、樹脂で形成されたドアノブは変形する。この変形は本実施の形態では主にノブ湾曲部103で発生し、これにより送信電極201と受信電極202間のギャップD(間隔)は変化する。送信電極201と受信電極202はコンデンサを形成する。このコンデンサの静電容量Cgは、両電極の対向面積Sg、空気の比誘電率ε、真空の比誘電率ε、ギャップDから、静電容量Cgは、Cg=εε×Sg/Dである。従って、ユーザが手指でドアノブ100を把持(グリップ)すると、ギャップDが変化して静電容量Cgが変化するので第2の静電容量センサとして機能する。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10の送信電極201、受信電極202および検出回路300による全体回路構成図である。
【0025】
送信電極201は、上記したように、接続コネクタ110を介して受信電極202に接続されている。その他端側は、出力抵抗R0を介して発振回路310に接続され、また、増幅器A320に接続されている。尚、発振回路310は、高周波信号(例えば、100kHz)発生器である。
【0026】
送信電極201は、ユーザが手指400で接触したときに手指400との間でコンデンサを形成する。すなわち、前記したように静電容量εε×St/dの可変容量コンデンサCtと等価である。この可変容量コンデンサCtは、ユーザが手指でノブ表面101aに接触するかどうかにより静電容量が変化する。尚、手指400はユーザと車両または大地間の容量Cbを介してグランドGNDに接続される。
【0027】
また、受信電極202は、送信電極201に接続されると共に、その他端側は、増幅器B330に接続されている。
【0028】
送信電極201と受信電極202はコンデンサを形成する。すなわち、前記したように静電容量εε×Sg/Dの可変容量コンデンサCgと等価である。この可変容量コンデンサCgは、ユーザが手指400でドアノブ100を把持(グリップ)すると、樹脂で形成されたドアノブが変形し、これによるギャップDの変化に伴い静電容量が変化する。
【0029】
増幅器A320は、AM検波回路A340に接続され、このAM検波回路A340は、判定処理回路360に接続されている。同様に、増幅器B330は、AM検波回路B350に接続され、このAM検波回路B350は、判定処理回路360に接続されている。
【0030】
(検出回路300の動作)
図4(a)に示すように、ユーザの手指400がドアノブ100のノブ表面101aに接触(タッチ)すると、可変容量コンデンサCtの静電容量が増加する。発振回路310からの高周波信号が可変容量コンデンサCtに流れ込むので、送信電極201に発生する交流信号振幅Saが減少してAM検波後の出力信号Vaが減少する。判定処理回路360で、所定の値に設定された閾値Daと比較し、Va<Daとなった場合にタッチ判定とする。
【0031】
また、図4(b)に示すように、ユーザの手指400によりドアノブ100が把持(グリップ)されると、樹脂で形成されたドアノブは変形して可変容量コンデンサCgの静電容量が増加する。Cgの増加に伴い高周波信号が可変容量コンデンサCgに流れ込むのでVaはさらに減少し、AM検波後の出力信号VbとVaとの比、Vb/Vaは増加する。判定処理回路360で、所定の値に設定された閾値Dgと比較し、Vb/Va>Dgとなった場合にグリップ判定とする。
【0032】
図5は、上記検出回路300の動作で示したタッチ判定、グリップ判定をドアスイッチ装置10へのタッチおよびグリップ動作による検出信号と判定条件の関係を示す図表として表したものである。この判定図表により、判定処理回路360の判定結果に基づき、ドアスイッチ装置10へのタッチ動作およびグリップ動作が正確に判定可能となる。
【0033】
(電子キーシステムへの適用)
図6は、本発明の実施の形態に係るドアスイッチ装置10を適用したドア装置を備えた車両1の電子キーシステム(スマートエントリーシステム)の、主にドア開閉関係のブロック図である。車両1には、メカニカルキーの操作によらずドア3の施錠・解錠が行え、更に、エンジンの始動・停止等の車両制御が行えるようにした電子キーシステム50が搭載されている。
【0034】
この電子キーシステム50は、スマートエントリーシステムとも呼ばれるもので、図6に示すように、車両1に搭載された車両側装置600と、ユーザが所持する携帯機500とからなる。
【0035】
(携帯機の構成)
携帯機500は、図6に示すように、車両1との間で無線通信を行うための制御を実行する通信制御部501と、車両1から発信されたLF帯の信号を受信するLF受信部502と、通信制御部501から得た通信データを変調してRF帯の電波で送信するRF発信部503とを備えて構成されている。
【0036】
通信制御部501は、例えば、CPU、ROM等を備えて構成されると共に、携帯機500のIDコード511を記憶しているメモリ510を備えている。
【0037】
LF受信部502は、LF帯の電波を受信するLF受信アンテナ521と、LF受信アンテナ521で受信したLF帯の信号を復調すると共に復調した信号を受信データとして通信制御部501へ出力するLF受信回路522とを備えている。
【0038】
RF発信部503は、通信制御部501からの通信データを変調し、携帯機500のIDコード511を乗せたRF帯のID信号Sidを生成するRF発信回路531と、RF発信回路531からの電波を放射するRFアンテナ532とを備えている。
【0039】
(車両側装置の構成)
車両側装置600は、図6に示すように、エンジンスイッチ601と、車載電装品の電源管理を行う電源ECU602と、携帯機500との間で通信を行うと共にID照合を行う照合ECU603と、ドア3の施錠・解錠の制御を行うドアECU604と、エンジン2の点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU605と、セレクトレバーの操作を基に自動変速機(図示せず)を制御するシフトECU606と、ECU602〜606の相互間を接続する車内LAN607と、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF帯の信号を発信可能な車外LF発信機608と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の信号を発信可能な車内LF発信機609と、車内バックミラー等に埋設されてRF帯の信号を受信可能なRF受信機610と、ドアECU604の制御によりドア3を施錠・解錠する駆動源となるドアモータ611と、ドア3を開ける指示を出すカーテシスイッチ612と、車両速度を検出する車速センサ613と、ブレーキ操作を検出するブレーキセンサ614と、ACCリレー615と、IGリレー616と、スタータリレー617とを備えて構成されている。
【0040】
照合ECU603は、車両1のIDコード603aを記憶しているメモリ620を備え、メモリ620に登録されたIDコード603aと携帯機500のIDコード511を照合する機能を備えている。更に、照合ECU603には、ドアスイッチ装置10の判定処理回路360からの出力信号が入力される。ユーザは、ドア3を解錠する場合には、手指でノブ表面101aに接触(タッチ)することによりアンロック操作(ドアの解錠操作)を行い、ドア3を施錠する場合には、手指でドアノブ100を把持(グリップ)することによりロック操作(ドアの施錠操作)を行なう。すなわち、ドアスイッチ装置10は、判定処理回路360からの出力信号に基づいて、ドア3のロック、アンロックの開閉制御を行なう。
【0041】
ドアECU604は、照合ECU603からの指令を基にドアモータ611を駆動及び制御して、ドア3を施錠状態又は解錠状態にする回路を備えている。
【0042】
車外LF発信機608は、リクエスト信号Srqを周囲に発信可能に構成されており、車外LF発信機608によって車両1の周囲にリクエスト信号Srqの通信エリア(車外通信エリア)が形成され、車内LF発信機609によって車両1内の全域にリクエスト信号Srqの通信エリア(車内通信エリア)が形成される。
【0043】
(電子キーシステム50の動作)
車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック状態)にあるとき、照合ECU603は、車外LF発信機608からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両1の周辺に車外通信エリアを形成する。携帯機500がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号SrqをLF受信部502で受信すると、携帯機500は、リクエスト信号Srqに応答する形で、メモリ510に登録されているIDコード511を含むID信号SidをRF発信部503からRF帯の信号で返信する。
【0044】
照合ECU603は、RF受信機610でID信号Sidを受信すると、メモリ620に登録されたIDコード603aと携帯機500のIDコード511とを照合(車外照合)する。車外照合が成立すると、照合ECU603は、判定処理回路360からの出力信号を基に、図5で示した判定条件に基づいて、タッチ操作を判定する。すなわち、VaがDa以下(Va≦Da)で、Vb/VaがDg未満(Vb/Va<Dg)のときはタッチ操作がされたと判断し、ドアモータ611を解錠方向に回転させて、施錠状態にあったドア3を解錠する。
【0045】
一方、車両1が停止状態(エンジン停止及びドア解錠状態)にあるとき、照合ECU603は、判定処理回路360からの出力信号、すなわち、Vb/VaがDg以上(Vb/Va≧Dg)のときはグリップ操作がされたと判断し、これに基づく判定信号を検出すると、車外LF発信機608からリクエスト信号Srqを発信させる。携帯機500は、リクエスト信号Srqを受信すると、ID信号Sidを発信する。車両側装置600は、ID信号SidをRF受信機610で受信し、ID信号Sid中のIDコード511に基づいて照合ECU603により車外照合を行う。照合ECU603は車外照合の成立を認識すると、照合ECU603は、ドアECU604を介してドアモータ611を施錠方向に回転させて、解錠状態にあったドア3を施錠する。
【0046】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、次のような効果を有する。
(1)ドアノブ100の把持(グリップ)によるドアノブの変形を利用して、静電容量変化に基づく静電容量センサを構成している。これにより、ユーザの意思による操作が正確に判定可能となる。
(2)ドアノブ100のノブ表面101aへの接触(タッチ)を利用して、静電容量変化に基づく静電容量センサを構成し、これと上記の静電容量センサを組み合せて、高機能なドアスイッチ装置が実現できる。これにより、ドアの開閉操作における誤操作が抑制できるロックセンサ及びアンロックセンサを備えたドアスイッチ装置、及び、それを用いたドア装置が可能となる。
(3)ロック操作、アンロック操作がドアノブ100の把持(グリップ)、接触(タッチ)に対応して判断されるので、ドアスイッチ装置10の誤操作を抑制でき、特に、電子キーシステムへの適用に効果的である。
【0047】
尚、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、電子キーシステムへの適用において、ドアノブ100のノブ表面101aに接触(タッチ)したときにドアのアンロック操作、ドアノブ100を把持(グリップ)したときにドアのロック操作を行なうようなシステムとしたが、例えば、逆に、ロック操作、アンロック操作を行なうようにしてもよく、また、他の機能を割り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…車両、2…エンジン、3…ドア、10…ドアスイッチ装置、50…電子キーシステム、100…ドアノブ、101…ノブ樹脂部、101a…ノブ表面、102…ノブ裏面部、103…ノブ湾曲部、104…基板支持部、110…接続コネクタ、201…送信電極、202…受信電極、203…検出回路基板、300…検出回路、310…発振回路、320…増幅器A、330…増幅器B、340…検波回路A、350…検波回路B、360…判定処理回路、400…手指、500…携帯機、501…通信制御部、502…LF受信部、503…RF発信部、510…メモリ、511…IDコード、521…LF受信アンテナ、522…LF受信回路、531…RF発信回路、532…RFアンテナ、600…車両側装置、601…エンジンスイッチ、602…電源ECU、603…照合ECU、603a…IDコード、604…ドアECU、605…エンジンECU、606…シフトECU、607…車内LAN、608…車外LF発信機、609…車内LF発信機、610…RF受信機、611…ドアモータ、612…カーテシスイッチ、613…車速センサ、614…ブレーキセンサ、615…ACCリレー、616…IGリレー、617…スタータリレー、620…メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアのドアノブに設けられ、前記ドアノブへの接触により静電容量が変化する第1の静電容量センサと、
前記ドアノブに設けられ、前記ドアノブの把持に伴う変形により静電容量が変化する第2の静電容量センサと、
を有することを特徴とするドアスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の静電容量センサは、第1の電極と第1の検出回路により構成され、
前記第2の静電容量センサは、前記第1の電極及び第2の電極と第2の検出回路により構成され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間隔が前記ドアノブの把持に伴って変化することを特徴とする請求項1に記載のドアスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のドアスイッチ装置を備え、
前記第1の静電容量センサ及び前記第2の静電容量センサのそれぞれの出力値に基づいて、前記ドアのロック、アンロックの開閉制御を行なうことを特徴とするドア装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−106204(P2011−106204A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264166(P2009−264166)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】