ドハティアンプ
【課題】 広い周波数帯域に渡って、線形性に優れ、高効率の動作が可能なドハティアンプを提供する。
【解決手段】 ドハティアンプにおいて、入力電力検出回路113,114および、ピークアンプ102の出力側に、可変容量ダイオード115とλ/4線路108を付加し、検出された入力電力にしたがって可変容量ダイオード115の容量値を変化させ、出力合成部110からピークアンプ102を見たインピーダンスを実質的にオープンにする。
【解決手段】 ドハティアンプにおいて、入力電力検出回路113,114および、ピークアンプ102の出力側に、可変容量ダイオード115とλ/4線路108を付加し、検出された入力電力にしたがって可変容量ダイオード115の容量値を変化させ、出力合成部110からピークアンプ102を見たインピーダンスを実質的にオープンにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い帯域に渡って高い増幅効率を達成するドハティアンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーアンプの分野では、更なる高効率化を達成するため、各種の方式が提案されてきている。ドハティアンプもその一つであり、飽和出力から下がった出力レベルでも、飽和時に近い高効率を得られることを目指している。
【0003】
図1は一般的なドハティアンプの概略構成を示している。ドハティアンプは、Cクラス等の如き高効率かつ非線形特性を備えたピークアンプ2と、ABクラス等の如き略線形特性を備えたキャリアアンプ1と、キャリアアンプの出力整合回路3と、ピークアンプの出力整合回路4と、合成時のインピーダンス変換用のキャリアアンプ出力側λ/4線路6と、λ/4線路6の遅延分を補正するためのピークアンプ入力側λ/4線路5と、入力分配部9と、出力合成部10とから構成されている。
【0004】
入力信号(入力電力)が低い時にはキャリアアンプ1のみが作動し、入力信号が大きくなってくると、ピークアンプ2も増幅動作を始め、キャリアアンプ1とピークアンプ2の合成された電力が出力合成部10より出力される。入力レベルがさらに大きくなると、キャリアアンプ1が先に飽和し、そこからはピークアンプ2だけが増幅動作を受け持つ。こうすることによって2つのアンプの飽和する入力電力がずれるため、飽和点より5dB以上低い出力まで、高効率な増幅動作を行うことができる。言い換えると、バックオフ量(飽和出力レベルと動作時平均出力レベルとの差)が大きくても効率が良い状態が維持される。
【0005】
高効率な増幅特性を引き出すためには、キャリアアンプ1のみが動作状態でピークアンプ2が非動作状態である小信号時には、出力合成点10からピークアンプ2側を見た際のインピーダンスZXは、オープン(ハイインピーダンス)に見せる必要がある。インピーダンスZXがオープンではない場合、ピークアンプ2側に出力電力が回りこんでしまい、出力電力の損失が発生するためである。実際のドハティアンプでは、出力整合回路4の影響もあり、図7のスミスチャート(インピーダンスチャート)に示すように、所望周波数m2でのインピーダンスはオープンからずれていることが多い。
【0006】
そこで、図2に示すように、出力整合回路4の後にマイクロストリップラインなどで構成された位相調整部7を付加し、図8のように所望周波数m2のインピーダンスZXをオープンにするようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−330873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図2に示すような従来のドハティアンプにおいては、例えば図8のm1とm2のようにオープンに近づけられる周波数帯域が狭く、すなわち、高効率動作させることの出来る周波数帯域が狭いという問題があった(図10)。これは、マイクロストリップラインなどで構成された位相調整部7では位相をシフトするだけであるために、インピーダンスZXは、それよりピークアンプ2に近い側のインピーダンスZLの周波数特性に左右されてしまっているためである。ピークアンプ2の出力整合回路4は、ピークアンプ2の動作時の特性を引き出すために調整されており、ピークアンプ2が非動作時のインピーダンスを考慮して調整することは非常に困難であり、これを行うことで、ピークアンプ2の動作時の特性を劣化させてしまう恐れもある。
【0009】
また、図3に示すように、ピークアンプの出力経路に直列にスイッチ回路11を設けることで、インピーダンスZXをオープンに見せることは可能であるが、この方法だと、ある入力電力で、突然キャリアアンプ1の出力にピークアンプ2の出力が合成され始めることになり、ドハティアンプの利点である滑らかな出力合成が困難になり、線形性の劣化などの弊害が起こる。
【0010】
本発明は、広い周波数帯域に渡って線形性に優れ、かつ高効率な増幅動作を可能とするドハティアンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のドハティアンプは、低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、当該キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、当該ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、当該入力信号検出回路の出力側に結合され、高レベル信号のレベルにより容量値が変化する可変容量ダイオードと、出力合成部から見てピークアンプ寄りにおいて、当該ピークアンプ及び可変容量ダイオードの出力側に結合された位相器とを備える。
【0012】
上述の入力信号検出回路を、ピークアンプの入力側に結合され、高レベル信号を直流電圧に変換する検波回路と、当該検波回路の出力側に直列に結合され、直流電圧を、可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とから構成することができる。
【0013】
一方、入力信号検出回路を、ピークアンプの入力側に結合され、高レベル信号を第1の直流電圧に変換する第1の検波回路と、ピークアンプの出力側に結合され、当該ピークアンプから出力された出力信号を第2の直流電圧に変換する第2の検波回路と、第1の検波回路及び第2の検波回路の出力側に結合され、第1の直流電圧及び第2の直流電圧を比較し、可変容量ダイオードを制御する制御電圧を生成する比較器とから構成することができる。
【0014】
更には可変容量コンデンサと、ピークアンプの出力側との間に結合されたDCカットコンデンサを含むように構成することができる。また、位相器をλ/4線路より構成することができる。
【0015】
本発明の他のドハティアンプは、低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、当該キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、当該ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、出力合成部から見てピークアンプ寄りにおいて、ピークアンプ及び入力信号検出回路の出力側に結合された可変抵抗ダイオードとを備える。
【0016】
上述と同様、入力信号検出回路が、ピークアンプの入力側に結合され、高レベル信号を直流電圧に変換する検波回路と、当該検波回路の出力側に直列に結合され、直流電圧を、可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とから構成することができる。
【0017】
更に、可変抵抗ダイオードの出力側に結合され、接地されたチョークコイルを含むように構成することができる。
【0018】
更に本発明の他のドハティアンプは、低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、当該キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、高レベル信号のレベルに応じて、出力合成部からピークアンプを見たインピーダンスを実質的にオープンにする手段とを備える。
【0019】
上述のいずれのドハティアンプにおいても、ピークアンプの出力側に、当該ピークアンプに直接結合された出力整合回路を更に設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のドハティアンプでは、ピークアンプの非動作時において、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスを、周波数の広帯域に渡って実質的にオープンにすることが可能となる。従って、広帯域に渡って効率的な増幅を維持することができる。また、スイッチ的な切換が行われないため、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスは入力電力により、徐々に変化し、ドハティアンプの特性である滑らかな合成も維持され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図4は、第1の実施の形態によるドハティアンプ(Doherty amplifier)100の回路図である。ドハティアンプ100は、キャリアアンプ101と、ピークアンプ102と、出力整合回路103と、出力整合回路104と、ピークアンプ入力側λ/4線路105と、キャリアアンプ出力側λ/4線路106と、入力分配部109と、出力合成部110とを備える。
【0023】
更にドハティアンプ100は、ピークアンプ出力側λ/4線路108と、DCカットコンデンサ112と、電力検波部113と、制御部114と、可変容量コンデンサ115と、入力電力抽出部116と、キャリアアンプ出力側λ/4線路117とを備える。
【0024】
キャリアアンプ101と、出力整合回路103と、λ/4線路106と、λ/4線路117からなる第1の直列回路は、λ/4線路105と、ピークアンプ102と、出力整合回路104と、λ/4線路108からなる第2の直列回路に、入力分配部109及び出力合成部110を介して並列結合されている。また、DCカットコンデンサ112と、電力検波部113と、制御部114と、可変容量コンデンサ115とからなる回路は、第2の直列回路に並列結合されている。そしてRF入力電力が、入力分配部109を介して入力され、所定の増幅作用を受けた後、出力合成部110から出力される。
【0025】
キャリアアンプ(搬送増幅器)101は、AB、Bクラス等の略線形特性に設定され、低入力電力信号レベルで動作可能な増幅器より構成され得る。すなわち、キャリアアンプ101は、低レベル信号(低レベル電力)を増幅するものである。キャリアアンプ14は、電界効果トランジスタ(FET)や、仮像高電子移動トランジスタ(PHEMT:pseudomorphic high electron mobility transistor)、MESFET、ヘテロ構造電界効果トランジスタ(H−FET、)HEMT及び他の3端子デバイス等、種々のデバイスより構成可能であるが、その種類は限定されない。
【0026】
一方、ピークアンプ(ピーク増幅器)102は、Cクラス等の高効率および非線形特性に設定され、キャリアアンプ101が動作する入力電力信号レベルより、高いレベルで動作可能な増幅器より構成され得る。すなわち、ピークアンプ102は、前述の低レベル信号より高い高レベル信号(高レベル電力)を増幅する際に、より優れた特性を発揮する。ピークアンプ102もキャリアアンプ101と同様のデバイスで構成可能であるが、その種類は限定されない。特にピークアンプ102は、大信号電力が入力されたときに増幅動作を主に受け持つものである。ピークアンプ102の電力効率は、キャリアアンプ101の電力効率に比べ、高い入力信号レベルにおいて特性的に優れたものである。
【0027】
キャリアアンプ101の出力整合回路103は、キャリアアンプ101の出力側に直接結合されている。ピークアンプ102の出力整合回路104は、ピークアンプ102の出力側に直接結合されている。出力整合回路103,104は、各々キャリアアンプ101、ピークアンプ102の最適負荷インピーダンスを所定のインピーダンスに変換するものであり、通常の整合回路により構成され得る。
【0028】
キャリアアンプ101の出力側のλ/4線路106は、出力整合回路103の出力側に結合され、キャリアアンプ101、出力整合回路103からの信号を90度位相シフトするものであり、合成時のインピーダンス変換に使用されるものである。ピークアンプ102の入力側のλ/4線路105は、ピークアンプ102の入力側に結合され、λ/4線路106の遅延分(位相シフト)を補正するためのものである。λ/4線路105,106は、通常の位相器により構成され得る。
【0029】
更に、λ/4線路105の出力側と、ピークアンプ102の入力側との間に位置する入力電力抽出部116に、電力検波部113、さらにこれに直列に接続された制御部(電圧変換部)114が順次結合されている。
【0030】
電力検波部113は、入力分配部109を介して入力された入力電力を直流に変換するものであり、一般的な検波回路により構成され得る。電力検波部113は上述の高レベル信号を直流電圧に変換するものである。また、制御部114は、電力検波部113からの直流入力電圧を、可変容量コンデンサ115に必要な直流の制御電圧に変換するものであり、一般的な電圧型変換装置により構成され得る。電力検波部113と制御部114は、入力信号検出回路を構成する。
【0031】
制御部114の出力側は、DCカットコンデンサ112と、接地され、上述の高レベル信号のレベルにより容量が変化する可変容量コンデンサ115の間に結合されている。DCカットコンデンサ112、可変容量コンデンサ115は、一般的なコンデンサ、可変容量コンデンサにより構成され得る。
【0032】
また、ピークアンプ出力側λ/4線路108は、出力整合回路104と、DCカットコンデンサ112の結合点の出力側に結合され、出力合成部110から見てピークアンプ102寄りに配置されている。そして、λ/4線路108の遅延分を補正するため、キャリアアンプ101の出力側において、λ/4線路117が、λ/4線路106の出力側に結合されている。λ/4線路108,117も、λ/4線路105,106と同様に構成され得る。ただし、λ/4線路108をλ/4線路で構成することは絶対的に必要なものではなく、他の位相器によって構成することもできる。
【0033】
次に、上述した構成を有するドハティアンプ100の作用を説明する。
【0034】
入力分配部109を介して入力されたRF入力電力は、入力電力抽出部116で抽出され、電力検波部113で直流電圧に変換される。この直流電圧は、制御部114によって可変容量コンデンサ115に必要な直流の制御電圧に変換され、可変容量コンデンサ115の容量値を変化させる。
【0035】
そして、入力電力のレベルが低く、ピークアンプ102が非動作時には、入力分配部9からの入力電力が実質的に存在しない。従って、可変容量コンデンサ115には低い電圧が印加され、容量値は大きくなる。この結果、入力電圧の所望周波数でのインピーダンスZLは低くなる。この場合、図9のように、出力合成部10から見たインピーダンスZXはオープンに見えることとなる(インピーダンスZXはハイインピーダンスになる)。
【0036】
そして、入力電力のレベルが大きくなると、ピークアンプ102が動作を開始する。すると、可変容量コンデンサ115への印加電圧が上昇し、その容量値は減少していき、実質的に、可変容量コンデンサ115の容量が無視できる状態へ移行する。そして、インピーダンスZXは、徐々にオープンの状態からピークアンプ102自身のもつインピーダンスへ変わることとなる。
【0037】
このように、ピークアンプ102が非動作時において、出力合成部110からピークアンプ102側を見た際の、インピーダンスZXを広帯域に渡ってオープンに見せることが可能となり、広い帯域に渡って高効率を維持することが可能となる。また、スイッチ的な切替が行われないため、出力合成部110からピークアンプ102側を見たインピーダンスZXは入力電力により、徐々に変化し、ドハティアンプの特性である滑らかな合成も可能とする。λ/4線路108の遅延分を補正するためのキャリアアンプ出力側λ/4線路117はキャリアアンプ101の入力側に配置されても良い。
【0038】
(実施の形態2)
図5は、第2の実施の形態によるドハティアンプ200の回路図である。基本的な構成および動作は第1の実施の形態とほぼ同じである。このドハティアンプ200においては、第1の実施の形態における制御部114のかわりに、オペアンプ等から構成される比較器122が設けられている。更に、比較器122のプラス(+)側入力端子と、出力整合回路104の出力側(ピークアンプ102の出力側)における出力電力抽出部121との間に、もう一つの電力検波部(第2の検波回路)120が接続されている。
【0039】
本形態においては、電力検波部113が第1の直流電圧を出力し、電力検波部120が、ピークアンプ102から出力された出力信号を第2の直流電圧に変換するものと考えることができる。そして、比較器122が、電力検波部113と電力検波部120の出力側に結合され、第1の直流電圧及び第2の直流電圧を比較し、可変容量ダイオード115を制御する制御電圧を生成する。言い換えると、本形態は、ピークアンプ102の利得の変化を検出し、可変容量コンデンサ115の制御に使用するものである。
【0040】
(実施の形態3)
図6は、第3の実施の形態によるドハティアンプ300の回路図である。基本的な構成および動作は第1及び第2の実施の形態とほぼ同じである。このドハティアンプ300においては、第1の実施の形態における可変容量コンデンサ115とλ/4線路108より構成されたショートスタブによるインピーダンス変換の変わりに、直列に可変抵抗ダイオード118が、出力整合回路104と制御部114の出力側に結合されている。さらに、可変抵抗ダイオード118の出力側に、接地されたチョークコイル119が接続されている。
【0041】
上述の実施形態において、可変容量コンデンサ115とλ/4線路108、又は可変抵抗ダイオード118は、高レベル信号のレベルに応じて、出力合成部110からピークアンプ102を見たインピーダンスを実質的にオープンにする手段である。しかしながらこのような手段は本明細書に記載された構成には限定されず、出力合成部110からピークアンプ102の側を見た際のインピーダンスを実質的にオープンにする種々のものを採用することができる。
【0042】
「実質的にオープン」とは、完全にオープンでない場合も含み得るが、広帯域において、実用上弊害がない程度に、インピーダンスがオープンになる程度をいう。また、「広帯域」とは、ドハティアンプに入力される電力の周波数を十分カバーする程度の周波数のレンジをいう。
【0043】
上述したように、本発明のドハティアンプでは、ピークアンプの非動作時において、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスを、周波数の広帯域に渡ってオープンにすることが可能となる。従って、広帯域に渡って効率的な増幅を維持できる。また、スイッチ的な切換が行われないため、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスは入力電力により、徐々に変化し、ドハティアンプの特性である滑らかな合成も可能とするという作用を有する。
【0044】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、広い周波数帯域に渡って線形性に優れ、かつ効率的な増幅が可能なドハティアンプが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ドハティアンプの構成を示すブロック図。
【図2】ドハティアンプの他の構成を示すブロック図。
【図3】ドハティアンプの他の構成を示すブロック図。
【図4】第1の実施の形態によるドハティアンプのブロック図。
【図5】第2の実施の形態によるドハティアンプのブロック図。
【図6】第3の実施の形態によるドハティアンプのブロック図。
【図7】従来例におけるインピーダンスZXのスミスチャート。
【図8】従来例におけるインピーダンスZXのスミスチャート。
【図9】本発明でのインピーダンスZXのスミスチャート。
【図10】従来例でのドレイン効率の周波数特性を示すグラフ。
【図11】本発明での入力電力に対する諸特性の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0047】
101 キャリアアンプ
102 ピークアンプ
103 出力整合回路
104 出力整合回路
105 λ/4線路
106 λ/4線路
107 位相調整部
108 λ/4線路
109 入力分配部
110 出力合成部
111 スイッチ回路
112 DCカットコンデンサ
113 電力検波部
114 制御部
115 可変容量コンデンサ
116 入力電力抽出部
117 λ/4線路
118 可変抵抗ダイオード
119 チョークコイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い帯域に渡って高い増幅効率を達成するドハティアンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーアンプの分野では、更なる高効率化を達成するため、各種の方式が提案されてきている。ドハティアンプもその一つであり、飽和出力から下がった出力レベルでも、飽和時に近い高効率を得られることを目指している。
【0003】
図1は一般的なドハティアンプの概略構成を示している。ドハティアンプは、Cクラス等の如き高効率かつ非線形特性を備えたピークアンプ2と、ABクラス等の如き略線形特性を備えたキャリアアンプ1と、キャリアアンプの出力整合回路3と、ピークアンプの出力整合回路4と、合成時のインピーダンス変換用のキャリアアンプ出力側λ/4線路6と、λ/4線路6の遅延分を補正するためのピークアンプ入力側λ/4線路5と、入力分配部9と、出力合成部10とから構成されている。
【0004】
入力信号(入力電力)が低い時にはキャリアアンプ1のみが作動し、入力信号が大きくなってくると、ピークアンプ2も増幅動作を始め、キャリアアンプ1とピークアンプ2の合成された電力が出力合成部10より出力される。入力レベルがさらに大きくなると、キャリアアンプ1が先に飽和し、そこからはピークアンプ2だけが増幅動作を受け持つ。こうすることによって2つのアンプの飽和する入力電力がずれるため、飽和点より5dB以上低い出力まで、高効率な増幅動作を行うことができる。言い換えると、バックオフ量(飽和出力レベルと動作時平均出力レベルとの差)が大きくても効率が良い状態が維持される。
【0005】
高効率な増幅特性を引き出すためには、キャリアアンプ1のみが動作状態でピークアンプ2が非動作状態である小信号時には、出力合成点10からピークアンプ2側を見た際のインピーダンスZXは、オープン(ハイインピーダンス)に見せる必要がある。インピーダンスZXがオープンではない場合、ピークアンプ2側に出力電力が回りこんでしまい、出力電力の損失が発生するためである。実際のドハティアンプでは、出力整合回路4の影響もあり、図7のスミスチャート(インピーダンスチャート)に示すように、所望周波数m2でのインピーダンスはオープンからずれていることが多い。
【0006】
そこで、図2に示すように、出力整合回路4の後にマイクロストリップラインなどで構成された位相調整部7を付加し、図8のように所望周波数m2のインピーダンスZXをオープンにするようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−330873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図2に示すような従来のドハティアンプにおいては、例えば図8のm1とm2のようにオープンに近づけられる周波数帯域が狭く、すなわち、高効率動作させることの出来る周波数帯域が狭いという問題があった(図10)。これは、マイクロストリップラインなどで構成された位相調整部7では位相をシフトするだけであるために、インピーダンスZXは、それよりピークアンプ2に近い側のインピーダンスZLの周波数特性に左右されてしまっているためである。ピークアンプ2の出力整合回路4は、ピークアンプ2の動作時の特性を引き出すために調整されており、ピークアンプ2が非動作時のインピーダンスを考慮して調整することは非常に困難であり、これを行うことで、ピークアンプ2の動作時の特性を劣化させてしまう恐れもある。
【0009】
また、図3に示すように、ピークアンプの出力経路に直列にスイッチ回路11を設けることで、インピーダンスZXをオープンに見せることは可能であるが、この方法だと、ある入力電力で、突然キャリアアンプ1の出力にピークアンプ2の出力が合成され始めることになり、ドハティアンプの利点である滑らかな出力合成が困難になり、線形性の劣化などの弊害が起こる。
【0010】
本発明は、広い周波数帯域に渡って線形性に優れ、かつ高効率な増幅動作を可能とするドハティアンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のドハティアンプは、低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、当該キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、当該ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、当該入力信号検出回路の出力側に結合され、高レベル信号のレベルにより容量値が変化する可変容量ダイオードと、出力合成部から見てピークアンプ寄りにおいて、当該ピークアンプ及び可変容量ダイオードの出力側に結合された位相器とを備える。
【0012】
上述の入力信号検出回路を、ピークアンプの入力側に結合され、高レベル信号を直流電圧に変換する検波回路と、当該検波回路の出力側に直列に結合され、直流電圧を、可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とから構成することができる。
【0013】
一方、入力信号検出回路を、ピークアンプの入力側に結合され、高レベル信号を第1の直流電圧に変換する第1の検波回路と、ピークアンプの出力側に結合され、当該ピークアンプから出力された出力信号を第2の直流電圧に変換する第2の検波回路と、第1の検波回路及び第2の検波回路の出力側に結合され、第1の直流電圧及び第2の直流電圧を比較し、可変容量ダイオードを制御する制御電圧を生成する比較器とから構成することができる。
【0014】
更には可変容量コンデンサと、ピークアンプの出力側との間に結合されたDCカットコンデンサを含むように構成することができる。また、位相器をλ/4線路より構成することができる。
【0015】
本発明の他のドハティアンプは、低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、当該キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、当該ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、出力合成部から見てピークアンプ寄りにおいて、ピークアンプ及び入力信号検出回路の出力側に結合された可変抵抗ダイオードとを備える。
【0016】
上述と同様、入力信号検出回路が、ピークアンプの入力側に結合され、高レベル信号を直流電圧に変換する検波回路と、当該検波回路の出力側に直列に結合され、直流電圧を、可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とから構成することができる。
【0017】
更に、可変抵抗ダイオードの出力側に結合され、接地されたチョークコイルを含むように構成することができる。
【0018】
更に本発明の他のドハティアンプは、低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、当該キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、高レベル信号のレベルに応じて、出力合成部からピークアンプを見たインピーダンスを実質的にオープンにする手段とを備える。
【0019】
上述のいずれのドハティアンプにおいても、ピークアンプの出力側に、当該ピークアンプに直接結合された出力整合回路を更に設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のドハティアンプでは、ピークアンプの非動作時において、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスを、周波数の広帯域に渡って実質的にオープンにすることが可能となる。従って、広帯域に渡って効率的な増幅を維持することができる。また、スイッチ的な切換が行われないため、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスは入力電力により、徐々に変化し、ドハティアンプの特性である滑らかな合成も維持され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図4は、第1の実施の形態によるドハティアンプ(Doherty amplifier)100の回路図である。ドハティアンプ100は、キャリアアンプ101と、ピークアンプ102と、出力整合回路103と、出力整合回路104と、ピークアンプ入力側λ/4線路105と、キャリアアンプ出力側λ/4線路106と、入力分配部109と、出力合成部110とを備える。
【0023】
更にドハティアンプ100は、ピークアンプ出力側λ/4線路108と、DCカットコンデンサ112と、電力検波部113と、制御部114と、可変容量コンデンサ115と、入力電力抽出部116と、キャリアアンプ出力側λ/4線路117とを備える。
【0024】
キャリアアンプ101と、出力整合回路103と、λ/4線路106と、λ/4線路117からなる第1の直列回路は、λ/4線路105と、ピークアンプ102と、出力整合回路104と、λ/4線路108からなる第2の直列回路に、入力分配部109及び出力合成部110を介して並列結合されている。また、DCカットコンデンサ112と、電力検波部113と、制御部114と、可変容量コンデンサ115とからなる回路は、第2の直列回路に並列結合されている。そしてRF入力電力が、入力分配部109を介して入力され、所定の増幅作用を受けた後、出力合成部110から出力される。
【0025】
キャリアアンプ(搬送増幅器)101は、AB、Bクラス等の略線形特性に設定され、低入力電力信号レベルで動作可能な増幅器より構成され得る。すなわち、キャリアアンプ101は、低レベル信号(低レベル電力)を増幅するものである。キャリアアンプ14は、電界効果トランジスタ(FET)や、仮像高電子移動トランジスタ(PHEMT:pseudomorphic high electron mobility transistor)、MESFET、ヘテロ構造電界効果トランジスタ(H−FET、)HEMT及び他の3端子デバイス等、種々のデバイスより構成可能であるが、その種類は限定されない。
【0026】
一方、ピークアンプ(ピーク増幅器)102は、Cクラス等の高効率および非線形特性に設定され、キャリアアンプ101が動作する入力電力信号レベルより、高いレベルで動作可能な増幅器より構成され得る。すなわち、ピークアンプ102は、前述の低レベル信号より高い高レベル信号(高レベル電力)を増幅する際に、より優れた特性を発揮する。ピークアンプ102もキャリアアンプ101と同様のデバイスで構成可能であるが、その種類は限定されない。特にピークアンプ102は、大信号電力が入力されたときに増幅動作を主に受け持つものである。ピークアンプ102の電力効率は、キャリアアンプ101の電力効率に比べ、高い入力信号レベルにおいて特性的に優れたものである。
【0027】
キャリアアンプ101の出力整合回路103は、キャリアアンプ101の出力側に直接結合されている。ピークアンプ102の出力整合回路104は、ピークアンプ102の出力側に直接結合されている。出力整合回路103,104は、各々キャリアアンプ101、ピークアンプ102の最適負荷インピーダンスを所定のインピーダンスに変換するものであり、通常の整合回路により構成され得る。
【0028】
キャリアアンプ101の出力側のλ/4線路106は、出力整合回路103の出力側に結合され、キャリアアンプ101、出力整合回路103からの信号を90度位相シフトするものであり、合成時のインピーダンス変換に使用されるものである。ピークアンプ102の入力側のλ/4線路105は、ピークアンプ102の入力側に結合され、λ/4線路106の遅延分(位相シフト)を補正するためのものである。λ/4線路105,106は、通常の位相器により構成され得る。
【0029】
更に、λ/4線路105の出力側と、ピークアンプ102の入力側との間に位置する入力電力抽出部116に、電力検波部113、さらにこれに直列に接続された制御部(電圧変換部)114が順次結合されている。
【0030】
電力検波部113は、入力分配部109を介して入力された入力電力を直流に変換するものであり、一般的な検波回路により構成され得る。電力検波部113は上述の高レベル信号を直流電圧に変換するものである。また、制御部114は、電力検波部113からの直流入力電圧を、可変容量コンデンサ115に必要な直流の制御電圧に変換するものであり、一般的な電圧型変換装置により構成され得る。電力検波部113と制御部114は、入力信号検出回路を構成する。
【0031】
制御部114の出力側は、DCカットコンデンサ112と、接地され、上述の高レベル信号のレベルにより容量が変化する可変容量コンデンサ115の間に結合されている。DCカットコンデンサ112、可変容量コンデンサ115は、一般的なコンデンサ、可変容量コンデンサにより構成され得る。
【0032】
また、ピークアンプ出力側λ/4線路108は、出力整合回路104と、DCカットコンデンサ112の結合点の出力側に結合され、出力合成部110から見てピークアンプ102寄りに配置されている。そして、λ/4線路108の遅延分を補正するため、キャリアアンプ101の出力側において、λ/4線路117が、λ/4線路106の出力側に結合されている。λ/4線路108,117も、λ/4線路105,106と同様に構成され得る。ただし、λ/4線路108をλ/4線路で構成することは絶対的に必要なものではなく、他の位相器によって構成することもできる。
【0033】
次に、上述した構成を有するドハティアンプ100の作用を説明する。
【0034】
入力分配部109を介して入力されたRF入力電力は、入力電力抽出部116で抽出され、電力検波部113で直流電圧に変換される。この直流電圧は、制御部114によって可変容量コンデンサ115に必要な直流の制御電圧に変換され、可変容量コンデンサ115の容量値を変化させる。
【0035】
そして、入力電力のレベルが低く、ピークアンプ102が非動作時には、入力分配部9からの入力電力が実質的に存在しない。従って、可変容量コンデンサ115には低い電圧が印加され、容量値は大きくなる。この結果、入力電圧の所望周波数でのインピーダンスZLは低くなる。この場合、図9のように、出力合成部10から見たインピーダンスZXはオープンに見えることとなる(インピーダンスZXはハイインピーダンスになる)。
【0036】
そして、入力電力のレベルが大きくなると、ピークアンプ102が動作を開始する。すると、可変容量コンデンサ115への印加電圧が上昇し、その容量値は減少していき、実質的に、可変容量コンデンサ115の容量が無視できる状態へ移行する。そして、インピーダンスZXは、徐々にオープンの状態からピークアンプ102自身のもつインピーダンスへ変わることとなる。
【0037】
このように、ピークアンプ102が非動作時において、出力合成部110からピークアンプ102側を見た際の、インピーダンスZXを広帯域に渡ってオープンに見せることが可能となり、広い帯域に渡って高効率を維持することが可能となる。また、スイッチ的な切替が行われないため、出力合成部110からピークアンプ102側を見たインピーダンスZXは入力電力により、徐々に変化し、ドハティアンプの特性である滑らかな合成も可能とする。λ/4線路108の遅延分を補正するためのキャリアアンプ出力側λ/4線路117はキャリアアンプ101の入力側に配置されても良い。
【0038】
(実施の形態2)
図5は、第2の実施の形態によるドハティアンプ200の回路図である。基本的な構成および動作は第1の実施の形態とほぼ同じである。このドハティアンプ200においては、第1の実施の形態における制御部114のかわりに、オペアンプ等から構成される比較器122が設けられている。更に、比較器122のプラス(+)側入力端子と、出力整合回路104の出力側(ピークアンプ102の出力側)における出力電力抽出部121との間に、もう一つの電力検波部(第2の検波回路)120が接続されている。
【0039】
本形態においては、電力検波部113が第1の直流電圧を出力し、電力検波部120が、ピークアンプ102から出力された出力信号を第2の直流電圧に変換するものと考えることができる。そして、比較器122が、電力検波部113と電力検波部120の出力側に結合され、第1の直流電圧及び第2の直流電圧を比較し、可変容量ダイオード115を制御する制御電圧を生成する。言い換えると、本形態は、ピークアンプ102の利得の変化を検出し、可変容量コンデンサ115の制御に使用するものである。
【0040】
(実施の形態3)
図6は、第3の実施の形態によるドハティアンプ300の回路図である。基本的な構成および動作は第1及び第2の実施の形態とほぼ同じである。このドハティアンプ300においては、第1の実施の形態における可変容量コンデンサ115とλ/4線路108より構成されたショートスタブによるインピーダンス変換の変わりに、直列に可変抵抗ダイオード118が、出力整合回路104と制御部114の出力側に結合されている。さらに、可変抵抗ダイオード118の出力側に、接地されたチョークコイル119が接続されている。
【0041】
上述の実施形態において、可変容量コンデンサ115とλ/4線路108、又は可変抵抗ダイオード118は、高レベル信号のレベルに応じて、出力合成部110からピークアンプ102を見たインピーダンスを実質的にオープンにする手段である。しかしながらこのような手段は本明細書に記載された構成には限定されず、出力合成部110からピークアンプ102の側を見た際のインピーダンスを実質的にオープンにする種々のものを採用することができる。
【0042】
「実質的にオープン」とは、完全にオープンでない場合も含み得るが、広帯域において、実用上弊害がない程度に、インピーダンスがオープンになる程度をいう。また、「広帯域」とは、ドハティアンプに入力される電力の周波数を十分カバーする程度の周波数のレンジをいう。
【0043】
上述したように、本発明のドハティアンプでは、ピークアンプの非動作時において、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスを、周波数の広帯域に渡ってオープンにすることが可能となる。従って、広帯域に渡って効率的な増幅を維持できる。また、スイッチ的な切換が行われないため、出力合成部からピークアンプ側を見たインピーダンスは入力電力により、徐々に変化し、ドハティアンプの特性である滑らかな合成も可能とするという作用を有する。
【0044】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、広い周波数帯域に渡って線形性に優れ、かつ効率的な増幅が可能なドハティアンプが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ドハティアンプの構成を示すブロック図。
【図2】ドハティアンプの他の構成を示すブロック図。
【図3】ドハティアンプの他の構成を示すブロック図。
【図4】第1の実施の形態によるドハティアンプのブロック図。
【図5】第2の実施の形態によるドハティアンプのブロック図。
【図6】第3の実施の形態によるドハティアンプのブロック図。
【図7】従来例におけるインピーダンスZXのスミスチャート。
【図8】従来例におけるインピーダンスZXのスミスチャート。
【図9】本発明でのインピーダンスZXのスミスチャート。
【図10】従来例でのドレイン効率の周波数特性を示すグラフ。
【図11】本発明での入力電力に対する諸特性の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0047】
101 キャリアアンプ
102 ピークアンプ
103 出力整合回路
104 出力整合回路
105 λ/4線路
106 λ/4線路
107 位相調整部
108 λ/4線路
109 入力分配部
110 出力合成部
111 スイッチ回路
112 DCカットコンデンサ
113 電力検波部
114 制御部
115 可変容量コンデンサ
116 入力電力抽出部
117 λ/4線路
118 可変抵抗ダイオード
119 チョークコイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、
前記キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、前記低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、
前記ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの前記高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、
前記入力信号検出回路の出力側に結合され、前記高レベル信号のレベルにより容量値が変化する可変容量ダイオードと、
前記出力合成部から見て前記ピークアンプ寄りにおいて、当該ピークアンプ及び前記可変容量ダイオードの出力側に結合された位相器と、を備えるドハティアンプ。
【請求項2】
請求項1記載のドハティアンプであって、
前記入力信号検出回路が、
前記ピークアンプの入力側に結合され、前記高レベル信号を直流電圧に変換するた検波回路と、
前記検波回路の出力側に直列に結合され、前記直流電流を、前記可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とを含む、ドハティアンプ。
【請求項3】
請求項1記載のドハティアンプであって、
前記入力信号検出回路が、
前記ピークアンプの入力側に結合され、前記高レベル信号を第1の直流電圧に変換する第1の検波回路と、
前記ピークアンプの出力側に結合され、当該ピークアンプから出力された出力信号を第2の直流電圧に変換する第2の検波回路と、
前記第1の検波回路及び前記第2の検波回路の出力側に結合され、前記第1の直流電圧及び前記第2の直流電圧を比較し、前記可変容量ダイオードを制御する制御電圧を生成する比較器を含む、ドハティアンプ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記可変容量コンデンサと、前記ピークアンプの出力側との間に結合されたDCカットコンデンサを更に含む、ドハティアンプ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記ピークアンプの出力側において、当該ピークアンプに直接結合された出力整合回路を更に含む、ドハティアンプ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記位相器がλ/4線路である、ドハティアンプ。
【請求項7】
低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、
前記キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、前記低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、
前記ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの前記高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、
前記出力合成部から見て前記ピークアンプ寄りにおいて、前記ピークアンプ及び前記入力信号検出回路の出力側に結合された可変抵抗ダイオードと、を備えるドハティアンプ。
【請求項8】
請求項7記載のドハティアンプであって、
前記入力信号検出回路が、
前記ピークアンプの入力側に結合され、前記高レベル信号を直流電圧に変換する検波回路と、
前記検波回路の出力側に直列に結合され、前記直流電流を、前記可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とを含む、ドハティアンプ。
【請求項9】
請求項7又は8記載のドハティアンプであって、
前記可変抵抗ダイオードの出力側に結合され、接地されたチョークコイルを更に含む、ドハティアンプ。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記ピークアンプの出力側において、当該ピークアンプに直接結合された出力整合回路を更に含む、ドハティアンプ。
【請求項11】
低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、
前記キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、前記低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、
前記ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの前記高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、
前記高レベル信号のレベルに応じて、前記出力合成部から前記ピークアンプを見たインピーダンスを実質的にオープンにする手段と、を備えるドハティアンプ。
【請求項1】
低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、
前記キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、前記低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、
前記ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの前記高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、
前記入力信号検出回路の出力側に結合され、前記高レベル信号のレベルにより容量値が変化する可変容量ダイオードと、
前記出力合成部から見て前記ピークアンプ寄りにおいて、当該ピークアンプ及び前記可変容量ダイオードの出力側に結合された位相器と、を備えるドハティアンプ。
【請求項2】
請求項1記載のドハティアンプであって、
前記入力信号検出回路が、
前記ピークアンプの入力側に結合され、前記高レベル信号を直流電圧に変換するた検波回路と、
前記検波回路の出力側に直列に結合され、前記直流電流を、前記可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とを含む、ドハティアンプ。
【請求項3】
請求項1記載のドハティアンプであって、
前記入力信号検出回路が、
前記ピークアンプの入力側に結合され、前記高レベル信号を第1の直流電圧に変換する第1の検波回路と、
前記ピークアンプの出力側に結合され、当該ピークアンプから出力された出力信号を第2の直流電圧に変換する第2の検波回路と、
前記第1の検波回路及び前記第2の検波回路の出力側に結合され、前記第1の直流電圧及び前記第2の直流電圧を比較し、前記可変容量ダイオードを制御する制御電圧を生成する比較器を含む、ドハティアンプ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記可変容量コンデンサと、前記ピークアンプの出力側との間に結合されたDCカットコンデンサを更に含む、ドハティアンプ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記ピークアンプの出力側において、当該ピークアンプに直接結合された出力整合回路を更に含む、ドハティアンプ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記位相器がλ/4線路である、ドハティアンプ。
【請求項7】
低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、
前記キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、前記低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、
前記ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの前記高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、
前記出力合成部から見て前記ピークアンプ寄りにおいて、前記ピークアンプ及び前記入力信号検出回路の出力側に結合された可変抵抗ダイオードと、を備えるドハティアンプ。
【請求項8】
請求項7記載のドハティアンプであって、
前記入力信号検出回路が、
前記ピークアンプの入力側に結合され、前記高レベル信号を直流電圧に変換する検波回路と、
前記検波回路の出力側に直列に結合され、前記直流電流を、前記可変容量ダイオードを制御する制御電圧に変換する電圧変換部とを含む、ドハティアンプ。
【請求項9】
請求項7又は8記載のドハティアンプであって、
前記可変抵抗ダイオードの出力側に結合され、接地されたチョークコイルを更に含む、ドハティアンプ。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項記載のドハティアンプであって、
前記ピークアンプの出力側において、当該ピークアンプに直接結合された出力整合回路を更に含む、ドハティアンプ。
【請求項11】
低レベル信号を増幅するキャリアアンプと、
前記キャリアアンプと、入力分配部及び出力合成部を介して並列に結合され、前記低レベル信号より高い高レベル信号を増幅するピークアンプと、
前記ピークアンプの入力側に結合され、当該ピークアンプへの前記高レベル信号の入力を検知する入力信号検出回路と、
前記高レベル信号のレベルに応じて、前記出力合成部から前記ピークアンプを見たインピーダンスを実質的にオープンにする手段と、を備えるドハティアンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−148523(P2006−148523A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335585(P2004−335585)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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