説明

ナビゲーションシステム

【課題】曜日や日時毎に記憶された道路毎の所要時間に対する実際に走行した際の所要時間を記憶し、新たな所要時間として経路探索に利用することができるようにする。
【解決手段】リンクデータをリンクデータ変化要因に対応付けて記憶する記憶手段と、走行履歴情報を前記リンクデータ変化要因に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、該補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数に応じて、利用する走行履歴情報を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置においては、道路地図データに基づいて、設定された出発地から目的地までの最適な経路を探索して、表示手段に表示するようになっている。この場合、前記出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を設定したり、所要時間が最短となるように経路を設定するようになっている。
【0003】
また、実際の交通量や渋滞情報を考慮して適切な経路を設定することができるように、交通情報センタが配信する交通情報を取得したり、車両が走行した際の走行履歴データを記憶手段に蓄積させたりして所要時間を補正し、目的地までの所要時間が最短となる経路を設定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平1−119898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、記憶手段に初期値として記憶されている所要時間に関するデータを車両が実際に走行した際の走行履歴データに基づいて少しずつ補正することはできるが、道路が拡幅されて道路状況が変化したり、集客力の高いショッピングセンタが開店して道路環境が変化したりして、所要時間に大きな変化が生じた場合には適切に対処することができなかった。すなわち、前記所要時間に関するデータを蓄積された走行履歴データに基づいて補正するようになっているので、該走行履歴データの蓄積が少ないと、前記所要時間に関するデータを速やかに更新することができないようになっている。そのため、道路状況が変化したり、道路環境が変化したりして、短期間で所要時間に大きな変化が生じた場合には、前記所要時間に関するデータを速やかに更新することができなかった。
【0005】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、曜日や日時毎に記憶された道路毎の所要時間に対する実際に走行した際の所要時間を記憶し、新たな所要時間として経路探索に利用することができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のナビゲーションシステムにおいては、リンクデータをリンクデータ変化要因に対応付けて記憶する記憶手段と、走行履歴情報を前記リンクデータ変化要因に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、該補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数に応じて、利用する走行履歴情報を選択する。
【0007】
本発明の他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるか否かを判断し、所定数以上である場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正し、所定数以上でない場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因と関連する要因に対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正する。
【0008】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、リンクデータをリンクデータ変化要因に対応付けて記憶する記憶手段と、走行履歴情報を前記リンクデータ変化要因に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、該補正手段は、取得した走行履歴情報を利用して、取得した走行履歴情報に対応するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータ、及び、取得した走行履歴情報に対応するリンクデータ変化要因と関連するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータを補正する。
【0009】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、さらに、前記補正手段は、取得した走行履歴情報に対応するリンクデータ変化要因と関連するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるか否かを判断し、所定数以上でない場合、前記関連するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報に取得した走行履歴情報を加えた走行履歴情報を利用して、前記関連するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータを補正する。
【0010】
本発明の更に他のナビゲーションシステムにおいては、リンクデータを時間帯に対応付けて記憶する記憶手段と、走行履歴情報を前記時間帯に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、該補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応する時間帯に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるか否かを判断し、所定数以上である場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応する時間帯に対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正し、所定数以上でない場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応する時間帯と該時間帯の前後の時間帯とに対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実際に走行した際の所要時間によって更新された所要時間を、速やかに経路探索に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【0014】
図において、10は、ユーザとしての操作者によって操作される車載装置、又は、該車載装置に通信可能に接続されるサーバとしての情報提供サーバが有する機能部としてのデータベース更新部であり、補正手段としてのデータベース補正部11、初期データベース12、走行履歴取得手段としての走行履歴取得部13及び更新後データベース14を備える。そして、情報提供サーバは、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータの中に構成される。また、車載装置は、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載される。なお、前記操作者は、例えば、前記車両の運転者、同乗者等であるが、いかなる者であってもよい。
【0015】
そして、本実施の形態におけるナビゲーションシステムは、前記情報提供サーバと車載装置とによって構成され、前記情報提供サーバは車載装置に交通情報等の情報を配信するとともに、車載装置から走行履歴等の情報を受信する。この場合、前記操作者は、あらかじめ前記ナビゲーションシステムに登録され、登録IDを所有する者であることが望ましい。また、前記車載装置も登録されていることが望ましい。
【0016】
なお、前記情報提供サーバは、機能の観点から、前記車載装置とデータの送受信を行うための通信部及び前記車載装置から受信した走行履歴情報を格納する走行履歴情報データベースを有する。なお、前記情報提供サーバは、交通情報データベース、該交通情報データベースにアクセスして必要なデータを取得して予測交通情報を作成するための処理を行う処理部等を有するものであることが望ましい。この場合、前記交通情報データベースは、例えば、VICS(R)(Vehicle Information & Communication System)と称される道路交通情報通信システムにおいて、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を格納する。さらに、複数の車載装置から受信して走行履歴情報データベースに格納されている走行履歴情報も格納する。また、前記処理部は、前記交通情報データベースに格納されている走行履歴情報等の交通情報に基づいて、予測リンク旅行時間パターン等の予測交通情報を作成する。なお、該予測交通情報は、渋滞予測情報も含むものである。そして、前記予測交通情報を通信部から車載装置に配信することが望ましい。これにより、該車載装置は、受信した予測交通情報に基づいて経路を探索することができ、所要時間が短く適切な経路を探索することができる。
【0017】
ところで、前記データベース更新部10は、車載装置及び情報提供サーバがともに有するものであってもよいし、車載装置又は情報提供サーバのいずれか一方のみが有するものであってもよい。本実施の形態においては、説明の都合上、車載装置のみが前記データベース更新部10を有するものとして説明する。
【0018】
そして、前記車載装置は、出発地から目的地までの経路を探索する機能を有するものであれば、いかなるものであってもよいが、本実施の形態においては、車載装置がナビゲーション装置である場合について説明する。この場合、前記車載装置は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える一種のコンピュータである。前記ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する現在位置検出処理部、道路データ、探索データ等を含む地図データ等を記憶する記憶手段としてのデータ記録部、入力された情報に基づいて、設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理、経路の走行案内処理、地点や施設の検索を行うPOI(Point of Interest)検索処理等のナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部、入力部、表示部、音声入力部、音声出力部及びデータの送受信を行う通信部を有し、設定された目的地までの経路を探索して案内を行うようになっている。
【0019】
そして、前記データ記録部は、探索データ等を含む地図データを記憶する。すなわち、前記データ記録部は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、前記表示部の画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、施設データ等の各種のデータを記録する。なお、前記データ記録部には、道路を構成する単位であるリンクに関する情報も含まれている。また、前記データ記録部には、所定の情報を音声出力部によって音声出力するための各種のデータも記録される。
【0020】
ここで、前記初期データベース12は、前記リンクのそれぞれについてのリンクデータを記憶する記憶手段であり、例えば、各リンクの旅行時間としての所要時間、各リンクの渋滞の度合いを示す渋滞度、各リンクの車速等の統計データがリンクデータとして記憶されている。
【0021】
この場合、前記所要時間、渋滞度、車速等のリンクデータは、該リンクデータが変化する要因、すなわち、リンクデータ変化要因とともに記憶されている。前記要因には、時間的要因、カレンダー要因、気象要因、偶発的要因等がある。前記時間的要因は、例えば、15分間程度の狭い時間帯、1時間程度の広い時間帯、朝、昼、夕、夜、深夜等のより広い大別された時間帯等であり、同じリンクであっても、時間帯が異なれば、所要時間、渋滞度、車速等が変化する。また、前記カレンダー要因には、曜日、日付、季節等があり、同じリンクであっても、週末と週日とで、所要時間、渋滞度、車速等が変化し、五十日(ごとうび)、連休期間、連休明け、盆休み、年末年始、夏休み等も普段とは所要時間、渋滞度、車速等が変化する。さらに、前記偶発的要因には、事故、通行規制、お祭りやスポーツ大会のようなイベント等があり、同じリンクであっても、事故、通行規制、イベント等がある場合には、所要時間、渋滞度、車速等が変化する。なお、前記初期データベース12が記憶するデータは、例えば、車載装置が工場において出荷される時点、車載装置が販売店において販売される時点等の初期状態において、入力された初期データである。
【0022】
また、走行履歴取得部13は、スピードメータ、車速センサ等から取得した車両の車速、現在位置検出処理部が検出した車両の位置情報、走行軌跡等の情報を含む走行履歴情報を取得して、データベース補正部11に送信する。前記走行履歴情報は、車両が走行した道路のリンクに関連付けられて取得される。なお、前記走行履歴取得部13がデータベース補正部11に送信する走行履歴情報は、車両の走行中に逐次取得されるものであってもよいし、記憶手段に蓄積されたものであってもよい。
【0023】
そして、データベース補正部11は、前記走行履歴取得部13から受信した走行履歴情報を利用して、初期データベース12に記憶されているリンクデータを補正し、更新されたリンクデータを記憶する更新後データベース14を作成する。この場合、データベース補正部11は、蓄積された走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正するようになっているが、車両の走行中に逐次取得される走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正してもよい。蓄積された走行履歴情報を利用する場合には、車両が停止しているときに前記リンクデータを一括して補正する。例えば、毎日1回、毎週1回等のタイミングで、一括して補正する。また、車両の走行中に逐次取得される走行履歴情報を利用する場合には、車両が走行しているときに前記リンクデータを逐次補正する。そして、ナビゲーション処理部は、更新後データベース14に記憶されている補正されたリンクデータを使用して目的地までの経路を探索することによって、道路状況が変化したり、道路環境が変化したりして、短期間で所要時間に大きな変化が生じた場合であっても、所要時間が短く適切な経路を探索することができる。
【0024】
なお、初期データベース12と更新後データベース14とは、同一のものであってもよい。この場合、初期データベース12に記憶されたリンクデータを、走行履歴情報を利用して補正したリンクデータによって更新する。すなわち、上書きする。これにより、初期データベース12は更新後データベース14によって置き換えられる。そして、以降においてリンクデータを補正する場合、データベース補正部11は前記更新後データベース14に記憶されているリンクデータを補正して更新する。したがって、ナビゲーション処理部は、更新後データベース14にアクセスすることによって、最新の走行履歴情報でアップデートされたリンクデータを使用することができる。
【0025】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの動作について説明する。本実施の形態においては、車載装置が蓄積された走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する動作について説明する。
【0026】
図2は本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する動作を示すフローチャートである。
【0027】
この場合、車載装置は、走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する動作を例えば、毎日1回、毎週1回程度行うようになっている。そして、前記動作を開始すると、ループをスタートして、すべてのデータ分繰り返すようになっている。すなわち、すべてのリンクデータについて、後述する動作を繰り返し行う。続いて、前記車載装置は、要因を最小にする。すなわち、要因を最下位の最も細かい分類分けの階層に属するものとして、要因の対象範囲が最小となるようにする。
【0028】
本実施の形態においては、取得した走行履歴情報をリンクデータが変化する要因に従って区分し、初期データベース12に記憶されているリンクデータを要因毎に、対応する走行履歴情報を利用して、補正するようになっている。例えば、前記要因が時間的要因である場合、取得した走行履歴情報を狭い時間帯毎に区分し、初期データベース12に記憶されているリンクデータを各時間帯毎に対応する走行履歴情報を利用して補正する。
【0029】
しかし、蓄積された走行履歴情報が少ない場合、走行履歴を狭い時間帯毎に区分すると、走行履歴情報の存在しない時間帯が多くなって、リンクデータを各時間帯毎に補正することができなくなってしまう。例えば、ある道路を走行する頻度が低く、1日1回程度、1週間に数回程度等であると、前記道路を走行する時間帯が限られてしまうので、前記道路の各リンクについての走行履歴情報が限られた時間帯のものだけとなり、他の時間帯のリンクデータを補正することができなくなってしまう。しかしながら、最新の走行履歴情報でアップデートされたリンクデータを使用することができるようにするという観点から、できる限り早期にリンクデータを補正することが望ましい。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、蓄積した走行履歴情報の数が少ない場合、まず、分類段階が上位の階層、すなわち、より粗い分類分けの階層に属する要因に従って走行履歴情報を区分し、初期データベース12に記憶されているリンクデータを、より粗い分類分けの階層に属する要因毎に、対応する走行履歴情報を利用して、補正するようになっている。例えば、前記要因が時間的要因である場合、分類段階が最上位の最も粗い分類分けの階層は、朝、昼、夕、夜、深夜等の大別された時間帯であり、次の階層は、例えば、1時間程度の広い時間帯であり、最下位の最も細かい分類分けの階層は、例えば、15分間程度の狭い時間帯である。なお、前記階層の段階数はいくつであってもよい。
【0031】
そのため、前記車載装置は、要因を最小のものとした後、設定された要因にて走行履歴数が必要サンプル数あるか否かを判断する。すなわち、対象範囲が最小となる要因に対応する走行履歴情報の数があらかじめ定められた必要サンプル数以上あるか否かを判断する。例えば、前記要因が時間的要因であり、最小のもので狭い時間帯とした場合、該当するリンクに関し、各時刻に対応する走行履歴情報の数があらかじめ定められた必要サンプル数以上あるか否かが判断される。なお、前記必要サンプル数は任意に設定することができる。
【0032】
そして、要因に対応する走行履歴情報の数が必要サンプル数以上でない場合、前記車載装置は要因を1段階粗くする。すなわち、1段階上位の階層に属する要因を選択して設定する。例えば、各時刻に対応する走行履歴情報の数が必要サンプル数以上でない場合、要因として広い時間帯を設定する。そして、再び、設定された要因にて走行履歴数が必要サンプル数あるか否かを判断する。
【0033】
また、要因に対応する走行履歴情報の数が必要サンプル数以上である場合、前記車載装置は統計値算出などの補正を行う。すなわち、所要時間、渋滞度、車速等のリンクデータを走行履歴情報を利用して補正する。この場合、前記リンクデータに走行履歴情報を加味して統計処理を行って、リンクデータを算出し直すことによって補正する。
【0034】
そして、前記車載装置は、前述の動作をすべてのデータ分繰り返し、すなわち、すべてのリンクデータについて、前述の動作を繰り返し行い、リンクデータがなくなると、ループエンドとして、処理を終了する。
【0035】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 ステップS6までの動作をすべてのデータ分繰り返す。
ステップS2 要因を最小にする。
ステップS3 設定された要因にて走行履歴数が必要サンプル数あるか否かを判断する。設定された要因にて走行履歴数が必要サンプル数ある場合はステップS5に進み、設定された要因にて走行履歴数が必要サンプル数ない場合はステップS4に進む。
ステップS4 要因を1段階粗くする。
ステップS5 統計値算出などの補正を行う。
ステップS6 ステップS1からの動作をすべてのデータ分繰り返し、リンクデータがなくなると、処理を終了する。
【0036】
次に、要因が時間的要因である場合の動作例について説明する。
【0037】
図3は本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第1の動作例を示す図である。なお、図において、横軸に時刻を、縦軸に所要時間を採ってある。
【0038】
ここで、初期データベース12に記憶されている、あるリンクのリンクデータとしての所要時間は、図3(a)に示されるように時間的要因によって変動するものとする。そして、前記所要時間を蓄積された走行履歴情報を利用して補正する場合に、該走行履歴情報の数が、時間的要因が狭い時間帯であるときの必要サンプル数以上でもなく、さらに、時間的要因が広い時間帯であるときの必要サンプル数以上でもないとすると、時間的要因を大別した時間帯にして補正する。これにより、図3(a)に示される所要時間は、図3(b)に示されるようになる。図3(b)に示される例においては、大別した時間帯としての朝の時間帯に対応する走行履歴情報によって、朝の時間帯に対応する所要時間が補正されている。これは、同一の大別した時間帯に対応する走行履歴情報であれば、対応する狭い時間帯が相違していても、該相違による影響が比較的小さいと考えることができるからである。
【0039】
また、走行履歴情報の数がある程度多く、特定の広い時間帯に対応する走行履歴情報の数が必要サンプル数以上である場合には、特定の広い時間帯に対応する所要時間を個別に補正するようになっている。これにより、図3(b)に示される所要時間は、図3(c)に示されるようになる。図3(c)に示される例においては、特定の広い時間帯に対応する走行履歴情報によって、2つの特定の広い時間帯に対応する所要時間が個別に補正されている。これは、同一の広い時間帯に対応する走行履歴情報であれば、対応する狭い時間帯が相違していても、該相違による影響が比較的小さいと考えることができるからである。
【0040】
さらに、図3(c)に示される例においては、前記特定の広い時間帯が大別した時間帯としての昼の時間帯に該当するので、該昼の時間帯に対応する所要時間も全体として補正されている。なお、特定の広い時間帯に対応する走行履歴情報の数が多い場合には、時間帯の幅を狭くして、例えば、30分程度にして、より精度が高くなるように補正することができる。
【0041】
次に、ある時間帯に対応するリンクデータを前後の時間帯に対応する走行履歴情報を利用して補正する場合の動作例について説明する。
【0042】
図4は本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第2の動作例を示す図である。
【0043】
ここでは、ある時間帯に対応する走行履歴情報の数が少ない場合には、前記時間帯の前後の時間帯に対応する走行履歴情報を利用して前記時間帯に対応するリンクデータを補正するようになっている。なお、時間帯は、図4(a)に示されるように、15分間程度の狭い時間帯であり、9:00を中心とする時間帯に対応するリンクデータを補正するものとする。
【0044】
そして、9:00を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報の数が所定数より少ない場合には、9:00を中心とする時間帯の前後N個の時間帯に対応する走行履歴情報を利用して9:00を中心とする時間帯に対応するリンクデータを補正する。なお、前記所定数は任意に設定することができる。また、図4(a)に示される例において、Nは5であり、8:30、8:45、9:00、9:15及び9:30を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報を利用して9:00を中心とする時間帯に対応するリンクデータを補正する。これは、該当する時間帯の前後の時間帯に対応する走行履歴情報であれば、時間帯の相違による影響が比較的小さいと考えることができるからである。
【0045】
なお、他の時間帯に対応するリンクデータについても同様である。例えば、9:15を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報の数が所定数より少ない場合には、8:45、9:00、9:15、9:30及び9:45を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報を利用して9:15を中心とする時間帯に対応するリンクデータを補正する。
【0046】
また、9:00を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報の数が所定数以上の場合には、図4(b)に示されるように、9:00を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報のみを利用して9:00を中心とする時間帯に対応するリンクデータを補正する。なお、他の時間帯に対応するリンクデータについても同様である。例えば、9:15を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報の数が所定数以上の場合には、9:15を中心とする時間帯に対応する走行履歴情報のみを利用して9:15を中心とする時間帯に対応するリンクデータを補正する。
【0047】
次に、要因がカレンダー要因としての曜日である場合に他の曜日に対応する走行履歴情報を利用して補正する場合の動作例について説明する。
【0048】
図5は本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第3の動作例を示す図である。
【0049】
ここでは、カレンダー要因としての曜日が週日、すなわち、平日と、週末、すなわち、休日とに大別されている。そして、ある曜日に対応する走行履歴情報の数が少ない場合には、前記曜日と同一の大別された区分に属する曜日に対応する走行履歴情報を利用して前記曜日に対応するリンクデータを補正するようになっている。すなわち、図5(a)に示されるように、平日に属する曜日に対応する走行履歴情報の数が少ない場合には平日に属する曜日に対応する走行履歴情報を利用して前記曜日に対応するリンクデータを補正し、また、休日に属する曜日に対応する走行履歴情報の数が少ない場合には休日に属する曜日に対応する走行履歴情報を利用して前記曜日に対応するリンクデータを補正するようになっている。これは、平日同士又は休日同士に対応する走行履歴情報であれば、曜日の相違による影響が比較的小さいと考えることができるからである。
【0050】
また、ある曜日に対応する走行履歴情報の数が所定数以上の場合には、図5(b)に示されるように、前記曜日に対応する走行履歴情報のみを利用して前記曜日に対応するリンクデータを補正する。なお、前記所定数は、任意に設定することができる。図5(b)に示される例においては、月曜日、水曜日及び土曜日に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるので、月曜日、水曜日及び土曜日に対応するリンクデータは、それぞれ、月曜日、水曜日及び土曜日に対応する走行履歴情報のみを利用して補正されるようになっている。これにより、より高い精度で補正することができる。
【0051】
なお、対応する走行履歴情報の数が少ない曜日に対応するリンクデータは、図5(a)に示される例と同様に、前記曜日と同一の大別された区分に属する曜日に対応する走行履歴情報を利用して補正される。
【0052】
このように、本実施の形態においては、車両が実際に道路を走行した際に取得された走行履歴情報を利用してリンクデータを補正するようになっている。そして、補正の対象となるリンクデータに対応する要因に対応する走行履歴情報の数に応じて、利用する走行履歴情報を選択する。具体的には、要因に対応する走行履歴情報の数が少ない場合、より粗い分類分けの階層に属する要因に従って走行履歴情報を区分し、前記リンクデータをより粗い分類分けの階層に属する要因毎に、対応する走行履歴情報を利用して補正するようになっている。そのため、走行履歴情報の数が少なくても、リンクデータを迅速に補正することができ、最新の走行履歴情報でアップデートされたリンクデータを使用することができる。
【0053】
したがって、例えば、道路が拡幅されて道路状況が変化したり、集客力の高いショッピングセンタが開店して道路環境が変化したりして、リンクデータに大きな変化が生じた場合であっても、該リンクデータが前記道路状況や道路環境の変化に応じて迅速に補正されるので、前記道路状況や道路環境が変化した直後であっても、前記リンクデータを使用して目的地までの経路を探索することによって、所要時間が短く適切な経路を探索することができる。
【0054】
また、要因に対応する走行履歴情報の数が多い場合には、より細かい分類分けの階層に属する要因に従って走行履歴情報を区分し、前記リンクデータをより細かい分類分けの階層に属する要因毎に、対応する走行履歴情報を利用して補正するようになっている。そのため、リンクデータをより高い精度で適切に補正することができる。すなわち、走行履歴情報の数に応じた精度でリンクデータを補正することができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、要因が時間的要因及びカレンダー要因の場合についてのみ説明したが、気象要因、偶発的要因等の他の要因の場合についても同様に本実施の形態を適用することができる。また、本実施の形態においては、リンクデータが所要時間の場合についてのみ説明したが、渋滞度、車速等の他のリンクデータの場合についても同様に本実施の形態を適用することができる。さらに、本実施の形態においては、車載装置のみがデータベース更新部10を有する場合について説明したが、情報提供サーバがデータベース更新部10を有し、前記情報提供サーバにおいてリンクデータを補正する場合についても同様に本実施の形態を適用することができる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0057】
図6は本発明の第2の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する動作を示すフローチャートである。
【0058】
本実施の形態においては、車載装置が車両の走行中に逐次取得される走行履歴情報を当該走行履歴情報に対応する要因以外の要因に対応する走行履歴情報として展開し、リンクデータを逐次補正する動作について説明する。
【0059】
まず、車載装置は、最新の走行履歴情報を取得する。そして、ループをスタートして、展開先の候補数分繰り返すようになっている。すなわち、新規に取得した走行履歴情報に対応する要因以外の要因であって、前記走行履歴情報を展開する先となり得る要因の数だけ繰り返すようになっている。
【0060】
本実施の形態においては、取得した走行履歴情報をリンクデータが変化する要因に従って区分して記憶手段に蓄積するようになっている。そして、要因毎に区分して蓄積された走行履歴情報を利用して、初期データベース12に記憶されているリンクデータを要因毎に補正することができる。例えば、前記要因がカレンダー要因及び時間的要因である場合、取得した走行履歴情報を曜日毎、かつ、狭い時間帯毎に区分して蓄積する。
【0061】
しかし、走行履歴を曜日毎、かつ、狭い時間帯毎に区分すると、走行履歴情報の存在しない曜日及び時間帯が多くなって、リンクデータを補正するために十分な数の走行履歴情報を蓄積するまでに時間がかかってしまう。例えば、ある道路を走行する頻度が低く、1日1回程度、1週間に数回程度等であると、前記道路を走行する時間帯が限られてしまうので、前記道路の各リンクについての走行履歴情報が限られた曜日及び時間帯のものだけとなり、他の曜日及び時間帯の走行履歴情報を蓄積するまでに時間がかかってしまう。そのため、リンクデータを補正することができなくなってしまう。しかしながら、最新の走行履歴情報でアップデートされたリンクデータを使用することができるようにするという観点から、できる限り早期に走行履歴情報を蓄積することが望ましい。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、新規に取得した走行履歴情報を、当該走行履歴情報に対応する要因以外の要因に対応する走行履歴情報として展開し、蓄積するようになっている。この場合、当該走行履歴情報に対応する要因以外の要因、すなわち、展開する先となり得る要因はあらかじめ設定されている。新規に取得した走行履歴情報に対応する要因を最小のものとすると、該要因よりも分類段階が上位の階層、すなわち、より粗い分類分けの階層に属する要因を抽出する。そして、前記最小の要因と同じ階層に属する他の要因であって、抽出された前記上位の階層に属する要因に含まれるものを展開する先となり得る要因として設定する。
【0063】
例えば、前記新規に取得した走行履歴情報に対応する要因が時間的要因である場合、下位の最も細かい分類分けの階層が10:00を中心とする15分間の狭い時間帯であるとする。この場合、前記時間的要因が属する1段階上の階層の時間的要因は10:00を中心とする1時間の広い時間帯である。そこで、10:00を中心とする1時間に含まれる狭い時間帯であって、10:00を中心とする15分間の時間帯以外の時間帯として、その前後の時間帯である9:45を中心とする15分間の時間帯及び10:15を中心とする15分間の時間帯が展開する先となり得る要因として設定される。
【0064】
また、例えば、前記新規に取得した走行履歴情報に対応する要因がカレンダー要因である場合、下位の最も細かい分類分けの階層が火曜日であるとする。この場合、前記カレンダー要因が属する1段階上の階層のカレンダー要因は平日である。そこで、平日であって、火曜日以外の曜日として、月曜日、水曜日、木曜日及び金曜日が展開する先となり得る要因として設定される。
【0065】
そして、前記車載装置は、展開先が必要数で満たされているか否かを判断する。すなわち、展開する先として設定された要因に対応する走行履歴情報が既に所定の必要サンプル数以上蓄積されているか否かを判断する。なお、該必要サンプル数は任意に設定することができる。ここで、展開先が必要数で満たされていない場合には、展開して初期データベース12の補正を行う。すなわち、前記新規に取得した走行履歴情報を展開する先となり得るものとして設定された要因に対応する走行履歴情報として蓄積し、蓄積された該走行履歴情報を利用して展開する先として設定された要因に対応するリンクデータを補正する。そして、前記車載装置は、前述の動作を走行履歴情報を展開する先となり得る要因の数分繰り返し行う。
【0066】
また、展開先が必要数で満たされているか否かを判断して満たされている場合、前記車載装置は、展開先がすべて展開先自身の要因で満たされているか否かを判断する。すなわち、展開する先となり得る要因に対応して蓄積されている走行履歴情報のすべてが、本来当該要因に対応するものであるか否かを判断する。そして、展開先自身の要因で満たされていない場合、他要因の1番古いものと置き換えて初期データベース12の補正を行う。この場合、前記車載装置は、蓄積された走行履歴情報に含まれている本来当該要因に対応するものでない走行履歴情報、すなわち、本来は他の要因に対応する走行履歴情報であって展開されてきた走行履歴情報を、前記新規に取得した走行履歴情報によって置き換える。その後、蓄積された走行履歴情報を利用して展開する先として設定された要因に対応するリンクデータを補正する。そして、前記車載装置は、前述の動作を走行履歴情報を展開する先となり得る要因の数分繰り返し行う。
【0067】
さらに、展開先がすべて展開先自身の要因で満たされているか否かを判断して満たされている場合、前記車載装置は、補正を行わない。すなわち、リンクデータを補正することなく、前述の動作を走行履歴情報を展開する先となり得る要因の数分繰り返し行う。なお、展開する先となり得る要因がなくなると、ループエンドとして、処理を終了する。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 最新の走行履歴情報を取得する。
ステップS12 ステップS18までの動作を展開先の候補数分繰り返す。
ステップS13 展開先が必要数で満たされているか否かを判断する。展開先が必要数で満たされている場合はステップS14に進み、展開先が必要数で満たされていない場合はステップS17に進む。
ステップS14 展開先がすべて展開先自身の要因で満たされているか否かを判断する。展開先がすべて展開先自身の要因で満たされている場合はステップS15に進み、展開先がすべて展開先自身の要因で満たされていない場合はステップS16に進む。
ステップS15 補正を行わない。
ステップS16 他要因の1番古いものと置き換えて初期データベース12の補正を行う。
ステップS17 展開して初期データベース12の補正を行う。
ステップS18 ステップS12からの動作を展開先の候補数分繰り返し、リンクデータがなくなると、処理を終了する。
【0069】
次に、要因がカレンダー要因及び時間的要因である場合に走行履歴情報を展開して蓄積する動作例について説明する。
【0070】
図7は本発明の第2の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第1の動作例を示す図である。
【0071】
ここでは、図7に示されるように、走行履歴情報がカレンダー要因としての曜日毎に区分され、かつ、時間的要因として15分間の狭い時間帯毎に区分されている。なお、説明の都合上、平日としては月曜日、火曜日及び金曜日のみが示され、時間帯としては9:45、10:00及び10:15のそれぞれから15分間の時間帯のみが示されている。なお、図7において、各曜日の各時間帯、すなわち、各要因に対応して示されている箱は、当該要因に対応するリンクデータを補正するための走行履歴情報を格納するメモリ空間を示しており、それぞれ、5つずつの部屋に区画されている。各部屋には、1つの走行履歴情報が格納されるので、各箱には5つまで走行履歴情報を格納することができる。すなわち、各要因に対応するリンクデータを補正するための走行履歴情報の必要サンプル数は、5であるものとする。
【0072】
そして、新規に取得した走行履歴情報を展開する先となり得る要因は、カレンダー要因の場合、大別された区分、すなわち、平日又は休日の区分の内の同一の大別された区分であり、時間的要因の場合、該当する時間帯とその前後の時間帯含む合計3つの時間帯であるとして設定されているものとする。これは、平日同士又は休日同士に対応する走行履歴情報であれば、曜日の相違による影響が比較的小さく、また、該当する時間帯の前後の時間帯に対応する走行履歴情報であれば、時間帯の相違による影響が比較的小さいと考えることができるからである。
【0073】
ここで、新規に取得した走行履歴情報が、例えば、火曜日の10:00から15分間の時間帯に対応するものである場合、車載装置は、前記新規に取得した走行履歴情報を火曜日の9:45及び10:15を中心とする時間帯、並びに、月曜日、水曜日、木曜日及び金曜日の9:45、10:00及び10:15から15分間の時間帯に展開しようとする。なお、土曜日及び日曜日は休日なので、展開する先となり得ない。
【0074】
しかし、図7(a)に示される例において、火曜日の9:45は、対応する走行履歴情報が必要サンプル数だけ蓄積されている。また、月曜日の10:15及び金曜日の9:45も、同様に、対応する走行履歴情報が必要サンプル数だけ蓄積されている。そのため、前記新規に取得した走行履歴情報は、図7(b)に示されるように、月曜日の9:45及び10:00、火曜日の10:00及び10:15、並びに、金曜日の10:00及び10:15に展開される。そして、前記車載装置は、蓄積された走行履歴情報を利用して、月曜日の9:45及び10:00、火曜日の10:00及び10:15、並びに、金曜日の10:00及び10:15に対応するリンクデータを補正する。
【0075】
なお、月曜日の10:15、火曜日の9:45及び金曜日の9:45に対応して蓄積されている走行履歴情報が、本来当該要因に対応しない走行履歴情報を含んでいる場合には、本来当該要因に対応しない走行履歴情報の内で1番古いものが前記新規に取得した走行履歴情報によって置き換えられる。そして、月曜日の10:15、火曜日の9:45及び金曜日の9:45に対応するリンクデータも、蓄積された走行履歴情報を利用して補正される。これは、新しい走行履歴情報を利用して補正することによって、リンクデータをより適切に補正することができるからである。
【0076】
次に、ある要因に対応するリンクデータを補正するための走行履歴情報を蓄積する動作例について説明する。
【0077】
図8は本発明の第2の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第2の動作例を示す図である。
【0078】
ここでは、あるリンクについて、月曜日の8:00から15分間の時間帯に対応するリンクデータを補正するための走行履歴情報を蓄積する場合を例に取って説明する。図8は、前記リンクデータを補正するための走行履歴情報を格納するメモリ空間に蓄積された走行履歴情報の変化を示しており、図8に示されている箱は、月曜日の8:00から15分間の時間に対応するリンクデータを補正するための走行履歴情報を格納するメモリ空間を示している。なお、前記箱は5つの部屋に区画され、各部屋には1つの走行履歴情報が格納されるので、前記箱には5つまで走行履歴情報を格納することができる。
【0079】
そして、図8における14個の箱は、該箱に格納すべき走行履歴情報が取得される毎の走行履歴情報の蓄積状態を示しており、第1回の走行履歴情報の取得から第14回の走行履歴情報の取得までに、それぞれ、対応する。また、前記箱の上方に記載された月、火、水及び金の漢字と括弧に囲まれた数字との組み合わせは、第1回〜第14回に取得された走行履歴情報を示し、漢字は走行履歴情報のカレンダー要因を示し、数字は走行履歴情報が取得された回を示している。さらに、漢字と数字との間に♯が付記されている場合、該♯は、走行履歴情報の時間的要因が8:00から15分間の時間帯でないこと、すなわち、8:00から15分間の時間帯の前後の時間帯に対応する走行履歴情報であることを示している。なお、♯が付記されていないことは、8:00から15分間以外の時間帯に対応する走行履歴情報であることを意味する。
【0080】
ここで、第1回〜第5回に対応する箱を見ると、取得された走行履歴情報が月曜日の8:00から15分間の時間帯に対応するものでなくても、月曜日の8:00から15分間の時間帯が展開先となり得る走行履歴情報であれば、順次、前記箱内に格納されて蓄積されることが分かる。そして、第5回に取得された走行履歴情報によって、前記箱が必要サンプル数以上の走行履歴情報で満たされた状態となる。すると、以降に走行履歴情報が取得された場合には、箱に対応するカレンダー要因(月曜日)及び時間的要因(8:00から15分間の時間帯)の走行履歴情報、すなわち、箱に対応する要因の走行履歴情報をその他の要因の走行履歴情報に対して優先しつつ、古い走行履歴情報を新しい走行履歴情報で置き換えるようにして、走行履歴情報を蓄積する。
【0081】
例えば、第6回に取得された走行履歴情報は、金曜日の8:00から15分間の時間帯のものであり、その他の要因の走行履歴情報である。この場合、第5回に対応する箱を見ると、その他の要因の走行履歴情報が複数格納されているので、その中で1番古いものである「火(2)」を第6回に取得された走行履歴情報で置き換える。
【0082】
また、第9回に取得された走行履歴情報は、月曜日の8:00から15分間の時間帯のものであり、箱に対応する要因の走行履歴情報である。この場合、第8回に対応する箱を見ると、その他の要因の走行履歴情報として「水(8)」及び「月♯(5)」の2個が格納されている。そして、その中で1番古いものは「月♯(5)」であるが、箱に対応するカレンダー要因のものを、箱に対応する時間的要因のものに優先させるようになっているので、「水(8)」を第9回に取得された走行履歴情報で置き換える。
【0083】
さらに、第12回及び第13回に取得された走行履歴情報は、水曜日の8:00から15分間の時間帯のもの、及び、月曜日の8:00から15分間の時間帯の前後の時間帯のものであり、その他の要因の走行履歴情報である。この場合、第11回に対応する箱を見ると、箱に対応する要因の走行履歴情報で満たされている。そのため、古い走行履歴情報であっても、その他の要因の走行履歴情報で置き換えることはない。
【0084】
なお、第14回に取得された走行履歴情報は、月曜日の8:00から15分間の時間帯のものであり、箱に対応する要因の走行履歴情報である。この場合、箱に対応する要因の走行履歴情報で満たされていても、古い走行履歴情報を新しい走行履歴情報で置き換える。
【0085】
このように、本実施の形態においては、車両が実際に道路を走行した際に逐次取得された走行履歴情報を利用してリンクデータを逐次補正するようになっている。この場合、取得した走行履歴情報を利用して、取得した該走行履歴情報に対応する要因に対応するリンクデータ及び取得した走行履歴情報に対応する要因と関連するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータを補正する。具体的には、新規に取得した走行履歴情報を当該走行履歴情報に対応する要因以外の要因に対応する走行履歴情報として展開して蓄積し、蓄積された該走行履歴情報を利用して、リンクデータを補正する。そのため、車両の走行中であっても、リンクデータを逐次補正することができ、最新の走行履歴情報でアップデートされたリンクデータを使用することができる。
【0086】
したがって、リンクデータに大きな変化が生じた場合であっても、車両の走行中にリンクデータが前記道路状況や道路環境の変化に応じて逐次補正されるので、前記道路状況や道路環境が変化した直後であっても、前記リンクデータを使用して目的地までの経路を探索することによって、所要時間が短く適切な経路を探索することができる。
【0087】
なお、本実施の形態においては、要因が時間的要因及びカレンダー要因の場合についてのみ説明したが、気象要因、偶発的要因等の他の要因の場合についても同様に本実施の形態を適用することができる。また、本実施の形態においては、車載装置のみがデータベース更新部10を有する場合について説明したが、情報提供サーバがデータベース更新部10を有し、前記情報提供サーバにおいてリンクデータを補正する場合についても同様に本実施の形態を適用することができる。
【0088】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第1の動作例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第2の動作例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第3の動作例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第1の動作例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における走行履歴情報を利用してリンクデータを補正する第2の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
11 データベース補正部
12 初期データベース
13 走行履歴取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リンクデータをリンクデータ変化要因に対応付けて記憶する記憶手段と、
(b)走行履歴情報を前記リンクデータ変化要因に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、
(c)前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、
(d)該補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数に応じて、利用する走行履歴情報を選択することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
(a)前記補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるか否かを判断し、
(b)所定数以上である場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正し、
(c)所定数以上でない場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応するリンクデータ変化要因と関連する要因に対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
(a)リンクデータをリンクデータ変化要因に対応付けて記憶する記憶手段と、
(b)走行履歴情報を前記リンクデータ変化要因に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、
(c)前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、
(d)該補正手段は、取得した走行履歴情報を利用して、取得した走行履歴情報に対応するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータ、及び、取得した走行履歴情報に対応するリンクデータ変化要因と関連するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータを補正することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
(a)前記補正手段は、取得した走行履歴情報に対応するリンクデータ変化要因と関連するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるか否かを判断し、
(b)所定数以上でない場合、前記関連するリンクデータ変化要因に対応する走行履歴情報に取得した走行履歴情報を加えた走行履歴情報を利用して、前記関連するリンクデータ変化要因に対応するリンクデータを補正する請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
(a)リンクデータを時間帯に対応付けて記憶する記憶手段と、
(b)走行履歴情報を前記時間帯に対応付けて取得する走行履歴取得手段と、
(c)前記走行履歴情報を利用して前記リンクデータを補正する補正手段とを有し、
(d)該補正手段は、補正の対象となるリンクデータに対応する時間帯に対応する走行履歴情報の数が所定数以上であるか否かを判断し、
(e)所定数以上である場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応する時間帯に対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正し、
(f)所定数以上でない場合、前記補正の対象となるリンクデータに対応する時間帯と該時間帯の前後の時間帯とに対応する走行履歴情報を利用して前記補正の対象となるリンクデータを補正することを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−17607(P2006−17607A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196444(P2004−196444)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】