説明

ナビゲーション装置、及び、ナビゲーション画像表示方法

【課題】 的確な画像情報を提供して、ドライバに円滑な経路案内を行うことが可能なナビゲーション装置、及び、ナビゲーション画像表示方法を提供する。
【解決手段】 位置・方位検出手段と、地図データ格納手段と、表示手段と、全方位画像入力手段と、全方位画像データ格納手段と、全方位画像変換手段を備え、自車両が特定の地点に近接する場合に、全方位画像データ格納手段より該当する画像データを読み出し、全方位画像変換手段に表示画像を作成させて、この表示画像を表示手段に表示するよう制御するナビゲーション装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置及び、ナビゲーション画像表示方法に関する。詳しくは、自車両の現在位置を検出し、検出した現在位置周辺の道路地図を表示するとともに、周辺の状況を風景画像として、入力、表示することもできるナビゲーション装置とナビゲーション画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図2に、従来のナビゲーション装置2の構成例をブロック図で示す。ここで、21はGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して自車両の現在位置(緯度、経度)を検出し、合わせて該現在位置の変化から自車両の進行方向を検出する位置・方位検出手段、22は位置・方位検出手段21により検出される位置・方位データ及び設定された目的地を参照し、自車両の最適な走行経路を道路地図データから予測し、誘導、指示を行う走行経路予測手段、23はCD−ROMやDVD−ROM等の記録デバイスに道路地図データを格納した地図データ格納手段、24は地図データ格納手段23から読み出される道路地図データによる現在位置周辺の地図データや、走行経路予測手段22により予測された走行経路などを表示するLCD(液晶ディスプレイ)等の表示手段、28は装置全体の処理の流れをコントロールする制御手段である。
【0003】
位置・方位検出手段21により検出される自車両の現在位置周辺の道路地図データが制御手段28によって地図データ格納手段23から読み出され、読み出された道路地図データによる道路地図が表示手段24に表示される。また、自車両位置を表す所定のマークがその道路地図上に表示される。
【0004】
さらに、ドライバが目的地を設定することにより、自車両の現在位置から目的地までの最適経路や所要時間等が走行経路予測手段22により導出され、表示中の道路地図上に経路が表示される。この様に、ナビゲーション装置は、自車両を目的地まで誘導、指示する経路案内を行っている。
【0005】
ところで、このような経路案内においては、走行時の目安或いは目印は表示画面の地図上に示されるが、進路変更すべき交差点の識別は、特に都心部においては交差点の数が非常に多く、間隔が狭いため、ドライバ等が走行中の交差点の風景から、目的の交差点を特定することは困難である。また高速道路のジャンクション等においては、走行速度が高いため、目的のジャンクションの特定を短時間で行う必要があり、従来の経路の表示だけでは不十分であった。
【0006】
そこで、道路地図データとともに、交差点周辺の画像データを記録媒体中に格納しておき、交差点に接近した時に地図による経路案内と共にその交差点の風景画像も表示できるようにしたナビゲーション装置が提案されている。
【0007】
特許文献1では、あらかじめ各交差点での画像データが格納されたCD−ROMなどの記憶媒体を用いて、任意の交差点に接近したときに、その交差点に対応する画像データを読み出し、表示手段に表示する方法が提案されている。
【0008】
また特許文献2では、車載ビデオカメラを用いて、走行中に周辺の状況を画像として記憶媒体に蓄積していく方法が提案されている。
【0009】
また特許文献3では、同様に車載カメラを用いて走行中に交差点などの画像を撮影入力し、データ格納するとともに、経路案内時には、任意の交差点に接近したときに、その交差点に対応する画像データを読み出し、表示手段に表示する方法が提案されている。
【0010】
このように、交差点などの特定地点の風景画像を表示することにより、よりわかりやすい経路案内を行えるようにしたナビゲーション装置が提案されていた。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献に開示された技術では、表示された風景画像の撮影方向が自車両の進行方向と異なると、表示画像とドライバの見る景色とが一致せず、ドライバに正確な情報提供が行えなくなる場合があった。また、建物や看板などの目印が短期間のうちに変わってしまうことがあり、記録された画像データと実際の風景とを比較しにくくなることもあった。さらに、朝と夕方では同地点でも目印となるものが変わりやすい様に、画像データを撮影した季節や時間帯とドライバが使用する時期が異なると、同地点であってもそれを確認することが難しくなることがある。
【0012】
この様な問題をカバーする方法として、例えば、多方向、あるいは、時間帯毎に撮影するなどして1つの地点に複数の画像情報を用意して、状況に応じて画像を選択する方法も考えられたが、データ量の増大は避けられず現実的なものではなかった。
【0013】
このように、ドライバに正確に的確な画像情報を提供して、画像情報を介して円滑な経路案内が行えるナビゲーション装置の登場が待たれていた。
【特許文献1】特開2000−123294号公報
【特許文献2】特開2000−280832号公報
【特許文献3】特開平8−335037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ドライバに的確な画像情報を提供することにより、円滑な経路案内を行うことが可能なナビゲーション装置、及びナビゲーション画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するために、本発明におけるナビゲーション装置、及びナビゲーション画像表示方法は以下の特徴を有する。
【0016】
(請求項1)
自車両の現在位置及び進行方向を検出し、検出結果を位置・方位データとして取得する位置・方位検出手段と、予め地図データを格納した地図データ格納手段と、自車両の走行中に、任意の地点における全方位画像データを取得する全方位画像入力手段と、該全方位画像入力手段により取得された全方位画像データを、該全方位画像データを取得したときに該位置・方位検出手段により得られた位置・方位データとともに格納する全方位画像データ格納手段と、該全方位画像データ格納手段から読み出された全方位画像データより、該位置・方位検出手段で検出した現在の位置・方位データに基づいて、自車両の進行方向に合った画像を切り出し、切り出した画像を表示用画像とする全方位画像変換手段と、該地図データ格納手段から読み出された地図データと該全方位画像変換手段で作成された表示用画像とを表示する表示手段と、自車両が走行中に、任意に設定された特定の地点を通過するときに、該全方位画像入力手段により全方位画像データを取得し、該位置・方位検出手段により取得された位置・方位データとともに、該全方位画像データ格納手段に格納するように制御するとともに、該全方位画像入力手段により全方位画像データを取得した地点に接近すると、該全方位画像データ格納手段に格納された全方位画像データを読み出して、該全方位画像変換手段により自車両の進行方向に合った表示画像を作成させて、該表示画像を該表示手段に表示するように制御する制御手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【0017】
(請求項2)
目的地を入力する入力手段と、該入力手段で入力された情報と前記位置・方位検出手段で取得された現在の位置・方位データに基づいて、自車両の走行経路を予測する走行経路予測手段と、を有し、前記制御手段は、前記表示手段が、前記地図データ格納手段より読み出した地図データ上に該走行経路予測手段で予測された自車両の走行経路を表示するように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【0018】
(請求項3)
前記全方位画像データ格納手段は、全方位画像データとともに該全方位画像データを取得した時の日時データを格納するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【0019】
(請求項4)
前記制御手段は、前記全方位画像データ格納手段に同一地点での複数の全方位画像データが格納されている時に、自車両走行中の現在の時刻に応じて日時データを選択し、それに該当する全方位画像データを読み出すように制御する、ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【0020】
(請求項5)
前記制御手段は、前記全方位画像データ格納手段に、前記全方位画像入力手段で取得した全方位画像データを新たに格納する時に、同一地点における全方位画像データがすでに該全方位画像データ格納手段に格納されていることを検知すると、すでに格納されている全方位画像データを消去し新たに取得した全方位画像データのみを格納するように制御する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【0021】
(請求項6)
前記制御手段は、前記全方位画像データ格納手段に、前記全方位画像入力手段で取得した全方位画像データを新たに格納する時に、同一地点における全方位画像データがすでに該全方位画像データ格納手段に格納されていることを検知すると、新たに取得した全方位画像データとすでに格納されている全方位画像データとを比較し、そのいずれかを選択して、該全方位画像データ格納手段に格納するように制御する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【0022】
(請求項7)
自車両が走行中に、任意の地点における全方位画像データを全方位画像入力手段により取得し、位置・方位検出手段により、該全方位画像データを取得した時の自車両の現在位置と進行方向を位置・方位データとして取得し、該全方位画像データを該位置・方位データとともに全方位画像データ格納手段に格納しておき、自車両が該全方位画像データを取得した地点に接近した時に、該全方位画像データ格納手段より該全方位画像データを読み出し、読み出した全方位画像データを、全方位画像変換手段により該位置・方位検出手段で検出した位置・方位データに基づいて自車両の進行方向に合った表示画像に変換して、該表示画像と地図データ格納手段に格納された地図データとを表示する、ことを特徴とするナビゲーション画像表示方法。
【0023】
(請求項8)
ドライバにより指定された目的地と前記位置・方位検出手段で取得した現在の位置・方位データに基づいて走行経路を予測し、予測走行経路を前記地図データ上に表示することを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション画像表示方法。
【0024】
(請求項9)
前記全方位画像入力手段により取得された全方位画像データには、該全方位画像データを取得した時の日時データが付与された状態で前記全方位画像データ格納手段に格納されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナビゲーション画像表示方法。
【0025】
(請求項10)
前記全方位画像データ格納手段に同一地点における複数の全方位画像データが格納されているときに、自車両走行中の現在の時刻に応じて日時データを選択し、それに該当する全方位画像データを読み出して、該全方位画像データより作成した画像を表示することを特徴とする請求項9に記載のナビゲーション画像表示方法。
【0026】
(請求項11)
前記全方位画像入力手段で全方位画像データを取得し、かつ、前記全方位画像データ格納手段に同一地点における過去に取得した全方位画像データが格納されていることを検知した時に、該過去に取得した全方位画像データを消去し新たに取得した全方位画像データを該全方位画像データ格納手段に格納しておくことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナビゲーション画像表示方法。
【0027】
(請求項12)
前記全方位画像入力手段で全方位画像データを取得し、かつ、前記全方位画像データ格納手段に同一地点における過去に取得した全方位画像データが格納されていることを検知した時に、該取得した全方位画像データと該過去に取得した全方位画像データとを比較し、いずれか一方の全方位画像データを選択して、選択した全方位画像データを該全方位画像データ格納手段に格納しておくことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナビゲーション画像表示方法。
【発明の効果】
【0028】
請求項1および請求項7に記載の発明では、全方位画像入力手段で得られた全方位画像データを位置・方位検出手段で検出した位置・方位データと連携させて全方位画像データ格納手段に格納できるようにした。また、全方位画像データ格納手段に格納した前述の全方位画像データを全方位画像変換手段で切り出すことにより、走行中のドライバが必要とする画像データを車両の進行方向に合わせた適切な風景画像として表示できるようにした。
【0029】
この様に、本発明では全方位画像データを位置・方位データなどの付加情報と対応させて格納することにより、ドライバの視界と同じ風景画像が表示されて、従来の道路地図表示のみの場合と比べて現在地の識別がしやすくなる。また、全方位画像データから必要な画像を切り出すので、一つの地点で方向別に複数の画像を持つ必要がなくデータ量の負荷を低減できるとともに、全方位画像データを適時記録することもできるので全方位画像データを必要に応じて追加したり更新することも可能である。さらには、道路地図データと連携した表示も可能である。
【0030】
また、請求項2および請求項8に記載の発明では、目的地への走行経路が前述の全方位画像データより切り出された風景画像とともに表示されるので、進路変更する地点などをドライバは容易に確認できるようになり、走行中の進路変更の見落としなどを防ぐことができる。
【0031】
特に、交差点やジャンクションが複雑に入り組む都心部を走行する際に、所定個所での進路変更を早めに認識することができるので効果的である。
【0032】
請求項3、請求項4、請求項5、請求項9、請求項10および請求項11に記載の発明では、全方位画像データを格納する時に、該全方位画像データを取得した時の日時をデータとして合わせて格納しているので、日時データを活用して全方位画像データを利用することができる様になった。
【0033】
すなわち、本発明によれば、同一地点での全画像データを走行の度に記録して複数の全方位画像データを蓄積しておくことで、次にその地点を走行する際には最新の画像を選択、表示することができる。これにより、例えば、走行中に目印としていた建物や看板等が変更された場合でも最新の風景を確認しながら運転することができるので、いつでも交差点を特定することができ、快適な運転を提供することが可能になる。
【0034】
また、本発明によれば、ドライバが現在走行中の時間帯と近い時間帯の画像データを選択することも可能で、たとえば、朝と夕方、あるいは夜間では同一地点でも識別しにくいことがあるので、時間帯にあった画像を表示できるようにすることで快適な運転を提供することが可能になる。
【0035】
請求項5、請求項6、請求項11および請求項12に記載の発明によれば、できるだけ少ない記憶容量で、常に最新の画像データを格納しておくことができる。あるいは撮影条件などを考慮して設定した選択基準により、その地点の識別により有効な画像データを選択し、格納しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係るナビゲーション装置およびその方法の一実施形態を図を用いて説明する。図1は、本発明に係るナビゲーション装置1の構成例をブロック図で示す。
【0037】
図1において、11はGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して自車両の現在位置(緯度、経度)を検出し、合わせて該現在位置の変化から自車両の進行方向を検出する位置・方位検出手段、12は位置・方位検出手段11により検出される位置・方位データ及び設定された目的地を参照し、自車両の走行経路を予測する走行経路予測手段、13はCD−ROMやDVD−ROM等の記録デバイスに道路地図データを格納した地図データ格納手段、14は地図データ格納手段13から読み出される道路地図データによる現在位置周辺の地図データや、走行経路予測手段12により予測された走行経路などの表示を行うLCD(液晶ディスプレイ)等の表示手段、18は装置全体の処理の流れをコントロールする制御手段である。
【0038】
また、15は、交差点などの特定地点における全周画像を得るための全方位画像入力手段であり、自車両位置を中心軸に周囲360°全方向の同時撮影を行って全周画像を形成するものである。全方位画像入力手段15の一般的な具体例としては、例えば、回転放物面鏡と1つの撮像素子とを組み合わせてなる撮像装置や、撮像素子とレンズからなるカメラユニットを複数個組み合わせた撮像装置などが挙げられる。
【0039】
16は全方位画像入力手段15により得られる画像データを格納する全方位画像データ格納手段であり、データ量の大きい画像を多数格納するため、HDD(ハードディスクドライブ)やDVD−RW、DVD−RAM等の高密度記録が可能な記録デバイスを用いる。17は全方位画像データ格納手段16より読み出される全方位画像データを円筒面投影画像に変換した後、車両の進行方向に合った画像を前述の円筒面投影画像より切り出す全方位画像変換手段である。円筒面投影画像への変換と画像の切り出し処理は、一般にCPUを用いての演算処理で行われる。
【0040】
本発明では、全方位画像入力手段15、全方位画像データ格納手段16、全方位画像変換手段17により、任意の特定地点においてナビゲーション装置1に自車両の進行方向に合わせた実際の風景画像を表示し、ドライバに正確な経路案内を行える様にした。
【0041】
ここで、本発明に係るナビゲーション装置で行われる画像データの入力処理の流れを図3を用いて説明する。図3は、全方位画像データの入力処理の流れの一例を説明するフロー図である。
【0042】
先ず、全方位画像データ格納手段16には、走行する地域の各特定地点の全方位画像データが予め格納されているか、あるいは、格納可能な容量が確保されている。自車両は道路走行中、位置・方位検出手段11が適時衛星電波を受信することにより、現在位置と進行方向を位置・方位データとして取得する(S301)。
【0043】
次に、制御手段18は、この位置・方位データを用いて地図データ格納手段13に格納されている地図データを検索、読み出し(S302、S303)、読み出した地図データを自車両の現在位置を示す現在位置マークとともに表示手段14上に表示させる(S304)。
【0044】
同時に、制御手段18は、予め入力しておいた目的地データとS303とを照合して、自車両の走行経路を予測し(S305)、この様にして得た走行予測経路を表示手段14上に表示する(S306)。
【0045】
また、制御手段18は、自車両が交差点などの特定地点を通過する時に、その地点の全方位画像データを取得する。具体的には、制御手段18は、現在位置が特定地点に対応する個所に接近したことを検知し(S307)、この検知結果に基づいて全方位画像入力手段15を作動させて当該地点における全方位画像撮影を開始して、画像データの入力を行う(S308)。そして、制御手段18は、現在位置が特定地点に対応する個所からある程度離れたことを検知し(S309)、この検知結果に基づいて全方位画像入力手段15による撮影を終了させる(S310)
さらに、制御手段18は、全方位画像入力手段15により得た画像データを選択基準に照らして格納する全方位画像データを決めるとともに、撮影地点の位置・方位データや撮影日時などのデータを付加して(S311)、これらを全方位画像データ格納手段16に格納する(S312)。
【0046】
S311で用いられる選択基準は、撮影した画像データを全方位画像データ格納手段16に格納するか否かを選択、決定するものであり、具体的には、撮影した画像データがすでに格納されているか否かを検出し、同一地点の画像データが既に存在する場合は格納しておくデータを更新、追加するか否かを予め決めておいた手順にしたがって判定するものである。また、全方位画像データを全方位画像データ格納手段16に格納する際には、画像圧縮などの画像処理を適宜行うことも可能である。
【0047】
ここで、全方位画像データ格納手段16における画像データの格納形態の一例を図4を用いて説明する。図4は、全方位画像データの格納形態例を示す模式図である。
【0048】
全方位画像データは、日時データ、位置・方位データといった検索に供するデータとともにデータテーブル41とし、記録媒体のデータ格納領域42に格納する。これらは全方位画像データ取得時点での日時データであり、位置・方位データである。これらデータを、読み出し時点の日時データ、位置・方位データと比較することにより、前記最新の画像データ、時間帯の近い画像データを容易に検索することができる。
【0049】
また、格納されている全方位画像の位置・方位データを参照して、読み出し時点の位置・方位データと比較することにより同一地点のデータがすでに格納されているかどうかを確認できる。その場合、用途に応じて、データを更新する、追加する、どちらかを選択して消去する、といった選択的格納を行うこともできる。
【0050】
次に、自車両が交差点に進入する時の全方位画像データの取得方法について、さらに詳細に説明する。図5は、交差点走行時における全方位画像データの入力例を示す模式図であり、車両が交差点Aを通過する際の走行経路として、51あるいは52の走行経路をとった場合に取得される画像データについて説明するものである。
【0051】
制御手段18は、位置・方位検出手段11により取得した位置・方位データと、それに基づき地図データ格納手段13より読み出した地図データとから、走行中の車両が交差点Aに進入しようとしていることを予測し、車両が交差点Aを通過するタイミングで、全方位画像入力手段15により、交差点A周辺の建物A〜Dを含む全方位画像データを位置・方位データと関連づけながら複数枚連続して取得する。
【0052】
さらに制御手段18は、こうして得られた複数の位置・方位データと全方位画像データから、道路地図データを元に、もっとも交差点の中央部に近い地点で撮影された画像データを選択する。また、他の方法として、得られた複数の全方位画像データを比較し、もっとも交差点Aの周囲の様子についての撮影条件のよい画像データを選択することも可能である。
【0053】
選択された全方位画像データは、制御手段18により、位置・方位データ、および日時データとともに全方位画像データ格納手段16に格納される。この場合、地図データ格納手段13の格納データと関連づけて格納していくことが望ましい。これにより、常に表示手段14に表示されている地図データを基準に、全方位画像データ格納手段16から画像データを読み出すことができ、検索が容易になり、読み出し時間の短縮が可能になる。
【0054】
また、交差点Aを通過した時に記録した全方位画像データが、全方位画像データ格納手段16内にすでに格納されている場合には、格納方法として次のような三つの記録方法が挙げられる。
(a)過去に格納した全方位画像データに上書きする。
(b)過去に格納した全方位画像データと、今回取得した全方位画像データを比較し、撮影条件のよい方の画像データのみを格納する。
(c)過去に格納した全方位画像データに、今回取得した全方位画像データを追加して格納する。
【0055】
これらは、それぞれ以下のような特徴を有するので、これらの特徴を考慮することにより、目的に応じた格納方法を選択することが可能である。すなわち、
(a)は、常に最新の画像データのみを格納するので、ドライバにとって目印となる建物や看板が頻繁に変化する都心部などにおいて有効である。また保存するデータ量も最小限に収めることができる。
(b)は、常に撮影条件のよい画像データのみを格納するので、より鮮明で識別しやすい画像を表示することができる。また保存するデータ量も最小限に収めることができる。
(c)は、各時間帯別に画像データが揃うので、最も時間帯の近い画像を表示させることができ、時間帯による交差点の風景の変化に対応することができる。
【0056】
この他の方法として、画像データの格納は常に追加方式で順次格納し、読み出しの際に撮影条件等によって選択することも可能である。但し、保存するデータ量は多くなる。
【0057】
次に、図6を参照して、全方位画像データ出力処理の流れを説明する。図6は、全方位画像データの出力処理の流れの一例を説明するフロー図である。
【0058】
全方位画像データ格納手段16には、すでに走行する地域の各特定地点で取得された全方位画像データが格納されている。道路走行中に位置・方位検出手段11が適時衛星電波を受信して位置・方位データを取得する(S601)。該位置・方位データに基づき、制御手段18が該当する周辺道路地図データを地図データ格納手段13から読み出し(S602、603)、現在位置マークとともに表示手段14に表示する(S604)。
【0059】
目的地が設定されているときは、前記位置・方位データに基づき、走行経路予測手段12が、現在地点、現在進行方向からの適切な走行経路を予測し(S605)、表示手段14に道路地図と合わせて表示する(S606)。その走行予測経路に従って走行中、周辺道路地図データで交差点などの各特定地点に該当する地点に現在位置マークが近接してきた場合(S607)、制御手段18は随時全方位画像データ格納手段16からその各特定地点に該当する位置データを有する全方位画像データを読み出し(S608、609)、表示手段14に風景画像として表示する(S611)。
【0060】
表示手段14上に表示させる画像データは、読み出された全方位画像データから全方位画像変換手段17により変換、選択されたものが用いられる(S610)。具体的には、先ず、全方位画像変換手段17が、読み出された全方位画像データを円筒面投影画像に変換処理するとともに、制御手段18が、該読み出された全方位画像データに付加された方位データと走行中の自車両の方位データとを比較する。そして、前記変換された円筒面投影画像中より自車両の方位データと一致する方位データとなる領域を見つけて、全方位画像変換手段17により当該領域の画像データを切り出させる。ついで制御手段18は、切り出した画像データを表示手段14に表示させるように制御する。このようにして、表示手段14には、自車両を運転するドライバの視界に入る風景と一致する画像が表示されるので、ドライバは進路変更すべき交差点の識別を表示手段14に表示された画像から容易に行えるようになる。
【0061】
表示手段14上に表示する画像データは、画像伸張などの画像処理を適宜行うことも可能である。また、前述の(c)の様に、同一地点において複数の全方位画像データが全方位画像データ格納手段16に格納されている場合には、次のような選択的読み出しも可能である(S608)。例えば、制御手段18により各画像データに付加されている日時データを参照して最新データを選択したり、あるいは、走行中の現時点の日時データと比較することで、最も近い時間帯となる画像データを選択し、これを表示させることも可能である。
【0062】
前述の図4を参照して、本発明における全方位画像データの選択的読み出しについて説明する。
【0063】
図4に示すような形態で、全方位画像データは、その取得時点の日時データ、位置・方位データとともに格納されている。これらのデータを読み出し時点の日時データ、位置・方位データと比較することにより、前記最新の画像データ、時間帯の近い画像データを容易に検索することができる。
【0064】
たとえば、格納されている全方位画像データの位置・方位データを参照し、同一地点と見なされる複数の全方位画像データがあるような場合、それらの日時データを参照し、読み出し時点の日時データと最も近い、すなわち最新の画像データを選択的に読み出すこともできる。また、時間データのみを参照し、読み出し時点の時間データと最も近い、すなわち時間帯の最も近い画像データを選択的に読み出すこともできる。
【0065】
図7と図8を参照して、交差点走行時の全方位画像データの読み出し、表示について説明する。
【0066】
図7は、走行予測経路と周囲の建物の状況を示す例である。ここでは、走行予測経路は交差点Bを直進して交差点Aで右折するものであり、ドライバとしては進路を変更すべき交差点Aを事前に認識する必要があるものとする。
【0067】
そこで進路を変更すべき交差点Aにさしかかるより前のタイミングで、制御手段18は、交差点Aに近接しつつあることを予測し、交差点Aに対応する全方位画像、すなわち過去に交差点Aで記録した全方位画像データを全方位画像データ格納手段16から読み出す。読み出された交差点Aの全方位画像データを、全方位画像変換手段17により、車両の進行方向にあわせて切り出し、建物A、Bを含む交差点Aの表示画像に変換して、表示手段14に表示する。
【0068】
図8には、図7に示した走行予測経路に基づいて表示手段14に表示される風景画像と走行経路の表示例を示す。この場合、建物A、B等により識別可能な実際の交差点Aの風景画像に、直進すべきか、右折すべきかといった走行経路の案内が重ねて表示されている。これによって、都心部などで、近距離間に交差点が接近している場合などにおいても、ドライバは進路を変更すべき交差点を容易に限定することが可能になる。
【0069】
また、進路を変更する場合はもちろん、交差点Aを直進する場合においても、目印となる風景画像を直進する旨の矢印とともに表示させることにより、ドライバは現在の走行経路に間違いのないことを確認することができる。
【0070】
以上のように実施形態を説明してきたが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0071】
たとえば車両以外にも船舶、飛行機、歩行者など、様々な移動体に適用することもできる。また車両の場合、全方位画像入力の手段としてのカメラは車両の屋根上に取り付ける以外に、四隅に分散して搭載するなど、全方位に死角がなければ種々の搭載形態が可能である。全方位画像入力のタイミングについても、設定された地点に近接した場合、自動的に入力する以外にも、ドライバなどの指定や設定に応じて入力が実施されるような形態でもよい。
【0072】
全方位データの格納に当たっても、さらに検索用のデータを付け加えてもよい。たとえば天候や季節などで同一地点の画像データを検索できるようにすれば、風景画像の確認がさらに容易になる。また格納媒体は着脱可能で交換できるようにしてもよいし、送受信可能ならばさらに応用範囲は広がる。またデータの格納に当たっては、用途に応じた適切なデジタル信号処理を行ってもよい。
【0073】
全方位画像の表示に当たっては、ドライバの視界と一致した方向の画像を切り出すが、ドライバの設定により方向や画角などに自由度を持たせてもよい。また表示の形態についても、地図との表示切り替えや、マルチ画面など任意に設定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明のナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】従来のナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】全方位画像データの入力処理フロー図である。
【図4】全方位画像データの格納形態図である。
【図5】交差点走行時の全方位画像データ入力地点の例を示す図である。
【図6】全方位画像データの出力処理フロー図である。
【図7】走行予測経路と周囲の建物の位置関係の例を示す図である。
【図8】図7の走行予測経路に対する表示の例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
11、21 位置・方位検出手段
12、22 走行経路予測手段
13、23 地図データ格納手段
14、24 表示手段
15 全方位画像入力手段
16 全方位画像データ格納手段
17 全方位画像変換手段
18、28 制御手段
41 データテーブル
42 データ格納領域
51 走行経路1
52 走行経路2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置及び進行方向を検出し、検出結果を位置・方位データとして取得する位置・方位検出手段と、
予め地図データを格納した地図データ格納手段と、
自車両の走行中に、任意の地点における全方位画像データを取得する全方位画像入力手段と、
該全方位画像入力手段により取得された全方位画像データを、該全方位画像データを取得したときに該位置・方位検出手段により得られた位置・方位データとともに格納する全方位画像データ格納手段と、
該全方位画像データ格納手段から読み出された全方位画像データより、該位置・方位検出手段で検出した現在の位置・方位データに基づいて、自車両の進行方向に合った画像を切り出し、切り出した画像を表示用画像とする全方位画像変換手段と、
該地図データ格納手段から読み出された地図データと該全方位画像変換手段で作成された表示用画像とを表示する表示手段と、
自車両が走行中に、任意に設定された特定の地点を通過するときに、該全方位画像入力手段により全方位画像データを取得し、該位置・方位検出手段により取得された位置・方位データとともに、該全方位画像データ格納手段に格納するように制御するとともに、
該全方位画像入力手段により全方位画像データを取得した地点に接近すると、該全方位画像データ格納手段に格納された全方位画像データを読み出して、該全方位画像変換手段により自車両の進行方向に合った表示画像を作成させて、該表示画像を該表示手段に表示するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
目的地を入力する入力手段と、
該入力手段で入力された情報と前記位置・方位検出手段で取得された現在の位置・方位データに基づいて、自車両の走行経路を予測する走行経路予測手段と、
を有し、前記制御手段は、
前記表示手段が、前記地図データ格納手段より読み出した地図データ上に該走行経路予測手段で予測された自車両の走行経路を表示するように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記全方位画像データ格納手段は、全方位画像データとともに該全方位画像データを取得した時の日時データを格納するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記全方位画像データ格納手段に同一地点での複数の全方位画像データが格納されている時に、自車両走行中の現在の時刻に応じて日時データを選択し、それに該当する全方位画像データを読み出すように制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記全方位画像データ格納手段に、前記全方位画像入力手段で取得した全方位画像データを新たに格納する時に、同一地点における全方位画像データがすでに該全方位画像データ格納手段に格納されていることを検知すると、
すでに格納されている全方位画像データを消去し新たに取得した全方位画像データのみを格納するように制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記全方位画像データ格納手段に、前記全方位画像入力手段で取得した全方位画像データを新たに格納する時に、同一地点における全方位画像データがすでに該全方位画像データ格納手段に格納されていることを検知すると、
新たに取得した全方位画像データとすでに格納されている全方位画像データとを比較し、そのいずれかを選択して、該全方位画像データ格納手段に格納するように制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
自車両が走行中に、任意の地点における全方位画像データを全方位画像入力手段により取得し、
位置・方位検出手段により、該全方位画像データを取得した時の自車両の現在位置と進行方向を位置・方位データとして取得し、
該全方位画像データを該位置・方位データとともに全方位画像データ格納手段に格納しておき、
自車両が該全方位画像データを取得した地点に接近した時に、該全方位画像データ格納手段より該全方位画像データを読み出し、
読み出した全方位画像データを、全方位画像変換手段により該位置・方位検出手段で検出した位置・方位データに基づいて自車両の進行方向に合った表示画像に変換して、該表示画像と地図データ格納手段に格納された地図データとを表示する、
ことを特徴とするナビゲーション画像表示方法。
【請求項8】
ドライバにより指定された目的地と前記位置・方位検出手段で取得した現在の位置・方位データに基づいて走行経路を予測し、予測走行経路を前記地図データ上に表示することを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション画像表示方法。
【請求項9】
前記全方位画像入力手段により取得された全方位画像データには、該全方位画像データを取得した時の日時データが付与された状態で前記全方位画像データ格納手段に格納されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナビゲーション画像表示方法。
【請求項10】
前記全方位画像データ格納手段に同一地点における複数の全方位画像データが格納されているときに、自車両走行中の現在の時刻に応じて日時データを選択し、それに該当する全方位画像データを読み出して、該全方位画像データより作成した画像を表示することを特徴とする請求項9に記載のナビゲーション画像表示方法。
【請求項11】
前記全方位画像入力手段で全方位画像データを取得し、かつ、前記全方位画像データ格納手段に同一地点における過去に取得した全方位画像データが格納されていることを検知した時に、
該過去に取得した全方位画像データを消去し新たに取得した全方位画像データを該全方位画像データ格納手段に格納しておくことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナビゲーション画像表示方法。
【請求項12】
前記全方位画像入力手段で全方位画像データを取得し、かつ、前記全方位画像データ格納手段に同一地点における過去に取得した全方位画像データが格納されていることを検知した時に、
該取得した全方位画像データと該過去に取得した全方位画像データとを比較し、いずれか一方の全方位画像データを選択して、選択した全方位画像データを該全方位画像データ格納手段に格納しておくことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナビゲーション画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−170934(P2006−170934A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367432(P2004−367432)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】