説明

ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム

【課題】できるだけ重複経路を走行することなく、より確実に駐車可能にする。
【解決手段】目的地付近の駐車場を案内する際、複数の駐車場を経由する経路探索と案内を行うことで、駐車できる確率を効率よく向上させるものである。すなわち、各駐車場の満空情報(統計)に基づく駐車期待値(駐車確率)から複数の候補駐車場を決定し、各候補駐車場を連続的に経由することで、最後に案内する駐車場までのいずれかの駐車場に駐車できる合計期待値と、目的地までの合計距離コストから、走行経路を決定する。具体的には、経由駐車場候補となる目的地周辺の駐車場を検出し各々の駐車確率を駐車場データから取得する。そして、検索した駐車場の数がN個であったとすると、このN個からM個の組み合わせを求め、各組み合わせの全体の駐車確率が所定閾値Pt以上となる駐車場を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラムに係り、例えば、目的地周辺に存在する駐車場を案内する走行経路の探索に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された目的地までの走行経路を探索や通信により取得して案内するナビゲーション装置が広く普及している。このナビゲーション装置では、目的地として駐車場を設定することで駐車場を案内する場合のほか、目的地周辺の最適な駐車場を検索して駐車場までの走行経路を取得して案内するナビゲーション装置も提案されている。
例えば、特許文献1では、目的地に最も近い駐車場までの走行経路を探索して案内し、案内した駐車場が満車の場合には、他の近い駐車場を案内する技術が記載されている。
また特許文献2では、目的地に設定された駐車場が満車か否かを予め判断し、満車であれば満車を告知したうえで近傍の空駐車場までの経路を探索し案内することが記載されている。
【0003】
一方、目的地G周辺の各駐車場が複数存在する場合に、各駐車場に対する駐車可能な確率を取得し、最も駐車確率が高い駐車場を経由する走行経路を探索、案内する方法も考えられる。
例えば、図5(a)に示されるように、各駐車場の駐車確率が高い順にp1、p2、p3、p4、p5である場合、駐車確率が最も高い駐車場p1を経由する走行経路を探索、案内することになる。
【0004】
しかし、経由地指定された駐車場が満車だった場合、到着後に確認したのち、別の駐車場へ移動しなければならない。
このため、図5(b)に示されるように、実際に到着した時点で空いている駐車場に到着するまでに、目的地付近で駐車するために何度も同じ道路の往復、巡回を繰り返すことになる可能性がある。
かかる問題は、駐車確率に基づいて駐車場を案内する場合だけでなく、特許文献1、2の方法による場合も生じるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−173822号公報
【特許文献2】特開2004−177199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、できるだけ道路を重複して走行することなく、より確実に駐車可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1記載の発明では、目的地を取得する目的地取得手段と、前記取得した目的地を含む所定領域内に存在する駐車場を検索する駐車場検索手段と、前記検索した駐車場毎に駐車可能な駐車確率を取得する駐車確率取得手段と、前記駐車場の組み合わせの全体の駐車確率が所定値以上となるような駐車場の組み合わせを抽出する駐車場抽出手段と、を具備することを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2記載の発明では、前記探索した駐車場の組み合わせ毎に、駐車場を経由する経路に対する合計距離コストを算出する距離コスト算出手段と、前記算出した各経路に対する合計距離コストに基づいて走行経路を決定する走行経路決定手段と、を具備することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、前記距離コスト算出手段は、前記目的地との位置関係に応じて道路の距離コストを変更して、前記合計距離コストを算出する、ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記駐車場抽出手段は、駐車確率が所定値以上である駐車場を前記組み合わせの対象とする、ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記決定した走行経路に従い、前記走行経路と経由する駐車場を案内する案内手段と、を具備することを特徴とする請求項2、請求項3、又は請求項4に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6記載の発明では、前記案内手段で案内した最後の駐車場に駐車できなかった場合、前記走行経路決定手段は、案内した各駐車場を経由対象から除外して再度走行経路を決定する、ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置を提供する。
(7)請求項7記載の発明では、目的地を取得する目的地取得機能と、前記取得した目的地を含む所定領域内に存在する駐車場を検索する駐車場検索機能と、前記検索した駐車場毎に駐車可能な駐車確率を取得する駐車確率取得機能と、前記駐車場の組み合わせの全体の駐車確率が所定値以上となるような駐車場の組み合わせを抽出する駐車場抽出機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、目的地を含む所定領域内に存在する駐車場毎に駐車可能な駐車確率を取得し、駐車場の組み合わせの全体の駐車確率が所定値以上となるような駐車場の組み合わせが抽出されるので、より確実に駐車をすることができる。
また、例えば、抽出された組み合わせにある各駐車場を画面表示することでユーザがこれを参照しながら各駐車場を経由することにより、また抽出された組み合わせにある各駐車場を経由する走行経路を探索して案内することにより、重複経路の走行をより少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置の構成図である。
【図2】駐車場経路探索処理の内容を表したフローチャートである。
【図3】本実施形態により案内される駐車場の駐車確率と走行経路を表した説明図である。
【図4】経路案内処理の内容を表したフローチャートである。
【図5】1箇所の駐車場を案内する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラムにおける好適な実施の形態について、図1から図4を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、目的地付近の駐車場を案内する際、複数の駐車場を経由する経路探索と案内を行うことで、駐車できる確率を効率よく向上させるものである。
すなわち、各駐車場の満空情報(統計)に基づく駐車確率から複数の候補駐車場を決定し、各候補駐車場を連続的に経由することで、最後に案内する駐車場までのいずれかの駐車場に駐車できる合計駐車確率と、目的地までの合計距離コストから、走行経路を決定する。
【0011】
具体的には、経由駐車場候補となる目的地周辺の駐車場を検出し各々の駐車確率を駐車場データから取得する。そして、検索した駐車場の数がN個であったとすると、このN個からM個の駐車場からなる組み合わせを求め、各組み合わせの全体の駐車確率が所定閾値Pt以上となる駐車場を探索する。
この全体の駐車確率は、各駐車場の駐車確率を加算した合計値P1でも良く、また、全ての駐車場を経由した場合にいずれかの駐車場に駐車できる確率P2や、全駐車場に対する駐車確率の平均値P3でもよい。
なお、経由駐車場候補は、目的地からの距離・到達時間、料金等の選択基準により決定するようにしてもよい。
【0012】
本実施形態では、抽出した組み合わせに含まれるM個の駐車場(所定閾値Pt以上)の各々を経由する走行経路に対する合計距離コストを算出し、求めた合計距離コストが最も小さい走行経路を決定し、決定した走行経路に従って駐車場を案内する。
このように、目的地付近の駐車場を案内する際に、目的地付近で駐車するルートとして駐車場を複数経由するルートを案内することで、駐車できる確率を効率よく向上させると共に、道路の重複走行が少なくなる。
【0013】
ただし、探索したM個の駐車場(所定閾値Pt以上)を経由する走行経路を探索せずに、M個の駐車場をユーザに案内するようにしてもよい。
この場合、M個の各駐車場とその駐車確率とを、ディスプレイに表示されている地図上に表示することで、ユーザは複数の駐車場の位置と確率を確認しながら自己の好みの経路で各駐車場を経由することで、道路の重複走行を少なくして駐車場に止めることができる。
【0014】
走行経路を装置が決定する場合、駐車場をユーザに案内する場合のいずれにおいても、M個の駐車場の全ての駐車場が満車であった場合、再度同様にして組み合わせ全体の駐車確率Pが所定閾値Pt以上となる駐車場の組み合わせを抽出し、ユーザに案内し、又は走行経路を決定する。
この場合、実際に経由したM個の駐車場を除外する。
【0015】
なお、本実施形態では、M個の駐車場を順次経由していき、最初の空き駐車場に駐車することを前提としている。
【0016】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置は、車両に搭載され、この図1に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
【0017】
現在位置検出装置10は、以下のように構成されている。
方位センサ12は、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出する手段であり、本実施形態では、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを使用している。なお、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、方位センサ12として、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方位を検出する手段であってもよい。
【0018】
距離センサ13は、車両の移動距離を計測できる手段であり、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものを使用する。
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
【0019】
情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0020】
この情報処理制御装置20は、以下のように構成されている。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御を行う。
ROM22は、目的地までの経路の探索、表示案内や音声案内等のナビゲーションに関するプログラムや、本実施形態による複数の駐車場を経由して案内する駐車場経路探索プログラムや、複数駐車場を案内する経路案内プログラム等の各種プログラムを格納している。なお、ROM22を第1ROMと第2ROMの2つに分け、第2ROMに音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納し、他のプログラムを第1ROMに格納するようにしてもよい。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0021】
RAM24は、入力装置41により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
【0022】
通信インターフェイス25は、伝送路45を介して各種情報の入出力するための手段である。具体的には、伝送路45を介して、GPS受信装置14、入力装置41、プリンタ43、情報記憶装置50が接続される。
時計28は、例えば、水晶振動子などを用いて構成されており、時刻を刻んだり、発振によってナビゲーション装置の各部の動作タイミングを提供したりする。
その他、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための画像処理専用の画像プロセッサ、画像プロセッサで処理された画像情報を格納する画像メモリ、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理しスピーカ44に出力する音声処理専用の音声プロセッサを配設するようにしてもよい。
【0023】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
なお、入出力装置40は、プリンタ43を有しない構成としてもよい。
【0024】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、駐車場データファイル52、その他のデータファイル53を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0025】
地図データファイル51には、ナビゲーションにおける地図表示、経路探索、経路案内に必要な各種データとして、地図データ、道路データ、目的地データ、案内地点データ、詳細目的地データ、その他のデータが記憶されている。
地図データとしては、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等が記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、例えば、国道、県道以下の道幅が所定値以下の比較的狭い道路である。
地図データは、車両現在位置やユーザに指定された地点を含む、所定縮尺による一定範囲の地図がディスプレイ42に表示される。この地図上には、車両の現在位置や指定された地点が表示される。
【0026】
道路データは、各道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータで、ノードデータとリンクデータで構成される。この道路データは、経路探索やマップマッチングに使用されると共に、探索した走行経路を地図データ上に重ねて表示する場合にも使用される。
ノードデータは、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等を表したデータである。
例えば、交差点などの道路の接続点はノードにより表され、接続点の間の道路(即ち道路の内分岐しない領域)はリンクによって表される。このように、ノードデータ経路の接続関係を表した経路データとして機能している。
なお、進入禁止や一方通行など、交通規制により走行が制限されるものに関しては、これを表す属性が、各リンクに付与されているが、これらの属性については、交差点ノードに付与するようにしてもよい。
ノードデータは、各交差点に対して常に設定される交差点ノードと共に、各交差点間の特徴的な点(例えば、カーブの開始、中間、終了の各地点や、高度が変化する地点など)に補助的に設定される場合がある補助ノードが存在する。交差点ノードには、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関する情報が含まれる。
【0027】
目的地データは、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータである。
案内地点データは、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等、案内が必要とされる地点の案内データである。
目的地データには、施設としての駐車場も含まれ、いずれかの目的地(駐車場を除く)がユーザにより設定されると、複数駐車場を経由する本実施形態の駐車場経路探索の対象として、設定された目的地周辺の駐車場が検索される。
【0028】
駐車場データファイル52には、目的地データに含まれる各駐車場の満空情報が格納されている。表示における満空情報としては、各駐車場に駐車できる駐車確率が、曜日及び時間帯毎に保存されている。この満空情報は、リアルタイムに取得するものでも、また統計情報等による場合でも、その両者であってもよい。
統計による満空情報は、過去の駐車場の空き情報を曜日毎及び時間帯毎に累積記憶し、累積された空き情報の統計結果に基づいて曜日毎及び時間帯毎の満空情報が算出される。この満空情報は、各駐車場に設置された情報処理装置や情報センタが算出する。
なお、更に季節毎や月毎を加えたより詳細な分類で駐車確率を保存するようにしてもよい。
また、特定の行事日(例えば、元旦や祭日等)のように通常とは駐車量が異なる場合には、かかる特定の行事日における駐車確率を保存するようにしてもよい。この場合にも時間帯毎に駐車確率を保存するようにしてもよい。
【0029】
本実施形態における満空情報は、各駐車場についての満空情報を収集した特定のデータを、情報センタからの通信、またCD等の記憶媒体からの読み込み、その他各種方法により入手して駐車場データファイル52に保存する。
満空情報の収集については、所定の情報センタから逐次取得して更新するようにしても、個別に各駐車場から直接入手するようにしてもよい。
【0030】
その他のデータファイル53には、例えば、各種施設や観光地、または主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データや、設定した走行経路を音声により案内する場合の音声データ等が記憶されている。
【0031】
次に、以上のように構成された実施形態の動作について説明する。
なお、説明する駐車場経路探索は、目的地が設定された場合に、その周辺に存在する複数の駐車場を経由する走行経路を決定するものである。
この場合、地図画面等に本実施形態の駐車場経路探索を指示する駐車場キーを配置し、この駐車場キーが選択された場合に、以下説明する駐車場経路探索を実行する。
【0032】
図2は、駐車場経路探索処理の内容について表したフローチャートである。
まず情報処理制御装置20は、目的地を取得する(ステップ11)。この実施形態では、車両に搭載されたナビゲーション装置を前提としているため、目的地の取得はナビゲーション機能における目的地設定処理においてユーザが設定した目的地を取得することになる。
【0033】
次に情報処理制御装置20は、取得した目的地周辺の駐車場を検索する(ステップ12)。以下の説明では、この検索された駐車場の数がN個であったものとする。
目的地周辺の駐車場の検索は、取得した目的地を含む所定範囲、たとえば取得した目的地を中心とする所定距離r1(例えば、目的地まで徒歩で移動可能な距離L=1km、2km等)を半径とする領域内に存在する駐車場を候補駐車場として、地図データファイル51の目的地データのなかから検索する。
なお、所定範囲を目的地から車両側を広くし車両と反対側を狭くするようにしてもよい。例えば、上記所定距離r1を半径とする領域内に存在し、車両位置と目的地を結ぶ直線と領域(円)との交点からの距離がr2(<r1)以内の駐車場を候補駐車場としてもよい。
【0034】
情報処理制御装置20は、検索した各候補駐車場毎の駐車確率を駐車場データファイル52の満空情報から取得する(ステップ13)。
【0035】
次に、情報処理制御装置20は、全体の駐車確率Pが所定閾値Pt以上となるM個の駐車場からなる組み合わせを探索する(ステップ14)。
すなわち、情報処理制御装置20は、取得した各駐車確率に基づいて、検索したN個の駐車場から、案内対象とするM個の駐車場の全組合せを求め、駐車場の組合せ全体の駐車確率を各組合せ毎に算出する。本実施形態ではM=5に設定されているが、ユーザが適宜増減できるようにしてもよい。
この全体の駐車確率は、各駐車場の駐車確率を加算した合計値P1でも良く、また、全ての駐車場を経由した場合にいずれかの駐車場に駐車できる確率P2や、全駐車場に対する駐車確率の平均値P3でもよいが、そのいずれを採用するかによって所定閾値Ptの具体的な値は異なる。
【0036】
いずれかの駐車場に駐車できる確率TPは、次のようにして求める。
各駐車場に駐車できない確率から次のようにして求める。
ある駐車場mの駐車確率がpm(≦1)である場合、この駐車場mに駐車できない確率qmはqm=(1−pm)となる。
M個の駐車場のいずれにも駐車することができない確率Qは、Q=q1×q2×…×qmから求まる。
そして、M個の駐車場のいずれかに駐車できる確率P2は、P2=(1−Q)となる。
【0037】
全体の駐車確率が閾値Pt以上の組合せを探索した後、情報処理制御装置20は、各組合せ毎に、駐車場を経由する経路の合計距離コストを算出する(ステップ15)。
すなわち、情報処理制御装置20は、組合せに含まれるM個の各駐車場を経由地として設定し、現在位置又は出発地から、ステップ11で取得した目的地までの経路を探索し、その経路を構成する道路の距離コストの合計により合計距離コストを算出する。
なお、M個の駐車場の経由順序はM個の順列により決まり、Z1=M×(M−1)×…3×2通りの各順番で経由する場合の各経路の探索及び合計距離コストを求める。その結果、M個の駐車場の組合せ数をZ2とすると、Z1×Z2の経路の各々について合計距離コストを算出する。
【0038】
情報処理制御装置20は、M個の駐車場の全組合せに対する各走行経路の合計距離コストに基づいて、走行経路を決定し(ステップ16)、メインルーチンにリターンする。
本実施形態では、算出した各経路に対する合計距離コストが最小値となる経路を走行経路に決定し、決定した走行経路はRAM24に保存しておく。
なお、合計距離コストが少ない上位所定数の走行経路を候補経路としてユーザに提示し、そのいずれかをユーザに選択してもらうようにし、選択された候補経路を最終的な走行経路に決定するようにしてもよい。
【0039】
図3は、本実施形態の駐車場経路探索により探索された走行経路の例を表したものである。
この図3に示されるように、設定された目的地Gに対して、図5(a)で説明したと同様に、各駐車場の駐車確率が高い順にp1、p2、p3、p4、p5であった場合を例に説明する。
本実施形態では、確率が最も高い駐車場や目的地に近い駐車場を1箇所だけ案内するものではなく、M(=5)個の各駐車場を順に経由する走行経路Yを地図に表示し、この走行経路Yに従って順次経由地点としての駐車場p1、p2…を案内していく。
【0040】
本実施形態では合計距離コストを考慮しているため、必ずしも駐車確率が高い順に経由するものではなく、たとえば、図3に示すように、p1、p3、p2、p5、p4の順に案内する。
そして、情報処理制御装置20は、この走行経路に沿って最初の駐車場p1を案内し、駐車場p1が満車で駐車できなければ、次の駐車場p3を走行経路Yに沿って案内し、以下、駐車可能な空いている駐車場が見つかるまで順次案内する。図3の例では、駐車場p5が空いているので、車両はこの駐車場p5に駐車することができる。
なお、案内した駐車場が空いているか満車か否かについて、情報処理制御装置20は、案内した駐車場を通過した場合や駐車場の中に入ったとしてもそのまま駐車場外に出てきた場合には満車で駐車できないものと判断して次の駐車場を案内する。一方、駐車場においてイグニッションオフや案内終了の入力がされた場合には駐車可能であったと判断する。
【0041】
次に、経路案内処理の内容について図4のフローチャートに従って説明する。
情報処理制御装置20は、決定した走行経路をRAM24から取得し(ステップ21)、取得した走行経路に従って案内を行う(ステップ22)。
この走行経路案内は、従来から行われている走行経路の案内と同様であり、例えば、次のようにして行われる。
すなわち、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10で現在位置を検出し、情報記憶装置50の地図データファイル51から現在位置周辺の地図情報を読み込みディスプレイ42に表示する。また、図3の駐車場経路探索で決定した走行経路を地図表示に合わせてディスプレイ42に表示する。
そして、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10によって検出された現在位置を追跡することにより、経路案内を行う。
経路案内は、探索した走行経路に対応する道路データと現在位置検出装置10で検出される現在位置とのマップマッチングにより地図上の車両位置を特定し、車両現在位置周辺の地図をディスプレイ42に表示し、探索した走行経路を地図上に表示すると共に、車両の現在位置を示す現在位置マーク(図3では円内に進行方向を向いた△で表示)を地図上に表示する。
また、探索した走行経路と現在位置との関係から、案内の必要性、すなわち直進が所定距離以上続く場合、所定の進路変更地点等の走行経路の案内、及び方面案内が必要か否か等について判断し、必要である場合にはディスプレイ42の表示及び音声による案内を実行する。
【0042】
情報処理制御装置20は、車両が経由駐車場に到着したか否かを判断し(ステップ23)、駐車場でなければ(ステップ23;N)、ステップ22に戻って経路案内を継続する。
一方、経由駐車場に到着した場合(ステップ23;Y)、情報処理制御装置20は、案内(経由)した駐車場に駐車できたか否かを判断し(ステップ24)、駐車できた場合には(ステップ24;Y)、メインルーチンにリターンする。
【0043】
案内した駐車場に駐車せずに(満車の場合だけでなく、ユーザが故意に駐車しなかった場合を含む)走行を継続した場合(ステップ24;N)、情報処理制御装置20は、次の案内対象となっている経由駐車場が存在するか否かを確認する(ステップ25)。
次の案内駐車場がある場合には(ステップ25;Y)、情報処理制御装置20は、ステップ22に戻り、次の駐車場までの経路案内を継続する。
【0044】
一方、次の案内駐車場が無い場合、すなわち、案内した駐車場が経由する最後の駐車場である場合(ステップ25;N)、情報処理制御装置20は、現在案内している走行経路で案内した駐車場(経由した駐車場)を対象から除外して(N−M)個の駐車場に対して、駐車場経路探索を行う(ステップ26)。
この場合の駐車場経路探索は、目的地が既に取得済みなので図2のステップ12で検索済みのN個の駐車場から、経由した駐車場を除外した(N−M)個の駐車場を対象として、ステップ13以降の処理を行う。ただし、最初の駐車場経路探索において各駐車場毎の駐車確率も取得済みなので、これもRAM24に一時記憶させておき、ステップ12では再探索の際にはRAM24の駐車確率を使用するようにしてもよい。
【0045】
なお、ステップ26により再度の駐車場経路探索を行う場合には、ステップ12で検索した駐車場N個のうち既に案内した駐車場を除く場合について説明したが、更に、駐車確率pmが所定閾値pt以上である駐車場に絞り込んで、再度の駐車場経路探索を行うようにしてもよい。
これにより確実に駐車可能な走行経路とすることができる。
【0046】
以上説明したように本実施形態によれば、次の各効果を得ることができる。
(1)目的地周辺の駐車場を案内する場合に最適な駐車場を1箇所を案内するのではなく、複数の駐車場を経由地とした走行経路を決定して順次案内するので、より高い確率でいずれかの駐車場に駐車することができる。
(2)案内した駐車場が満車であったとしても、そのたびに別の駐車場までの経路を探索して案内するのではなく、あらかじめ複数の駐車場を順次経由する地点として走行経路が決定されているので速やかに次の駐車場を案内することができる。
(3)複数の駐車場を経由する走行経路を探索しているので、同一の道路を重複して走行することを少なくすることができ、効率的に駐車場まで移動することができる。
(4)さらに、各駐車場を経由する複数の走行経路を探索し、各走行経路のうち合計距離コストが最も小さい走行経路を決定して案内しているので、全体の移動量(走行距離)をより少なくすることができる。
(5)案内した全ての駐車場が満車であった場合であっても、他の複数駐車場を経由する走行経路を決定して案内するので、より確実に駐車することができる。
【0047】
以上、本発明のナビゲーション装置及びナビゲーションプログラムにおける1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、図2の駐車場経路探索に従い、全体の駐車確率Pが所定閾値Pt以上となるM個の駐車場の組み合わせを探索し(ステップ14)、その後M個の駐車場を経由する走行経路を探索する場合について説明したが、駐車場を経由する走行経路を探索しなくてもよい。
すなわち、全体の駐車場の駐車確率Pが所定閾値PtとなるM個の駐車場の組合せを探索し、最も駐車確率が高い組合せの駐車場M個を地図上に表示するようにしてもよい。
これにより、ユーザは目的地から各駐車場までの距離を考慮しながら重複した経路をさけた経路を自分で判断して各駐車場に順次走行することができる。この場合、目的地周辺の駐車場の全てを表示する場合と異なり、全体の駐車確率Pが高い駐車場が表示されているので無駄な走行をしたり、経由する駐車場が多すぎるために迷ったりするということがない。
【0048】
上記変形例において、表示したM個の各駐車場に対し、その駐車確率を併せて表示するようにしてもよい。
これによりユーザは駐車確率と目的地までの距離とを参考にしながら経由順序を自分で選択することができる。
【0049】
また、実施形態では車載のナビゲーション装置について説明したが、情報センタの情報処理サーバ等に説明した各ナビゲーション装置の機能を持たせるようにしてもよい。
この場合の情報センタでは、車載ナビゲーション装置から通信により目的地を取得し、取得した目的地周辺の駐車場を本実施形態で説明した駐車場経路探索で探索し、探索した各駐車場を経由する走行経路を車載ナビゲーション装置に送信する。
説明した変形例と同様に、複数駐車場を経由する走行経路を決定して車載ナビゲーション装置に送信する場合だけでなく、決定した候補駐車場を車載ナビゲーション装置に送信するようにしてもよい。この場合、駐車場に加えて各駐車場の駐車確率も送信してもよい。
上記両変形例において、車載ナビゲーション装置で情報センタから受信した駐車場の案内(駐車場表示による案内、走行経路の案内の両者)を行い、全駐車場のいずれにも駐車できなかった場合、車載ナビゲーション装置は、駐車不可であったその旨を情報センタに送信する。
情報センタでは、駐車不可であった旨の情報を受信すると、案内対象となった駐車場を除いて再度駐車場経路探索(又は候補駐車場の決定)を行い、再度車載ナビゲーション装置に送信する。
【0050】
すなわち、走行経路を探索する例の場合であれば、図2の駐車場経路探索を情報センタが行い、処理の最後に車載ナビゲーション装置に走行経路を送信し、一方、走行経路を受信した車載ナビゲーション装置では、図4におけるステップ21〜ステップ25を行い、次の駐車場が無い場合(ステップ25;N)、駐車不可であった旨を情報センタに送信し、情報センタでは駐車不可であった旨を受信すると、ステップ26を実行して結果を車載ナビゲーション装置に送信する。
【0051】
また、経由途中の駐車場で駐車した場合、その駐車場から目的地までの歩行による移動経路を画面表示するようにしてもよい。
この場合、駐車時に目的地までの歩行移動経路を探索して表示するが、予め駐車場経路探索(図2)において、経由する各駐車場から目的地までの歩行移動経路のそれぞれを探索しておき、駐車時にその駐車場からの歩行移動経路を表示するようにしてもよい。
駐車するか否かは、例えば、音声や画面表示による問い合わせを行い、その回答(音声認識、肯定キーの選択)により判断する。
【0052】
また、合計距離コストを算出の際、目的地からの距離に応じて各道路の距離コストを変更するようにしてもよい。例えば、目的地に近い道路ほど距離コストを小さくすることで、目的地に近い駐車場が選択されやすくなり、駐車後の目的地までの移動が楽になる。
【0053】
また、ステップ12で検索したN個の駐車場の全てを対象として、M個の駐車場の組合せを探索しているが、N個の駐車場のうち、駐車確率pmが所定閾値pt以下の駐車場を除外するようにしてもよい。
これにより、再度の駐車場経路探索において、より確実に駐車できるM個の駐車場を決定し、案内することができる。
【0054】
説明した実施形態では、全体の駐車確率は、全体の駐車確率Pが所定閾値Pt以上となるM個の駐車場の組み合わせを探索する為に使用され、最終的な走行経路の決定は合計距離コストにより決定している。
これに対して、全体の駐車確率Pのうち、いずれかの駐車場に駐車できる確率P2と合計距離コストとの両者から決定するようにしてもよい。
ある走行経路でM個の駐車場を経由した場合にいずれかの駐車場に駐車できる確率をP2m(算出方法は実施形態で説明したとおり)とし、その走行経路に対する合計距離コストをLmとした場合に、次の式(1)で表される確率コスト値Umを求める。そして、確率コストUが最も小さい走行経路を決定する。説明した実施形態と同様に、コストが小さい上位所定数の走行経路をユーザに提示し選択してもらうようにしてもよい。
【0055】
Um=P2m×α+Lm×β …(1)
【0056】
数式(1)において、α、βは、全体の駐車確率P2の値と、合計距離コストLmの値を調整する為の駐車係数とコスト係数である。
この両係数は、駐車する場合の好みにより設定変更できるようにしてもよい。
すなわち、ユーザがより確実に駐車したいと希望する場合には、コスト係数βを変えず、駐車係数αをより小さな値に変更する。
逆にユーザがなるべく走行距離を小さくしたいと希望する場合には、駐車係数αを変えず、コスト係数βをより小さな値に変更する。
【符号の説明】
【0057】
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
50 情報記憶装置
51 地図データファイル
52 駐車場データファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を取得する目的地取得手段と、
前記取得した目的地を含む所定領域内に存在する駐車場を検索する駐車場検索手段と、
前記検索した駐車場毎に駐車可能な駐車確率を取得する駐車確率取得手段と、
前記駐車場の組み合わせの全体の駐車確率が所定値以上となるような駐車場の組み合わせを抽出する駐車場抽出手段と、
を具備することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記探索した駐車場の組み合わせ毎に、駐車場を経由する経路に対する合計距離コストを算出する距離コスト算出手段と、
前記算出した各経路に対する合計距離コストに基づいて走行経路を決定する走行経路決定手段と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記距離コスト算出手段は、前記目的地との位置関係に応じて道路の距離コストを変更して、前記合計距離コストを算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記駐車場抽出手段は、駐車確率が所定値以上である駐車場を前記組み合わせの対象とする、ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記決定した走行経路に従い、前記走行経路と経由する駐車場を案内する案内手段と、
を具備することを特徴とする請求項2、請求項3、又は請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記案内手段で案内した最後の駐車場に駐車できなかった場合、前記走行経路決定手段は、案内した各駐車場を経由対象から除外して再度走行経路を決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
目的地を取得する目的地取得機能と、
前記取得した目的地を含む所定領域内に存在する駐車場を検索する駐車場検索機能と、
前記検索した駐車場毎に駐車可能な駐車確率を取得する駐車確率取得機能と、
前記駐車場の組み合わせの全体の駐車確率が所定値以上となるような駐車場の組み合わせを抽出する駐車場抽出機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−179932(P2011−179932A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43584(P2010−43584)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】