説明

ナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラムおよび記録媒体

【課題】移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示する。
【解決手段】位置取得部102によって移動体の現在地点の位置情報を取得し、経路設定部103によって目的地点までの経路が設定されているか否かを判断する。目的地点までの経路が設定されていない場合、表示制御部110によって、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを表示する。そして、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示するナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の現在地点と移動方向を表示部の地図データに関連付けて表示しているときに、移動体の現在地点から移動方向にある直近の分岐路に対して、移動体から移動方向の指示を検知し、この分岐路からの移動方向に対応する地図情報を表示部の上方向に向けて表示するナビゲーション装置が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。このナビゲーション装置は、たとえば移動体から分岐路を右方向に移動する指示を検知した場合、移動体の現在地点の表示位置を表示部の左側に変更し、移動体の現在地点に対して右側の地図データの情報量を多くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−226939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、たとえば分岐路の周辺で縮尺の大きい詳細な地図データを表示している場合、移動体の現在地点を変更し、移動方向の地図データの情報量を多くしても、移動方向の地図データの表示される範囲が狭い。また、たとえば分岐路が鈍角の場合、現在地点を右側もしくは左側のどちらかに変更するだけでは、移動後の道路の表示される範囲が狭い。したがって、利用者にとっては、移動後の道路の状況がわかりにくいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるナビゲーション装置は、移動体の現在地点の位置情報を取得する位置取得手段と、目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、表示部を制御して、前記経路が設定されていない場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データを表示し、前記経路が設定されている場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データに当該経路の情報を付加して表示する表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置であって、前記経路が設定されていない場合において前記移動体が特定地点で進路変更するか否かを判断する判断手段を備え、前記表示制御手段は、前記特定地点で前記移動体が進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示することを特徴とする。
【0006】
また、請求項11の発明にかかる表示制御方法は、移動体の現在地点の位置情報を取得する位置取得手段と、目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、表示部を制御して、前記経路が設定されていない場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データを表示し、前記経路が設定されている場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データに当該経路の情報を付加して表示する表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置における表示制御方法であって、前記経路が設定されていない場合において前記移動体が特定地点で進路変更するか否かを判断する判断工程と、前記特定地点で前記移動体が進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示する表示工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、請求項12の発明にかかる表示制御プログラムは、請求項11に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項13の発明にかかる記録媒体は、請求項12に記載の表示制御プログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態にかかるナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本実施例にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する表示内容の一例について示す説明図である。
【図6】地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する表示内容の一例について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(ナビゲーション装置の機能的構成)
まず、この発明の実施の形態にかかるナビゲーション装置100の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、ナビゲーション装置100は、表示部101と、位置取得部102と、経路設定部103と、指示検出部104と、速度検出部105と、判断部106と、方向検出部107と、道路検出部108と、縮尺設定部109と、表示制御部110と、を備えている。表示部101は、地図データを表示する表示画面を備えている。ここで、地図データは、図示しない記憶部に記憶されている。地図データは、ノードおよびリンクからなる道路ネットワークデータと、施設や道路その他地形(山、川、土地)に関するフィーチャを用いて描画される画像データとを含んでいる。地図データは、文字情報、施設の名称や住所などの情報、道路や施設の画像などを含んでいてもよい。
【0013】
位置取得部102は、移動体の現在地点の位置情報を取得する。位置取得部102は、具体的には、GPS(Global Positioning System)衛星から送信された測位情報や、ジャイロセンサ、加速度センサ、車速パルスなどの移動体の移動状態を検知するセンサの出力情報から算出された値を位置情報として取得する。
【0014】
経路設定部103は、目的地点までの経路を設定する。経路設定部103は、たとえば位置取得部102によって取得された移動体の現在地点から、利用者によって入力された目的地点までの経路を設定する。
【0015】
指示検出部104は、移動体の有する方向指示器による進路方向の変更指示を検出する。移動体の有する方向指示器は、たとえばウィンカーレバーやウィンカースイッチなどの指示操作部(不図示)と、ウィンカーなどの指示表示部(不図示)と、指示操作部の操作にともない指示表示部の動作を制御する制御部(不図示)と、を備えている。制御部は、指示操作部の操作に応じた点灯指示を指示表示部に出力することで、指示表示部を点灯させることができる。指示検出部104は、指示表示部にかかる電圧を検知し、指示表示部が点灯中であることを検出した場合、方向指示器による進路方向の変更指示を検出したこととする。また、指示検出部104は、指示表示部へ点灯指示を出力する制御部の信号ラインの論理レベルから指示表示部が点灯中であることを検出した場合、方向指示器による進路方向の変更指示を検出したこととする。
【0016】
速度検出部105は、移動体の移動速度を検出する。速度検出部105は、移動体に備えられた車速パルスや加速度センサの出力値から移動体の移動速度を検出する。
【0017】
判断部106は、経路設定部103によって目的地点までの経路が設定されていない場合において移動体が特定地点で進路変更するか否かを判断する。ここで、特定地点は、具体的には、たとえば交差点や分岐地点、合流地点などである。また、特定地点で進路変更するか否かの判断は、具体的には、たとえば交差点で右左折するか否か、分岐地点で本道から分岐道へ分岐するか否か、合流地点で分岐道から本道へ合流するか否かの判断である。
【0018】
判断部106は、具体的には、たとえば移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で、指示検出部104によって方向指示器による進路方向の変更指示が検出された場合、移動体が特定地点で進路変更すると判断する。ここで、「移動体より前方」とは、たとえば移動体の移動方向から所定角度の範囲である。また、移動体の移動方向から所定角度の範囲外であっても、移動中の道路でこれから移動すると予想される部分を、「移動体より前方」に含んでいてもよい。すなわち、移動中の道路がカーブ形状になっている場合、移動体の移動方向から所定角度の範囲外であっても、移動体がこれから移動すると予想される道路であれば、この道路に沿った前方を「移動体より前方」としてもよい。
【0019】
また、判断部106は、具体的には、たとえば特定地点が、高速道路における合流地点などのように進路変更の際に移動速度が減少されない地点の場合、速度検出部105によって検出された速度に関わらず、移動体が特定地点で進路変更すると判断してもよい。すなわち、移動体より前方の所定距離以内に高速道路における合流地点が存在する状況で、指示検出部104によって方向指示器による進路変更指示が検出された場合、移動体の移動速度に関わらず、移動体が特定地点で進路変更すると判断してもよい。
【0020】
また、判断部106は、移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で、指示検出部104によって方向指示器による進路変更指示が検出され、かつ速度検出部105によって移動体の移動速度が減少したことが検出された場合、移動体が特定地点で進路変更すると判断する。判断部106は、具体的には、特定地点が、交差点などのように進路変更の際に移動速度が減少される地点の場合、速度検出部105によって移動体の移動速度が減少したことが検出されたときに、移動体が特定地点で進路変更すると判断する。すなわち、移動体より前方の所定距離以内に交差点が存在する状況で、指示検出部104によって方向指示器による進路変更指示が検出され、かつ速度検出部105によって移動体の移動速度が減少したことが検出された場合、移動体が特定地点で進路変更すると判断する。
【0021】
方向検出部107は、移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、移動体の進路変更予定方向を検出する。方向検出部107は、具体的には、たとえば指示検出部104によって進路方向の変更指示が検出された方向指示器の指示方向を、移動体の進路変更予定方向として検出する。
【0022】
道路検出部108は、移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路の数を検出する。道路検出部108は、移動体の進行方向に対して、方向検出部107によって検出された進路変更予定方向側に、移動可能な道路が複数あるか否かを検出する。道路検出部108は、具体的には、たとえば特定地点が十字路の場合、進路変更予定方向が右でも左でも、移動可能な道路の数は一つであるとする。
【0023】
縮尺設定部109は、利用者からの入力に基づいて進路変更の際の縮尺を設定する。縮尺設定部109は、具体的には、たとえば利用者から縮尺の比率の入力を受け付けてもよいし、縮尺を大きくするまたは小さくする旨のみの入力を受け付けてもよい。
【0024】
表示制御部110は、表示部101を制御して、経路設定部103によって目的地点までの経路が設定されていない場合には移動体の現在地点周辺の地図データを表示し、経路設定部103によって目的地点までの経路が設定されている場合には移動体の現在地点周辺の地図データに経路の情報を付加して表示する。
【0025】
そして、表示制御部110は、目的地点までの経路が設定されていない場合において、判断部106によって特定地点で移動体が進路変更すると判断された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示する。すなわち、表示制御部110は、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺または相対的に大きい縮尺に変更して表示する。
【0026】
具体的には、たとえば、表示制御部110は、道路検出部108によって移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が複数であると検出された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する。すなわち、表示制御部110は、移動可能な道路が複数であると検出された場合、詳細な地図データを表示して、利用者が移動可能な道路のうちの、進路変更予定の道路を誤らないようにする。
【0027】
また、表示制御部110は、移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が一つであると検出された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する。すなわち、表示制御部110は、移動可能な道路が一つであると検出された場合、進路変更予定の道路を誤る可能性が低いため、広域の地図データを表示して、進路変更予定方向側の地域を広範囲に確認できるようにする。
【0028】
さらに、表示制御部110は、移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データをあらかじめ設定された縮尺に変更して表示する。なお、あらかじめ設定された縮尺は、たとえば縮尺設定部109によって設定された縮尺でもよい。
【0029】
また、表示制御部110は、移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを特定地点の種別に応じてあらかじめ設定された縮尺に変更して表示する。すなわち、縮尺は、交差点または分岐地点、合流地点などの特定地点の種別ごとに設定可能であってもよい。表示制御部110は、具体的には、たとえば分岐地点の地図データを詳細に表示して利用者に分岐箇所をわかりやすくする。また、表示制御部110は、具体的には、たとえば合流地点の地図データを広域に表示して利用者が合流後の地域を広範囲に確認できるようにする。
【0030】
なお、表示制御部110は、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを段階的に縮尺変更して表示してもよい。また、表示制御部110は、利用者によって方向指示器が操作されてから、地図データの縮尺を変更して表示するまでの間に、時間差があってもよい。具体的には、たとえば特定地点からの距離が30mのときに利用者によって方向指示器が操作され、特定地点からの距離が10mのときに地図データの縮尺を変更して表示してもよい。
【0031】
(ナビゲーション装置の表示処理手順)
つぎに、ナビゲーション装置100の表示処理手順について説明する。図2は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示処理手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、位置取得部102によって移動体の現在地点の位置情報を取得する(ステップS201)。そして、経路設定部103によって目的地点までの経路が設定されているか否かを判断する(ステップS202)。
【0032】
ステップS202において目的地点までの経路が設定されている場合(ステップS202:Yes)、表示制御部110によって、表示部101を制御して、ステップS201において取得された移動体の現在地点周辺の地図データに経路の情報を付加して表示して(ステップS203)、一連の処理を終了する。
【0033】
一方、ステップS202において目的地点までの経路が設定されていない場合(ステップS202:No)、表示制御部110によって、表示部101を制御して、ステップS201において取得された移動体の現在地点周辺の地図データを表示する(ステップS204)。そして、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断されるまで待機する(ステップS205:Noのループ)。
【0034】
ステップS205において移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合(ステップS205:Yes)、表示制御部110によって、表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示して(ステップS206)、一連の処理を終了する。
【0035】
なお、図2のフローチャートにおいては、ステップS205において、たとえば指示検出部104によって移動体の有する方向指示器による進路方向の変更指示を検出し、移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で、方向指示器による進路方向の変更指示が検出された場合、移動体が特定地点で進路変更すると判断する。さらに、速度検出部105によって移動体の移動速度を検出し、移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で、方向指示器による進路方向の変更指示が検出され、かつ移動体の移動速度が減少したことが検出された場合、移動体が特定地点で進路変更すると判断してもよい。
【0036】
また、図2のフローチャートにおいては、ステップS206において、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺または相対的に大きい縮尺に変更して表示する。具体的には、たとえば、ステップS205において移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、方向検出部107によって移動体の進路変更予定方向を検出し、道路検出部108によって移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路の数を検出する。そして、移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が複数であると検出された場合、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する。一方、移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が一つであると検出された場合、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する。
【0037】
また、図2のフローチャートにおいては、ステップS206において、移動体の現在地点周辺の地図データをあらかじめ設定された縮尺に変更して表示してもよい。あらかじめ設定された縮尺は、特定地点の種別に応じてそれぞれ設定されていてもよいし、縮尺設定部109によって利用者からの入力に基づいて設定された縮尺でもよい。
【0038】
また、図2のフローチャートにおいては、ステップS206において移動体の現在地点周辺の地図データを段階的に縮尺変更して表示してもよい。
【0039】
上述したように、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、経路設定部103によって目的地点までの経路が設定されていない場合において、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示することができる。したがって、交差点や分岐地点、合流地点などの特定地点において移動体が進路変更すると判断された場合、利用者の状況や特定地点に応じた縮尺に地図データを変更して表示することができる。これによって、利用者は、進路変更する場合のみ、表示されている地図データの縮尺を変更して、地図データを見やすくさせることで、特定地点や右左折後の道路の状況を確認できるので、道に迷ったりせず、安全に運転をおこなうことができる。
【0040】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で、指示検出部104によって方向指示器による進路方向の変更指示が検出された場合、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断することができる。したがって、方向指示器による進路方向の変更指示のみでは車線変更などの場合もあるが、移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況では、移動体がこの特定地点で進路変更すると判断することができる。これによって、利用者は、車線変更など特定地点での進路変更ではない場合に方向指示器を操作しても、地図データの縮尺を変更させないことができる。このため、利用者は、地図データの縮尺を変更されたくない状況で、縮尺を変更させないことができるので、安全に運転をおこなうことができる。
【0041】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で、指示検出部104によって方向指示器による進路方向の変更指示が検出され、かつ速度検出部105によって移動体の移動速度が減少したことが検出された場合、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断することができる。したがって、方向指示器による進路方向の変更指示に加え、移動体の移動速度が減少した場合に、移動体がこの特定地点で進路変更すると判断することができる。これによって、交差点や分岐地点などの直前に車両の速度を減少する特定地点をより正確に判断することができる。
【0042】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺または相対的に大きい縮尺に変更して表示することができる。したがって、通常の地図データの縮尺をどのような縮尺にしていても、利用者が特定地点で進路変更すると判断された場合、通常の地図データよりも大きいまたは小さい縮尺に変更して表示することができる。これによって、利用者は、特定地点で進路変更する場合、常に地図データの縮尺を変更させることができる。
【0043】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、方向検出部107によって検出された移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が、道路検出部108によって複数であると検出された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示することができる。したがって、利用者が進路変更を予定している特定地点から移動できる道路が多く複雑な場合、特定地点周辺の詳細な地図データを表示することができる。これによって、利用者は、分岐している道路の多い複雑な交差点で間違わずに、自身の所望する道路に進路変更することができる。
【0044】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、方向検出部107によって検出された移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が、道路検出部108によって一つであると検出された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示することができる。したがって、利用者が進路変更を予定している特定地点が利用者の所望する道路へ間違わずに進路変更することのできる特定地点の場合、広域な地図データを表示することができる。これによって、利用者は、進路変更を予定している特定地点の周辺で、進路変更後の地図データの詳細な情報を確認することができる。このため、利用者は、特定地点で進路変更した直後に、再度進路変更する場合や施設に立ち寄る場合など、特定地点で進路変更する前に道路の状況を確認することができる。また、利用者は、進路変更する予定の特定地点が不確かな場合、進路変更する前に、進路変更する予定の特定地点が所望の特定地点か否かを確認することができる。
【0045】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データをあらかじめ設定された縮尺に変更して表示することができる。これによって、利用者は、通常の地図データの縮尺をどのような縮尺にしていても、特定地点で進路変更する際には、地図データを常に同様の縮尺に変更することができる。
【0046】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを特定地点の種別に応じてあらかじめ設定された縮尺に変更して表示することができる。したがって、地図データを、交差点または分岐地点、合流地点でそれぞれ異なる縮尺に変更して表示することができる。これによって、利用者は、進路変更する予定の特定地点が、交差点または分岐地点、合流地点のいずれかによって、最適な縮尺に地図データを表示することができる。
【0047】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを、縮尺設定部109によって利用者からの入力に基づいて設定された縮尺に変更して表示することができる。これによって、利用者は、地図データを、自身の所望する縮尺に変更させることができる。
【0048】
また、本実施の形態のナビゲーション装置100によれば、判断部106によって移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、表示制御部110によって表示部101を制御して、移動体の現在地点周辺の地図データを段階的に縮尺変更して表示することができる。したがって、利用者が進路変更する予定の特定地点に近づくほど、地図データの縮尺を大きくまたは小さくすることができる。これによって、利用者は、進路変更を予定している特定地点に近づくほど、徐々に地図データの縮尺を変更させることができるので、自身の状況にあった見やすい地図データを表示させることができる。
【実施例】
【0049】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明のナビゲーション装置を実施した場合の一例について説明する。
【0050】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、マイク309と、スピーカ310と、入力デバイス311と、映像I/F312と、ディスプレイ313と、通信I/F314と、GPSユニット315と、各種センサ316と、カメラ317と、を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0051】
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、データ更新プログラム、特定地点判断プログラム、道路検出プログラム、表示制御プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0052】
特定地点判断プログラムは、車両より前方の所定距離以内の特定地点が存在するか否かを判断させる。特定地点は、具体的には、たとえば交差点や分岐地点、合流地点などである。特定地点判断プログラムは、たとえば後述する地図データに基づいて、車両の現在地点に対して車両の移動方向から所定角度の範囲に、特定地点があるか否かを判断させる。なお、特定地点判断プログラムは、車両が移動中の道路がカーブ形状になっている場合、車両が移動中の道路に沿った方向から所定角度の範囲に特定地点があるか否かを判断させてもよい。
【0053】
道路検出プログラムは、車両の進路変更予定方向における移動可能な道路が複数か否かを判断させる。道路検出プログラムは、後述する地図データに基づいて、特定地点判断プログラムによって存在すると判断された特定地点において、車両の移動方向から車両の進路変更予定方向側に移動可能な道路が複数あるか否かを判断させる。具体的には、たとえばT字路や十字路の場合、移動可能な道路が一つであると判断させる。
【0054】
表示制御プログラムは、ディスプレイ313に車両の現在地点周辺の地図データの縮尺を変更して表示させる。表示制御プログラムは、具体的には、道路検出プログラムによって移動可能な道路が複数あると検出された場合、車両の現在地点周辺の地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示させる。そして、表示制御プログラムは、道路検出プログラムによって移動可能な道路が一つであると検出された場合、車両の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示させる。さらに、表示制御プログラムは、車両の現在地点周辺の地図データをあらかじめ設定された縮尺に変更して表示させてもよい。また、表示制御プログラムは、車両の現在地点周辺の地図データを特定地点の種別に応じてあらかじめ設定された縮尺に変更して表示させてもよい。
【0055】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0056】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0057】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データや機能データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを含んでおり、地区ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
【0058】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入り口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路など)などの情報が含まれている。また交通条件データには、交差点や分岐地点、合流地点などの車両が進路変更することが可能な特定地点の情報が含まれていてもよい。
【0059】
機能データは、地図上の施設の形状をあらわす3次元データ、当該施設の説明をあらわす文字データ、その他地図データ以外の各種のデータである。地図データや機能データは、地区ごとあるいは機能ごとにブロック分けされた状態で記録されている。具体的には、たとえば、地図データは、各々が、表示画面に表示された地図において所定の地区をあらわすように、地区ごとにブロック分けすることができる状態で記録されている。また、たとえば、機能データは、各々が、一つの機能を実現するように、機能ごとに複数にブロック分けすることができる状態で記録されている。
【0060】
また、機能データは、上述した3次元データや文字データに加えて、経路探索、所要時間の算出、経路誘導などを実現するプログラムデータなどの機能を実現するためのデータである。地図データおよび機能データは、それぞれ、地区ごとあるいは機能ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
【0061】
なお、ナビゲーション装置300は、図示を省略するが、フラッシュメモリを備えていてもよい。フラッシュメモリは、書き換え自在な不揮発性半導体メモリであり、CPU301の制御にしたがってデータの読み取り/書き込みをおこなう。フラッシュメモリには、たとえば、NAND型フラッシュメモリやNOR型フラッシュメモリなどを用いることができる。フラッシュメモリに記録される情報の一例としては、上述した映像情報や音声情報、文字情報または地図情報や機能データなどが挙げられる。また、フラッシュメモリは、ROM302としての機能を有していてもよい。すなわち、フラッシュメモリは、上述の各プログラムを記録していてもよい。
【0062】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、たとえば、車両のサンバイザー付近に設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。なお、マイク309から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク305あるいは光ディスク307に記録可能である。
【0063】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか一つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0064】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0065】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313には、上述した地図データが、2次元または3次元に描画される。ディスプレイ313に表示された地図データには、ナビゲーション装置300を搭載した車両の現在地点をあらわすマークなどを重ねて表示することができる。車両の現在地点の位置情報は、CPU301によって算出される。
【0066】
ディスプレイ313としては、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを用いることができる。ディスプレイ313は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ313は、車両のダッシュボード付近のほか、車両の後部座席周辺などに設置するなどして、車両において複数設置されていてもよい。
【0067】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F314は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。
【0068】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F314は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。また、通信I/F314は、たとえば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を用いた場合は、路側に設置された無線装置と双方向の無線通信をおこなう車載無線装置によって構成され、交通情報や地図情報など各種情報を取得する。なお、DSRCの具体例としては、ETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)が挙げられる。
【0069】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在地点を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在地点の算出に際して利用される。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0070】
各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0071】
また、各種センサ316には、車両が有する方向指示器の点灯状態を検出する指示検出センサを備えていてもよい。指示検出センサは、方向指示器が点灯しているか否か、方向指示器の指示方向を検出する。ここで、たとえば方向指示器は、たとえばウィンカーレバーやウィンカースイッチなどの指示操作部と、ウィンカーなどの指示表示部と、指示操作部の操作にともない指示表示部の動作を制御する制御部と、を備えている。制御部は、指示操作部の操作に応じた点灯指示を指示表示部に出力することで、指示表示部を点灯させることができる。指示検出センサは、具体的には、たとえば指示表示部にかかる電圧を検知し、指示表示部が点灯中であるか否かを検出する。また、指示検出センサは、指示表示部へ点灯指示を出力する制御部の信号ラインの論理レベルから指示表示部が点灯中であることを検出する。
【0072】
カメラ317は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ317によって車両内部の搭乗者の挙動を撮影し、撮影した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。また、カメラ317によって車両外部の状況を撮影し、撮影した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。また、カメラ317は、赤外線カメラ機能を有しており、赤外線カメラ機能を用いて撮影された映像情報に基づいて車両内部に存在する物体の表面温度の分布を相対的に比較することができる。また、記録媒体に出力された映像は、上書き記録や保存がおこなわれる。
【0073】
図1に示した実施の形態にかかるナビゲーション装置100が備える表示部101、位置取得部102、経路設定部103、指示検出部104、速度検出部105、判断部106、方向検出部107、道路検出部108、縮尺設定部109、表示制御部110は、図3に示した実施例にかかるナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、実施例にかかるナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0074】
すなわち、実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されている表示制御プログラムを実行することにより、図1に示した実施の形態にかかるナビゲーション装置100が備える機能を、図2に示した表示処理手順で実行することができる。
【0075】
(ナビゲーション装置の処理の内容)
つぎに、本実施例にかかるナビゲーション装置300の処理の内容について説明する。図4は、本実施例にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、車両の現在地点の位置情報を取得する(ステップS401)。そして、目的地点までの経路が設定されているか否かを判断する(ステップS402)。
【0076】
ステップS402において目的地点までの経路が設定されていると判断された場合(ステップS402:Yes)、ディスプレイ313に、車両の現在地点周辺の地図データに経路の情報を付加して表示して(ステップS403)、一連の処理を終了する。
【0077】
一方、ステップS402において目的地点までの経路が設定されていないと判断された場合(ステップS402:No)、ディスプレイ313に、車両の現在地点周辺の地図データを表示する(ステップS404)。
【0078】
つぎに、特定地点判断プログラムを実行して、車両より前方の所定距離以内に特定地点が存在すると判断されるまで待機する(ステップS405:Noのループ)。そして、ステップS405において車両より前方の所定距離以内に特定地点が存在すると判断された場合(ステップS405:Yes)、方向指示器による進路方向の変更指示を検出したか否かを判断する(ステップS406)。ステップS406において方向指示器による進路方向の変更指示を検出した場合(ステップS406:Yes)、さらに車両の速度が減少したか否かを判断する(ステップS407)。
【0079】
ステップS406において方向指示器による進路方向の変更指示を検出していない場合(ステップS406:No)、またステップS407において車両の速度が減少していない場合(ステップS407:No)、ステップS405に戻り、以降の処理を繰り返しおこなう。
【0080】
また、ステップS407において車両の速度が減少した場合(ステップS407:Yes)、利用者からの入力に基づいて進路変更の際の縮尺が設定されているか否かを判断する(ステップS408)。ステップS408において、利用者からの入力に基づいて進路変更の際の縮尺が設定されていない場合(ステップS408:No)、車両の進路変更予定方向を検出する(ステップS409)。そして、道路検出プログラムを実行して、ステップS409において検出された車両の進路変更予定方向における移動可能な道路が複数か否かを判断する(ステップS410)。
【0081】
ステップS410において移動可能な道路が一つであると判断された場合(ステップS410:No)、ディスプレイ313に、車両の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示して(ステップS411)、ステップS414に進む。
【0082】
また、ステップS410において移動可能な道路が複数であると判断された場合(ステップS410:Yes)、ディスプレイ313に、車両の現在地点周辺の地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示して(ステップS412)、ステップS414に進む。
【0083】
一方、ステップS408において利用者からの入力に基づいて進路変更の際の縮尺が設定されている場合(ステップS408:Yes)、ディスプレイ313に、車両の現在地点周辺の地図データを、ステップS408において設定された縮尺に変更して表示して(ステップS413)、ステップS414に進む。
【0084】
ステップS414においては、車両が進路変更するまで待機して(ステップS414:Noのループ)、車両が進路変更した場合(ステップS414:Yes)、ディスプレイ313に地図データを縮尺を戻して表示して(ステップS415)、一連の処理を終了する。
【0085】
なお、図4のフローチャートにおいては、ステップS407において車両の速度が減少したか否かを判断するとしているが、これに限るものではない。具体的には、たとえば、ステップS405:Yesにおいて存在すると判断された特定地点が合流地点の場合、車両が速度を減少せずに進路変更する可能性が高いため、ステップS407を省略してもよい。
【0086】
また、図4のフローチャートにおいては、ステップS408において、利用者からの入力に基づいて進路変更の際の縮尺が設定されているか否かを判断しているが、これに限るものではない。ステップS408においては、利用者からの入力に基づいていなくても、あらかじめ縮尺が設定されていると判断されれば、ステップS413において、ディスプレイ313に、地図データをあらかじめ設定された縮尺に変更して表示してもよい。また、ステップS413においては、ディスプレイ313に、地図データを特定地点の種別に応じて設定された縮尺に変更して表示してもよい。
【0087】
また、図4のフローチャートにおいては、ステップS411、ステップS412、ステップS413において、ディスプレイ313に地図データを段階的に縮尺変更して表示してもよい。
【0088】
(地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する表示内容の一例)
つぎに、図4のステップS411において地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する表示内容の一例について説明する。図5は、地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する表示内容の一例について示す説明図である。図5の上図に示すように、たとえば、ディスプレイ313には、ステップS404において表示された車両の現在地点周辺の地図データ(第1の地図データ)500と、車両の現在地点501と、が表示されている。また、第1の地図データ500の縮尺度数502は、たとえば200mであるとする。さらに、車両の現在地点501より前方の所定距離以内に特定地点503が存在することとする。
【0089】
ここで、車両が特定地点503において進路変更すると判断された場合、ステップS411において地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示する。このとき、図5の下図に示すように、第1の地図データ500より相対的に小さい縮尺の地図データ(第2の地図データ510)が表示される。なお、第2の地図データ510の縮尺度数512は、たとえば500mであり、第1の地図データ500よりも縮尺が小さくなる。
【0090】
このようにすることで、第2の地図データ510においては、第1の地図データ500(図中、点線)においては表示されなかった、車両が特定地点503で進路変更した後の道路の状況を表示することができる。これによって、利用者は、特定地点において進路変更をする前に、進路変更予定方向の道路を広範囲に確認することができる。
【0091】
(地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する表示内容の一例)
つぎに、図4のステップS412において地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する表示内容の一例について説明する。図6は、地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する表示内容の一例について示す説明図である。図6に示すように、ディスプレイ313には、第1の地図データ500より相対的に大きい縮尺の地図データ(第3の地図データ)600が表示されている。そして、第3の地図データ600上に、車両の現在地点601と、特定地点603と、が示されている。
【0092】
まず、たとえば、ディスプレイ313に、図5の上図に示す第1の地図データ500と同様の縮尺の地図データが表示されていたとする。ここで、車両が特定地点603において右折する場合、ステップS410において移動可能な道路604が複数あると判断される。図6においては、具体的には、車両が特定地点603で右折する場合、移動可能な道路は、三つである。したがって、ステップS411において地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示する。このとき、図6に示すように、第3の地図データ600が表示される。なお、第3の地図データ600の縮尺度数602は、たとえば50mであり、第1の地図データ500よりも縮尺が大きくなる。
【0093】
なお、車両が特定地点603において左折する場合は、ステップS410において移動可能な道路が一つであると判断される。したがって、図5の下図に示す第2の地図データ510と同様の縮尺に変更して地図データを表示してもよい。すなわち、特定地点603において車両が右折する予定の場合、地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示し、特定地点603において車両が左折する予定の場合は、地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示してもよい。
【0094】
上述したように、本実施例のナビゲーション装置300によれば、車両のウィンカーが点灯され、車両の速度が減少されて、車両より前方の所定距離以内に特定地点がある場合、車両がこの特定地点で進路変更すると判断し、現在地点周辺の地図データの縮尺を変更して表示することができる。このとき、特定地点がたとえば十字路やT字路などの単純な交差点の場合、地図データの縮尺を小さくして広域な地図データを表示することができる。また、特定地点が複雑な交差点の場合、地図データの縮尺を大きくして詳細な地図データを表示することができる。これによって、利用者は、特定地点で進路変更を予定している場合、地図データを、進路変更する予定の特定地点に合致した最適な縮尺に変更して表示させることができるので、右左折する道路を間違ったり、右左折後に慌てたりせず、安全に車両の運転をおこなうことができる。
【0095】
以上説明したように、本発明のナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラムおよび記録媒体によれば、移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示することができる。
【0096】
なお、本実施の形態で説明した表示制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータ、ワークステーション、携帯端末装置(携帯電話)などのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 ナビゲーション装置
101 表示部
102 位置取得部
103 経路設定部
104 指示検出部
105 速度検出部
106 判断部
107 方向検出部
108 道路検出部
109 縮尺設定部
110 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在地点の位置情報を取得する位置取得手段と、
目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、
表示部を制御して、前記経路が設定されていない場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データを表示し、前記経路が設定されている場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データに当該経路の情報を付加して表示する表示制御手段と、
を備えるナビゲーション装置であって、
前記経路が設定されていない場合において前記移動体が特定地点で進路変更するか否かを判断する判断手段を備え、
前記表示制御手段は、前記特定地点で前記移動体が進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記移動体の有する方向指示器による進路方向の変更指示を検出する指示検出手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で前記方向指示器による進路方向の変更指示が検出された場合、前記移動体が当該特定地点で進路変更すると判断することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記移動体の移動速度を検出する速度検出手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記移動体より前方の所定距離以内に特定地点が存在する状況で前記方向指示器による進路方向の変更指示が検出され、かつ前記移動体の移動速度が減少したことが検出された場合、前記移動体が当該特定地点で進路変更すると判断することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺または相対的に大きい縮尺に変更して表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判断手段によって前記移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、前記移動体の進路変更予定方向を検出する方向検出手段と、
前記移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路の数を検出する道路検出手段と、
をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が複数であると検出された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に大きい縮尺に変更して表示することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記移動体の進路変更予定方向における移動可能な道路が一つであると検出された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを相対的に小さい縮尺に変更して表示することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データをあらかじめ設定された縮尺に変更して表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを当該特定地点の種別に応じてあらかじめ設定された縮尺に変更して表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
利用者からの入力に基づいて進路変更の際の縮尺を設定する縮尺設定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを前記縮尺設定手段で設定された縮尺に変更して表示することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記判断手段によって前記移動体が特定地点で進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを段階的に縮尺変更して表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
移動体の現在地点の位置情報を取得する位置取得手段と、目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、表示部を制御して、前記経路が設定されていない場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データを表示し、前記経路が設定されている場合には前記移動体の現在地点周辺の地図データに当該経路の情報を付加して表示する表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置における表示制御方法であって、
前記経路が設定されていない場合において前記移動体が特定地点で進路変更するか否かを判断する判断工程と、
前記特定地点で前記移動体が進路変更すると判断された場合、前記表示部を制御して、前記移動体の現在地点周辺の地図データを縮尺変更して表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の表示制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−203969(P2010−203969A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51037(P2009−51037)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】