説明

ナビゲーション装置および経路案内方法

【課題】ユーザの希望到着時刻よりも早く目的地に到着することが予想される場合、新たに設定した経由地を経由して、ほぼ確実に希望到着時刻に到着することが可能な「ナビゲーション装置および経路案内方法」を提供する。
【解決手段】自車両が誘導経路上の目的地に近づいた所定のタイミングで、目的地に到着する到着予想時刻を算出し、到着予想時刻が希望到着時刻より早い場合、新たな経由地を経由して希望到着時刻に目的地に至ることが可能な第2の誘導経路を探索して案内することにより、最初に目的地を設定して誘導経路を設定したときに経由地を決める場合と比べて、第2の誘導経路を実際に走行して目的地に至るまでの間に道路交通状況が大きく変わる可能性は低いため、第2の誘導経路を探索したときよりも後に起こる渋滞等の外部要因によって目的地への到着が希望到着時刻より遅くなってしまう可能性を限りなく小さくすることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のナビゲーション装置および経路案内方法に関し、特に、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索する経路誘導機能を備えたナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の走行案内を行うナビゲーション装置は、単に現在地周辺の地図を表示するのみでなく、目的地を指定することにより、現在地から目的地までの誘導経路を自動設定して案内する機能を備えている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を、幅優先探索(BFS)法あるいはダイクストラ法などのシミュレーションを行って自動探索し、その探索した経路を誘導経路として設定する。
【0003】
誘導経路の設定後は、車両の走行中に地図画像上で誘導経路を他の道路と識別可能なように色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内交差点から所定距離内に近づいたときに、交差点案内図(交差点拡大図とこの交差点での進行方向を示す矢印)を表示したり、進行方向を音声で案内したりするなどの交差点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
ところで、従来のナビゲーション装置では、ユーザが目的地に所望の時刻に到着したい場合であっても、誘導経路に沿って車両を走行させると、目的地に到着する時間が早すぎて、目的地で希望する時刻まで無駄な待ち時間を過ごさなければならない場合があった。
【0005】
このような問題に対して、経路探索時に、探索された経路を通った場合の目的地への到着予想時刻を算出し、その到着予想時刻が目的地への希望到着時刻よりも早い場合に、目的地までの通過点を追加設定し、その追加した通過点を通るような経路を再探索することを可能とした技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の技術によれば、目的地までの通過点が追加設定されることにより、そのぶん経路が長くなることとなる。したがって、実際の目的地への到着が、ユーザの希望した時刻により近いものとなり、この結果、ユーザの希望よりも十分に早い時刻に目的地に到着してしまうことを未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−108874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、次の問題点があった。すなわち、経路探索時に追加対象の通過点を決めているため、例えば、交通渋滞や事故などの発生により、実際の道路交通状況に大きな変化があった場合、経路に沿って通過点を通過することで目的地への到着がユーザの希望した時刻より却って遅くなってしまう可能性があるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ユーザの希望到着時刻よりも早く目的地に到着することが予想される場合、新たに設定した経由地を経由して、ほぼ確実に希望到着時刻に到着することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、自車両が誘導経路上の目的地に近づいた所定のタイミングで、目的地に到着する到着予想時刻を算出し、到着予想時刻が希望到着時刻より早い場合、新たな経由地を経由して希望到着時刻に目的地に至ることが可能な第2の誘導経路を探索して案内するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、第2の誘導経路が探索されるのは自車両が目的地に近づいたタイミングであるため、第2の誘導経路を実際に走行して目的地に至るまでの間の時間が短く、その間に第2の誘導経路の道路交通状況が大きく変わる可能性は低い。よって、第2の誘導経路を探索したときよりも後に起こる渋滞等の外部要因によって目的地への到着が希望到着時刻より遅くなってしまう可能性を限りなく小さくすることができる。以上より、ユーザの希望到着時刻よりも早く目的地に到着することが予想される場合、新たに設定した経由地を経由して、ほぼ確実に希望到着時刻に到着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナビゲーション装置の主要構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100の全体構成例を示すブロック図である。図1において、11はDVD−ROM等の記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図データを記憶している。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM11を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。
【0013】
地図データには、マップマッチングや経路探索等の各種の処理に必要な道路ユニットのデータと、地図上に存在する各種施設に関する施設ユニットのデータとが含まれている。道路ユニットは、交差点や分岐など、複数の道路が交わる点に対応するノードに関する情報と、道路上のあるノードとこれに隣接する他のノードとの間を接続する、道路や車線に対応する道路リンクに関する情報とを含んでいる。
【0014】
施設ユニットは、有料道路の料金所、駐車場、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン、銀行、デパート、公園等の地図上に存在する施設のそれぞれ毎に、施設名、位置データ(経度・緯度)、住所、電話番号、その施設が属するジャンル(種類)、その施設に対応するランドマークを特定するためのシンボルコードなどから成る施設情報を含んでいる。この施設情報には、車両を駐車可能な施設か否かを示すフラグ情報も含まれている。
【0015】
12は車両の現在位置を所定間隔毎に検出する車両位置検出部であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0016】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0017】
13はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM11からの地図データの読み出しを制御する。14は地図データ記憶部であり、DVD−ROM制御部13の制御によってDVD−ROM11から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部13は、車両位置検出部12から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM11から読み出して地図データ記憶部14に格納する。
【0018】
15はリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、数値入力など)を行ったりするためのものである。
【0019】
16は目的地設定部であり、ディスプレイ17に表示されている目的地設定用の操作画面において、ユーザによる操作部15の操作を介して指定された地点を目的地として設定する。そして、目的地設定部16は、設定した目的地を示す目的地情報を誘導経路探索部20に出力する。
【0020】
18は希望到着時刻設定部であり、ユーザによる操作部15の操作に基づいて、目的地設定部16により設定された目的地への希望到着時刻を設定する。19は希望到着時刻メモリであり、希望到着時刻設定部18により希望到着時刻が設定された場合、その設定された希望到着時刻のデータを希望到着時刻情報として一時的に格納する。
【0021】
誘導経路探索部20は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと目的地設定部16から出力された目的地情報とに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置(出発地)から、目的地設定部16により設定された目的地に至る様々な経路上のリンクコストを順次加算し、リンクコストの合計が最も小さい経路を誘導経路として探索する。また、誘導経路探索部20は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置から、後述する誘導経路案内部23で検索された経由地候補を経由して、目的地設定部16により設定された目的地に至る様々な経路上のリンクコストを順次加算し、リンクコストの合計が最も小さい経路を第2の誘導経路として探索する。なお、誘導経路探索部20は、本発明の誘導経路探索部および第2の誘導経路探索部に対応する。
【0022】
21は誘導経路メモリであり、誘導経路探索部20により誘導経路が探索された場合、その探索された誘導経路のデータ(現在位置から目的地に至るまでの道路リンクの集合)を誘導経路情報として一時的に格納する。
【0023】
22は地図表示制御部であり、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データとに基づいて自車位置周辺の地図画像データを生成する。そして、地図表示制御部22は、生成した地図画像データをディスプレイ17に出力することにより、自車位置周辺の地図画像をディスプレイ17に表示させる。
【0024】
誘導経路案内部23は、誘導経路探索部20により誘導経路が探索された場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報とに基づいて誘導経路案内を行う。具体的には、誘導経路案内部23は、ディスプレイ17に対して、地図表示制御部22により生成された地図画像に重ねて誘導経路を他の道路とは異なる色で太く表示することにより、誘導経路の目的地までの走行案内を行う。また、誘導経路案内部23は、誘導経路上に存在する経路案内すべき交差点(以下、案内交差点という)に自車両が近づくたびに、当該案内交差点に関する経路案内を行う。
【0025】
次に、本実施形態によるナビゲーション装置100の主要な機能構成について説明する。図2は、本実施形態によるナビゲーション装置100の主要構成例を示すブロック図である。図2に示すように、誘導経路案内部23は、走行判定部31、到着予想時刻算出部32、空き時間算出部33、経由地検索部34、検索結果メモリ35、待ち時間算出部36、妥当性判定部37、第2の誘導経路削除部38、第2の誘導経路表示制御部39および操作受付部40を備えている。
【0026】
走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に近づいた所定のタイミングであるか否かについて判定する。そして、走行判定部31は、その判定結果を到着予想時刻算出部32に通知する。本実施形態では、所定のタイミングは、誘導経路案内部23が誘導経路の経路案内を終了するタイミング(自車両の現在位置が目的地から所定距離以内となったタイミング、または、自車両が目的地に到着する所定時間前に現在時刻が達したタイミング)である。なお、所定のタイミングは、誘導経路における最後の経由地を自車両が過ぎたタイミング等でも良い。
【0027】
到着予想時刻算出部32は、自車両が目的地に近づいた所定のタイミングである旨の通知を走行判定部31より受けた場合、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報とに基づいて、目的地への到着予想時刻を算出する。本実施形態では、到着予想時刻算出部32は、現在位置から目的地までの経路の距離を、その経路の法定速度で割ることによって到着予想時刻を算出する。そして、到着予想時刻算出部32は、算出した到着予想時刻を示す到着予想時刻情報を空き時間算出部33に出力する。なお、到着予想時刻算出部32は、道路交通情報センタ(図示せず)から得られる渋滞情報等を加味して、到着予想時刻を算出する。
【0028】
空き時間算出部33は、到着予想時刻算出部32から出力された到着予想時刻情報により示される到着予想時刻が、希望到着時刻メモリ19に格納された到着希望時刻情報により示される到着希望時刻より早いか否かについて判定する。そして、到着予想時刻が到着希望時刻より早いと判定した場合、空き時間算出部33は、到着予想時刻から到着希望時刻までの空き時間を算出する。そして、空き時間算出部33は、算出した空き時間を示す空き時間情報を経由地検索部34および待ち時間算出部36に出力する。
【0029】
経由地検索部34は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報と、空き時間算出部33から出力された空き時間情報により示される空き時間とに基づいて、目的地周辺(例えば、目的地から半径1km以内)を検索エリアとし、その検索エリア内で駐車可能な経由地候補を検索する。そして、経由地検索部34は、検索した経由地候補を示す経由地候補情報(経由地の施設名、位置データ、種類を含む)を検索結果メモリ35に出力する。なお、経由地検索部34は、本発明の種類決定部に対応する。
【0030】
具体的には、経由地検索部34は、空き時間情報により示される空き時間に応じて経由地候補の種類を決定し、検索を行う。このような検索の仕方をするのは、空き時間の長さによって、ユーザがその時間を過ごすのに適した場所が変わるからである。すなわち、経由地検索部34は、空き時間が第1の所定時間(例えば、1時間)以上の場合、車両を駐車して、くつろぐことが可能な施設(例えば、レストラン)に経由地の種類を決定し、検索を行う。また、経由地検索部34は、空き時間が第1の所定時間未満、かつ、第2の所定時間(例えば、30分)以上の場合、車両を駐車して、ある程度の間、休むことが可能な施設(例えば、公園)に経由地の種類を決定し、検索を行う。また、経由地検索部34は、空き時間が第2の所定時間未満の場合、車両を駐車して、短時間の間、休むことが可能な道路(例えば、時間制限駐車区間の規制標識や駐車可の指示標識が設置された区間の道路)に経由地の種類を決定し、検索を行う。
【0031】
検索結果メモリ35は、経由地検索部34から出力された経由地候補情報を一時的に格納する。誘導経路探索部20、待ち時間算出部36、妥当性判定部37および第2の誘導経路削除部38は、経由地検索部34により検索された各経由地候補のそれぞれについて以下の処理を行う。すなわち、誘導経路探索部20は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置から、検索結果メモリ35に格納された経由地候補情報により示される経由地候補を経由して、目的地設定部16により設定された目的地に至る誘導経路を第2の誘導経路として探索する。誘導経路メモリ21は、誘導経路探索部20により探索された第2の誘導経路のデータを第2の誘導経路情報として一時的に格納する。
【0032】
待ち時間算出部36は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された第2の誘導経路情報とに基づいて、誘導経路探索部20により探索された第2の誘導経路の所要時間を算出する。具体的には、待ち時間算出部36は、第2の誘導経路の距離をその経路の法定速度で割ることで第2の誘導経路の所要時間を算出する。なお、待ち時間算出部36は、道路交通情報センタ(図示せず)から得られる渋滞情報等を加味して、第2の誘導経路の所要時間を算出する。
【0033】
また、待ち時間算出部36は、算出した第2の誘導経路の所要時間が、空き時間算出部33から出力された空き時間情報により示される空き時間より小さいか否かについて判定する。もし、第2の誘導経路の所要時間が空き時間より大きい(すなわち、経由地候補を経由して希望到着時刻に目的地に至ることが不可能)と判定した場合、待ち時間算出部36は、当該第2の誘導経路を第2の誘導経路削除部38に通知する。一方、第2の誘導経路の所要時間が空き時間より小さい(すなわち、経由地候補を経由して希望到着時刻に目的地に至ることが可能)と判定した場合、待ち時間算出部36は、経由地での待ち時間を算出する。この待ち時間は、空き時間から所要時間を減算することによって算出する。そして、待ち時間算出部36は、算出した待ち時間を示す待ち時間情報を妥当性判定部37に出力する。
【0034】
妥当性判定部37は、検索結果メモリ35に格納された経由地候補情報と、待ち時間算出部36から出力された待ち時間情報とに基づいて、経由地候補の種類に対する待ち時間の妥当性を判定する。このような妥当性の判定をするのは、経由地の種類によって、ユーザがその時間を過ごすのに適した待ち時間の長さが変わるからである。
【0035】
具体的には、妥当性判定部37は、経由地の種類がレストランの場合、待ち時間が第3の所定時間(例えば、50分)以上のときには妥当であると判定し、そうでないときには妥当でないと判定する。また、妥当性判定部37は、経由地の種類が公園の場合、待ち時間が第3の所定時間未満、かつ、第4の時間(例えば、20分)以上のときには妥当であると判定し、そうでないときには妥当でないと判定する。また、妥当性判定部37は、経由地の種類が道路の場合、待ち時間が第4の所定時間未満のときには妥当であると判定し、そうでないときには妥当でないと判定する。
【0036】
妥当性判定部37は、経由地候補の種類に対する待ち時間が妥当でないと判定した場合、当該経由地候補を経由する第2の誘導経路を第2の誘導経路削除部38に通知する。第2の誘導経路削除部38は、待ち時間算出部36または妥当性判定部37から第2の誘導経路の通知を受けた場合、その第2の誘導経路のデータを示す第2の誘導経路情報を誘導経路メモリ21から削除する。
【0037】
第2の誘導経路表示制御部39は、誘導経路探索部20、待ち時間算出部36、妥当性判定部37および第2の誘導経路削除部38による各経由地候補についての処理が終了した後に、誘導経路メモリ21を参照し、第2の誘導経路情報が存在するか否かについて判定する。もし、第2の誘導経路情報が何れも存在しない(つまり、第2の誘導経路削除部38により全て削除された)と判定した場合、第2の誘導経路表示制御部39は何もしない。一方、第2の誘導経路情報が少なくとも1つ以上存在すると判定した場合、第2の誘導経路表示制御部39は、その第2の誘導経路を表示する第2の誘導経路表示画面を生成し、ディスプレイ17に表示する。
【0038】
操作受付部40は、操作部15を介して、第2の誘導経路表示制御部39により表示された第2の誘導経路表示画面に含まれている各第2の誘導経路の中から、新たに誘導経路案内を行う対象の経路として、何れかの第2の誘導経路を選択する選択操作を受け付ける。また、操作受付部40は、選択されなかった第2の誘導経経路を第2の誘導経路削除部38に通知する。第2の誘導経路削除部38は、操作受付部40から通知された第2の誘導経路を誘導経路メモリ21から削除する。
【0039】
誘導経路案内部23は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、操作受付部40により受け付けられた選択操作に応じて選択された第2の誘導経路を示す第2の誘導経路情報とに基づいて、当該第2の誘導経路に関する誘導経路案内を行う。
【0040】
次に、本実施形態におけるナビゲーション装置100の動作を説明する。図3は、ナビゲーション装置100の動作例を示すフローチャートである。図3におけるステップS100の処理は、ナビゲーション装置100の起動後、誘導経路探索部20が自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、その結果の誘導経路情報を誘導経路メモリ21に格納することによって開始する。
【0041】
まず、走行判定部31は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報とに基づいて、自車両が目的地に近づいた所定のタイミングであるか否かについて判定する(ステップS100)。もし、自車両が目的地に近づいた所定のタイミングでないと走行判定部31にて判定した場合(ステップS100にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
【0042】
一方、自車両が目的地に近づいた所定のタイミングであると走行判定部31にて判定した場合(ステップS100にてYES)、走行判定部31は、その旨を到着予想時刻算出部32に通知する。そして、到着予想時刻算出部32は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報とに基づいて、目的地への到着予想時刻を算出する(ステップS120)。そして、到着予想時刻算出部32は、算出した到着予想時刻を示す到着予想時刻情報を空き時間算出部33に出力する。
【0043】
次に、空き時間算出部33は、到着予想時刻算出部32から出力された到着予想時刻情報により示される到着予想時刻が、希望到着時刻メモリ19に格納された到着希望時刻情報により示される到着希望時刻より早いか否かについて判定する(ステップS140)。もし、到着予想時刻が到着希望時刻より早くないと空き時間算出部33にて判定した場合(ステップS140にてNO)、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。
【0044】
一方、到着予想時刻が到着希望時刻より早いと空き時間算出部33にて判定した場合(ステップS140にてYES)、空き時間算出部33は、到着予想時刻から到着希望時刻までの空き時間を算出する(ステップS160)。そして、空き時間算出部33は、算出した空き時間を示す空き時間情報を経由地検索部34および待ち時間算出部36に出力する。
【0045】
次に、経由地検索部34は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報と、空き時間算出部33から出力された空き時間情報により示される空き時間とに基づいて、目的地周辺を検索エリアとし、その検索エリア内で新たな経由地候補を検索する(ステップS180)。すなわち、経由地検索部34は、空き時間情報により示される空き時間に応じて経由地候補の種類を決定し、検索を行う。そして、経由地検索部34は、検索した経由地候補を示す経由地候補情報を検索結果メモリ35に出力する。
【0046】
次に、誘導経路探索部20は、検索結果メモリ35に格納された経由地候補情報を参照し、経由地候補を1つ取り出す。そして、誘導経路探索部20は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データに基づいて、車両位置検出部12により検出された自車位置から、取り出した経由地候補を経由して、目的地設定部16により設定された目的地に至る様々な経路上のリンクコストを順次加算し、リンクコストの合計が最も小さい経路を第2の誘導経路として探索する(ステップS200)。そして、誘導経路探索部20は、探索した第2の誘導経路のデータを第2の誘導経路情報として誘導経路メモリ21に格納する。
【0047】
次に、待ち時間算出部36は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された第2の誘導経路情報とに基づいて、誘導経路探索部20により探索された第2の誘導経路の所要時間を算出する(ステップS220)。次に、待ち時間算出部36は、ステップS220にて算出した第2の誘導経路の所要時間が、ステップS160にて算出された空き時間より小さいか否かについて判定する(ステップS240)。
【0048】
もし、第2の誘導経路の所要時間が空き時間より大きいと待ち時間算出部36にて判定した場合(ステップS240にてNO)、待ち時間算出部36は、その第2の誘導経路を第2の誘導経路削除部38に通知する。その後、処理は後述するステップS300に遷移する。一方、第2の誘導経路の所要時間が空き時間より小さいと待ち時間算出部36にて判定した場合(ステップS240にてYES)、待ち時間算出部36は、空き時間から第2の誘導経路の所要時間を減算した待ち時間を算出する(ステップS260)。そして、待ち時間算出部36は、算出した待ち時間を示す待ち時間情報を妥当性判定部37に出力する。
【0049】
次に、妥当性判定部37は、検索結果メモリ35に格納された経由地候補情報と、待ち時間算出部36から出力された待ち時間情報とに基づいて、経由地候補の種類に対する待ち時間の妥当性を判定する(ステップS280)。もし、経由地候補の種類に対する待ち時間が妥当でないと妥当性判定部37にて判定した場合(ステップS280にてNO)、処理はステップS300に遷移する。
【0050】
ステップS300では、第2の誘導経路削除部38は、待ち時間算出部36または妥当性判定部37から通知を受けた第2の誘導経路のデータを示す第2の誘導経路情報を誘導経路メモリ21から削除する。その後、処理はステップS320に遷移する。経由地候補の種類に対する待ち時間が妥当であると妥当性判定部37にて判定した場合(ステップS280にてYES)、処理はステップS320に遷移する。
【0051】
ステップS320では、誘導経路探索部20は、検索結果メモリ35に格納された経由地候補情報を参照し、他の経由地候補が存在するか否かについて判定する。もし、他の経由地候補が存在すると誘導経路探索部20にて判定した場合(ステップS320にてYES)、誘導経路探索部20は、当該他の経由地候補を1つ取り出す。その後、処理はステップS200に遷移する。一方、他の経由地候補が存在しないと誘導経路探索部20にて判定した場合(ステップS320にてNO)、第2の誘導経路表示制御部39は、誘導経路メモリ21を参照し、第2の誘導経路情報が存在するか否かについて判定する(ステップS340)。
【0052】
もし、第2の誘導経路情報が存在しないと第2の誘導経路表示制御部39にて判定した場合(ステップS340にてNO)、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。一方、第2の誘導経路情報が存在すると第2の誘導経路表示制御部39にて判定した場合(ステップS340にてYES)、第2の誘導経路表示制御部39は、その第2の誘導経路情報により示される第2の誘導経路を表示する第2の誘導経路表示画面を生成し、ディスプレイ17に表示する(ステップS360)。
【0053】
次に、操作受付部40は、操作部15を介して、第2の誘導経路表示制御部39により表示された第2の誘導経路表示画面に含まれている各第2の誘導経路の中から、新たに誘導経路案内を行う対象の経路として、何れかの第2の誘導経路を選択する選択操作を受け付ける(ステップS380)。最後に、誘導経路案内部23は、車両位置検出部12により検出された自車位置情報と、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、操作受付部40により受け付けられた選択操作に応じて選択された第2の誘導経路を示す第2の誘導経路情報とに基づいて、当該第2の誘導経路に関する誘導経路案内を開始する(ステップS400)。ステップS400の処理が完了することによって、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。
【0054】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、自車両が誘導経路上の目的地に近づいた所定のタイミングで、目的地に到着する到着予想時刻を算出し、到着予想時刻が希望到着時刻より早い場合、新たな経由地を経由して希望到着時刻に目的地に至ることが可能な第2の誘導経路を探索して案内するようにしている。
【0055】
このように構成した本実施形態によれば、第2の誘導経路が探索されるのは自車両が目的地に近づいたタイミングであるため、第2の誘導経路を実際に走行して目的地に至るまでの間の時間が短く、その間に第2の誘導経路の道路交通状況が大きく変わる可能性は低い。よって、第2の誘導経路を探索したときよりも後に起こる渋滞等の外部要因によって目的地への到着が希望到着時刻より遅くなってしまう可能性を限りなく小さくすることができる。以上より、ユーザの希望到着時刻よりも早く目的地に到着することが予想される場合、新たに設定した経由地を経由して、ほぼ確実に希望到着時刻に到着することができる。
【0056】
また、本実施形態では、到着予想時刻から希望到着時刻までの空き時間を過ごすのに適した経由地の種類を決定し、その決定した種類の経由地を経由して目的地に至る第2の誘導経路を探索するようにしている。このように構成した本実施形態によれば、空き時間の長さを考慮せずに経由地が検索される場合に比べて、検索された経由地においてユーザは空き時間を有効に使うことができる。
【0057】
また、本実施形態では、経由地の種類に対する待ち時間の妥当性を判定するようにしている。このように構成した本実施形態によれば、ユーザにとって待ち時間を有効に使うことが困難な経由地が選択されることを確実に防止することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、車両が目的地から所定距離以内に近づいたときには必ず誘導経路探索部20が経由地を経由する第2の誘導経路を探索する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、誘導経路探索部20は、目的地の種類に応じて、第2の誘導経路を探索するか否かを決定するようにしても良い。
【0059】
例えば、目的地がデパート、遊園地、プール施設、ボーリング場などの娯楽施設であれば、目的地に到着する時間が早すぎて、目的地で希望到着時刻まで無駄な待ち時間を過ごさなければならないという状況は考えにくい。そのため、誘導経路探索部20は第2の誘導経路を探索しない。一方、目的地が例えば個人宅であれば、目的地に到着する時間が早すぎると、その場所で希望到着時刻まで過ごすことが困難である。そのため、誘導経路探索部20は第2の誘導経路を探索する。以上により、目的地で時間を潰すことが可能な場合にまで、第2の誘導経路を探索して案内する処理が不必要に行われることを防止できる。なお、目的地が娯楽施設の場合、目的地に到着する時間が施設の営業時間外であれば、その施設で営業開始時刻まで過ごすことが困難であるため、第2の誘導経路を探索するのが好ましい。
【0060】
また、上記実施形態では、空き時間に応じて経由地の種類を決定して検索したものの、待ち時間が妥当となる第2の誘導経路を探索できなかった場合にはそれ以上何もしない例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、空き時間に応じて、経由地候補の種類を変えて再度検索するようにしても良い。例えば、空き時間が第1の所定時間(例えば、1時間)以上の場合はレストランからアウトレットモールに経由地の種類を変更して検索を行う。また、空き時間が第1の所定時間未満、かつ、第2の所定時間(例えば、30分)以上の場合は、公園から喫茶店に経由地の種類を変更して検索を行う。また、空き時間が第2の所定時間未満の場合は、駐車可能な道路からコンビニエンスストアに経由地の種類を変更して検索を行う。以後、第2の誘導経路の探索、待ち時間の算出および妥当性の判定処理などは上記実施形態と同様に行う。
【0061】
また、空き時間に応じて、経由地候補の種類を始めから複数(上記の具体例では、レストランおよびアウトレットモール、公園および喫茶店、または、道路およびコンビニエンスストア)決定しておき、検索するようにしても良い。以上により、経由地候補について検索対象の幅が広がるため、好適な第2の誘導経路が探索される可能性を高めることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、経由地検索部34が駐車可能な経由地候補を検索する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、経由地検索部34は、駐車不可の経由地候補を検索するようにしても良いし、駐車不可だが停車可能な経由地候補を検索するようにしても良い。要は、駐停車の有無を問わず、新たな経由地を経由して希望到着時刻に目的地に至ることが可能な第2の誘導経路を、目的地に近づいたタイミングで探索して案内することが出来れば良い。
【0063】
また、上記実施形態において、第2の誘導経路表示制御部39は、ユーザが第2の誘導経路を選択する際の便宜を図るため、第2の誘導経路の各々について所要時間および経由地における待ち時間を第2の誘導経路と共にディスプレイ17に表示するようにしても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、誘導経路探索部20により探索される第2の誘導経路が現在地から経由地を経由して目的地に至る経路である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の誘導経路は、目的地から経由地を経由して再び目的地に戻る経路でもよい。これにより、ユーザは、目的地にいったん到着し、その目的地付近の風景をいったん確認した上で経由地に向かうこととなる。そのため、経由地を経由して再び目的地に戻ってきたときに当該目的地に対応する施設や個人宅などを容易に探し出すことができる。
【0065】
また、上記実施形態において、空き時間算出部33により算出された空き時間が所定時間(例えば、10分)以上である場合に限り、第2の誘導経路の探索を行うようにしても良い。これにより、目的地に到着する時刻が到着希望時刻より少しだけ早いという場合にまで、第2の誘導経路を探索して案内する処理が不必要に行われることを防止できる。
【0066】
また、上記実施形態では、目的地周辺にある1つ以上の経由地候補のそれぞれについて第2の誘導経路を探索し、その中からユーザが何れかの第2の誘導経路を選択する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ナビゲーション装置100側で第2の誘導経路を自動的に決定するようにしても良い。具体的には、経由地検索部34は、地図データ記憶部14に記憶されている地図データと、誘導経路メモリ21に格納された誘導経路情報とに基づいて、空き時間算出部33により算出された空き時間に応じた種類の施設で、目的地に最も近くにあって、駐車可能な施設を経由地として検索する。誘導経路探索部20は、その経由地を経由して目的地に至る第2の誘導経路を探索する。そして、その探索された第2の誘導経路について、希望到着時刻に目的地に至ることが可能か否かの判定、および、経由地の種類に対する待ち時間の妥当性の判定を行う。もし、両方の判定で肯定が得られれば、誘導経路案内部23は、探索された第2の誘導経路に関する誘導経路案内を行う。一方、何れかの判定で肯定が得られなければ、誘導経路案内部23は、探索された第2の誘導経路に関する誘導経路案内を行わない。以上により、ユーザによる第2の誘導経路を選択する手間を減らすことができる。
【0067】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
14 地図データ記憶部
18 希望到着時刻設定部
20 誘導経路探索部(第2の誘導経路探索部)
23 誘導経路案内部
32 到着予想時刻算出部
34 経由地検索部(種類決定部)
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ記憶部に記憶されている地図データに基づいて、ユーザにより設定された目的地までの誘導経路を探索する誘導経路探索部と、
前記ユーザが前記目的地への到着を希望する希望到着時刻を設定する希望到着時刻設定部と、
自車両が前記目的地に近づいた所定のタイミングで、当該目的地に到着する到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、
前記到着予想時刻算出部により算出された到着予想時刻が前記希望到着時刻設定部により設定された前記希望到着時刻より早い場合、前記地図データ記憶部に記憶されている地図データに基づいて、新たな経由地を経由して前記希望到着時刻に前記目的地に至ることが可能な第2の誘導経路を探索する第2の誘導経路探索部と、
前記第2の誘導経路探索部により探索された前記第2の誘導経路を案内する誘導経路案内部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記到着予想時刻から前記希望到着時刻までの空き時間に応じて、前記経由地の種類を決定する種類決定部を更に備え、
前記第2の誘導経路探索部は、前記種類決定部により決定された種類の経由地を経由して前記目的地に至る前記第2の誘導経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記第2の誘導経路探索部は、前記目的地の種類に応じて、前記第2の誘導経路を探索するか否かを決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
自車両が誘導経路上の目的地に近づいた所定のタイミングで、当該目的地に到着する到着予想時刻を算出する第1のステップと、
前記第1のステップにより算出された到着予想時刻が、ユーザが前記目的地への到着を希望する希望到着時刻より早い場合、地図データに基づいて、新たな経由地を経由して前記希望到着時刻に前記目的地に至ることが可能な第2の誘導経路を探索する第2のステップと、
前記第2のステップにより探索された前記第2の誘導経路を案内する第3のステップとを有することを特徴とする経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−174890(P2011−174890A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40957(P2010−40957)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】