説明

ナビゲーション装置及び表示方法

【課題】ナビゲーション装置が情報を保有しない施設のアイコンを地図画面上に自動的に表示できるようにする。
【解決手段】本発明に係るナビゲーション装置2によれば、路側無線装置1から受信されたコンテンツ情報に「対象施設の座標情報」及び「アイコン画像情報」が含まれていると判断されると、施設情報テーブル252にこれらの情報が書き込まれる。表示部22に地図画面及び既存施設アイコンを表示する際には、施設情報テーブル252に地図画面が示す範囲内に座標情報が含まれる施設アイコン情報が記憶されているか否かが判断され、記憶されていると判断されると、該当する施設アイコンが地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用のナビゲーション装置においては、地図情報を予め記憶しておき、GPS(Global Positioning System)等により検出される現在位置情報に基づいて該当する地図情報を読み出して地図画面を表示し、車両の現在位置の表示や目的地までの経路案内を行っている。また、車両の現在位置を示すマークとともに、現在位置の近傍にある店舗、レストラン、病院等の各種施設を示す絵記号等のアイコン画像を表示するナビゲーション装置も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、地図情報中の特定施設に関する施設情報(サービス種別、所在位置情報等)を施設情報記憶手段に記憶しておき、地図情報を表示する際に、地図情報に含まれる特定施設の目印画像情報をその特定施設の位置に表示する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平5−113754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を始めとする従来のナビゲーション装置においては、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、HD(Hard Disk)、DVD等の、ナビゲーション装置が保有する記憶媒体に記憶されている施設の情報、例えば、施設の地図上の座標情報や画像情報に基づいて、車両の現在位置の近傍にある施設をアイコン等で表示していた。そのため、例えば、新たに開店した店舗のアイコン等、当該ナビゲーション装置が情報を保有しない施設については地図画面上に表示することができないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ナビゲーション装置が情報を保有しない施設のアイコンを地図画面上に自動的に表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
第一の記憶部に予め記憶された地図情報及び既存施設アイコン情報に基づいて、表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示するナビゲーション装置において、
外部の情報提供装置から送信される通信情報を受信する受信部と、
前記受信された通信情報に施設アイコン情報が含まれているか否かを判断し、含まれている場合に当該施設アイコン情報を第二の記憶部に記憶する情報処理手段と、
前記表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示する際に、前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が前記第二の記憶部に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合に当該第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報に基づく施設アイコンを前記地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示する表示制御手段と、
を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記施設アイコン情報には、有効期限が付与されており、
有効期限を経過した前記施設アイコン情報を前記第二の記憶部から削除する削除手段を備える。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記施設アイコン情報は、音声情報を含み、
前記地図画面に表示された施設アイコンに対応する音声情報に基づき音声出力を行う音声出力部を備える。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記施設アイコン情報は、施設の営業時間情報を含み、
前記表示制御手段は、前記第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報のうち、現在時刻が営業時間内である施設アイコン情報を前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報と判断する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記施設アイコン情報は、案内時間情報を含み、
前記表示制御手段は、前記第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報のうち、現在時刻が案内時間内である施設アイコン情報を前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報と判断する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報の条件を設定する設定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報のうち、前記設定手段により設定された条件に一致する施設アイコン情報を前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報と判断する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、
第一の記憶部に予め記憶された地図情報及び既存施設アイコン情報に基づいて、表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示するナビゲーション装置における表示方法であって、
外部の情報提供装置から送信される通信情報を受信する工程と、
前記受信された通信情報に施設アイコン情報が含まれているか否かを判断し、含まれている場合に当該施設アイコン情報を第二の記憶部に記憶する工程と、
前記表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示する際に、前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が前記第二の記憶部に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合に当該第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報に基づく施設アイコンを前記地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ナビゲーション装置が情報を保有しない施設のアイコンを地図画面上に自動的に表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0015】
図1に、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)システム100及びナビゲーション装置2の概要を示す。
ここで、DSRCシステムとは、ITS(Information & Communication System:道路交通情報通信システム)の一環として導入されたシステムであり、数メートル〜数十メートル程度の限定された通信エリア内で情報提供装置(サーバ)とDSRC機能を有する車載器(例えば、ナビゲーション装置等)との間で情報の送受を可能とした通信システムである。
図1に示すように、DSRCシステム100は、DSRCアンテナ1aを有する路側無線装置1と、この路側無線装置1と通信ネットワークNを介して接続されたサーバ3とを含む。
【0016】
路側無線装置1は、道路脇、道路上方、道の駅、駐車場等に設置され、到達距離が極めて限定されたDSRCの電波を放射して、所定の通信エリア内に停車又は通行する車両に搭載されたDSRC機能を有するナビゲーション装置2との間で双方向狭域無線通信を行う。路側無線装置1は、DSRC専用のIP網等の通信ネットワークNを介してサーバ3とデータ送受信可能に接続されている。路側無線装置1は、ナビゲーション装置2との通信が確立すると、接続された旨をサーバ3に通知し、サーバ3からコンテンツ情報を受信してナビゲーション装置2に送信する。
サーバ3は、サービス事業者が管理するサーバであり、情報提供者(各種施設を運営する企業等)から配信を依頼された広告等のコンテンツ情報を大容量の記憶装置に蓄積しておき、必要に応じて路側無線装置1と通信接続されたナビゲーション装置2に対して配信する装置である。サーバ3は、ナビゲーション装置2と通信が確立した路側無線装置1の存在するエリアによって、エリアに応じたコンテンツ情報を配信することができる。
【0017】
ナビゲーション装置2は、路側無線装置1とDSRCに基づく通信を行うためのDSRC機能と、車両の現在位置や目的地までの経路案内を表示するナビゲーション機能を備えた装置である。
【0018】
図2に、ナビゲーション装置2の機能構成例を示す。
図2に示すように、ナビゲーション装置2は、制御部20、操作入力部21、表示部22、音声出力部23、ハードディスク装置24、受信情報記憶部25、GPS(Global Positioning System)モジュール26、自律航法ユニット27、VICS(Vehicle Information and Communication System)モジュール28、DSRC送受信部29等を備えて構成されている。
【0019】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部20のCPUは、ROMに記憶されているシステムプログラムを読み出して実行し、ナビゲーション装置2の各部を駆動制御する。また、CPUは、操作入力部21、GPSモジュール26、VICSモジュール28、DSRC送受信部29等を介して入力される情報に基づいて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0020】
例えば、制御部20は、操作入力部21を介して目的地が設定され、経路探索が指示されると、経路探索処理を実行し、ハードディスク装置24に記憶されている地図情報から、ノード(交差点、分岐点、屈曲点といった節点)情報とリンク(直線経路)情報を含む道路情報を読み出し、読み出した道路情報に基づいて、各種条件に応じた自車の現在位置(自車位置)から目的地までの経路(例えば、標準経路、最短距離の経路、最低料金の経路、最短時間の経路等)を探索する。経路探索処理が終了すると、制御部20は、探索された経路のうち、経路案内に利用する誘導経路をユーザが選択するための選択画面を表示部22に表示させ、操作入力部21からの選択入力に応じて、探索された経路のうち一の経路を経路案内に利用する誘導経路として設定し、経路探索結果としてRAMに記憶する。
【0021】
また、制御部20は、操作入力部21を介して経路案内が指示されると、経路案内処理を実行し、GPSモジュール26等から出力される自車位置及び経路探索処理の探索結果に基づいて、ハードディスク装置24から経路案内に必要なデータ(自車位置付近に関する地図情報、施設情報、案内図データ等)を読み出してRAMに格納し、表示部22に経路案内を表示したり、経路案内の音声を音声出力部23から出力したりする。
【0022】
また、制御部20は、後述する受信情報処理を実行し、情報処理手段としての機能を実現する。即ち、制御部20は、受信情報処理を実行し、DSRC送受信部29により受信された通信情報に施設アイコン情報が含まれているか否かを判断し、含まれている場合に当該施設アイコン情報を受信情報記憶部25に記憶する。
また、制御部20は、後述するアイコン表示処理を実行し、表示制御手段としての機能を実現する。即ち、制御部20は、アイコン表示処理を実行し、表示部22に地図画面及び既存施設アイコンを表示し、更に、受信情報記憶部25の施設情報テーブル252に施設アイコン情報が記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合に当該施設情報テーブル252に記憶されている施設アイコン情報に基づく施設アイコンを地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示する。
【0023】
ここで、施設アイコン情報とは、DSRC送受信部29により受信された情報のうち、地図画面上に各種施設を示すアイコン(絵図、記号、マーク、文字等の画像を含む)を表示するために必要な情報を指し、少なくとも対象となる施設の地図上の座標情報(緯度経度)、アイコン画像情報(アイコン画像情報のファイル名等、アイコン画像情報を特定するための情報を含む)を含む。また、施設アイコンとは、DSRC送受信部29により受信された施設アイコン情報に基づき表示されるアイコンを指す。
これに対し、ハードディスク装置24の施設情報DB244に記憶されている、即ち、ナビゲーション装置2で予め保有している情報であって、地図画面上に各種施設を示すアイコンを表示するために必要な情報を既存施設アイコン情報といい、既存施設アイコン情報に基づき地図画面上に表示されるアイコンを既存施設アイコンという。
【0024】
また、制御部20は、操作入力部21の操作により表示部22の地図画面上に表示された既存施設アイコン又は施設アイコンが指定され、目的地としての設定が指示されると、指定されたアイコンに対応する座標情報の地点を目的地として設定する。
【0025】
更に、制御部20は、操作入力部21からの入力に基づいて、ナビゲーションの表示に関する各種設定情報、例えば、地図画面上へのアイコン表示設定の有無等を記憶する。
【0026】
操作入力部21は、方向(上、右上、右、右下、下、左下、左、左上)を指示するための矢印キー、この矢印キーの中央部に配置されたセットキー、数字キー、その他ナビゲーション利用等の各種機能に対応付けられた各種キーを備え、操作されたキーに対する操作信号を制御部20に出力する。また、操作入力部21は、表示部22の画面を覆うように設けられたタッチパネルを備え、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として制御部20に出力する。あるいは、操作入力部21は、リモコン、マイク等を備える構成としてもよい。
【0027】
表示部22は、カラー液晶ディスプレイ等により構成され、制御部20からの指示に従って表示画面上に地図画面やアイコン、案内図等のナビゲーション用の表示情報を表示する。
【0028】
音声出力部23は、D/A変換器、増幅器、スピーカ等を備えて構成され、制御部20からの指示に従って、音声データをアナログ信号に変換して音声出力する。
【0029】
ハードディスク装置24は、地図DB(Data Base)241、案内図DB242、案内音声DB243、施設情報DB244等を有し、ナビゲーション装置2における経路の探索及び経路案内に必要なデータを記憶する第一の記憶部である。なお、第一の記憶部としては、ハードディスク装置に限らず、CD−ROM、DVD等の記録媒体とこれらの記録媒体から情報を読み出すドライブ等としてもよい。
【0030】
地図DB241は、道路情報、鉄道情報、河川情報を含む地図情報を格納するデータベースである。道路情報としては、ノード、リンク、各道路の名称、道路の種類を示す種別(高速道路、国道、県道、一般道、幹線道、有料道路等)、道幅、IC(インターチェンジ)の名称及び地図上の座標情報(緯度経度)、SA(サービスエリア)の名称及び地図上の座標情報等の情報が含まれる。
河川情報としては、各河川の名称、ノード(支流との分岐点、屈曲点といった接点の地図上の座標情報)、リンク(川の直線部分)等の情報が含まれる。
鉄道情報としては、鉄道各線の名称、種別、ノード(駅、線路の屈曲点といった接点の地図上の座標情報)、リンク(線路の直線部分)、鉄道各線に含まれる駅の情報(駅名、種別(ターミナル駅等))等の情報が含まれる。
【0031】
案内図DB242は、経路案内のポイントで案内画像を表示するための案内図データ(例えば、交差点拡大図、方面看板、進行方向矢印等の画像データ)を格納するデータベースである。
案内音声DB243は、経路案内に必要なメッセージの音声データを格納するデータベースである。
施設情報DB244は、各種施設の種別情報、施設個別名称、施設アイコン情報(即ち、既存施設アイコン情報。施設の地図上の座標情報、アイコン画像情報を含む)を格納するデータベースである。
【0032】
受信情報記憶部25は、半導体メモリ等により構成され、DSRC送受信部29により受信された路側無線装置1からの通信情報を記憶する第二の記憶部である。例えば、受信情報記憶部25は、路側無線装置1から配信されたコンテンツ情報のデータを記憶するコンテンツ情報記憶部251、配信されたコンテンツの対象となっている地点(施設)の施設アイコンを表示部22の地図画面上に表示するための施設アイコン情報等を記憶する施設情報テーブル252を有している。
【0033】
図3に、本実施の形態において路側無線装置1から受信されるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す。図3に示すように、コンテンツ情報には、コンテンツを表示又は音声出力するためのコンテンツ実データの他、コンテンツに関する情報、例えば、事業者情報、情報提供者情報、対象施設情報等が含まれる。
事業者情報は、コンテンツを配信するサービス事業者に関する事業者情報であり、例えば、コンテンツを提供するサービス事業者の事業者コード、事業者名表示用テキスト等が含まれる。
情報提供者情報は、配信される情報(即ち、コンテンツ)を提供する情報提供者に関する情報であり、例えば、情報提供企業の企業コード、情報提供企業名表示用テキスト、配信される情報の種別を示す情報コード、情報タイトル表示用テキスト、情報の有効期限等が含まれる。
対象施設情報は、配信される情報の対象となっている施設に関する情報であり、配信される情報の対象施設の座標情報(緯度経度)、対象施設の営業時間を示す営業時間情報、対象施設を示す施設アイコンを表示するための画像情報であるアイコン画像情報、コンテンツの提供を開始する位置(座標情報)を示す情報提供開始位置情報等が含まれる。
【0034】
施設情報テーブル252は、コンテンツ情報中に含まれる施設アイコン情報、即ち、対象施設の座標情報及びアイコン画像情報を対応付けて記憶する。なお、施設情報テーブル252には、更に、コンテンツ情報中に含まれる情報企業名表示用テキスト、有効期限等の情報を対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0035】
GPSモジュール26は、図示しないGPSアンテナ等を備えて構成される。このGPSアンテナは、地球低軌道に打ち上げられた複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する。GPSアンテナは、少なくとも3個のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車両の絶対的な現在位置(緯度、経度)を検出して、制御部20に出力する。
【0036】
自律航法ユニット27は、角度センサ、距離センサ等を備えて構成される。角度センサは、車の角速度(単位時間あたりの水平方向への回転角度)を検出して、移動方位の変化量を算出する。距離センサは、車輪の回転に応じて出力されるパルス信号を検出して、車両の移動量を算出する。自律航法ユニット27は、これら角速度信号および車速パルス信号により、車両の相対的な位置変化を算出して制御部20に出力する。
【0037】
VICSモジュール28は、FM多重放送局等からの放送を、図示しないアンテナを介して受信することによって道路渋滞情報を受信し制御部20に出力する。または、VICSモジュール28は、道路上に設置された機器からの光・無線電波を用いたビーコン発信機から放送された道路渋滞情報を受信する構成としてもよい。
【0038】
DSRC送受信部29は、DSRCアンテナ29aを備え、路側無線装置1とDSRCに基づく双方向狭域無線通信を行い、路側無線装置1から配信されるコンテンツ情報を始めとする各種通信情報を受信して制御部20に出力する受信部である。
【0039】
例えば、DSRC送受信部29は、路側無線装置1の通信エリア内に到達すると、路側無線装置1から放射されるDSRC電波を受信して、路側無線装置1とDSRCに基づく通信接続処理を行う。路側無線装置1との通信が確立し、路側無線装置1からコンテンツ情報を始めとする通信情報が受信されると、受信された通信情報を制御部20に出力する。
【0040】
なお、DSRC送受信部29の内部にメモリを有する構成とし、このメモリにナビゲーション装置2における表示部22の画面解像度、地図情報の測地系、受信情報記憶部25の情報格納可能容量等の情報を記憶しておき、路側無線装置1との通信開始時にこれらの情報をDSRC送受信部29が路側無線装置1に通知することで、ナビゲーション装置2に応じたデータを路側無線装置1から受信することができる。
【0041】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図4に、制御部20により実行される受信情報処理を示す。図5に、制御部20により実行されるアイコン表示処理を示す。
【0042】
まず、図4を参照して、制御部20により実行される受信情報処理について説明する。
【0043】
DSRC送受信部29により路側無線装置1から受信した通信情報(受信情報)が入力されると(ステップS1)、受信情報の解析が行われる(ステップS2)。例えば、受信情報には、受信情報の種別を示す情報が付与されており、この情報により受信情報の種別が解析される。
【0044】
受信情報がコンテンツ情報であると判断されると(ステップS3;YES)、コンテンツ情報のフォーマット解析が行われ(ステップS4)、受信されたコンテンツ情報に施設アイコン情報、即ち「対象施設の座標情報」及び「アイコン画像情報」が含まれているか否かが判断される(ステップS5)。受信されたコンテンツ情報に施設アイコン情報が含まれていないと判断されると、処理はステップS7に移行し、その他の情報処理、例えば、受信されたコンテンツ情報のコンテンツ情報記憶部251への記憶やコンテンツの表示、音声出力等が行われ(ステップS7)、本処理は終了する。
【0045】
受信されたコンテンツ情報に施設アイコン情報が含まれていると判断されると(ステップS5;YES)、コンテンツ情報に含まれる「対象施設の座標情報」及び「アイコン画像情報」が対応付けられて施設情報テーブル252に書き込みが行われる(ステップS6)。そして、その他の情報処理、例えば、受信されたコンテンツ情報のコンテンツ情報記憶部251への記憶やコンテンツの表示、音声出力等が行われ(ステップS7)、本処理は終了する。
【0046】
一方、受信情報の解析の結果、受信情報がコンテンツ情報ではないと判断されると(ステップS3;NO)、受信情報のフォーマット解析が行われ(ステップS8)、受信された情報に応じた情報処理が実行され(ステップS9)、本処理は終了する。
【0047】
上記受信情報処理により、路側無線装置1から受信されたコンテンツ情報に含まれている対象施設の施設アイコン情報、即ち、対象施設の座標情報及びアイコン画像情報が施設情報テーブル252に記憶される。
【0048】
次に、図5を参照して、制御部20により実行されるアイコン表示処理について説明する。当該処理は、自車位置が所定距離移動する毎に(又は、操作入力部21からの指示に応じて)実行される処理である。
【0049】
まず、GPSモジュール26により検出された自車位置に応じた範囲内(又は操作入力部21により指示された範囲内)の地図情報が地図DB241から読み出される。読み出された地図情報に基づき地図画面が表示部22の表示画面に表示される(ステップS21)。
次いで、地図画面上へのアイコン表示設定がなされているか否かが判断され、アイコン表示設定がなされていないと判断されると(ステップS22;NO)、本処理は終了する。
【0050】
一方、地図画面上へのアイコン表示設定がなされていると判断されると(ステップS22;YES)、ナビゲーション装置2が予め保有している既存施設アイコンが地図画面上にオーバーレイ表示される(ステップS23)。即ち、表示された地図画面が示す範囲内に座標情報が含まれる既存施設アイコン情報が施設情報DB244において検索処理され、検索された既存アイコン情報に基づいて既存施設アイコンが地図画面上にオーバーレイ表示される。
【0051】
次いで、施設情報テーブル252において、表示された地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が施設情報テーブル252に記憶されているか否かが判断される。本実施の形態においては、表示された地図画面が示す範囲内に「対象施設の座標情報」が含まれる施設アイコン情報が検索処理され、表示された地図画面が示す範囲内に「対象施設の座標情報」が含まれる施設アイコン情報が施設情報テーブル252に記憶されているか否かが判断される。
判断の結果、表示された地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が施設情報テーブル252に記憶されていないと判断されると(ステップS24;NO)、本処理は終了する。
一方、表示された地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が施設情報テーブル252に記憶されていると判断されると(ステップS24;YES)、該当する施設アイコン情報が施設情報テーブル252から読み出され、読み出された施設アイコン情報に基づいて、現在表示中の地図画面及び既存施設アイコンに新たな施設アイコンが重ねて表示、すなわちオーバーレイ表示され(ステップS25)、本処理は終了する。
【0052】
以上説明したように、ナビゲーション装置2によれば、路側無線装置1から受信されたコンテンツ情報に「対象施設の座標情報」及び「アイコン画像情報」が含まれていると判断されると、施設情報テーブル252にこれらの情報が書き込まれる。そして、表示部22に地図画面及び既存施設アイコンを表示する際に、施設情報テーブル252に地図画面が示す範囲内に座標情報が含まれる施設アイコン情報が記憶されているか否かが判断され、記憶されていると判断されると、該当する施設アイコンが地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示される。
【0053】
従って、ナビゲーション装置2のハードディスク装置24に記憶されていない、即ち、ナビゲーション装置2が保有していない施設アイコンを、路側無線装置1から受信し、受信した施設アイコンを地図画面上に表示することが可能となる。
【0054】
また、施設アイコンは、表示部22に表示された地図画面及びナビゲーション装置2が保有している既存施設アイコンの上にオーバーレイ表示されるので、例えば、新しく開設された施設を対象とする施設アイコン情報が受信された場合に、ナビゲーション装置2が以前その地点に存在していた施設の既存施設アイコン情報を保有していたとしても、新しく配信された施設アイコンを既存施設アイコンに重ねて表示させることが可能となる。
【0055】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係るナビゲーション装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0056】
例えば、上記実施の形態では、路側無線装置1から配信されるコンテンツ情報に施設アイコン情報としての「対象施設の座標情報」及び「アイコン画像情報」が含まれていることとしたが、これに限定されず、他の情報に施設アイコン情報が含まれるようにしてもよいし、施設アイコン情報のみが配信されるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態においては、DSRCに基づく通信により施設アイコン情報を受信することとして説明したが、これに限定されず、例えば、無線LAN、パケット通信等により受信する構成としてもよい。
【0058】
また、地図画面上へのアイコン表示設定がなされている場合には、ナビゲーション装置2で保有している既存施設アイコン及び受信した施設アイコン情報に基づく施設アイコンの双方を表示することとしたが、操作入力部21の所定の操作により、受信した施設アイコンのみを地図上に表示する設定が可能な構成としてもよい。
【0059】
また、受信されたコンテンツ情報に「対象施設の座標情報」のデータが含まれているが「アイコン画像情報」のデータが含まれてない場合、施設情報テーブル252に施設アイコン情報とともに、「対象施設の座標情報」に「アイコン画像情報無し」を示す情報を対応付けて記憶するようにしてもよい。そして、施設アイコンを表示する際に、併せてこの記憶されている座標情報に対応する地図画面上の位置にナビゲーション装置2が保有しているマーク(例えば、ピンのマーク等)のアイコン画像を表示するようにしてもよい。
【0060】
また、施設情報テーブル252において施設のアイコン画像情報及び座標情報とともに併せて有効期限の情報を記憶させておき、制御部20は、所定時間毎に、施設情報テーブル252に記憶されている有効期限情報と現在時刻との比較を行い、有効期限を経過した施設アイコン情報を施設情報テーブル252から削除する削除手段としての処理を行うようにしてもよい。これにより、次々に配信される情報によりナビゲーション装置2の受信情報記憶部25が記憶容量不足となり、新たな情報を受信できなくなるといった事態を防止することが可能となる。
【0061】
また、上記実施の形態においては、施設アイコン情報を施設の地図上の座標情報及びアイコン画像情報として説明したが、路側無線装置1から配信される施設アイコン情報としては、これらの情報のみに限定されず、例えば、その施設のテーマ曲等の音声ファイルを含むこととしてもよい。そして、音声ファイルを含む施設アイコン情報を施設情報テーブル252に記憶しておき、制御部20により、自車位置がその施設の座標を中心として所定範囲内の領域に進入した際に、その施設のテーマ曲等を音声出力部23により音声出力させる制御を行うようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態においては、コンテンツ情報に含まれる情報のうち、施設の地図上の座標情報及びアイコン画像情報を施設アイコン情報として施設情報テーブル252に書き込むこととしたが、コンテンツ情報に含まれる他の情報、例えば、営業時間情報を施設アイコン情報に含めることとしてもよい。そして、施設アイコンを表示する際の条件として使用するようにしもよい。即ち、上述の受信情報処理のステップS6において、受信されたコンテンツ情報に営業時間情報が含まれていれば、制御部20は、施設の座標情報及びアイコン画像情報とともに営業時間情報を対応付けて施設情報テーブル252に書き込む。そして、制御部20は、アイコン表示処理のステップS24の処理において、表示すべき施設アイコン情報が施設情報テーブル252に記憶されているか否かを判断する際に、施設情報テーブル252の「営業時間情報」についても参照し、現在時刻が営業時間内である施設アイコン情報のみを表示すべき施設アイコン情報として判断するようにしてもよい。
【0063】
また、路側無線装置1から配信されるコンテンツ情報には、案内時間情報が含まれることとしてもよい。案内時間は、施設の営業時間内の時間帯であって、情報提供者が特に案内を表示させることを指定した時間帯である。例えば、時間帯によりサービスが異なる施設では、特に情報提供企業が多くの来客を所望するサービスの時間帯(例えば、飲食店のランチサービス等)を案内時間としてコンテンツ情報に含めることができる。また、特に来客の少ない時間帯を案内情報としてコンテンツ情報に含めることができる。そして、この案内時間情報が含まれるコンテンツ情報を受信した場合には、上述の受信情報処理において施設アイコン情報に含めて施設情報テーブル252に記憶させるようにし、アイコン表示処理のステップS24の処理において、現在時刻が案内時間内である施設アイコン情報のみを表示すべき施設アイコン情報として判断するようにしてもよい。
【0064】
また、操作入力部21に、地図画面上に表示すべき施設アイコン情報の条件をユーザが設定入力する設定手段を備えるようにしてもよい。そして、アイコン表示処理のステップS24の処理において、ユーザにより設定された条件に一致する施設アイコン情報のみを表示すべき施設アイコン情報として判断するようにしてもよい。例えば、路側無線装置1から配信されるコンテンツ情報に対象施設のジャンルを示す施設ジャンル情報が含まれる場合などに、操作入力部21を介してユーザが表示対象とする施設ジャンル情報を予め設定しておけば、ユーザが所望するジャンルの施設アイコンのみを地図画面上に表示させることが可能となる。
【0065】
また、操作入力部21に、地図画面上に施設アイコンの表示/非表示を設定入力する設定手段を備えるようにしてもよい。そして、アイコン表示処理のステップS24の処理において、ユーザにより施設アイコンの非表示が設定されている場合、表示すべき施設アイコンがないと判断するようにしてもよい。
【0066】
その他、上記実施の形態におけるナビゲーション装置2の細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る実施の形態のDSRCシステム及びナビゲーション装置の概要を示す図である。
【図2】図1のナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図1のサーバから配信されるコンテンツ情報のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図4】図2の制御部により実行される受信情報処理を示すフローチャートである。
【図5】図2の制御部により実行されるアイコン表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
100 DSRCシステム
1 路側無線装置
2 ナビゲーション装置
3 サーバ
20 制御部
21 操作入力部
22 表示部
23 音声出力部
24 ハードディスク装置
241 地図DB
242 案内図DB
243 案内音声DB
244 施設情報DB
25 受信情報記憶部
251 コンテンツ情報記憶部
252 施設情報テーブル
26 GPSモジュール
27 自律航法ユニット
28 VICSモジュール
29 DSRC送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の記憶部に予め記憶された地図情報及び既存施設アイコン情報に基づいて、表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示するナビゲーション装置において、
外部の情報提供装置から送信される通信情報を受信する受信部と、
前記受信された通信情報に施設アイコン情報が含まれているか否かを判断し、含まれている場合に当該施設アイコン情報を第二の記憶部に記憶する情報処理手段と、
前記表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示する際に、前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が前記第二の記憶部に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合に当該第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報に基づく施設アイコンを前記地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示する表示制御手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設アイコン情報には、有効期限が付与されており、
有効期限を経過した前記施設アイコン情報を前記第二の記憶部から削除する削除手段を備える請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記施設アイコン情報は、音声情報を含み、
前記地図画面に表示された施設アイコンに対応する音声情報に基づき音声出力を行う音声出力部を備える請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記施設アイコン情報は、施設の営業時間情報を含み、
前記表示制御手段は、前記第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報のうち、現在時刻が営業時間内である施設アイコン情報を前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報と判断する請求項1〜3の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記施設アイコン情報は、案内時間情報を含み、
前記表示制御手段は、前記第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報のうち、現在時刻が案内時間内である施設アイコン情報を前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報と判断する請求項1〜3の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報の条件を設定する設定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報のうち、前記設定手段により設定された条件に一致する施設アイコン情報を前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報と判断する請求項1〜3の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
第一の記憶部に予め記憶された地図情報及び既存施設アイコン情報に基づいて、表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示するナビゲーション装置における表示方法であって、
外部の情報提供装置から送信される通信情報を受信する工程と、
前記受信された通信情報に施設アイコン情報が含まれているか否かを判断し、含まれている場合に当該施設アイコン情報を第二の記憶部に記憶する工程と、
前記表示部に地図画面及び既存施設アイコンを表示する際に、前記地図画面上に表示すべき施設アイコン情報が前記第二の記憶部に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合に当該第二の記憶部に記憶されている施設アイコン情報に基づく施設アイコンを前記地図画面及び既存施設アイコンにオーバーレイ表示する工程と、
を含む表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−275441(P2008−275441A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119236(P2007−119236)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】