説明

ナビゲーション装置及び車線案内方法

【課題】交差点における適切な車線案内を行う。
【解決手段】車線の案内を行うナビゲーション装置は、先に曲がる第1交差点とその後に曲がる第2交差点との間の距離が所定距離を超えると判定された場合と、第1交差点と第2交差点との間の距離が所定距離以下であると判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合と、を除いて、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が第1交差点を通過後に走行すべき車線の案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び車線案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるナビゲーション装置において、車両が交差点で右折もしくは左折(右左折)しようとしている場合に、右左折後に走行するのが好ましい車線に進入し易いように、当該交差点の通過前に車線案内を行う技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−64661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両が1番目に曲がる(右折または左折する)予定の交差点に、曲がる方向に対応する車線が複数あり、また、2番目に曲がる予定の交差点が1番目の交差点に接近している場合を想定する。この場合、運転者によっては、2番目の交差点で曲がる方向に応じて(2番目の交差点で右折もしくは左折し易いように)、1番目の交差点内において適切な車線に移ろうとする可能性がある。
【0005】
しかし、交差点内における車両の車線変更は好ましくない。特許文献1の技術により1番目の交差点の通過前に車線案内を行ったとしても、車両が当該交差点内を走行している最中に適切な車線に移ろうとする可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、交差点における適切な車線案内を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、車線の案内を行うナビゲーション装置であって、現在地を特定する現在地特定手段と、目的地までの経路を特定する経路特定手段と、特定された目的地までの経路において、車両が先に曲がる第1交差点と当該車両がその後に曲がる第2交差点との間の距離が所定距離以下であるか否かを判定する距離判定手段と、車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あるか否かを判定する車線判定手段と、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離を超えると判定された場合と、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離以下であると判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合と、を除き、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線の案内を行う車線案内手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
ここで、上記のナビゲーション装置において、前記車線案内手段は、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線として、当該車両が前記第1交差点を通過後に進入する道路の、前記第2交差点において曲がる方向に対応する側の車線を特定し、案内する、ことを特徴としていてもよい。
【0009】
また、上記のナビゲーション装置において、前記車線案内手段は、車線の案内を行う場合、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線を示す情報を表示する、ことを特徴としていてもよい。
【0010】
また、上記のナビゲーション装置において、前記車線案内手段は、車両と前記第1交差点との間の距離が所定距離以下となった場合に車線の案内を行う、ことを特徴としていてもよい。
【0011】
また、上記のいずれかのナビゲーション装置において、前記車線案内手段は、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離以下である判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が前記第1交差点を通過前に走行すべき車線への変更の案内を行う、ことを特徴としていてもよい。
【0012】
上記の課題を解決するための本発明の他の態様は、車線の案内を行う車線案内方法であって、現在地を特定するステップと、目的地までの経路を特定するステップと、特定された目的地までの経路において、車両が先に曲がる第1交差点と当該車両がその後に曲がる第2交差点との間の距離が所定距離以下であるか否かを判定するステップと、車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あるか否かを判定するステップと、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離を超えると判定された場合と、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離以下であると判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合と、を除き、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線の案内を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、交差点における適切な車線案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置の一例の概略ハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】地図情報の一例を示す図。
【図3】ナビゲーション装置の主制御部の機能構成の一例を示すブロック図。
【図4】車線案内を実行するか否かの判定に用いる交差点間の距離を説明する図。
【図5】同じ方向に曲がるための車線が複数ある交差点の一例を示す図。
【図6】同じ方向に曲がるための車線が複数ある交差点と車線案内との関係を説明する図。
【図7】同じ方向に曲がるための車線が複数ある交差点と車線案内との関係を説明する図。
【図8】ナビゲーション装置における車線案内処理を示すフロー図。
【図9】車線案内を実行中のユーザインタフェース画面の一例を示す図。
【図10】車線案内を実行していないユーザインタフェース画面の一例を示す図。
【図11】本発明の第2実施形態に係るナビゲーション装置における車線変更案内処理を示すフロー図。
【図12】車線変更案内を実行中のユーザインタフェース画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置の一例の概略ハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
ナビゲーション装置1は、例えば、地図、現在地、ルート等を表示することにより、ユーザを誘導するナビゲーション処理を行う。また、後述するように、ナビゲーション装置1は、車両が右左折予定の交差点付近において、右左折後に進入すべき適切な車線の案内を行う。また、状況に応じてその車線の案内を抑止する。
【0018】
ナビゲーション装置1は、主制御部10、ディスプレイ20、入力装置30(タッチパネル31、ハードスイッチ32)、音声入出力装置40(スピーカ41、マイクロフォン42)、記憶装置50、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS(Global Positioning System)受信装置64、通信装置66、FM多重放送受信装置68、ビーコン受信装置70を有する。
【0019】
主制御部10は、ナビゲーション装置1の様々な機能を実現する処理を行う中心的ユニットである。主制御部10は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)11と、プログラムやデータを格納するRAM(Random Access Memory)12やROM(Read Only Memory)13などのメモリと、他の装置を制御するためのインタフェース(I/F)14とが、信号線15により接続されて構成される。
【0020】
主制御部10は、例えば、車速センサ60、ジャイロセンサ62、およびGPS受信装置64から出力される情報を用いて現在地を算出する。また、得られた現在地の情報に基づいて、表示に必要な地図情報を記憶装置50から読み出す。また、主制御部10は、読み出した地図情報をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ20へ表示する。
【0021】
また、主制御部10は、地図情報を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適なルート(推奨ルート)を算出して、ディスプレイ20へ表示する。また、主制御部10は、スピーカ41を介してユーザを誘導するための音声や操作音を出力する。また、入力装置30やマイクロフォン42を介してユーザの要求を受け付け、要求に対応する処理を実行する。
【0022】
また、主制御部10は、VICSセンターが配信する交通情報などを、FM多重放送受信装置68やビーコン受信装置70を介して受信し、ディスプレイ20へ表示する。VICSセンターから受信した交通情報は、RAM12や記憶装置50に格納される。
【0023】
また、詳細は後述するが、主制御部10は、現在地が交差点に接近した場合に、所定の条件に応じて車線案内の出力を制御する。
【0024】
ディスプレイ20は、主制御部10で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ20は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Electro-Luminescence Display)などで構成される。
【0025】
入力装置30は、ユーザの指示をユーザの操作により受け付けるためのユニットである。入力装置30は、タッチパネル31、ハードスイッチ32などで構成される。
【0026】
タッチパネル31は、ディスプレイ20の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル31は、ディスプレイ20に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して主制御部10に出力する。タッチパネル31は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。ハードスイッチ32は、例えば、ダイヤルスイッチ、スクロールキー、キーボード、ボタンなどである。
【0027】
音声入出力装置40は、音声出力装置としてスピーカ41と、音声入力装置としてマイクロフォン42とを備える。スピーカ41は、主制御部10で生成された音声信号を出力する。マイクロフォン42は、ユーザその他の搭乗者から発せられた音声などのナビゲーション装置1の外部の音声を取得し、主制御部10に出力する。
【0028】
スピーカ41とマイクロフォン42とは、車両の所定の部位に、別個に配置されている。もちろん、スピーカ41とマイクロフォン42とは、一体の筐体に収納されていてもよい。また、ナビゲーション装置1は、スピーカ41およびマイクロフォン42を、それぞれ複数備えることができる。
【0029】
車速センサ60、ジャイロセンサ62、およびGPS受信装置64は、移動体(ナビゲーション装置1)の現在位置(自車位置)などを検出するために使用される。
【0030】
車速センサ60は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ62は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するセンサである。GPS受信装置64は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。このように検出された各種データは、主制御部10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。
【0031】
通信装置66は、携帯電話回線やインターネットなどのネットワークとデータを送受信するための装置である。
【0032】
FM多重放送受信装置68は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、天気情報などや、FM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などが含まれる。
【0033】
ビーコン受信装置70は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
【0034】
記憶装置50には、主制御部10が各種処理を実行するために必要なプログラムやデータ、ナビゲーション処理に使用される地図情報、音声認識に使用される音声辞書などが格納される。これらの情報は、主制御部10のCPU11によってRAM12上に読み出されて使用される。記憶装置50は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD-ROMなどにより構成される。
【0035】
図2を参照して、地図情報について説明する。図2は、地図情報の一例を示す図である。
【0036】
地図情報200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)210ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ220を含んでいる。リンクデータ220は、リンクの識別コード(リンクID)221ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別情報223、リンクの長さを示すリンク長情報224、リンク旅行時間225、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)226、リンクを含む道路の車線数を示す情報を含む車線情報227などを含んでいる。
【0037】
また、地図情報200は、メッシュID230ごとに、そのメッシュ領域に含まれる各交差点の交差点情報240を含んでいる。交差点情報240は、交差点の座標情報241ごとに、交差点の名称242、交差点の車線情報243、などを含んでいる。車線情報243は、当該交差点への進入方向ごとに、車線数、各車線の進行方向(直進、左折、右折など)を示す情報、などを含んでいる。
【0038】
また、地図情報200は、リンクを含む道路の識別コード(道路ID)、道路名称なども含んでいる。また、道路や交差点以外の地図構成物の情報(名称、種別、座標情報など)を含んでいる。
【0039】
もちろん、地図情報200の構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な地図情報が備える情報を排除するものではない。
【0040】
以上がナビゲーション装置1の一例の概略ハードウェア構成である。ただし、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的なナビゲーション装置が備える構成を排除するものではない。
【0041】
例えば、ナビゲーション装置1は、地上デジタル放送用のチューナーを備えていてもよい。また、車両に備え付けられたものでなくてもよく、例えば、持ち運び可能なPND(Personal Navigation Device)などであってもよい。また、車内LAN(Local Area Network)、CAN(Controller Area Network)などの車内の通信ネットワークを介して他の車載機器(例えば、オーディオやエアコン)やセンサなどと通信を行ってもよい。
【0042】
また、例えば、ナビゲーション装置1は、通信装置66を用いて、外部のサーバなどの装置と通信を行い、出発地および目的地の情報を送信し、ルート情報を算出させ、取得するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1は、自身の地図情報200だけでなく、外部サーバなどの装置が有する地図情報を用いて、ルート情報を算出してもよい。
【0043】
次に、図3を参照して、主制御部10の機能構成について説明する。図3は、主制御部10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
主制御部10は、表示制御部110、操作受付部120、現在地算出部130、ルート探索部140、ルート案内部150、車線案内部160を有する。
【0045】
これらの機能部は、例えば、CPU11がROM13や記憶装置50からRAM12にロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。この所定のプログラムは、予め(例えば、ナビゲーション装置1の製造時に)ROM13や記憶装置50に格納される。もちろん、通信装置66を介してネットワーク上からダウンロードされてインストールや更新がされてもよい。また、CD−ROM等の記憶媒体から読み出されてインストールや更新がされてもよい。
【0046】
表示制御部110は、他の機能部の指示を受け付け、ディスプレイ20にユーザインタフェース画面を表示させるための描画コマンドを生成して出力する。例えば、指定されたスケール、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、経由地、目的地、ルート、車線情報といった画像を描画するように地図描画コマンドを生成する。また、ユーザの指示を受け付けるためのメニュー項目や、操作ボタンなどの画像を描画するように描画コマンドを生成する。
【0047】
操作受付部120は、入力装置30を介して入力されたユーザの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。また、マイクロフォン42を介して入力された音声から、音声認識により対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。
【0048】
例えば、ユーザが推奨ルートの探索を要求したときは、操作受付部120は、目的地の設定を受け付けるための地図情報やダイアログ、ウインドウなどを表示する処理を、ルート探索部140に要求する。また、出発地から目的地までのルートを演算する処理をルート探索部140に要求する。
【0049】
現在地算出部130は、車速センサ60、ジャイロセンサ62、およびGPS受信装置64から出力される情報を用いて、定期的に現在地を算出する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、相関が最も高い道路(リンク)上に、現在地を合わせ込む。
【0050】
ルート探索部140は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶルートのコスト(例えば、旅行距離、旅行時間)が最少となるルートを探索する。例えば、ルート探索部140は、ユーザにより指定された目的地を、操作受付部120を介して取得する。また、出発地(現在地)の情報を、現在地算出部130から取得する。それから、ルート探索部140は、地図情報200に含まれるリンクの旅行時間225をコストとして、出発地から目的地までの総コストが最少となるルートを探索する。
【0051】
ルート案内部150は、現在地算出部130が算出した現在地周辺の地図情報を記憶装置50から読み出す。そして、読み出した地図情報に現在地情報を重ねて表示するように表示制御部110に要求する。また、ルート探索部140により探索されたルート情報を用いてルート案内を行う。例えば、ルート案内部150は、ルート情報を地図情報に重ねて表示する。また、ルート情報と、現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかをスピーカ41を用いて音声でユーザに知らせる。また、ルート案内部150は、ディスプレイ20に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、ユーザにルートを案内する。
【0052】
車線案内部160は、車線案内を行う。本実施形態では、ルート探索部140によりルートが探索されている場合について説明する。
【0053】
車線案内部160は、現在地情報、ルート情報、リンクデータ220等を用いて、現在地算出部130により算出された現在地が、先に曲がる予定の第1交差点から所定距離内に入った場合、次に曲がる予定の第2交差点と第1交差点のとの間の距離が所定距離以下であるか否かを判定する。また、第2交差点と第1交差点との距離が所定距離以下である場合、交差点情報240の車線情報243を用いて、第1交差点において曲がる予定の方向に対応する車線が複数あるか否かを判定する。
【0054】
図4の例では、交差点Aが第1交差点であり、交差点Bが第2交差点であり、距離Bが第2交差点と第1交差点の間の距離である。また、図4の例では、交差点Aの右折車線が複数あるか否かが判定される。車線案内部160は、第2交差点と第1交差点との距離が所定距離以下であり、かつ、第1交差点において曲がる予定の方向に対応する車線が複数でない場合、下記の車線案内を行う。この条件以外の場合、車線案内部160は、下記の車線案内を行わない。
【0055】
車線案内部160は、車線案内として、第1の交差点を曲がった後(通過後)に進入する道路の、第2の交差点において曲がる予定の方向に対応する側の車線への進入を推奨する情報を出力する。すなわち、第1の交差点から第2の交差点までの間の道路において車両の車線変更が不要な、進入すべき適切な車線を案内する。なお、車線案内部160は、現在地情報、ルート情報、リンクデータ220等を用いて、上記の車線案内を行う。
【0056】
ここで、車両が第1の交差点に接近した場合に、第1交差点において曲がる予定の方向に対応する車線が複数である場合にも上記の車線案内を行った場合の問題点について図5〜7を参照して説明する。
【0057】
図5は、同じ方向に曲がるための車線を複数有する交差点および道路の一例を示している。本図では、道路Aは、交差点Aに進入する車線として、2つの直進車線(第1車線および第2車線)と、2つの右折車線(第3車線および第4車線)を有している。道路Bは、交差点Aから抜け出す車線として、2つの車線(第1車線および第2車線)を有している。交差点Aと交差点Bとの間の距離は、上述した所定距離以下となっている。
【0058】
図5の道路構成において、道路Aの第3車線もしくは第4車線を走行中の車両は、右折の際、交差点A内においてレーン変更を行うのは好ましくない。すなわち、交差点A内において、道路Aの第3車線の車両が道路Bの第2車線に進入しようとしたり、道路Aの第4車線の車両が道路Bの第1車線に進入しようとしたりするのは好ましくない。
【0059】
上記の道路構成において、例えば、図6に示すように、交差点Aを右折後、交差点Bを左折するルートが設定されている場合を想定する。すると、道路Aの第4車線を走行中の車両の運転者は、交差点Bにおいて左折し易いように、交差点Aで右折しながら道路Bの第1車線に進入しようとする場合がある。
【0060】
ここで、ユーザインタフェース画面400に、ルート案内画像410とともに、交差点Aの車線案内画像420が表示されると、運転者は、交差点Aから進入できる道路Bの車線が複数(2車線)あることを明確に認識することができる。そのため、この車線案内により、運転者は交差点A内において車線を変更するように誘導され易くなるおそれがある。
【0061】
また、上記の道路構成において、例えば、図7に示すように、交差点Aを右折後、交差点Bを右折するルートが設定されている場合を想定する。すると、道路Aの第3車線を走行中の車両の運転者は、交差点Bにおいて右折し易いように、交差点Aで右折しながら道路Bの第2車線に進入しようとする場合がある。
【0062】
ここで、ユーザインタフェース画面400に、ルート案内画像410とともに、交差点Aの車線案内画像420が表示されると、運転者は、交差点Aから進入できる道路Bの車線が複数(2車線)あることを明確に認識することができる。そのため、この車線案内により、運転者は交差点A内において車線を変更するように誘導され易くなるおそれがある
【0063】
そこで、本実施形態の車線案内部160は、上述した所定の条件の場合には、上記の車線案内を行わない。
【0064】
以上の各構成要素は、ナビゲーション装置1および主制御部10の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置1および主制御部10の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0065】
次に、上記のナビゲーション装置1において実現される特徴的な車線案内処理について、図8〜図10を参照して説明する。
【0066】
図8は、ナビゲーション装置1における車線案内処理を示すフロー図である。本フローは、ナビゲーション装置1のナビゲーション処理中に繰り返し実行される。
【0067】
S110では、車線案内部160は、現在地を取得する。具体的には、車線案内部160は、現在地算出部130から現在地を取得する。そして、処理をS120に進める。
【0068】
S120では、車線案内部160は、ルートに沿って車両の現在地が最初に曲がる予定の第1交差点に接近したか否かを判定する。具体的には、車線案内部160は、ルート情報およびリンクデータ220を用いて、S110で取得した現在地から第1交差点までの距離が所定距離(例えば、50m)以下であるか否かを判定する。第1交差点までの距離が所定距離以下である場合(S120:YES)、車線案内部160は、処理をS130に進める。第1交差点までの距離が所定距離より大きい場合(S120:NO)、処理をS110に戻す。
【0069】
S130では、車線案内部160は、第1交差点からその次に曲がる予定の第2交差点までの距離を算出する。具体的には、レーン案内部160は、ルート情報およびリンクデータ220を用いて、第1交差点(S120で特定)と第2交差点との間の距離を算出する。そして、処理をS140に進める。
【0070】
S140では、車線案内部160は、第1交差点と第2交差点との間の距離が所定距離(例えば、100m)以下であるか否かを判定する。交差点間の距離が所定距離以下である場合(S140:YES)、車線案内部160は、処理をS150に進める。交差点間の距離が所定距離より大きい場合(S140:NO)、本フローを終了する。
【0071】
S150では、車線案内部160は、第1交差点において車両が曲がる方向と対応する車線が複数あるか否かを判定する。具体的には、レーン案内部160は、ルート情報および第1交差点の車線情報243を用いて、ルートに沿って車両が曲がる方向に対応する、第1交差点の現在地側の車線の数を特定する。そして、当該車線数が複数でない場合(S150:NO)、処理をS160に進める。当該車線数が複数である場合(S150:YES)、本フローを終了する。
【0072】
S160では、車線案内部160は、車線案内を行う。具体的には、車線案内部160は、現在地情報、ルート情報、リンクデータ220等を用いて、第1の交差点を曲がった後(通過後)に進入する道路の、第2の交差点において曲がる予定の方向に対応する側の車線への進入を推奨する情報を出力する。例えば、図9に示すユーザインタフェース画面500のように、地図画像510に重ねて、交差点B(第2の交差点)において曲がる予定の方向に対応する側の車線への進入を示す車線案内画像530を表示する。スピーカ41を介して音声出力により車線案内を行ってもよい。なお、ユーザインタフェース画面500には、ルート案内部150により、現在地マーク512、ルート情報513、進行方向画像520等が、地図画像510に重ねて表示されている。車線案内部160は、車線案内を開始後、処理をS170に進める。
【0073】
なお、S150でNOの場合、すなわち、第1交差点における右左折車線が複数でない場合、車線案内部160は、車線案内を行わない。例えば、図10に示すユーザインタフェース画面500のように、車線案内画像530(図9参照)を表示しない。
【0074】
S170では、車線案内部160は、車線案内を終了する。具体的には、車線案内部160は、例えば、現在地が第1交差点を通過した(右左折が完了した)か否かを監視し、通過した場合に車線案内を終了する。所定時間(例えば、5秒)経過後に、車線案内を終了するようにしてもよい。図9車線案内画像530を表示していた場合には、その表示を消去する。そして、本フローを終了する。
【0075】
なお、上述のフローの各処理単位は、ナビゲーション装置1および主制御部10の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置1および主制御部10の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0076】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。本実施形態によれば、交差点における適切な車線案内を行うことができる。すなわち、本実施形態では、交差点において、運転者により車線変更が行われ易い所定の状況においては、車線案内が実行されない。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態のナビゲーション装置1は、第1実施形態の車線案内処理の前に、運転者に車線の変更を促す車線変更案内処理を実行するものである。以下、第1実施形態と第2実施形態とが異なる点を中心に説明する。
【0078】
車線案内部160は、第1の実施形態と同様に、現在地から第1交差点までの距離が所定距離以下となった場合に、所定の条件に応じて車線案内の出力を制御する。第2実施形態では、車線案内部160は、現在地から第1交差点までの距離が、上記の所定距離よりも長い所定距離以下となった場合に、所定の条件に応じて車線変更の案内の出力を制御する。
【0079】
図11は、ナビゲーション装置1における車線変更案内処理を示すフロー図である。本フローは、ナビゲーション装置1の車線案内処理の前(図8のS110の前)に実行される。
【0080】
S10〜S50の処理は、図8のS110〜S150の処理と同様なので説明を省略する。ただし、S10の判定に用いる所定距離は、S110に用いられる所定距離よりも長い(例えば、100m)ものとする。また、S50でYESの場合に処理をS60に進め、S50でNOの場合、車線案内部160は、本フローを終了して、処理をS110に進める。
【0081】
S60では、車線案内部160は、車線変更案内を行う。具体的には、車線案内部160は、第1交差点の交差点情報240を用いて、車線数や各車線の進行方向などを表示したり、音声出力したりする。また、第2交差点において曲がる予定の方向に曲がり易いように、適切な車線への変更を促す情報を表示したり、音声出力したりする。すなわち、車線案内部160は、第2交差点において左折する場合は、第1交差点における複数の右折車線もしくは複数の左折車線のうち、左側の車線への変更を案内する。第2交差点において右折する場合は、第1交差点における複数の右折車線もしくは複数の左折車線のうち、右側の車線への変更を案内する。
【0082】
車線案内部160は、例えば、図12に示すユーザインタフェース画面500のように、地図画像510に重ねて、各車線の進行方向および車線変更すべき車線を示す車線変更画像540を表示する。車線案内部160は、車線変更案内を開始後、処理をS70に進める。
【0083】
S70では、車線案内部160は、車線変更案内を終了する。具体的には、車線案内部160は、例えば、所定時間(例えば、5秒)経過後に、車線変更案内を終了する。図8のS120でYESの場合に、車線変更案内を終了するようにしてもよい。図12のように車線変更画像を表示していた場合には、その表示を消去する。そして、本フローを終了する。
【0084】
なお、上述のフローの各処理単位は、ナビゲーション装置1および主制御部10の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置1および主制御部10の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0085】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、車線案内もしくは車線案内の抑止の前に、運転者に対して車線変更が予め促されるため、交差点において、運転者により車線変更が行われる可能性をより低くすることができる。
【0086】
なお、上記の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【0087】
例えば、上記の第1および第2実施形態では、車線案内として、第1交差点を曲がった後に進入すべき適切な車線の案内が出力されているが、第1交差点に進入する車線数や各車線の進行方向が出力されるようにしてもよい。この場合も同様に、所定の状況に応じて、当該車線案内画像が出力されないように抑止される。
【0088】
また、例えば、上記の第2実施形態では、現在地と地図情報とを用いて現在地が位置する車線を監視し、第2交差点において曲がる予定の方向に応じた第1交差点における適切な車線に、現在地が位置しない場合に、車線変更案内を出力するようにしてもよい。また、現在地が適切な車線に位置する場合には、車線案内を抑止しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1:ナビゲーション装置、10:主制御部、11:CPU、12:RAM、13:ROM、14:I/F、15:信号線、20:ディスプレイ、30:入力装置、31:タッチパネル、32:ハードスイッチ、40:音声入出力装置、41:スピーカ、42:マイクロフォン、50:記憶装置、60:車速センサ、62:ジャイロセンサ、64:受信装置、66:通信装置、68:FM多重放送受信装置、70:ビーコン受信装置、110:表示制御部、120:操作受付部、130:現在地算出部、140:ルート探索部、150:ルート案内部、160:車線案内部、200:地図情報、210:メッシュID、220:リンクデータ、221:リンクID、222:座標情報、223:種別情報、224:リンク長情報、225:リンク旅行時間、226:接続リンクID、227:車線情報、230:メッシュID、240:交差点情報、241:座標情報、242:名称、243:車線情報、400:ユーザインタフェース画面、410:ルート案内画像、420:車線案内画像、500:ユーザインタフェース画面、510:地図画像、512:現在地マーク、513:ルート情報、520:進行方向画像、530:車線案内画像、540:車線変更画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の案内を行うナビゲーション装置であって、
現在地を特定する現在地特定手段と、
目的地までの経路を特定する経路特定手段と、
特定された目的地までの経路において、車両が先に曲がる第1交差点と当該車両がその後に曲がる第2交差点との間の距離が所定距離以下であるか否かを判定する距離判定手段と、
車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あるか否かを判定する車線判定手段と、
前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離を超えると判定された場合と、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離以下であると判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合と、を除き、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線の案内を行う車線案内手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記車線案内手段は、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線として、当該車両が前記第1交差点を通過後に進入する道路の、前記第2交差点において曲がる方向に対応する側の車線を特定し、案内する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記車線案内手段は、車線の案内を行う場合、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線を示す情報を表示する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置であって、
前記車線案内手段は、車両と前記第1交差点との間の距離が所定距離以下となった場合に車線の案内を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記車線案内手段は、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離以下である判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が前記第1交差点を通過前に走行すべき車線への変更の案内を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
車線の案内を行う車線案内方法であって、
現在地を特定するステップと、
目的地までの経路を特定するステップと、
特定された目的地までの経路において、車両が先に曲がる第1交差点と当該車両がその後に曲がる第2交差点との間の距離が所定距離以下であるか否かを判定するステップと、
車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あるか否かを判定するステップと、
前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離を超えると判定された場合と、前記第1交差点と前記第2交差点との間の距離が所定距離以下であると判定され、且つ車両が曲がる方向に対応した、前記第1交差点に接続される屈折車線が複数あると判定された場合と、を除き、特定された現在地と特定された目的地までの経路とに基づいて、車両が前記第1交差点を通過後に走行すべき車線の案内を行うステップと、
を含むことを特徴とする車線案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−99815(P2011−99815A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255978(P2009−255978)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】