説明

ナビゲーション装置

【課題】 地図データの不正な使用を防止する。
【解決手段】 予め、装置本体10に設けたフラッシュメモリ16とハードディスク装置11とに、装置本体10の製造シリアルナンバを装置本体固有の識別コードとして書き込んでおく。装置本体10がカーバッテリと接続されると、制御部15はフラッシュメモリ16とハードディスク装置11の識別コードを読み出して照合し、一致したときハードディスク装置11を地図データ読み出し許可モードに設定しておき、ACC電源が立ち上がったとき、地図データを用いて地図画像を描画し表示させるが、一致しないとき地図データ読み出し禁止モードに設定しておき、ACC電源が立ち上がったとき、地図データを用いた地図画像の描画を禁止し、地図表示を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に係り、とくにハードディスク装置の如く大容量な記憶装置に記憶させて使用する地図データが、正規の使用権を持たないユーザに不正に使用されないようにしたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年カーナビゲーション装置に用いられる地図データは、地図画像の3次元表示等のため大容量化が進んでいる。このため、地図データを高速に読み出してリアルタイムで複雑な地図表示を可能とするため大容量のハードディスク装置を設けて、地図データを全てハードディスク装置に書き込んでおき、必要な地図データをハードディスク装置から高速に読み出して地図画像を描画するようにしたカーナビゲーション装置が実用化されている。
【0003】
道路の新設、都市開発等で地図は定期に更新されるため、ハードディスク装置に書き込まれている地図データも随時更新される。更新はハードディスク装置をカーナビゲーション装置本体から取り外し、メーカに送付してメーカ側で地図データを更新してもらい、返却されたハードディスク装置を本体に取り付けて行うか、メーカ側より更新用地図データを記録した記録媒体を入手し、該記録媒体からカーナビゲーション装置へインストールして行う。
【0004】
ところで、ハードディスク装置に地図データを書き込んで使用するようにしたカーナビゲーション装置の場合、或る正規ユーザのカーナビゲーション装置から地図データの書き込まれたハードディスク装置を取り外し、他人のカーナビゲーション装置に取り付ければ、当該他人は正規ユーザから貰い受けたハードディスク装置の地図データを不正に使用できてしまう。
また、更新用地図データを記録した記録媒体からカーナビゲーション装置へインストールして地図データの更新を行う場合、著作権の管理から1つの記録媒体で複数のカーナビゲーション装置の地図更新を行わせないように、記録媒体とカーナビゲーション装置の製造シリアルナンバを対応付けて、記録媒体からの地図更新を1つのカーナビゲーション装置のみ可能とする技術が提案されている。しかし、この場合も、記録媒体と対応付けられたカーナビゲーション装置のハードディスク装置を他のカーナビゲーション装置のハードディスク装置と交換することにより、1つの記録媒体から複数のハードディスク装置に対しての地図データの更新が出来てしまう。
この結果、地図データの著作権の所有者の権利が容易に侵害されてしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−165669号公報
【特許文献2】特開2002−357428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、地図データ記憶手段の取り替えによる不正な地図データの使用を防止できるナビゲーション装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、前記地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の第1の識別情報と、装置本体毎に異なる固有の第2の識別情報を記憶しておくとともに、前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された第1の識別情報同士を照合するとともに第2の識別情報同士を照合する照合手段と、前記照合手段で第1の識別情報と第2の識別情報のいずれか一方が一致しないか両方が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項2記載の発明では、地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項3記載の発明では、地図データ記憶手段に予め、装置本体毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明では、現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、地図データ記録媒体から地図データの読み取りを行う読み取り手段と、読み取り手段を制御し、地図データ記録媒体から地図データを読み取らせて地図データ記憶手段に書き込む地図データ書き込み手段と、を備えたナビゲーション装置において、前記地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の第1の識別情報と、装置本体毎に異なる固有の第2の識別情報を記憶しておくとともに、前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された第1の識別情報同士を照合するとともに第2の識別情報同士を照合する照合手段と、前記照合手段で第1の識別情報と第2の識別情報のいずれか一方が一致しないか両方が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項5記載の発明では、地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項6記載の発明では、地図データ記憶手段に予め、装置本体毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項1乃至6において、禁止手段による地図画像表示の禁止は、例えば地図画像表示制御手段が地図データ記憶手段に記憶された地図データを用いて地図画像を描画するのを禁止して行っても良く、或いは、表示手段の電源を強制的にオフすることで行っても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハードディスク装置に記憶された固有の識別情報がハードディスク装置とは別に設けられた識別情報記憶手段に記憶された固有の識別情報と一致しないと、地図データ記憶手段に記憶された地図データを用いて地図画像の表示をすることができない。よって、正規ユーザから貰い受けた地図データ記憶手段を他人が自身のナビゲーション装置に取り付けても、地図表示させることはできず、不正な地図データの使用を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
カーナビゲーション装置において、カーナビゲーション装置本体毎に異なる装置本体固有の第1の識別コード(ナビゲーション装置本体の製造シリアルナンバ)と、ハードディスク装置毎に異なるハードディスク装置固有の第2の識別コード(ハードディスク装置の製造シリアルナンバ)の両者を、カーナビゲーション装置本体のフラッシュメモリに記憶させておくとともにハードディスク装置にも記憶させておく。カーナビゲーション装置本体がカーバッテリと接続され、パワーオンリセットが掛かると、装置本体の制御部によりフラッシュメモリとハードディスク装置に記憶された第1の識別コードが照合され、フラッシュメモリとハードディスク装置に記憶された第2の識別コードが照合される。両者とも一致すると、ハードディスク装置が地図データの読み出し許可モードに設定され、いずれか一方が一致しないか両方とも一致しないと、ハードディスク装置が地図データの読み出し禁止モードに設定される。その後、ACC(アクセサリ)スイッチが閉じ、アクセサリ電源が立ち上がると、読み出し許可モードであればハードディスク装置から地図データが読み出されて地図画像が描画されるが、読み出し禁止モードであれば、地図画像の描画はされないようになっている。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の一つの実施例に係るカーナビゲーション装置の構成図である。
1はユーザの所有するカーナビゲーション装置であり、この内、10はカーナビゲーション装置本体(以下、「装置本体」という)、20は地図画像を表示したり、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)としての入力操作の支援画面等を表示する表示装置である。装置本体10の内、11は地図データを記憶するための大容量のハードディスク装置であり、装置本体10に着脱自在に取り付けられている。ハードディスク装置11には予めメーカ側で出荷時に、地図データと、ハードディスク装置毎に異なる固有の第1の識別コード(ここではハードディスク装置の製造シリアルナンバ)と、カーナビゲーション装置本体毎に異なる固有の第2の識別コード(カーナビゲーション装置本体の製造シリアルナンバ)が書き込まれている。2は更新用地図データの記録されたDVD−ROM(以下、地図更新用DVD−ROMという)である。12は衛星航法で現在位置を検出するGPS受信部、13はDVD−ROMの読み取りを行うDVD−ROMドライブ部、14はキー入力を行う入力部、15は現在位置周辺の地図表示のためのナビゲーション制御処理、ハードディスク装置11の正規ユーザの認証処理、地図データ更新制御処理等を行うマイコン構成の制御部、16はフラッシュメモリであり、予め、メーカ側で出荷時に、前記第1の識別コードと前記第2の識別コードが書き込まれている。
【0012】
17はバックアップ電源用直流安定化電源回路であり、カーバッテリ30の+端子と接続されて、所定電圧のバックアップ用電源電圧を形成し、制御部15、フラッシュメモリ16、ハードディスク装置11に供給する。18はメイン電源用直流安定化電源回路であり、ACCスイッチ31の出力側に接続されて、ACC電源から所定電圧のメイン電源用直流電圧を形成し、GPS受信部12、DVD−ROMドライブ部13、入力部14、表示装置20に供給する。
【0013】
制御部15はカーナビゲーション装置が車両に取り付けられてカーバッテリ30の+端子がバックアップ電源用直流安定化回路17に接続されてバックアップ電源電圧が立ち上がると、パワーオンリセットが掛かり、所定のリセット動作をするとともにフラッシュメモリ16とハードディスク装置11に記憶された第1、第2の認証コードを用いてハードディスク装置11の正規ユーザの認証を行う。正規ユーザと認証されれば、ハードディスク装置11を地図データの読み出し許可モードに設定し、認証されなければ地図データの読み出し禁止モードに設定する。また、ACCスイッチ31が閉じ、メイン電源電圧が立ち上がると、ハードディスク装置11が地図データの読み出し許可モードに設定されていれば、ナビゲーションモードとなり、GPS受信部12で検出した現在位置データに基づき、ハードディスク装置11から現在位置周辺の地図データを読み出し、現在位置周辺の地図画像を現在位置マークとともに描画し、表示装置20に表示させる。なお、このナビゲーション制御については良く知られているので、詳細な説明は省略する。メイン電源電圧が立ち上がったとき、ハードディスク装置11が地図データの読み出し禁止モードに設定されていれば、ナビゲーションモードへの移行はしない。
【0014】
また、制御部15は、ユーザにより入力部14のキー操作で地図データの更新が指示されると、DVD−ROMドライブ部13を制御し該DVD−ROMドライブ部13にセットされたDVD−ROM3から更新用地図データを読み出し、ハードディスク装置11に書き込んでインストールする。
【0015】
図2は制御部15によるバックアップ電源電圧立ち上がり時の処理を示すフローチャート、図3は制御部15によるメイン電源電圧立ち上がり時の処理を示すフローチャート、図4は表示装置20に表示される画面の説明図、図5はハードディスク装置11の正規ユーザの認証動作の説明図であり、以下、これらの図を参照してこの実施例の動作を説明する。
なお、ハードディスク装置11とフラッシュメモリ16には予めメーカ側で出荷時に、地図データと、ハードディスク装置毎に異なる固有の第1の識別コード(ここでは、ハードディスク装置の製造シリアルナンバ)と、カーナビゲーション装置本体毎に異なる固有の第2の識別コード(ここでは、カーナビゲーション装置本体の製造シリアルナンバ)が書き込まれており、ハードディスク装置11には、地図データも書き込まれているものとする。
また、フラッシュメモリ16とハードディスク装置11には、ハードディスク装置11が地図データの読み出し禁止モードか許可モードかを示すフラグF(0;禁止、1;許可)を格納する領域が設けられているものとし、予め、メーカ側で出荷時にFがブランクとされているものとする。
【0016】
(1)バックアップ電源電圧立ち上がり時の処理
ハードディスク装置11が取り付けられた装置本体10と表示装置20を車両に設置し、装置本体10に表示装置20を接続したのち、カーバッテリ30の+端子をバックアップ電源用直流安定化電源回路17に接続すると、バックアップ電源電圧が立ち上がり、制御部15は図2に示すフローに従い所定のリセット処理を行ったあと(ステップS10)、フラッシュメモリ16に記憶された第1の識別コードとハードディスク装置11に記憶された第1の識別コードを読み出して一致するか照合する(ステップS11、S12)。一致しなければ、正規ユーザでない他人のハードディスク装置と交換されていると判断し、ハードディスク装置11を地図データの読み出し禁止モードに設定する。この地図データの読み出し禁止モードの設定は、ここではフラッシュメモリ16とハードディスク装置11にフラグF=0を書き込むことで行う(ステップS13)。
ステップS12で一致したときは、更にフラッシュメモリ16に記憶された第2の識別コードとハードディスク装置11に記憶された第2の識別コードを読み出して一致するか照合する(ステップS14、S15)。一致しなければ、正規ユーザでない他人のハードディスク装置と交換されていると判断し、ハードディスク装置11を地図データの読み出し禁止モードに設定する(ステップS13)。
ここでも一致すれば、正規ユーザのハードディスク装置11が正しくカーナビゲーション装置本体1に取り付けられていると判断し、ハードディスク装置11を地図データの読み出し許可モードに設定する。この地図データの読み出し許可モードの設定は、フラッシュメモリ16とハードディスク装置11にフラグF=1を書き込むことで行う(ステップS16)。
【0017】
(2)メイン電源電圧立ち上がり時の処理
その後、ACCスイッチ31のACC電源電圧の出力側にメイン電源用直流安定化電源回路18が接続され、ユーザがACCスイッチ31を閉じたとき、メイン電源電圧が立ち上がり、制御部15は図3に示すフローに従い、まずフラッシュメモリ16とハードディスク装置11のフラグFを読み出してチェックし(ステップS20、S21)、ともに1であればハードディスク装置11が地図データの読み出し許可モードに設定されていると判断し(ステップS21でYES)、ナビゲーションモードに移行して、GPS受信部12で検出した現在位置データに基づき、ハードディスク装置11から現在位置周辺の地図データを読み出し、現在位置周辺の地図画像を現在位置マークとともに描画し、表示装置20に表示させる(ステップS22)。
これと異なり、フラッシュメモリ16とハードディスク装置11のいずれかまたは両方のFが0のとき、地図データの読み出し禁止モードに設定されていると判断し(ステップS21でNO)、ハードディスク装置11からの地図データの読み出しはせず、画面に「不正なハードディスク装置が取り付けられています。正規なものと交換してください」の警告文を表示させる(ステップS23)。
【0018】
(3)更新用地図データのインストール
ACCスイッチ31が閉じた状態で、ユーザがハードディスク装置11の地図データを新たなバージョンに更新したい場合、メーカから地図更新用DVD−ROM3を入手する。そして、ACCスイッチ31が閉じ、ナビゲーションモードとなっている状態で、DVD−ROMドライブ部13にセットし、入力部14のキー入力操作で地図更新を指示する。すると、制御部15はDVD−ROMドライブ部13に地図更新用DVD−ROM3がセットされているかチェックし(ステップS24、S25)、YESであればDVD−ROMドライブ部13を制御して地図更新用DVD−ROM3から更新用地図データを読み取り、ハードディスク装置11に書き込んで地図データの更新をする(ステップS26)。この際、ハードディスク装置11に予め書き込まれている第1の認証コード、第2の認証コード、フラグFはハードディスク装置11に残される。以降のナビゲーションモード時、更新された地図データに基づく地図表示がされる。
【0019】
(4)具体例
図5を参照してより具体的に説明すると、例えば、第1の識別コード「hd000435」、第2の識別コード「abc000123」が書き込まれたハードディスク装置11Aが取り付けられ、フラッシュメモリ16Aに第1の識別コード「hd000435」、第2の識別コード「abc000123」が書き込まれたカーナビゲーション装置本体1Aを所有するユーザAは、カーナビゲーション装置本体10Aを車両に取り付け、カーバッテリ30に接続すると、図2のステップS12とS15でYESとなるので、フラッシュメモリ16にハードディスク装置11Aが地図データ読み出し許可モードに設定されていることを示すフラグF=1が登録される(ステップS16)。よって、ユーザAはACCスイッチ31をオンすることで、地図画像を見ることができ、地図データの更新をすることもできる。
【0020】
これとは別に、例えば、第1の識別コード「hd000678」、第2の識別コード「abc000316」が書き込まれたハードディスク装置11Bが取り付けられ、フラッシュメモリ16Bに第1の識別コード「hd000678」、第2の識別コード「abc000316」が書き込まれたカーナビゲーション装置本体1Bを所有するユーザBは、ユーザAから地図更新前又は更新後のハードディスク装置11Aを貰い受けてカーナビゲーション装置本体10Bのハードディスク装置11Bと交換しても、カーナビゲーション装置本体10Bをカーバッテリ30に接続すると、図2のステップS12でNOとなるので、フラッシュメモリ16にハードディスク装置11Aが地図データ読み出し禁止モードに設定されていることを示すフラグF=0が登録される(ステップS16)。よって、ユーザBはACCスイッチ31をオンしても地図画像を見ることができず、ハードディスク装置11Aへの地図データの更新もできない。万一、ハードディスク装置11Aの第1の識別データが何らかの原因で壊れておりステップS12でYESとなっても、ステップS15でNOとなるため、フラッシュメモリ16にハードディスク装置11Aが地図データ読み出し禁止モードに設定されていることを示すフラグF=0が登録されるため(ステップS16)、不正にハードディスク装置11Aの地図データが使用されることはない。
【0021】
この実施例によれば、カーナビゲーション装置本体10とハードディスク装置11に記憶された第1の識別コードが一致し、かつカーナビゲーション装置本体10とハードディスク装置11に記憶された第2の識別コードが一致しないと、ハードディスク装置11に予めメーカ側で書き込まれた地図データまたはユーザが後からハードディスク装置11にインストールして更新させた地図データを用いて地図画像の描画をすることができない。よって、正規ユーザから貰い受けたハードディスク装置11を他人が自身のナビゲーション装置本体10に取り付けても、地図表示させることはできず、不正な地図データの使用を防止できる。
【0022】
なお、上記した実施例では、フラッシュメモリとハードディスク装置の双方に、第1の識別コードと第2の識別コードの両方を書き込んでおき、二重照合することでハードディスク装置の正規ユーザかの認証判断の信頼性を高めたが、フラッシュメモリとハードディスク装置に、第1の識別コードと第2の識別コードのいずれか一方だけ書き込んでおくようにしても良く、例えば、フラッシュメモリとハードディスク装置に第1の識別コードだけ書き込んでおく場合、図2のステップS14、S15は省略し、ステップS12でYESであれば、ステップS16へ進み、NOであれば、ステップS13へ進むようにすれば良い。反対に、フラッシュメモリとハードディスク装置に第2の識別コードだけ書き込んでおく場合、図2のステップS11、S12は省略し、ステップS15でYESであれば、ステップS16へ進み、NOであれば、ステップS13へ進むようにすれば良い。
【0023】
また、上記した実施例では、バックアップ電源立ち上がり時に、ハードディスク装置の正規ユーザの認証に失敗したとき、ハードディスク装置を地図データの読み出し禁止モードに設定しておくことで、メイン電源立ち上がり時に、制御部がハードディスク装置の地図データを用いて地図画像を描画出来ないようにして、表示装置に地図画像が表示されるのを禁止したが、これと異なり、例えば、装置本体内に表示装置へのメイン電源供給をオン・オフする電源スイッチを設け、ハードディスク装置の正規ユーザの認証に失敗したとき、当該電源スイッチを強制的に開とし、認証に成功したとき、当該電源スイッチを閉とするようにして、メイン電源立ち上がり時に、表示装置に地図画像が表示されるのを禁止するようにしても良い。
【0024】
また、上記した実施例では、地図更新用DVD−ROM2から地図データを更新する際、フラッシュメモリとハードディスク装置に書きこんであるフラグFがともに1となっているときに地図インストールを実行するようにしたが、これと異なり、1枚の地図更新用DVD−ROMを1台のカーナビゲーション装置本体と一対一に対応付けるため、地図更新用DVD−ROMに、該地図更新用DVD−ROMの正規ユーザの所有するカーナビゲーション装置本体の製造シリアルナンバを認証コードとして記録しておき、地図更新が指示されると、制御部はフラッシュメモリに記憶された装置本体の製造シリアルナンバと地図更新用DVD−ROMから読み出した認証コードを照合し、一致したときだけ地図データのインストールを実行するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、カーナビゲーション装置、船舶用ナビゲーション装置などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るカーナビゲーション装置の構成図である(実施例1)。
【図2】制御部によるバックアップ電源電圧立ち上がり時の処理を示すフローチャートである。
【図3】制御部によるメイン電源電圧立ち上がり時の処理を示すフローチャートである。
【図4】表示装置の表示例を示す説明図である。
【図5】ハードディスク装置の正規ユーザ認証動作の具体的説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 カーナビゲーション装置
2 地図更新用DVD−ROM
10、10A、10B カーナビゲーション装置本体
11、11A、11B ハードディスク装置
12 GPS受信部
13 DVDドライブ部
14 入力部
15 制御部
16、16A、16B フラッシュメモリ
20 表示装置
30 カーバッテリ
31 ACCスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の第1の識別情報と、装置本体毎に異なる固有の第2の識別情報を記憶しておくとともに、
前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された第1の識別情報同士を照合するとともに第2の識別情報同士を照合する照合手段と、
前記照合手段で第1の識別情報と第2の識別情報のいずれか一方が一致しないか両方が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、
前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、
前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段に予め、装置本体毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、
前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、
前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、地図データ記録媒体から地図データの読み取りを行う読み取り手段と、読み取り手段を制御し、地図データ記録媒体から地図データを読み取らせて地図データ記憶手段に書き込む地図データ書き込み手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の第1の識別情報と、装置本体毎に異なる固有の第2の識別情報を記憶しておくとともに、
前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された第1の識別情報同士を照合するとともに第2の識別情報同士を照合する照合手段と、
前記照合手段で第1の識別情報と第2の識別情報のいずれか一方が一致しないか両方が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、地図データ記録媒体から地図データの読み取りを行う読み取り手段と、読み取り手段を制御し、地図データ記録媒体から地図データを読み取らせて地図データ記憶手段に書き込む地図データ書き込み手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段に該地図データ記憶手段毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、
前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、
前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
現在位置を検出する検出手段と、地図データを記憶する大容量の地図データ記憶手段と、地図画像を表示する表示手段と、現在位置周辺の地図データを用いて地図画像を描画し表示手段に表示させる地図表示制御手段と、地図データ記録媒体から地図データの読み取りを行う読み取り手段と、読み取り手段を制御し、地図データ記録媒体から地図データを読み取らせて地図データ記憶手段に書き込む地図データ書き込み手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段に予め、装置本体毎に異なる固有の識別情報を記憶しておくとともに、
前記地図データ記憶手段とは別に設けられて、前記識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
前記地図データ記憶手段と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報同士を照合する照合手段と、
前記照合手段で識別情報が一致しない場合、前記表示手段での地図画像の表示を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−133091(P2006−133091A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323020(P2004−323020)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】