説明

ナビゲーション装置

【課題】高速道路上の分岐点における進行方向を立体的な地図上に表示するときに、自車両の前方の状況に合わせて適切な内容の背景を表示することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】高速道路上の分岐点を基準にして自車両の前方に位置する地図メッシュを特定し、その地図メッシュの道路データ数をカウントする。カウントされた道路データ数がしきい値T1未満のときには、(a)のように山岳部分のみで建物部分がない背景を表示する。T1以上のときには、カウントされた道路データ数に応じて(b)、(c)、(d)および(d)のように、山岳部分に建物部分が書き加えられた背景を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路上の分岐点における進行方向を立体的な地図上に表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャンクションやランプなど、高速道路上の分岐点における進行方向を立体的な地図上に表示するときに、画面のリアル感を増すために、自車両の前方に見える建物の輪郭や山の稜線を模擬した背景を表示するナビゲーション装置が知られている(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】ソニー株式会社、“表示・ルート案内 JCT/ランプガイド”、[online]、[平成17年2月7日検索]、インターネット<URL:http://www.sony.jp/products/me/xyz/display/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1のナビゲーション装置では常に同じ背景しか表示されないことから、自車両の前方に建物や山が存在しないような状況であっても、建物の輪郭や山の稜線が背景として表示されてしまうという問題が生じている。このような問題を解決するため、高速道路上の分岐点における進行方向を立体的な地図上に表示するときに、自車両の前方の状況に合わせて適切な内容の背景を表示できるナビゲーション装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、高速道路上に存在する分岐点における自車両の進行方向を立体的に図示した進行方向案内画面を表示モニタに表示する進行方向表示制御手段と、分岐点を基準にして自車両の前方に位置する地域を特定する地域特定手段と、地域特定手段により特定された地域の地図データに応じた内容で進行方向案内画面の背景を表示モニタに表示する背景表示制御手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1のナビゲーション装置において、背景表示制御手段は、地域特定手段により特定された地域の地図データに基づいて当該地域の市街化の程度を判断し、その判断結果に応じた内容で進行方向案内画面の背景を表示モニタに表示することとしたものである。
請求項3の発明は、請求項2のナビゲーション装置において、背景表示制御手段は、地域特定手段により特定された地域の地図データに基づいて当該地域の道路密度を算出し、その算出結果に基づいて当該地域の市街化の程度を判断することとしたものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項のナビゲーション装置において、背景表示制御手段は、進行方向案内画面の背景を表示モニタに表示するときに、その進行方向案内画面の背景に含まれる建物部分の数を地域特定手段により特定された地域の地図データに応じて変化させることとしたものである。
請求項5の発明は、請求項4のナビゲーション装置において、背景表示制御手段は、進行方向案内画面の背景を表示モニタに表示するときに、地域特定手段により特定された地域の地図データに基づいて判断した当該地域の市街化の程度が進んでいるほど、建物部分の数を多くすることとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高速道路上に存在する分岐点における自車両の進行方向を立体的に図示した進行方向案内画面を表示モニタに表示し、さらに、その分岐点を基準にして自車両の前方に位置する地域を特定し、特定された地域の地図データに応じた内容で進行方向案内画面の背景を表示モニタに表示することとした。このようにしたので、高速道路上の分岐点における進行方向を立体的な地図上に表示するときに、自車両の前方の状況に合わせて適切な内容の背景を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、設定された目的地までの推奨経路を探索して道路地図を表示することにより、自車両をその目的地まで誘導するものである。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびハードディスク(HDD)18を有している。HDD18には、地図データが記録されている。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において、HDD18に記録された地図データに基づいて、設定された目的地までの推奨経路の探索処理や、地図の表示処理などが行われる。
【0009】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、道路地図を表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、HDD18に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、表示モニタ16に地図が表示される。
【0011】
入力装置17は、ユーザが施設検索条件の設定や検索された施設の中から目的地とする施設を選択するための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。すなわち、ユーザは表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、検索条件をナビゲーション装置1に入力してその検索条件に該当する施設を検索させるとともに、検索された施設の中からいずれかを選択して目的地に設定することができる。
【0012】
HDD18に記録されている地図データには、目的地までのルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、さらに道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。なお、ここではハードディスクに地図データを記憶している例について説明しているが、ハードディスク以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやDVD−ROMなどに記憶された地図データを用いるようにしてもよい。
【0013】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。なお、地図データには一定範囲の地図エリアごとに区分されたメッシュと呼ばれる管理単位が設定されており、道路データや背景データなどはこのメッシュ単位で指定することができる。
【0014】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して道路地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された道路地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、道路地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0015】
上記のような目的地までのルート案内において、高速道路を走行中に、自車両の進行先の高速道路上に存在する分岐点までの距離が所定距離以内に近づくと、その分岐点における進行方向を案内するための画面(JCTビュー画面)が表示される。ここでいう分岐点には、高速道路上に存在するジャンクション(JCT)や、高速道路から一般道路へとつながるランプ分岐などが該当する。このJCTビュー画面では、進むべき方向をユーザが認識しやすいように、分岐点における自車両の進行方向が立体的に図示されている。
【0016】
図2は、ナビゲーション装置1において表示されるJCTビュー画面の例を示している。このJCTビュー画面では、分岐点における立体的な道路形状20の上に自車両の進行方向を示す矢印21が表示されており、さらに画面のリアル感を増すために背景22が表示されている。この背景22には、たとえば符号23に示す部分のように、遠方に見える建物の輪郭を模擬して表す部分(建物部分)と、たとえば符号24に示す部分のように、山の稜線を模擬して表す部分(山岳部分)とが含まれている。なお、建物部分とは、一般的に縦方向の長さが横方向よりも長く、上方向に四角く突き出た形状を有する部分のことを指す。また、山岳部分とは、一般的に横方向の長さが縦方向よりも長く、山なりの形状を有する部分のことを指す。
【0017】
図2のJCTビュー画面では、分岐点から自車両の前方に位置する地域の市街化の程度に応じて、背景22に表示される建物部分と山岳部分の割合が変化する。その地域が市街化の程度が進んでいる都市部に該当すれば、背景22は建物部分の割合が大きくなり、山岳部分が少なくなる。逆に、市街化の程度が進んでいない農村地帯や山林地帯などの場合は、山岳部分の割合が大きくなり、建物部分が少なくなる。このような背景表示の変化を実現する具体的な方法について、以下に説明する。
【0018】
図3は、JCTビュー画面を表示するときに制御回路11において実行されるフローチャートを示している。ステップS10では、現在地検出部14によって検出される自車両の現在地に基づいて、自車両が高速道路上に予め設定されたJCTビュー割り込み描画位置に到達したか否かを判定する。このJCTビュー割り込み描画位置は、前述のように自車両から分岐点までの距離が所定距離以内に近づいたときにJCTビュー画面が表示されるように、分岐点よりも手前に設定される。たとえば、分岐点の手前2kmの地点がJCTビュー割り込み描画位置として設定される。JCTビュー割り込み描画位置に到達したとステップS10において判定された場合、すなわち自車両から分岐点までの距離が所定距離以内に近づいたと判定された場合は、次のステップS20へ進む。
【0019】
ステップS20では、地図データを参照する対象地図メッシュを特定する。ここで特定される対象地図メッシュ内の地図データ内容に基づいて、後で説明するようにJCTビュー画面の背景が決定される。ここでは、分岐点を基準にして自車両の前方に所定距離だけ離れて位置する地域の地図メッシュを対象地図メッシュとして特定する。その様子を、自車両が高速道路を走行している様子を示した図5を用いて説明する。
【0020】
図5において、高速道路51の上を走行中の自車両は、自車位置マーク50によってその現在位置が示されている。高速道路51は一般道路52と立体交差しており、ランプ道路53によって互いに接続されている。このとき、高速道路51からランプ道路53を経由して一般道路52へと至る推奨経路が設定されている状態で、JCTビュー割り込み描画位置55に自車両が到達したとする。なお、JCTビュー割り込み描画位置55は、自車両から見て高速道路51とランプ道路53の分岐点54よりも所定距離だけ手前に設定されている。
【0021】
上記のような状況のときに自車両に搭載されたナビゲーション装置1において、分岐点54を基準にして対象地図メッシュが特定される。具体的には、分岐点54における高速道路51の方向、すなわち分岐点54における自車両の進行方向にあり、分岐点54から予め設定された所定の距離だけ離れた位置にある地点を対象地点56とする。そして、対象地点56を含むメッシュ57を対象地図メッシュとして特定する。ステップS20では、以上説明したような方法で対象地図メッシュを特定する。なお、ここでは分岐点がランプ分岐である場合を例に説明したが、ジャンクションの場合にも同様にして対象地図メッシュを特定することができる。
【0022】
ステップS20において対象地図メッシュを特定したら、次のステップS30では、ステップS20で特定された対象地図メッシュ内の地図データを読み込む。ここでは、前述したような様々な種類の地図データのうち、少なくとも道路データを読み込めばよい。続くステップS40では、ステップS30で読み込んだ地図データに含まれる道路データ数(リンク数)をカウントする。これにより、対象地図メッシュに対応する地域の道路密度が算出される。
【0023】
ステップS50では、ステップS40における道路密度の算出結果、すなわち道路データ数のカウント結果に基づいて、JCTビュー画面の背景部分を表示モニタ16に表示するための背景表示処理を実行する。このときの具体的な処理内容については、後で図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。このステップS50の背景表示処理を実行することにより、図2のJCTビュー画面において背景22が表示される。
【0024】
ステップS60では、分岐点における道路形状を立体的に表した分岐点形状を表示モニタ16に表示する。これにより、図2のJCTビュー画面において道路形状20が表示される。次のステップS70では、ステップS60で表示された分岐点形状の上に、自車両の進行方向を図示する。これにより、図2のJCTビュー画面において矢印21が表示される。
【0025】
ステップS80では、自車両が分岐点を通過したか否かを判定する。通過したと判定するまではステップS80を繰り返し、通過したと判定したら図3のフローチャートを終了する。なお、自車両が分岐点を通過したか否かは、現在地検出部14によって検出される自車両の現在位置の検出結果を、地図データに表された分岐点の位置と比較することで判定できる。以上説明したようにして、高速道路を走行中に分岐点の手前から分岐点に到達するまでの間、JCTビュー画面が表示される。
【0026】
次に、図4のフローチャートを用いて、ステップS50の背景表示処理について説明する。ステップS51では、図3のステップS40でカウントした道路データ数(以下、単に道路データ数と称する)が、予め設定されたしきい値T1以上であるか判定する。道路データ数がしきい値T1未満である場合はステップS52へ進み、しきい値T1以上である場合はステップS53へ進む。
【0027】
ステップS52では、基本となる山岳部分のみの背景(基本背景)の上に建物部分を描画せず、基本背景をそのままJCTビュー画面の背景として表示する。この場合にJCTビュー画面に表示される基本背景の例を図6(a)に示す。このように、道路データ数がしきい値T1未満のときには、山岳部分のみで建物部分がない背景を表示する。ステップS52を実行したら、図4のフローチャートを終了して図3のステップS60へ進む。
【0028】
一方、ステップS51からステップS53へ進んだ場合、ステップS53では、道路データ数が予め設定されたしきい値T2以上であるか判定する。なお、しきい値T2には、前述のしきい値T1より少なくとも大きい値が設定される。道路データ数がしきい値T2未満である場合はステップS54へ進み、しきい値T2以上である場合はステップS55へ進む。
【0029】
ステップS54では、基本背景の上に建物部分を1つ描画し、それをJCTビュー画面の背景として表示する。この場合にJCTビュー画面に表示される背景の例を図6(b)に示す。このように、道路データ数がしきい値T1以上であってT2未満のときには、山岳部分に1つの建物部分61が描き加えられた背景を表示する。ステップS54を実行したら、図4のフローチャートを終了して図3のステップS60へ進む。
【0030】
一方、ステップS53からステップS55へ進んだ場合、ステップS55では、道路データ数が予め設定されたしきい値T3以上であるか判定する。なお、しきい値T3には、前述のしきい値T2より少なくとも大きい値が設定される。道路データ数がしきい値T3未満である場合はステップS56へ進み、しきい値T3以上である場合はステップS57へ進む。
【0031】
ステップS56では、基本背景の上に建物部分を2つ描画し、それをJCTビュー画面の背景として表示する。この場合にJCTビュー画面に表示される背景の例を図6(c)に示す。このように、道路データ数がしきい値T2以上であってT3未満のときには、山岳部分に2つの建物部分61および62が描き加えられた背景を表示する。ステップS56を実行したら、図4のフローチャートを終了して図3のステップS60へ進む。
【0032】
一方、ステップS55からステップS57へ進んだ場合、ステップS57では、道路データ数が予め設定されたしきい値T4以上であるか判定する。なお、しきい値T4には、前述のしきい値T3より少なくとも大きい値が設定される。道路データ数がしきい値T4未満である場合はステップS58へ進み、しきい値T4以上である場合はステップS59へ進む。
【0033】
ステップS58では、基本背景の上に建物部分を3つ描画し、それをJCTビュー画面の背景として表示する。この場合にJCTビュー画面に表示される背景の例を図6(d)に示す。このように、道路データ数がしきい値T3以上であってT4未満のときには、山岳部分に3つの建物部分61、62および63が描き加えられた背景を表示する。ステップS58を実行したら、図4のフローチャートを終了して図3のステップS60へ進む。
【0034】
一方、ステップS57からステップS59へ進んだ場合、ステップS59では、基本背景の上に建物部分をN個描画し、それをJCTビュー画面の背景として表示する。なお、Nには4以上の値が設定される。この場合にJCTビュー画面に表示される背景の例を図6(e)に示す。このように、道路データ数がしきい値T4以上のときには、山岳部分に建物部分61、62および63を含んだ多数の建物部分が描き加えられた背景を表示する。ステップS59を実行したら、図4のフローチャートを終了して図3のステップS60へ進む。
【0035】
以上説明したように、道路データ数に応じて建物部分の数が異なる背景をJCTビュー画面において表示する。なお、上記の例では道路データ数に4種類のしきい値T1、T2、T3およびT4を設け、それによって5種類の背景を表示したが、しきい値および背景の種類数はこの内容に限定されない。任意数の種類のしきい値を設定し、それによって任意数の種類の背景を表示することができる。
【0036】
以上説明した実施の形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)自車両がJCTビュー割り込み描画位置に到達したら、高速道路上に存在する分岐点における自車両の進行方向を立体的に図示したJCTビュー画面を表示モニタ16に表示する(ステップS60、S70)。さらに、その分岐点を基準にして自車両の前方に位置する地域を対象地図メッシュとして特定し(ステップS20)、特定された対象地図メッシュの地図データに応じた内容でJCTビュー画面の背景を表示モニタ16に表示する(ステップS50)こととした。このようにしたので、高速道路上の分岐点における進行方向を立体的な地図上に表示するときに、自車両の前方の状況に合わせて適切な内容の背景を表示することができる。
【0037】
(2)ステップS50の背景表示処理では、ステップS20で特定された対象地図メッシュの地図データに基づいて当該地図メッシュの市街化の程度を判断し、その判断結果に応じた内容でJCTビュー画面の背景を表示モニタ16に表示することとした。このようにしたので、自車両の前方の地域における市街化の程度に応じて、JCTビュー画面の背景を変えて表示することができる。
【0038】
(3)ステップS20で特定された対象地図メッシュの地図データにおける道路データ数をカウントすることにより、当該地図メッシュの道路密度を算出し(ステップS40)、その算出結果をしきい値T1、T2、T3およびT4と比較する(ステップS51、S53、S55およびS57)ことにより、当該地図メッシュの市街化の程度を判断することとした。このようにしたので、地図データに基づいて当該地図メッシュの市街化の程度を正確かつ簡単に判断することができる。
【0039】
(4)ステップS50の背景表示処理においてJCTビュー画面の背景を表示モニタ16に表示するときに、そのJCTビュー画面に含まれる建物部分の数をステップS20で特定された対象地図メッシュの地図データに応じて変化させることとした。具体的には、その対象地図メッシュの地図データに基づいて判断した当該地域の市街化の程度が進んでいるほど、建物部分の数を多くする。すなわち、対象地図メッシュにおける道路データ数のカウント結果すなわち道路密度と、しきい値T1〜T4との比較結果に応じて、基本背景の上にその描画数を変えて道路密度が大きいほど多くの建物部分を描画し、JCTビュー画面の背景として表示する(ステップS52、S54、S56、S58およびS59)こととした。このようにしたので、自車両の前方の地域における市街化の程度に応じた適切な内容により、JCTビュー画面の背景を表示することができる。
【0040】
なお、本発明と同様に立体的な地図において建物の表示数を変化させるものとしては、他にも鳥瞰地図を表示するナビゲーション装置が従来から知られている。この鳥瞰地図表示ナビゲーション装置では、現在地の上空に指定した点から俯瞰したときに見える建物を鳥瞰地図上に表示するため、現在地が移動されることにより、鳥瞰地図上の建物の表示数が様々に変化する。しかし本発明では、分岐点を基準にして特定される対象地図メッシュ内の道路データ数によって建物の表示数を変化させているため、現在地が移動されても建物の表示数は変化しない。また本発明では、立体地図上の建物の表示数を変化させるのではなく、立体地図の背景部分、すなわち空が表示される部分の建物の表示数を変化させている。本発明はこれらの点において、従来の鳥瞰地図表示ナビゲーション装置と異なっている。
【0041】
上記の実施の形態では、対象地図メッシュにおける道路データ数としきい値との比較結果に応じた数の建物部分を基本背景の上に描画することにより、建物部分の数が異なる複数種類の背景をJCTビュー画面において表示することとしたが、必ずしもこのようにする必要はない。たとえば、建物部分の数が異なる複数種類の背景を予め記憶しておき、対象地図メッシュにおける道路データ数としきい値との比較結果に応じて、その背景のいずれかを選択して表示するようにしてもよい。
【0042】
また上記の実施の形態では、分岐点を基準にして自車両の前方に特定された地域の地図メッシュ内の道路密度を算出し、その算出結果に応じて当該地域の市街化の程度を判断することとしたが、これ以外の方法によって市街化の程度を判断してもよい。たとえば、当該地図メッシュについて市街地図を示すための詳細地図データがHDD18の地図データ中に含まれているか否かにより、市街化の程度を判断してもよい。地図データ中に詳細地図データが含まれていれば市街化が進んでいると判断し、含まれていなければ市街化が進んでいないと判断することができる。あるいは、地図メッシュごとに市街化の程度を示すデータを予め地図データにおいて記録しておき、このデータに基づいて市街化の程度を判断するようにしてもよい。
【0043】
上記の実施の形態では、地図データ記憶手段をHDD18によって実現し、その他の各手段を制御回路11の処理によってそれぞれ実現している。具体的には、進行方向表示制御手段をステップS60およびS70、地域特定手段をステップS20、背景表示制御手段をステップS50の各処理ステップによってそれぞれ実現している。しかし、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】JCTビュー画面の例を示す図である。
【図3】JCTビュー画面を表示するときに実行されるフローチャートである。
【図4】背景表示処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図5】自車両が高速道路を走行しているときに対象地図メッシュを特定する様子を示した図である。
【図6】JCTビュー画面に表示される背景の例を示す図であり、(a)は建物部分のない基本背景、(b)は建物部分が1つ描画された背景、(c)は建物部分が2つ描画された背景、(d)は建物部分が3つ描画された背景、(e)は建物部分がN個描画された背景をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0045】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ハードディスク(HDD)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
高速道路上に存在する分岐点における自車両の進行方向を立体的に図示した進行方向案内画面を表示モニタに表示する進行方向表示制御手段と、
前記分岐点を基準にして自車両の前方に位置する地域を特定する地域特定手段と、
前記地域特定手段により特定された地域の地図データに応じた内容で前記進行方向案内画面の背景を前記表示モニタに表示する背景表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1のナビゲーション装置において、
前記背景表示制御手段は、前記地域特定手段により特定された地域の地図データに基づいて当該地域の市街化の程度を判断し、その判断結果に応じた内容で前記進行方向案内画面の背景を前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2のナビゲーション装置において、
前記背景表示制御手段は、前記地域特定手段により特定された地域の地図データに基づいて当該地域の道路密度を算出し、その算出結果に基づいて当該地域の市街化の程度を判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項のナビゲーション装置において、
前記背景表示制御手段は、前記進行方向案内画面の背景を前記表示モニタに表示するときに、その進行方向案内画面の背景に含まれる建物部分の数を前記地域特定手段により特定された地域の地図データに応じて変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4のナビゲーション装置において、
前記背景表示制御手段は、前記進行方向案内画面の背景を前記表示モニタに表示するときに、前記地域特定手段により特定された地域の地図データに基づいて判断した当該地域の市街化の程度が進んでいるほど、前記建物部分の数を多くすることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−242763(P2006−242763A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59345(P2005−59345)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】