説明

ナビゲーション装置

【課題】所定のエリア内の道路リンクについて閾(しきい)値以上の交通情報が提供されている場合にのみ交通情報を使用して経路を探索するようにして、また、交通情報の使用を操作者が把握することができるようにし、交通情報を使用して探索された経路に対する操作者の信頼性を向上させることができるようにする。
【解決手段】設定した目的地までの経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であって、探索データを格納する記憶手段と、前記探索データに基づいて前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、所定のエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合に、前記経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる交通情報処理部と、経路の探索における交通情報の使用を出力させる出力制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、道路地図データに基づいて、設定された出発地から目的地までの最適な経路を探索して、表示手段に表示するようになっている。この場合、前記出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するようになっている。
【0003】
また、実際の交通量や渋滞情報を考慮して適切な経路を探索することができるように、交通情報センタが配信する現在の交通情報、車両が走行した際の走行履歴データを記憶手段に蓄積した過去の交通情報等に基づいて所要時間を補正し、目的地までの所要時間が最短となる経路を探索する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−19593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、すべての道路について交通情報が提供されているわけではない。したがって、探索された経路について一部しか交通情報が提供されていない場合でも、操作者は交通情報に基づいて探索された所要時間が最短となる経路だと間違った認識を持つことがある。
【0005】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、所定のエリア内の道路リンクについて閾(しきい)値以上の交通情報が提供されている場合にのみ交通情報を使用して経路を探索するようにして、また、交通情報の使用を操作者が把握することができるようにし、交通情報を使用して探索された経路に対する操作者の信頼性を向上させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のナビゲーション装置においては、設定した目的地までの経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であって、探索データを格納する記憶手段と、前記探索データに基づいて前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、所定のエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合に、前記経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる交通情報処理部と、経路の探索における交通情報の使用を出力させる出力制御部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定のエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合にのみ交通情報を使用して経路を探索し、交通情報の使用を操作者が把握することができるようになっている。そのため、交通情報を使用して探索された経路に対する操作者の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の表示画面を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるエリアを示す図である。
【0010】
図1において、10は本実施の形態における図示されないナビゲーション装置の表示部の表示画面である。前記ナビゲーション装置は、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載された車両用ナビゲーション装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える一種のコンピュータである。前記ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する現在位置検出処理部、道路データ、探索データ等を含む地図データ等を記憶する記憶手段としてのデータ記録部、入力された情報に基づいて、設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理、経路の走行案内処理、地点や施設の検索を行うPOI(Point of Interest)検索処理等のナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部、入力部、表示部、音声入力部、音声出力部及び通信部を有し、設定された目的地までの経路を探索して案内を行うようになっている。
【0011】
そして、前記データ記録部は、探索データ等を含む地図データを記憶する。すなわち、前記データ記録部は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、前記表示部の表示画面10に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、施設データ等の各種のデータを記録する。なお、前記データ記録部には、道路を構成する単位であるリンクに関する情報も含まれている。また、前記データ記録部には、所定の情報を音声出力部によって音声出力するための各種のデータも記録される。
【0012】
また、前記入力部は、走行開始時の位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、前記ナビゲーション装置本体に配設された操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー等から成るものであるが、リモートコントローラであってもよい。なお、表示部がタッチパネルである場合には、前記表示部の表示画面10に表示された操作キー、操作メニュー等の操作スイッチから成るものであることが望ましい。この場合、通常のタッチパネルのように前記操作スイッチを押す、すなわち、タッチすることによって、入力を行うことができる。
【0013】
そして、前記表示部の表示画面10には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等が表示される。前記表示部としては、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0014】
本実施の形態において、ナビゲーション装置は、機能の観点から、入力された出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部、探索に使用する情報としての交通情報を取得して処理する交通情報処理部、交通情報を格納する交通情報格納部、所定のエリアを設定するエリア設定処理部、及び、表示部の動作を制御して地図画面を表示させる出力制御部としての表示制御部を有する。
【0015】
ここで、前記経路探索部は、通常のナビゲーション装置と同様に、出発地から目的地までの経路を探索する。なお、出発地は、通常、車両の現在位置が自動的に入力されるが、操作者が任意の地点を出発地として入力することもできる。そして、前記経路探索部は、データ記録部に格納されたデータベースにアクセスして、出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索するが、交通情報処理部が取得した交通情報を参照して経路を探索してもよい。なお、該経路が案内の対象としての経路、すなわち、案内経路として設定されると、前記表示部の表示画面10に前記案内経路や該案内経路に沿った案内情報が表示されたり、音声出力部から案内情報が音声出力されることによって、経路案内が行われる。
【0016】
また、前記交通情報処理部は、渋滞区間の位置、渋滞区間の長さ、渋滞区間の車速、渋滞区間の渋滞度、渋滞区間の渋滞傾向等の渋滞情報を含む交通情報を取得し、該交通情報の処理を行う。例えば、VICS(R)(道路交通情報通信システム:Vehicle Information & Communication System)によって提供される交通情報であるVICS(R)情報、その他の交通情報提供センタが提供する交通情報、自車が取得した走行履歴である自車の実走行データ、プローブカー等の他車が提供する走行履歴情報である他車の実走行データ等の交通情報を取得することができる。なお、該交通情報は、VICS(R)リンクや道路リンクに対応付けられて取得されることが望ましい。ここで、該道路リンクとは、道路を構成する単位であり、通常、三叉(さ)路以上の交差点を境界にして区切られている。そして、通常のナビゲーション装置においては、道路リンクを識別する識別番号としての道路リンクIDが付与される。
【0017】
さらに、前記交通情報格納部は、過去の交通情報を蓄積して統計的に処理された統計的交通情報、実走行データとしての自車や他車の走行履歴情報等の交通情報を格納する。前記統計的交通情報は、過去に作成されたVICS(R)情報、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成されたものであり、VICS(R)リンクや道路リンクに対応付けられていることが望ましい。また、前記交通情報格納部は、前記自車の実走行データ及び他車の実走行データを過去の交通情報の一部として格納する。さらに、前記交通情報格納部は、国土交通省が実施する全国道路・街路交通情勢調査、すなわち、道路交通センサスのデータを過去の交通情報の一部として格納してもよい。なお、前記実走行データや道路交通センサスのデータも、VICS(R)リンクや道路リンクに対応付けられていることが望ましい。
【0018】
そして、前記統計的交通情報、実走行データ及び道路交通センサスのデータは、現在以降の時刻であって車両が該当する道路リンクを通過するであろう時刻、すなわち、通過予測時刻における予測交通情報として使用される。例えば、曜日や日時毎に記憶された各道路リンクのリンク旅行時間に基づいて、現在以降の所望の時刻に対応する曜日や日時における該当する道路リンクのリンク旅行時間を算出し、予測交通情報として使用することができる。
【0019】
また、前記エリア設定処理部が所定のエリアを設定すると、前記交通情報処理部は、設定されたエリア内の道路について、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されているか否かを判断し、閾値以上の交通情報が提供されている場合には、前記経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる。
【0020】
ここで、前記エリア設定処理部は、図2(a)又は(b)に示されるように、車両の現在位置と設定された目的地との間において、所定のエリアを設定する。図2(a)及び(b)は、車両の現在位置及び設定された目的地を含む範囲を含む地図を示しており、12は車両の現在位置を示す現在位置マークであり、13は設定された目的地を示す目的地マークである。そして、前記エリア設定処理部は、前記地図を適切な大きさの複数のメッシュ14に分割するための処理を行う。
【0021】
この場合、前記メッシュ14は、例えば、いわゆる、二次メッシュである。ここで、該二次メッシュは、「JIS X 0410−1976 地域メッシュコード」に規定される統合地域メッシュにおける10倍地域メッシュである。そして、前記二次メッシュは、1辺が10〔km〕程度の矩(く)形領域であり、財団法人日本デジタル道路地図協会によって作成された「全国デジタル道路地図データベース」では、日本全国が4713枚の二次メッシュによって構成される。なお、前記VICS(R)情報は、各二次メッシュ内の交通情報を規定する情報であり、各二次メッシュ内において道路の上下線別にユニークなVICS(R)リンクIDが付与されている。なお、前記メッシュ14は任意に設定することもできる。
【0022】
そして、前記エリア設定処理部は、図2(a)に示されるように、車両の現在位置及びその周辺のメッシュ14から成るエリア15を所定のエリアとして設定する。図2(a)に示される例において、エリア15は、車両の現在位置を含むメッシュ14及び該メッシュ14の周囲八方に存在するメッシュ14の合計9つのメッシュ14から構成されている。なお、前記エリア15を構成するメッシュ14の数及び配置は、必要に応じて適宜変更することができる。
【0023】
また、前記エリア設定処理部は、図2(b)に示されるように、車両の現在位置と目的地とを結ぶ線分16の周辺のメッシュ14から成るエリア17を所定のエリアとして設定することもできる。この場合、地図において現在位置マーク12と目的地マーク13とを結ぶ線分16を設定し、該線分16が通過するすべてのメッシュ14によって前記エリア17が構成される。
【0024】
そして、前記交通情報処理部は、前記エリア15又はエリア17のように、エリア設定処理部によって設定されたエリア内の道路リンクについて、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されているか否かを判断する。この場合、前記閾値は、前記エリア内に含まれるすべての道路リンクの長さ(距離)の総合計値に対しての、前記エリア内において交通情報が提供されている道路リンクの長さの合計値の割合として設定することができ、例えば、30〔%〕とすることができる。
【0025】
また、前記閾値は、前記エリア内に含まれるすべての道路リンクの本数に対しての、前記エリア内において交通情報が提供されている道路リンクの本数の割合として設定することもできる。例えば、前記エリア内に含まれる道路リンクが10000本である場合に、3000本以上の道路リンクに交通情報が提供されていれば、閾値以上の交通情報が提供されていると判断するように設定してもよい。さらに、道路種別、道路の幅員等を考慮することもできる。例えば、県道以上の格の道路について前記閾値以上の交通情報が提供されているか否かを判断するようにしてもよい。
【0026】
なお、この場合の交通情報は、VICS(R)情報のような現在の交通情報だけでなく、統計的交通情報、実走行データ及び道路交通センサスのデータのような予測交通情報として使用される過去の交通情報であってもよい。
【0027】
そして、前記表示制御部は、交通情報処理部が設定されたエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されていないと判断し、経路探索部に交通情報を使用せずに経路を探索させた場合には、図1(a)に示されるようなメッセージ11aを表示部の表示画面10に表示させる。前記メッセージ11aは、経路を探索する旨の情報を操作者に提供するためのものであり、例えば、「ルートを探索します」という文字を含んでいる。
【0028】
また、前記表示制御部は、交通情報処理部が設定されたエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されていると判断し、経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させた場合には、図1(b)に示されるようなメッセージ11b又はメッセージ11cを表示部の表示画面10に表示させる。前記メッセージ11bは、交通情報を使用して経路を探索する旨の情報を操作者に提供するためのものであり、例えば、「交通情報を活用してルートを探索します」という文字を含んでいる。また、前記メッセージ11cは、経路を探索するために使用される交通情報の種類に関する情報を操作者に提供するためのものであり、例えば、「実走行データによりルートを探索します」という文字を含んでいる。
【0029】
次に、前記構成のナビゲーション装置の動作について説明する。
【0030】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【0031】
まず、操作者は、ナビゲーション装置の入力部を操作して目的地を設定する。なお、例えば、高速道路優先等のような経路を探索するための探索条件等も必要に応じて設定することができる。そして、交通情報処理部は、閾値以上の交通情報が存在するか否かを判断する。すなわち、車両の現在位置と設定された目的地との間において、エリア設定処理部によって設定された所定のエリア内の道路リンクについて、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されているか否かを判断する。
【0032】
そして、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されている場合、ナビゲーション装置の経路探索部は、車両の現在位置、設定された目的地、探索条件等に基づき、交通情報を使用して、現在位置から目的地までの経路を探索する。そして、経路の探索が行われる際には、図1(b)に示されるように、交通情報を使用して経路を探索する旨の情報を操作者に提供するためのメッセージ11bが表示部の表示画面10に表示される。なお、経路を探索するために使用される交通情報の種類に関する情報を操作者に提供するためのメッセージ11bが表示部の表示画面10に表示されるようにしてもよい。これにより、操作者は、経路の探索のために交通情報が使用されることを把握することができ、探索された経路に対して高い信頼をおくことができる。
【0033】
また、閾値以上の交通情報が存在しない場合、経路探索部は、交通情報を使用せずに経路を探索する。そして、該経路の探索が行われる際には、図1(a)に示されるように、経路を探索する旨の情報を操作者に提供するためのメッセージ11aが表示部の表示画面10に表示される。
【0034】
また、表示制御部は、経路の探索が終了すると、経路案内画面としての地図画面上に探索された経路が示される画面を表示部の表示画面10に表示させる。
【0035】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 閾値以上の交通情報が存在するか否かを判断する。閾値以上の交通情報が存在する場合はステップS2に進み、閾値以上の交通情報が存在しない場合はステップS3に進む。
ステップS2 交通情報を使用して経路を探索する。
ステップS3 交通情報を使用せずに経路を探索する。
【0036】
このように、本実施の形態においては、設定されたエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合には、該交通情報を使用して経路を探索するようになっている。また、経路の探索における交通情報の使用を出力させる、すなわち、交通情報を使用して経路を探索する旨を表示させるようになっている。なお、交通情報を使用して経路を探索する旨を、必要に応じて、音声出力させることもできる。また、経路が探索された後で、交通情報を使用して経路を探索した旨を出力させることもできる。
【0037】
そのため、操作者は、十分な交通情報を使用して経路が探索されることを把握することができ、探索された該経路に対して高い信頼をおくことができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0039】
図4は本発明の第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の表示画面を示す図、図5は本発明の第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【0040】
本実施の形態においては、設定されたエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合、経路の探索に交通情報を使用するか否かを操作者が選択するようになっている。
【0041】
まず、操作者は、ナビゲーション装置の入力部を操作して目的地を設定する。なお、例えば、高速道路優先等のような経路を探索するための探索条件等も必要に応じて設定することができる。そして、交通情報処理部は、閾値以上の交通情報が存在するか否かを判断する。すなわち、車両の現在位置と設定された目的地との間において、エリア設定処理部によって設定された所定のエリア内の道路について、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されているか否かを判断する。
【0042】
そして、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されている場合、表示制御部は交通情報考慮ボタン表示を行う。すなわち、前記表示制御部は、図4(a)に示されるようなメッセージ11aを表示部の表示画面10に表示させた後に、図4(b)に示されるように、交通情報考慮ボタンとしての交通情報使用選択手段21を表示部の表示画面10に表示させる。
【0043】
前記交通情報使用選択手段21は、交通情報を使用して経路を探索することを選択する選択手段である。そして、前記交通情報使用選択手段21は、例えば、「交通情報考慮」という文字を含む押しボタンスイッチであって、表示部がタッチパネルである場合には、操作者が手の指等でタッチすることによって押し下げて選択することができる。なお、表示部がタッチパネルである場合には、十字キー、リモートコントローラ等を操作して、カーソル、ポインタ等を交通情報使用選択手段21に当てることによって押し下げて選択することができる。
【0044】
続いて、前記交通情報処理部はボタンが押されたか否か、すなわち、前記交通情報使用選択手段21が選択されたか否かを判断する。そして、該交通情報使用選択手段21が選択されると、前記交通情報処理部は経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる。また、所定時間が経過しても前記交通情報使用選択手段21が選択されない場合、前記交通情報処理部は、操作者が経路の探索に交通情報を使用しないことを選択したものと判断し、経路探索部に交通情報を使用せずに経路を探索させる。
【0045】
なお、設定されたエリア内の道路について閾値以上の交通情報が提供されてない場合、前記表示制御部は、図4(a)に示されるようなメッセージ11aのみを表示部の表示画面10に表示させ、図4(b)に示されるような交通情報使用選択手段21は表示されることがない。そして、経路の探索は交通情報を使用せずに行われる。また、別の実施の形態においては、交通情報使用選択手段21は、表示はされるがトーンダウンされて選択できないようにすることもできる。
【0046】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 閾値以上の交通情報が存在するか否かを判断する。閾値以上の交通情報が存在する場合はステップS12に進み、閾値以上の交通情報が存在しない場合はステップS15に進む。
ステップS12 交通情報考慮ボタン表示を行う。
ステップS13 ボタンが押されたか否かを判断する。ボタンが押された場合はステップS14に進み、ボタンが押されていない場合はステップS15に進む。
ステップS14 交通情報を使用して経路を探索する。
ステップS15 交通情報を使用せずに経路を探索する。
【0047】
このように、本実施の形態においては、設定されたエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合、経路の探索における交通情報の使用を出力させる、すなわち、経路の探索に交通情報を使用するか否かを選択する選択手段を表示させるようになっている。そのため、操作者は探索された経路に対して高い信頼をおくことができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0049】
図6は本発明の第3の実施の形態におけるナビゲーション装置の第1の経路選択画面を示す図、図7は本発明の第3の実施の形態におけるナビゲーション装置の第2の経路選択画面を示す図である。
【0050】
本実施の形態においては、各種の条件に従って探索された複数の経路の中から所望の経路を操作者が選択することができるようになっている。この場合、表示制御部は、各種の条件に従って複数の経路を探索させるための選択手段としての図示されないボタンを表示部の表示画面10に表示させる。前記ボタンは、例えば、「5ルート検索」、「複数ルート検索」等の文字を含む押しボタンスイッチであって、表示部がタッチパネルである場合には、操作者が手の指等でタッチすることによって押し下げて選択することができる。
【0051】
そして、前記操作者が前記ボタンを押し下げて選択すると、経路探索部は、あらかじめ設定された複数の条件に従って目的地までの経路を探索し、探索結果を図6に示されるように表示部の表示画面10に表示させる。図6は、あらかじめ定められた5種類の条件に従って5本の経路が探索された例を示している。そして、所望の経路を選択して案内を行わせるかを選択するための経路選択手段としてのボタンが表示部の表示画面10に表示されている。
【0052】
図6において、23aは、第1の経路選択手段としての推奨ボタンであり、あらかじめ設定された推奨条件に従って探索された経路を選択するための手段である。そして、23bは第2の経路選択手段としての有料優先ボタンであり、有料道路を通過することを優先するという条件に従って探索された経路を選択するための手段である。また、23cは第3の経路選択手段としての一般優先ボタンであり、有料道路でない道路、すなわち、一般道を通過することを優先するという条件に従って探索された経路を選択するための手段である。さらに、23dは第4の経路選択手段としての距離優先ボタンであり、目的地までの距離が最短になることを優先するという条件に従って探索された経路を選択するための手段である。さらに、23eは第5の経路選択手段としての別ルートボタンであり、他の条件に従って探索された経路を選択するための手段である。なお、前記第1〜第5の経路選択手段23a〜23eの側に表示されている模様は、地図上に示された複数の経路の中のどの経路が各経路選択手段に対応するものであるかを示すためのものである。また、前記第1〜第5の経路選択手段23a〜23eを統合的に説明する場合には、経路選択手段23として説明する。
【0053】
そして、該経路選択手段23のそれぞれは、押しボタンスイッチであり、表示部がタッチパネルである場合には、操作者が手の指等でタッチすることによって押し下げて選択することができる。なお、表示部がタッチパネルである場合には、十字キー、リモートコントローラ等を操作して、カーソル、ポインタ等を経路選択手段23のそれぞれに当てることによって押し下げて選択することができる。このようにして、操作者が前記経路選択手段23のいずれかを選択すると、選択された経路選択手段23に対応する経路の案内が開始され、表示制御部は経路案内画面としての地図画面上に選択された経路が示される画面を表示部の表示画面10に表示させる。
【0054】
ここで、推奨条件に従って経路を検索する場合、交通情報処理部は、エリア設定処理部によって設定されたエリア内の道路リンクについて、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されているか否かを判断し、閾値以上の交通情報が提供されているときには、経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させるようになっている。すなわち、操作者は、第1の経路選択手段23aを選択することによって、設定されたエリア内の道路について、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されていれば、該交通情報を使用して探索された経路の案内をさせることができる。
【0055】
また、図7に示される例においては、前記第1〜第5の経路選択手段23a〜23eに加えて、交通情報を使用して探索された経路を選択する選択手段として機能する第6の経路選択手段23fが表示されている。該第6の経路選択手段23fは、渋滞考慮ボタンであり、設定されたエリア内の道路リンクについて、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されていれば、該交通情報を使用して探索された経路を選択するための手段である。この場合、第1の経路選択手段23aに対応する経路、すなわち、推奨条件に従って探索された経路は、交通情報を使用することなく探索された経路である。
【0056】
このように、本実施の形態においては、設定されたエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合、経路の探索における交通情報の使用を出力させる、すなわち、交通情報を使用して探索された経路を選択する選択手段としての経路選択手段23を表示させるようになっている。そのため、操作者は、経路選択手段23を選択することによって、設定されたエリア内の道路リンクについて、あらかじめ設定された閾値以上の交通情報が提供されていれば、該交通情報を使用して探索された経路の案内をさせることができ、また、案内された経路に対して高い信頼をおくことができる。
【0057】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるエリアを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるナビゲーション装置の第1の経路選択画面を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるナビゲーション装置の第2の経路選択画面を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
14 メッシュ
15、17 エリア
16 線分
21 交通情報使用選択手段
23 探索条件選択手段
23a 第1の探索条件選択手段
23b 第2の探索条件選択手段
23c 第3の探索条件選択手段
23d 第4の探索条件選択手段
23e 第5の探索条件選択手段
23f 第6の探索条件選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定した目的地までの経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であって、
(a)探索データを格納する記憶手段と、
(b)前記探索データに基づいて前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、
(c)所定のエリア内の道路リンクについて閾値以上の交通情報が提供されている場合に、前記経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる交通情報処理部と、
(d)経路の探索における交通情報の使用を出力させる出力制御部とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記エリアは車両の現在位置と前記目的地との間に設定される請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記エリアは、車両の現在位置及びその周辺のメッシュから成るエリア、又は、前記車両の現在位置と前記目的地とを結ぶ線分の周辺のメッシュから成るエリアである請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記エリア内に含まれるすべての道路リンクに対する前記エリア内において交通情報が提供されている道路リンクの割合である請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、交通情報を使用して経路を探索する旨を出力させる請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記出力制御部は、交通情報を使用して経路を探索することを選択する選択手段を表示させる請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記出力制御部は、交通情報を使用して探索された経路を選択する選択手段を表示させる請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−47204(P2006−47204A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231291(P2004−231291)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】