説明

ナビゲーション装置

【課題】大都市中心部等においては案内経路の確認が困難になることを防止し、かつ、過疎地等においてはランドマークの位置を正確に確認することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されている場合には、モニター12上に表示される案内経路(L)とアイコン(R)とが重なる部分ではアイコン(R)を案内経路(L)で上書き表示し、一方、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていない場合には、モニター12上に表示される案内経路(L)とアイコン(R)とが重なる部分では案内経路(L)をアイコン(R)で上書き表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、詳細には、ランドマークの位置を示すアイコンをモニター上に表示するナビゲーション装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地や通過点、施設等を入力して目的地までの案内経路を探索し、探索された案内経路に沿って自車両を誘導するナビゲーション装置が知られている。
【0003】
このようなナビゲーション装置としては、例えば、ガソリンスタンド、銀行、コンビニエンスストア、駅等の施設(ランドマーク)の位置を示すアイコンを、モニター上に表示するものがある。
【0004】
また、ランドマークの密集度の高い地域である大都市中心部等においては、これらを示すアイコンがモニター上に過密に表示されることによる視認性の低下を防止することを目的として、ランドマークの種類別に、表示または非表示を切り替えたり、表示されるアイコン総数の上限を設定するなどの技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−131070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1に提案されている技術によれば、ランドマークの種類別の表示または非表示の切り替えや表示されるアイコン総数の上限の設定を、使用者が自らの希望に応じて行うため、使用者が非表示と設定したアイコンが案内経路のうち分岐点に位置する場合等、運転操作上重要な目印であるにもかかわらずモニター上に表示されないという場合もあり、運転操作に対する利便性を十分に図ることができない虞がある。
【0007】
特に、郊外の過疎地では、アイコンが経路案内上で特に重要な目印になることが多いため、大都市中心部等と比較して、アイコンが表示されないことによる弊害は大きくなる虞がある。
【0008】
一方、アイコンを全て表示する場合には、大都市中心部等のランドマークの密集度が高い地域においては、アイコンがモニター上に過密に表示されることにより視認性が低下するだけでなく、案内経路沿いにランドマークが存在するような場合には、モニター上に表示される案内経路とアイコンとが重なって表示されることもあり、特にランドマークが連続して存在する場合モニター上に表示される案内経路の一部が複数のアイコンに覆い隠されるため、案内経路の確認が困難になる虞がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、大都市中心部等においては案内経路の確認が困難になることを防止し、かつ、過疎地等においてはランドマークの位置を正確に確認することができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1のナビゲーション装置は、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されている場合には、アイコンを描画した後に案内経路を描画し(案内経路とアイコンとが重なる部分ではアイコンを案内経路で上書き表示し)、一方、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されていない場合には、案内経路を描画した後にアイコンを描画する(案内経路とアイコンとが重なる部分ではアイコンを案内経路で上書き表示する)ものである。
【0011】
すなわち、本発明に係る第1のナビゲーション装置は、広域地図情報と前記広域地図情報のうち特定地域にのみ対応した詳細地図情報とランドマークの位置を示すアイコンとを記憶した地図情報記憶手段と、出発地から目的地までの案内経路と前記アイコンとを前記広域地図情報に重ねてモニター上に表示する表示制御部と、前記詳細地図情報のうち自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されているか否か、を判断する判断部と、を有し、前記表示制御部は、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていると前記判断部が判断した場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記アイコンを前記案内経路で上書き表示し、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断した場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記案内経路を前記アイコンで上書き表示することを特徴とする。
【0012】
ここで、アイコンを案内経路で上書き表示するというのは、案内経路がアイコンによって重畳されて案内経路の一部が覆い隠されることのないように、アイコンを描画した後に、アイコン上に案内経路が重なるように案内経路を描画することをいう。
【0013】
また、案内経路をアイコンで上書き表示するというのは、案内経路を描画した後に、案内経路上にアイコンが重なるようにアイコンを描画することをいう。
【0014】
さらに、広域地図情報とは、例えば、広域の地図を表わす200mスケールの地図情報であって、全国の地域に対応した広域地図情報が地図情報記憶手段に記憶されている。
【0015】
そして、詳細地図情報とは、例えば、詳細市街地図を表示する50mスケールの地図情報であって、大都市中心部等の特定地域のみに対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されている。
【0016】
このように構成された本発明に係る第1のナビゲーション装置によれば、詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されている大都市中心部等においては、アイコンを描画した後に、アイコン上に案内経路が重なるように案内経路を描画することにより、アイコンによって案内経路が隠されることがないため、案内経路の確認が困難になることを防止することができる。
【0017】
そして、詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されていない過疎地等においては、案内経路を描画した後に、案内経路上にアイコンが重なるようにアイコンを描画することにより、案内経路によってアイコンが隠されることがないため、ランドマークの位置を正確に確認することができる。
【0018】
さらに、本発明に係る第2のナビゲーション装置は、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報に記憶されておらず、かつ、案内経路沿いに存在するランドマークが特に少ない場合には、案内経路を描画した後にアイコンを描画するものである。
【0019】
すなわち、本発明に係る第2のナビゲーション装置は、広域地図情報と前記広域地図情報のうち特定地域にのみ対応した詳細地図情報とランドマークの位置を示すアイコンとを記憶した地図情報記憶手段と、出発地から目的地までの案内経路と前記アイコンとを前記広域地図情報に重ねてモニター上に表示する表示制御部と、前記詳細地図情報のうち自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されているか否か、を判断する判断部と、前記モニター上において前記案内経路の表示面積に対する前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分の表示面積の表示比率を算出する表示比率算出部と、を有し、前記表示制御部は、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていると前記判断部が判断した場合、および、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断し、かつ、前記表示比率算出部が算出した前記表示比率が所定値以上である場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記アイコンを前記案内経路で上書き表示し、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断し、かつ、前記表示比率算出部が算出した前記表示比率が所定値未満である場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記案内経路を前記アイコンで上書き表示することを特徴とする。
【0020】
ここで、「前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていると前記判断部が判断した場合、および、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断し、かつ、前記表示比率算出部が算出した前記表示比率が所定値以上である場合」とは、
・前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が前記地図情報記憶手段に記憶されていると前記判断部が判断した場合と、
・前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断し、かつ、前記表示比率算出部が算出した前記表示比率が所定値以上である場合と、
のいずれかという意味である。
【0021】
このように構成された本発明に係る第2のナビゲーション装置によれば、案内経路沿いに存在するランドマークが特に少ない場合(表示比率が所定値未満である場合)には、案内経路を描画した後に、案内経路上にアイコンが重なるようにアイコンを描画する。
【0022】
このため、アイコンが案内経路上特に重要な目印になる場合においては案内経路によってアイコンが隠されることがなく、ランドマークの位置を正確に確認することができ、かつ、その他の場合においてはアイコンによって案内経路が隠されることがなく、案内経路の確認が困難になることを防止することができる。
【0023】
そして、本発明に係る第2のナビゲーション装置において、前記表示比率算出部は、前記案内経路のうち分岐点と分岐点との間の区間ごとに前記表示比率を算出し、前記表示制御部は、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記アイコンを前記案内経路で上書き表示するか、あるいは、前記案内経路を前記アイコンで上書き表示するか(アイコンと案内経路のいずれを先に描画するのか)を、前記表示比率算出部が算出した前記区分ごとの前記表示比率に応じて、前記区分ごとに分けて行うように構成することが好ましい。
【0024】
このように構成された本発明に係る第2のナビゲーション装置によれば、アイコンと案内経路のいずれを先に描画するのかを区分ごとに分けることができため、同一画面上において、案内経路の確認が特に必要な区分やランドマークの位置の確認が特に必要な区分が混在する場合であっても、各区分ごとに適切な表示を行うことができる。
【0025】
また、本発明に係る第1又は第2のナビゲーション装置において、前記表示制御部は、前記案内経路のうち分岐点に前記アイコンが重なる場合には、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が前記地図情報記憶手段に記憶されているか否かに拘わらず、前記分岐点に重なる前記アイコンについては、そのアイコンを前記案内経路で上書き表示するように構成することが好ましい。
【0026】
このように構成された本発明に係る第1又は第2のナビゲーション装置によれば、詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されていない過疎地等であっても、特に案内経路の確認が必要とされる分岐点においては、案内経路がアイコンによって重畳されることがないため、分岐点を正確に確認することができる。
【0027】
さらに、本発明に係る第1又は第2のナビゲーション装置において、前記表示制御部は、前記アイコンを前記案内経路で上書き表示する場合、前記アイコンが透過して見えるように前記案内経路を半透明にして前記モニター上に表示するように構成することが好ましい。
【0028】
このように構成された本発明に係る第1又は第2のナビゲーション装置によれば、半透明の案内経路がアイコン上に上書き表示されるため、案内経路の確認が困難になることを防止しつつ、同時に、ランドマークの位置を確認することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、大都市中心部等においては案内経路の確認が困難になることを防止し、かつ、過疎地等においてはランドマークの位置を正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1のナビゲーション装置100の構成を示すブロック構成図である。
【図2】実施例1のナビゲーション装置100の表示制御の流れを説明するフローチャートである。
【図3】図1の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されている場合のモニター12上に表示される画面を例示した図である。
【図4】図1の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていない場合のモニター12上に表示される画面を例示した図である。
【図5】実施例2のナビゲーション装置200の構成を示すブロック構成図である。
【図6】実施例2のナビゲーション装置200の表示制御の流れを説明するフローチャートである。
【図7】図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されている場合の、モニター12上に表示される画面を例示した図である。
【図8】図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていない場合の、モニター12上に表示される画面を例示した図(例1)である。
【図9】図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていない場合の、モニター12上に表示される画面を例示した図(例2)である。
【図10】(a)及び(b)は、図1又は図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されている場合の、モニター12上に表示される画面の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のナビゲーション装置を実現する実施の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0032】
以下、図1〜図4に基づいて本発明の実施形態としての実施例1のナビゲーション装置100について説明する。
【0033】
図1は、実施例1のナビゲーション装置100の構成を示すブロック構成図である。
【0034】
ナビゲーション装置100は、図1に示すように、GPS受信機1と、ジャイロセンサ2と、車速検出器3と(これらを合わせて、以下「位置検出手段13」とする)、例えば、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどである地図情報記憶手段4と、各種の制御等の情報処理を行う中央処理手段5と、FM多重放送などからの道路交通情報を受信するVICS受信機10(Vehicle Information and Communication Systemの略称)と、目的地を設定入力するための目的地設定入力部11と、液晶パネルのモニター12と、を備えている。
【0035】
地図情報記憶手段4は、全国の地域に対応した広域地図情報と、広域地図情報のうち大都市中心部等の特定地域のみに対応した詳細地図情報と、ランドマーク(ガソリンスタンド、銀行、コンビニエンスストア、駅等の施設)の位置を示すアイコンRと、を記憶している。
【0036】
中央処理手段5は、車両位置検出部6と、案内経路設定部7と、判断部8と、表示制御部9と、を備えている。
【0037】
車両位置検出部6は、GPS受信機1により測位した絶対位置情報と、ジャイロセンサー2および車速検出器3を用いた相対位置情報と、地図情報記憶手段4に記憶された地図情報(広域地図情報、詳細地図情報)と、を総合的に勘案し、自車両の現在位置を検出するものである。
【0038】
案内経路設定部7は、使用者が目的地設定入力部11に設定入力した目的地の名称、住所等から目的地を特定し、車両位置検出部6により算出された自車両の現在位置から目的地までの案内経路Lを探索して設定するものである。
【0039】
判断部8は、自車両の現在位置の周辺(自車両周辺)に対応した詳細地図情報が、地図情報記憶手段4に記憶されているか否かを判断するものである。
【0040】
表示制御部9は、自車両位置を示すシンボルA、目的地までの案内経路L、アイコンR等を地図情報に重ねた画像Gをモニター12上に表示するものである。
【0041】
次に、作用を説明する。
【0042】
図2は、実施例1のナビゲーション装置100の表示制御の流れを説明するフローチャートであり、図3は、図1の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていると判断部8が判断した場合のモニター12上に表示される画面を例示した図であり、図4は、図1の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていないと判断部8が判断した場合のモニター12上に表示される画面を例示した図である。
【0043】
ナビゲーション装置100が起動されると、車両位置検出部6は、位置検出手段13および地図情報記憶手段4から得られた情報に基づいて自車両の現在位置を検出する(ステップS1)。
【0044】
そして、表示制御部9は、検出された現在位置を中心としてその周辺地図(広域地図情報)に自車両位置を示すシンボルAおよび現在位置の名称等を重ねて、モニター12上に表示する(ステップS2)。
【0045】
次に、目的地設定入力部11に、地名や施設名称等の目標名、電話番号や住所、登録地点、道路名等を用いて目的地を設定すると(ステップS3)、案内経路設定部7は、現在位置から目的地までの案内経路Lを探索して設定する(ステップS4)。
【0046】
さらに、案内経路Lが設定されると、判断部8は、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されているか否かを判断する(ステップS5)。
【0047】
ステップS5において、判断部8が、自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていると判断した場合には、表示制御部9は、まず、広域地図情報に重ねてアイコンRを描画する(ステップS6)。
【0048】
次に、表示制御部9は、案内経路L及び案内経路Lの分岐点を示す旗マークC1〜C3を、その一部がステップS6において描画されたアイコンRによって覆い隠されることのないように、アイコンRの上に重ねて描画する(ステップS7)。
【0049】
このとき、案内経路Lは、他の道路と区別するために、例えば、他の道路よりも幅を太く、かつ、他の道路と異なる色が付されて描画される。
【0050】
このようにして、図3に示すような画面がモニター12上に表示される。
【0051】
なお、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていることを使用者に示すためのVIEWマークDもまたモニター12上に表示される。
【0052】
さらに、図3に示すアイコンRは種類ごとの区別がなく表示されているが(図4、7〜10についても同様)、実際には、ガソリンスタンド、銀行、コンビニエンスストア、駅等の施設の種類ごとに異なるアイコンが表示される。
【0053】
一方、ステップS5において、判断部8が、自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていないと判断した場合には、表示制御部9は、まず、広域地図情報に重ねて案内経路L及び旗マークC1〜C3を描画する(ステップS8)。
【0054】
次に、表示制御部9は、アイコンRを、ステップS9において描画された案内経路Lの上に重なるように描画するが、アイコンRのうち案内経路Lの分岐点に位置するアイコンR´が存在する場合には、そのアイコンR´については案内経路Lの下に表示されるように描画する(ステップS9)。
【0055】
このようにして、図4に示すような画面がモニター12上に表示される。
【0056】
なお、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていないことを使用者に示すため、VIEWマークDはモニター12上に表示されない。
【0057】
そして、シンボルAや案内経路Lに基づいて自車両が目的地に到達したか否かを判断し(ステップS10)、目的地に到達していない場合には、目的地に到達するまでの間、所定時間間隔又は自車両の移動に応じて再びステップS5に戻り、ステップS5〜S9の処理を繰り返し、目的地に到達した場合には終了する。
【0058】
このように構成された実施例1に係るナビゲーション装置100によれば、
(1)自車両周辺に対応した詳細地図情報が、地図情報記憶手段4に記憶されていると判断部8が判断した場合には、表示制御部9は、アイコンRを描画した後に、アイコンRの上に重なるように案内経路Lを描画する。
(2)また、自車両周辺に対応した詳細地図情報が、地図情報記憶手段4に記憶されていないと判断部8が判断した場合には、表示制御部9は、案内経路Lを描画した後に、案内経路Lの上に重なるようにアイコンRを描画する。
【0059】
このため、詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されているような大都市中心部等においては、アイコンRによって案内経路Lが覆い隠されることがないので、案内経路Lの確認が困難になることを防止できる。
【0060】
また、詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていないような過疎地等においては、案内経路LによってアイコンRが覆い隠されることがないので、ランドマーク(アイコンR)の位置を正確に確認することができる。
【0061】
さらに、表示制御部9は、アイコンRのうち案内経路Lの分岐点に重なるアイコンR´が存在する場合には、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されているか否かに拘わらず、アイコンR´については案内経路Lの下に表示されるように描画するため、詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていない過疎地等であっても、特に案内経路Lの確認が必要とされる分岐点においては、案内経路LがアイコンR´によって重畳されることがないので、分岐点を正確に確認することができる。
【実施例2】
【0062】
以下、図5〜図10に基づいて本発明の最良の実施形態としての実施例2のナビゲーション装置200について説明する。
【0063】
図5は、実施例2のナビゲーション装置200の構成を示すブロック構成図である。
【0064】
図5に示すように、ナビゲーション装置200は、実施例1のナビゲーション装置100と同様に、GPS受信機1と、ジャイロセンサ2と、車速検出器3と、地図情報記憶手段4と、VICS受信機10と、目的地設定入力部11と、液晶パネルのモニター12と、を備えている。
【0065】
また、ナビゲーション装置200は、各種の制御等の情報処理を行う中央処理手段25を備えている。
【0066】
そして、この中央処理手段25は、車両位置検出部26と、案内経路設定部27と、判断部28と、表示制御部29と、表示比率算出部30と、を備えている。
【0067】
表示比率算出部30は、モニター12上に表示される案内経路Lの表示面積に対する案内経路LとアイコンRとの重なる部分の表示面積の表示比率Pを算出し、さらに、この表示比率算出部30に予め設定された所定値S(例えば、S=5%)と表示比率Pとの大小を比較するものである。
【0068】
また、車両位置検出部26、案内経路算出部27、判断部28および表示制御部29は、実施例1において説明したものと同様のものであるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
次に、作用を説明する。
【0070】
図6は、実施例2のナビゲーション装置200の表示制御の流れを説明するフローチャートであり、図7は、図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されている場合の、モニター12上に表示される画面を例示した図であり、図8は、図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていない場合の、モニター12上に表示される画面を例示した図(例1)であり、図9は、図5の地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていない場合の、モニター12上に表示される画面を例示した図(例2)である。
【0071】
図6に示すフローチャートにおいて、図2に示す実施例1のナビゲーション装置100の表示制御の流れを説明するフローチャートと同一内容の処理ステップについては、同一のステップ番号(ステップS1〜S5)として、これらの処理内容については、以下において説明を省略することとする。
【0072】
実施例2のナビゲーション装置200では、ステップS5において、判断部8が、自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていると判断した場合には、表示制御部29は、まず、広域地図情報に重ねてアイコンRを描画する(ステップS26)。
【0073】
次に、表示制御部29は、案内経路L及び案内経路Lの分岐点を示す旗マークC1〜C3を描画するが、このとき、案内経路Lの下にアイコンRが透過して見えるように、案内経路Lを半透明にして描画する(ステップS27)。
【0074】
このようにして、図7に示すような画面がモニター12上に表示される。
【0075】
一方、ステップS5において、判断部8が、自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていないと判断した場合には、ステップS28に移行する。
【0076】
ステップS28において、表示比率算出部30は、案内経路Lのうち分岐点と分岐点との間の区分ごとに、モニター12上に表示される案内経路Lの表示面積に対する案内経路LとアイコンR(分岐点に位置するアイコンR´がある場合には、このアイコンR´も含む)とが重なる部分の表示面積の表示比率Pの算出を行ない(ステップS28)、算出された区間ごとの表示比率Pについて、所定値Sとの大小比較を行う(ステップS29)。
【0077】
そして、表示比率Pと所定値Sとの大小比較の結果、表示比率Pが所定値S以上(表示比率P≧所定値S)である区分については、表示制御部29は、ステップS26、S27と同様に、まずアイコンRを描画し(ステップS30)、その後に案内経路Lを、アイコンRの上に重なるように描画する(ステップS31)。
【0078】
一方、表示比率Pと所定値Sとの大小比較の結果、表示比率Pが所定値S未満(表示比率P<所定値S)である区分については、表示制御部29は、まず、広域地図情報に重ねて案内経路L及び旗マークC1〜C3を描画する(ステップS32)。
【0079】
次に、表示制御部29は、アイコンRを、その一部がステップS32において描画された案内経路Lの上に重なるように描画する(ステップS33)。
【0080】
このとき、実施例1のステップS9と同様に、アイコンRのうち案内経路Lの分岐点に重なるアイコンR´がある場合には、そのアイコンR´については、案内経路Lの下に表示されるように描画する。
【0081】
例えば、地図情報記憶手段4に自車両周辺に対応した詳細地図情報が記憶されていない場合であって、図8に示す旗マークC1から旗マークC2までの区間における表示比率Pが所定値Sよりも小さい場合には、この区間では、案内経路Lを描画した後に、案内経路Lの上に重なるようにアイコンRを描画する。
【0082】
また、例えば、旗マークC2から旗マークC3までの区間における表示比率Pが所定値Sよりも大きい場合には、この区間では、アイコンRを描画した後に、アイコンRの上に重なるように半透明の案内経路Lを描画する。
【0083】
このようにして、図8に示すような画面がモニター12上に表示される。
【0084】
そして、実施例1におけるステップS10と同様に、シンボルAや案内経路Lに基づいて自車両が目的地に到達したか否かを判断し(ステップS34)、目的地に到達していない場合には、目的地に到達するまでの間、所定時間間隔で再びステップS5に戻り、ステップS5、S26〜S33の処理を繰り返し、目的地に到達した場合には終了する。
【0085】
なお、ステップS33においてアイコンRを描画する場合、アイコンRの下に案内経路Lが透過して見えるように、アイコンRを半透明にして表示するように構成することも可能である。
【0086】
このように構成された実施例2に係るナビゲーション装置200によれば、
(1−1)自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていると判断部28が判断した場合と、
(1−2)自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されていないと判断部28が判断し、かつ、表示比率算出部30が算出した表示比率Pが所定値S以上である場合と、
のいずれかの場合には、表示制御部29は、アイコンRを描画した後に、アイコンRの上に重なるように案内経路Lを描画する(すなわち、アイコンRを案内経路Lで上書き表示する)。
(2)また、自車両周辺に対応した詳細地図情報が、地図情報記憶手段4に記憶されていないと判断部28が判断し、かつ、表示比率算出部30が算出した表示比率Pが所定値S未満である場合には、表示制御部29は、案内経路Lを描画した後に、案内経路Lの上に重なるようにアイコンRを描画する(すなわち、案内経路LをアイコンRで上書き表示する)。
【0087】
このため、過疎地等であって、案内経路沿いに存在するランドマークが特に少なく、ランドマークが特に重要な目印になるような場合には、案内経路LによってアイコンRが隠されることがないため、ランドマーク(アイコンR)の位置を正確に確認することができる。
【0088】
また、詳細地図情報が地図情報記憶手段に記憶されている場合や、表示比率算出部30が算出した表示比率Pが所定値S以上である場合には、アイコンRによって案内経路Lが隠されることがないため、案内経路Lの確認が困難になることを防止することができる。
【0089】
さらに、表示比率算出部30は、案内経路Lのうち分岐点と分岐点との間の区間ごとに表示比率Pを算出し、表示制御部29は、アイコンRと案内経路Lのいずれを先に描画するのかを、表示比率算出部30が算出した区分ごとの表示比率Pに応じて、区分ごとに分けて行うため、同一画面上において、案内経路Lの確認が特に必要な区分やランドマーク(アイコンR)の位置の確認が特に必要な区分が混在する場合であっても、各区分ごとに適切な表示を行うことができる。
【0090】
また、表示制御部29は、アイコンRを描画した後に案内経路Lを描画する場合、アイコンRが透過して見えるように案内経路Lを半透明にしてモニター12上に表示するため、案内経路Lの確認が困難になることを防止しつつ、同時に、ランドマーク(アイコンR)の位置を確認することができる。
【0091】
なお、実施例2に係るナビゲーション装置200によれば、アイコンRを描画した後に案内経路Lを描画する場合、案内経路Lの下にアイコンRが透過して見えるように、案内経路Lを半透明にしてモニター12上に表示するが、実施例1に係るナビゲーション装置100においても、このような構成とすることも可能である。
【0092】
また、分岐点と分岐点との間の区間内に自車両位置を示すシンボルAが存在する場合には、シンボルAと、案内経路Lのうち自車両の位置から最も近い分岐点(図8の場合には、旗マークC1が位置する分岐点)と、の間を区間として表示比率Pの算出を行うように構成することも可能である。
【0093】
このような構成に係るナビゲーション装置200によれば、自車両の走行に伴い、表示比率Pの対象となる区間が変化し、表示比率Pもまた変化する。このため、案内経路Lを描画した後にアイコンRを描画した(案内経路LをアイコンRで上書き表示した)区間が、分岐点が近づいたときにアイコンRを描画した後に案内経路Lを描画する(アイコンRを案内経路Lで上書き表示する)ように切り替わることもあり、このような場合には、分岐点に自車両が近づいたとき、すなわち、特に案内経路Lを確認したい状況である場合に案内経路Lを正確に確認することができる。
【0094】
さらに、実施例1に係るナビゲーション装置100および実施例2に係るナビゲーション装置200は、図10(a)に示すように、自車両周辺に対応した詳細地図情報が地図情報記憶手段4に記憶されている場合、モニター12上に表示される案内経路LとアイコンRとが重なる部分では、アイコンRを案内経路Lで上書き表示するが、この表示期間の一部の期間に関しては、図10(b)に示すように、案内経路LをアイコンRで上書き表示し、この表示の切り替えを繰り返すような構成とすることもできる。
【0095】
この「表示期間の一部の期間に関しては、図10(b)に示すように、案内経路LをアイコンRで上書き表示し」というのは、案内経路Lで上書き表示することを原則としつつ、例えば2秒に1度はアイコンRで上書き表示するように切り替える、という意味である。
【0096】
このような構成によれば、原則として案内経路Lで上書き表示されるため、ランドマーク(アイコンR)によって案内経路Lが隠されることがなく、案内経路Lの確認が困難になることを防止することができるが、この効果に加えてさらに、表示期間の一部の期間に関してはアイコンRで上書き表示されるため、ランドマーク(アイコンR)の位置を正確に確認することもできる。
【0097】
以上、本発明のナビゲーション装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0098】
1 GPS受信機
2 ジャイロセンサー
3 車速検出器
4 地図情報記憶手段
5 中央処理手段
6 車両位置検出部
7 案内経路設定部
8 判断部
9 表示制御部
10 VICS受信機
11 目的地設定入力部
12 モニター
13 位置検出手段
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域地図情報と前記広域地図情報のうち特定地域にのみ対応した詳細地図情報とランドマークの位置を示すアイコンとを記憶した地図情報記憶手段と、
出発地から目的地までの案内経路と前記アイコンとを前記広域地図情報に重ねてモニター上に表示する表示制御部と、
前記詳細地図情報のうち自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されているか否か、を判断する判断部と、を有し、
前記表示制御部は、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていると前記判断部が判断した場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記アイコンを前記案内経路で上書き表示し、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断した場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記案内経路を前記アイコンで上書き表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
広域地図情報と前記広域地図情報のうち特定地域にのみ対応した詳細地図情報とランドマークの位置を示すアイコンとを記憶した地図情報記憶手段と、
出発地から目的地までの案内経路と前記アイコンとを前記広域地図情報に重ねてモニター上に表示する表示制御部と、
前記詳細地図情報のうち自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されているか否か、を判断する判断部と、
前記モニター上において前記案内経路の表示面積に対する前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分の表示面積の表示比率を算出する表示比率算出部と、を有し、
前記表示制御部は、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていると前記判断部が判断した場合、および、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断し、かつ、前記表示比率算出部が算出した前記表示比率が所定値以上である場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記アイコンを前記案内経路で上書き表示し、
前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が、前記地図情報記憶手段に記憶されていないと前記判断部が判断し、かつ、前記表示比率算出部が算出した前記表示比率が所定値未満である場合には、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記案内経路を前記アイコンで上書き表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示比率算出部は、前記案内経路のうち分岐点と分岐点との間の区間ごとに前記表示比率を算出し、
前記表示制御部は、前記案内経路と前記アイコンとが重なる部分では前記アイコンを前記案内経路で上書き表示するか、あるいは、前記案内経路を前記アイコンで上書き表示するかを、前記表示比率算出部が算出した前記区分ごとの前記表示比率に応じて、前記区分ごとに分けて行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記案内経路のうち分岐点に前記アイコンが重なる場合には、前記自車両周辺に対応した詳細地図情報が前記地図情報記憶手段に記憶されているか否かに拘わらず、前記分岐点に重なる前記アイコンについては、そのアイコンを前記案内経路で上書き表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記アイコンを前記案内経路で上書き表示する場合、前記アイコンが透過して見えるように前記案内経路を半透明にして前記モニター上に表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記アイコンを前記案内経路で上書き表示する場合、その表示する期間全体のうち一部の期間に関しては、前記案内経路を前記アイコンで上書き表示する表示に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−169659(P2011−169659A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31974(P2010−31974)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】