説明

ナビゲーション装置

【課題】消費電力を低減することができるナビゲーション装置を提供することである。
【解決手段】本発明にかかるナビゲーション装置は、地図情報が格納された記憶部12と、移動体の位置を検出する位置検出部13と、記憶部12に格納された地図情報と移動体の位置とが重畳された描画データを生成する制御部10と、複数のバックライトを備えると共に、バックライトで画面が照光され制御部10で生成された描画データを表示する表示部17と、を備える。制御部10は、移動体の進行方向に対応した第1の領域41を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも、当該第1の領域以外の第2の領域42を照射するように配置されたバックライトの輝度が暗くなるように複数のバックライトを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に関し、特にバックライトを備えた表示部を有するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、車などの移動体に搭載され、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される信号を受信して移動体の現在位置を検出する。そして、移動体の現在位置をナビゲーション装置に記憶されている地図情報と共に表示することで、ユーザは移動体の現在位置を認識することができる。また、ユーザが目的地を設定することで、ナビゲーション装置が移動体の現在地と設定された目的地との間の最適な経路を探索し、この経路を地図上に表示して目的地までの案内を実施する。
【0003】
特許文献1には、ナビゲーション装置の表示画面を、移動体の現在位置を中心として目的地方向に向かって扇型の表示画面とする技術が開示されている。このような表示画面とすることで、移動体の現在位置や目的地などの視認性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−55298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナビゲーション装置では、表示画面に例えばバックライトを備える液晶表示装置が用いられていた。そして、この表示画面に移動体の現在位置と地図情報を表示する場合、表示画面全体が同一の輝度となるようにバックライトを制御していた。しかしながら、表示画面全体を同一輝度で表示すると、高輝度で点灯するバックライトの数が多くなるため消費電力が大きくなるという問題があった。
【0006】
上記課題に鑑み本発明の目的は、消費電力を低減することができるナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかるナビゲーション装置は、地図情報が格納された記憶部と、移動体の位置を検出する位置検出部と、前記記憶部に格納された地図情報と前記移動体の位置とが重畳された描画データを生成する制御部と、複数のバックライトを備えると共に、前記バックライトで画面が照光され前記制御部で生成された前記描画データを表示する表示部と、を備える。前記制御部は、前記移動体の進行方向に対応した第1の領域を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも、当該第1の領域以外の第2の領域を照射するように配置されたバックライトの輝度が暗くなるように前記複数のバックライトを制御する。
【0008】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記表示部は液晶パネルを備え、前記制御部は、前記第1の領域における前記液晶パネルの透過率が、前記第2の領域における前記液晶パネルの透過率よりも高くなるように前記液晶パネルを制御してもよい。
【0009】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記第1の領域は、前記表示部に表示される前記地図情報の縮尺に応じて変化してもよい。
【0010】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記第1の領域は、前記移動体の進行方向と第1の角度をなす第1の線分と前記移動体の進行方向と第2の角度をなす第2の線分とに囲まれた領域としてもよい。
【0011】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記制御部は、前記表示部に表示される地図の縮尺が大縮尺になるにつれて前記第1の線分と前記第2の線分のなす角を小さくし、前記表示部に表示される地図の縮尺が小縮尺になるにつれて前記第1の線分と前記第2の線分のなす角を大きくしてもよい。
【0012】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記第1の角度と前記第2の角度とが異なるようにしてもよい。
【0013】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記第1の領域は前記移動体の経路を含むように決定されてもよい。
【0014】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記表示部に表示される道路が表示されている地図内で分岐路が無い一本道である場合、前記制御部は、前記一本道に対応していない位置を照射するように配置されたバックライトの輝度が、前記一本道に対応する位置を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも暗くなるように前記複数のバックライトを制御してもよい。
【0015】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記制御部は、前記地図情報の北方向が前記表示部の上方向に固定されるように前記描画データを生成してもよい。
【0016】
上述の本発明の一態様にかかるナビゲーション装置において、前記制御部は、前記移動体に対応した領域を照射するように配置されたバックライトの輝度が、前記第2の領域を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも明るくなるように前記バックライトを制御してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、消費電力を低減することができるナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1にかかるナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかるナビゲーション装置の表示部を説明するための図である。(a)は、ナビゲーション装置の表示部の断面図である。(b)は、ナビゲーション装置の表示部が備えるバックライトパネルを示す図である。
【図3】実施の形態1にかかるナビゲーション装置の表示画面における第1の領域と第2の領域の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかるナビゲーション装置の表示状態を説明するための図である。(a)は表示画面を示す図である。(b)は、(a)に示した表示画面におけるバックライトの状態を示す図である。
【図5】実施の形態2にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図であり、(a)、(b)、(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。
【図6】実施の形態2にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図であり、(a)、(b)、(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。
【図7】(a)は、実施の形態3にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。(b)は、実施の形態3にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図である。
【図8】実施の形態3にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。(a)は、経路が広範囲に広がっている場合の表示画面を示し、(b)は経路が狭い範囲にある場合の表示画面を示す。
【図9】実施の形態3にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図であり、(a)、(b)、(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。
【図10】実施の形態3にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図であり、(a)、(b)、(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。
【図11】(a)は、実施の形態4にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。(b)は、実施の形態4にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図である。
【図12】(a)は、実施の形態5にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。(b)は、実施の形態5にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図である。
【図13】その他の実施の形態を説明するための図である。(a)は、通常走行時において、北上固定で地図を表示した場合の表示画面の一例を示す図である。(b)は、通常走行時において、北上固定でかつ一本道が連続する場合の表示画面の一例を示す図である。
【図14】(a)は、一般的なナビゲーション装置の表示画面を示す図である。(b)は、一般的なナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかるナビゲーション装置を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかるナビゲーション装置1は、入力部11、記憶部12、位置検出部13、車両信号入力部14、制御部10、および表示部17を備える。制御部10は、描画部15とバックライト制御部16とを含み構成される。表示部17は、液晶パネル18とバックライトパネル19とを含み構成される。
【0020】
なお、以下で説明する実施の形態ではナビゲーション装置として車に搭載されるカーナビゲーション装置を例に説明するが、本発明はカーナビゲーション装置に限定されることはない。例えば、船舶、航空機などの他の移動体に搭載されるナビゲーション装置や人が携帯して使用することができるナビゲーション装置にも適用することができる。また、ナビゲーション装置は、ナビゲーション機能を備える携帯電話機、コンピュータ端末、または携帯情報端末などであってもよい。
【0021】
入力部11は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための入力スイッチを備える。ユーザは入力部11を操作することにより、例えば目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。入力部11は、例えば操作パネルやリモコンなどによって構成することができる。また、入力部11と表示部17とが一体化されたタッチパネルで構成してもよい。
【0022】
記憶部12は、地図情報や制御プログラムが格納された記録媒体を備える。記録媒体には、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体を用いることができる。記憶部12に格納されている地図情報や制御プログラムは、必要に応じて制御部10により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0023】
また、地図情報には、経路計算データ、道路データ、および背景データが含まれている。経路計算データは、目的地までの経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。地図情報において各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図情報において各道路は複数のリンクにより構成される。隣接するリンク同士は、ノードと呼ばれる点を介して接続されており、ノードはリンクの端点をそれぞれ表している。なお、リンクの途中には、そのリンクの形状を表すための形状補間点と呼ばれる点が設定されていてもよい。背景データは、地図の背景を表すデータである。地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。例えば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0024】
位置検出部13は、自車両(移動体ともいう)の角速度を検出するためのセンサや、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するアンテナを備える。センサで検出された自車両の角速度やアンテナで受信されたGPS信号は制御部10へ出力される。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0025】
車両信号入力部14は、自車両の車速を検出するためのセンサを備える。自車両の角速度を検出するためのセンサや自車両の車速を検出するためのセンサを用いて自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、自車両の移動量が求められ、自車両の現在位置が検出される。すなわち、位置検出部13と車両信号入力部14により、自車両の現在位置が検出される。
【0026】
制御部10は、入力部11、記憶部12、位置検出部13、および車両信号入力部14からの各信号を入力し、各種の処理を実行する。制御部10は、例えばマイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されている。例えば、制御部10は、記憶部12に格納されている制御プログラムや地図情報に基づいて、描画データの生成処理を実行する。また、制御部10は、自車両を目的地まで案内するための処理として、例えば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの経路の探索処理、自車両の現在位置の検出処理、各種の画像表示処理、経路案内時の音声出力処理などを実行する。
【0027】
制御部10は描画部15を備える。描画部15は、制御部10で生成された描画データを、表示部17で使用される表示デバイスに適合させる処理を行なう。例えば、表示部で使用される表示デバイスが液晶パネルである場合、描画部15は描画データに基づき液晶パネルを駆動する液晶ドライバとして機能する。なお、本実施の形態では描画部15が制御部10に含まれる構成を示したが、描画部15は制御部10と別に設けられていてもよい。
【0028】
また、制御部10はバックライト制御部16を備える。バックライト制御部16は、表示部17が備えるバックライトパネル19の各バックライトの輝度を制御する。なお、本実施の形態ではバックライト制御部16が制御部10に含まれる構成を示したが、バックライト制御部16は制御部10と別に設けられていてもよい。
【0029】
表示部17は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、例えば液晶パネル18とバックライトパネル19とを備える液晶ディスプレイを用いて構成される。表示部17は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすい位置に設置されている。
【0030】
図2(a)は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示部17の断面図である。図2(a)に示すように、表示部17は、液晶パネル18とバックライトパネル19とが重畳するように配置されている。液晶パネル18は複数の液晶セル21を備える。複数の液晶セル21の透過率は、図1に示した描画部15を用いて独立に制御可能である。バックライトパネル19は、複数のバックライト25を備える。各バックライト25は、例えば発光ダイオード(LED)と、発光ダイオードから放射された光をバックライトパネル表面へ導く導光部とで構成することができる。また、各バックライト25は有機EL素子や無機EL素子で構成してもよい。図2(b)は、複数のバックライト25が配置されているバックライトパネル19の一例を示す図である。図2(b)に示す各バックライト25の輝度は、図1に示したバックライト制御部16を用いて各々独立に制御可能である。
【0031】
図2(a)に示すように、本実施の形態では所定の数の液晶セル21毎に1つのバックライト25が配置されており、各バックライトは所定の数の液晶セル21の光源として機能する。各液晶セル21は、各液晶セル21の透過率を調整することで、バックライト25から放射された光が液晶セル表面に到達する量(つまり、輝度)を調整することができる。図2(a)に示す例では、液晶セル22はバックライト25から放射された光を遮蔽し、液晶セル23はバックライト25から放射された光を透過している。なお、バックライト25の数は任意に決定することができる。
【0032】
次に、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の動作について説明する。
ユーザが入力部11を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1の制御部10は、自車両の現在位置を出発地として前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を実施し、出発地から目的地までの経路探索を行う。この経路探索により求められた経路(探索経路)が目的地までの経路として設定される。経路が設定されると、制御部10は、ユーザが奨励経路を視認できるように、表示部17に他の道路とは異なる色で経路を表示する。なお、ナビゲーション装置1は、経路に従って自車両が走行できるように、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより自車両を誘導してもよい。このようにして、目的地までの経路案内が行われる。
【0033】
また、制御部10は、自車両の進行方向に基づいて、自車両の進行方向に対応した第1の領域と、第1の領域以外の第2の領域とを決定する。図3は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示部(表示画面)17における第1の領域41と第2の領域42の一例を示す図である。図3に示すように、第1の領域41は、自車両31の進行方向38と所定の角度αをなす第1の線分33と、進行方向38と所定の角度βをなす第2の線分34とに囲まれた領域とすることができる。このとき、第1の領域41に自車両31が含まれるようにしてもよい。また、第2の領域42は、表示画面における第1の領域41以外の領域とすることができる。ここで、角度αおよび角度βの値は任意に決定することができる。すなわち、角度αと角度βの値は互いに同一でもよく、また異なっていてもよい。また、角度αと角度βの値は負の値であってもよい(例えば、図8(b)の第1の線分33参照)。
【0034】
なお、第1の領域41および第2の領域42を決定する第1の線分33および第2の線分34は、例えば曲線でもよく、第1の領域41および第2の領域42の形状は任意に決定することができる。すなわち、本実施の形態では、第1の領域41は少なくとも自車両の進行方向に対応した領域であればよく、この条件を満たす限り第1の領域41の形状は任意に決定することができる。
【0035】
そして、制御部10が第1の領域41と第2の領域42を決定した後、バックライト制御部16は、第2の領域42を照射するように配置されたバックライトの輝度が、第1の領域41を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも暗くなるように複数のバックライトを制御する。例えば、第2の領域42を照射するように配置されたバックライトの輝度は地図が確認できる程度に暗くしてもよいし、地図が確認できない程度に暗く(消灯も含む)してもよい。この場合、地図が確認できない程度に暗くしたほうがナビゲーション装置の消費電力をより低減することができる。なお、第2の領域42のバックライトの輝度は、例えばユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0036】
図4(a)は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。図4(b)は、図4(a)に示した表示画面におけるバックライトの状態を示す図である。図4(a)に示すように、バックライト制御部16は、第1の領域41と第2の領域42が決定された後、進行方向(経路32)に対応する第1の領域41が第2の領域42よりも明るくなるように、複数のバックライトを制御する。具体的には、図4(b)に示すように、バックライト制御部16は、第1の線分33および第2の線分34で囲まれた第1の領域41を照射するように配置されたバックライト26が、第2の領域42を照射するように配置されたバックライト27(ハッチングで示す)よりも明るくなるように、バックライトを制御する。
【0037】
バックライトパネル19が備えるバックライトの数が比較的多い場合、つまり、バックライトの分割単位が比較的細かい場合、バックライトを制御するのみで第1の領域41と第2の領域42との境界を明確に表示することができる。例えば、バックライトを有機EL素子を用いて構成した場合、液晶パネルの各液晶セルと同程度の分割単位でバックライトを形成することができる。一方、バックライトパネル19が備えるバックライトの数が比較的少ない場合、つまり、バックライトの分割単位が比較的大きい場合、バックライトを制御するのみでは第1の領域41と第2の領域42との境界を明確に表示することが困難となる。
【0038】
この場合、制御部10は、バックライトの制御に加えて液晶パネル18の制御も実施することができる。つまり、制御部10が備える描画部15は、第1の領域41における液晶パネルの透過率が、第2の領域42における液晶パネルの透過率よりも高くなるように液晶パネル(つまり、各液晶セル)を制御してもよい。このように制御することで、バックライトの数が比較的少ない場合であっても、第1の領域41と第2の領域42との境界を明確に表示することができる。
【0039】
また、上述のような液晶パネルの背面に光源を配置するのではなく、液晶パネルのサイドに光源を配置するエッジライト方式の液晶パネルの場合には、格子状エリア毎にバックライトの点灯制御をすることができない。この場合は、液晶パネルのサイドに配置されたバックライトにより形成される短冊状のエリアに対して、バックライトの点灯制御を実施してもよい。具体的には、扇型のエリアに掛かる短冊部分を点灯するようにバックライトを制御する。このとき、短冊部分を点灯するだけでは扇型のエリアを表示できないので、制御部10は、バックライトの制御と上述のような液晶の透過率の制御とを組み合わせて表示部17の制御を実施することになる。
【0040】
バックライトパネルの制御のみを実施するか、またはバックライトパネル19の制御と共に液晶パネル18の制御を実施するかについては、バックライトの数に基づき決定することができる。また、図4に示すように、進行方向が上向き固定で表示される場合、自車両31の位置に対応する位置のバックライトを常にオン状態とすることができる。この場合は、バックライト28の位置(バックライトの分割線の少し上)に自車両31が表示されるようにする。
【0041】
図14(a)は、一般的なナビゲーション装置の表示画面を示す図である。図14(b)は、一般的なナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図である。図14(a)、(b)に示すように、一般的なナビゲーション装置では、表示画面に自車両31の現在位置、経路32、および地図情報を表示する場合、表示画面全体が同一の輝度となるようにバックライトを制御していた。このため、高輝度で点灯するバックライトの数が多くなり消費電力が大きくなるという問題があった。
【0042】
これに対して、本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、制御部10が、自車両の進行方向に対応した第1の領域41を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも、第1の領域41以外の第2の領域42を照射するように配置されたバックライトの輝度が暗くなるようにバックライト25を制御している。よって、自車両の進行方向以外の重要性の低い第2の領域を照射するバックライトを暗くすることができるので、ナビゲーション装置の消費電力を低減することができる。
【0043】
また、本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、制御部10は、進行方向に対応する第1の領域41が第2の領域42よりも明るくなるように、複数のバックライトを制御している。このため、表示画面上において進行方向を明確に表示することができるので、ユーザが運転中にナビゲーション装置を凝視することなく自車両の位置及び進行方向を瞬時に認識することができる。また、重要性の低い情報を表示しないのでナビゲーション装置の表示画面の視認性を向上させることができる。
【0044】
また、上記では目的地までの経路案内が行われている際に上記のようなバックライトの制御を実施する例について説明した。しかし、上記のようなバックライトの制御は経路案内が行なわれていない場合、つまり通常の走行時に実施してもよい。また、上記のようなバックライトの制御を実施するタイミングは、ユーザが任意に決定してもよい。
【0045】
また、第1および第2の領域の輝度は、周囲の明るさ(例えば昼と夜)も考慮して変更してもよい。また、例えば、表示部17が4分割(上下方向に4分割)のバックライトを備える場合、自車両の位置の後方のバックライトの輝度を低下させ、更に液晶パネルを制御して第2の領域を暗く表示してもよい(進行方向が上向き固定で表示される場合)。また、上記では2次元表示(平面表示)の場合について説明したが、例えば鳥瞰図などの3次元的な表示にも適用することができる。
【0046】
上記では本実施の形態にかかるナビゲーション装置を具体的に説明したが、本実施の形態にかかるナビゲーション装置は少なくとも下記の要件を備えていれば上記の効果を奏することができる。すなわち、本実施の形態にかかるナビゲーション装置は、地図情報を記憶する記憶部12と、移動体(自車両)の現在位置を検出する位置検出部13と、記憶部12に格納された地図情報と移動体の現在位置とが重畳された表示データを生成する制御部10と、複数のバックライトを備えると共に、バックライトで画面が照光され制御部10で生成された表示データを表示する表示部17と、を備え、制御部10は、移動体の進行方向に対応した第1の領域41を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも、当該第1の領域41以外の第2の領域42を照射するように配置されたバックライトの輝度が暗くなるように複数のバックライトを制御する、構成を少なくとも備えていればよい。このような構成を備えることで、消費電力を低減することができるナビゲーション装置を提供することができる。
【0047】
実施の形態2
次に本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で説明した自車両の進行方向に対応した第1の領域41を、地図情報の縮尺に応じて変化させている。これ以外は実施の形態1の場合と同様であるので同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0048】
ユーザは、図1に示したナビゲーション装置1が備える入力部11を操作することで、表示部17に表示される地図情報の縮尺を変更することができる。制御部10は、地図情報の縮尺が変更された場合、地図情報の縮尺と自車両の進行方向とに基づいて第1の領域を決定する。
【0049】
図5は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図であり、図5(a)、図5(b)、図5(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる(つまり、地図が縮小する)。すなわち、図5(a)は地図が最も拡大された場合(大縮尺)を示し、図5(c)は地図が最も縮小された場合(小縮尺)を示し、図5(b)はこれらの中間の縮尺(中縮尺)を示している。同様に、図6は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図であり、図6(a)、図6(b)、図6(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。
【0050】
図5(a)〜(c)に示すように、本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、制御部10は、地図の縮尺が小縮尺になるにつれて第1の領域41が広くなるように、第1の領域41を決定している。換言すると、地図の縮尺が小縮尺になるにつれて、第1の線分33と第2の線分34のなす角が大きくなるように第1の領域41を決定している。また、制御部10は、地図の縮尺が大縮尺になるにつれて第1の線分33と第2の線分34のなす角が小さくなるように第1の領域41を決定している。
【0051】
図5(a)、図6(a)に示すように、地図が大縮尺になるにつれて、自車両31の経路32は狭い範囲内に表示される傾向がある。逆に、図5(c)、図6(c)に示すように、地図が小縮尺になるにつれて、自車両31の経路32は広い範囲に表示される傾向がある。本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、地図の縮尺の変更により変化する自車両31の経路32の表示状態に応じて、自車両31の進行方向に対応した第1の領域41を変化させている。このように、地図の縮尺に応じて第1の領域41を変化させることで、表示画面の視認性を向上しつつ、効率的にナビゲーション装置の消費電力を低減することができる。
【0052】
実施の形態3
次に本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、実施の形態1で説明した自車両31の進行方向に対応した第1の領域41を、自車両31の経路32を含むように決定している。これ以外は実施の形態1の場合と同様であるので同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0053】
ユーザが入力部11を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1の制御部10は、自車両の現在位置を出発地として前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を実施し、出発地から目的地までの経路探索を行う。この経路探索により求められた経路が目的地までの経路として設定される。経路が設定されると、制御部10は、ユーザが経路を視認できるように、表示部17に他の道路とは異なる色で経路を表示する。
【0054】
そして、制御部10は、設定された経路情報と自車両の進行方向とに基づいて第1の領域を決定する。つまり、制御部10は、第1の領域が地図上に表示されている経路の全てを含むように、第1の領域を決定する。このとき、図3に示した角度αと角度βとが互いに異なるように角度αと角度βの値を決定してもよい。
【0055】
図7(a)は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。図7(b)は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図である。図7(a)、(b)に示すように、本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、制御部10は、自車両31の経路32を含むように自車両31の進行方向に対応した第1の領域41を決定している。換言すると、制御部10は、第1の線分33および第2の線分34が自車両31の経路32と重ならないように、図3に示した角度αと角度βとを決定している。よって、全ての経路を第1の領域41内に表示することができるので、ナビゲーション装置の表示画面の視認性を向上させることができる。
【0056】
図8(a)、(b)は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示画面の他の例を示す図である。図8(a)に示すように、表示部17に表示される経路32が広範囲に広がっている場合(つまり、経路32が画面の左右方向に広がっている場合)は、第1の領域41の広さ(つまり、角度αと角度βの和に対応)を広くすることで、表示画面の視認性を向上させることができる。一方、図8(b)に示すように、表示部17に表示される経路32が狭い範囲にある場合は、第1の領域41を狭くすることでナビゲーション装置の消費電力を低減することができる。このように、ナビゲーション装置の表示画面に表示される経路32に応じて第1の領域41の広さを変化させることで、ナビゲーション装置の表示画面の視認性の向上と消費電力の低減を効果的に実現することができる。
【0057】
また、本実施の形態は実施の形態2にかかるナビゲーション装置にも適用することができる。すなわち、地図情報の縮尺に応じて第1の領域41を変化させる際に、自車両の経路を含むように第1の領域41を決定してもよい。図9は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示画面を示す図であり、図9(a)、図9(b)、図9(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。つまり、図9(a)は地図が最も拡大された場合(大縮尺)を示し、図9(c)は地図が最も縮小された場合(小縮尺)を示し、図9(b)はこれらの中間の縮尺(中縮尺)を示している。同様に、図10は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の具体的な表示例を示す図であり、図10(a)、図10(b)、図10(c)の順に地図の縮尺が小縮尺になる。
【0058】
図9、図10に示すように、本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、制御部10は、地図の縮尺が小縮尺になるにつれて第1の領域41が広くなるように、第1の領域41を決定している。換言すると、地図の縮尺が小縮尺になるにつれて、第1の線分33と第2の線分34のなす角が大きくなるように第1の領域41を決定している。また、制御部10は、地図の縮尺が大縮尺になるにつれて第1の線分33と第2の線分34のなす角が小さくなるように第1の領域41を決定している。更に、本実施の形態にかかるナビゲーション装置では、制御部10は、第1の領域41が地図上に表示されている経路32の全てを含むように、第1の領域41を決定している。
【0059】
例えば、図5(b)に示した例では、経路32の一部が第2の領域42に重なっているため表示画面の視認性が低下する。しかし、図9(b)に示した本実施の形態の場合は、全ての経路32を第1の領域41内に表示することができる。よって、本実施の形態にかかるナビゲーション装置により表示画面の視認性を向上させることができる。
【0060】
実施の形態4
次に本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4では、表示画面に表示される地図を、地図の北方向が表示画面の上方向に固定された北上固定(ノースアップ)としている。これ以外は実施の形態1乃至3の場合と同様であるので同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0061】
図11(a)、(b)に示すように、表示画面に表示される地図が北上固定で表示される場合、自車両31は地図上において上部方向以外の方向にも移動する。この場合も他の実施の形態と同様に、自車両の進行方向に対応した第1の領域41を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも、第1の領域41以外の第2の領域42を照射するように配置されたバックライトの輝度が暗くなるようにバックライトを制御する。このように、北上固定で地図を表示した場合でも自車両の進行方向以外の重要性の低い第2の領域のバックライトを暗くすることができるので、ナビゲーション装置の消費電力を低減することができる。
【0062】
特に、北上固定で地図を表示した場合は、自車両31が地図上において上部方向以外の方向にも移動するため、ユーザは自車両31の方向を確認するために表示画面を注視する必要があった。しかしながら、本実施の形態にかかるナビゲーション装置のように、自車両の進行方向に対応した第1の領域41の輝度を明るくすることで、北上固定の場合であっても自車両31の進行方向を瞬時に認識することができるようになる。
【0063】
実施の形態5
次に本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、山道や高速道路などのように、表示されている地図内で分岐路が無い一本道が連続する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の基本的な構成も実施の形態1の場合と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0064】
図12(a)、(b)に示すように、山道や高速道路などの一本道が多い道路では、自車両31の進行方向に対応した第1の領域41を、自車両31の進行方向にある道路(一本道)とする。この場合、バックライト制御部16は、自車両31の進行方向にある一本道に対応していない位置を照射するように配置されたバックライトの輝度が、一本道に対応する位置を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも暗くなるようにバックライトを制御する。
【0065】
このように、山道や高速道路など一本道が多い道路において、自車両31の進行方向にある道路に対応した位置にあるバックライトのみを高輝度で点灯することで、ナビゲーション装置の消費電力を低減することができ、またナビゲーション装置の表示画面の視認性を向上させることができる。
【0066】
その他の実施の形態
図13(a)は、通常走行時において、北上固定で地図を表示した場合の表示画面の一例を示す図である。図13(b)は、通常走行時において、北上固定でかつ一本道が連続する場合の表示画面の一例を示す図である。
【0067】
図13(a)、(b)に示すように、北上固定で地図を表示した場合は、自車両31が地図上において上部方向以外の方向にも移動するため、通常走行時においてユーザは自車両31の方向を確認するために表示画面を注視する必要があった。しかしながら、図13(a)、(b)に示すように、通常走行時において自車両の進行方向に対応した第1の領域41の輝度を明るくすることで、ユーザは通常走行時において自車両31の進行方向を瞬時に認識することができるようになる。
【0068】
なお、実施の形態1のような自車両が常に上部方向を向いている表示の場合においても、通常走行時に自車両の進行方向に対応した第1の領域の輝度を明るくする表示をしてもよい。しかし、北上固定で地図を表示した場合に図13(a)、(b)に示すような表示をすることで、特にナビゲーション装置の表示画面の視認性を向上させることができる。
【0069】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
1 ナビゲーション装置
10 制御部
11 入力部
12 記憶部
13 位置検出部
14 車両信号入力部
15 描画部
16 バックライト制御部
17 表示部(表示画面)
18 液晶パネル
19 バックライトパネル
21、22、23 液晶セル
25、26、27、28 バックライト
31 自車両(移動体)
32 経路
33 第1の線分
34 第2の線分
41 第1の領域
42 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報が格納された記憶部と、
移動体の位置を検出する位置検出部と、
前記記憶部に格納された地図情報と前記移動体の位置とが重畳された描画データを生成する制御部と、
複数のバックライトを備えると共に、前記バックライトで画面が照光され前記制御部で生成された前記描画データを表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記移動体の進行方向に対応した第1の領域を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも、当該第1の領域以外の第2の領域を照射するように配置されたバックライトの輝度が暗くなるように前記複数のバックライトを制御する、
ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示部は液晶パネルを備え、
前記制御部は、前記第1の領域における前記液晶パネルの透過率が、前記第2の領域における前記液晶パネルの透過率よりも高くなるように前記液晶パネルを制御する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第1の領域は、前記表示部に表示される前記地図情報の縮尺に応じて変化する、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第1の領域は、前記移動体の進行方向と第1の角度をなす第1の線分と前記移動体の進行方向と第2の角度をなす第2の線分とに囲まれた領域である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記表示部に表示される地図の縮尺が大縮尺になるにつれて前記第1の線分と前記第2の線分のなす角を小さくし、前記表示部に表示される地図の縮尺が小縮尺になるにつれて前記第1の線分と前記第2の線分のなす角を大きくする、請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記第1の角度と前記第2の角度とが異なる、請求項4または5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記第1の領域は前記移動体の探索経路を含むように決定される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記表示部に表示される道路が表示されている地図内で分岐路が無い一本道である場合、前記制御部は、前記一本道に対応していない位置を照射するように配置されたバックライトの輝度が、前記一本道に対応する位置を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも暗くなるように前記複数のバックライトを制御する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記地図情報の北方向が前記表示部の上方向に固定されるように前記描画データを生成する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記移動体に対応した領域を照射するように配置されたバックライトの輝度が、前記第2の領域を照射するように配置されたバックライトの輝度よりも明るくなるように前記バックライトを制御する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−127775(P2012−127775A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278845(P2010−278845)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】