説明

ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、それを用いたポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置

【課題】膜厚が厚くなっても高解像度で高残膜率のパターンを得ることができ、かつ高感度が得られるポジ型感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、フェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル(B)1〜50重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度で高残膜率のパターンを得ることができ、かつ高感度が得られる感光材、それを用いたポジ型感光性樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、半導体装置の薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術があり、例えば下記式(4)に示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0004】
【化6】

【0005】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮及び歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤をスプレー状に噴霧することが必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。そこで、最近アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特許文献1においてはベース樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体と感光材であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂組成物の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるもの
である。
【0006】
これら感光性樹脂組成物を使用する場合、特に重要となるのは感光性樹脂組成物の感度である。低感度であると、露光時間が長くなりスループットが低下する。そこで感光性樹脂組成物の感度を向上させようとして、例えば、ベース樹脂の分子量を小さくすると、現像時に未露光部の膜減りが大きくなるために、必要とされる膜厚が得られなかったり、パターン形状が崩れるといった問題が生じる。この様なことから、上記特性を満足しながら高感度である感光性樹脂組成物の開発が強く望まれている。更に感光性樹脂組成物の加熱脱水閉環後の膜厚は、従来5〜7μm程度であったが、10〜20μm程度に厚くなる傾向にあり、より厚くなった場合でも高感度である感光性樹脂組成物の開発が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特公平1−46862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高解像度で高残膜率のパターンを得ることができ、かつ高感度が得られる感光材、それを用いたポジ型感光性樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。又従来より膜厚が厚くなっても上記の問題が発生しない高感度のポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルであることを特徴とするナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである。更に本発明は、アルカリ可溶性樹脂100重量部と式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル(B)1〜50重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。更に好ましくは、アルカリ可溶性樹脂が、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂(A)100重量部と、式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル(B)1〜50重量部を含むポジ型感光性樹脂組成物である。
【0010】
【化7】

【0011】
【化8】

【0012】
又、上記のポジ型感光性樹脂組成物において、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル(B)1〜50重量部、フェノール化合物(C)1〜30重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。
【0013】
更に好ましい形態としては、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂におけるXが、下記構造の群より選ばれ、一般式(2)のポリアミド樹脂におけるYは、下記構造の群より選ばれ、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂が、アルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物によって末端封止され、フェノール化合物(C)は、フェノール性水酸基を有する2〜5核体の化合物で、又それらはベンゼン環に対して同数以上の水酸基を有するものである。これは一つのベンゼン環に対して必ずとも水酸基を1個有する必要もなく、又1つのベンゼン環に2個以上の水酸基を有しても良く、フェノール化合物内の水酸基の数がベンゼン環の
数と同数以上であることが必要である。又これらフェノール化合物のベンゼン環にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基が置換されていても良い。特に好ましいフェノール化合物としては、一般式(3)で示される化合物が望ましい。
【0014】
【化9】

【0015】
【化10】

【0016】
【化11】

【0017】
又、上記のポジ型感光性樹脂組成物を用いて製作されてなることを特徴とする半導体装置であり、上記のポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従うと、従来の特性を維持しながら、膜厚が厚くなっても高解像度で高残膜率のパターンを形成することができ、かつ高感度であるポジ型感光性樹脂を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に用いられる式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルは、感光材として機能するものである。
【0020】
【化12】

【0021】
式(1)で示されるフェノール化合物とは異なるフェノール化合物の1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルを用いた例が、特開2000―275833号公報に開示されている。この化合物を用いると感光性樹脂組成物の感度向上の効果は認められるが、最近のウェハーコート用感光性樹脂組成物の膜厚の厚膜化の要求に対しては感度の向上の効果が不十分であり、更なる高感度化が必要となっている。そこで、本発明者らは種々の感光材を検討した結果、式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルが、厚膜でも感度向上に非常に効果があることを見いだしたものである。
【0022】
本発明に用いる式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルとしては、式(1)のフェノール化合物1モルと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸2.0〜4.0モルとをエステル化反応させたエステルが好ましい。エステル化される割合が、2.0モル未満だと高感度化の向上効果が小さく好ましくない。
【0023】
更に、本発明では式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルとアルカリ可溶性樹脂との組み合わせによって、高解像度で高残膜率のパターンを得ることができ、かつ高感度が得られるポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0024】
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂としては、主鎖又は側鎖に水酸基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を有する樹脂であり、クレゾール型ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂等が挙げられるが、最終加熱後の耐熱性の点から一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂が好ましい。
【0025】
【化13】

【0026】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂中のXは、2〜4価の環状化合物基を表し、R1は、水酸基、O−R3で、mは0〜2の整数、これらは同一でも異なっていても良い。Yは、2〜6価の環状化合物基を表し、R2は水酸基、カルボキシル基、O−R3、COO−R3で、nは0〜4の整数、これらは同一でも異なっていても良い。ここでR3は炭素数1〜15の有機基である。但し、R1として水酸基がない場合は、R2は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。又R2としてカルボキシル基がない場合は
、R1は少なくとも1つは水酸基でなければならない。
【0027】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等
から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
【0028】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂において、Xの置換基としてのO−R3、Yの置換基としてのO−R3、COO−R3は、水酸基、カルボキシル基のアルカリ
水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基で保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。R3の例としては、ホルミル基
、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0029】
このポリアミド樹脂を約300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリイミド、又はポリベンゾオキサゾール、或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
【0030】
本発明の一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のXは、例えば、
【0031】
【化14】

【0032】
等であるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
これら中で特に好ましいものとしては、
【0034】
【化15】

【0035】
より選ばれるものであり、又2種類以上用いても良い。
【0036】
又一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のYは、例えば、
【0037】
【化16】

【0038】
等であるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【0040】
【化17】

【0041】
より選ばれるものであり、又2種類以上用いても良い。
【0042】
又本発明においては、保存性という観点から、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応させて得られた一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂を合成した後、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端のアミノ基をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。アミノ基と反応した後のアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば、
【0043】
【化18】

【0044】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【0046】
【化19】

【0047】
より選ばれるものであり、又2種類以上用いても良い。
【0048】
更に、必要によって用いる一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のZは、例えば、
【0049】
【化20】

【0050】
等であるが、これらに限定されるものではなく、又2種類以上用いても良い。
【0051】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のZは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合bは最大40モル%までである。40モル%を越えると樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができなくなる。
又、本発明で用いる感光材(B)のアルカリ可溶性樹脂(A)への配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜50重量部である。配合量が下限値未満だと樹脂のパターニング性が不良となり、逆に上限値を越えると感度が大幅に低下する。
【0052】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、必要により感光特性を高めるためにジヒドロピリジン誘導体を加えることができる。ジヒドロピリジン誘導体としては、例えば2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2′−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′,4′−ジニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等を挙げることができる。
【0053】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、フェノール化合物(C)を含有させることもでき、フェノール化合物(C)を用いることにより新たな効果が発現されることも見出された。式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルは、例えば、一般に使用されている下記の様なナフトキノンジアジドスルホン酸エステルより、分子サイズが大きい。
【0054】
【化21】

【0055】
【化22】

【0056】
そのため、現像液に対して広範囲に溶解能を制御できるが、露光部において光が当たり、化学変化した感光材の溶解性は、低分子の感光材と比べてやや悪いため、ベース樹脂との組み合わせ等によってはパターンコーナーに現像残り(スカム)を生じる場合もある。その際、低分子のフェノール化合物を添加すると、現像液に対する全体の溶解性を高めることができ、スカムが無くなり、その結果解像度が向上し、更に感度も向上する。
【0057】
フェノール化合物(C)は、フェノール性水酸基を有する2〜5核体の化合物で、又それらはベンゼン環に対して同数以上の水酸基を有するものである。これは一つのベンゼン環に対して必ずとも水酸基を1個有する必要もなく、又1つのベンゼン環に2個以上の水酸基を有しても良く、フェノール化合物内の水酸基の数がベンゼン環の数と同数以上であることが必要である。又これらフェノール化合物のベンゼン環にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基が置換されていても良い。それらの中で、特に好ましいフェノール化合物としては下記で示される。
【0058】
【化23】

【0059】
一般式(3)で示されるフェノール化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
【化24】

【0061】
【化25】

【0062】
【化26】

【0063】
【化27】

【0064】
【化28】

【0065】
【化29】

【0066】
【化30】

【0067】
フェノール化合物(C)の添加量は、一般式(2)で示されるポリアミド樹脂100重量部に対して、1〜30重量部である。フェノール化合物の添加量が上限値を越えると、現像時に著しい残膜率の低下が起こったり、冷凍保存中において析出が起こり、下限値未満では、現像時における感度が低下する。
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加することができる。
【0068】
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0069】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。膜厚が下限値未満だと、半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、上限値を越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0070】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0071】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、オキサゾール環及び/又はイミド環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。
【0072】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜、表示素子における素子の層間絶縁膜等としても有用である。その他の半導体装置の製造方法は公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
*ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成
下記に示した式(1)のフェノール化合物31.6g(0.05モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド48.4g(0.18モル:フェノ
ール化合物1モルに対して、3.6モル)とアセトン400mlを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた後、フラスコ内温を20℃以下に保ちながらトリエチルアミン22.3g(0.22モル)を滴下した。その後、5時間攪拌した後、酢酸5.4gを入れ中和した後、析出物を濾過で取り除いた。得られた溶液を純水に投入し、析出物を濾過で回収し、純水で洗浄後、室温で真空乾燥させ目的とする感光材(フェノール化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸の3.6モル反応物)(Q−1)を得た。
【0074】
*ポリアミド樹脂の合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体360.4g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
【0075】
次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2の混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド樹脂(PA−1)を得た。
【0076】
*ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(PA−1)100g、前記(Q−1)15gをγ―ブチロラ
クトン200gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
【0077】
*特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分乾燥し、膜厚約16μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、(株)ニコン製i線ステッパNSR―4425iを用いて、露光量を変化させて照射した。次に2.38%のテトラメチルアン
モニウムヒドロキシド水溶液に80秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。その結果、露光量620mJ/cm2で照射した部分よりパタ
ーンが形成されていることが確認できた。(感度は620mJ/cm2)。この時の残膜
率(現像後の膜厚/現像前の膜厚×100)は88.1%、解像度は8μmと高い値を示した。次にクリーンオーブンで酸素濃度を1000ppm以下の条件下で150℃/30分、320℃/30分硬化した。硬化後の膜厚は10.8μmであった。
【0078】
《実施例2》
実施例1における感光材(Q−1)の添加量を10gに変えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0079】
《実施例3》
実施例1における感光材(Q−1)の添加量を20gに変えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0080】
《実施例4》
*ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成
式(1)のフェノール化合物31.6g(0.05モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド53.7g(0.20モル:フェノール化合物1モルに対して、4モル)とアセトン400mlを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた後、フラスコ内温を20℃以下に保ちながらトリエチルアミン24.3g(0.24モル)を滴下した。その後、5時間攪拌した後、酢酸6.0gを入れ中和した後、析出物を濾過で取り除いた。得られた溶液を純水に投入し、析出物を濾過で回収し、純水で洗浄後、室温で真空乾燥させ目的とする感光材(フェノール化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸4モル反応物)(Q−2)を得た。次に実施例1における感光材(Q−1)を(Q−2)に変えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0081】
《実施例5》
*ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成
式(1)のフェノール化合物31.6g(0.05モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド40.3g(0.15モル:フェノール化合物1モルに対して、3モル)とアセトン400mlを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた後、フラスコ内温を20℃以下に保ちながらトリエチルアミン18.2g(0.18モル)を滴下した。その後、5時間攪拌した後、酢酸4.5gを入れ中和した後、析出物を濾過で取り除いた。得られた溶液を純水に投入し、析出物を濾過で回収し、純水で洗浄後、室温で真空乾燥させ目的とする感光材(フェノール化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸3モル反応物)(Q−3)を得た。次に実施例1における感光材(Q−1)を(Q−3)に変えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0082】
《実施例6》
実施例1におけるポリアミド樹脂の合成において、テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルの代わりに、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルを用い、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3で、a=100、b=0からなるポリアミド樹脂(PA−2)を合成した。その他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0083】
《実施例7》
実施例6におけるポリアミド樹脂の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの代わりに、3,3’―ジアミノー4,4’―ジヒドロキシフェニルスルホン1モルを用いて、式(2)で示され、Xが下記式X−2、Yが下記式Y−3で、a=100、b=0からなるポリアミド樹脂(PA−3)を合成した。その他は実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0084】
《実施例8》
4,4’―オキシジフタル酸無水物17.1g(0.055モル)と2−メチル−2−プロパノール13.0g(0.110モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール14.9g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩
反応させた。
その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.1g(0.055モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.8g(0.122モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた他は実施例1と同様に反応し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3及びY−4からなるポリアミド樹脂(PA―4)を合成した。その他は実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0085】
《実施例9》
ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン22.0g(0.06モル)をN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた後、N−メチル−2−ピロリドン80gに溶解させたトリメリット酸クロライド25.3g(0.12モル)を5℃以下に冷却しながら加える。更にピリジン11.4g(0.144モル)を加えて、20℃以下で3時間攪拌する。次に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル12.0g(0.06モル)を加えた後、室温で5時間反応させる。次に内温を85℃に昇温し、3時間攪拌する。反応終了後、濾過した濾液を、水/メタノール=5/1(容積比)に投入して沈殿を得、それを濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(2)で示され、Xが下記式X−1及びX―3、Yが下記式Y−5からなる混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド樹脂(PA−5)を得た。その他は実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0086】
《実施例10》
*ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成
実施例1で用いた式(1)のフェノール化合物31.6g(0.05モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライド48.4g(0.18モル:フェノール化合物1モルに対して、3.6モル)とアセトン4000mlを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた後、フラスコ内温を20℃以下に保ちながらトリエチルアミン22.3g(0.22モル)を滴下した。その後、5時間攪拌した後、酢酸5.4gを入れ中和した後、析出物を濾過で取り除いた。得られた溶液を純水に投入し、析出物を濾過で回収し、純水で洗浄後、室温で真空乾燥させ目的物とする感光材(フェノール化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸3.6モル反応物)(Q−4)を得た。実施例1における感光材(Q−1)を(Q−4)に変えた他は実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0087】
《実施例11》
実施例1と同様にポリアミド樹脂(PA−1)100g、前記(Q−1)15g、下記
のフェノール化合物(P―1)15gをγ―ブチロラクトン200gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。更に実施例1と同様の評価を行った。
【0088】
《実施例12》
実施例6と同様にポリアミド樹脂(PA−2)100g、前記(Q−1)15g、下記のフェノール化合物(P―1)15gをγ―ブチロラクトン200gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。更に実施例1と同様の評価を行った。
【0089】
《実施例13》
実施例11におけるフェノール化合物(P−1)を下記の(P−2)に替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0090】
《比較例1》
*ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成
下記の式(5)のフェノール化合物28.8g(0.05モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド48.4g(0.18モル:フェノール化合物1モルに対して、3.6モル)とアセトン400mlを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた後、フラスコ内温を20℃以下に保ちながらトリエチルアミン22.3g(0.22モル)を滴下した。その後、5時間攪拌した後、酢酸5.4gを入れ中和した後、析出物を濾過で取り除いた。得られた溶液を純水に投入し、析出物を濾過で回収し、純水で洗浄後、室温で真空乾燥させ目的とする感光材(フェノール化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸3.6モル反応物)(Q−5)を得た。次に実施例1における前記(Q−1)を(Q−5)に替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0091】
《比較例2》
実施例6における前記(Q−1)を(Q−5)に替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0092】
《比較例3》
*ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの合成
比較例1で用いた式(5)のフェノール化合物28.8g(0.05モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライド48.4g(0.18モル:フェノール化合物1モルに対して、3.6モル)をアセトン400mlを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れた後、フラスコ内温を20℃以下に保ちながらトリエチルアミン22.3g(0.22モル)を滴下した。その後、5時間攪拌した後、酢酸5.4gを入れ中和した後、析出物を濾過で取り除いた。得られた溶液を純水に投入し、析出物を濾過で回収し、純水で洗浄後、室温で真空乾燥させ目的とする感光材(フェノール化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸3.6モル反応物)(Q−6)を得た。次に実施例1における前記(Q−1)を(Q−6)に変えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0093】
《比較例4》
実施例11における前記(Q−1)を(Q−5)に替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0094】
《比較例5》
実施例12における前記(Q−1)を(Q−5)に替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0095】
《比較例6》
実施例13における前記(Q−1)を(Q−5)に替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0096】
【化31】

【0097】
【化32】

【0098】
【化33】

【0099】
実施例1〜10、比較例1〜3の評価結果を表1に、又実施例11〜13、比較例4〜6の評価結果を表2示す。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
《実施例14》
実施例1で使用したポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、箱形オーブンにて90℃で30分乾燥し、膜厚約50μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、キヤノン(株)製マスクアライナPLA―600Fを用いて、露光量3000mJ照射した。次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に150秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。その結果、40μmパターンが形成されていることが確認できた。この時の残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚×100)は80.4%であった。次にクリーンオーブンで酸素濃度を1000ppm以下の条件下で150℃/30分、320℃/30分硬化した。硬化後の膜厚は28.8μmであった。
【0103】
《比較例7》
比較例1で使用したポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを
用いて塗布した後、箱形オーブンにて90℃で30分乾燥し、膜厚約50μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、キヤノン(株)製マスクアライナPLA―600Fを用いて、露光量3000mJ照射した。次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でパターン開口するのに170秒も要した。同様に純水で30秒間リンスした。その結果、60μmパターンが形成されていることが確認できた。この時の残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚×100)は72.1%であった。次にクリーンオーブンで酸素濃度を1000ppm以下の条件下で150℃/30分、320℃/30分硬化した。硬化後の膜厚は25.2μmとやや低くなった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステルであることを特徴とするナフトキノンジアジドスルホン酸エステル。
【化1】

【請求項2】
ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが、式(1)で示されるフェノール化合物1モルと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライド又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド2.0〜4.0モルとのエステルである請求項1記載のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル。
【請求項3】
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル(B)1〜50重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
アルカリ可溶性樹脂(A)が、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂である請求項3記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化2】

【請求項5】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂(A)100重量部、式(1)で示されるフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル(B)1〜50重量部、フェノール化合物(C)を1〜30重量部含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
フェノール化合物(C)が、一般式(3)で示される請求項5記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化3】

【請求項7】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂におけるXが、下記構造の群より選ばれてなる請求項5又は6記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化4】

【請求項8】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂におけるYが、下記構造の群より選ばれてなる請求項5〜7のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化5】

【請求項9】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂が、アルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物によって末端封止されて
なる請求項5〜8のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項3〜9のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて製作されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項3〜9のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置の製造方法。



【公開番号】特開2009−108074(P2009−108074A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288296(P2008−288296)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【分割の表示】特願2002−246796(P2002−246796)の分割
【原出願日】平成14年8月27日(2002.8.27)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】