説明

ノズル形成方法

【課題】ノズル列全体が位置合わせされたノズルデバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】垂直壁を有する穴に接続されたテーパー部を有する流体吐出ノズルについて記載する。ノズルの列がダイ全体に渡って形成され、複数のダイが半導体基板に形成されたときでも、テーパー部と穴とが互いに位置合わせされるように、ノズルのテーパー部と垂直壁を有する穴との両方は、半導体層の片面から形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料におけるエッチング形態の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を吐出するための多重構造を有するダイは、半導体材料で形成されうる。それぞれの構造は、ノズルに通じる流体管路を含むことが出来る。アクチュエータが作動したとき、アクチュエータは、流路内の流体をノズルから外に吐出させる。ノズルの種類によっては、楕円形のまたは円形の吐出口に通じるテーパー部分を有するものもある。ダイを形成するために、ノズルの列が、ノズルプレートに部分的に形成される。そのノズルプレートは、流体管路が配置されたデバイスボディに取り付けられている。デバイス形成において、ノズルプレートは、デバイスボディとは分離して形成されてもよい。ノズルプレートがデバイスボディに取り付けられる前に、テーパー部分がノズルプレートに形成されるデバイスもある。ノズルプレートをデバイスボディに取り付けた後、円形の穴がノズルプレートに形成される。ノズルプレートにある円形のノズルは、例えば、液滴の体積、吐出方向などにおいて長方形や正方形のノズルよりも均一な吐出性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開公報第2005/0099467号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テーパー部分と円形部分が、ノズルプレートをデバイスボディに接合する前に片側からエッチングされることによって、ノズルプレートがデバイスボディに取り付けられたときの変形が原因となる、面に沿った部分間の距離の変化による位置合わせの問題が発生する。
【0005】
また、正方形のノズルは、特に正方形のノズル開口部の角近傍において、均一でないメニスカスに沿った表面張力を有する。この均一性の欠如は、不正確な吐出方向の原因となる。
【0006】
更に、円筒形の穴とテーパー部分が、互いに位置合わせされない場合は、液滴は、斜めに吐出される場合がある。
【0007】
更にまた、位置合わせが、ノズルの列全体で一貫性のない場合は、ノズルの列全体の吐出方向も一貫性がない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態として、ノズルプレートを形成する方法について述べる。その方法は、半導体層の第1の面をエッチングすることによりテーパー形状部を形成することを含む。前記半導体層は、多層基板の一部であり、エッチング停止層が前記半導体層に隣接して存在する。垂直壁形状を形成するために、前記半導体層を含む半導体基板の前記第1の面をエッチングする。前記垂直壁形状部の壁は、前記テーパー形状部の壁と交わり、前記垂直壁形状部の壁は、前記半導体層の第1の面と垂直である。
【0009】
他の実施形態として、流体吐出デバイスのノズルプレートを形成する方法について述べる。その方法は、半導体層の第1の面をエッチングすることにより垂直壁形状を形成することを含む。その垂直壁形状は、前記半導体層に隣接するエッチング停止層の方向に、エッチング停止層に達する前の途中まで垂直に延びる。保護層が、前記垂直壁形状の側壁に形成される。次に、その垂直形状は、エッチング停止層までエッチングにより拡張され、穴が形成される。穴の一部を広げるために、穴の側面が拡張される。
【0010】
次に、流体吐出デバイスについて述べる。一実施形態として、このデバイスは、下垂穴を有するシリコン体を含む。ここで、下垂穴とは、シリコン体に形成された穴のことである。ノズルプレートには、ノズルが形成されている。ノズルは、下垂穴に隣接する液入口を備える。液入口は、実質的に、互いに平行な壁を有し、テーパー部につながる。テーパー部は、液路につながり、液路は、吐出口につながる。液入口は、下垂穴と流体的に連通しているが、下垂穴とは異なった断面寸法を有する。
【0011】
ここに記載されている技術の実施形態は、以下に記載された内容の1以上を含むことが出来る。垂直壁形状の横断面は、円形か楕円形であっても良く、垂直壁形状は、エッチング停止層まで延びても良い。前記第1の面に平行な、垂直壁形状の横断面は、前記第1の面に平行な、テーパー形状の横断面より小さくても良い。テーパー形状を形成するためのエッチングを行う前に、垂直壁形状をエッチングにより形成することができ、半導体層内での垂直壁形状の位置を、テーパー形状の位置決めに使用することが出来る。垂直壁形状を形成するために半導体基板の第1の面をエッチングすることは、円又は楕円形状を有する第1の開口部を備えたマスクを形成するために半導体基板の第1の面上の酸化物又は窒化物の上側層をエッチングすることを含んでも良い。半導体層に形成された穴の壁には、酸化物又は窒化物の保護膜があっても良い。酸化物又は窒化物の保護膜は、上側の層と、半導体層に形成された穴の壁と、に形成されても良い。その穴は、第1の開口部の断面と実質的に等しい断面を備え、その後、酸化物又は窒化物の側壁と上側の層とを残し、穴の周りの半導体層を露出させるように、保護膜の一部が取り除かれても良い。半導体層の第1の面をエッチングすることは、テーパー形状を形成するために、穴の周りの露出される領域で半導体層をエッチングすることを含んでも良い。半導体層をエッチングして、穴とテーパー形状の間に酸化物の円筒形チューブを残すことが出来る。その酸化物のチューブは、取り除いても良い。テーパー形状を形成するためにエッチングすることにより、四角錐を形成することが出来る。半導体層をエッチングすることには、シリコン層をエッチングすることが含まれる。半導体層をエッチングすることには、約50ミクロン以下の厚みのシリコン層をエッチングすることが含まれてもよい。垂直壁形状は円形であって良く、穴は実質的に円筒形であって良い。穴の側面の拡張には、穴の壁に平行ではない壁を形成することを含んでも良い。穴の側面の拡張には、異方性エッチングを行うことを含んでも良い。穴の側面を拡張することは、穴の壁に平行な壁を形成するように、第1の面に対して反対側にある半導体層の第2の面からエッチングすることも含んで良い。半導体層の第1の面をエッチングすることは、シリコンをエッチングすることを含むことが出来る。液入口は、正方形の横断面を有することが出来る。下垂穴は、ノズルの液入口よりも広くても良い。液路は、円筒形であっても良い。
【0012】
ここに述べられる方法は、1以上の下記の利点を提供することが出来る。ノズルのテーパー部分と穴は、両方とも、半導体材料の層の両側からよりもむしろ片側からエッチングすることによって形成される。円筒形の穴は、それ故に、テーパー部分に位置合わせするのが容易である。ノズルプレートをデバイスボディに接合する前にテーパー部分と円形部分とを片側からエッチングする場合、ノズルプレートのデバイスボディへの取り付け時における、変形を原因とする面に沿った一つの特徴部から次の特徴部までの距離の変化による位置合わせの問題を避けることが出来る。ノズル列中のノズルが、円形の吐出口を有するならば、ノズルの吐出口が正方形に形成されたときよりも、例えば、ノズルのサイズと流体吐出能力には、一連の吐出口全体にわたってより良好な一貫性を有しうる。なぜならば、円形の吐出口を形成するエッチングは、層の結晶面に無関係な方法ですることが可能だからである。列中のノズルのサイズが均一ならば、それぞれのノズルから吐出される液滴のサイズはより均一なものとなりうる。ノズルが印字装置の一部であるとき、均一なサイズの液滴により吐出精度と画像品質の改善が可能となる。加えて、正方形のノズルは、特に正方形のノズル開口部の角近傍において均一でないメニスカスに沿った表面張力を有しうる。この均一性の欠如は、不正確な吐出方向の原因となりうる。円形の吐出口は、液滴の吐出方向をより正確により均一にすることを可能とする。特徴部のテーパー部は、円筒部と正確に位置合わせされることが可能である。位置合わせにより、液滴をノズル表面に対して垂直に吐出することを可能にする。円筒形の穴とテーパー部分が、互いに位置合わせされない場合は、液滴は、斜めに吐出されるかもしれない。更に、位置合わせが、ノズルの列全体で一貫性のない場合は、ノズルの列全体の吐出方向も一貫性がないかもしれない。そのため、よりよい位置合わせと位置合わせ品質の一貫性は、液滴の吐出方向の一貫性の向上と画像品質の改善をもたらす。
【0013】
本発明の1以上の実施例の詳細は、添付の図面と以下の記載によって説明される。本発明の他の形態、目的、利点は、特許請求の範囲、図面、明細書から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図2】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図3】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図4】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図5】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図6】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図7】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図8】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図9】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図10】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図11】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図12】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図13】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図14】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図15】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の一実施例のステップの一つを表す図である。
【図16】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図17】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図18】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図19】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図20】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図21】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図22】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図23】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図24】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図25】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図26】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図27】ノズルを形成し、それをデバイス層に接合する方法の他の実施例のステップの一つを表す図である。
【図28】デバイスボディに接着されたノズルプレートを表す図である。
【図29】デバイスボディに接着されたノズルプレートを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図面において、多くの層と形態は、プロセスのステップと結果をわかりやすく示すために誇張して記載されている。また、図面においては、同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【0016】
流体吐出デバイスのためのノズルプレートを形成することには、円筒形の穴部とテーパー部とをそれぞれ備える多くのノズルを形成することが含まれる。このような形状を備えた形態を形成することの困難な点の一つは、テーパー部を備えたノズルの円筒部を位置合わせすることである。これから、層の片側から円筒部とテーパー部分の両方をエッチングする方法について述べる。この方法は、円筒形の穴がテーパー形状の奥側とは反対側の層の面からエッチングされたときに起こる位置合わせの問題を解消することが出来る。
【0017】
図1に示すように、酸化膜上にシリコンが載ったSOIウエハ(silicon-on-oxide)10は、例えば、シリコン層40、ハンドル層20、シリコン層40とハンドル層20の間にある酸化物層30などの単結晶材料の層を有する。シリコン層40として、<100>の結晶方位を有するものを使用することが出来る。ハンドル層20は、シリコンで形成することが出来る。第2の酸化物層50は、シリコン層40のハンドル層20とは反対側の面に形成されている。第3の酸化物層(図示せず)は、ハンドル層20のシリコン層40とは反対の面に任意に形成しても良い。上記それぞれの層は、任意の膜厚を取ることが出来るが、酸化物層30と酸化物層50は、シリコン層40、ハンドル層20よりも薄い。典型的なSOIウエハ10において、酸化物層は、例えば約1ミクロン厚などのように数ミクロンより薄い厚みである。ハンドル層は、例えば約600ミクロン等のように、200ミクロンよりも大きな厚みを有することが出来る。シリコン層40は、ノズルプレートの最終的に好ましい厚みと同じ厚みを持つ。ここで、シリコン層40の厚みは約30ミクロンである。他の実施形態において、シリコン層40の厚みは約50ミクロンである。簡易化のためウエハ10の一部だけが、図において示される。即ち、単一のノズルの形成が図示されるが、大抵の場合において、複数のノズルが、ウエハ10に形成された複数のノズルプレートに形成される。
【0018】
図2に示すように、フォトレジスト層65は、シリコン層40の上にある酸化物層50上に成膜される。フォトレジスト層65は、正方形の穴73を形成するためにパターンニングされている。正方形の穴73を備えたフォトレジスト層65は、図3に示すように、酸化物層50に穴75をエッチングするためのマスクとして使用される。フォトレジスト層65は、それから、図4に示すように、ウエハ10から取り除かれる。第2のフォトレジスト層85は、エッチングされた酸化物層50の頂上に成膜される。図5から図6に示すように、第2のフォトレジスト層85には、円形の穴77がパターンニングされている。ウエハ上のターゲットへのマスクの正確なアライメントを行うためにステッパを使用することができ、そのようなステッパは例えば約15nmのアライメント精度を有しうる。図7に示すように、第2のフォトレジスト層85は、シリコン層40をエッチングするためのマスクとして使用され、その結果、円筒穴83が形成される。円筒穴83は、例えばリアクティブイオンエッチング法などを使用し、アンダーカットが生じない低周波エッチングプロセス、例えば、ボッシュプロセス(Bosch process)によって形成可能である。シリコン酸化物層30は、シリコン層40のエッチング中にエッチングストップ層としての役目を果たす。第2のフォトレジスト層85は、図8に示すようにその次に除去される。別の態様として、層30や層50において窒化珪素(Si3N4)を使用することも可能である。
【0019】
図9に示すように、窒化珪素やシリコンの酸化物層91の薄膜が、酸化物層50と穴83の側壁と、穴83の底と、に成膜される。ある実施形態においては、薄い酸化物層91は、加熱炉を使用して成長させた熱酸化物層、または、低圧CVD法(化学的気相成長法)を使用して成膜した窒化珪素である。薄い酸化物層91は、約0.5ミクロンの厚みを有することができ、酸化物層50よりも厚みを薄くすることが出来る。エッチングされた酸化物層50は、穴83の周りのシリコン層40の一部を露出した状態にしているので、酸化物層91を形成することにより、厚い酸化層によって囲まれた正方形の周囲を有する薄い厚みの酸化物の領域が形成される。
【0020】
図10に示すように、一部の酸化膜は、その次に、例えばドライエッチングなどの異方性のエッチングプロセスによってウエハの水平面から除去される。酸化膜の除去は、円筒穴の周りの厚みの薄い酸化膜の正方形の領域を取り除くまで行われ、シリコン層40が、正方形の領域として露出することを可能にする。酸化膜は、円筒穴の底からも除去される。ある実施形態においては、当初の酸化物層50の厚みが、円筒穴83の底において残ったままである。円筒穴の側壁の酸化膜は、元の状態のまま原形を保ったままである。
【0021】
図11に示すように、それから、シリコン層40上の酸化物層50における残存酸化物がマスクとして使用され、ウエットエッチングが行われる。例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や水酸化カリウム(KOH)によるエッチングなどの異方性エッチングは、結晶面<111>でストップして、円筒穴周りの酸化膜が付いていない正方形領域において傾斜した側壁101を形成する。これにより、ノズルにテーパー部分が形成される。ある実施例においては、ドライエッチングが、テーパーを形成するために使用され、必ずしも<111>の結晶面でエッチングを止める必要はない。ある実施例においては、このエッチングステップによって、シリコン層40の四角錐形状の凹部の中心に酸化物の円筒管97を残す。図12のエッチング形状の写真は、酸化物の円筒管97と傾斜した側壁101とを示す。
【0022】
図13に示すように、酸化物の円筒管97は、例えば、フッ酸エッチングや緩衝酸化物エッチングなどの酸化物ウエットエッチングによって取り除かれる。図10に示す記号97の材料として窒化珪素が使用された場合、その窒化珪素は、高温リン酸によって除去される。特徴箇所の円筒部103は、シリコン層40の底面105に実質的に垂直な壁を有し、側壁101と交わる。これらの形状がノズルを形成することが出来るので、シリコン層40は、ノズルプレートを形成することが出来る。図14に示すように、次にノズルプレートは、デバイスボディ130に接続される。デバイスボディ130は、下垂穴132を含みうる。デバイスボディ130が、エッチングされたシリコン層40と位置決めされると、下垂穴132は、ノズル形状134と位置決めされる。デバイスボディ130と、シリコン層40とは、例えば、接着剤やシリコン-シリコン接合などにより、互いに接合される。好ましいデバイスボディと接着方法は、米国特許出願公開第2005/0099467号(2005年5月12日発行)に記載されており、参照によりその開示および図面の内容が本明細書に組み入れられるものとする。ハンドル層20及びどの酸化物層や窒化物層も、例えばグラインディング、ポリッシング、研磨、ドライエッチングなどによって除去可能である。ある実施例においては、最後の酸化物層33は、図15に示すように、例えば、0.4ミクロンまたは0.5ミクロンの厚みなどで、露出した面に成膜可能である。
【0023】
ノズルを備えたノズルプレートを形成する他の実施例においては、図16に示すように、ハンドル層220と、ハンドル層220上にある酸化物層230と、酸化物層230上にあるシリコン層240と、シリコン層240上にある酸化物層250と、を備えるSOIウエハ210が提供される。このプロセスは、上述したのと同様の材料及び技術を使用することが出来る。例えば、このSOIウエハ210は、上記のSOIウエハ10と同じ層及び厚みを有することが出来る。円形の穴255は、図17と図18に示すように、酸化物層250をエッチングして形成されている。
【0024】
図19に示すように、穴255は、シリコン層240をエッチングするためのマスクとして使用される。実行されるエッチングは、一部をシリコン層240の全厚み分まで拡張される。エッチング深さは、エッチング時間の調節によって制御される。エッチング深さは、所望の穴のうち直線上の壁に囲まれる円筒形の垂直な部分の長さを定めることによって決定される。それから、酸化物層271は、残存する酸化物層250の上と、円筒穴265の側壁及び底面とに成膜される。
【0025】
図20に示すように、酸化物エッチングが、円筒穴265の底から酸化物を除去するように行われる。これにより、シリコン層240上から、酸化物の厚みのうちいくらかが取り除かれる。しかしながら、この段階では、オリジナルな酸化物層250のためにシリコン層240上に酸化物が残ったままとなる。その結果として生じた層は、酸化物層280である。図20、図21に示すように、次に、円筒穴265やシリコン層240内の筒は、例えば、穴267を形成するためのドライエッチングを実行することなどによって、酸化物層230まで拡張される。穴267の形状は、円筒管形状である。筒状の壁が正確な円筒を実質的に形成し、円筒の上部は酸化膜で覆われるが、底部は酸化膜で覆われない。
【0026】
図22に示すように、異方性エッチング又はウエットエッチングが、穴267において行われ、傾斜した壁270を有する部分を含む穴269を形成する。酸化物層280によって保護されている穴279の一部は、ウエットエッチングによっては影響を受けない。図23に示すように、酸化物層は、例えば、緩衝酸化物エッチングを実行することによって除去される。図24に示すように、シリコン層240は、酸化物層285を形成するように、きれいにされ、再酸化されることが可能である。酸化物は、これからなされるエッチングの間、そのエッチングから構造を保護する。この酸化物層は、必要に応じて、後のステップで除去可能である。
【0027】
図25に示すように、次に、シリコン層240の頂上部は、例えば直接ボンディングによって犠牲ウエハ290と接合される。犠牲ウエハ290は、シリコンで形成されてもよい。シリコン層(ハンドル層)220は、シリコン層(ハンドル層)220の背面から除去可能である。フォトレジスト292の層は、シリコン層240の背面に成膜される。フォトレジストは、穴283をパターンニングする。その穴は、正方形の穴であってもよい。その穴の端は、異方性エッチングによって形成された穴である穴259の最大径か最大幅に近似的に合わせられる。その位置合わせは、正確である必要はない。例えば、赤外線(IR)カメラにより酸化物層を透過して、シリコン層を見ることが出来る。これにより、穴283と穴259の位置合わせが可能になる。それから、穴283は、マスクとして使用され、シリコン層240は、背面からエッチングされる。穴259の内側の酸化物層294は、ウエットエッチングかドライエッチングによって除去される。図26に示すように、酸化物がドライエッチングによって除去された場合は、酸化物層294の一部分299は、除去されない。
【0028】
図27に示すように、フォトレジスト292は除去され、デバイス層130aは、シリコン層240の背面に接合される。デバイス層130aの下垂穴132は、穴261と位置合わせされる。しかしながら、下垂穴の側壁が、穴261の側壁と同一平面上にあることは重要ではない。即ち、下垂穴は、穴261よりもいくらか広くあるいは狭くあっても良い。
【0029】
図28、図29に示すように、ここで述べられた方法に従って形成されたノズルプレート350、360に取り付けられたデバイスボディ130は、例えば更なるシリコン層とアクチュエータ370を取り付けることなどによって完成する。例えば圧電型アクチュエータなどのアクチュエータ370は、ポンプ室に隣接して配置される。ポンプ室に流体がある時にアクチュエータ370を作動させることにより、流体がノズル380を介して吐出されることとなる。図に示すように、下垂穴はノズルの液入口よりも大きく幅広い。
【0030】
円筒形の吐出口につながるテーパー部分を有するノズルが、そのテーパー部分が基板の一方の面からエッチングされ、その吐出口がその反対側の面からエッチングされて形成された場合、テーパーの奥に位置決めして吐出口をエッチングすることは困難なはずである。SOIウエハが曲がることにより、又は、SOIウエハをデバイスボディに接合することによってノズルプレートにもたらされうる応力、伸び、圧縮によって、その問題は悪化しうる。マスクを適用して、局所的にそれぞれの円形の穴とテーパー状の液入口との位置合わせをすることは大変困難である。即ち、たとえSOIウエハが曲がっていたとしても、基板の一部の円形の穴とマスクとを位置合わせすることは可能かもしれないが、他の穴は、位置合わせの範囲外となりうる。理想的には、基板上の全ての穴が、それぞれのテーパー部分と位置合わせされる。同じマスクの位置決めパターンを使用してテーパー部分と円形部分の両方をエッチングすることにより、この問題を解消することが出来る。特に、一方のエッチング形状が、他方のエッチング形状を形成するための位置を作り出すことが出来る場合は、なおさらこの問題を解消できる。テーパー部分と円形の穴の部分との両者が、ノズルプレートの層の同じ側からエッチングされると、作業者は、一方のエッチング形状を形成するためのマスクが、すでに形成されたエッチング形状と位置合わせされているかどうかについて視覚的に検査することが出来る。このため、全ての形状が位置合わせされているかどうかについて心配する必要はない。また、この方法は、ノズルプレートをデバイスボディに接合する前にノズルのエッチングを完了させるので、仮にノズルプレートをエッチングすることによって欠陥が生じても、そのノズルプレートだけを廃棄すれば良く、ノズルプレートとデバイスボディの両方を廃棄する必要はない。
【0031】
本発明のいくつかの実施例について説明した。それでもなお、本発明の精神と範囲から外れない範囲で様々な変更が可能であることについては言うまでもない。例えば、円形のノズルの吐出口と円筒形の穴について説明したが、その吐出口と穴は、楕円の断面形状を有していたり、長方形や正方形の横断面の穴を有しても良い。このように、他の実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
10…ウエハ、20…ハンドル層、30…酸化物層、33…最後の酸化物層、40…シリコン層、50…酸化物層、65…フォトレジスト層、73…正方形の穴、75…穴、77…円形の穴、83…円筒穴、85…第2のフォトレジスト層、91…酸化物層、97…円筒管、101…側壁、103…円筒部、105…底面、111…結晶面、130…デバイスボディ、130a…デバイス層、132…下垂穴、134…ノズル形状、210…ウエハ、220…ハンドル層、230…酸化物層、240…シリコン層、250…酸化物層、255…穴、259…穴、261…穴、265…円筒穴、267…穴、269…穴、270…傾斜した壁、271…酸化物層、279…穴、280…酸化物層、283…穴、285…酸化物層、290…犠牲ウエハ、292…フォトレジスト、294…酸化物層、299…酸化物層294の一部分、350…ノズルプレート、370…アクチュエータ、380…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出デバイスのノズルプレートを形成する方法であって、
半導体層と、前記半導体層に隣接したエッチング停止層と、を備えた多層基板の前記半導体層の第1の面をエッチングしてテーパー形状部を形成するステップと、
前記第1の面をエッチングして、垂直壁形状部を形成するステップと、
を備え、
前記垂直壁形状部の壁は、前記テーパー形状部の壁と交差し、かつ、前記半導体層の前記第1の面の面に垂直であるノズルプレートを形成する方法。
【請求項2】
前記垂直壁形状部の横断面が、円形または楕円形のどちらかであり、
前記垂直壁形状部が、前記エッチング停止層まで延びている、
請求項1に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項3】
前記第1の面に平行な前記垂直壁形状部の横断面が、前記第1の面に平行な前記テーパー形状部の横断面よりも小さくなるようにされた、
請求項1又は2に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項4】
エッチングにより前記テーパー形状部を形成する前にエッチングで前記垂直壁形状部を形成し、
前記半導体層の前記垂直壁形状部の位置が、前記テーパー形状部の位置を合わせるために使用される、
請求項1乃至3のいずれかに記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項5】
前記半導体層の前記第1の面をエッチングすることにより垂直壁形状部を形成することが、前記半導体層の前記第1の面上の酸化物又は窒化物の上側層をエッチングすることにより円形状又は楕円形状を有する第1の開口部を備えたマスクを形成することを含む、
請求項4に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項6】
前記半導体層に形成された穴の壁に、酸化物又は窒化物の保護層を成膜するステップを更に備えた、
請求項5に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項7】
前記上側層と、前記半導体層に形成された穴の壁とに酸化物又は窒化物の保護層を成膜するステップと、
その後に、酸化物又は窒化物の側壁層と前記上側層とを残して、前記穴の周りの前記半導体層を露出させるように、前記保護層の一部を取り除くステップとを更に備え、
前記穴の横断面が、前記第1の開口部の横断面と実質的に等しい、
請求項5に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項8】
半導体層の第1の面をエッチングすることは、前記テーパー形状部を形成するように、前記穴の周りの露出される領域において前記半導体層をエッチングすることを含む、
請求項7に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項9】
前記半導体層をエッチングすることにより、前記穴と前記テーパー形状部の間に酸化物の円筒管を形成する、
請求項8に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項10】
前記酸化物の円筒管を除去するステップを更に備える、
請求項9に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項11】
前記テーパー形状部を形成するようにエッチングすることで四角錐を形成する、
請求項1乃至10のいずれかに記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項12】
前記半導体層をエッチングすることが、シリコン層をエッチングすることを含む、
請求項1乃至11のいずれかに記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項13】
前記半導体層をエッチングすることが、略50ミクロン以下の厚みを有するシリコン層をエッチングすることを含む、
請求項1乃至11のいずれかに記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項14】
流体吐出デバイスのノズルプレートを形成する方法であって、
半導体層の第1の面をエッチングすることにより、前記半導体層に隣接するエッチング停止層の方向に、エッチング停止層に達する前の途中まで垂直に延びる垂直壁形状部を形成するステップと、
前記垂直壁形状部の側壁面に保護層を成膜するステップと、
前記垂直壁形状部の底をエッチングすることにより、前記垂直壁形状部を前記エッチング停止層まで拡張して穴を形成するステップと、
前記穴の側面を拡張し、前記穴の一部を拡大するステップと、
を備えるノズルプレートを形成する方法。
【請求項15】
前記垂直壁形状部の横断面が円形であり、前記穴が実質的に円筒形である、
請求項14に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項16】
前記穴の側面を拡張することが、前記穴の壁に平行でない壁を形成することを含む、
請求項14又は15に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項17】
前記穴の側面を拡張することが、異方性エッチングを行うことを含む、
請求項14乃至16のいずれかに記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項18】
前記穴の側面を拡張することが、前記穴の壁に平行な壁を形成するように、前記第1の面の反対側にある前記半導体層の第2の面からエッチングすることも含む、
請求項17に記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項19】
前記半導体層の第1の面をエッチングすることが、シリコンをエッチングすることを含む、
請求項14乃至18のいずれかに記載のノズルプレートを形成する方法。
【請求項20】
流体吐出デバイスであって、
下垂穴が形成されたシリコンボディと、
ノズルが形成されたノズルプレートと、
を備え、
前記ノズルは、前記下垂穴に隣接した液入口を有し、
前記液入口は、互いに実質的に平行な壁を有してテーパー部に接続し、
前記テーパー部は、液路に接続し、
前記液路は、吐出口に接続し、
前記液入口は、前記下垂穴と流体的に連通するが、前記下垂穴とは横断面の寸法が異なる、
流体吐出デバイス。
【請求項21】
前記液入口が、正方形の横断面を備える、請求項20に記載の流体吐出デバイス。
【請求項22】
前記下垂穴が、前記ノズルの前記液入口よりも大きい、請求項20又は21に記載の流体吐出デバイス。
【請求項23】
前記液路が、円筒形である、請求項20乃至22のいずれかに記載の流体吐出デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−267951(P2010−267951A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289210(P2009−289210)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】