説明

バタフライ弁用弁箱およびその製造方法

【課題】成形不良が改良可能なバタフライ弁用弁箱およびその製造方法を提供する。
【解決手段】バタフライ弁用弁箱の製造方法は、取付部3bを補強する工程として、下型11および中型12で囲まれた凹所11a,12aのリング部に近い側において弁棒挿入部3aを囲むように複数の充填材21a,21b,21c,21dを配置する工程と、下型11および中型12で囲まれた凹所11a,12aのリング部から遠い側において弁棒挿入部3aを囲むようにプレ成型品を配置する工程と、充填材21a,21b,21c,21dおよびプレ成型品を囲むようにガラス繊維シート基材25を配置する工程と、充填材21a,21b,21c,21d間の隙間および充填材21a,21b,21c,21dとガラス繊維シート基材25との間の隙間にガラス繊維基材小片26を配置する工程と、上型に押さえられる部分に腕上部プリフォーム27を配置する工程とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大口径のガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大口径のバタフライ弁において、腐食などの問題が起きやすい金属製のものに代えて、繊維強化樹脂製の弁箱を使用することが知られており、このような繊維強化樹脂製弁箱(1)は、図10に示すように、シートリング(5)を装着する環状溝(2a)が内周に形成されたリング部(2)と、リング部(2)の180°変位した2箇所に一体に設けられた腕部(3)とを有しており、腕部(3)は、弁棒挿通用の軸穴(4)が形成されてここにOリング装着用の環状溝(6)が形成されている弁棒挿入部(3a)と、弁棒挿入部(3a)の外側に設けられてバタフライ弁が取り付けられる装置の形状に応じて形成される取付部(3b)とからなるものとされている(特許文献1)。
【0003】
また、繊維強化樹脂製弁箱の製造方法として、特許文献2には、樹脂を加圧注入する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−288478号公報
【特許文献2】特開昭59−140043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているバタフライ弁用弁箱の成形に際しては、腕部において、樹脂リッチによる成形不良(特に樹脂収縮によるヒケ)が発生しやすく、このような成形不良が改良可能なバタフライ弁用弁箱およびバタフライ弁用弁箱の製造方法が求められている。
【0006】
この発明の目的は、成形不良が改良可能なバタフライ弁用弁箱およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるバタフライ弁用弁箱は、シートリングを装着する環状溝が内周に形成されたリング部と、リング部の180°変位した2箇所に一体に設けられた腕部とを有し、腕部は、弁棒挿通用の軸穴が形成された弁棒挿入部と、弁棒挿入部の外側に設けられた取付部とからなるガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱であって、取付部は、リング部に近い側において弁棒挿入部を囲むように配された複数の充填材と、リング部から遠い側において弁棒挿入部を囲むように配されたプレ成型品と、充填材およびプレ成型品を囲むように配されたガラス繊維シート基材と、充填材間の隙間および充填材とガラス繊維シート基材との間の隙間に配されたガラス繊維基材小片と、成形型の上型側に位置するようにガラス繊維シート基材に重ねられた腕上部プリフォームとによって補強されていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造方法は、シートリングを装着する環状溝が内周に形成されたリング部と、リング部の180°変位した2箇所に一体に設けられた腕部とを有し、腕部は、弁棒挿通用の軸穴が形成された弁棒挿入部と、弁棒挿入部の外側に設けられた取付部とからなるガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱を、真空注入成形法によって製造する方法であって、下型および中型によって取付部を形成するための凹所を形成し、上型によって取付部の上面を形成するようにし、取付部を補強する工程は、下型および中型で囲まれた凹所のリング部に近い側において弁棒挿入部を囲むように複数の充填材を配置する工程と、下型および中型で囲まれた凹所のリング部から遠い側において弁棒挿入部を囲むようにプレ成型品を配置する工程と、充填材およびプレ成型品を囲むようにガラス繊維シート基材を配置する工程と、充填材間の隙間および充填材とガラス繊維シート基材との間の隙間にガラス繊維基材小片を配置する工程と、上型に押さえられる部分に腕上部プリフォームを配置する工程とを含んでいることを特徴とするものである。
【0009】
真空注入成形法は、公知のもので、ガラス基材を成形型にセットした後、成形型を組み立てて、硬化剤などを加えて撹拌した樹脂を成形型に注入するとともに、成形型内の空気を吸引し、成形型内に配置したガラス基材に樹脂を含浸させて常温で硬化させることで、成形品を得るものである。
【0010】
成形型は、下型、中型、上型および内型からなるものとされ、下型には、腕部の下半部の底面および周面を形成するための凹所が形成され、中型には、腕部の上半部の頂部面取部を除く周面を形成するための凹所が形成され、上型には、腕部の上半部の頂面を形成するための平坦面が形成されるとともに、頂部面取部を形成するための下方突出部が形成され、これにより、下型および中型によって取付部を形成するための凹所が形成され、上型によって取付部の上面が形成される。
【0011】
バタフライ弁用弁箱の製造における補強工程(樹脂注入前の工程)は、大きく分けて、内型に設けられた円筒状突出部に腕部の弁棒挿入部補強用のガラス基材を配置する工程と、内型の円筒状突出部を除いた外周にリング部補強用のガラス基材を配置する工程と、内型の円筒状突出部を囲むように配置された下型および中型によって形成された凹所に腕部の取付部補強用の充填材、プレ成型品およびガラス基材を配置する工程とからなり、この発明によるバタフライ弁用弁箱は、腕部の取付部補強用構成に特徴があり、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造方法は、腕部の取付部補強用の充填材、プレ成型品およびガラス基材を配置する工程に特徴を有しているものである。
【0012】
なお、腕部は、弁棒挿通用の軸穴が形成された弁棒挿入部と、弁棒挿入部の外側に設けられた取付部とからなるものとしているが、これは、その機能および製造工程に基づいて区別しているものであり、製造工程の最終段階において成形型に樹脂が注入されることにより、弁棒挿入部および取付部は、一体(リング部とも一体)に形成される。
【0013】
プリフォーム(予備成形品)は、ガラス繊維シート基材を積層して結合剤とともに圧着して所定形状としたものである。
【0014】
また、プレ成型品は、型を使用し、ハンドレイアップや真空成型法などの適宜な方法で成型されたFRP部品を意味する。プレ成型品には、金属部品取付けのタップ穴が形成され、タップ穴をプレ成型品厚み内で完結させることで、実使用時の水漏れを防ぐことができる。プレ成型品は、一体品とされる。
【0015】
充填材は、厚肉部分の中子を形成する固体部材であり、ビニルエステル樹脂および砂利、砂その他の骨材からなるレジンコンクリート、FRP、ガラス繊維強化発泡ウレタン(FFU)などが適宜使用される。充填材を使用することで、厚肉部分のヒケを防止することができる。充填材は、複数個に分割して配置される。
【0016】
ガラス繊維シート基材は、マットその他のシート状に形成されたガラス繊維シート基材をいう。また、ガラス繊維基材小片は、隙間を埋めやすくするように小さくなされた不定形のガラス繊維基材で、例えば、ロービングを短く切ったものとされ、また、シート状のものを小さくちぎったものとされることもある。
【0017】
この発明のバタフライ弁用弁箱によると、複数の充填材によって、厚肉部分のヒケが防止され、プレ成型品によって金属部品の取付けが可能となり、ガラス繊維シート基材およびガラス繊維基材小片によって、ガラス繊維不足による成形不良が防止され、腕上部プリフォームによって、成型時のガラス繊維の浮きと型間への噛みが防止されるとともに、樹脂リッチによるヒケも防止される。こうして、弁箱には、必要な強度および機能を有する取付部が形成され、かつ、この取付部は、成形不良が改良されたものとなる。
【0018】
この発明のバタフライ弁用弁箱の製造方法によると、簡素化された工程によって、上記の弁箱を得ることができ、しかも、樹脂リッチに伴う成形不良(特に樹脂収縮によるヒケ)を改良することができる。
【0019】
上記のバタフライ弁用弁箱およびその製造方法において、腕上部プリフォームは、プレ成型品を覆いかつリング部と腕部との間に設けられた腕部付け根R部にまで延びるように形成されていることが好ましい。このようにすると、樹脂収縮によるヒケが発生しやすい腕上部(成形型の上型側に当接する部分)におけるヒケが確実に防止され、成形不良がさらに改良される。
【0020】
なお、成形型に注入される樹脂としては、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノールなどを適宜使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のバタフライ弁用弁箱によると、弁箱には、必要な強度および機能を有する取付部が形成され、かつ、この取付部は、成形不良が改良されたものとなる。
【0022】
この発明のバタフライ弁用弁箱の製造方法によると、簡素化された工程によって、上記の弁箱を得ることができ、しかも、樹脂リッチに伴う成形不良を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明が対象とするバタフライ弁用弁箱の一部を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】図2は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造で使用される金型を示す垂直断面図である。
【図3】図3は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置前)を示す図1(b)のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】図4は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置前)を示す図1(a)のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置前)を示す図1(a)のV-V線に沿う断面図である。
【図6】図6は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置後)を示す図3に対応する図である。
【図7】図7は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置後)を示す図4に対応する図である。
【図8】図8は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置後)を示す図5に対応する図である。
【図9】図9は、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態(ガラス基材配置後)を示す平面図である。
【図10】図10は、この発明が対象とするバタフライ弁用弁箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下および左右は、図1(b)の上下および左右を基準にしていうものとする。
【0025】
図1(a)(b)は、この発明が対象とするガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱を示しており、バタフライ弁用弁箱(1)は、シートリング(5)を装着する環状溝が内周に形成されたリング部(2)と、リング部(2)の180°変位した2箇所に一体に設けられた腕部(3)とを有している。腕部(3)は、略直方体のブロック状とされており、弁棒挿通用の軸穴(4)が形成された円筒状の弁棒挿入部(3a)と、弁棒挿入部(3a)の外側に設けられた取付部(3b)とからなる。腕部(3)とリング部(2)との境界部には、腕部付け根R部(7)が形成されている。また、腕部(3b)の4つの角には、面取部(3c)が設けられている。
【0026】
この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造方法は、上記のガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱(1)を真空注入成形法により製造するものである。
【0027】
真空注入成形法は、ガラス基材を成形型に配置した後、成形型を組み立てて、硬化剤などを加えて撹拌した樹脂を成形型に注入するとともに、成形型内の空気を吸引し、成形型内に配置したガラス基材に樹脂を含浸させて常温で硬化させることで、成形品を得るものである。
【0028】
図2は、上記弁箱の腕部(3)を形成するための成形型を示しており、成形型は、下型(11)、中型(12)、上型(13)および内型(14)からなり、下型(11)には、腕部(3)の下半部の底面および周面を形成するための凹所(11a)が形成され、中型(12)には、腕部(3)の上半部の左右面取部(3c)を除く周面を形成するための凹所(12a)が形成されている。また、上型(13)には、腕部(3)の上半部の頂面を形成するための平坦面(13a)が形成されるとともに、上側の左右面取部(3c)を形成するための下方突出部(13b)が形成されている。下方突出部(13b)は、左右面取部(3c)に当接する部分の頂角が鈍角で、中型(12)に嵌まり合っている部分の頂角が直角(鈍角であってもよい)の断面略台形状とされており、これにより、脱型の際に破損しないように強度が確保されている。こうして、下型(11)および中型(12)によって取付部(3b)を形成するための凹所(11a)(12a)が形成され、上型(13)によって取付部(3b)の上面(上側の左右面取部(3c)を含む)が形成される。
【0029】
図3から図5までは、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態を示すもので、同図に示すように、腕部(3)の取付部(3b)は、リング部(2)に近い側において弁棒挿入部(3a)を囲むように配された充填材(21)と、リング部(2)から遠い側において弁棒挿入部(3a)を囲むように配されたプレ成型品(22)とを有している。
【0030】
充填材(21)は、厚肉部分を補強(ヒケを防止する)ためのもので、図5に示すように、弁棒挿入部(3a)を左右両側から挟むように配置された左右ブロック(21a)(21b)と、左右ブロック(21a)(21b)の上下に配置された上下ブロック(21c)(21d)とに分割されている。左右ブロック(21a)(21b)は、弁棒挿入部(3a)に対応する断面略半円形の曲面を有しており、ビニルエステル樹脂および砂を主構成要素とするレジンコンクリートとされている。上下ブロック(21c)(21d)は、FRP製の棒状体とされて、その左右に面取部が設けられている。
【0031】
プレ成型品(22)は、弁棒挿入部(3a)が挿入可能な円形の貫通孔(22a)を有する略方形板状体の一体品とされている。図示省略するが、プレ成型品(22)の4つの角にも、面取りが設けられている。プレ成型品(22)には、金属部品取付けのためのタップ穴が形成されるようになされており、このため、FRP成型品とされている。
【0032】
図6から図8までは、この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造途中の状態であって、充填材(21)およびプレ成型品(22)配置後のガラス基材による補強構造を示すもので、同図に示すように、リング部(2)は、胴回りプリフォーム(23)によって補強され、弁棒挿入部(3a)は、軸周りロービング(24)によって補強され(図8参照)、腕部(3b)は、充填材(21)の外周に配されたガラス繊維マット(ガラス繊維シート基材)(25)と、充填材(21)間などに生じた隙間に配されたガラス繊維基材小片(26)と、成形型の上型(13)側に配された腕上部プリフォーム(27)とによって補強されている。
【0033】
胴回りプリフォーム(23)および軸周りロービング(24)は、公知のガラス基材補強構造を採用して、それぞれ複数の工程によって形成される。これらは、本発明の特徴部分ではないので、その詳細な説明は省略する。胴回りプリフォーム(23)および軸周りロービング(24)による補強構造は、内型(14)を使用して行われ、次いで、下型(11)に内型(14)および中型(12)を載置し、取付部(3b)を補強した後に、上型(13)が被せられる。
【0034】
この発明によるバタフライ弁用弁箱の製造方法は、取付部(3b)を補強する工程として、下型(11)および中型(12)で囲まれた凹所(11a)(12a)のリング部(2)に近い側において弁棒挿入部(3a)を囲むように複数の充填材(21a)(21b)(21c)(21d)を配置する工程と、下型(11)および中型(12)で囲まれた凹所(11a)(12a)のリング部(2)から遠い側において弁棒挿入部(3a)を囲むようにプレ成型品(22)を配置する工程と、複数の充填材(21a)(21b)(21c)(21d)およびプレ成型品(22)を囲むようにガラス繊維マットなどのガラス繊維シート基材(25)を配置する工程と、複数の充填材(21a)(21b)(21c)(21d)間の隙間および複数の充填材(21a)(21b)(21c)(21d)とガラス繊維シート基材(25)との間の隙間にガラス繊維基材小片(26)を配置する工程と、上型(13)に押さえられる部分に腕上部プリフォーム(27)を配置する工程とを含んでいる。
【0035】
ガラス繊維マット(25)は、長方形状とされて、充填材(11)、プレ成型品(12)およびガラス繊維基材小片(26)を包むように配置されている。ガラス繊維マットに代えてガラス繊維織物とすることもできる。
【0036】
ガラス繊維基材小片(26)は、例えばロービングを短く切ったものとされ、充填材(21)同士の間にできている隙間、充填材(21)とプレ成型品(22)との間にできた隙間および充填材(21)の外周に配置されている。
【0037】
腕上部プリフォーム(27)は、図8に示すように、その下縁は、面取部を完全に覆う位置とされ、図9に示すように、その外縁は、腕部(3)の端面まで延びてプレ成型品(22)を覆う位置とされ、その内縁は、腕部付け根R部(7)を覆う位置とされている。すなわち、腕上部プリフォーム(27)は、プレ成型品(22)を覆いかつ腕部(3)とリング部(2)との境界部に設けられた腕部付け根R部(7)にまで延びるように形成されている。
【0038】
この腕上部プリフォーム(27)によると、成型時のガラス繊維の浮きと型間への噛みが防止される。ここで、腕上部プリフォーム(27)の幅が狭い場合には、腕部付け根R部(7)およびプレ成型品(22)近傍にヒケが発生しやすいが、腕上部プリフォーム(27)は、腕部付け根R部(7)およびプレ成型品(22)端部までを覆うものとされており、これにより、腕部(3)の上部におけるヒケが確実に防止される。
【符号の説明】
【0039】
(1) バタフライ弁用弁箱
(2) リング部
(2a) 環状溝
(3) 腕部
(3a) 弁棒挿入部
(3b) 取付部
(4) 弁棒挿通用軸穴
(5) シートリング
(7) 腕部付け根R部
(11) 下型
(12) 中型
(13) 上型
(21) 充填材
(22) プレ成型品
(25) ガラス繊維シート基材
(26) ガラス繊維基材小片
(27) 腕上部プリフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートリングを装着する環状溝が内周に形成されたリング部と、リング部の180°変位した2箇所に一体に設けられた腕部とを有し、腕部は、弁棒挿通用の軸穴が形成された弁棒挿入部と、弁棒挿入部の外側に設けられた取付部とからなるガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱であって、
取付部は、リング部に近い側において弁棒挿入部を囲むように配された複数の充填材と、リング部から遠い側において弁棒挿入部を囲むように配されたプレ成型品と、充填材およびプレ成型品を囲むように配されたガラス繊維シート基材と、充填材間の隙間および充填材とガラス繊維シート基材との間の隙間に配されたガラス繊維基材小片と、成形型の上型側に位置するようにガラス繊維シート基材に重ねられた腕上部プリフォームとによって補強されていることを特徴とするバタフライ弁用弁箱。
【請求項2】
腕上部プリフォームは、プレ成型品を覆いかつリング部と腕部との間に設けられた腕部付け根R部にまで延びるように形成されていることを特徴とする請求項1のバタフライ弁用弁箱。
【請求項3】
シートリングを装着する環状溝が内周に形成されたリング部と、リング部の180°変位した2箇所に一体に設けられた腕部とを有し、腕部は、弁棒挿通用の軸穴が形成された弁棒挿入部と、弁棒挿入部の外側に設けられた取付部とからなるガラス繊維強化樹脂製バタフライ弁用弁箱を、真空注入成形法によって製造する方法であって、
下型および中型によって取付部を形成するための凹所を形成し、上型によって取付部の上面を形成するようにし、取付部を補強する工程は、下型および中型で囲まれた凹所のリング部に近い側において弁棒挿入部を囲むように複数の充填材を配置する工程と、下型および中型で囲まれた凹所のリング部から遠い側において弁棒挿入部を囲むようにプレ成型品を配置する工程と、充填材およびプレ成型品を囲むようにガラス繊維シート基材を配置する工程と、充填材間の隙間および充填材とガラス繊維シート基材との間の隙間にガラス繊維基材小片を配置する工程と、上型に押さえられる部分に腕上部プリフォームを配置する工程とを含んでいることを特徴とするバタフライ弁用弁箱の製造方法。
【請求項4】
腕上部プリフォームは、プレ成型品を覆いかつリング部と腕部との間に設けられた腕部付け根R部にまで延びるように形成されていることを特徴とする請求項3のバタフライ弁用弁箱の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−82884(P2012−82884A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228335(P2010−228335)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】