説明

バッファ回路およびそれを用いた半導体装置、出力回路および電子機器

【課題】高速信号を確実に伝送可能なバッファ回路を提供する。
【解決手段】電流源312は、定電流Icを生成する。第1トランジスタM1は、その一端が電流源312と接続され、その制御端子に入力信号SINが入力される。反転回路314は、入力信号SINを反転および遅延させ、反転入力信号SIN#を生成する。第2トランジスタM2は、その一端が電流源312と接続され、その制御端子に反転入力信号SIN#が入力される。バッファ回路310は、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2の、電流源312と共通に接続された一端に生ずる信号SOUTを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソースフォロア回路やエミッタフォロア回路に代表されるバッファ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、テレビ、DVD(Digital Versatile Disc)プレイヤ、ブルーレイレコーダ、AVアンプをはじめとするデジタル家電の間で、データ信号、映像信号や音声信号を高速に伝送するために、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格、DVI(Digital Visual Interface)規格、Display Port規格、PCIe(PCI Express)規格、USB(Universal Serial Bus)規格をはじめとする高速シリアルインタフェースが利用されている。あるいは電子回路間で高速にデータ伝送するために、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)規格やRSDS(Reduced Swing Differential Signaling)規格が提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−308091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような高速シリアルインタフェースでは、送信回路側に信号を高速伝送するための出力回路が設けられる。高速シリアルインタフェースで伝送されるデータのレートは年々上昇の一途をたどっており、近年では数Gbps以上のデータを送信する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、高速信号を確実に伝送可能なバッファ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様はバッファ回路に関する。このバッファ回路は、定電流を生成する電流源と、その一端が電流源と接続され、その制御端子に入力信号が入力される第1トランジスタと、入力信号を反転および遅延させ、反転入力信号を生成する反転回路と、その一端が電流源と接続され、その制御端子に反転入力信号が入力される第2トランジスタと、を備える。バッファ回路は、第1トランジスタおよび第2トランジスタの、電流源と共通に接続された一端に生ずる信号を出力する。
【0007】
この態様では、入力信号がローレベルからハイレベルに遷移した直後は、第1、第2トランジスタがともにオフとなり、定電流に比例した速度で出力信号を変化する。その後、第2トランジスタがオンすることにより、出力信号の信号レベルが過剰に変化するのを防止できる。その結果、高速信号の伝送が可能となる。なお、「バッファ回路」とは、インピーダンス変換機能および/またはレベル変換機能などを有する回路を意味する。
【0008】
第2トランジスタの能力は第1トランジスタのそれより低くてもよい。
【0009】
入力信号に対する反転入力信号の遅延量は、入力信号の半周期の20〜80%の範囲であってもよい。
【0010】
第1、第2トランジスタはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。
【0011】
第1トランジスタの利得係数βと第2トランジスタの利得係数βの比β:βは、4:1〜8:1の範囲であってもよい。第1トランジスタの利得係数βと第2トランジスタの利得係数βの比β:βは、5:1〜6:1の範囲であってもよい。
【0012】
第1、第2トランジスタはバイポーラトランジスタであってもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、出力回路である。この出力回路は、上述のいずれかの態様のバッファ回路と、その制御端子に、第1、第2トランジスタの一端に生ずる信号が入力される出力トランジスタと、出力トランジスタに接続された負荷回路と、を備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、差動出力回路である。この差動出力回路は、上述の出力回路を2つ備える。この態様によると、高速差動信号を伝送できる。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、上述いずれかの態様のバッファ回路、出力回路もしくは差動出力回路を備える。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のある態様の出力回路によれば高速信号を確実に伝送できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係るバッファ回路およびそれを用いた出力回路の構成を示す回路図である。
【図2】図2(a)、(b)は、従来のソースフォロア回路の動作を示す図である。
【図3】図1の出力回路の動作波形図である。
【図4】図1のバッファ回路を利用した差動出力回路を示す回路図である。
【図5】図1のバッファ回路および図4の差動出力回路を用いた電子機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0021】
図1は、実施の形態に係るバッファ回路およびそれを用いた出力回路の構成を示す回路図である。出力回路300は、バッファ回路310および出力トランジスタM3、出力抵抗R1を備える。
【0022】
バッファ回路310は、いわゆるソースフォロア回路を改良した回路であり、その入力端子PINに入力信号SINを受け、出力端子POUTから出力信号SOUTを出力する。バッファ回路310は、電流源312、反転回路314、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2を備える。電流源312は、定電流Icを生成する。第1トランジスタM1は、PチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、定電流Icの経路上に設けられ、その制御端子(ゲート)に入力信号SINが入力される。
【0023】
反転回路314は、入力信号SINを反転および遅延させ、反転入力信号SIN#を生成する。#は論理反転を示す。第2トランジスタM2は、第1トランジスタM1と同型のPチャンネルMOSFETであり、第1トランジスタM1と並列に設けられている。第2トランジスタM2の制御端子(ゲート)には、反転入力端子SIN#が入力される。
【0024】
入力信号SINに対する反転入力信号SIN#の遅延量τは、入力信号SINの半周期の20〜80%の範囲とすることが好ましい。たとえば3Gbpsの信号(周波数1.5GHz)を伝送する場合、半周期は333psとなり、遅延量τは200psに設計される。
【0025】
第1トランジスタM1および第2トランジスタM2それぞれのソースは、電流源312および出力端子POUTに共通に接続されている。第1トランジスタM1および第2トランジスタM2の接続点に発生する信号が、出力端子POUTから出力される。
【0026】
第2トランジスタM2の能力は、第1トランジスタM1の能力より低くてもよい。トランジスタ(MOSFET)の能力とは、利得係数β(もしくはW/L)を意味する。
β=μ・COX・W/L
μ:キャリアの移動度
OX:単位面積当たりのゲート酸化膜容量
W:ゲート幅
L:ゲート長
【0027】
たとえば第1トランジスタM1の利得係数βと第2トランジスタM2の利得係数βの比β:βは、4:1〜8:1の範囲、より好ましくは5:1〜6:1程度であってもよい。
【0028】
出力トランジスタM3はNチャンネルMOSFETであり、その制御端子(ゲート)にはバッファ回路310の出力信号SOUTが入力される。出力トランジスタM3の一端(ドレイン)には、負荷回路として出力抵抗R1が接続される。
【0029】
出力回路300は、出力トランジスタM3と出力抵抗R1の接続点の電位を、出力信号SOUT’として出力する。
【0030】
以上がバッファ回路310およびそれを用いた出力回路300の構成である。続いてその動作を説明するが、その前に一旦、説明の簡易化、理解の容易化のため、第2トランジスタM2および反転回路314が省略されたシンプルな従来のソースフォロア回路の動作を説明する。図2(a)、(b)は、従来のソースフォロア回路の動作を示す。図2(a)は低速な入力信号SINに対する動作波形を示す。時刻t0以前、入力信号SINはローレベルであり、第1トランジスタM1がオンしている。このとき出力信号SOUTの電圧レベルは、第1トランジスタM1のドレインソース間電圧Vdsと等しい。
【0031】
入力信号SINがローレベルからハイレベルに遷移すると、第1トランジスタM1がオンからオフにスイッチする。その結果、電流源312が生成する定電流Icは、主として第1トランジスタM1ではなく、出力トランジスタM3のゲート容量に流れ込み、出力信号SOUTのレベルが上昇し、それに応じて出力トランジスタM3のオンの程度が強くなり、出力信号SOUT’のレベルが遷移する。このように入力信号SINが低速な場合、従来のソースフォロア回路によって伝送することができる。
【0032】
図2(b)は、高速な入力信号SINに対する動作波形を示す。時刻t0に入力信号SINがローレベルからハイレベルに遷移し、出力信号SOUTのレベルが上昇する。ところが入力信号SINが高速であると、出力信号SOUTのレベルが本来達すべき値VHに達する前に、入力信号SINのレベルがローレベルに遷移してしまう。その結果、アイパターンの開口率が低下し、入力信号SINを伝送することができない。
【0033】
この問題を解決するには、出力信号SOUTのスイング量(振幅)ΔVが小さくなるように回路を設計すればよい。つまり入力信号SINがハイレベルのときの出力信号SOUTのレベルを低く、入力信号SOUTがローレベルのときの出力信号SOUTのレベルVLを高くすればよい。
【0034】
ソースフォロア回路において、第1トランジスタM1は飽和領域(活性領域)で動作する。したがって以下の式が成り立つ。
Ids=Ic=β/2×(Vs−Vg−V …(1)
【0035】
式(1)を変形すると式(2)を得る。
Vs=Vg+V+√(2・Ic/β) …(2)
【0036】
入力信号SINがローレベルのときVg=0、入力信号SINがハイレベルのときVg=Vgとする。そうすると、最高電圧VHと最低電圧VLとして、式(3)、(4)を得る。
VH=Vg+V+√(2・Ic/β) …(3)
VL=V+√(2・Ic/β) …(4)
【0037】
もし定電流Icを小さくすれば、入力信号SINがハイレベルのときの出力信号SOUTのレベルVHを低くできるが、それと同時に、入力信号SINがローレベルのときの出力信号SOUTのレベルVLも低くなってしまい、振幅はそれほど小さくならない。また定電流Icが小さいと、出力トランジスタM3のゲート容量を充電する速度(スルーレート)が低下するため、伝送速度の改善は見込まれない。
【0038】
反対に定電流Icを大きくすれば、入力信号SINがハイレベルのときに、出力トランジスタM3のゲート容量を充電する速度(スルーレート)が高まるが、それとともに出力信号SOUTのピーク値VHが高くなるため、結果として速度の改善は見込まれない。
【0039】
つまり、従来のソースフォロア回路では、高速信号を伝送することは難しい。続いて図1の出力回路300の動作を説明する。図3は、図1の出力回路300の動作波形図である。なお、図3の波形図において、M1およびM2の「オン」とはローレベルを出力しようとする状態、「オフ」とはハイレベルを出力しようとする状態を便宜的に表している。各時刻におけるトランジスタの導通状態(言い換えればオン抵抗)は、ゲートソース間電圧、すなわち出力電圧SOUTの電圧レベルに応じて変化している。
【0040】
図1の出力回路300において、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2が飽和領域(活性領域)で動作するとき、以下の関係式(5)〜(7)が成り立つ。
Ids=β/2×(Vs−Vg−V …(5)
Ids=β/2×(Vs−Vg−V …(6)
Ic=Ids+Ids …(7)
【0041】
時刻t0以前の期間T、第1トランジスタM1が強くオン、第2トランジスタM2がオフしている。このとき定電流Icは第1トランジスタM1にほとんど流れるため、Ids≒Icと近似できる。そうすると、式(8)を得る。
Vs=Vg+V+√(2・Ic/β) …(8)
このソース電圧Vsは、出力信号SOUTの最低電圧VLであり、Vg=0のとき、
VL=V+√(2・Ic/β) …(9)
となる。この最低電圧VLは、式(4)とほぼ等しい。
【0042】
時刻t0に入力信号SINがローレベルからハイレベルに遷移し、それから遅延時間τ経過後の時刻t1に反転入力信号SIN#がローレベルに遷移する。時刻t0〜t1の期間Tにおいては、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2はオフであるから、出力信号SOUTのレベルは、定電流Icに比例した速度で上昇する。
【0043】
時刻t1に、SIN#がローレベルに遷移すると、第2トランジスタM2がオンとなるようにバイアスされる。その結果、定電流Icの一部が第2トランジスタM2に流れることになるため、出力信号SOUTの上昇する速度は低下する。時刻t1からt2までの期間Tにおいて、Vg=Vg、Vg=0とすると、式(10)〜(12)を得る。
Ids=β/2×(Vs−Vg−V …(10)
Ids=β/2×(Vs−V …(11)
Ic=Ids+Ids …(12)
【0044】
期間Tの最高電圧VHは、
VH=Vg+V+√(2・Ids/β
=Vg+V+√(2・(Ic−Ids)/β) …(13)
で与えられる。
【0045】
式(13)を、第2トランジスタM2および反転回路314が省略された従来のソースフォロア回路に関する式(3)と比較すると、第2トランジスタM2に流れる電流Idsに応じた分、最高電圧VHが低くなることがわかる。
【0046】
つまり、図1のバッファ回路310によれば、出力信号SOUTの振幅を小さくすることができ、高速な信号伝送が可能となる。
【0047】
時刻t2から遅延時間τ経過後の時刻t3に、反転入力信号SIN#がハイレベルに遷移する。時刻t2〜t3の期間Tにおいて、第1トランジスタM1と第2トランジスタM2はともにオンとなるようにバイアスされる。このとき第1トランジスタM1と第2トランジスタM2は、合成利得係数β=β+βを有する単一のトランジスタとみなすことができ、出力信号SOUTのレベルは、2つのトランジスタの合成利得係数β=β+βで定まる速いスルーレートで低下する。
【0048】
時刻t3以降の期間Tは、上述した期間Tと同様である。
【0049】
このように、実施の形態に係る出力回路300によれば、期間Tにおいて第2トランジスタM2に電流が流れることにより、最高電圧VHのレベルが従来のソースフォロア回路に比べて低くなり、出力信号SOUTの振幅が小さくなるため、入力信号SINが高速であっても、確実にスイングさせることができ、信号伝送のエラーを低減できる。
【0050】
また期間Tにおいて、2つのトランジスタM1、M2の合成利得係数β=β+βに応じた速いスルーレートで、出力信号SOUTのレベルを遷移させることができる。
【0051】
以上がバッファ回路310および出力回路300の動作および利点である。
【0052】
続いてバッファ回路310の好適なアプリケーションを説明する。図1では、シングルエンドの信号伝送を例に説明したが、本発明は差動信号の伝送に好適に利用できる。図4は、図1のバッファ回路310を利用した差動出力回路300aを示す回路図である。
【0053】
差動出力回路300aは、2つの出力回路300p、300nを備え、入力端子INP、INNに入力された信号SIN_P、SIN_Nを増幅し、出力端子OUTP、OUTNから出力する。出力回路300p、300nの構成は図1の出力回路300と同様であり、それぞれの出力トランジスタM3のソースは、テイル電流源302と接続されている。図1では回路310をバッファ回路と称していたが、図4においてバッファ回路310は、バッファとして機能するとともに、レベルシフタとしても機能している。
【0054】
図4の差動出力回路300aによれば、高速な差動信号SIN_P、SIN_Nを伝送することができる。
【0055】
図5は、図1のバッファ回路および図4の差動出力回路を用いたディスプレイ装置(電子機器)1の構成を示すブロック図である。ディスプレイ装置1は、信号処理回路2、DSP(Digital Signal Processor)4、ディスプレイドライバ6、ディスプレイパネル8を備える。
【0056】
信号処理回路2は、外部機器とのインタフェース機能を提供するユニットであり、HDMIやDVIをはじめとするインタフェースを介して画像データを受ける。信号処理回路2は、複数チャンネルA〜Eの画像データのうち、ユーザの指示に応じたひとつを選択し、DSP4に送信する。DSP4は、画像データにさまざまな信号処理を施し、ディスプレイドライバ6に出力する。ディスプレイドライバ6は、DSP4からの画像データにもとづいてディスプレイパネル8を駆動する。
【0057】
信号処理回路2は、マルチプレクサ100、シリアルパラレル変換器10、信号処理部12、差動変換回路14、パラレルシリアル変換器200、送信部16を備え、ひとつの半導体チップに集積化される。
【0058】
マルチプレクサ100は、複数チャンネルの画像データのうち、制御信号sel[4:0]に応じたひとつを選択する。シリアルパラレル変換器10は、マルチプレクサ100によって選択された画像データをシリアル/パラレル変換する。信号処理部12は、シリアルパラレル変換器10の出力信号に対して、所定の信号処理を施す。信号処理の内容は限定されないが、I/P(インタレース/プログレッシブ)変換、解像度変換などが例示される。差動変換回路14は、信号処理部12により処理を受けた信号を差動信号に変換する。パラレルシリアル変換器200は、差動変換部から出力される差動信号をパラレル/シリアル変換する。
【0059】
送信部16は、パラレルシリアル変換器200の出力信号を差動形式にて送信する。図4の差動出力回路300aは、送信部16として好適に利用できる。
【0060】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセス、それらの組み合わせには、さまざまな変形例が存在しうる。以下、こうした変形例について説明する。
【0061】
図1では、PチャンネルMOSFETを用いたバッファ回路310を説明したが、NチャンネルMOSFETを用いてもよい。この場合、電源端子と接地端子を天地反転すればよい。
【0062】
また、図1のバッファ回路310のトランジスタM1、M2を、PNP型バイポーラトランジスタに置換してもよい。この場合、上述の説明において、ゲートをベース、ソースをエミッタ、ドレインをコレクタと読み替えればよい。あるいはトランジスタM1、M2をNPN型のバイポーラトランジスタに置換し、天地反転してもよい。バイポーラトランジスタを用いる場合、利得係数βは、電流増幅率βもしくはエミッタ面積と読み替えればよい。
【0063】
図1では、バッファ回路310の後段に出力トランジスタM3を設ける構成を説明したが、バッファ回路310を単独で利用してもよいことは言うまでもない。またトランジスタM3に接続される負荷回路は抵抗R1には限定されず、トランジスタや電流源であってもよい。
【0064】
図5ではバッファ回路310および差動出力回路300aを、ディスプレイ装置1利用する場合を説明したが、その用途はさまざまである。たとえばLVDS、RSDS、HDMI、DisplayPort、PCIe、USBなどの高速シリアルインタフェースを搭載した、テレビ、カメラ、OA機器などさまざまな電子機器に利用することができる。
【0065】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0066】
M1…第1トランジスタ、R1…出力抵抗、M2…第2トランジスタ、M3…出力トランジスタ、300…出力回路、310…バッファ回路、312…電流源、314…反転回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流を生成する電流源と、
その一端が前記電流源と接続され、その制御端子に入力信号が入力される第1トランジスタと、
前記入力信号を反転および遅延させ、反転入力信号を生成する反転回路と、
その一端が前記電流源と接続され、その制御端子に前記反転入力信号が入力される第2トランジスタと、
を備え、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの、前記電流源と共通に接続された一端に生ずる信号を出力することを特徴とするバッファ回路。
【請求項2】
前記第2トランジスタの能力は前記第1トランジスタのそれより低いことを特徴とする請求項1に記載のバッファ回路。
【請求項3】
前記入力信号に対する前記反転入力信号の遅延量は、前記入力信号の半周期の20〜80%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のバッファ回路。
【請求項4】
前記第1、第2トランジスタはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバッファ回路。
【請求項5】
前記第1トランジスタの利得係数βと前記第2トランジスタの利得係数βの比β:βは、4:1〜8:1の範囲であることを特徴とする請求項4に記載のバッファ回路。
【請求項6】
前記第1トランジスタの利得係数βと前記第2トランジスタの利得係数βの比β:βは、5:1〜6:1の範囲であることを特徴とする請求項4に記載のバッファ回路。
【請求項7】
前記第1、第2トランジスタはバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバッファ回路。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のバッファ回路を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のバッファ回路と、
その制御端子に、前記第1、第2トランジスタの前記一端に生ずる信号が入力される出力トランジスタと、
前記出力トランジスタに接続された負荷回路と、
を備えることを特徴とする出力回路。
【請求項10】
請求項9に記載の出力回路を2つ備えることを特徴とする差動形式の出力回路。
【請求項11】
請求項10に記載の差動出力回路を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228849(P2011−228849A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95148(P2010−95148)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】