説明

バルブ装置

【課題】弁座面が形成された弁座を2つの流路構成部材の間に挟み込む構成を、少ない部品点数で実現したバルブ装置を提供すること。
【解決手段】バルブ装置1は、流体流路23が形成された第1流路構成部材20と、流体流出路41が形成された第2流路構成部材40と、第1流路構成部材20と第2流路構成部材40との間に挟まれ、流体流路23と流体流出路41を連通させるオリフィス61が形成されている弁座60を備える。弁座60の外周面には1つのOリング70が配置されており、このOリング70は、第1流路構成部材20、第2流路構成部材40および弁座60に圧縮させられた状態で当接して、第1流体流路23、オリフィス61および第2流体流路23を流通する流体が漏れないようにシールしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流通口を備える弁座が、流体流路を構成している第1流路構成部材と第2流路構成部材の間に挟み込まれている構成を備えるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるバルブ装置は、特許文献1に記載されている。同文献では、流体流通口を備える弁座(弁室形成部材)が、流体流路を構成するモータベース(第1流路構成部材)とブロック(第2流路構成部材)の間に挟みこまれている。モータベースと弁室形成部材の間、および、ブロックと弁室形成部材の間には、それぞれOリングが挿入されており、流体流路を流通する流体の漏洩を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−97622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弁座を2つの流路構成部材で挟む構成を備えるバルブ装置では、弁座および2つの流路構成部材に加えて、流体の漏洩を防止するためにOリングなどのシール部材が2つ必要となる。
【0005】
ここで、流路構成部材のうちの1つと弁座を一体化することができれば、バルブ装置部品点数を抑制することができる。しかし、小型のバルブ装置においては、流体流通口を確実に開閉するために、弁座に微小な流体流通口を精度よく設ける必要がある。このため、流路構成部材を内部に流体流路を形成することが容易な樹脂から成形する場合でも、弁座だけは高精度の加工が可能な金属から形成することが行われており、流路構成部材と弁座を必ずしも一体化しておくことはできない。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、従来よりも少ない部品点数で、流体流通口を備える弁座を、流体流路を構成する2つの流路構成部材の間に挟み込む構成を実現するバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のバルブ装置は、
第1流体流路が形成されている第1流路構成部材と、
第2流体流路が形成されている第2流路構成部材と、
前記第1流路構成部材と前記第2流路構成部材との間に挟まれており、前記第1流体流路と前記第2流体流路を連通させる流体流通口を備える弁座と、
前記第1流体流路の側から前記流体流通口を開閉する弁体と、
前記第1流路構成部材、前記第2流路構成部材、および、前記弁座に対して圧縮した状態で当接して、前記第1流体流路、前記流体流通口および前記第2流体流路を流通する流体が漏れないようにシールしている弾性体からなる環状の1つのシール部材を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、1つのシール部材を、第1流路構成部材、第2流路構成部材、および、弁座に対して圧縮させた状態で当接させて、流体が漏れないようにシールしている。従って、複数のシール部材を用いた場合よりも少ない部品点数で、流体流通口を備える弁座を、流体流路を構成する2つの流路構成部材の間に挟み込む構成を実現できる。また、1つのシール部材で流体が漏れないようにシールしているので、複数のシール部材を用いてシールする場合と比較して、シール部材を配置するためのスペースを削減することができる。よって、バルブ装置の小型化を図ることができる。
【0009】
本発明において、前記シール部材は、前記第1流路構成部材、前記第2流路構成部材、および、前記弁座のうちの2つの部材に対して当該シール部材を径方向で圧縮した状態で当接するとともに、前記第1流路構成部材、前記第2流路構成部材、および、前記弁座のうちの2つの部材に対して当該シール部材を径方向と直交する方向で圧縮した状態で当接し、前記シール部材に対して前記径方向で当接している2つの部材の組み合わせと、前記シール部材に対して前記径方向と直交する方向で当接している2つの部材の組み合わせとが異なっていることが望ましい。このようにすれば、シール部材と各部材との当接面積を増加させ、シール部材と各部材とを確実に密着させることができる。よって、シール部材が1つであっても、流体の漏れを確実に防止できる。
【0010】
この場合において、前記第2流路構成部材は、前記第2流体流路の開口が露出している前記弁座の側の端面に当該前記第2流体流路の開口を包囲する環状の凹部を備えており、前記弁座は、前記流体流通口を包囲する外周縁に前記第2流路構成部材の側に突出する環状壁を備えており、前記第1流路構成部材は、前記第1流体流路の開口が露出している前記弁座の側の端面に当該前記第1流体流路の開口を包囲する環状の突部を備えており、前記凹部には、前記シール部材、前記環状壁および前記突部が挿入されており、前記シール部材は、前記凹部において内側を向いている内周面部分と前記環状壁の外壁面との間で径方向に圧縮させられているとともに、前記凹部の底面と前記突部の先端面との間で径方向と直交する方向に圧縮させられていることが望ましい。このようにすれば、1つのシール部材を第1流路構成部材、第2流路構成部材、および、弁座に圧縮させられた状態で当接させることが容易となる。
【0011】
この場合において、前記第1流路構成部材の前記凹部において外側を向いている内周面部分と、前記弁座の前記環状壁の内壁面とは当接しており、前記弁座の環状壁の外壁面と前記第2流路構成部材の前記突部の内側を向いている外周面部分とは当接していることが望ましい。このようにすれば、第1流路構成部材の凹部と弁座の環状壁との当接によって、第1流路構成部材に対して弁座を位置決めすることができる。また、弁座の環状壁と第2流路構成部材の突部の当接によって弁座に対して第2流路構成部材が位置決めすることができる。この結果、第1流路構成部材に対して第2流路構成部材を位置決めすることができるので、第1流体流路、第2流体流路、および、流体流通口を同軸上に配置することが容易となる。
【0012】
本発明において、前記シール部材は、ゴム製であり、前記環状壁と前記凹部の底面との間には隙間が設けられており、前記突部の先端面の径方向の両側部分には面取りが施されていることが望ましい。ゴム製のシール部材は圧縮によって体積が変化しないので、このような隙間を設け、圧縮により変形したシール部材の変形部分を逃せばシール性を維持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つのシール部材を、第1流路構成部材、第2流路構成部材、および、弁座に圧縮させられた状態で当接させて、流体が漏れないようにシールしている。従って、複数のシール部材を用いた場合よりも少ない部品点数で、流体流通口を備える弁座を、流体流路を構成する2つの流路構成部材の間に挟み込む構成を実現できる。また、1つのシール部材で流体が漏れないようにシールしているので、複数のシール部材を用いてシールする場合と比較して、シール部材を配置するためのスペースを削減することができる。よって、バルブ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用したバルブ装置の外観斜視図である。
【図2】本発明を適用したバルブ装置の分解斜視図である。
【図3】本発明を適用したバルブ装置の縦断面図である。
【図4】第1流路構成部材の斜視図、側面図、および縦断面図である。
【図5】第2流路構成部材を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図6】弁座を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図7】補強部材を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図8】第1流路構成部材、弁座および第2流路構成部材の連結部分を拡大して示す部分断面図である。
【図9】弁体の縦断面図、並びに、弁体の上端部分および下端部分の部分断面図である。
【図10】弁体が弁座面から離れている状態のバルブ装置の縦断面図である。
【図11】弁体が弁座面に衝突した場合を説明するための説明図である。
【図12】第1流路構成部材、弁座および第2流路構成部材の連結部分の別の例を示す部分断面図である。
【図13】Oリングに替えて別のシール部材を用いたバルブ装置の部分断面図である。
【図14】別のシール部材を用いたバルブ装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
(全体構成)
図1は本発明を適用したバルブ装置の外観斜視図である。なお、以下の説明では、便宜上、バルブ装置の上下を図の上下に従って説明する。バルブ装置1は、円柱形状の胴部2と、軸線方向Lを胴部2から下方に同軸上に延びている流入管3と、軸線方向Lを胴部2から上方に同軸上に延びている流出管4を備えている。流入管3は胴部2よりも小径であり、その下端面には液体や気体などの流体が流入する流入口3aが形成されている。流出管4は胴部2よりも小径であり、その上端面には流体が流出する流出口4aが形成されている。胴部2の下端部分には一対の端子ピン5、6が径方向外側に向けて突出するように取り付けられた端子台7が設けられている。バルブ装置1は、下端の流入口3aと上端の流出口4aの間に構成されているバルブ装置内流路8を通過する流体の流れを制御する。
【0017】
図2はバルブ装置1の分解斜視図である。図3(a)はバルブ装置1の縦断面図であり、図3(b)は図3(a)と直交する平面で切断したバルブ装置1の縦断面図である。バルブ装置1は、胴部2の外壁を構成している磁性材料からなる円筒形状のケース10を有している。ケース10は、その内側に、流入管3、端子ピン5、6および端子台7を備える流入側流路構成部材(第1流路構成部材)20と、流出管4を備える流出側流路構成部材(第2流路構成部材)40を保持している。ケース10の下端開口11からは流入管3が突出しており、ケース10の上端開口12からは流出管4が突出している。ケース10の下端部分には切欠部13が形成されており、切欠部13からは端子台7が軸線方向Lと直交する方向に突出している。
【0018】
流入側流路構成部材20は、流入管3および端子台7を備える底部21と、この底部21から円筒状に延びる胴部22を備えている。胴部22の内側は流体流路(第1流体流路)23となっており、底部21には、図3に示すように、流入管3を貫通して流入口3aと流体流路23とを連通させる流体流入路24が形成されている。胴部22の外周面には第1〜第4駆動コイル25〜28が軸線方向Lに並んで巻き回されている。ここで、ケース10は、第1〜第4駆動コイル25〜28の外周側を覆うヨークとしても機能している。
【0019】
胴部22の内側、すなわち、流体流路23には、軸線方向Lに移動可能な状態で弁体50が挿入されている。弁体50は、軸線方向Lに配列された第1〜第3永久磁石51〜53を搭載している。
【0020】
流出側流路構成部材40は、流入側流路構成部材20の上端に同軸上に取り付けられている。流出側流路構成部材40には、流出管4を貫通して延びる流体流出路(第2流体流路)41が形成されている。
【0021】
流入側流路構成部材20と流出側流路構成部材40との間には、これら2つの部材の間に挟まれた状態で弁座60が固定されている。弁座60には、流体流路23と流体流出路41を連通させるオリフィス61と、弁体50がオリフィス61を閉じる際に、その当接面となる弁座面62が形成されている。
【0022】
弁座60の外周側にはOリング(シール部材)70が配置されている。Oリング70は流入側流路構成部材20、流出側流路構成部材40および弁座60の全てに当接しており、流入口3aから流体流入路24に流入し、流体流路23、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置内流路8を流通する流体が漏れないようにシールしている。Oリング70は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)からなる。
【0023】
流入側流路構成部材20の胴部22の上端の内側部分には、円環状の補強部材80が配置されている。流入側流路構成部材20の胴部22の上端部分の外側には、半円弧形状をした一対の磁性板90が、軸線方向Lと直交する径方向の外側から嵌め込まれている。
【0024】
第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を流すことにより、弁体50は、軸線方向Lを上下方向に直動移動する。弁体50が弁座面62に当接してオリフィス61を閉状態とすると、流入口3aから流出口4aへの流体の流れは停止する。弁体50が弁座面62から離れてオリフィス61を開放状態とすると、流入口3aから流出口4aへ流体が流れる。図3に示す状態では、弁体50は弁座面62に当接してオリフィス61を閉状態とする閉位置50Aにある。
【0025】
(流入側流路構成部材)
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ流入側流路構成部材20の斜視図、側面図、および縦断面図である。流入側流路構成部材20は、樹脂製であり、有機溶剤に強く、強度があるPPS(ポリフェニレンスルファイド)で形成されている。流入側流路構成部材20の胴部22は、胴部22の上端において外周側に拡径して上方に突出する円環状のフランジ部29と、胴部22の外周面に設けられている第1〜第4円環状突部30〜33を備えている。第4円環状突部33の下側には底部21が連続しており、底部21には、第1〜第4駆動コイル25〜28のコイル線の端末部分を接続するための端子ピン5、6を固定している端子台7が設けられている。底部21の下側部分は胴部22よりも小径となっており、この下端部分は流入管3となっている。
【0026】
フランジ部29の上端部分の内側には、円環状段部291が設けられている。円環状段部291は、フランジ部29の上端面29aに胴部22の内径よりも大きな内径を備える円形凹部を胴部22と同軸上に設けることによって形成されている。図8に示すように、円環状段部291には、補強部材80が嵌め込まれる。フランジ部29の外周側には内側に窪む円環状凹部292が形成されている。この円環状凹部292には、図2に示すように、一対の磁性板90が径方向の外側から嵌め込まれる。
【0027】
フランジ部29の上端面29aには、上方の突出する円環状突部293が設けられている。図4(a)、(c)に示すように、円環状突部293の先端面293aの径方向の内側の縁部分および外側の縁部分には、面取りによるテーパー面293b、293cが形成されている。円環状突部293は後述する流出側流路構成部材40の円環状凹部44に挿入される。
【0028】
第1〜第4円環状突部30〜33は、上端に位置する第1円環状突部30とフランジ部29の間、および、各円環状突部30〜33の間が等間隔となるように設けられている。第4円環状突部33の下側には、第4円環状突部33と連続するように端子台7が一体に設けられている。ここで、胴部22はコイルボビンとして機能しており、フランジ部29と第1円環状突部30の間の区画、第1円環状突部30と第2円環状突部31の間の区画、第2円環状突部31と第3円環状突部32の間の区画、および、第3円環状突部32と第4円環状突部33の間の区画は、それぞれコイル線が巻回される第1〜第4コイル巻回部34〜37として利用される。すなわち、図3に示すように、これら第1〜第4コイル巻回部34〜37にコイル線が巻き回させることによって、胴部22の外周面には第1〜第4駆動コイル25〜28が構成されている。第1〜第4駆動コイル25〜28は軸線方向Lで同じ幅に形成されているとともに、軸線方向Lで隣接する第1〜第4駆動コイル25〜28同士でコイル線の巻き回し方向が逆となっている。また、第1〜第4駆動コイル25〜28は、2本の端子ピン5、6に対して電気的に直列に接続されている。
【0029】
第1〜第3円環状突部30〜32には、これら第1〜第3円環状突部30〜32を挟んで上下に隔てられている第1〜第4コイル巻回部34〜37を連通させる第1〜第3溝部301、311、321がそれぞれ形成されている。第1〜第3溝部301、311、321は、第1〜第3円環状突部30〜32のそれぞれにおいて180°離れた角度位置に2つ設けられている。また、一体に形成された第4円環状突部33と端子台7には、第3円環状突部32と第4円環状突部33の間の第4コイル巻回部35から軸線方向Lに延びて端子台7の中央部分を通過する第4溝部331が形成されている。また、端子台7の下端部分には、第4溝部331のよりも幅の広い第5溝部332が、第4溝部331と連続するように形成されている。
【0030】
第1〜第4駆動コイル25〜28を連続して形成する際には、一方の端子ピン5に端末部分を接続したコイル線を、第5溝部332および第4溝部331を介して第4コイル巻回部37の側に引き出し、第4コイル巻回部37に巻き回して第4駆動コイル28を形成する。次に、第3溝部321を介してコイル線を隣の第3コイル巻回部36に引き出して、第3駆動コイル25を形成する。その後、同様にして、第2コイル巻回部35と第1コイル巻回部34に、第2駆動コイル26と第1駆動コイル25をこの順番で形成する。しかる後に、コイル線の端末部分を第1溝部301、第2溝部311、第3溝部321、第4溝部331および第5溝部332を通過するように引き回して他方の端子ピン6に接続する。
【0031】
ここで、端子台7において端子ピン5、6が突出している端面7aは、第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を供給するためのフレキシブルプリント基板などの給電基板(図示省略)と端子ピン5、6とを電気的に接続する際に、この給電基板を載せる基板載置面となっているが、本例では、コイル線の端末部分が、この端面7aよりも低い第4溝部331および第5溝部332を通過して端子ピン5、6の近傍まで引き回されているので、端子台7と給電基板との間にコイル線の端末部分を挟みこんで断線することを防止あるいは低減できる。また、コイル線の端末部分が端子台7の中央部分に形成された第4溝部331および端子台7の下端部分に形成された第5溝部332を介して端子ピン5、6に接続されているので、端子台7を外側に露出させるためにケース10に形成されている切欠部13の縁に第1〜第4駆動コイル25〜28の端末部分が接触して、断線することを回避できる。
【0032】
底部21において、胴部22の内側に露出している円環状端面21aには、図4(c)に示すように、周方向の一部分から流体流路23内に向って突出するストッパ211が設けられている。ストッパ211は、胴部22の内側に挿入された弁体50が、移動範囲の下側の端に達したときに弁体50に流体流入路24の側から当接して、弁体50の移動範囲の下側の端(上流端)を規定する。
【0033】
(流出側流路構成部材)
図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ流出側流路構成部材40を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図、および縦断面図である。流出側流路構成部材40は、PPSなどの樹脂製であり、円柱部42と、この円柱部42の下端に形成された円盤部43を備えている。円柱部42は流出管4を構成している部分であり、図5(c)に示すように、流体流出路41は、円柱部42および円盤部43と同軸状態でこれらを貫通している。円盤部43の下面には上方に窪む円環状凹部44が形成されている。円環状凹部44は流体流出路41と同軸上に形成されており、その径方向の断面形状は矩形である。
【0034】
円環状凹部44より内側の内側下端面部分43aの中央には流体流出路41の下端開口(流体流通口)41aが露出している。下端開口41aは流出口4aよりも大径となっており、流体流出路41には、下端開口41aの側から軸線方向Lに沿って、下端開口41aから遠ざかるに連れて、すなわち、流出口4a側に向けて内径が減少している第1流路部分411と、この第1流路部分411よりも小径の第2流路部分412が形成されている。第2流路部分412の内径は流出口4aの内径と同一となっている。第2流路部分412は、円柱部42を貫通して円盤部43の軸線方向の中程まで達している。第1流路部分411の内周面は、内側下端面部分43aから上方に向って内側に傾斜するテーパー面となっており、第2流路部分412の内周面に連続している。ここで、内側下端面部分43aは、円環状凹部44より外側の外側下端面部分43bよりも僅かに上方に位置している。
【0035】
(弁座)
図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ弁座60を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図、および縦断面図である。弁座60は、非磁性であり、かつ、防錆性の強いステンレス鋼、チタン、アルミニウムなどの金属板をプレス成形することにより形成されている。弁座60は、台座部63と、台座部63の中心部分から下方に突出する突出部64を有している。台座部63は、突出部64の上端から軸線方向Lと直交する方向に広がる一定厚さの円盤状の端板部65と、端板部65の外周縁から立ち上がる円環状壁66を備えている。突出部64は、下端側から、円筒形状部641と、この円筒形状部641に連続する円錐台形状部642を備えており、円錐台形状部642は端板部65に繋がっている。円錐台形状部642は円筒形状部641の側から端板部65の側に近づくに連れてその肉厚が厚くなっている。
【0036】
オリフィス61は、台座部63および突出部64を同軸上に貫通して延びている。突出部64の先端には、オリフィス61の下端開口(先端開口)61aが露出しており、この下端開口61aを取り囲んで平坦な弁座面62が形成されている。オリフィス61には、下端開口61aの側から軸線方向Lに沿って、下端開口61aと同一径で延びる第1オリフィス部分611と、第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612と、第2オリフィス部分612よりも大径の第3オリフィス部分613が形成されている。第2オリフィス部分612は、第1オリフィス部分611から遠ざかるに連れて内径が増加しており、円錐状となっている。
【0037】
端板部65の上端面65aには、第2オリフィス部分612より大きな内径の一定深さの円形凹部67が形成されており、この円形凹部67が第3オリフィス部分613となっている。より具体的には、円形凹部67の内周面によって第3オリフィス部分613の内周面が規定されており、円形凹部67の上端開口によってオリフィス61の上端開口(後端開口)61bが規定されている。円形凹部67の中心部分には、第2オリフィス部分612が開口している。また、円形凹部67が形成されることにより、円形凹部67が形成されている部分における端板部65の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっている。すなわち、端板部65における突出部64の形成部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄くなっている。
【0038】
ここで、弁座60は、円形の金属板を絞り加工することにより、円環状壁66、円形凹部67、突出部64、および、第2オリフィス部分612を形成する。また、突出部64、および、第2オリフィス部分612が形成された後に、穴抜き加工を行い、第1オリフィス部分611を形成する。その後、突出部64の先端面に研磨、研削、バレル、化学研磨などの後加工を施し、弁座面62の面精度を向上させる。
【0039】
(補強部材)
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ補強部材80を上方から見た斜視図、上方から見た斜視図側面図、図7(a)のA−A線における縦断面図、および図7(a)のB−B線における縦断面図である。補強部材80は樹脂製であり、PPSから形成されている。補強部材80は、円環状板部81と、円環状板部81の外周縁から下方に延びる円環状壁82を備えている。円環状板部81の下面の周方向の一部分には下方に突出する突部83が設けられている。本例では、2つの突部83が周方向において互いに180度離れた位置に形成されており、各突部83の外周縁は円環状壁82の内周面に連続している。突部83は、弁体50に当接して弁体50の移動範囲の弁座60の側の端を規定するストッパとなるものである。なお、突部83が円環状壁82に連続するように形成されていることにより、円環状壁82の強度の向上が図られている。
【0040】
円環状板部81の内周面は、下面の側から、下端部分が外側に拡径するテーパー面となっている拡径部分81aと、内径が一定の一定径部分81bを備えている。補強部材80の外径寸法および高さ寸法は、流入側流路構成部材20の円環状段部291に嵌合する寸法となっている。
【0041】
なお、補強部材80は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウムなどの金属から形成することもできる。
【0042】
(流入側流路構成部材、流出側流路構成部材および弁座の連結)
図8は、流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の連結部分を拡大して示す部分断面図である。流入側流路構成部材20、流出側流路構成部材40および弁座60を連結して、流入口3aから流出口4aに至るバルブ装置内流路8を形成する際には、まず、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に弁座60の円環状壁66を挿入して、弁座60の端板部65を流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに当接させた状態とする。
【0043】
ここで、流出側流路構成部材40の円環状凹部44の内周面のうち外側を向いている内周面部分44aは位置決め面として機能しており、この内周面部分44aに弁座60の円環状壁66の内側面66aを当接させながら円環状壁66を円環状凹部44に挿入することによって、弁座60と流出側流路構成部材40が同軸上に配置される。この結果、流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに露出している下端開口41aと、弁座60の端板部65の上端面65aに露出しているオリフィス61の上端開口61bが重ねられ、流出側流路構成部材40に形成されている流体流出路41と弁座60に形成されているオリフィス61が同軸上に配置されて連通した状態となる。
【0044】
この結果、オリフィス61の先端開口61aから流出口4aまでの間は、先端開口61aと同一径で延びる第1オリフィス部分611、第1オリフィス部分611の上端から連続して上方に向かって径が拡大している第2オリフィス部分612、第2オリフィス部分612よりも大きな径を備え、同一径で延びる第3オリフィス部分613、第3オリフィス部分613の上端から連続して上方に向って径が縮小している第1流路部分411、および、第1流路部分411の上端から連続して流出口4aと同一径で延びる第2流路部分412により接続される。また、オリフィス61の第3オリフィス部分613と流体流出路41の第1流路部分411によって、オリフィス61の先端開口61aから流出口4aに至る流路の途中に、他の部分よりも径の大きな流路部分が形成される。
【0045】
なお、弁座60の円環状壁66の高さ寸法は、円環状凹部44の高さ寸法よりも短く設定されており、弁座60の端板部65が流出側流路構成部材40の内側下端面部分43a部分に当接させた状態となるまで円環状壁66を円環状凹部44に挿入した状態において、円環状壁66の上端面66bと円環状凹部44の底面44bとの間には隙間が形成されている。
【0046】
次に、弁座60の円環状壁66の外周面66cと、円環状凹部44の内周面のうち内側を向いている内周面部分44cの間にOリング70を配置する。Oリング70は、弁座60と流出側流路構成部材40に当接するとともに、これらの間で径方向に圧縮された状態で配置される。
【0047】
ここで、流入側流路構成部材20の円環状段部291に補強部材80を嵌め込む。補強部材80が流入側流路構成部材20の内側に取り付けられると、補強部材80の上端面80aと、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aとが同一平面上に位置した状態となる。
【0048】
しかる後に、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に流入側流路構成部材20の円環状突部293を挿入して、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aの外周縁部分を、流出側流路構成部材40の外側下端面部分43bに当接させた状態とする。
【0049】
ここで、既に流出側流路構成部材40の円環状凹部44に挿入されている弁座60の円環状壁66の外周面66cは位置決め面として機能しており、この外周面66cに円環状突部293の外周面のうち内側を向いている内周面部分293dを当接させながら円環状突部293を円環状凹部44に挿入することによって、流入側流路構成部材20が、弁座60および流出側流路構成部材40と同軸上に配置される。また、補強部材80が弁座60および流出側流路構成部材40と同軸上に配置され、補強部材80の上端面80aが、弁座60の端板部65に当接した状態となる。これにより、流入側流路構成部材20に形成されている流体流入路24および流体流路23は、弁座60に形成されているオリフィス61および流出側流路構成部材40に形成されている流体流出路41と同軸上に配置され、流入口3aから、流体流入路24、流体流路23、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置1内のバルブ装置内流路8が構成される。
【0050】
また、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に流入側流路構成部材20の円環状突部293が挿入されることによって、Oリング70は、流入側流路構成部材20と流出側流路構成部材40との間で軸線方向Lに圧縮された状態となる。すなわち、流入側流路構成部材20の円環状突部293の高さ寸法は、円環状凹部44の高さ寸法よりも短く設定されており、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aの外周縁部分を、流出側流路構成部材40の外側下端面部分43bに当接させた状態となるまで円環状壁66を円環状凹部44に挿入すると、Oリング70は流入側流路構成部材20の円環状凹部44の底面44bと、流出側流路構成部材40の円環状突部293の先端面293aの間に挟まれて、弾性変形した状態となる。
【0051】
なお、ゴム製のOリング70は圧縮によって体積が変化しないので、円環状凹部44には圧縮により変形したOリング70の変形部分を逃がすスペースが必要となるが、このようなスペースは、円環状壁66の上端面66bと円環状凹部44の底面44bとの間の隙間として確保されている。また、円環状突部293の先端面293aの径方向の両側部分にはテーパー面293b、293cが形成されているので、テーパー面293bと弁座60の円環状壁66の外周面66cとの間の隙間、および、テーパー面293cと円環状凹部44の内側を向いている内周面部分44cとの間の隙間として確保されている。
【0052】
ここで、Oリング70が配置されている空間、すなわち、流出側流路構成部材40の円環状凹部44、弁座60の円環状壁66、および、流入側流路構成部材20の円環状突部293によって形成されているOリング配置用の空間の断面積は、Oリング70の断面積とほぼ同一としておくことが好ましい。
【0053】
(弁体)
図9(a)は弁体50の縦断面図であり、図9(b)は弁体50の上端部分を拡大して示す部分断面図であり、図9(c)は弁体50の下端部分を拡大して示す部分断面図である。弁体50は非磁性材料の樹脂あるいは金属から形成された筒状のホルダ54を有している。ホルダ54の上端部には、内側に直角に折り曲げられた上端折り曲げ部541が形成されており、上端折り曲げ部541の中央には上端開口542が設けられている。ホルダ54の下端部には、内側に直角に折り曲げられた下端折り曲げ部543が形成されており、下端折り曲げ部543の中央には下端開口544が設けられている。
【0054】
ホルダ54には、上端折り曲げ部541の側から、軸線方向Lに圧縮された状態の弾性部材55、上側蓋部材56、円柱形状の第1〜第3永久磁石51〜53、下側蓋部材57が収納されている。また、第1永久磁石51の上端、第3永久磁石53の下端、および、隣り合う第1〜第3永久磁石51〜53の間には、円板状の磁性板58a〜58dが配置されている。上側蓋部材56、第1〜第3永久磁石51〜53、下側蓋部材57、磁性板58a〜58dは、弾性部材55の弾性復帰力によって、下端折り曲げ部543の側に押し付けられて固定されている。
【0055】
弾性部材55はゴム製であり、本例では、EPDMからなる。図9(b)に示すように、弾性部材55は、大径円盤部551と、大径円盤部551から上方に同軸上に突出している上側小径円盤部552と、大径円盤部551から下方に同軸上に突出している下側小径円盤部553と、下側小径円盤部553から下方に同軸上に突出する突出部554を備えている。下側小径円盤部553は上側小径円盤部552よりも大径であり、突出部554の外面は、弾性部材55の軸線を中心として外周側へ向って上に湾曲する凸曲面となっている。大径円盤部551はホルダ54の上端折り曲げ部541に当接して上端開口542をシールしており、上側小径円盤部552は、上端開口542を介してホルダ54の外側に突出している。上側小径円盤部552の外周面と上端開口542の内周縁との間には隙間が設けられており、上側小径円盤部552と、上端折り曲げ部541とは非接触の状態となっている。
【0056】
上側蓋部材56は、外径寸法がホルダ54の内径寸法と対応する寸法に設定されている大径部561と、この大径部561よりも小径で、大径部561から下方に同軸上に突出している小径部562を備えている。大径部561の外周面561aはホルダ54の内周面54aに当接している。大径部561の上端面の外周縁は切り欠かれており、これにより円環状のテーパー面561bが形成されている。大径部561の中央部分には凹部561cが設けられており、凹部561cの底面の中央部分には、中心が下方に窪む凹曲面561dが形成されている。
【0057】
ここで、弾性部材55は、下側小径円盤部553および突出部554が上側蓋部材56の凹部561cおよび凹曲面561dに嵌り込んでいる。図9に示す状態では、弾性部材55は、大径円盤部551が上端折り曲げ部541と上側蓋部材56との間で圧縮されており、弾性部材55の大径円盤部551の外周縁は、大径部561のテーパー面561bの上方まで達している。なお、テーパー面561bが形成されることによって上側蓋部材56とホルダ54の内周面54aとの間に設けられた空間は、圧縮によって弾性変形した大径円盤部551の一部分が移動する空間となっている。
【0058】
上側蓋部材56の大径部561と小径部562の境界部分に構成された円環状段部563には、上側Oリング59aが配置されている。上側Oリング59aは、小径部562の外周側に配置されており、図9に示す状態では、軸線方向Lと直交する方向に圧縮された状態で小径部562の外周面562aおよびホルダ54の内周面54aに当接している。上側Oリング59aは、軸線方向Lと直交する周方向でシール性を発揮している。
【0059】
次に、第1〜第3永久磁石51〜53は、図9(a)に示すように、隣り合う永久磁石同士が互いに同極を相手方の永久磁石の方に向けている。より詳細には、上端の第1永久磁石51は上がN極、下がS極となるように配置されており、その下方に隣接配置されている第2永久磁石52は上がS極、下がN極となるように配置されており、さらにその下方に配置されている第3永久磁石53は上がN極、下がS極となるように配置されている。この結果、弁体50では、特に同極を同士を対向して配置している磁性板58c〜58dが位置する個所では磁束が集中している。
【0060】
下側蓋部材57は、図9(c)に示すように、外径寸法がホルダ54の内径寸法と対応する寸法に設定された大径部571と、この大径部571よりも小径で、大径部571から上方に同軸上に突出している小径部572を備えている。大径部571の外周面571aはホルダ54の内周面54aに当接している。大径部571の下端面571bの中央部分には凹部571cが設けられている。この凹部571cの底面は、中央が上方に窪む凹曲面571dとなっている。
【0061】
下側蓋部材57の大径部571と小径部572の境界部分に構成された円環状段部573には、下側Oリング59bが配置されている。下側Oリング59bは、小径部572の外周側に配置されており、図9に示す状態では、軸線方向Lと直交する方向に圧縮された状態で小径部572の外周面572aおよびホルダ54の内周面54aに当接している。下側Oリング59bは、軸線方向Lと直交する周方向でシール性を発揮している。
【0062】
(バルブ装置の動作)
次に、図3および図10を参照してバルブ装置1の動作を説明する。図10(a)はバルブ装置1の縦断面図であり、図10(b)は図10(a)と直交する平面で切断したバルブ装置1の縦断面図である。図10(a)の縦断面図は図3(a)の縦断面図と対応しており、図10(b)の縦断面図は図3(b)の縦断面図と対応している。図10は、弁体50が弁座面62から離れている状態のバルブ装置1を示している。
【0063】
図3に示す状態は、第1〜第4駆動コイル25〜28は励磁されておらず、弁体50は、弁体50の永久磁石51〜53と、一対の磁性板90の磁気的な吸引力F1によって、閉位置50Aに保持されている状態である。すなわち、弁体50の弾性部材55が弁座面62に当接してオリフィス61の下端開口61aを塞いでおり、これにより、流入口3aから流出口4aへ至るバルブ装置内流路8は閉じられている。
【0064】
ここで、弁体50は、弁座面62よりも流入口3aの側、すなわち、流体の流通方向の上流側に位置しているので、流入口3aからバルブ装置1へ流れ込む流体の流体圧(背圧)が弁体50を閉位置50Aに向かって移動させる方向に力F2を働かせている。
【0065】
また、閉位置50Aは、補強部材80の突部83によって規定される弁体50の移動範囲の上側の端よりも下方に設定されており、図3(b)に示すように、閉位置50Aにおいてオリフィス61の下端開口61aを塞いでいる弁体50と、補強部材80の突部83とは隙間を開けて対向しており、当接していない。従って、閉位置50Aにおいて弁体50が弁座面62に当接することにより形成されているオリフィス61の下端開口61aの閉状態が、弁体50が補強部材80に当接することによって損なわれてしまうことがない。
【0066】
次に、バルブ装置内流路8を開放する際には、第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を流して、各駆動コイル25〜28に所定の極性とする。これにより、第1〜第4駆動コイル25〜28を流れる電流の向きと、永久磁石51〜53による磁束の軸線方向Lと直交する垂直成分の向きが直交する。この結果、図10に示すように、永久磁石51〜53の磁束と第1〜第4駆動コイル25〜28との間に働くローレンツ力が、弁体50を閉位置50Aから下方へと移動させる力F3として働く。
【0067】
ここで、第1〜第4駆動コイル25〜28への電流供給開始時点では、図3に示すように、弁体50の磁性板58a〜58dは、対応する第1〜第4駆動コイル25〜28の軸線方向Lの中央に位置しており、永久磁石51〜53の磁束のうち軸線方向Lと直交する垂直成分が第1〜第4駆動コイル25〜28と鎖交する磁界を効率よく形成しているので、力F3として大きな推力が発生する。従って、弁体50は、一対の磁性板90との間の磁気的な吸引力F1、および、流入口3aらバルブ装置1内へ流れ込む流体の流体圧に起因する力F2に抗して、下方に移動する。この結果、図10に示すように、弁体50は、弁座面62から離れて下端開口61aを開放状態とする開位置50Bに至る。
【0068】
弁体50が開位置50Bに移動すると、弁体50は弁座面62から流体の流通方向の上流側に離れる。開位置50Bでは、弁体50は、磁性板58a〜58dが、それぞれ対応する第1〜第4駆動コイル25〜28の下側部分に位置した状態となる。また、弁体50は、ホルダ54の下端折り曲げ部543が流入側流路構成部材20のストッパ211に当接した状態となり、流入口3aから流体流入路24、流体流路23、オリフィス61、流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置1の内部のバルブ装置内流路8は開放状態となる。この結果、流入口3aから流体流入路24を介して流入した流体は、流体流路23において弁体50の外周面と胴部22の内周面との間を流れ、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aから流出する。
【0069】
ここで、弁体50が開位置50Bに移動すると、図10(b)に示すように、流体流入路24の上端開口241と、弁体50の下側蓋部材57の凹部571cとが狭い間隔をあけて対向した状態となる。従って、流体流入路24の側の流体圧が想定以上に上昇すると、凹部571cによって圧力損失が生じ、弁体50が流体流出路41の側に移動して弁座面62に当接し、オリフィス61の下端開口61aを閉じる。
【0070】
次に、バルブ装置内流路8を閉状態に戻す際には、弁体50を閉位置50Aから開位置50Bへ移動させる場合とは逆方向の電流を第1〜第4駆動コイル25〜28へ供給する。これにより、弁体50は、第1〜第3永久磁石51〜53と第1〜第4駆動コイル25〜28との間に発生するF3とは反対方向のローレンツ力(不図示)、弁体50と一対の磁性板90との間の磁気的な吸引力F1および流入口3aからバルブ装置1へ流れ込む流体の流体圧に起因する力F2によって上方に移動して、閉位置50Aに至る。この結果、弁体50が流体流出路41の側に移動して、弁座面62に当接し、オリフィス61の下端開口61aを閉じる。
【0071】
なお、バルブ装置内流路8を閉状態に戻す際には、第1〜第4駆動コイル25〜28への電流の供給を停止してもよい。第1〜第4駆動コイル25〜28への電流の供給を停止した場合には、弁体50の永久磁石51〜53と、一対の磁性板90の磁気的な吸引力F1、および、流入口3aらバルブ装置1内へ流れ込む流体の流体圧(背圧)に起因する力F2により、弁体50は閉位置50Aに移動する。
【0072】
(弁体が弁座面に衝突した場合)
ここで、バルブ装置1に衝撃が加わることにより弁体50が弁座面62に衝突した場合、あるいは、流体流入路24の側の流体圧が想定以上に上昇して弁体50が弁座面62に衝突した場合には、弁体50と補強部材80の突部83とが当接して、弁体50の軸線方向Lの移動を移動範囲の上側の端で停止させる。図11は弁体が弁座面に衝突した場合を説明するための説明図である。
【0073】
すなわち、弁体50が弁座面62に衝突すると、図11(a)に示すように、弁体50の弾性部材55が著しく変形して、弁体50は全体として図11(b)に示す閉位置50Aよりも上方に移動する。これに対して、本例では、弁体50の移動範囲の上側の端が閉位置50Aよりも僅かに上方に設定してあり、弁体50がこの移動範囲の上側の端に到達すると、補強部材80の突部83と弁体50のホルダの上側折り曲げ部541とが当接して、それよりも上方に移動しようとする弁体50の移動を阻止する。この結果、弁体50が弁座面62に衝突したときの弾性部材55の変形を弾性ひずみ内に抑えることができるので、弾性部材55の破損を回避できる。
【0074】
また、弾性部材55が著しく変形した場合には、弾性部材55が弁座60の突出部64の円錐台形状部642に当接するので、弾性部材55が突出部64に深く食い込んでしまうことが回避される。
【0075】
(作用効果)
本例によれば、1つのOリング70を、第1流路構成部材20、第2流路構成部材40、および、弁座60に圧縮させられた状態で当接させて、流体が漏れないようにシールしている。従って、従来と比較して少ない部品点数により、弁座60を2つの流路構成部材20、40の間に挟み込む構成を実現することができる。また、1つのOリング70で流体が漏れないようにシールしているので、複数のOリング70を用いてシールする場合と比較して、Oリング70を配置するためのスペースを削減することができる。よって、バルブ装置1の小型化を図ることができる。
【0076】
また、本例によれば、Oリング70は、弁座60および第2流路構成部材40に、径方向で圧縮させられた状態で当接するとともに、第1流路構成部材20および第2流路構成部材40に軸線方向Lで圧縮させられた状態で当接しているので、Oリング70と各部材との当接面積を増加させて、Oリング70と各部材とを確実に密着させることができる。よって、Oリング70が1つであっても、流体の漏れを確実に防止できる。
【0077】
次に、本例によれば、弁座60に形成されているオリフィス61は、オリフィス61の下端開口61aと同一径の第1オリフィス部分611と、この第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612を備えている。また、第2オリフィス部分612は、第1オリフィス部分611から遠ざかるに連れて内径が増加している。従って、オリフィス61が、先端開口61aと同一の一定の内径で形成されている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0078】
また、オリフィス61において、下端開口61aに連続する第1オリフィス部分611は下端開口61aと同一径で延びているので、弁座60に対してオリフィス61の先端部分を形成する加工が容易である。この結果、突出部64の先端における下端開口61aの位置および内径を精度よく形成できるので、弁体50が弁座面62に当接したときに、弁体50による下端開口61aのシール性が向上する。
【0079】
さらに、弁座面62は、突出部64は先端の小径の円筒形状部641に設けられているので、弁体50と弁座面62の当接面積が小さい。従って、弁体50による単位面積当たりの閉止圧力を高めることができ、シール性を向上させることができる。また、弁体50の弾性部材55の粘着性に拘わらず、弁体50を弁座面62から離すことができる。
【0080】
ここで、本例のバルブ装置1のように、弁座60に対して弁体50が流体の流通方向の上流側に位置するように配置されている場合には、流体の圧力(背圧)と受圧面積(弁座61と弁体50との当接面積)との積が弁体50の推力よりも小さくないと弁体50を移動させることが困難となり、オリフィス61を開放状態とすることができなくなる。流路が開かなくなってしまう。また、受圧面積が変動してしまうと、弁体50によるオリフィス61の開閉が不安定なものとなる。これに対して、突出部64はオリフィス61の先端開口61aの側に円筒形状部641を備えているので、オリフィス61を閉じる際に、弾性部材55からなる弁体50の当接部分が流体の圧力を受けて弾性変形の範囲で突出部64の先端に食い込んでも、弁座61と弁体50との当接面積が増加しない。よって、弁体50によるオリフィス61の開閉が安定し、弁体50が移動できなくなることもない。
【0081】
また、突出部64は先端の小径の円筒形状部641に連続して円錐台形状部642を備えているので、衝撃などによって弁体50の弾性部材55が突出部64に想定以上に食い込むような場合には、弾性部材55が食い込むほどに、円錐台形状部642によって弾性部材55が広い面で力を受ける。従って、弾性部材55の損傷を防ぐことができる。
【0082】
さらに、本例によれば、弁座60は金属製であり、プレス加工により成形されているので、微細なオリフィス61を形成する際に、その内径寸法などの精度を向上させることができる。また、弁座60が金属製であれば、後加工によって突出部64の先端面、すなわち弁座面62の面精度を向上させることができるので、弁体50によるシール性を向上させることができる。
【0083】
また、本例によれば、端板部65において突出部64が突出する側とは反対側に円形凹部67が形成されているので、流出側流路構成部材40と弁座60とを連結する際に位置ずれが発生した場合でも、流体流出路41とオリフィス61の連通状態を確保できる。また、円形凹部67を形成することによって、端板部65において突出部64が形成されている板部分が薄くなり、その剛性を低下させているので、弁体50が弁座面62に衝突した場合などにおいて、弁座60を弾性変形させることができ、弁座60が破損することを回避できる。
【0084】
さらに、本例では、オリフィス61の第3オリフィス部分613の上端開口61bと流体流出路41の第1流路部分411の下端開口41aとは同一形状であり、流出側流路構成部材40に弁座60を取り付けた状態では、上端開口61bと下端開口41aが同軸上に配置されるので、第3オリフィス部分613と第1流路部分411によって径の大きな流路部分が形成されるとともに、弁座60のオリフィス61と流体流出路41との繋ぎ目に段差が生じることがない。この結果、例えば、流体が液体である場合に、その液体に気体が混入したり、バルブ装置1内で気体が発生したりしたとしても、この気体を第3オリフィス部分613あるいは第1流路部分411から排出することが可能になる。よって、気体が第3オリフィス部分613あるいは第1流路部分411に滞留してしまうことを防止できる。
【0085】
また、次に、本例によれば、胴部22の開放端部分に設けられたフランジ部29の内側に環状の補強部材80が取り付けられているので、胴部22の開放端の側の部位の変形を抑制することができる。また、補強部材80を配置することによって、胴部22の円筒度を高めることができるので、胴部22の内周面と胴部22の内側に挿入された弁体50の外周面との間のクリアランスを一定の状態とすることが容易となる。この結果、弁体50の外周面と胴部22の内周面の間を流体が流れたときの弁体50の挙動が安定するので、弁体50によってオリフィス61の下端開口61aを確実に閉鎖できる。さらに、本例では、胴部22の外周面に巻き回した第1〜第4駆動コイル25〜28の締め付けによって胴部22の開口端の側の変形が発生しやすくなっているが、補強部材80を備えているので、第1〜第4駆動コイル25〜28の巻き回しに起因する変形を回避することができる。
【0086】
また、本例では、補強部材80の突部83は、弁体50に当接して弁体50の移動範囲の上側の端を規定するストッパ211となっている。補強部材80を弁体50の移動範囲を規定するストッパ211として兼用できるので、部品点数の増加を抑制できる。また、弁体50を補強部材80の端面全体に当接させる場合と比較して、オリフィス61の下端開口61aの近傍における流体流路23を広く確保できるので、オリフィス61の下端開口61aが開いた状態となっている場合における流体の圧力損失を抑制できる。
【0087】
また、本例では、補強部材80の円環状板部81が、弁座60の端板部65に当接しているので、補強部材80によって弁座60も補強されている。
【0088】
なお、Oリング70を形成する際にOリング70の軸線方向Lと直交する平面で2分割されている金型を用いると、バリが軸線方向Lと直交する方向に発生することがあり、このバリによってOリング70と各部材との密着が阻害されることがある。従って、EPDMなどのゴムからOリング70を形成する際に用いる金型としては、Oリング70の軸線方向Lと45度の角度で直交する平面で2分割されている金型を用いることが望ましい。
【0089】
(変形例)
上記の例では、Oリング70は、弁座60および第2流路構成部材40に、径方向で圧縮させられた状態で当接するとともに、第1流路構成部材20および第2流路構成部材40に軸線方向Lで圧縮させられた状態で当接しているが、Oリング70が径方向で当接する2つの部材と軸線方向Lで当接する2つの部材の組み合わせはこれに限られるものではなく、径方向で当接している2つの部材の組み合わせと、軸線方向Lで当接している2つの部材の組み合わせとが異なっていればよい。
【0090】
図12は、第1流路構成部材20、弁座60および第2流路構成部材40の連結部分の異なる例を示す部分断面図である。本例では、第1流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aに円環状凹部20Aを形成し、第2流路構成部材40に下方に突出する円環状突部40Aを構成し、弁座60の円環状壁66Aを端板部65から下方に延びるように形成してある。また、円環状凹部20Aに挿入されているOリング70は、弁座60および第1流路構成部材40に径方向で圧縮させられた状態で当接するとともに、第1流路構成部材20および第2流路構成部材40に対して軸線方向Lで圧縮した状態で当接している。このようにしても、流体の漏れを確実に防止できる。
【0091】
(その他の実施の形態)
上記のOリング70に替えて、径方向の断面形状が矩形の環状の弾性部材をシール部材として用いることができる。或いは、図13に示すように、径方向の断面形状がX字形の環状の弾性部材をシール部材71として用いることができる。
【0092】
図14は、更に別のシール部材を用いたバルブ装置の例を示す部分断面図である。なお、以下のバルブ装置は、上記のバルブ装置1と同様の構成を備えているので、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図14(a)に示すバルブ装置1Aでは、弁座60は台座部63に円盤状の端板部65のみを備える。弁座60は、その端板部65の外周縁部分65bが流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aと円環状突部293とによって形成されている円環状段部294の内周側に嵌め込まれており、端板部65の上端面65aと円環状突部293の先端面293aとは同一平面上に位置している。流出側流路構成部材40の円環状凹部44Aは、軸線方向Lと直交する半径方向において、端板部65の外周縁部分65bと円環状突部293とを包含する幅で設けられている。円環状凹部44Aには、断面形状が全体として矩形の円環状のシール部材72が配置されている。
【0094】
シール部材72はゴムなどの弾性体からなり、その上端面には円環状の上側突部721が設けられている。また、下端面には半径方向の異なる位置に円環状の内側突部722および外側突部723が設けられている。各突部721〜723の断面形状は半円形であり、軸線方向Lと直交する方向において、上側突部721は、内側突部722と外側突部723との間に位置している。上側突部721は流出側流路構成部材40の円環状凹部44Aの底面44bに対して軸線方向Lで圧縮した状態で当接しており、内側突部722は弁座60の端板部65の上端面65aに対して軸線方向Lで圧縮した状態で当接しており、外側突部723は流入側流路構成部材20の円環状突部293の先端面293aに対して軸線方向Lで圧縮した状態で当接している。
【0095】
このようにしても、シール部材72を、流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の3部材に当接させることができるので、流体の漏れを確実に防止できる。
【0096】
図14(b)に示すバルブ装置1Bでは、弁座60は台座部63に円盤状の端板部65のみを備える。端板部65の外周縁部分65bは、その上面側部分および下面側部分がそれぞれ一定厚さで切り欠かれており、円環状の薄板部65cとなっている。また、流入側流路構成部材20のフランジ部29に円環状突部293は形成されておらず、平坦な上端面29aを備えている。さらに、流出側流路構成部材40は円環状凹部44を備えていない。
【0097】
ここで、薄板部65cの上端面と流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aとの間、薄板部65cの下端面と流入側流路構成部材20の上端面29aとの間、および、薄板部65cの外周面と、流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aと外側下端面部分43bとの間に形成されている内周面43cとの間によって、断面形状がコの字の円環状の空間が形成されており、この空間には、断面形状が全体としてコの字の円環状のシール部材73が配置されている。
【0098】
シール部材73は、ゴムなどの弾性体からなり、薄板部65cの外周面に当接して軸線方向Lに延びている外周板部731と、外周板部731の上端から内周側に向かって延びており、薄板部65cに当接して、その上端面を覆っている上側板部732と、外周板部731の下端から内周側に向かって延びており、薄板部65cに当接して、その下端面を覆っている下側板部733を備えている。外周板部731の外周面は流出側流路構成部材40の内周面43cに当接している。
【0099】
上側板部732には上方に突出する円環状の上側突部734が設けられている。下側板部733には、軸線方向Lにおいて上側突部734と重なる位置から下方に突出する円環状の下側突部735が設けられている。上側突部734および下側突部735の断面形状は半円形をしている。上側突部734は流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに対して圧縮した状態で当接しており、下側突部735は、流入側流路構成部材20の上端面29aに対して圧縮した状態で当接している。外周板部731、上側板部732および下側板部733は、弁座60の薄板部65cに密着している。
【0100】
このようにしても、シール部材73を、流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の3部材に当接させることができるので、流体の漏れを確実に防止できる。
【0101】
図14(c)に示すバルブ装置1Cでは、弁座60は円盤状の端板部65のみを備える。また、本例では、補強部材84がゴムなどの弾性体から形成されており、シール部材の役目を果たしている。
【0102】
流出側流路構成部材40には、内側下端面部分43aの中央部分に流体流出路41と同軸上に円形凹部45が形成されている。円形凹部45の内径は流入側流路構成部材20のフランジ部29の円環状段部291の内径と同一であり、円形凹部45と円環状段部291は同軸上に配置されている。弁座60は円形凹部45内に嵌め込まれており、弁座60の端板部65の下端面65dと内側下端面部分43aとは同一平面上に位置している。
【0103】
補強部材84は、円環状板部81Aが上記のバルブ装置1の円環状板部81よりも肉厚に形成されているとともに、円環状板部81Aの上端部分から軸線方向Lと直交する方向の外周側に突出する一定厚さの外側円環状部811および内周側に突出する一定厚さの内側円環状部812を備えている。流入側流路構成部材20の円環状段部291に補強部材84が嵌め込まれた状態では、肉厚に形成された円環状板部81Aの上端部分が流入側流路構成部材20の上端面29aよりも上方に突出しており、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aと、流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aおよび弁座60の端板部65の下端面65dとの間の空間内に、補強部材84の外側円環状部811が配置されている。外側円環状部811の外周面811aは、フランジ部29の円環状突部293の内周面部分293dと当接している。
【0104】
外側円環状部811の上端面には円環状の外側突部813が形成されており、下端面には、軸線方向Lにおいて外側突部813と重なる位置に円環状の下側突部814が設けられている。また、円環状板部81Aの上端面には、円環状の内側突部815が形成されている。内側突部815、外側突部813および下側突部814の断面形状は半円形をしている。外側突部813は流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに対して圧縮した状態で当接しており、内側突部815は弁座の端板部65の下端面65dに対して圧縮した状態で当接している。また、下側突部814は、流入側流路構成部材20の上端面29aに対して圧縮した状態で当接している。
【0105】
このようにしても、シール部材(補強部材84)を、流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の3部材に当接させることができるので、流体の漏れを確実に防止できる。
【0106】
なお、上記のバルブ装置1A〜1Cにおいて、シール部材72、73、および補強部材84は、それぞれに形成されている円環状の突部が弾性体から形成されていれば、他の部分は剛体であってもよい。
【0107】
また、上記のバルブ装置1A〜1Cでは、シール部材の側に円環状の突部を設けてあるが、シール部材において流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40に当接する面を平坦面としておき、各流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40において、それぞれシール部材に当接する面部分に円環状の突部を設けるように構成してもよい。
【0108】
さらに、シール部材の側、或いは、各流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の側に設ける円環状の突部の断面形状は、半円形に限られず、三角形や台形、四角形としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1・バルブ装置、2・胴部、3・流入管、3a・流入口、4・流出管、4a・流出口、5・端子ピン、6・端子ピン、7・端子台、7a・端面、8・バルブ装置内流路、10・ケース、11・下端開口、12・上端開口、13・切欠部、20・流入側流路構成部材(第1流路構成部材)、21a・円環状端面、21・底部、22・胴部、23・流体流路(第1流体流路)、24・流体流入路、25・28・第1〜第駆動コイル、29・フランジ部、29a・上端面、30・33・第1〜第4円環状突部、34・37・第1〜第4コイル巻回部、40・流出側流路構成部材(第2流路構成部材)、41・流体流出路(第2流体流路)、41a・下端開口(流体流通口)、42・円柱部、43・円盤部、43a・内側下端面部分、43b・外側下端面部分、43c・内周面、44・44A・円環状凹部、44a・内周面部分、44b・底面、44c・内周面部分、45・円形凹部、50A・閉鎖位置、50B・開放位置、50・弁体、51・53・第1〜第3永久磁石、54・ホルダ、54a・内周面、55・弾性部材、56・上側蓋部材、57・下側蓋部材、58a・58d・第1〜第4磁性板、59a・上側Oリング、59b・下側Oリング、60・弁座、61・オリフィス、61a・下端開口、61b・上端開口、62・弁座面、63・台座部、64・突出部、65・端板部、65a・上端面、65b・外周縁部分、65c・薄板部、65d・下端面、66・円環状壁、66a・内側面、66b・上端面、66c・外周面、67・円形凹部、70・Oリング(シール部材)、71・72・73・シール部材、80・84・補強部材、81・81A・円環状板部、81a・テーパー面、81b・一定径部分、82・円環状壁、83・突部、90・磁性板、211・ストッパ、241・上端開口、291・円環状段部、292・円環状凹部、293・円環状突部、293a・先端面、293b・テーパー面、293c・テーパー面、293d・内周面部分、294・円環状段部、301・第1溝部、311・第2溝部、321・第3溝部、331・第4溝部、332・第5溝部、411・第1流路部分、412・第2流路部分、541・上端折り曲げ部、542・上端開口、543・下端折り曲げ部、544・下端開口、551・大径円盤部、552・上側小径円盤部、553・下側小径円盤部、554・突出部、561・大径部、561a・外周面、561b・テーパー面、561c・凹部、561d・凹曲面、562・小径部、562a・外周面、563・円環状段部、571・大径部、571a・外周面、571b・下端面、571c・凹部、571d・凹曲面、572・小径部、572a・外周面、573・円環状段部、611・第1オリフィス部分、612・第2オリフィス部分、613・第3オリフィス部分、641・円筒形状部、642・円錐台形状部、721・上側突部、722・内側突部、723・外側突部、731・外周板部、732・上側板部、733・下側板部、734・上側突部、735・下側突部、811・外側円環状部、811a・外周面、812・内側円環状部、813・外側突部、814・下側突部、815・内側突部、L・軸線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体流路が形成されている第1流路構成部材と、
第2流体流路が形成されている第2流路構成部材と、
前記第1流路構成部材と前記第2流路構成部材との間に挟まれており、前記第1流体流路と前記第2流体流路を連通させる流体流通口を備える弁座と、
前記第1流体流路の側から前記流体流通口を開閉する弁体と、
前記第1流路構成部材、前記第2流路構成部材、および、前記弁座に対して圧縮した状態で当接して、前記第1流体流路、前記流体流通口および前記第2流体流路を流通する流体が漏れないようにシールしている弾性体からなる環状の1つのシール部材を備えていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記シール部材は、前記第1流路構成部材、前記第2流路構成部材、および、前記弁座のうちの2つの部材に対して当該シール部材を径方向で圧縮した状態で当接するとともに、前記第1流路構成部材、前記第2流路構成部材、および、前記弁座のうちの2つの部材に対して当該シール部材を径方向と直交する方向で圧縮した状態で当接し、
前記シール部材に対して前記径方向で当接している2つの部材の組み合わせと、前記シール部材に対して前記径方向と直交する方向で当接している2つの部材の組み合わせとが異なっていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2流路構成部材は、前記第2流体流路の開口が露出している前記弁座の側の端面に当該前記第2流体流路の開口を包囲する環状の凹部を備えており、
前記弁座は、前記流体流通口を包囲する外周縁に前記第2流路構成部材の側に突出する環状壁を備えており、
前記第1流路構成部材は、前記第1流体流路の開口が露出している前記弁座の側の端面に当該前記第1流体流路の開口を包囲する環状の突部を備えており、
前記凹部には、前記シール部材、前記環状壁および前記突部が挿入されており、
前記シール部材は、前記凹部において内側を向いている内周面部分と前記環状壁の外壁面との間で径方向に圧縮させられているとともに、前記凹部の底面と前記突部の先端面との間で径方向と直交する方向に圧縮させられていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2流路構成部材の前記凹部において外側を向いている内周面部分と、前記弁座の前記環状壁の内壁面とは当接しており、
前記弁座の環状壁の外壁面と前記第1流路構成部材の前記突部の内側を向いている外周面部分とは当接していることを特徴とするバルブ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記シール部材は、ゴム製であり、
前記環状壁と前記凹部の底面との間には隙間が設けられており、
前記突部の先端面の径方向の両側部分には面取りが施されていることを特徴とするバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−77828(P2012−77828A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222776(P2010−222776)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】