説明

バレット食道の処置法

本発明は生化学および医学の分野に関する。より具体的には、本発明は食道における上皮変化の処置に関する。さらにより具体的には、本発明はバレット食道の処置に関する。本発明は、動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、前記動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む方法を提供する。好ましくは、前記のNotch経路活性化阻害はg-セクレターゼ阻害剤により成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生化学および医学の分野に関する。より具体的には、本発明は食道における上皮変化の処置に関する。さらにより具体的には、本発明はバレット食道の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
バレット食道はヒトの疾患であり、この疾患では食道の上皮層がその正常な扁平形態から、腸に見られるものに似た上皮に変化する。バレット食道は前がん状態であり、これは50歳を超える白人男性に主に影響を与えているが、その他の者でもこの状態を有することがある。
【0003】
上皮の変化は、食道の中に戻る酸性の胃内容物の慢性的な吐出(逆流)から生じる。胃の内容物は、食道の扁平上皮を損なう消化酵素および酸を含有する。治癒過程において、異常な細胞が病変を修復するように再び成長する。この組織病理学的現象は「化生」と呼ばれる。腸上皮に似た細胞が、食道の内側を覆う正常な扁平上皮型細胞に取って代わる、つまり腸上皮化生と呼ばれる現象である。これは、長期の胃逆流を有する約10〜15%の人々に起こる。
【0004】
化生上皮は腸上皮に似ているかもしれないが、正常ではない。何故なら、化生上皮が、腸上皮と考えられるには間違った解剖学的位置に存在するからである。さらに、化生上皮は悪性化する傾向が高い。バレット食道を有する患者は、一般集団よりも食道がんを発症する危険性が30〜125倍高い。
【0005】
バレット食道がんは非異形成(化生)円柱上皮から、低度および高度異形成を通じて最後には浸潤がんまでの、一連の変化において発症する。
【0006】
バレット疾患の診断は、典型的には次のように行われる。数年間にわたり逆流症状(通常は胸焼け)を有する個体が、上部内視鏡検査を受けて、バレット食道が存在するかどうかを判定し、前がん状態の特徴を評価する。これによって炎症(食道炎)およびバレット食道の評価が可能になる。バレット食道の診断は、組織生検およびその後の組織学的分析によってなされる。内視鏡医はメチレンブルーなどの特殊な無毒性色素を用いて、異常な前がん変化(異形成)の有る領域を特定することができる。この技術は「色素内視鏡検査」と呼ばれる。
【0007】
異形成がない場合には、患者を監視し、酸の逆流を処置する。異形成が存在する場合、続いてより積極的な戦略が通常行われるが、これには外科手術による、熱的、化学的もしくは機械的な内視鏡技術による異形成病変の破壊が含まれる。扁平上皮をそのままにしながら、化生上皮または異形上皮を根絶できる特定薬剤は存在していない。
【0008】
現行の処置の例としては、高度異形成の外科的処置、食道における高度異形成の除去に向けた内視鏡による除去療法、異形成に向けた光線力学療法による化学的切除、熱的切除、機械的切除または併用療法が挙げられる。
【0009】
Siersemaらはバレットがん腫を治癒するためイホスファミド化学療法による処置について報告している。合計25人の患者がイホスファミドで治療された。ある患者はバレット食道での転移性腺がんが治癒し、ある患者は部分反応を経験している。ゆえに、イホスファミドによる処置は本質的に効果がないと考えられる。さらに、イホスファミド処置は強い毒性を伴うと一般に考えられている。
【0010】
国際公開公報第2005/012275号(特許文献1)では、バレット食道を処置または予防する方法であって、そのような処置または予防の必要性がある哺乳類に、式(I)の化合物の有効量を投与する段階を含む方法を主張している。前記の式(I)により定義される化合物は、CCK2 (コレシストキニン)調節因子であると考えられる。
【0011】
国際公開公報第2005/079778号(特許文献2)では、バレット食道の処置または予防に向けた薬物の製造におけるレチノイン酸アンタゴニストの使用を主張している。この出願ではさらに、ジアゼピニル安息香酸誘導体をレチノイドX受容体アンタゴニストとして記述している。レチノイン酸(「ビタミンA」)アンタゴニストの定義は、レチノイン酸受容体またはレチノイン酸代謝と相互作用しかつそれらを阻止しうる化合物である。ジアゼピン誘導体の定義は、構造上のジアゼピン骨格を含む化合物である。この骨格に、その化学的および生物学的活性を規定する、多種多様な側鎖/修飾を加えることができる。したがって、ジアゼピン群の個々の化合物は各々、固有の生物学的活性を有することができる。ガンマ-セクレターゼを阻止することが知られている特定のジアゼピン誘導体が、レチノイン酸に影響を及ぼすことは知られていない。
【0012】
Buttarらは、バレット食道の動物モデルにおけるCOX-2阻害剤による食道腺がんの化学的予防について報告している。選択的および非選択的COX-2阻害剤は、逆流により誘導される炎症、COX-2活性および腺がんの発症を阻害できると結論付けられている。
【0013】
上記のように、バレット食道での化生上皮または異形上皮を根絶できる特定薬剤は現在のところ存在していない。
【0014】
【特許文献1】国際公開公報第2005/012275号
【特許文献2】国際公開公報第2005/079778号
【発明の開示】
【0015】
本発明は、バレット食道における化生上皮または異形上皮を少なくとも部分的に除去できる薬剤を提供することにより、この問題を解決する。好ましくは、前記薬剤は(下にある)扁平上皮に(可視的な)悪影響を及ぼさない。
【0016】
第1の態様において、本発明は、動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、前記動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む方法を提供する。
【0017】
Notchシグナル伝達は、動物界全体にわたって空間的パターン形成および細胞の運命決定を制御している(Artavanis-Tsakonas et al 1999)。Notch遺伝子は大きな1回膜貫通受容体をコードする。Notch受容体とリガンドとの間の相互作用は、結果として受容体のタンパク質分解的切断を生じる。その結果として生じた遊離Notch細胞内ドメイン(NICD)は核へ転位し、そこで転写因子RBP-JK (CSLまたはCBF1)に結合し、標的遺伝子の転写を活性化する(Baron 2003, Mumm & Kopan 2000)。最も良く特徴付けられたNotch標的遺伝子は、hairy/enhancer of split (HES)転写リプレッサーである。HESタンパク質が順に下流遺伝子の発現を抑制する(Heitzler et al 1996, Oellers et al 1994)。
【0018】
Notch経路の構成要素はマウス腸において発現されているが(Schroder & Gossler 2002)、上皮細胞の運命の制御におけるこれらの構成要素の関与についての遺伝的証拠は、現在得られていない。他の組織においてNotch標的遺伝子を示すことが公知である、HES-1欠損動物は、吸着細胞を犠牲にして粘液分泌細胞および腸内分泌細胞の相対的な増加を示す(Jensen et al 2000)。腸におけるHES-1抑制の推定の下流標的Math-1 (Jensen et al 2000) (Zheng et al 2000)は、遺伝子ノックアウトにより明らかなように、分泌系統(secretory linage)への傾倒に必要である(Yang et al 2001)。これらの結果は、Notchシグナル伝達が、一過性増殖コンパートメントを出る陰窩細胞を腸細胞表現型へ分化させる運命を歪めることを示すと解釈されている。このスキームにおいて、Notchシグナル伝達は、HES1のような転写因子遺伝子を活性化し、これが順にMath1様遺伝子を抑制し、分化中の細胞を分泌系統から追い出す。
【0019】
Notchによる腸細胞の運命の制御に関する間接的な支持は、もとはアルツハイマー病に向けて開発された、ガンマ-セクレターゼ阻害剤の使用に由来する。Notchはいくつかの公知のγ-セクレターゼ基質の一つである。γ-セクレターゼによるNotchのタンパク質分解的プロセッシングは経路の活性化後の必須段階である。結果として、γ-セクレターゼ阻害剤の効果の一つはNotch経路活性化の抑止である(De Strooper et al 1999, Kopan & Goate 2000)。これらの阻害剤を用いた齧歯類毒物学的研究により、粘液分泌性杯細胞のサイズおよび数の増大が明らかにされている(Searfoss et al 2003; Wong et al 2004; Milano et al, 2004)。これらの種類の研究によって、多数の有望なγ-セクレターゼ阻害剤は、それらが腸の異常を引き起こすと大いに疑われるため、アルツハイマーの処置に向けたそのさらなる臨床的開発が中止されている。
【0020】
本発明は、Notch経路活性化の阻害剤(例えば、γ-セクレターゼ阻害剤)が、バレット食道の処置において極めて有用であるという驚くべき知見を開示する。Notch経路活性化の阻害剤によるバレット食道の処置は、食道からの化生上皮または異形上皮の(少なくとも部分的な)クリアランスをもたらす。
【0021】
Notch経路活性化は、典型的には、以下の事象に沿って進む。Notchは、複数のタンパク質分解的切断を通して活性化されうる膜貫通表面受容体であり、それらの一つは、γ-セクレターゼと呼ばれる、プロテアーゼ活性をもつタンパク質の複合体により切断される。ガンマ(γ)-セクレターゼは、膜内でその切断活性を実行するプロテアーゼである。ガンマ(γ)-セクレターゼは、多成分酵素であり、少なくとも4つの異なるタンパク質、すなわち、プレセニリン(プレセニリン1または2)、ニカストリン、PEN-2およびAPH-1で構成されている。プレセニリンは、γ-セクレターゼの触媒中心である。リガンドの結合によって、Notch受容体は立体構造変化を起こし、メタロプロテアーゼであるADAMプロテアーゼの作用を通して細胞外ドメインの切断を可能にする。この後すぐに、Notch細胞内ドメイン(NICD)の放出をもたらすγ-セクレターゼ複合体の作用が続く。NICDは核に転位し、そこでNICDはCSL (C-プロモーター結合因子/組換えシグナル配列結合タンパク質Jκ/Supressor-of-Hairless/Lag1)と相互作用する。NICDの結合はCSLを転写リプレッサーからアクチベーターへ変換し、Notch標的遺伝子の発現をもたらす。
【0022】
本発明者らは、バレット食道を患っている動物においてNotch経路活性化の阻害により、前記動物での化生上皮および/または異形上皮の少なくとも部分的な減少をもたらす方法について記載する。
【0023】
Notch経路活性化の阻害剤を与えることにより、食道での化生上皮および/または異形上皮の増殖能が少なくとも部分的に減少する。好ましくは、この減少は、内視鏡または診査手術後の組織学的分析で目に見えるようなものである。さらにより好ましくは、化生上皮および/または異形上皮の減少は完全である、すなわち、(目に見えて)残存する化生上皮細胞および/または異形上皮細胞がない。化生上皮および/または異形上皮の減少は、化生細胞および/または異形細胞の分裂終了細胞(例えば杯細胞)への転換の結果である。これらの分裂終了細胞は比較的短い寿命(5〜6日間)を有し、身体はそれらの細胞をその死後に取り除く。
【0024】
本明細書において、動物は非ヒト動物またはヒト(すなわち、ヒト患者またはバレット疾患を患っているヒトもしくはバレット疾患の危険性があるヒト)と定義される。
【0025】
Notch経路活性化の(少なくとも一部の、しかし好ましくは完全な)阻害は、本明細書において以下に(非限定的に)概略が述べられている、異なる方法で達成される。阻害は局所的に、すなわち、食道において行われることが好ましい。本発明者らは、食道の正常(非異形性、非化生性)扁平上皮におけるNotch経路の妨害がその上皮に検出可能な影響を及ぼさないことを実験の部において実証した。
【0026】
さらに、Notch経路活性化は、Notch様分子および/またはNotch(様)分子の異なる対立遺伝子変異体の経路活性化を含むと定義される。
【0027】
バレット食道は、化生上皮を含むだけでなく、(存在するなら)異形上皮も含むと本明細書において定義される。ゆえに、本発明はがん相だけでなく非腫瘍形成相の処置に使用される。さらに、本発明の方法は予防法、すなわち、バレット食道の発症を予防する方法として使用することもできる。
【0028】
好ましい態様において、本発明は、動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、γ-セクレターゼ阻害剤を前記動物に与えることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される、前記動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む方法を提供する。使用されるγ-セクレターゼ阻害剤は、直接的または間接的な影響を有することができる。好ましい態様の1つにおいて、前記γ-セクレターゼ阻害剤は、γ-セクレターゼタンパク質に直接的な影響を及ぼし、すなわちγ-セクレターゼタンパク質はもはやNotch経路を活性化することができない。本発明の方法において使用されるγ-セクレターゼ阻害剤は、γ-セクレターゼタンパク質(活性)と直接的に相互作用する、および/またはγ-セクレターゼタンパク質(活性)に直接的に結合する、および/またはγ-セクレターゼタンパク質(活性)を直接的に不活性化する、および/またはγ-セクレターゼタンパク質(活性)を直接的に阻止することが好ましい。さらに、本発明の方法において使用されるγ-セクレターゼ阻害剤は、特異的であることが好ましい、すなわち、化学療法または放射線療法による処置の影響などの非特異的な影響はγ-セクレターゼ阻害剤という用語に包含されない。さらに別の好ましい態様において、使用されるγ-セクレターゼ阻害剤は、γ-セクレターゼタンパク質に間接的な影響を及ぼす。例えば、γ-セクレターゼタンパク質をコードする核酸配列の改変を伴う間接的な影響、またはその遺伝子産物がγ-セクレターゼタンパク質に影響を及ぼす、特定の核酸の間接的な影響が挙げられる。
【0029】
γ-セクレターゼ阻害剤は、例えば、天然においてペプチド性または非ペプチド性もしくは半ペプチド性であり、好ましくは小分子である。ガンマ-セクレターゼ阻害剤は、初めはアルツハイマー病に関して明確にされた。アルツハイマー病の発病における重要な段階は、この疾患に特徴的な脳斑のタンパク質主成分であるアミロイド-βペプチド(Aβ)の形成をもたらすAPPタンパク質分解である。APP は、(Notchと同様に)最初に細胞外ドメインが(この場合にはβ-セクレターゼにより)切断され、APPの残部がγ-セクレターゼにより膜内で切断されて、Aβペプチドを生じる。γ-セクレターゼ活性の阻止によるAβペプチドの生成阻害は、現在、アルツハイマー病の病態進行を遅延させるのに最も有望な治療戦略の一つである。いくつかの会社によって、さしあたりDAPT (N-[N-(3,5-ジフルオロフェニルアセチル)-L-アラニル]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル)のような、γ-セクレターゼ阻害剤が開発されている。同様に、化学的分類AS (アリールスルホンアミド)、DBZ (ジベンズアゼピン(DBZ))、BZ (ベンゾジアゼピン)、LY-411,575およびその他多くのものに由来する化合物がそのγ-セクレターゼ阻害活性について試験されている。γ-セクレターゼ阻害剤に関する概要は、例えば、Harrison et al 2004に概説されており、この文献ではγ-セクレターゼ阻害剤が、例えば、スルホンアミド/スルホンおよびベンゾジアゼピン/ベンゾラクタムに分類されている。本発明の図2〜6は、Harrisonらの提唱するγ-セクレターゼ阻害剤の区分の概要、および記載したγ-セクレターゼ阻害剤を入手できる化学薬品会社の参照を提供する。これらのγ-セクレターゼ阻害剤のいくつかは既に、臨床第I相および第II相試験中である。DAPT、LY-411575、DBZまたはDZのような半ペプチド性γ-セクレターゼ阻害剤が特に好ましい。
【0030】
記載したγ-セクレターゼ阻害剤の概要は決して限定するものではない。例えば、新たなγ-セクレターゼ阻害剤が今もなお開発中であり、そのような新たに開発されたγ-セクレターゼ阻害剤をバレット食道の処置に使用することができ、それゆえに食道の処置のためのそれらの使用は本発明/特許請求の範囲の範囲内である。
【0031】
動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む、前記動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、γ-セクレターゼの阻害剤を前記動物に与えることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される方法は、少なくとも1つまたは少なくとも2つもしくはそれ以上のγ-セクレターゼ阻害剤を与えることにより、すなわち、異なるγ-セクレターゼ阻害剤の組み合わせを与えることにより実施できることが、当業者には明らかである。さらに、有効な量(用量)のγ-セクレターゼ阻害剤をそれを必要とする患者に繰り返し与えることができる。例えば、最初の量のγ-セクレターゼ阻害剤を与え、およそ1週間または2週間後に前記量の効果を本明細書に記載の方法または手段のいずれかによって調べる。化生上皮または異形上皮がそれでもなお存在するなら、別の有効量のγ-セクレターゼ阻害剤を与える。この場合もやはり、その有効性を判定し、その後の処置が必要であるかどうかを決定する。γ-セクレターゼが典型的には、(少なくとも)2つの経路、APP経路およびNotch経路、において作用できることは明らかである。化学薬品会社はさしあたり、一方または他方に特異的なγ-セクレターゼ、例えば、APP経路に特異的でありNotch経路に干渉しないγ-セクレターゼを開発した。Notch経路に干渉しないγ-セクレターゼが本発明の方法において有用でないことは明らかである。ゆえに、Notch経路およびAPP経路に干渉できるγ-セクレターゼ、またはNotch経路に特異的に干渉できるγ-セクレターゼが好ましい。そのような阻害剤は、例えば、Harrison et al 2004のなかで見出すことができ、この文献は参照により本明細書に組み入れられる(図2〜6参照)。
【0032】
好ましい態様において、本発明は、動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む、前記動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、DAPTもしくはジベンズアゼピン(DBZ)またはベンゾジアゼピン(BZ)またはLY-411575であるγ-セクレターゼ阻害剤を前記動物に与えることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される方法を提供する。
【0033】
すでに上記で概略を述べたように、γ-セクレターゼはタンパク質の複合体である。Notch経路活性化を少なくとも部分的に阻害するもう一つの方法は、複合体しか活性ではないと考えられるため、前記のタンパク質複合体の形成を少なくとも部分的に阻害することにより達成される。これは、例えば、成分の1つをドミナントネガティブ分子として与えることにより、またはさらなる複合体形成を妨げるかもしくは不安定な(非活性な)タンパク質複合体をもたらす突然変異を部分/分子が含む前記複合体の部分/分子を与えることにより達成される。Notch経路活性化を少なくとも部分的に阻害するさらにもう一つの方法は、前記複合体の触媒部分を特異的に阻害すること、すなわちプレセニリンの特異的阻害による。
【0034】
もう一つの好ましい態様において、本発明は、動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む、前記動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、リガンドを介したNotch活性化を少なくとも部分的に減少させることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される方法を提供する。上記で概略を述べたように、Notch経路活性化はリガンド結合から始まり、その事象の後、Notch受容体は立体構造変化を起こし、これはADAMプロテアーゼの作用を通して細胞外ドメインの切断を可能にする。Notchへのリガンドの結合を少なくとも部分的に、しかし好ましくは完全に、多数の戦略によって阻害できることが当業者には明らかである。好ましくは、前記のリガンドを介したNotch活性化は、Notchのドミナントネガティブなリガンドを動物に与えることにより少なくとも部分的に減少する。天然のNotchリガンドの例は、タンパク質Delta、JaggedおよびSerrateである。ドミナントネガティブなリガンド、すなわち、本質的にNotch経路のさらなる活性化なしにNotchに結合する(Notch経路活性化の阻止)能力があるリガンドは、例えば、前記の天然リガンドの結合部分に基づき結合小分子を作製することにより、前記の天然リガンドから得ることができる。このようなドミナントネガティブなリガンドをNotchと接触させる場合、Notchへの前記ドミナントネガティブなリガンドの結合は、Notch経路のさらなる活性化なしに起こる。好ましくは、前記ドミナントネガティブなリガンドはより長い時間、Notchに固着/結合し、天然のリガンドの結合は部分的におよび好ましくは完全に阻止/阻害され、結果として、Notch経路活性化が(少なくとも部分的に)阻害される。ドミナントネガティブなリガンドの例は、例えば、細胞内欠失を含むDeltaおよびSerrateの突然変異体である(Sun and Artavanis-Tsakonas, 1996)。
【0035】
もう一つの好ましい態様において、前記のリガンドを介したNotch活性化は、ドミナントネガティブなNotchを前記動物に与えることにより少なくとも部分的に減少する。原則として、各タイプのNotch分子、すなわちNotch1、2、3もしくは4またはその機能的断片および/もしくは機能的誘導体をこの目的に使用することができる。機能的断片は、Notchリガンドに結合できるこれらの分子(またはそれらの等価物)のいずれかに由来する任意の断片(N末端断片、C末端断片もしくは内部断片またはそれらの任意の組み合わせ)である。そのような機能的断片は、例えば、膜結合型化合物としてまたは非膜結合型化合物として存在しうる。ドミナントネガティブなNotchの結合可能なリガンドへの結合により、該リガンドは天然に/本来/機能的に有効なNotchに結合することができず、ゆえにNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される。機能的誘導体は、例えば、リガンドへの結合が依然として可能であるが、伝達されるべきリガンド結合のシグナルを妨げるように変異されている(点突然変異、挿入) Notch分子である。機能的誘導体は同様に、別の種に由来してもよい。さらにもう一つの好ましい態様において、前記のリガンドを介したNotch活性化は、NotchリガンドとNotchとの間の相互作用を少なくとも部分的に阻止できる抗体またはその機能的部分もしくは機能的誘導体を、それを必要とする動物に与えることにより少なくとも部分的に減少する。そのような抗体は、例えば、Notchのリガンド結合部分に向けられるか、またはNotchと相互作用するリガンドの部分に向けられる。
抗体またはその機能的部分および/もしくは機能的誘導体の産生は、当技術分野の範囲内で日常的であるため、このことに関するさらなる詳細は提供しない。同様に、ペプチドのような他の結合タンパク質を、例えばNotchへの結合によって、Notch経路の活性化を阻害するために使用することができる。リガンドを介したNotch活性化の、阻害に用いられるタイプとは無関係に、結果は同じである: NICD (の少なくとも一部分)の形成が阻害され、これが最終的には、食道からの化生上皮および/または異形上皮のクリアランスをもたらす。
【0036】
すでに示されているように、Notch経路活性化の(少なくとも部分的な、しかし好ましくは完全な)阻害は、さまざまな方法で達成される。さらにもう一つの好ましい態様において、本発明は、動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む、前記動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、ADAMプロテアーゼ阻害剤を前記動物に与えることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される方法を提供する。NotchへのNotchリガンドの結合後、Notch受容体は立体構造変化を起こし、これはADAMプロテアーゼの作用を通して細胞外ドメインの切断を可能にする。ADAMはディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ(a disintegrin and metalloprotease)を表す。細胞外ドメインの切断を行うプロテアーゼを阻害できる物質を与えることにより、Notch経路活性化が少なくとも部分的に、しかし好ましくは完全に阻害される、すなわち、NICDの形成が起こらない。さらに、起こりうる望ましくないあらゆる副作用をできる限り回避するため、Notch経路活性化の局所的阻害が好ましい。
【0037】
同様に、Notch活性化を少なくとも部分的に阻害するさまざまな方法は、例えば、効力を増大させるように組み合わせられることが当業者には明らかである。
【0038】
好ましい態様において、本発明は、バレット食道の処置に向けた薬物の調製におけるNotch経路阻害剤の使用を提供する。本発明による方法についてすでに上記で概略を述べたように、NICDの形成を少なくとも部分的に減少させるため、従ってNotch経路活性化を少なくとも部分的に妨げるため、多数の阻害剤を使用することができる。好ましいNotch阻害剤の例は、DAPTもしくはジベンズアゼピン(DBZ)もしくはベンゾジアゼピン(BZ)もしくはLY-411575のような、γ-セクレターゼ阻害剤、リガンドを介したNotch活性化を(例えば、Notchのドミナントネガティブなリガンドを介してもしくはドミナントネガティブなNotchを介して、またはNotchリガンドとNotchとの間の相互作用を少なくとも部分的に阻止できる抗体を介して)減少させることができる阻害剤、あるいはADAMプロテアーゼの阻害剤である。さらに、そのような阻害剤は、化学療法、外科手術または放射線照射などのすでに利用可能な治療と組み合わせることができる。
【0039】
さらにもう一つの態様において、本発明は、少なくとも2つのNotch経路活性化阻害剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0040】
本発明による薬学的組成物は、粉末、(非)水性液体の溶液もしくは懸濁液の形態で、または乳濁液として提供することができる。前記の薬学的組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤、担体および/または希釈剤を含むことができる。薬学的組成物は経口的に、非経口的に、筋肉内に、静脈内に、非経口的に、腹腔内にまたは結腸直腸的に(例えば、坐剤を用いて)投与することができる。
【0041】
経口送達は、この送達経路を介して処置されるべき領域に容易に到達されるので好ましい。さらに、送達は、望ましくないあらゆる副作用を回避するように局所的であることが好ましい。好ましくは、Notch経路活性化は、例えば食道に固着するシロップを、処置の必要性がある動物に与えることにより少なくとも部分的に阻害される。さらにもう一つの態様において、Notch経路活性化を少なくとも部分的に阻害するための薬物は、この薬物が確実に局所的に送達される、すなわち処置を必要とする場所に確実に送達されるように内視鏡検査を介して与えられる。例えば、内視鏡/胃内視鏡を介した粘膜組織における注射による薬物の送達が挙げられる。さらにもう一つの態様において、Notch経路活性化の阻害剤を含む薬物は、食道の通過後に胃内で破壊されるように調製される。このような場合、薬物は、胃内に存在する酸および酵素によって分解されることなく、胃の酸性/消化性環境を通過することはできない。
【0042】
用量に関して、当業者は、例えば既知の薬物動態に基づいて、例えばDAPTおよび/もしくはDBZおよび/もしくはBZおよび/もしくはLY-411575の有効な投与量を判定できることに留意されたい。さらに、1つまたは複数の周知の用量設定実験を使用することにより、当業者は有効な用量を判定することができる。すでに記載したように、正常組織に及ぼす任意の悪影響を誘導することなく必要に応じて、γ-セクレターゼ阻害剤の有効量の反復用量を与えることができる。
【0043】
概略を述べた方法のいずれかにおける薬学的組成物の使用に加えて、本発明による薬学的組成物は他の治療法に対する添加物(残余)としても非常に有用である。本明細書において概略を述べたように、現行の治療法は高度異形成の外科的処置、食道における高度異形成の除去のための内視鏡による除去療法、異形成に向けた光線力学療法による化学的切除、熱的切除、機械的切除または併用療法を含む。本発明による処置をこれらのより伝統的な方法のいずれかと併用できることは明らかである。
【0044】
本発明を以下の記載においてさらに詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0045】
実験の部
実験1
材料および方法
組織サンプルの調製、免疫組織化学
食道全体を解剖し、ホルマリンで穏やかに洗い流し、その後16時間ホルマリン中で固定した。この組織を薄片に切った(2〜6 μm)。脱ろうおよび水和の後、切片を室温で15分間ペルオキシダーゼブロッキング緩衝液(120 mM Na2HPO4、43 mMクエン酸、30 mM NaN3、0.2% H2O2; pH 5.8)により前処理した。抗原回復はクエン酸Na緩衝液(10 mM, pH 6.0)中でサンプルを煮沸することにより行った。20分後、煮沸鍋を室温にゆっくり冷却させた。
【0046】
以下の抗体を使用した。マウス抗Ki67 (1:100; Novocastra)、マウス抗β-カテニン(1:50; Transduction Labs)、マウス抗BrdU (1:500; Becton Dickinson)、ウサギ抗Math1 (1:50; Dr Jane Johnsonからの寄贈)。抗体のインキュベーションは、カスパーゼ-3およびMath1に対する抗体の場合4℃で終夜ならびにKi67、BrdU、シナプトフィシンおよびβ-カテニンに対する抗体の場合1時間RTでPBS中のBSAにて行った。全ての場合において、Envision+キット(DAKO)を二次試薬として使用した。染色はDABを用いて発色させた。スライドをヘマトキシリンで対比染色し、マウントした。
【0047】
杯細胞をアルシアンブルーおよびPAS染色によって染色した。杯細胞のアルシアンブルー染色の場合、脱ろうおよび水和の後、組織をアルシアンブルー(0.5%酢酸中に1%)中で5分間インキュベートした。その後、水中で洗浄し、ニュートラルレッド中で1分間インキュベートした。直ちに脱水し、キシレン中で洗浄し、Pertexでマウントした。杯細胞のPAS染色の場合、脱ろうおよび水和の後、組織を0.5%過ヨウ素酸溶液中で5分間酸化した。その後、水中で洗浄し、シッフ試薬中で15分間インキュベートし、ぬるま湯の中で5分間洗浄し、ヘマトキシリン溶液中で1分間対比染色し、水中で5分間洗浄し、脱水し、マウントした。
【0048】
APCminマウスにおけるNotchシグナル伝達の薬理学的阻害
8週齢のAPCminマウスを、2つの異なる経口送達可能なγ-セクレターゼ阻害剤で10日間処置し、その後、食道および腸を組織学的に調べた。投与されたγ-セクレターゼ阻害剤は、濃度15 μmol/Kgのベンゾジアゼピン(BZ)およびジベンズアゼピン(DBZ)であった。DBZは水中0.5% (w/v)のヒドロキシプロピル(Hydoxypropyl)メチルセルロース(メトセルE4M)および0.1% (w/v)のTween 80に細かく懸濁させ、その一方でBZは6% (v/v)エタノール/94% (v/v)ラブラフィルM 1944 CSに細かく懸濁させた。
【0049】
結果
経口処置の後、動物を殺処理した。食道および腸の全体を除去し、組織学的分析に供した。
【0050】
予想通り、動物はvan Es et al, Nature 2005により記述されているように、増殖腺窩細胞の分裂終了杯細胞へのほぼ完全な転換を呈した。このことは、経口用量によって全小腸にわたりガンマ-セクレターゼが効果的に阻害されたことを示唆するものであった。その一方で、同じマウスの食道から得られた全ての組織学的データの入念な精査からは、組織像および増殖活性の変化が明らかにはならなかった。このことから、所与の条件の下で正常な食道は影響を受けておらず、ガンマ-セクレターゼ阻害に効果的に反応することのないことが明らかである。
【0051】
実験2
本発明者らは、食道と空腸との間の外科的吻合によって慢性的逆流を起こす、十分に確認されたバレットのラットモデルにおいてGSI (ガンマセクレターゼ阻害剤)の効果を調べようと努力した。4〜6ヶ月後に、これらのラットはヒトでのバレットと区別できない、遠位食道上皮の円柱状化生を一貫して呈する(Buskens et al 2006)。
【0052】
材料および方法
外科手術
全ての外科的手順はBuskens et al 2006に記述されている。ラットは胃切除術とともに端側食道空腸吻合術を受けた。吸入麻酔を誘導した(イソフルレン、N2O、およびO2)。正中線開腹術を介して、食道を食道胃接合部で横切開し、1層の連続縫合(7-Oプロレン)で空腸に端側吻合した。十分な粘膜間並置を確実とするために食道粘膜を含むよう注意した。過去の研究から、胃が原位置に残されると、胃穿孔が頻繁に生じることが明らかにされていたので、胃を切除した。このように、十二指腸食道逆流(胃酸なし)が確立された。術後すぐ、ラットに10%グルコース2 mLを皮下におよび1 mg FE+++を投与した。5〜6ヶ月後に、手術ラットは全てバレット食道を呈する。
【0053】
DBZ処置
外科手術から6ヶ月後に、DBZを5日間30マイクロモル/kg体重で実験1に記述されているように連日のIP注射により投与し、その後、ラットを殺処理した。
【0054】
組織サンプルの調製、免疫組織化学
食道を全体として解剖し、実験1に記述されているように調製した。組織学的分析は全て、実験1でのマウスの場合に記述されているように行った(上記参照)。
【0055】
結果
食道と空腸との間の外科的吻合から4〜6ヶ月後に、ラットはヒトでのバレットと区別できない、遠位食道上皮の円柱状化生を一貫して呈する(図1A/B; Buskens et al 2006)。
【0056】
用量設定研究から、本発明者らがマウスにおいて先に使用したGSIであるDBZの腹腔内注射によって、30マイクロモル/kgでの5日連日の腹腔内注射の後、ラットの小腸において効率的な杯細胞転換が引き起こされたことが明らかになった(結果は示されていない)。外科的吻合から6ヵ月後に、ラット3匹を30マイクロモル/kgでの5日間の処置計画に供し、小腸、結腸および食道の組織学的分析のため殺処理した。比較のため、同じ外科的吻合を持った対照ラット9匹に対し、同じ組織学的分析を行った。
【0057】
図1C/Dにおいて例証されるように、GSI処置は対照と比較した場合、処置ラット全3匹においてバレット上皮腺窩に劇的な効果を及ぼした。細胞周期はKi67染色によって読み取られるように、ひどく減退したのに対し、バレット腺窩は、杯細胞転換および粘液の大量分泌を示す強力なPAS染色を呈した。隣接する正常食道扁平上皮に影響は認められなかった。本発明者らは、杯細胞の死を誘導する転写因子をコードするMath1の抑制解除をNotch阻害がもたらすことを以前明らかにしている(van Es et al, 2005)。実際に、Math1発現が、GSI処置されたバレット上皮において強く上方制御された(示されていない)。
【0058】
この実験から、バレット食道におけるDBZのようなGSIによるNotch阻害が正常腸上皮に及ぼす影響を表現型模写することが明らかである。バレット患者における上粘膜塗布によるまたは粘膜下注射によるGSIの局所送達を、正常な腸に及ぼす全身送達の影響を回避しながら、増殖BE細胞の最終分化および剥脱を誘導するために今回使用する。
【0059】
実験3
患者の選択
バレット疾患を有する患者は、本明細書の記載で概略を述べた技術に基づいて選択する。
【0060】
患者の処置
記載のなかで詳細に概略されているように、多数の適当な投与経路が存在する。好ましくは、投与は局所的である。γ-セクレターゼ阻害剤を内視鏡/胃内視鏡を介して患者の粘膜組織の中に注射することにより、選択の患者をγ-セクレターゼ阻害剤で局所的に処置する。γ-セクレターゼ阻害剤の使用投与量は、使用される特異的なγ-セクレターゼ阻害剤およびその薬物動態に依る。さらに、必要に応じて(バレット食道の病期に応じて)処置を繰り返す。
【0061】
参考文献



【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1−1】正常食道扁平上皮(黒い破線の左側)およびバレット上皮(破線バーの右側)の境界での組織学的分析。図1A:KI67染色は全ての増殖細胞の核を明らかにする(扁平上皮中の基底細胞; バレット食道中の大部分の上皮細胞)。図1B:PAS染色はバレット食道中の成熟杯細胞の散在性の存在を赤で明らかにする。
【図1−2】DBZによる5日間の処置後のラットバレット上皮の組織学的分析。図1C:KI67染色は、バレット上皮中の大部分の上皮細胞がもはや増殖していないことを明らかにする。図1D:PAS染色は、粘液産生性の杯細胞へのバレット上皮の実質的に完全な転換、および大量の粘液の分泌(赤)を明らかにする。
【図2】γ-セクレターゼ阻害剤の例。
【図3】γ-セクレターゼ阻害剤の例。
【図4】γ-セクレターゼ阻害剤の例。
【図5】γ-セクレターゼ阻害剤の例。
【図6】γ-セクレターゼ阻害剤の例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物に存在するバレット食道を少なくとも部分的に減少させる方法であって、該動物においてNotch経路活性化を少なくとも部分的に阻害する段階を含む方法。
【請求項2】
リガンドを介したNotch活性化を少なくとも部分的に減少させることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
γ-セクレターゼの阻害剤を与えることによりNotch経路活性化が少なくとも部分的に阻害される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
γ-セクレターゼの阻害剤が経口製剤として与えられる、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
バレット食道の処置のための薬物の調製における、Notch経路阻害剤の使用。
【請求項6】
Notch経路阻害剤がγ-セクレターゼ阻害剤である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
薬物が経口薬である、請求項5または6記載の使用。
【請求項8】
γ-セクレターゼの阻害剤がγ-セクレターゼ活性を直接的に阻止する、請求項3または4記載の方法。
【請求項9】
γ-セクレターゼ阻害剤がγ-セクレターゼ活性を直接的に阻止する、請求項6または7記載の使用。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−518392(P2009−518392A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544277(P2008−544277)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000627
【国際公開番号】WO2007/067048
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(507152420)
【Fターム(参考)】