説明

パスワード処理装置およびパスワード処理プログラム

【課題】 パスワードの入力ミスがあっても、パスワードの不一致の形態に応じて一部使用可能な機能を許可し、使い勝手を低下させないようにする。
【解決手段】
【請求項1】 入力部9は当該機器を使用するパスワードの入力を受ける。記憶部5は、入力パスワードを本来のパスワードとの相違形態に応じて当該装置の機能動作を許可する許可機能一覧情報と、その本来のパスワードとを記憶する。機能許可部19は、入力パスワードが本来のパスワードと一致しないとき、記憶部5の許可機能一覧情報に基づきパスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する。制御部1は、機能許可部19で許可された機能許可情報に応じて当該装置の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパスワード処理装置およびパスワード処理プログラムに係り、例えば複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に用いて好適するパスワード処理装置およびパスワード処理プログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置においては、当該複合機の使用開始時に、ユーザに対してログイン情報およびパスワードの入力を求め、予め登録済みのログイン情報やパスワードの入力がなければ使用できないようにして、ランニングコストの低減やセキュリティの維持を図るケースが多い。
【0003】
ところが、複合機等を正規のユーザが使用する場合、ログイン情報はユーザの氏名、社員番号又は所属部署名等を使用する一方で、パスワードは意味のない文字列とする場合も多く、たまたまパスワードの入力ミスが生じたりパスワードをど忘れした場合、当該複合機の使用が困難となり、却って業務に支障を来す心配もある。
【0004】
そこで、例えば特開2003−30147号公報(特許文献1)のパスワード入力システム等が提供されている。
【0005】
この特許文献1は、どの程度の入力ミスまでは正当なパスワードと見なすかについての情報を登録し、ログイン時にパスワード入力ミスが発生した場合、パスワード入力ミスを許容するパスワード決定レベルの登録内容を参照し、登録された規則に該当する入力ミスであれば、本来のパスワードとみなしパスワードを決定する構成を有し、パスワード入力ミスが許容範囲内であれば、パスワード入力において入力ミスした場合でも、再度パスワード入力を求めないようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−30147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、パスワード入力において入力ミスをしてしまった場合でも、パスワードを完全に補完してしまうので、正規のパスワードを忘れてしまうおそれがあり、管理上、改善すべき点がある。
【0007】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、パスワードの入力ミスがあった場合でも、一部の機能動作の確保が可能で、使い勝手を向上させたパスワード処理装置およびパスワード処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような課題を解決するために本発明に係るパスワード処理装置は、当該機器を使用するパスワードの入力を受ける入力部と、その入力パスワードが本来のパスワードとの相違する形態に応じて許可する当該装置の機能動作を有する許可機能一覧情報および本来のパスワードを記憶する記憶部と、それら入力パスワードおよび本来のパスワードとを比較して一致しないとき記憶部の許可機能一覧情報に基づきパスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を出力する機能許可部と、その機能許可情報で許可された当該装置の機能動作を制御する制御部とを具備している。
【0009】
本発明のパスワード処理装置では、上記記憶部が当該装置のログイン情報を予め登録記憶し、上記入力部がログイン情報の入力を受け、上記機能許可部がそれら入力ログイン情報と登録ログイン情報の一致を受けてパスワードの比較をする構成も可能である。
【0010】
本発明のパスワード処理装置では、上記憶部が、それらパスワードの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可するその許可機能一覧情報を記憶する構成も可能である。
【0011】
本発明のパスワード処理装置では、上記憶部が、その重要度の低い機能動作を、課金されない機能動作又は秘匿指示のないデータを扱う機能動作としてその記許可機能一覧情報を記憶する構成も可能である。
【0012】
本発明のパスワード処理装置では、それらパスワードの不一致回数をログ情報として履歴管理する履歴管理部を有し、上記機能許可部がその履歴管理に基づき不一致回数が所定数を超えないとき相違形態に応じた機能動作を許可する構成も可能である。
【0013】
本発明のパスワード処理装置では、ネットワークを介して外部情報機器に接続される通信部を有し、上記制御部がその機能許可部からの機能許可情報をその通信部を介して外部情報機器に送信制御する構成も可能である。
【0014】
本発明のパスワード処理装置では、上記機能許可部が、予め設定された期間においてその相違形態に応じた機能動作を許可する構成も可能である。
【0015】
本発明に係るパスワード処理プログラムでは、装置に入力されたパスワードと予め記憶された本来のパスワードとが相違するとき、そのパスワードの相違する形態に応じて許可する当該装置の機能動作を有する許可機能一覧情報に基づき、その機能動作を制御する制御用コンピュータに対し、当該機器を使用するパスワードの入力を受ける入力処理と、それら入力パスワードおよび本来のパスワードとを比較して一致しないとき、記憶された許可機能一覧情報に基づきパスワード相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を出力する機能許可処理と、その機能許可情報で許可された当該装置の機能動作を制御する制御処理とを実行させるものである。
【0016】
本発明のパスワード処理プログラムでは、上記入力処理が装置のログイン情報の入力を受け、上記機能許可処理が、入力されたログイン情報と予め記憶された当該装置のログイン情報とが一致するとき、それらパスワードの比較処理を実行する構成も可能である。
【0017】
本発明のパスワード処理プログラムでは、上記許可機能一覧情報が、それらパスワードの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可する構成も可能である。
【0018】
本発明のパスワード処理プログラムでは、上記許可機能一覧情報が、重要度の低い機能動作を、課金されない動作機能又は秘匿指示のないデータを扱う動作機能とした構成も可能である。
【0019】
本発明のパスワード処理プログラムでは、それらパスワードの不一致回数をログ情報として履歴管理する履歴管理処理を実行し、その機能許可処理として履歴管理に基づき不一致回数が所定数を超えないとき、その相違形態に応じた機能許可情報の出力処理を実行する構成も可能である。
【0020】
本発明のパスワード処理プログラムでは、上記制御処理が、ネットワークを介して外部情報機器に接続される通信部を介しその機能許可情報の送信処理を実行する構成も可能である。
【0021】
本発明のパスワード処理プログラムでは、上記機能許可処理が、予め設定された期間において、その相違形態に応じた機能動作の許可処理を実行する構成も可能である。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明に係るパスワード処理装置では、入力部がパスワードの入力を受けると、機能許可部がその入力パスワードおよび本来のパスワードとを比較し、双方が一致しないとき、記憶部に記憶された許可機能一覧情報に基づきパスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を当該機能許可部が出力し、制御部がその機能許可情報で許可された当該装置の機能動作を制御するから、パスワードの入力ミスがあった場合でも、一部の機能動作の確保が可能で、使い勝手を向上させることが可能である。
【0023】
本発明において、当該装置のログイン情報を予め登録記憶し、入力されたログイン情報と登録ログイン情報とが一致するとき、それらパスワードの比較をする構成では、ログイン情報が一致するときのみ、パスワードの入力ミスがあっても一部の機能動作の確保が可能で、セキュリティの確保と業務の円滑化が可能である。
【0024】
本発明において、それらパスワードの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可する構成では、不一致の度合いの多さに応じて影響の少ない機能動作のみを実行可能にすることが可能である。
【0025】
本発明において、重要度の低い機能動作として、課金されない機能動作又は秘匿指示のないデータを扱う機能動作とする構成では、維持費の低減やセキュリティの確保が可能である。
【0026】
本発明において、それらパスワードの不一致回数をログ情報として履歴管理し、不一致回数が所定数を超えないとき、その相違形態に応じた機能動作を許可する構成では、入力パスワードの不一致が続く場合、ユーザに対して正確なパスワードの入力を促すことが可能で、セキュリティの確保に寄与する。
【0027】
本発明において、ネットワークを介して外部情報機器に対して機能許可情報を送信制御する構成では、外部情報機器においてその機能許可情報の管理が可能である。
【0028】
本発明において、予め設定された期間において、その相違形態に応じた機能動作を許可する構成では、例えば就業時間内におけるパスワードの入力ミスに対して一部の機能動作の確保が可能で、就業時間内における業務の円滑化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明に係るパスワード処理装置は複合機に搭載された状態で説明し、更に、本発明に係るパスワード処理プログラムはそのパスワード処理装置を説明する過程で説明する。
【0030】
図1は本発明に係るパスワード処理装置を搭載した複合機Aを示す概略ブロック図である。
【0031】
複合機Aは、制御部1を中心としてこれにバス接続された画像読取部3、記憶部5、表示部7、操作部9、印刷部11、履歴管理部13および通信部15を有して構成された画像形成装置である。複合機Aは、これら以外にも構成要素を有するが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。なお、制御部1の機能については後述する。
【0032】
画像読取部3は、制御部1の制御の下、原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理等した電子的画像データを印刷ジョブとして生成する公知のスキャナーであり、生成した印刷ジョブが原稿の頁毎に記憶部5に順次記憶されるようになっている。
【0033】
記憶部5は、制御部1の制御の下、画像読取部3又は通信部15からの印刷ジョブ、制御部1の動作プログラム、後述するログイン情報(ログインID)、本来のパスワード、許可機能一覧情報等を記憶する読み書き可能な例えばハードディスク(HDD)である。
【0034】
ログイン情報は、当該複合機Aの起動を許可されたユーザに割り当てられたユーザ名(氏名)、社員番号又は所属部署名等であり、本来のパスワードは、当該複合機Aの諸機能の使用を許可されたユーザに割り当てられた文字列等のパスワードであり、何れも予め記憶部5に登録記憶されている。
【0035】
許可機能一覧情報は、後述するように当該複合機Aに入力された入力パスワードと本来のパスワードとの相違の形態に応じて当該装置の機能動作を許可する機能許容機能を一覧にしたもので、予め、記憶部5に記憶されている。
【0036】
パスワードの相違形態としては、例えば、本来入力しようとした文字の隣の文字を入力したり、大文字を小文字で入力したり、英文字をカナ文字で入力して文字自体を誤った場合、入力文字数が不足する場合、有効期限を超えたパスワードを入力した場合等、種々の形態がある。経験上、1文字とか2文字の入力文字自体を誤る場合が多いと推定される。
【0037】
そこで、許可機能一覧情報としては、例えば図2に示すように、入力パスワードと本来のパスワードとの相違形態と、この相違形態に応じて当該複合機Aで動作させことを許可する機能動作とを対応付けた一覧が可能である。
【0038】
図2に示す一覧は、パスワードどうしで2文字相違の場合に「モノクロ複写(課金なし)」動作を許可し、1文字相違の場合に「カラー複写(課金あり)」動作を許可し、中間文字の1文字相違の場合に「電子メール受信」動作を許可し、大文字小文字の1文字相違の場合に「電子メール送信(秘匿データ扱)」動作を許可する設定である。
【0039】
すなわち、入力文字の不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作、例えば課金されない「モノクロ複写」機能動作が許可される一方、不一致の度合いの少なさに応じて重要度の高い機能動作、例えば課金される「カラー複写」機能動作や秘匿指示のあるデータを扱う「電子メール送信」機能動作が許可されている。
【0040】
なお、「パスワード閲覧、変更」や「システム閲覧、変更」は完全一致の場合にのみ許可するように設定されている。
【0041】
このように、許可機能一覧情報は、入力パスワードと本来のパスワードとの不一致の形態、例えば度合いの多寡に応じて重要度の低い又は高い機能動作を許可する基準を指示するとともに、その機能動作を指示するレベル基準である。
【0042】
表示部7は、複合機Aに配置された公知の液晶ディスプレイ等であり、複合機Aにおける動作上の諸データを表示する他、上述した許可機能一覧情報および画像データに加えて、図3に示すように、後述するようにパスワードが相違した場合にその旨を表示する機能を有している。詳細は後述する。
【0043】
なお、図3中の符号7a、7bは処理をキャンセルして元に戻す「前」ボタンと、処理を進める「次」ボタンである。
【0044】
操作部9は、複合機Aに配置された例えばタッチパネルスイッチ等の入力部であり、複合機Aに対して文字等の符号入力や、上述したログイン情報(ログインID)、パスワードの入力を受ける入力部であり、入力された符号、ログイン情報およびパスワードが制御部1に出力される。
【0045】
印刷部11は、制御部1に制御の下、印刷ジョブから画像イメージデータを作成展開して印刷用紙にモノクロ又はカラー印刷して画像形成する公知の印刷エンジンである。
【0046】
履歴管理部13は、後述するように、入力パスワードが本来のパスワードと一致しない不一致回数をログ情報としてカウントして履歴管理し、不一致回数が予め設定された回数を超えたとき、制御部1に超過情報を出力する機能を有している。
【0047】
通信部15は、制御部1の制御の下、ネットワーク17を介して外部の上位情報処理機器例えばサーバBや図示しない複合機に接続されており、所定のデータ伝送プロトコルに従い、上述した機能許可情報を送信するとともに、その図示しない複合機との間で電子メールやファクシミリを送信受信するインターフェースである。データ転送プロトコルとしては、例えばTCP/IP((simple network management protocol)、その他の使用が可能である。
【0048】
なお、通信部15は、当該複合機Aがネットワーク17を介してサーバB等に接続されたとき、所定のアドレス等によってサーバB等との間で自動的に接続が構築される。
【0049】
制御部1は、CPU、このCPUの起動プログラムを記憶したROMその他を有し、記憶部5に記憶されたアプリケーションプログラムによって画像読取部3、記憶部5、表示部7、操作部9、印刷部11、履歴管理部13および通信部15を制御するとともに、以下の機能を有している。
【0050】
制御部1は、上述したアプリケーションプログラムや図示しない設定情報に基づき、画像読取部3や通信部15からの印刷ジョブを記憶部5に記憶制御するとともに、その印刷ジョブを印刷部11に渡して印刷制御(画像形成制御)する機能を有している。
【0051】
制御部1は、操作部9からの入力ログイン情報と記憶部5の登録ログイン情報とが一致し、しかも、操作部9からの入力パスワードおよび記憶部5にある当該ログイン情報に対応する本来のパスワードとを比較して一致しないとき、記憶部5の許可機能一覧情報に基づきそれらパスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を出力する機能許可部19としての機能を有している。
【0052】
なお、パスワードどうしが一致する場合には、図2の完全一致の機能動作を含めて所望の動作が確保される一方、入力ログイン情報と登録ログイン情報とが不一致のときは、機能許可部19にてパスワードの比較がなされない。
【0053】
すなわち、機能許可部19は、入力ログイン情報と登録ログイン情報とを比較して互いに一致するとき、入力パスワードと本来のパスワードとの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可指定する機能許可情報を制御部1に出力し、制御部1は、その機能許可情報に応じて当該装置の動作の実行を制御する機能を有している。
【0054】
制御部1は、上述した図2に示すように、パスワードどうしで相違文字数が2文字であれば、機能許可情報「モノクロ印刷」に基づき「モノクロ印刷」動作を実行制御し、1文字相違であれば機能許可情報「カラー複写」に基づき「カラー印刷」を実行制御し、1文字相違であっても中間文字相違や大文字小文字の相違であれば機能許可情報「電子メール受信」又は「電子メール送信」に基づき「電子メール送信受信」を実行制御する機能を有している。
【0055】
制御部1は、履歴管理部13からの超過情報を得たとき、すなわち一致しない回数が所定数を超えたとき、機能動作を許可しないように形成されている。換言すれば、制御部1は、不一致回数が所定数を超えないとき、相違形態に応じた機能動作を許可するように形成されている。
【0056】
さらに、制御部1は、機能許可部19からの機能許可情報を通信部15を介してサーバBに送信制御する機能も有している。
【0057】
次に、本発明に係るパスワード処理装置の動作を図4のフローチャートを参照して簡単に説明する。なお、ログイン情報、本来のパスワードおよび許可機能一覧情報が予め登録記憶されているとして説明する。
【0058】
まず、ステップS1にて複合機Aが操作部9からログイン処理(起動)要求を受けたとき、ステップS2にて制御部1が表示部7にログイン情報とパスワードの入力画面を表示する。
【0059】
そして、ステップS3にて操作部9がログイン情報およびパスワードの入力を受けると、ステップS4にて制御部1が入力ログイン情報と同一のログイン情報が記憶部5に登録されているか否か判別し、登録ログイン情報がなくてステップS4がNOであれば、ステップS2に戻ってログイン情報とパスワードの入力を待つ。
【0060】
この段階で、フローチャートでの図示は省略するが、制御部1は、表示部7を制御し、図3Aに示すように、例えば「ログイン情報が相違します。再度ログイン情報を入力して下さい。」といった表示を実行し、「前」ボタン7aが操作されれば処理ループを抜けることになる。
【0061】
ログイン情報が登録済みであってステップS4がYESであれば、ステップS5にて制御部1が入力パスワードが登録されたログイン情報に対応する本来のパスワードに一致するか否か判別する。
【0062】
入力パスワードと登録済みの本来のパスワードとが全て一致してステップS5がYESであれば、ステップS6にて制御部1が当該複合機Aの全ての機能許可状態を形成して実行制御し、ステップS9に移る。
【0063】
入力パスワードと登録済みの本来のパスワードとの符号が全て一致せずに、ステップS5がNOであれば、ステップS7にて制御部1が許可機能一覧情報を参照し、不一致の形態に該当する許可機能動作のある許可範囲か否か判別し、許可範囲以外でステップS7がNOであれば、ステップS2に戻ってログイン情報とパスワードの入力を待つ。
【0064】
許可範囲以内でステップS7がYESであれば、ステップS8に移って制御部1が入力パスワードと本来のパスワードとの一致範囲に応じた機能実行可能状態を形成して実行制御し、ステップS9に移る。
【0065】
この段階でもフローチャートでの図示は省略するが、制御部1は、表示部7を制御し、図3Bに示すように、例えば「パスワードが2文字相違しますが、モノクロ印刷の実行は可能です。」といった表示を実行し、「前」ボタン7aが操作されれば処理ループを抜けることになり、「次」ボタン7bが操作されれば実行されることになる。
【0066】
ステップS9では、制御部1が機能許可情報を通信部15からサーバBに送信処理して終了する。
【0067】
これらの処理が本発明のパスワード処理プログラムによって実行される。
【0068】
このように、本発明に係るパスワード処理装置は、当該複合機(電子機器)Aを使用するパスワードおよびログイン情報の入力を受ける操作部(入力部)9と、その入力パスワードが本来のパスワードと相違する形態に応じて許可する当該複合機Aの機能動作を有する許可機能一覧情報、本来のパスワードおよびログイン情報を記憶する記憶部5と、それら入力ログイン情報と登録ログイン情報が一致しても、それらパスワードを比較して一致しないとき記憶部5の許可機能一覧情報に基づきパスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を出力する機能許可部19と、その機能許可情報で許可された当該装置の機能動作を制御する制御部1とを具備している。
【0069】
そのため、パスワードの入力ミスがあった場合でも、許可機能一覧情報に該当するパスワードの相違形態であれば、複合機Aへログインして該当する一部の機能動作の実行が可能となる。
【0070】
従って、複合機Aの使い勝手を向上させることが可能であるし、ログイン情報が一致するときのみ一部の機能動作の確保が可能であるから、セキュリティの確保も可能である。もっとも、本発明においては、少なくともパスワードの相違形態を判別する構成により、本発明の目的達成が可能である。
【0071】
また、それらパスワードの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可するから、不一致の度合いの多さに応じて影響の少ない機能動作のみを実行可能にすることが可能で、複合機Aの管理が容易である。
【0072】
さらに、重要度の低い機能動作として、課金されない機能動作又は秘匿指示のないデータを扱う機能動作とするから、特に、維持費の低減やセキュリティの確保が可能となる。
【0073】
また、上記パスワードの不一致回数をログ情報として履歴管理し、不一致回数が所定数を超えない範囲で、その相違形態に応じた機能動作を許可するから、入力パスワードの不一致が続く場合、それまで許可していた機能動作を拒否することが可能となり、ユーザに対して正確なパスワードの入力を間接的に促すことが可能で、セキュリティの確保に寄与する。
【0074】
また、ネットワークを介して外部情報機器に対して機能許可情報を送信制御するから、外部情報機器においてその機能許可情報に管理が可能である。
【0075】
なお、本発明のパスワード処理装置において、ログイン情報およびパスワードの入力は操作部9からの入力に限らず、例えば、通信部15を介した外部から入力する構成も実施可能である。
【0076】
ところで、本発明のパスワード処理装置では、予め設定された期間例えば午前9時から午後5時といった就業期間内において、機能許可部19からの機能許可情報を出力する構成、換言すれば、就業期間外において、機能許可部19からの機能許可情報の出力を禁止し、当該装置の動作機能を停止制御するよう制御部1を形成することが可能である。
【0077】
このような構成では、就業時間内におけるパスワードの入力ミスに対して一部の機能動作の確保が可能で、就業時間内における業務の円滑化に寄与することが可能である。なお、予め設定される期間は就業期間に限定されず任意である。
【0078】
そして、本発明に係るパスワード処理装置は、複合機Aに限らず、複写機、コンピュータ、PDA(personal digital assistant)等の種々の電子機器に搭載して実施可能である。
【0079】
また、本発明に係るパスワード処理プログラムにおいても、上述した本発明のパスワード処理装置と同様に効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るパスワード処理装置を搭載した複合機の概略を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る複合機における許可機能一覧を示す図である。
【図3】本発明の複合機における表示部を示す図である。
【図4】本発明に係るパスワード処理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 制御部
3 画像読取部
5 記憶部
7 表示部
9 操作部(入力部)
11 印刷部
13 履歴管理部
15 通信部
17 ネットワーク
19 機能許可部
A 情報形成装置(複合機)
B サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該機器を使用するパスワードの入力を受ける入力部と、
前記入力パスワードが本来のパスワードと相違する形態に応じて許可する当該装置の機能動作を有する許可機能一覧情報および前記本来のパスワードを記憶する記憶部と、
前記入力パスワードおよび本来のパスワードとを比較して一致しないとき、前記記憶部の前記許可機能一覧情報に基づき前記パスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を出力する機能許可部と、
前記機能許可情報で許可された当該装置の機能動作を制御する制御部と、
を具備することを特徴とするパスワード処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は当該装置のログイン情報を予め登録記憶し、前記入力部はログイン情報の入力を受け、前記機能許可部は、前記入力ログイン情報と登録ログイン情報とが一致するとき、前記パスワードの比較をする請求項1記載のパスワード処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記パスワードの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可する前記許可機能一覧情報を記憶する請求項1又は2記載のパスワード処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記重要度の低い機能動作を、課金されない機能動作又は秘匿指示のないデータを扱う機能動作とした前記許可機能一覧情報を記憶する請求項3記載のパスワード処理装置。
【請求項5】
前記パスワードの不一致回数をログ情報として履歴管理する履歴管理部を有し、前記機能許可部は前記履歴管理部の履歴管理に基づき前記不一致回数が所定数を超えないとき、前記相違形態に応じた前記機能動作を許可する請求項1〜4いずれか1記載のパスワード処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して外部情報機器に接続される通信部を有し、前記制御部は、前記機能許可部からの前記機能許可情報を前記通信部を介して前記外部情報機器に送信制御する請求項1〜5いずれか1記載のパスワード処理装置。
【請求項7】
前記機能許可部は、予め設定された期間において、前記相違形態に応じた前記機能動作を許可する請求項1〜6いずれか1記載のパスワード処理装置。
【請求項8】
装置に入力されたパスワードと予め記憶された本来のパスワードとが相違するとき、前記パスワードの相違する形態に応じて許可する当該装置の機能動作を有する許可機能一覧情報に基づき、前記機能動作を制御する制御用コンピュータに対し、
当該機器を使用するパスワードの入力を受ける入力処理と、
前記入力パスワードおよび本来のパスワードとを比較して一致しないとき、記憶された前記許可機能一覧情報に基づき前記パスワードの相違形態に応じた機能動作を許可する機能許可情報を出力する機能許可処理と、
前記機能許可情報で許可された当該装置の機能動作を制御する制御処理と、
を実行させることを特徴とするパスワード処理プログラム。
【請求項9】
前記入力処理は当該装置のログイン情報の入力を受け、前記機能許可処理は、入力されたログイン情報と予め記憶された当該装置のログイン情報とが一致するとき、前記パスワードの比較処理を実行する請求項8記載のパスワード処理装置。
【請求項10】
前記許可機能一覧情報は、前記パスワードの不一致の度合いの多さに応じて重要度の低い機能動作を許可する請求項8又は9記載のパスワード処理プログラム。
【請求項11】
前記許可機能一覧情報は、前記重要度の低い機能動作を、課金されない動作機能又は秘匿指示のないデータを扱う動作機能としたものである請求項10記載のパスワード処理プログラム。
【請求項12】
前記入力パスワードが前記パスワードの不一致回数をログ情報として履歴管理する履歴管理処理を実行し、前記機能許可処理として前記履歴管理に基づき前記不一致回数が所定数を超えないとき、前記相違の度合いに応じた前記機能許可情報の出力処理を実行する請求項8〜11いずれか1記載のパスワード処理プログラム。
【請求項13】
前記制御処理は、ネットワークを介して外部情報機器に接続される通信部を介し前記機能許可情報の送信処理を実行する請求項8〜12いずれか1記載のパスワード処理プログラム。
【請求項14】
前記機能許可処理は、予め設定された期間において、前記相違形態に応じた前記機能動作の許可処理を実行する請求項8〜13いずれか1記載のパスワード処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−116715(P2009−116715A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290364(P2007−290364)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】