パターン形成方法
【課題】感光速度調節が可能なポジティブタイプのフォトレジスト組成物を利用して、リフトオフなどの特殊な工程に適したアンダーカット形態のプロファイルを安定的に形成するパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】本発明はリフトオフ工程に適用することができるアンダーカット形態のプロファイルを形成する表示素子用パターン形成方法に関するものである。本発明は特定構造のポリマー化合物を使用して感光速度を急速にすることによって、多層フォトレジスト層を形成する時、容易にアンダーカット形態のプロファイルを形成することができ、その結果、リフトオフ工程の適用が容易で、厚さの厚いパターンを形成することもでき、工程中、エッチング工程を省略することができるため、工程単純化を実現することができる。
【解決手段】本発明はリフトオフ工程に適用することができるアンダーカット形態のプロファイルを形成する表示素子用パターン形成方法に関するものである。本発明は特定構造のポリマー化合物を使用して感光速度を急速にすることによって、多層フォトレジスト層を形成する時、容易にアンダーカット形態のプロファイルを形成することができ、その結果、リフトオフ工程の適用が容易で、厚さの厚いパターンを形成することもでき、工程中、エッチング工程を省略することができるため、工程単純化を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は素子用パターン形成方法に関し、より詳しくは感光速度が異なる多層のフォトレジストを形成した後、感光速度の差を利用してアンダーカット形態のプロファイルを形成し、リフトオフ(lift-off)工程を使用して多層のフォトレジストを除去することによって、厚さが厚い場合にも精巧なパターン形成が可能で、別途のエッチング工程がなくても湿式工程のみ行った後、直ちに金属蒸着工程を行うことができるため、工程単純化を実現することができるパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多層のポリマー層を利用した方法としては、第1層にポリメチルメタクリレート(PMMA)のような特殊高分子層を使用し、第2層に一般のフォトレジストを使用する方法が提案されていた。しかし、前記方法は、第1層の高分子層が露光特性を有していないため、現像液の種類、濃度、及び現像時間でプロファイルを調節しなければならない難しさがあった。
【0003】
また、前記第1層は光に反応するのではなく、単に現像液によってパターンを形成するため、不安定な要因になり得る。
【0004】
また、一般にフォトレジスト組成物中には約15〜30重量%のノボラック樹脂が含まれるが、従来第1フォトレジスト層に含まれる高分子が、第2フォトレジスト層を形成する時に第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に溶解されて、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層において内部混合が行われる。このような理由で、第1フォトレジスト層の感光速度と第2フォトレジスト層の感光速度が平均化されるため、個別的なフォトレジスト層の感光速度及び物性を有することはできない。したがって、第1フォトレジスト層がなくなったり、その厚さが顕著に減少して、意図した感光速度を有することができず、その結果、意図したパターンプロファイルを安定的に形成することもできない。
【0005】
したがって、このような問題を解決するために、従来は多層ポリマー層を形成する場合、一般に第1層と第2層のフォトレジスト層の間に絶縁膜や金属膜などを含ませる。前記絶縁膜や金属膜などがフォトレジスト層の間に含まれる理由は、第1フォトレジスト層に第2フォトレジスト組成物をコーティングする時、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒などに溶解されて第1フォトレジスト層がなくなったり薄くなったりして、その役割を果たすことができないためである。しかし、前記方法の場合、絶縁膜や金属膜形成工程がさらに追加されなければならないため、工程が複雑になる。
【0006】
また、逆テーパ形態のプロファイルを形成した後、リフトオフしてパターンを形成する方法も提案されている。例えば、ポジティブタイプフォトレジストを使用してイメージリバーサル法で逆テーパ形状のレジストパターンを形成する方法が知られている。しかし、前記イメージリバーサル法は操作が複雑で温度許容範囲が狭くなって、良好な形状のレジストパターンを得ることが難しかった。
【0007】
また、ネガティブタイプのレジスト組成物を利用して逆テーパ形状のパターンを形成する方法が提案されている。前記ネガティブタイプレジスト組成物を使用すると、リフトオフ法に適した逆テーパ形状のパターンを形成することはできるが、耐熱性及びエッチング耐性が不足するといった弱点を有している。
【0008】
下記特許文献1は、ポジティブタイプの逆テーパパターン形成用フォトレジスト組成物を開示している。前記方法は好適な逆テーパ形状のパターンを形成してリフトオフ工程に適用することができるが、Eop露光量の1.5倍で露光しなければならない弱点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005-0083314号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来技術の問題を考慮して、本発明は感光速度調節が可能なポジティブタイプのフォトレジスト組成物を利用して、リフトオフなどの特殊な工程に適したアンダーカット形態のプロファイルを安定的に形成するパターンの形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために本発明は、(a)基板上に第1フォトレジスト層を形成する段階;(b)前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト層を形成する段階;及び(c)前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層を露光及び現像して、アンダーカット形状を有するレジストパターンを形成する段階を含み、前記第1フォトレジスト層は下記化学式1で示される化合物を利用して形成され、前記第2フォトレジスト層は前記第1フォトレジスト層より感光速度が遅い、パターン形成方法である。
【化1】
[但し、前記式で、R1乃至R3はそれぞれ独立的に水素または炭素数1乃至10のアルキル基であり、nは10乃至1000の定数である。]
【0012】
また、前記パターン形成方法は、前記(c)段階の後に、(d)前記レジストパターンの上に金属を蒸着する段階;及び(f)前記金属が蒸着されたレジストパターンで前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層をリフトオフ工程でストリップする段階をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1B】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1C】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1D】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1E】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1F】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図2A】実施例1の第1フォトレジスト層の厚さが1500nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが500nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図2B】実施例1の第1フォトレジスト層の厚さが1500nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが500nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3A】実施例2の第1フォトレジスト層の厚さが800nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3B】実施例2の第1フォトレジスト層の厚さが800nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図4】比較例1による方法で製造されたパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明は、多層フォトレジスト層を利用したパターンを形成する時、第1フォトレジスト層に対し第2フォトレジスト層と比べて感光速度に差を設けることによって、アンダーカット形状のパターンを形成することができる。言い換えると、本発明は第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の感光速度の差が生じるように、各層を形成する時に使用するフォトレジスト組成物の構成を異ならせる。したがって、第2フォトレジスト層の感光速度は第1フォトレジスト層より遅くなり、前記二つの層の露光及び現像でレジストパターンがアンダーカット形状のプロファイルになる。また、本発明はアンダーカット形状のパターンでリフトオフ工程を利用して二層のフォトレジスト層を除去して、表示素子用パターンを容易に形成することができる。
【0016】
このために、本発明は多層ポリマーを形成する時に使用するフォトレジスト組成物のうち、基板に先に形成される第1フォトレジスト層に前記化学式1の化合物を使用することを特徴とする。
【0017】
前記化学式1の化合物は、重量平均分子量が8000乃至15000であるのが好ましい。
【0018】
前記化学式1の化合物は、一般のノボラック構造で水素が位置する部分にフェノール基が置換されていることが特徴の1つであり、構造的に耐熱性及び耐溶剤性が向上するため、第2フォトレジスト組成物をコーティングする時、溶剤に対する耐性を有する。
【0019】
前記化学式1の使用によって、本発明は第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト組成物をコーティングしても第1フォトレジスト層が第2フォトレジスト組成物の溶媒に溶解されず、たとえ溶解されるとしても非常に少量が溶解されるので、追加工程なくその後の段階を進めることができる。
【0020】
また、第1フォトレジスト層が従来と異なって露光特性を有しているため、安定したパターンを形成することができる。したがって、本発明は従来のように第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層の間に一般の絶縁膜や金属膜などが形成されなくてもよく、その結果、工程を一段階減らして工程単純化を実現することができる。この時、前記「リフトオフ工程」とは、あるパターンを形成するためにエッチングマスクとして利用するために形成したフォトレジストパターンを含んで全面に物質層を形成した後、前記フォトレジストパターンを基板から除去することによって、前記フォトレジストパターン上部に形成された物質層が共に除去されて、所定のパターンを形成する方法を意味する。
【0021】
以下、本発明によるパターン形成方法の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0022】
本発明のパターン形成方法は、(a)基板上に前記化学式1の化合物を利用して第1フォトレジスト層を形成する段階;(b)前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト層を形成する段階;及び、(c)前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層を露光及び現像してアンダーカット形状のレジストパターンを形成する段階を含む。
【0023】
また、LCD及び半導体工程を行う時、リフトオフ工程を行うので、フォトレジストのパターンが形成された後、金属膜を蒸着し、その後、フォトレジストをストリップする工程を含むのが好ましい。したがって、本発明のパターン形成方法は、前記(c)段階の後に、(d)前記レジストパターン上に金属を蒸着する段階;及び(f)前記金属が蒸着されたレジストパターンで第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層をリフトオフ工程でストリップする段階をさらに含むことができる。図1A乃至図1Fは本発明のパターン形成方法の一実施例による過程を順次、簡略に示す図面である。
【0024】
図1Aに示したように、(a)段階は基板10上にポジティブタイプの第1フォトレジスト組成物をコーティングして、仮硬化(Primarily Curing)によって第1フォトレジスト層20を形成する段階である。
【0025】
この時、前記ポジティブタイプの第1フォトレジスト組成物は前記化学式1の化合物を含み、前記化学式1の化合物は第1フォトレジスト層が第2フォトレジスト層より速い感光速度を有するようにする役割を果たし、これと共に第2フォトレジスト組成物の有機溶媒に対する耐性を目的として使用される。つまり、前記化学式1の化合物は第1フォトレジスト組成物に含まれて、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に対する耐性を高めてアンダーカット形態のプロファイルを得ることができ、厚さが厚くても精巧なパターンを形成することができる。また、本発明はアンダーカット形状のレジストパターンを形成することができ、別途のエッチング工程がなくても湿式工程のみ行った後、直ちに金属蒸着工程を行うことができるため、工程が単純で費用節減の効果もある。
【0026】
結論的に、第1フォトレジスト層の最も重要な要素は、前記化学式1の化合物が感光特性を有しながら耐溶剤性が優れることから、第2フォトレジスト層を形成する時、溶剤による内部混合が行われないということである。
【0027】
この時、前記第1フォトレジスト組成物は、前記化学式1の化合物の他にジアジド系感光性化合物を含む感光性物質及び有機溶媒を含む。
【0028】
前記化学式1の化合物の含有量は適正な感光速度及び基板にフォトレジストを塗布する工程を考慮して、組成物全体に対して10乃至30重量%使用するのが好ましい。
【0029】
前記ジアジド系感光性化合物は、組成物全体に対して2乃至10重量%で使用するのが好ましい。前記ジアジド系感光性化合物の含有量が2重量%未満であれば、安定したパターンプロファイルを有しない問題があり、10重量%を超えると、フォトレジストの保管安定性が低下する問題がある。前記ジアジド系感光性化合物は、ポリヒドロキシベンゾフェノン、1,2-ナフトキノンジアジド、及び2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸などの化合物を反応させて製造することができる。例えば、前記ジアジド系感光性化合物は、トリヒドロキシベンゾフェノンと2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸をエステル化反応させて製造された2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩;またはテトラヒドロキシベンゾフェノンと2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸をエステル化反応させて製造された2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩であってもよく、これらは単独または混合して使用することができる。好ましくは、前記ジアジド系感光性化合物は、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩40乃至60重量部及び2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩60乃至40重量部の比率で混合して使用することができる。
【0030】
前記有機溶媒は組成物全体に対して残部として含むことができ、好ましくは60乃至80重量%で使用される。前記有機溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、2-メトキシ酢酸エチル(MMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及び1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)からなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0031】
この他、本発明の第1フォトレジスト組成物は必要に応じて感度増進剤、着色剤、染料、擦痕防止剤、可塑剤、接着促進剤及び界面活性剤からなる群より1種以上選択される添加剤をさらに添加して性能向上を図ることもできる。
【0032】
このような本発明の第1フォトレジスト組成物の感光速度は5mJ乃至100mJの範囲を有することができる。但し、本発明では、感光速度の差は第1フォトレジスト層が第2フォトレジスト層に比べて相対的に速ければよく、第1フォトレジスト組成物の感光速度の範囲が必ずしも前記範囲に限定されるわけではない。
【0033】
また、フォトレジスト層の厚さは使用用途及び工程に応じて広範囲に適用することができ、好ましく第1フォトレジスト層の厚さは200〜1500nmであり得る。また、仮硬化条件は90〜110℃で60〜120秒間行うことができる。
【0034】
前記基板としては通常のガラス基板またはプラスチック基板を使用することができ、その上にはシリコン、アルミニウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、モリブデン、二酸化シリコン、ドーピングされた二酸化シリコン、窒化シリコン、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、及び重合性樹脂からなる群より選択される物質が蒸着されることができる。
【0035】
その後、(b)段階では第1フォトレジスト層20上に第2フォトレジスト組成物をコーティングして仮硬化して、第2フォトレジスト層30を形成する(図1B)。前記第2フォトレジスト組成物はアルカリ可溶性樹脂であるノボラック樹脂、ジアジド系感光性化合物を含む感光性物質及び有機溶媒を含むことができる。
【0036】
前記ノボラック樹脂は、前記化学式1を除いた、一般に使用されるすべてのノボラック樹脂を含むことができ、例えば、メタクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、パラクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、レゾルシノールを使用したノボラック樹脂、サリチル酸アルデヒドとベンジルアルデヒドを反応させて製造したノボラック樹脂などをすべて使用することができる。
【0037】
前記ノボラック樹脂は通常のフェノール化合物とアルデヒド化合物を酸触媒下で縮合反応させて製造したものを使用することができる。前記ノボラック樹脂は重量平均分子量3000乃至30000であるのが好ましい。前記酸触媒としては硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸などがある。
【0038】
前記ノボラック樹脂の含有量は第2フォトレジスト組成物全体に対して10乃至30重量%を使用するのが好ましい。
【0039】
前記ジアジド系感光性化合物は組成物全体に対して2乃至10重量%を使用するのが好ましい。前記ジアジド系感光性化合物の含有量が2重量%未満であれば、安定したパターン形成に問題があり、10重量%を超えると、貯蔵安定性に重大な問題がある。前記ジアジド系感光性化合物は、第1フォトレジスト組成物に含まれる成分と同一のものを使用することができる。
【0040】
前記有機溶媒は組成物全体に対して残部として含むことができ、好ましくは60乃至90重量%使用される。前記有機溶媒は第1フォトレジスト組成物に使用されたものと同様に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、2-メトキシ酢酸エチル(MMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及び1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)からなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0041】
第2フォトレジスト組成物もまた、必要に応じて感度増進剤、着色剤、染料、擦痕防止剤、可塑剤、接着促進剤及び界面活性剤からなる群より1種以上選択される添加剤をさらに添加して性能向上を図ることもできる。
【0042】
このような本発明の第2フォトレジスト組成物の感光速度は10mJ乃至300mJの範囲を有し、第1フォトレジスト組成物より遅い感光速度を示す。
【0043】
この時、フォトレジスト層の厚さは使用用途及び工程に応じて広範囲に適用することができ、好ましくは第2フォトレジスト層の厚さは200〜1700nmであり得る。また、仮硬化条件は90〜110℃で60〜120秒間行うことができる。
【0044】
また、(c)段階ではパターンのあるマスク40を使用して露光した後(図1C)、現像を行う。この時、本工程では第1フォトレジスト層20と第2フォトレジスト層30の感光速度の差によってアンダーカット断面が形成される(図1D)。つまり、前記化学式1を使用する(a)段階及び一般ノボラック樹脂を使用する(b)段階の遂行によって、基板上に第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層が形成された後、感光速度の差によってアンダーカット断面が形成される。また、本発明において感光速度は高分子樹脂だけでなく、ジアジド化合物の種類及び含有量がより大きく作用されることもある。
【0045】
前記で露光条件は通常の方法で行うことができ、例えば、光、特に紫外線により露光させることによって、目的とする形態のパターンを形成することができる。このように露光された基板をアルカリ性現像水溶液に十分に浸漬させた後、光に露出された部位の各フォトレジスト層が全部またはほとんど大部分溶解されるまで放置する。この時、前記現像水溶液は一定濃度のアルカリ水酸化物、水酸化アンモニウムまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)を含有する水溶液を使用するのが好ましい。
【0046】
また、本発明によるパターン形成方法は、(c)段階の後に、上述した(d)段階の金属蒸着、及び(f)段階のフォトレジスト層のストリップ段階をさらに行うことができ、このような段階を経て所望の形状のパターンを完成することができる。また、必要に応じて、前記(d)段階の金属蒸着段階は省略することもできる。
【0047】
したがって、(d)段階を行う場合、前記(c)段階で形成されたアンダーカット断面に基づいて金属を蒸着して金属層50を形成する(図1E)。
【0048】
金属蒸着によってレジストパターン上に金属層が形成される。この時、蒸着可能な金属の厚さは第1フォトレジスト層の厚さによって調整することができる。また、蒸着される金属の種類もまた通常のものを使用することができ、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロム、銅、白金、酸化インジウム錫(ITO)などを使用することができる。
【0049】
(f)段階は、前記金属の蒸着が完了した後、第1フォトレジスト層20と第2フォトレジスト層30を一般のストリッパーなどを利用してリフトオフ工程で除去する段階であり、その結果、基板10上には金属50のみ残ってパターンが形成される(図1F)。つまり、前記リフトオフ工程を行えば、第2フォトレジスト層の除去と共に、その上に形成された金属層も除去される。
【0050】
以上のように、本発明は前記方法で製造されたパターンを利用して、半導体素子または多様な表示素子に適用される導電性パターンを形成することができ、特に、厚さの厚い場合にも形状が良好で精巧なパターン形状を有する表示素子を提供することができる。上記表示素子の例を挙げると、液晶表示素子、電界発光素子、プラズマディスプレイパネルなどがある。
【0051】
本発明は、前記化学式1の化合物を利用して第1フォトレジスト層を形成することによって、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に対する耐性を高めてアンダーカット形態のプロファイルを得ることができ、厚さが厚い場合にも精巧なパターンを形成することができる効果がある。また、別途のエッチング工程がなくても湿式工程のみ行った後、直ちに金属蒸着工程を行うことができるため、工程単純化による費用を節減することができる効果がある。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記実施例は本発明の理解のために例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例に限定されるわけではない。
【0053】
実施例1
図1A乃至図1Fに示す順に表示素子用パターンを形成した。つまり、ガラス基板上に第1フォトレジスト組成物をコーティングし、90〜110℃で110秒間の仮硬化を行って、厚さ1500nmの第1フォトレジスト層を形成した。その後、前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト組成物をコーティングし、90〜110℃で110秒間仮硬化を行って、厚さ500nmの第2フォトレジスト層を形成した。
【0054】
ここで、第1フォトレジスト組成物は、前記化学式1(n=400)の化合物20重量%、ジアジド系感光性化合物として2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩4重量%及びPGMEA76重量%を含む。
【0055】
また、第2フォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂20重量%、ジアジド系感光性化合物として2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩5重量%及びPGMEA75重量%を含む。この時、ノボラック樹脂としてメタクレゾール:パラクレゾールの比率が4:6で重量平均分子量が6000であるものを使用した。
【0056】
その後、パターンを有するマスクを使用して第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層を紫外線で露光し、現像液として2.38重量%のTMAHを使用して現像した。この時、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層の感光速度の差によってアンダーカット断面が形成された。このように形成されたアンダーカット形状のパターン断面を図2A及び図2Bに示した。
【0057】
その後、アンダーカット断面に基づいてアルミニウムを蒸着し、金属層を形成した。蒸着が完了した後、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層をストリッパー(トンジンセミケム製品)で除去して基板上に金属のみ含まれたパターンを形成した。
【0058】
実施例2
第1フォトレジスト層の厚さを800nmにし、第2フォトレジスト層の厚さを1700nmにしたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施した。この時のアンダーカット形状のパターン断面を図3A及び図3Bに示した。
【0059】
比較例1
第1フォトレジスト層の高分子樹脂として前記化学式1の化合物の代わりにメタクレゾール:パラクレゾールの比率が6:4で、重量平均分子量が15000である通常のノボラック樹脂を使用し、第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の厚さをそれぞれ800nm及び1700nmにしたことを除いては、実施例1と同様な方法で実施した。
【0060】
比較例2
第1フォトレジスト層の高分子樹脂として前記化学式1の化合物の代わりにメタクレゾール:パラクレゾールの比率が6:4で、重量平均分子量が8000である通常のノボラック樹脂を使用し、第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の厚さをそれぞれ800nm及び1700nmにしたことを除いては、実施例1と同様な方法で実施した。
【0061】
比較例3
第1フォトレジスト層の高分子樹脂として前記化学式1の化合物の代わりにメタクレゾール:パラクレゾールの比率が4:6で、重量平均分子量が6000である通常のノボラック樹脂を使用し、第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の厚さをそれぞれ800nm及び1700nmにしたことを除いては、実施例1と同様な方法で実施した。
【0062】
実験例
前記実施例1-2及び比較例1-3に対して、厚さ安定性及びパターン形成傾向を測定し、その結果を以下の表1に示した。この時、厚さはNANOSPEC 3000(NANO metrics社製品)装置を利用して測定した。また、厚さ安定性及びパターン形成評価の基準は次の通りである。
【0063】
厚さ安定性◎:厚さ分布(thickness distribution)が30nm以下であった。
厚さ安定性○:厚さ分布が30〜100nmであった。
厚さ安定性×:厚さ分布が100nm以上であった。
パターン形成◎:第1層と第2層の露光特性が実現された。
パターン形成△:パターンは形成されたが、第1層の露光特性は実現されなかった。
パターン形成×:厚さ分布が大きすぎて、パターンが形成されなかった。
【0064】
【表1】
【0065】
前記表1の結果から、実施例1及び2はパターン形成と厚さ安定性の全てにおいて優れた効果を示したが、比較例1の場合、パターン形成と厚さ安定性が実施例1及び2に比べて不良であることが分かる。また、比較例2と比較例3の場合も、第2フォトレジスト組成物をコーティングする時、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒によって第1フォトレジスト層が溶解されて全体的な厚さ安定性が激しく低下した。
【0066】
つまり、実施例1の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さが1990〜2020nmで厚さ分布は30nm以下であった。実施例2の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さが2490〜2520nmで厚さ分布は30nm以下であった。したがって、実施例1及び2は厚さ分布が30nm以下であるため、優れたパターンが容易に形成された。
【0067】
しかし、比較例1の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さは2300〜2350nmで厚さ分布は50nmであった。第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に第1層が一部溶解されて、厚さは200nm減少し、厚さ分布が50nmとなって実施例1及び実施例2に比べて増加した。
【0068】
また、比較例2の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さは1800〜2000nmで厚さ分布は200nmであった。第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に第1フォトレジスト層の相当な部分が溶解されて、厚さは500〜700nm減少し、厚さ分布が200nmに増加した。
【0069】
比較例3の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さは1800〜2000nmで厚さ分布は200nmであった。第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に第1フォトレジスト層の相当な部分が溶解されて、厚さは500〜700nm減少し、厚さ分布は200nmに増加した。
【0070】
したがって、比較例2と比較例3の場合には、厚さ分布が大きすぎてパターンを形成することはできなかった。
【0071】
また、前記実施例1の第1フォトレジスト層の厚さが1500nmで、第2フォトレジスト層の厚さが500nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を図2A及び図2Bに示した。実施例2の第1フォトレジスト層の厚さが800nmで、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真は図3A及び図3Bに示した。比較例1による方法で製造されたパターン断面の電子顕微鏡写真は図4に示した。
【0072】
図2A乃至図3Bを参照すると、実施例1及び実施例2では第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層のそれぞれが個別的にパターン形成され、個別的な露光特性を有していた。しかし、図4の比較例1では第1フォトレジスト層の厚さが800nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmである条件になるようにコーティングを実施したが、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層が混合されて個別的な露光特性を有することができなかった。したがって、比較例1はパターン形態が第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層が混合された形態を有し、厚さも減少して意図したパターンプロファイルを得ることはできなかった。
【符号の説明】
【0073】
10 基板
20 第1フォトレジスト層
30 第2フォトレジスト層
40 マスク
50 金属層
【技術分野】
【0001】
本発明は素子用パターン形成方法に関し、より詳しくは感光速度が異なる多層のフォトレジストを形成した後、感光速度の差を利用してアンダーカット形態のプロファイルを形成し、リフトオフ(lift-off)工程を使用して多層のフォトレジストを除去することによって、厚さが厚い場合にも精巧なパターン形成が可能で、別途のエッチング工程がなくても湿式工程のみ行った後、直ちに金属蒸着工程を行うことができるため、工程単純化を実現することができるパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多層のポリマー層を利用した方法としては、第1層にポリメチルメタクリレート(PMMA)のような特殊高分子層を使用し、第2層に一般のフォトレジストを使用する方法が提案されていた。しかし、前記方法は、第1層の高分子層が露光特性を有していないため、現像液の種類、濃度、及び現像時間でプロファイルを調節しなければならない難しさがあった。
【0003】
また、前記第1層は光に反応するのではなく、単に現像液によってパターンを形成するため、不安定な要因になり得る。
【0004】
また、一般にフォトレジスト組成物中には約15〜30重量%のノボラック樹脂が含まれるが、従来第1フォトレジスト層に含まれる高分子が、第2フォトレジスト層を形成する時に第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に溶解されて、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層において内部混合が行われる。このような理由で、第1フォトレジスト層の感光速度と第2フォトレジスト層の感光速度が平均化されるため、個別的なフォトレジスト層の感光速度及び物性を有することはできない。したがって、第1フォトレジスト層がなくなったり、その厚さが顕著に減少して、意図した感光速度を有することができず、その結果、意図したパターンプロファイルを安定的に形成することもできない。
【0005】
したがって、このような問題を解決するために、従来は多層ポリマー層を形成する場合、一般に第1層と第2層のフォトレジスト層の間に絶縁膜や金属膜などを含ませる。前記絶縁膜や金属膜などがフォトレジスト層の間に含まれる理由は、第1フォトレジスト層に第2フォトレジスト組成物をコーティングする時、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒などに溶解されて第1フォトレジスト層がなくなったり薄くなったりして、その役割を果たすことができないためである。しかし、前記方法の場合、絶縁膜や金属膜形成工程がさらに追加されなければならないため、工程が複雑になる。
【0006】
また、逆テーパ形態のプロファイルを形成した後、リフトオフしてパターンを形成する方法も提案されている。例えば、ポジティブタイプフォトレジストを使用してイメージリバーサル法で逆テーパ形状のレジストパターンを形成する方法が知られている。しかし、前記イメージリバーサル法は操作が複雑で温度許容範囲が狭くなって、良好な形状のレジストパターンを得ることが難しかった。
【0007】
また、ネガティブタイプのレジスト組成物を利用して逆テーパ形状のパターンを形成する方法が提案されている。前記ネガティブタイプレジスト組成物を使用すると、リフトオフ法に適した逆テーパ形状のパターンを形成することはできるが、耐熱性及びエッチング耐性が不足するといった弱点を有している。
【0008】
下記特許文献1は、ポジティブタイプの逆テーパパターン形成用フォトレジスト組成物を開示している。前記方法は好適な逆テーパ形状のパターンを形成してリフトオフ工程に適用することができるが、Eop露光量の1.5倍で露光しなければならない弱点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005-0083314号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来技術の問題を考慮して、本発明は感光速度調節が可能なポジティブタイプのフォトレジスト組成物を利用して、リフトオフなどの特殊な工程に適したアンダーカット形態のプロファイルを安定的に形成するパターンの形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために本発明は、(a)基板上に第1フォトレジスト層を形成する段階;(b)前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト層を形成する段階;及び(c)前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層を露光及び現像して、アンダーカット形状を有するレジストパターンを形成する段階を含み、前記第1フォトレジスト層は下記化学式1で示される化合物を利用して形成され、前記第2フォトレジスト層は前記第1フォトレジスト層より感光速度が遅い、パターン形成方法である。
【化1】
[但し、前記式で、R1乃至R3はそれぞれ独立的に水素または炭素数1乃至10のアルキル基であり、nは10乃至1000の定数である。]
【0012】
また、前記パターン形成方法は、前記(c)段階の後に、(d)前記レジストパターンの上に金属を蒸着する段階;及び(f)前記金属が蒸着されたレジストパターンで前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層をリフトオフ工程でストリップする段階をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1B】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1C】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1D】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1E】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図1F】本発明の一実施例によるフォトレジストパターン形成方法の工程図である。
【図2A】実施例1の第1フォトレジスト層の厚さが1500nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが500nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図2B】実施例1の第1フォトレジスト層の厚さが1500nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが500nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3A】実施例2の第1フォトレジスト層の厚さが800nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3B】実施例2の第1フォトレジスト層の厚さが800nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図4】比較例1による方法で製造されたパターン断面の電子顕微鏡写真を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明は、多層フォトレジスト層を利用したパターンを形成する時、第1フォトレジスト層に対し第2フォトレジスト層と比べて感光速度に差を設けることによって、アンダーカット形状のパターンを形成することができる。言い換えると、本発明は第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の感光速度の差が生じるように、各層を形成する時に使用するフォトレジスト組成物の構成を異ならせる。したがって、第2フォトレジスト層の感光速度は第1フォトレジスト層より遅くなり、前記二つの層の露光及び現像でレジストパターンがアンダーカット形状のプロファイルになる。また、本発明はアンダーカット形状のパターンでリフトオフ工程を利用して二層のフォトレジスト層を除去して、表示素子用パターンを容易に形成することができる。
【0016】
このために、本発明は多層ポリマーを形成する時に使用するフォトレジスト組成物のうち、基板に先に形成される第1フォトレジスト層に前記化学式1の化合物を使用することを特徴とする。
【0017】
前記化学式1の化合物は、重量平均分子量が8000乃至15000であるのが好ましい。
【0018】
前記化学式1の化合物は、一般のノボラック構造で水素が位置する部分にフェノール基が置換されていることが特徴の1つであり、構造的に耐熱性及び耐溶剤性が向上するため、第2フォトレジスト組成物をコーティングする時、溶剤に対する耐性を有する。
【0019】
前記化学式1の使用によって、本発明は第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト組成物をコーティングしても第1フォトレジスト層が第2フォトレジスト組成物の溶媒に溶解されず、たとえ溶解されるとしても非常に少量が溶解されるので、追加工程なくその後の段階を進めることができる。
【0020】
また、第1フォトレジスト層が従来と異なって露光特性を有しているため、安定したパターンを形成することができる。したがって、本発明は従来のように第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層の間に一般の絶縁膜や金属膜などが形成されなくてもよく、その結果、工程を一段階減らして工程単純化を実現することができる。この時、前記「リフトオフ工程」とは、あるパターンを形成するためにエッチングマスクとして利用するために形成したフォトレジストパターンを含んで全面に物質層を形成した後、前記フォトレジストパターンを基板から除去することによって、前記フォトレジストパターン上部に形成された物質層が共に除去されて、所定のパターンを形成する方法を意味する。
【0021】
以下、本発明によるパターン形成方法の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0022】
本発明のパターン形成方法は、(a)基板上に前記化学式1の化合物を利用して第1フォトレジスト層を形成する段階;(b)前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト層を形成する段階;及び、(c)前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層を露光及び現像してアンダーカット形状のレジストパターンを形成する段階を含む。
【0023】
また、LCD及び半導体工程を行う時、リフトオフ工程を行うので、フォトレジストのパターンが形成された後、金属膜を蒸着し、その後、フォトレジストをストリップする工程を含むのが好ましい。したがって、本発明のパターン形成方法は、前記(c)段階の後に、(d)前記レジストパターン上に金属を蒸着する段階;及び(f)前記金属が蒸着されたレジストパターンで第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層をリフトオフ工程でストリップする段階をさらに含むことができる。図1A乃至図1Fは本発明のパターン形成方法の一実施例による過程を順次、簡略に示す図面である。
【0024】
図1Aに示したように、(a)段階は基板10上にポジティブタイプの第1フォトレジスト組成物をコーティングして、仮硬化(Primarily Curing)によって第1フォトレジスト層20を形成する段階である。
【0025】
この時、前記ポジティブタイプの第1フォトレジスト組成物は前記化学式1の化合物を含み、前記化学式1の化合物は第1フォトレジスト層が第2フォトレジスト層より速い感光速度を有するようにする役割を果たし、これと共に第2フォトレジスト組成物の有機溶媒に対する耐性を目的として使用される。つまり、前記化学式1の化合物は第1フォトレジスト組成物に含まれて、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に対する耐性を高めてアンダーカット形態のプロファイルを得ることができ、厚さが厚くても精巧なパターンを形成することができる。また、本発明はアンダーカット形状のレジストパターンを形成することができ、別途のエッチング工程がなくても湿式工程のみ行った後、直ちに金属蒸着工程を行うことができるため、工程が単純で費用節減の効果もある。
【0026】
結論的に、第1フォトレジスト層の最も重要な要素は、前記化学式1の化合物が感光特性を有しながら耐溶剤性が優れることから、第2フォトレジスト層を形成する時、溶剤による内部混合が行われないということである。
【0027】
この時、前記第1フォトレジスト組成物は、前記化学式1の化合物の他にジアジド系感光性化合物を含む感光性物質及び有機溶媒を含む。
【0028】
前記化学式1の化合物の含有量は適正な感光速度及び基板にフォトレジストを塗布する工程を考慮して、組成物全体に対して10乃至30重量%使用するのが好ましい。
【0029】
前記ジアジド系感光性化合物は、組成物全体に対して2乃至10重量%で使用するのが好ましい。前記ジアジド系感光性化合物の含有量が2重量%未満であれば、安定したパターンプロファイルを有しない問題があり、10重量%を超えると、フォトレジストの保管安定性が低下する問題がある。前記ジアジド系感光性化合物は、ポリヒドロキシベンゾフェノン、1,2-ナフトキノンジアジド、及び2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸などの化合物を反応させて製造することができる。例えば、前記ジアジド系感光性化合物は、トリヒドロキシベンゾフェノンと2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸をエステル化反応させて製造された2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩;またはテトラヒドロキシベンゾフェノンと2-ジアゾ-1-ナフトール-5-スルホン酸をエステル化反応させて製造された2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩であってもよく、これらは単独または混合して使用することができる。好ましくは、前記ジアジド系感光性化合物は、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩40乃至60重量部及び2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩60乃至40重量部の比率で混合して使用することができる。
【0030】
前記有機溶媒は組成物全体に対して残部として含むことができ、好ましくは60乃至80重量%で使用される。前記有機溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、2-メトキシ酢酸エチル(MMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及び1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)からなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0031】
この他、本発明の第1フォトレジスト組成物は必要に応じて感度増進剤、着色剤、染料、擦痕防止剤、可塑剤、接着促進剤及び界面活性剤からなる群より1種以上選択される添加剤をさらに添加して性能向上を図ることもできる。
【0032】
このような本発明の第1フォトレジスト組成物の感光速度は5mJ乃至100mJの範囲を有することができる。但し、本発明では、感光速度の差は第1フォトレジスト層が第2フォトレジスト層に比べて相対的に速ければよく、第1フォトレジスト組成物の感光速度の範囲が必ずしも前記範囲に限定されるわけではない。
【0033】
また、フォトレジスト層の厚さは使用用途及び工程に応じて広範囲に適用することができ、好ましく第1フォトレジスト層の厚さは200〜1500nmであり得る。また、仮硬化条件は90〜110℃で60〜120秒間行うことができる。
【0034】
前記基板としては通常のガラス基板またはプラスチック基板を使用することができ、その上にはシリコン、アルミニウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、モリブデン、二酸化シリコン、ドーピングされた二酸化シリコン、窒化シリコン、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、及び重合性樹脂からなる群より選択される物質が蒸着されることができる。
【0035】
その後、(b)段階では第1フォトレジスト層20上に第2フォトレジスト組成物をコーティングして仮硬化して、第2フォトレジスト層30を形成する(図1B)。前記第2フォトレジスト組成物はアルカリ可溶性樹脂であるノボラック樹脂、ジアジド系感光性化合物を含む感光性物質及び有機溶媒を含むことができる。
【0036】
前記ノボラック樹脂は、前記化学式1を除いた、一般に使用されるすべてのノボラック樹脂を含むことができ、例えば、メタクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、パラクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、レゾルシノールを使用したノボラック樹脂、サリチル酸アルデヒドとベンジルアルデヒドを反応させて製造したノボラック樹脂などをすべて使用することができる。
【0037】
前記ノボラック樹脂は通常のフェノール化合物とアルデヒド化合物を酸触媒下で縮合反応させて製造したものを使用することができる。前記ノボラック樹脂は重量平均分子量3000乃至30000であるのが好ましい。前記酸触媒としては硫酸、塩酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸などがある。
【0038】
前記ノボラック樹脂の含有量は第2フォトレジスト組成物全体に対して10乃至30重量%を使用するのが好ましい。
【0039】
前記ジアジド系感光性化合物は組成物全体に対して2乃至10重量%を使用するのが好ましい。前記ジアジド系感光性化合物の含有量が2重量%未満であれば、安定したパターン形成に問題があり、10重量%を超えると、貯蔵安定性に重大な問題がある。前記ジアジド系感光性化合物は、第1フォトレジスト組成物に含まれる成分と同一のものを使用することができる。
【0040】
前記有機溶媒は組成物全体に対して残部として含むことができ、好ましくは60乃至90重量%使用される。前記有機溶媒は第1フォトレジスト組成物に使用されたものと同様に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、2-メトキシ酢酸エチル(MMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及び1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)からなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0041】
第2フォトレジスト組成物もまた、必要に応じて感度増進剤、着色剤、染料、擦痕防止剤、可塑剤、接着促進剤及び界面活性剤からなる群より1種以上選択される添加剤をさらに添加して性能向上を図ることもできる。
【0042】
このような本発明の第2フォトレジスト組成物の感光速度は10mJ乃至300mJの範囲を有し、第1フォトレジスト組成物より遅い感光速度を示す。
【0043】
この時、フォトレジスト層の厚さは使用用途及び工程に応じて広範囲に適用することができ、好ましくは第2フォトレジスト層の厚さは200〜1700nmであり得る。また、仮硬化条件は90〜110℃で60〜120秒間行うことができる。
【0044】
また、(c)段階ではパターンのあるマスク40を使用して露光した後(図1C)、現像を行う。この時、本工程では第1フォトレジスト層20と第2フォトレジスト層30の感光速度の差によってアンダーカット断面が形成される(図1D)。つまり、前記化学式1を使用する(a)段階及び一般ノボラック樹脂を使用する(b)段階の遂行によって、基板上に第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層が形成された後、感光速度の差によってアンダーカット断面が形成される。また、本発明において感光速度は高分子樹脂だけでなく、ジアジド化合物の種類及び含有量がより大きく作用されることもある。
【0045】
前記で露光条件は通常の方法で行うことができ、例えば、光、特に紫外線により露光させることによって、目的とする形態のパターンを形成することができる。このように露光された基板をアルカリ性現像水溶液に十分に浸漬させた後、光に露出された部位の各フォトレジスト層が全部またはほとんど大部分溶解されるまで放置する。この時、前記現像水溶液は一定濃度のアルカリ水酸化物、水酸化アンモニウムまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)を含有する水溶液を使用するのが好ましい。
【0046】
また、本発明によるパターン形成方法は、(c)段階の後に、上述した(d)段階の金属蒸着、及び(f)段階のフォトレジスト層のストリップ段階をさらに行うことができ、このような段階を経て所望の形状のパターンを完成することができる。また、必要に応じて、前記(d)段階の金属蒸着段階は省略することもできる。
【0047】
したがって、(d)段階を行う場合、前記(c)段階で形成されたアンダーカット断面に基づいて金属を蒸着して金属層50を形成する(図1E)。
【0048】
金属蒸着によってレジストパターン上に金属層が形成される。この時、蒸着可能な金属の厚さは第1フォトレジスト層の厚さによって調整することができる。また、蒸着される金属の種類もまた通常のものを使用することができ、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロム、銅、白金、酸化インジウム錫(ITO)などを使用することができる。
【0049】
(f)段階は、前記金属の蒸着が完了した後、第1フォトレジスト層20と第2フォトレジスト層30を一般のストリッパーなどを利用してリフトオフ工程で除去する段階であり、その結果、基板10上には金属50のみ残ってパターンが形成される(図1F)。つまり、前記リフトオフ工程を行えば、第2フォトレジスト層の除去と共に、その上に形成された金属層も除去される。
【0050】
以上のように、本発明は前記方法で製造されたパターンを利用して、半導体素子または多様な表示素子に適用される導電性パターンを形成することができ、特に、厚さの厚い場合にも形状が良好で精巧なパターン形状を有する表示素子を提供することができる。上記表示素子の例を挙げると、液晶表示素子、電界発光素子、プラズマディスプレイパネルなどがある。
【0051】
本発明は、前記化学式1の化合物を利用して第1フォトレジスト層を形成することによって、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に対する耐性を高めてアンダーカット形態のプロファイルを得ることができ、厚さが厚い場合にも精巧なパターンを形成することができる効果がある。また、別途のエッチング工程がなくても湿式工程のみ行った後、直ちに金属蒸着工程を行うことができるため、工程単純化による費用を節減することができる効果がある。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記実施例は本発明の理解のために例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例に限定されるわけではない。
【0053】
実施例1
図1A乃至図1Fに示す順に表示素子用パターンを形成した。つまり、ガラス基板上に第1フォトレジスト組成物をコーティングし、90〜110℃で110秒間の仮硬化を行って、厚さ1500nmの第1フォトレジスト層を形成した。その後、前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト組成物をコーティングし、90〜110℃で110秒間仮硬化を行って、厚さ500nmの第2フォトレジスト層を形成した。
【0054】
ここで、第1フォトレジスト組成物は、前記化学式1(n=400)の化合物20重量%、ジアジド系感光性化合物として2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩4重量%及びPGMEA76重量%を含む。
【0055】
また、第2フォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂20重量%、ジアジド系感光性化合物として2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸塩5重量%及びPGMEA75重量%を含む。この時、ノボラック樹脂としてメタクレゾール:パラクレゾールの比率が4:6で重量平均分子量が6000であるものを使用した。
【0056】
その後、パターンを有するマスクを使用して第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層を紫外線で露光し、現像液として2.38重量%のTMAHを使用して現像した。この時、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層の感光速度の差によってアンダーカット断面が形成された。このように形成されたアンダーカット形状のパターン断面を図2A及び図2Bに示した。
【0057】
その後、アンダーカット断面に基づいてアルミニウムを蒸着し、金属層を形成した。蒸着が完了した後、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層をストリッパー(トンジンセミケム製品)で除去して基板上に金属のみ含まれたパターンを形成した。
【0058】
実施例2
第1フォトレジスト層の厚さを800nmにし、第2フォトレジスト層の厚さを1700nmにしたことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施した。この時のアンダーカット形状のパターン断面を図3A及び図3Bに示した。
【0059】
比較例1
第1フォトレジスト層の高分子樹脂として前記化学式1の化合物の代わりにメタクレゾール:パラクレゾールの比率が6:4で、重量平均分子量が15000である通常のノボラック樹脂を使用し、第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の厚さをそれぞれ800nm及び1700nmにしたことを除いては、実施例1と同様な方法で実施した。
【0060】
比較例2
第1フォトレジスト層の高分子樹脂として前記化学式1の化合物の代わりにメタクレゾール:パラクレゾールの比率が6:4で、重量平均分子量が8000である通常のノボラック樹脂を使用し、第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の厚さをそれぞれ800nm及び1700nmにしたことを除いては、実施例1と同様な方法で実施した。
【0061】
比較例3
第1フォトレジスト層の高分子樹脂として前記化学式1の化合物の代わりにメタクレゾール:パラクレゾールの比率が4:6で、重量平均分子量が6000である通常のノボラック樹脂を使用し、第1フォトレジスト層及び第2フォトレジスト層の厚さをそれぞれ800nm及び1700nmにしたことを除いては、実施例1と同様な方法で実施した。
【0062】
実験例
前記実施例1-2及び比較例1-3に対して、厚さ安定性及びパターン形成傾向を測定し、その結果を以下の表1に示した。この時、厚さはNANOSPEC 3000(NANO metrics社製品)装置を利用して測定した。また、厚さ安定性及びパターン形成評価の基準は次の通りである。
【0063】
厚さ安定性◎:厚さ分布(thickness distribution)が30nm以下であった。
厚さ安定性○:厚さ分布が30〜100nmであった。
厚さ安定性×:厚さ分布が100nm以上であった。
パターン形成◎:第1層と第2層の露光特性が実現された。
パターン形成△:パターンは形成されたが、第1層の露光特性は実現されなかった。
パターン形成×:厚さ分布が大きすぎて、パターンが形成されなかった。
【0064】
【表1】
【0065】
前記表1の結果から、実施例1及び2はパターン形成と厚さ安定性の全てにおいて優れた効果を示したが、比較例1の場合、パターン形成と厚さ安定性が実施例1及び2に比べて不良であることが分かる。また、比較例2と比較例3の場合も、第2フォトレジスト組成物をコーティングする時、第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒によって第1フォトレジスト層が溶解されて全体的な厚さ安定性が激しく低下した。
【0066】
つまり、実施例1の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さが1990〜2020nmで厚さ分布は30nm以下であった。実施例2の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さが2490〜2520nmで厚さ分布は30nm以下であった。したがって、実施例1及び2は厚さ分布が30nm以下であるため、優れたパターンが容易に形成された。
【0067】
しかし、比較例1の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さは2300〜2350nmで厚さ分布は50nmであった。第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に第1層が一部溶解されて、厚さは200nm減少し、厚さ分布が50nmとなって実施例1及び実施例2に比べて増加した。
【0068】
また、比較例2の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さは1800〜2000nmで厚さ分布は200nmであった。第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に第1フォトレジスト層の相当な部分が溶解されて、厚さは500〜700nm減少し、厚さ分布が200nmに増加した。
【0069】
比較例3の場合、第1フォトレジスト組成物と第2フォトレジスト組成物を全てコーティングした後、厚さは1800〜2000nmで厚さ分布は200nmであった。第2フォトレジスト組成物に含まれる有機溶媒に第1フォトレジスト層の相当な部分が溶解されて、厚さは500〜700nm減少し、厚さ分布は200nmに増加した。
【0070】
したがって、比較例2と比較例3の場合には、厚さ分布が大きすぎてパターンを形成することはできなかった。
【0071】
また、前記実施例1の第1フォトレジスト層の厚さが1500nmで、第2フォトレジスト層の厚さが500nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真を図2A及び図2Bに示した。実施例2の第1フォトレジスト層の厚さが800nmで、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmであるパターン断面の電子顕微鏡写真は図3A及び図3Bに示した。比較例1による方法で製造されたパターン断面の電子顕微鏡写真は図4に示した。
【0072】
図2A乃至図3Bを参照すると、実施例1及び実施例2では第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層のそれぞれが個別的にパターン形成され、個別的な露光特性を有していた。しかし、図4の比較例1では第1フォトレジスト層の厚さが800nmであり、第2フォトレジスト層の厚さが1700nmである条件になるようにコーティングを実施したが、第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層が混合されて個別的な露光特性を有することができなかった。したがって、比較例1はパターン形態が第1フォトレジスト層と第2フォトレジスト層が混合された形態を有し、厚さも減少して意図したパターンプロファイルを得ることはできなかった。
【符号の説明】
【0073】
10 基板
20 第1フォトレジスト層
30 第2フォトレジスト層
40 マスク
50 金属層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板上に第1フォトレジスト層を形成する段階;
(b)前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト層を形成する段階;及び
(c)前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層を露光及び現像して、アンダーカット形状を有するレジストパターンを形成する段階を含み、
前記第1フォトレジスト層は下記化学式1で示される化合物を利用して形成され、前記第2フォトレジスト層は前記第1フォトレジスト層より感光速度が遅い、パターン形成方法。
【化1】
[但し、前記式で、R1乃至R3はそれぞれ独立的に水素または炭素数1乃至10のアルキル基であり、nは10乃至1000の定数である。]
【請求項2】
前記化学式1の化合物は、重量平均分子量が8000乃至15000である、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1フォトレジスト層は、前記化学式1で示される化合物10乃至30重量%、ジアジド系感光性化合物2乃至10重量%及び残部の有機溶媒を含むポジティブタイプの第1フォトレジスト組成物を基板にコーティングした後、仮硬化して形成する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記第2フォトレジスト層は、ノボラック樹脂10乃至30重量%、ジアジド系感光性化合物15乃至30重量%及び残部の有機溶媒を含む第2フォトレジスト組成物を前記第1フォトレジスト層上にコーティングした後、仮硬化して形成する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記ノボラック樹脂は、メタクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、パラクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、レゾルシノールを使用したノボラック樹脂またはサリチル酸アルデヒドとベンジルアルデヒドを反応させて製造した重量平均分子量が3000乃至30000であるものを使用する、請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1フォトレジスト層の厚さが200〜1500nmであり、前記第2フォトレジスト層の厚さが200〜1700nmである、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記方法は前記(c)段階の後に、
(d)前記レジストパターン上に金属を蒸着する段階;及び
(f)前記金属が蒸着されたレジストパターンで前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層をリフトオフ工程でストリップする段階をさらに含む、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記方法は、半導体素子または表示素子の導電性パターン形成に使用する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、2-メトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び1-メチル-2-ピロリジノンからなる群より選択される1種以上である、請求項3または4に記載のパターン形成方法。
【請求項1】
(a)基板上に第1フォトレジスト層を形成する段階;
(b)前記第1フォトレジスト層上に第2フォトレジスト層を形成する段階;及び
(c)前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層を露光及び現像して、アンダーカット形状を有するレジストパターンを形成する段階を含み、
前記第1フォトレジスト層は下記化学式1で示される化合物を利用して形成され、前記第2フォトレジスト層は前記第1フォトレジスト層より感光速度が遅い、パターン形成方法。
【化1】
[但し、前記式で、R1乃至R3はそれぞれ独立的に水素または炭素数1乃至10のアルキル基であり、nは10乃至1000の定数である。]
【請求項2】
前記化学式1の化合物は、重量平均分子量が8000乃至15000である、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1フォトレジスト層は、前記化学式1で示される化合物10乃至30重量%、ジアジド系感光性化合物2乃至10重量%及び残部の有機溶媒を含むポジティブタイプの第1フォトレジスト組成物を基板にコーティングした後、仮硬化して形成する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記第2フォトレジスト層は、ノボラック樹脂10乃至30重量%、ジアジド系感光性化合物15乃至30重量%及び残部の有機溶媒を含む第2フォトレジスト組成物を前記第1フォトレジスト層上にコーティングした後、仮硬化して形成する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記ノボラック樹脂は、メタクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、パラクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、レゾルシノールを使用したノボラック樹脂またはサリチル酸アルデヒドとベンジルアルデヒドを反応させて製造した重量平均分子量が3000乃至30000であるものを使用する、請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1フォトレジスト層の厚さが200〜1500nmであり、前記第2フォトレジスト層の厚さが200〜1700nmである、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記方法は前記(c)段階の後に、
(d)前記レジストパターン上に金属を蒸着する段階;及び
(f)前記金属が蒸着されたレジストパターンで前記第1フォトレジスト層及び前記第2フォトレジスト層をリフトオフ工程でストリップする段階をさらに含む、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記方法は、半導体素子または表示素子の導電性パターン形成に使用する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、2-メトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び1-メチル-2-ピロリジノンからなる群より選択される1種以上である、請求項3または4に記載のパターン形成方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【公開番号】特開2010−113356(P2010−113356A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253372(P2009−253372)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】
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