説明

パチンコ遊技機及びパチンコ遊技システム

【課題】通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードで、通常打ちとは異なる特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行った場合、その変則打ち情報をホールコンピュータへ出力することができる、パチンコ遊技機及びパチンコ遊技システムを提供する。
【解決手段】通常遊技モードにおいて、特別打ちで振分始動口13への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行うことが、不適切な遊技方法であり、この場合、大当り補助遊技モードのときと比べて可能性は低いが、遊技球が振分装置15に入賞し振分装置15内の特定領域15bを通過して大当り遊技が発生することがあり、そこで、外部出力処理手段21fにより、通常遊技モードのときに特別打ち検知手段50で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報がホールコンピュータ40へ出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ遊技機及びパチンコ遊技システムに関し、特に、通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードで、通常打ちとは異なる特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行った場合に、その変則打ち情報をホールコンピュータへ出力するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所謂1種2種混合タイプのパチンコ遊技機が実用に供されている。この種のパチンコ遊技機においては、通常遊技モードで遊技球を始動入賞口に入賞させるように所謂左打ちを行い、この始動入賞口への遊技球の入賞を契機に行われる大当り抽選で当選すると、大当り遊技が発生して大入賞口が開閉する。この大当り遊技後から大当り補助遊技モードが設定され、所定条件が成立(例えば、設定時間経過)するまで継続される。
【0003】
大当り補助遊技モードでは遊技球を振分始動口に入賞させるように所謂右打ちを行い、この振分始動口への遊技球の入賞を契機に振分装置の開閉部材が開閉する。この場合、振分始動口への遊技球の入賞を契機に行われる振分始動抽選で当選した場合に、振分装置の開閉部材が開閉可能になるものがある。そして、遊技球が振分装置に入賞すると、その遊技球は振分装置内の特定領域と非特定領域の何れかに振分けられるが、特定領域を通過すると、再び大当り抽選で当選しなくても大当り遊技が発生する。
【0004】
ところで、遊技ホールでは、各パチンコ遊技機がホールコンピュータに電気的に接続され、各パチンコ遊技機の外部出力処理により、大当り抽選の抽選回数や当選回数等に関する遊技情報がホールコンピュータに出力され(例えば、特許文献1参照)、ホールコンピュータにおいて管理されるのが一般的である。
【特許文献1】特開平7−51443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所謂1種2種混合タイプのパチンコ遊技機においては、通常遊技モードでは、左打ちが適切な打ち方であるが、変則打ちとなる右打ちを行うことで、大当り補助遊技モードの場合と同様に、振分始動口への遊技球の入賞を契機に振分装置の開閉部材が開閉して、遊技球が振分装置に入賞し振分装置内の特定領域を通過して大当り遊技が発生することがある。但し、通常遊技モードでは、振分装置の開閉部材の開放時間(各開放時間)を大当り補助遊技モードでの同開放時間よりも短くしている。
【0006】
また、振分始動口への遊技球の入賞を契機に行われる振分始動抽選で当選した場合に、振分装置の開閉部材が開閉可能になるようにした場合、通常遊技モードでは、振分始動抽選の結果を導出する迄の導出時間を大当り補助遊技モードでの同導出時間よりも長くし、また、振分始動抽選の当選確率を大当り補助遊技モードでの同当選確率より低くしてもよい。こうして、遊技球が振分装置に入賞し振分装置内の特定領域を通過して大当り遊技が発生する可能性は、通常遊技モードの場合に大当り補助遊技モードの場合よりも非常に低くなるが、皆無となる訳ではない。
【0007】
故に、大当り遊技を発生させるために、通常遊技モードで不適切な変則打ち(右打ち)を行う遊技者が存在すると思われるし、現に確認されている。通常遊技モードでの変則打ちを検知して報知するパチンコ遊技機が公知であるが、変則打ちを行っている遊技者全てがその報知に従うとは思われない。そうなると、遊技ホールのホールスタッフが変則打ちをしている遊技者を注意すべく、その遊技者を見つける必要があるが、前記報知だけが頼りではホールスタッフの作業負荷が大きくなり、通常業務に支障を来す虞がある。
【0008】
本発明の目的は、通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードで、通常打ちとは異なる特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行った場合に、その変則打ち情報をホールコンピュータへ出力し、その際、振分始動口スイッチがオンになるとホールコンピュータへ出力する振分始動口入賞信号を有効利用して行い、ホールコンピュータでは、パチンコ遊技機から変則打ち情報を受けて、変則打ちが行われているパチンコ遊技機を判別することができる、パチンコ遊技機及びパチンコ遊技システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパチンコ遊技機(1) は、遊技領域(5) に遊技球を発射させるように操作する発射操作手段(7) と、遊技領域(5) に設けられた始動入賞口(11)と大入賞口(12a) と振分始動口(13)と振分装置(15)と、始動入賞口(11)への遊技球の入賞を契機に大当り抽選を行う大当り抽選手段(21a) と、大当り抽選で当選した場合に大入賞口(12a) を開閉して大当り遊技を発生させる大当り遊技制御手段(21b) と、振分始動口(13)への遊技球の入賞を契機に振分装置(15)の開閉部材(15d) を開閉して、振分装置(15)内の特定領域(15b) を遊技球が通過した場合に大当り遊技制御手段(21b) を起動させる大当り補助遊技制御手段(21d) とを備えたものである。
【0010】
請求項1のパチンコ遊技機(1) は、前記振分始動口(13)と振分装置(15)は、発射操作手段(7) を操作して遊技球を遊技領域(5) に通常に発射する通常打ちとは異なる特別打ちで発射させた場合に、その遊技球が入賞可能な位置に配置され、前記通常打ちで始動入賞口(11)への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードと、前記特別打ちで振分始動口(13)への遊技球の入賞を狙う大当り補助遊技モードと、前記特別打ちを検知可能な特別打ち検知手段(50)と、前記通常遊技モードのときに特別打ち検知手段(50)で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報を、このパチンコ遊技機(1) が設置されたホールのホールコンピュータ(40)へ出力する外部出力処理手段(21f) とを備えたことを特徴とする。
【0011】
遊技者が発射操作手段(7) を操作して、通常遊技モードでは通常打ちで始動入賞口(11)への遊技球の入賞を狙うように遊技球を発射させ、また、大当り補助遊技モードでは特別打ちで振分始動口(13)への遊技球の入賞を狙うように遊技球を発射させる。これが適切な遊技方法である。そして、通常遊技モードにおいて、通常打ちで発射された遊技球が始動入賞口(11)に入賞することを契機に大当り抽選が行われ、その大当り抽選で当選すると、大当り遊技が発生して大入賞口(12a) が開閉する。また、大当り補助遊技モードにおいて、特別打ちで発射された遊技球が振分始動口(13)に入賞するとことを契機に振分装置(15)の開閉部材(15d) が開閉し、遊技球が振分装置(15)に入賞し振分装置(15)内の特定領域(15b) を通過すると、再び大当り抽選で当選しなくても大当り遊技が発生する。
【0012】
ところで、通常遊技モードにおいて、特別打ちで振分始動口(13)への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行うことが、不適切な遊技方法である。この場合、大当り補助遊技モードのときと比べて可能性は低いが、遊技球が振分装置(15)に入賞し振分装置(15)内の特定領域(15b) を通過して大当り遊技が発生することがある。そこで、外部出力処理手段(21f) により、通常遊技モードのときに特別打ち検知手段(50)で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報がホールコンピュータ(40)へ出力される。ホールコンピュータ(40)では、パチンコ遊技機(1) から変則打ち情報を受けて、変則打ちが行われていることを判別することができる。
【0013】
請求項2のパチンコ遊技機(1) は、請求項1の発明において、前記大当り補助遊技モードは、大当り遊技後から所定条件が成立するまで継続され、この大当り補助遊技モードでは、振分装置(15)の開閉部材(15d) の開放時間を通常遊技モードでの同開放時間よりも長くすることを特徴とする。
【0014】
請求項3のパチンコ遊技機(1) は、請求項1又は2の発明において、前記特別打ち検知手段(50)は、振分始動口(13)に入賞した遊技球を検出する振分始動口スイッチ(13a) を有し、前記外部出力処理手段(21f) は、振分始動口スイッチ(13a) がオンになると振分始動口入賞信号をホールコンピュータ(40)へ出力するとともに、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンを、前記変則打ち情報とするために、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンに対して異ならせる出力パターン変化手段(21g) を有することを特徴とする。
【0015】
請求項4のパチンコ遊技機(1) は、請求項3の発明において、前記出力パターン変化手段(21g) は、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間を、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間よりも長くすることを特徴とする。
【0016】
請求項5のパチンコ遊技システム(PS)は、請求項4に記載のパチンコ遊技機(1) と、このパチンコ遊技機(1) に電気的に接続されたホールコンピュータ(40)とを備え、前記ホールコンピュータ(40)は、パチンコ遊技機(1) から受ける振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間よりも長い場合に変則打ちが行われていると判断する変則打ち判断手段(40a) を有することを特徴とする。
【0017】
請求項6のパチンコ遊技システム(PS)は、請求項5の発明において、前記ホールコンピュータ(40)は、変則打ちが行われているパチンコ遊技機(1) を特定するように報知する変則打ち報知手段(40c) を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1のパチンコ遊技機によれば、通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モード、特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う大当り補助遊技モード、特別打ちを検知可能な特別打ち検知手段、通常遊技モードのときに特別打ち検知手段で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報をホールコンピュータへ出力する外部出力処理手段を備えた。つまり、通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードで、通常打ちとは異なる特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行った場合に、その変則打ち情報をホールコンピュータへ出力することができるので、ホールコンピュータでは、パチンコ遊技機から変則打ち情報を受けて、パチンコ遊技機の遊技モードを認識しなくても、変則打ちが行われていることを判別することができ、この変則打ちの対策を有効に講じることが可能になる。
【0019】
請求項2のパチンコ遊技機によれば、大当り補助遊技モードは、大当り遊技後から所定条件が成立するまで継続され、この大当り補助遊技モードでは、振分装置の開閉部材の開放時間を通常遊技モードでの同開放時間よりも長くするので、通常遊技モードでは、変則打ちが行われたとしても、遊技球が振分装置に入賞することを抑制し、大当り補助遊技モードでは、遊技球が振分装置に入賞する可能性を高めることができる。
【0020】
請求項3のパチンコ遊技機によれば、特別打ち検知手段は、振分始動口に入賞した遊技球を検出する振分始動口スイッチを有し、外部出力処理手段は、振分始動口スイッチがオンになると振分始動口入賞信号をホールコンピュータへ出力するとともに、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンを、変則打ち情報とするために、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンに対して異ならせる出力パターン変化手段を有するので、振分始動口スイッチがオンになるとホールコンピュータへ出力する振分始動口入賞信号を有効利用し、変則打ち情報通信用の出力ポート等を別途設けることなく、変則打ち情報をホールコンピュータへ出力することができ、ホールコンピュータでは、出力パターンが通常と異なる振分始動口入賞信号を変則打ち情報として確実に識別することが可能になる。
【0021】
請求項4のパチンコ遊技によれば、出力パターン変化手段は、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間を、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間よりも長くするので、ホールコンピュータでは、出力時間が長い振分始動口入賞信号を変則打ち情報として容易に識別することができる。
【0022】
請求項5のパチンコ遊技システムによれば、請求項4に記載のパチンコ遊技機と、このパチンコ遊技機に電気的に接続されたホールコンピュータとを備え、ホールコンピュータは、パチンコ遊技機から受ける振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間よりも長い場合に変則打ちが行われていると判断する変則打ち判断手段を有するので、変則打ちが行われているパチンコ遊技機を確実に判別することができる。
【0023】
請求項6のパチンコ遊技システムによれば、ホールコンピュータは、変則打ちが行われているパチンコ遊技機を特定するように報知する変則打ち報知手段を有するので、変則打ちが行われているパチンコ遊技機をホールスタッフ等に確実に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のパチンコ遊技機は、遊技領域に遊技球を発射させるように操作する発射操作手段と、遊技領域に設けられた始動入賞口と大入賞口と振分始動口と振分装置と、始動入賞口への遊技球の入賞を契機に大当り抽選を行う大当り抽選手段と、大当り抽選で当選した場合に大入賞口を開閉して大当り遊技を発生させる大当り遊技制御手段と、振分始動口への遊技球の入賞を契機に振分装置の開閉部材を開閉して、振分装置内の特定領域を遊技球が通過した場合に大当り遊技制御手段を起動させる大当り補助遊技制御手段とを備えたパチンコ遊技機に適用されるものである。
【実施例】
【0025】
図1、図2に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールに取付けられる外枠に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。開閉枠2には遊技盤4が装着され、その遊技盤4の前面側に遊技領域5が形成されている。開閉扉3には窓3aが形成され、その窓3aに透明板3bが装着され、その透明板3bにより遊技領域5の前側が覆われている。
【0026】
開閉扉3の窓3aの下側に、遊技球を貯留する貯留皿6と、遊技領域5に遊技球を発射させるように操作する発射ハンドル7(発射操作手段)が装着されている。発射ハンドル7が回動操作されると、貯留皿6から発射位置に導入された遊技球が発射され、ここで、貯留皿6に複数の遊技球が存在する場合には、複数の遊技球が約0.6秒間隔で連続発射される。発射された遊技球はガイドレール8で案内され遊技領域5の上部に投入される。
【0027】
図2、図3に示すように、遊技盤4には、遊技領域5に、多数の障害釘10、始動入賞口11、大入賞口装置12、振分始動口13、電チュー装置14、振分装置15、複数の普通入賞口16、画像表示器17、センタ役物18が設けられ、遊技領域5外に遊技表示盤19が設けられ、遊技盤4の裏面側に制御装置20が設けられている。
【0028】
始動入賞口11は、センタ役物18のステージ下側に配置され、この始動入賞口11に入賞した遊技球を検出する始動口SW11aが付設されている。振分始動口13は、ゲートからなり、センタ役物18の右側に配置され、この振分始動口13に入賞(振分始動口13を通過)した遊技球を検出する振分始動口SW13aが付設されている。各普通入賞口16には入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW16aが付設されている。
【0029】
大入賞口装置12は、始動入賞口11の下側に配置され、大入賞口12a、大入賞口12aを開閉する開閉部材12b、大入賞口12aに入賞した遊技球を検出する大入賞口SW12c、開閉部材12bを開閉駆動する大入賞口ソレノイド12dを有する。開閉部材12bは、盤面平行方向の軸回りに動作するように構成され、閉塞位置で大入賞口12aへの遊技球の入賞を不可能にし、開放位置で大入賞口12aへの遊技球の入賞を可能にする。図2の開閉部材12bは開放位置にある。
【0030】
始動入賞口11への遊技球の入賞を契機に行われる大当り抽選で当選した場合に、大当り遊技が発生し、大入賞口装置12が作動して、通常は閉塞の大入賞口12aが開放するように開閉部材12bを動作させる。
【0031】
電チュー装置14は、電チュー入賞口14a、電チュー入賞口14aを開閉する開閉部材14b、電チュー入賞口14aに入賞した遊技球を検出する電チューSW14c、開閉部材14bを開閉駆動する電チューソレノイド14dを有する。開閉部材14bは、左右対称の2つの短い羽根部材が盤面直角方向の軸回りに動作するように構成され、閉塞位置で電チュー入賞口14aへの遊技球の入賞を不可能にし、開放位置で電チュー入賞口14aへの遊技球の入賞を可能にする。図2の開閉部材14bは閉塞位置にある。
【0032】
振分装置15は、センタ役物18の右部下側に配置され、特定領域15bと非特定領域15cとを有する振分入賞口15a、振分入賞口15aを開閉する開閉部材15d、特定領域15bを通過した遊技球を検出する特定領域SW15e、非特定領域15cを通過した遊技球を検出する非特定領域SW15f、開閉部材15dを開閉駆動する振分ソレノイド15gを有する。開閉部材15dは、盤面平行方向の軸回りに動作するように構成され、閉塞位置で振分入賞口15aへの遊技球の入賞を不可能にし、開放位置で振分入賞口15aへの遊技球の入賞を可能にする。図2の開閉部材15dは開放位置にある。
【0033】
ここで、遊技者が発射ハンドル7を操作して、遊技球を遊技領域5に通常に所謂左打ちで発射する通常打ちを行って、その遊技球をセンタ役物18の左側を通過落下させるように発射させることができ、また、遊技球を遊技領域5に通常打ちとは異なる所謂右打ちで発射する特別打ちを行って、その遊技球をセンタ役物18の右側を通過落下させるように発射させることができる。そして、振分始動口13、電チュー装置14、振分装置15は、発射ハンドル7を操作して遊技球を遊技領域5に特別打ちで発射させた場合に、障害釘10の配列等も関係して、その遊技球が入賞可能な位置に配置されている。
【0034】
振分始動口13への遊技球の入賞を契機に行われる振分始動抽選で当選した場合に、電チュー装置14が作動して、通常は閉塞の電チュー入賞口14aが開放するように開閉部材14bを動作させる。そこで、遊技球が電チュー入賞口14aに入賞すると、それを契機に大当り小当り抽選が行われ、大当りに当選すると、前記同様の大当り遊技が発生して、大入賞口装置12が作動し、小当りに当選すると、振分装置15が作動して、通常は閉塞の振分入賞口15aが開放するように開閉部材15dを動作させる。振分入賞口15aに入賞した遊技球は、特定領域15bと非特定領域15cの何れかに振分けられ、特定領域15bを通過すると、前記同様の大当り遊技が発生し、大入賞口装置12が作動する。
【0035】
遊技表示盤19は、遊技領域5の下部右側に前方へ向けて配置され、7セグメントの特別図柄表示器19a、○×で表示する普通図柄表示器19b、特別図柄保留表示器19c、普通図柄保留表示器19dを備えている。特別図柄表示器19aには、始動入賞口11への遊技球の入賞を契機に行われる大当り抽選の結果を示す特別図柄が変動表示後に停止表示される。普通図柄表示機19bには、振分始動口13への遊技球の入賞を契機に行われる振分始動抽選の結果を示す普通図柄が変動表示後に停止表示される。
【0036】
始動入賞口11に入賞した遊技球の数であって、特別図柄表示器19aによる変動に未だ供していない(後で大当り抽選の結果が得られる)特別図柄の保留数が最大で4つまで保留され、特別図柄保留表示器19cには、その特別図柄の保留数が表示される。同様に、振分始動口13に入賞した遊技球の数であって、普通図柄表示機19bによる変動に未だ供していない(後で振分始動抽選の結果が得られる)普通図柄の保留数が最大で4つまで保留され、普通図柄保留表示器19dには、その普通図柄の保留数が表示される。
【0037】
発射ハンドル7を回動操作することで、発射され遊技領域5の上部に投入された遊技球は、複数の障害釘10に当たって方向を変えながら落下して、入賞口11,12a,14a,15a,16の何れかに入賞した場合、そこから遊技領域5外へ排出され、入賞口11,12a,14a,15a,16の何れにも入賞しなかった場合には、最終的に、遊技領域5の下端部に形成されたアウト口9から遊技領域5外へ排出される。
【0038】
図3に示すように、制御装置20は、メイン制御装置21とサブ制御装置25とで構成されている。メイン制御装置21は、メイン制御基板22にCPUとROMとRAMを備えて構成され、サブ制御装置25は、払出制御基板26、演出制御基板27、画像制御基板28、ランプ制御基板29を備え、この複数の制御基板26〜29は夫々CPUとROMとRAMを備えて構成されている。
【0039】
メイン制御基板22が、始動口SW11a、大入賞口SW12c、振分始動口SW13a、電チューSW14c、特定領域SW15e、非特定領域SW15f、普通入賞口SW16aからの検出信号と、払出制御基板26からの制御情報を受けて、大入賞口ソレノイド12d、電チューソレノイド14d、振分ソレノイド15g、表示器19a〜19dを制御し、払出制御基板26と演出制御基板27に制御情報を出力し、外部出力基板23を介してホールコンピュータ40に遊技情報を出力する。
【0040】
払出制御基板26は、メイン制御基板22からの制御情報を受けて、払出駆動モータ30を制御し、入賞口11,12a,14a,15a,16への遊技球の入賞1個について、入賞口11,12a,14a,15a,16毎に設定された数の遊技球を貯留皿6に払い出し、メイン制御基板22に制御情報を出力する。演出制御基板27は、メイン制御基板22からの制御情報と、演出ボタン31からの操作信号を受けて、画像制御基板28とランプ制御基板29に制御情報を出力する。
【0041】
画像制御基板28は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、画像表示器17とスピーカ32を制御し、演出制御基板27に制御情報を出力する。ランプ制御基板29は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、主に画像制御基板28による制御に同期させて、枠ランプ33と盤ランプ34を制御する。スピーカ32と枠ランプ33は開閉扉3に設けられ、盤ランプ34は遊技盤4に設けられている。
【0042】
ここで、ホールコンピュータ40には、このパチンコ遊技機1を含む複数のパチンコ遊技機が電気的に接続されており、この複数のパチンコ遊技機とホールコンピュータ40とでパチンコ遊技システムPSが構成されている。
【0043】
さて、図4に示すように、このパチンコ遊技システムPSにおいて、パチンコ遊技機1のメイン制御装置21には、メイン制御基板22のコンピュータによって図示の各種手段21a〜21hが構成され、ホールコンピュータ40には、そのコンピュータによって図示の各種手段40a〜40cが構成されている。
【0044】
パチンコ遊技機1のメイン制御装置21において、大当り抽選手段21aが、始動入賞口11への遊技球の入賞を契機に大当り抽選を行い、この大当り抽選で当選した場合に、大当り遊技制御手段21bが、大入賞口12aを複数ラウンド(例えば、15R)に亙って開閉して大当り遊技を発生させるように、大入賞口装置12を制御する。
【0045】
また、振分始動抽選手段21cが、振分始動口13への遊技球の入賞を契機に振分始動抽選を行い、この振分始動抽選で当選した場合、大当り補助遊技制御手段21dが、電チュー入賞口14aを1又は複数回(例えば、2,3回)開閉させるように、電チュー装置14を制御する。大当り小当り抽選手段21hは、電チュー入賞口14への遊技球の入賞を契機に大当り小当り抽選を行い、大当りに当選した場合、大当り遊技制御手段21bを起動させ、大当り遊技を発生させ、小当りに当選した場合、大当り補助遊技制御手段21dが、振分入賞口15aを1又は複数回(例えば、2,3回)開閉させるように、振分装置15を制御し、更に、遊技球が振分入賞口15aに入賞して特定領域15bを通過した場合に、大当り遊技制御手段21bを起動させ、大当り遊技を発生させる。
【0046】
遊技モード切換手段21eが、大当り遊技以外の遊技状態として、通常打ち(左打ち)で始動入賞口11への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードと、特別打ち(右打ち)で振分始動口13への遊技球の入賞を狙う大当り補助遊技モードの何れかに択一的に切換える。大当り補助遊技モードは、大当り補助遊技開始条件が成立することで、大当り遊技後に設定されて、大当り遊技後から大当り補助遊技終了条件(所定条件;例えば、設定時間経過する)が成立するまで継続され、それ以外は、通常遊技モードが設定される。
【0047】
大当り補助遊技モードでは、振分装置15の開閉部材15dの開放時間(例えば、各開放時間;約2秒)を通常遊技モードでの同開放時間(例えば、各開放時間;約0.1秒)よりも長くしている。また、大当り補助遊技モードでは、振分始動抽選の結果を導出する迄の導出時間(例えば、約2秒)を通常遊技モードでの同導出時間(例えば、約29秒)よりも長くし、また、振分始動抽選の当選確率(例えば、100%)を通常遊技モードでの同当選確率(例えば、約20%)より高くしてもよい。尚、大当り補助遊技モードでは、大当り小当り抽選の小当り当選確率を通常遊技モードでの同当選確率より高くしてもよい。
【0048】
外部出力処理手段21fが、パチンコ遊技機1の遊技情報をホールコンピュータ40へ出力する。この遊技情報には、大当り抽選の抽選回数や当選回数に関する情報の他、各種入賞口11,12a,14a,15a,16への遊技球の入賞に関する情報が含まれる。パチンコ遊技機1には、特別打ちを検知可能な特別打ち検知手段50が設けられ、外部出力処理手段21fは、通常遊技モードのときに特別打ち検知手段50で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報をホールコンピュータ40へ出力する。
【0049】
特別打ち検知手段50は、振分始動口13に入賞した遊技球を検出する振分始動口スイッチ13aを有し、図5に示すように、外部出力処理手段21fは、振分始動口13への遊技球の入賞に関する情報として、振分始動口スイッチ13aがオンになると振分始動口入賞信号Sをホールコンピュータ40へ出力するとともに、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号S2の出力パターンを、変則打ち情報とするために、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号S1の出力パターンに対して異ならせる出力パターン変化手段21gを有する。
【0050】
この場合、出力パターン変化手段21gは、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号S2の出力時間T2(例えば、T2=約30秒)を大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号S1の出力時間T1(例えば、T1=約0.5秒)よりも長くする。
【0051】
一方、ホールコンピュータ40においては、遊技情報管理手段40aが、複数のパチンコ遊技機1から遊技情報を受けて、パチンコ遊技機1毎に、遊技情報を管理して、特別図柄の変動回数(大当り抽選の抽選回数)や大当り回数(大当り抽選の当選回数)等が集計され、また、遊技ホール全体の収支に関する情報も集計可能である。尚、こうした集計に必要な遊技情報が各パチンコ遊技機1からホールコンピュータ40へ出力される。
【0052】
また、変則打ち判断手段40bは、パチンコ遊技機1から受ける振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間T3(T3>T1、例えば、T3=約1秒)よりも長い場合に変則打ちが行われていると判断し、変則打ち報知手段40cは、変則打ちが行われているパチンコ遊技機1を特定するようにディスプレイやスピーカを用いて報知する。
【0053】
次に、メイン制御装置21とホールコンピュータ40が前記の処理・制御機能を達成するために実行する処理・制御について、フローチャートに基づいて説明する。
【0054】
先ず、図6に示すように、メイン制御装置21が実行するメイン処理では、乱数更新処理(S1)、始動口SW処理(S2)、振分始動口SW処理(S3)、電チューSW処理(S4)、特別図柄処理(S5)、普通図柄処理(S6)、大入賞口処理(S7)、電チュー処理(S8)、振分装置処理(S9)、賞球処理(S10)、出力処理(S11)が順次実行され、その後、S12の初期値乱数の更新とS13の変動パターン乱数の更新が繰り返し実行され、S1〜S11の処理については微小時間間隔毎の割込み処理にて実行される。
【0055】
図7に示すように、S2の始動口SW処理では、始動口SW11aがONになった場合(S20;Yes )、特別図柄の保留数Uが4未満の場合に(S21;Yes )、その保留数UがU+1にインクリメントされ(S22)、大当り乱数、大当り図柄乱数、リーチ乱数が取得格納され(S23)、リターンする。
【0056】
図8に示すように、S3の振分始動口SW処理では、振分始動口SW13aがONになった場合(S25;Yes )、普通図柄の保留数Gが4未満の場合に(S26;Yes )、その保留数GがG+1にインクリメントされ(S27)、当り乱数が取得格納され(S28)、リターンする。図9に示すように、S4の電チューSW処理では、電チューSW14cがONになった場合(S4a;Yes )、第2の特別図柄の保留数Uaが4未満の場合に(S4b;Yes )、その保留数UaがUa+1にインクリメントされ(S4c)、大当り小当り乱数、大当り小当り図柄乱数が取得格納され(S4d)、リターンする。尚、S23、S28、S4dでは、S1の乱数更新処理において所定範囲内において逐次更新される乱数の中から、始動口SW11a、振分始動口SW13a、電チューSW14cがONになった時に発生している乱数が取得格納される。
【0057】
図示省略するが、S5の特別図柄処理では、図7のS23で取得格納された大当り乱数を用いて大当り乱数判定が行われ、更に、図7のS23で取得格納された大当り図柄乱数、リーチ乱数を用いて、大当り抽選の結果を示す特別図柄(大当り図柄、ハズレ図柄)が決定されセットされる。また、図9のS4dで取得格納された大当り小当り乱数を用いて、大当り小当り乱数判定が行われ、更に、図9のS4dで取得格納された大当り小当り図柄乱数を用いて、大当り小当り抽選の結果を示す第2の特別図柄(大当り図柄、小当り図柄)が決定されセットされる。そして、S7の大入賞口処理では、S5の大当り乱数判定の結果大当りとなった場合、或いは、大当り小当り乱数判定の結果大当りとなった場合、大入賞口12aが複数ラウンドに亙って開閉するように、大入賞口装置12が制御されて大当り遊技が発生する。尚、大当り小当り乱数判定は大当り乱数判定よりも優先して行われるものとする。
【0058】
図10に示すように、S6の普通図柄処理では、先ず、電チュー入賞口14aを開閉する第1補助遊技中か否か判定される(S30)。そして、第1補助遊技中でない場合(S30;No)、普通図柄が変動中でない場合に(S31;No)、更に、普通図柄の保留数Gが1以上の場合に(S32;Yes )、その保留数GがG−1にディクリメントされ(S33)、遊技モードが読込まれ(S34)、その遊技モード(通常遊技モード、大当り補助遊技モードの何れか)に基づいて、当り乱数判定(S35)が行われる。
【0059】
S35の当り乱数判定の結果、当りとなった場合(S36;Yes )、当り図柄がセットされ(S37)、ハズレとなった場合(S36;No)、ハズレ図柄がセットされる(S38)。次に、大当り補助遊技モードか否か判定され(S39)、S39;Yes の場合、変動時間が約3秒にセットされ(S40)、S39;Noの場合、変動時間が約29秒にセットされる(S41)。そして、普通図柄表示器19bに表示する普通図柄の変動が開始され(S42)、その変動時間の計測が開始され(S43)、リターンする。
【0060】
一方、S31;Yes 、つまり、普通図柄が変動中の場合、S43から計測開始された変動時間が、S40又はS41でセットされた時間に達して、変動時間終了の場合には(S44;Yes )、普通図柄表示器19aに普通図柄が停止表示され(S45)、その際、S37でセットされた当り図柄又はS38でセットされたハズレ図柄が表示される。そして、当りの場合(S47;Yes )、つまり、普通図柄表示器19aに当り図柄が表示されると、第1補助遊技が開始され(S48)、リターンする。
【0061】
図11に示すように、S8の電チュー処理では、第1補助遊技中の場合(S50;Yes )、電チュー入賞口14aが開放中の場合(S51;Yes )、S53へ移行し、電チュー入賞口14aが開放中でない場合(S51;No)、電チュー入賞口14aが開放するように電チュー装置14が制御され、S53へ移行する。そして、S53では、電チュー入賞口14aの開放時から所定の開放時間(例えば、約2秒)経過したか否か判定され(S53)、S53;Yes の場合、電チュー入賞口14aが閉塞するように電チュー装置14が制御され、次に、電チュー入賞口14aが所定回数(例えば、2回又は3回)開放したか否か判定され(S55)、S55;Noの場合、S50へリターンし、S55;Yes の場合、第1補助遊技が終了し(S56)、リターンする。
【0062】
図12に示すように、S9の振分装置処理では、先ず、振分入賞口15aを開閉する第2補助遊技中か否か判定される(S60)。第2補助遊技中の場合(S60;Yes )、S72へ移行する。第2補助遊技中でない場合(S60;No)、電チューSW14cがONでない場合には(S61;No)、リターンし、電チューSW14cがONの場合には(S61;Yes )、遊技モードが読込まれ(S62)、その遊技モード(通常遊技モード、大当り補助遊技モードの何れか)に基づいて、大当り小当り乱数判定(S63)が行われる。そして、大当りに当選した場合(S64;Yes )、大当り遊技開始命令が出力され(S65)、リターンする。小当りに当選した場合(S66;Yes )、大当り補助遊技モードの場合(S67;Yes )、開放時間が約2秒にセットされ(S68)、大当り補助遊技モードでない場合(S67;No)、開放時間が約0.1秒にセットされる(S69)。そして、第2補助遊技が開始され(S70)、振分入賞口15aが開放するように振分装置15が制御され(S71)、S72へ移行する。
【0063】
S72では、特定領域SW15eがONか否か判定され、S72;Noの場合、振分入賞口15aの開放時からS68又はS69でセットされ開放時間(約2秒又は約0.1秒))経過したか否か判定され(S73)、S73;Noの場合リターンする。S73;Yes の場合、振分入賞口15aが閉塞するように振分装置15が制御され(S75)、第2補助遊技が終了し(S76)、リターンする。
【0064】
S72;Yes 、つまり、特定領域SW15eがONになると、大当り遊技開始命令が出力され(S74)、S75へ移行する。大当り遊技開始命令が出力されると、S7の大入賞口処理において、その大当り遊技開始命令を受けて、S5の大当り乱数判定、大当り小当り乱数判定の結果に基づくことなく、大入賞口12aが複数ラウンドに亙って開閉するように、大入賞口装置12が制御されて大当り遊技が発生する。
【0065】
図13に示すように、S11の出力処理では、振分始動口SW13aがONの場合(S80)、大当り補助遊技モードの場合には(S81;Yes )、図5に上側に示す振分始動口入賞信号S1がホールコンピュータ40へ出力され(S82)、大当り補助遊技モードでない場合には(S81;No)、図5に下側に示す振分始動口入賞信号S2がホールコンピュータ40へ出力され(S83)、リターンする。尚、振分始動口SW13aがOFFの場合に(S80;No)、他の出力処理が有る場合には(S84;Yes )、その他の出力処理が実行され(S85)、リターンする。
【0066】
一方、図14に示すように、ホールコンピュータ40が実行する遊技情報処理では、パチンコ遊技1から振分始動口入賞信号を受信した場合(S90;Yes )、つまり、振分始動口入賞信号がONの場合、その出力時間t(振分始動口入賞信号がONになっている時間t)が計時され(S91)、その出力時間tが所定時間T3(>T1)以上か否か判定される(S92)。そして、S92;Yes の場合、つまり、振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間T3以上の場合、変則打ちが実行されていると判断し(S94)、その変則打ちが行われているパチンコ遊技機1が特定されてディスプレイやスピーカを用いて報知され(S95)、リターンする。
【0067】
一方、S90;No、つまり、パチンコ遊技1から振分始動口入賞信号を受信しない場合、他の信号を受信したいか否か判定され(S96)、S96;Noの場合リターンし、S96;Yes の場合、その他の信号に基づいて遊技情報集計処理(S97)が実行され、リターンする。ここで、S92;Noの場合、つまり、振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間T3未満の場合、次に、振分始動口入賞信号がOFFになったか否か判定され(S93)、S93;Noの場合、S91へリターンし、S93;Yes の場合、S96へ移行し、S97の遊技情報集計処理(S97)が、正常な振分始動口入賞信号S1にも基づいて実行される。
【0068】
このパチンコ遊技機1及びパチンコ遊技システムPSによれば次の作用効果を奏する。
パチンコ遊技機1は、通常打ちで始動入賞口11への遊技球の入賞を狙う通常遊技モード、特別打ちで振分始動口13への遊技球の入賞を狙う大当り補助遊技モード、特別打ちを検知可能な特別打ち検知手段50、通常遊技モードのときに特別打ち検知手段50で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報をホールコンピュータ40へ出力する外部出力処理手段21fを備えた。
【0069】
つまり、通常打ちで始動入賞口11への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードで、通常打ちとは異なる特別打ちで振分始動口13への遊技球の入賞を狙う変則打ちを行った場合に、その変則打ち情報をホールコンピュータ40へ出力することができるので、ホールコンピュータ40では、パチンコ遊技機1から変則打ち情報を受けて、パチンコ遊技機1の遊技モードを認識しなくても、変則打ちが行われていることを判別することができ、この変則打ちの対策を有効に講じることが可能になる。
【0070】
大当り補助遊技モードは、大当り遊技後から所定条件が成立するまで継続され、この大当り補助遊技モードでは、振分装置15の開閉部材15dの開放時間を通常遊技モードでの同開放時間よりも長くするので、通常遊技モードでは、変則打ちが行われたとしても、遊技球が振分装置15に入賞することを抑制し、大当り補助遊技モードでは、遊技球が振分装置15に入賞する可能性を高めることができる。
【0071】
特別打ち検知手段50は、振分始動口13に入賞した遊技球を検出する振分始動口スイッチ13aを有し、外部出力処理手段21fは、振分始動口スイッチ13aがオンになると振分始動口入賞信号をホールコンピュータ40へ出力するとともに、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンを、変則打ち情報とするために、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンに対して異ならせる出力パターン変化手段21gを有する。
【0072】
つまり、振分始動口スイッチ13aがオンになるとホールコンピュータ40へ出力する振分始動口入賞信号を有効利用し、変則打ち情報通信用の出力ポート等を別途設けることなく、変則打ち情報をホールコンピュータ40へ出力することができ、ホールコンピュータ40では、出力パターンが通常と異なる振分始動口入賞信号を変則打ち情報として確実に識別することが可能になる。
【0073】
出力パターン変化手段21gは、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間を、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間よりも長くするので、ホールコンピュータ40では、出力時間が長い振分始動口入賞信号を変則打ち情報として容易に識別することができる。
【0074】
そして、パチンコ遊技システムPSは、前記パチンコ遊技機1と、このパチンコ遊技機1に電気的に接続されたホールコンピュータ40とを備え、ホールコンピュータ40は、パチンコ遊技機1から受ける振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間よりも長い場合に変則打ちが行われていると判断する変則打ち判断手段40bを有するので、変則打ちが行われているパチンコ遊技機1を確実に判別することができる。
【0075】
ホールコンピュータ40は、変則打ちが行われているパチンコ遊技機1を特定するように報知する変則打ち報知手段40cを有するので、変則打ちが行われているパチンコ遊技機1をホールスタッフ等に確実に知らせることができる。
【0076】
つまり、従来はパチンコ遊技機自体が変則打ちが行われていることを報知するものは存在するが、それだけでは、変則打ちが行われているパチンコ遊技機を、ホールスタッフが広いホール内を見渡して探し、また、常に変則打ちが行われているか否か注意しながら通常業務を行うのも大変である。
【0077】
これに対して、このパチンコ遊技システムPSでは、ホールコンピュータ40において、変則打ちが行われているパチンコ遊技機1を容易に特定して報知することができるため、その報知に基づいて、変則打ちが行われているパチンコ遊技機を容易に見つけることができ、この点で、この変則打ちの対策を有効に講じることが可能になる。
【0078】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更形態について説明する。
(1)電チュー入賞口14aの開放時間について、通常遊技モードの方よりも大当り補助遊技モードの方を長くする。この場合、振分装置15の開放部材15dの開放時間について、通常遊技モードと大当り補助遊技モードの両方を同じにしてもよい。
【0079】
(2)電チュー装置14を省略し、振分始動口13への遊技球の入賞を契機に行われる振分始動抽選で当選した場合、続いて、振分装置15の開閉部材15dを開閉する。
(3)振分始動口13への遊技球の入賞を契機に行われる振分始動抽選を省略し、振分始動口13に遊技球が入賞した場合、続いて、振分装置15の開閉部材15dを開閉する。
【0080】
(4)通常遊技モードから大当り補助遊技モードへの移行について、大当り遊技後以外に、何らかの抽選で当選した場合に実行する。
(5)パチンコ遊技機1からホールコンピュータ40へ出力する変則打ち情報については、振分始動口入賞信号以外の信号とする。
【0081】
(6)特別打ち検知手段については、発射ハンドル7の回動操作位置から特別打ちが行われていることを検知し、そのために、発射ハンドル7の回動操作位置を検出するスイッチやセンサを設ける。
(7)パチンコ遊技機1からホールコンピュータ40へ出力する、振分始動口入賞信号を変則打ち情報とするための出力パターンの変化は種々考えられる。
【0082】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能であり、そして、本発明は、前記のように、通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードと、特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う大当り補助遊技モードを備えた種々のパチンコ遊技機への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例のパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】パチンコ遊技機の制御系のブロック図である。
【図4】制御装置の構成ブロック図である。
【図5】振分始動口入賞信号を示すタイムチャートである。
【図6】メイン処理のフローチャートである。
【図7】始動口SW処理のフローチャートである。
【図8】振分始動口SW処理のフローチャートである。
【図9】電チューSW処理のフローチャートである。
【図10】普通図柄処理のフローチャートである。
【図11】電チュー処理のフローチャートである。
【図12】振分装置処理のフローチャートである。
【図13】出力処理のフローチャートである。
【図14】遊技情報処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
PS パチンコ遊技システム
1 パチンコ遊技機
5 遊技領域
7 発射ハンドル
11 始動入賞口
12a 大入賞口
13 振分始動口
13a 振分始動口SW
15 振分装置
15b 特定領域
15d 開閉部材
21 メイン制御装置
21a 大当り抽選手段
21b 大当り遊技制御手段
21d 大当り補助遊技制御手段
21f 外部出力処理手段
21g 出力パターン変化手段
40 ホールコンピュータ
40b 変則打ち判断手段
40c 変則打ち報知手段
50 特別打ち検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に遊技球を発射させるように操作する発射操作手段と、遊技領域に設けられた始動入賞口と大入賞口と振分始動口と振分装置と、始動入賞口への遊技球の入賞を契機に大当り抽選を行う大当り抽選手段と、大当り抽選で当選した場合に大入賞口を開閉して大当り遊技を発生させる大当り遊技制御手段と、振分始動口への遊技球の入賞を契機に振分装置の開閉部材を開閉して、振分装置内の特定領域を遊技球が通過した場合に大当り遊技制御手段を起動させる大当り補助遊技制御手段とを備えたパチンコ遊技機において、
前記振分始動口と振分装置は、発射操作手段を操作して遊技球を遊技領域に通常に発射する通常打ちとは異なる特別打ちで発射させた場合に、その遊技球が入賞可能な位置に配置され、
前記通常打ちで始動入賞口への遊技球の入賞を狙う通常遊技モードと、
前記特別打ちで振分始動口への遊技球の入賞を狙う大当り補助遊技モードと、
前記特別打ちを検知可能な特別打ち検知手段と、
前記通常遊技モードのときに特別打ち検知手段で特別打ちが検知された場合に、変則打ちとする変則打ち情報を、このパチンコ遊技機が設置されたホールのホールコンピュータへ出力する外部出力処理手段と、
を備えたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
前記大当り補助遊技モードは、大当り遊技後から所定条件が成立するまで継続され、この大当り補助遊技モードでは、振分装置の開閉部材の開放時間を通常遊技モードでの同開放時間よりも長くすることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記特別打ち検知手段は、振分始動口に入賞した遊技球を検出する振分始動口スイッチを有し、
前記外部出力処理手段は、振分始動口スイッチがオンになると振分始動口入賞信号をホールコンピュータへ出力するとともに、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンを、前記変則打ち情報とするために、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力パターンに対して異ならせる出力パターン変化手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記出力パターン変化手段は、通常遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間を、大当り補助遊技モードで出力する振分始動口入賞信号の出力時間よりも長くすることを特徴とする請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
請求項4に記載のパチンコ遊技機と、このパチンコ遊技機に電気的に接続されたホールコンピュータとを備え、
前記ホールコンピュータは、パチンコ遊技機から受ける振分始動口入賞信号の出力時間が所定時間よりも長い場合に変則打ちが行われていると判断する変則打ち判断手段を有することを特徴とするパチンコ遊技システム。
【請求項6】
前記ホールコンピュータは、変則打ちが行われているパチンコ遊技機を特定するように報知する変則打ち報知手段を有することを特徴とする請求項5に記載のパチンコ遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−142331(P2010−142331A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320514(P2008−320514)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】