説明

パティキュレートフィルタの状態判定装置

自動車のパティキュレートフィルタ(13)の状態を判定する装置であって、電気測定装置をすすの堆積を測定するすすセンサとして備えた装置が開示される。この測定装置は、回路構造(22、23)を有する電気的構成要素と、測定手段(24)とを含んでおり、回路構造(22、23)は、構成要素の電気的又は磁気的パラメータを特性化する電界又は磁界を励起するために用いられ、この電界又は磁界はすすの堆積によって変化する。測定手段(24)は、構成要素の電気的又は磁気的パラメータをすす堆積の尺度として記録するために用いられる。本発明によれば、電界がパティキュレートフィルタ(13)の部分容積領域を貫通しかつその部分容積領域が構成要素の一部分となるように、回路構造(22、23)が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に基づく、内燃機関のパティキュレートフィルタの状態を判定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、パティキュレートフィルタのすすのつまり具合を測定するために、平面状の非導電性の基板上に電極を配置し、この全配置体を排気ガス流路に設置し、場合によってはパティキュレートフィルタの内部にも設置する方式を開示している。基板上に堆積するすすの粒子は、電極間において測定し得る電気抵抗を減少させ、これから、基板上におけるすす粒子の堆積状況が判定され、それによってパティキュレートフィルタの再生時期が導き出される。
【0003】
しかし、平面状の参照領域上に堆積したすすの量を測定しても、パティキュレートフィルタのつまり具合を所望の精度で検知することは不可能であり、従って、パティキュレートフィルタの最適運転はできない。
【0004】
特許文献2は、送信アンテナ及び受信アンテナからなるすすセンサを開示している。パティキュレートフィルタを貫通して伝播する送信信号の伝送損失がすすのつまり具合の尺度として用いられる。しかし、このすすセンサは、特に送信信号がマイクロ波信号であるので、非常に複雑であり、かつコストも掛かる。
【0005】
特許文献3及び特許文献4は、パティキュレートフィルタの入側及び出側間の圧力差からすすのつまり具合を導出するパティキュレートフィルタのつまり具合測定装置を開示している。しかし、圧力差は、パティキュレートフィルタのつまり具合のみによって変化するだけでなく、灰のつまり具合及びフィルタを流れるガス流量によっても変化するので、測定精度はこれまで十分でなかった。
【0006】
特許文献5は、すすを含むガスに曝露される基板を、定められた時間間隔ですすの点火温度に加熱するすすセンサを開示している。その際に放出される熱量を測定して、すすのつまり具合の尺度として用いる。さらに、特許文献6は、すすがもたらす排ガスの透明度の変化と、その結果変化する光学距離とに基づくすす依存信号を供給する光学的測定法を開示している。これら2つの測定法は、パティキュレートフィルタのつまり具合の直接検知には適していない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,656,832号明細書
【特許文献2】国際公開第93/05388号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願公開第19933988A1号明細書
【特許文献4】欧州特許第587146号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1106996A2号明細書
【特許文献6】独国特許発明第3525755C1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、自動車のパティキュレートフィルタ用に適したすす堆積量測定装置で、具現化が容易でコストが掛からず、欠点の懸念がほとんどないすす堆積量測定装置を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する装置によって達成される。
【0010】
従属請求項に規定される手段は、請求項1に規定される装置の有利な改良を可能にする。
【0011】
本発明による装置は、パティキュレートフィルタにおけるすすの堆積、すなわちパティキュレートフィルタのつまり具合を、パティキュレートフィルタ本体の3次元の連続した部分容積領域において測定することによって規定される。この場合、この部分容積領域そのものが構成要素の一部を形成し、その構成要素の電気的又は磁気的な1つ又は複数個の特性変数を関連測定手段によって測定することができる。この場合、導体構造物によって励起される場は電気的又は磁気的性質を有することができる。測定手段も、測定された特性値からすすの堆積量を導出することができる。
【0012】
部分容積領域におけるすすの堆積は、導体構造物によって励起される電界又は磁界すなわち構成要素の特性値に影響を与えるので、つまり具合を、その時々の流れの条件に大きく乱されることなく高信頼度で測定することが可能になる。このため、部分容積領域におけるパティキュレートフィルタのすすのつまり具合が所定の上限値を超えると、パティキュレートフィルタの再生を起動することができる。パティキュレートフィルタ本体の容積的に拡がっている部分領域においてパティキュレートフィルタのつまり具合を測定すると、一方では、全フィルタ本体に対して行われる全体つまり具合測定法に比べて、つまり具合のより細分化した評価が可能になる。他方では、パティキュレートフィルタの最も重要な部分を測定することができる。これによって、つまり具合の正確な評価が可能になり、従って、すすの燃焼によるパティキュレートフィルタの再生を起動する最適時期を決定することができる。この結果、不必要な再生及び遅延した再生のいずれをも確実に避けることができる。この場合、パティキュレートフィルタ本体のつまり具合というのは、フィルタ内部におけるすす又は灰のような固体要素の容積に関わる堆積として理解される。すなわち、つまり具合は、フィルタ容積リットル当たりのグラム数として規定するのが好ましい。この場合、再生の起動に最も重要な基準となるすすのつまり具合の限界値は、つまり具合が測定されるパティキュレートフィルタ本体の位置、存在する灰のつまり具合、再生中のすすの燃焼の間に放出される許容最大熱放散量、あるいは他の可能な自動車の運転変数に応じて規定することができる。パティキュレートフィルタとしては、主として、多孔質の成形品、又は、多孔質の壁面を有するダクトが通っている一体型の成形品を用いることができる。
【0013】
本発明の1つの実施形態においては、すすの堆積量を、パティキュレートフィルタの互いに異なる部分容積領域において測定することができる。この場合、すすセンサとして有効な別個の測定装置を各部分容積領域に設けることが望ましい。部分容積領域は、排気ガスの流れの方向に互いに対してずらして配置することが好ましい。パティキュレートフィルタのつまり具合は、本質的に排気ガスの流れの方向によって変化するので、すなわち、軸方向の勾配を有しているので、パティキュレートフィルタにおけるつまり具合を箇所ごとに、又はその軸方向の変化を測定することができる。その結果、パティキュレートフィルタのつまり具合をより正確に判定することができる。
【0014】
本発明による装置の利点は、特に、基本構成において、ただ2つだけの故障しにくい堅固な測定電極を必要とすることにある。この場合、この測定電極間のインピーダンスを、同様に故障しにくく簡単かつコスト的に有利な方法で測定することができる。1つの構成においては、パティキュレートフィルタ本体又は部分容積領域それ自体が、この測定電極を具備するセンサである。特に有利な1つの変形実施形態においては、適切に構成された簡単なセンサを、パティキュレートフィルタ本体の下流側に配置することができる。この電気センサの信号はすすのつまり具合を直接測定するものであり、従って、パティキュレートフィルタの状態の尺度である。
【0015】
1つの好ましい実施形態においては、測定手段が、抵抗(オーム)及び/又はキャパシタンス及び/又はインダクタンスを測定するように構成される。さらに、この測定手段は、電気的なインピーダンスの絶対値及び位相をも有利に測定することができる。インピーダンス測定には、kHzからMHz範囲の周波数を有する交流を用いることが好適である。
【0016】
測定値が所定の起動値に達した場合にフィルタの再生を自動起動する切り換え手段も実際上便利であることが判明している。この切り換え手段及び他の切り換え手段は、測定値が所定の限界値に達した場合にフィルタの再生を自動的に完了させるためにも用いることができる。この結果、フィルタの完全な自動再生を容易に実現することができる。
【0017】
測定値、つまり電気的特性変数は、構成要素又はパティキュレートフィルタの温度によっても変化するので、フィルタの温度を測定して、当該測定信号に対する温度補正を行うための温度測定手段を設けることも有利である。少なくとも1つの温度センサを温度測定手段として設けることが好ましく、それを、導体構造物又は装着される測定電極の少なくとも1つの表面上又は内部に組み込むと都合がよい。この目的用として、該センサは、プリントされた温度依存性の構造として、特に厚膜の金属抵抗器として構成するのが好ましい。別の有利な実施形態は、導体構造物の一部分を温度依存性のものにして温度センサを形成させる方式である。
【0018】
本発明の1つの有利な実施形態においては、コイル形状の導体構造物を含む測定装置が設けられる。この導体構造物はパティキュレートフィルタの少なくとも1つの部分容積領域を包み込むので、そのインダクタンスがすす堆積の尺度となる構成要素が形成される。従って、その部分容積領域に存在する材料の透磁率及び/又はコイル形状の導体構造物のインダクタンスに相関する変数を、測定装置によって測定し得ることが想定されている。この場合、透磁率は、特に、通常μで表示される比透磁率であると理解するものとする。
【0019】
この導体構造物は、複数の巻き数を有するシリンダ状のワイヤコイルとして構成するのが望ましい。このコイルは、パティキュレートフィルタの少なくとも一部分の範囲に巻回されるか、あるいは成形体として構成されるパティキュレートフィルタの内部に配置される。透磁率は、導体構造物が囲繞する容積領域に存在する材料の種類によって変化するので、パティキュレートフィルタのつまりの程度すなわちつまり具合を、導体構造物によって測定される透磁率に相関した変数によって確実に測定することができる。これによって、不必要な再生及び再生の遅れのいずれをも確実に回避することができる。
【0020】
並行的に、あるいは代替的に、導体構造物のインダクタンス又は導体構造物のインダクタンスに相関する変数を測定装置によって測定することができる。導体構造物が囲繞する容積領域は、導体構造物に対するコイルの芯として作用する。測定装置作動時は、導体構造物に電流が流れ、対応する磁界が励起される。磁界によって誘起される誘導は、磁界が貫通する材料の透磁率を介して磁界の強さと連関している。しかし、導体構造物のインダクタンスはこの誘導に連関しているので、導体構造物のインダクタンス又はそれに相関する変数を測定すれば、パティキュレートフィルタの最も重要な容積領域におけるつまり具合を測定することも可能になる。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、導体構造物が、少なくとも部分的にパティキュレートフィルタの内部に配置される。測定装置には十分な感度を備えたものを用いるので、その測定効果に基づいて、コイル形状の導体構造物の芯がパティキュレートフィルタの材料によってできる限り完全に充填されることが有利である。従って、導体構造物をパティキュレートフィルタの完全に内部に配置することが好ましいのである。しかし一方では、例えば実際上の理由から、導体構造物の一部をパティキュレートフィルタ本体の外側に配置することが有利になる場合もある。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態によれば、コイル形状の導体構造物をパティキュレートフィルタの外側に配置して、導体構造物を例えば部分的にパティキュレートフィルタに巻き付けることも有利である。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態においては、コイル形状の導体構造物を、その長手方向の軸がシリンダ形状のパティキュレートフィルタの主軸の1つにほぼ平行になるように配置する。コイル形状の導体構造物を、その長手方向の軸がパティキュレートフィルタの長手方向軸に平行になるように配置すると、構造が簡単になり有利である。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態においては、測定装置が第2の導体構造物を含んでおり、その場合、コイル形状の導体構造物がその第2の導体構造物と能動的に連結され、この第2の導体構造物は、パティキュレートフィルタのすすの堆積又はつまり具合によって変化し得る電気的特性変数で、測定装置によって測定可能な電気的特性変数を有している。この方法で、2つの異なる測定信号を得ることができ、信頼性が改善される。他方では、2つの導体構造物を、それらがフィードバックの形で互いに相互作用し、その結果、測定装置の感度が増大するように構成することも有利である。この場合、2つの導体構造物間の能動的連結は、電気的な導線接続によって、あるいは導線なしの接続によって行うことができる。
【0025】
2つの導体構造物は異なる位置に配置することが望ましい。これによって、パティキュレートフィルタのすす及び/又は灰のつまり具合を、パティキュレートフィルタの少なくとも2つの異なる部分容積領域において、すなわち、空間的な分布をもって測定することが可能になる。この結果、つまり具合の正確な評価が可能になり、例えばすす燃焼によるパティキュレートフィルタの再生を起動する最適時期を決定することができる。これによって、不必要な再生工程及び再生工程の遅れのいずれをも確実に回避することができる。
【0026】
測定装置によって測定し得る第2導体構造物の電気的特性変数が、キャパシタンス的なあるいは誘導的な電気的特性変数であれば有利な場合がある。特に、コイル形状の導体構造物と第2の導体構造物とを、両者合わせて、感度を増大する共振構造となるように構成することが有利である。このため、第2の導体構造物はコンデンサとして構成するのが望ましい。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態においては、第2の導体構造物が、第2のコイル形状の導体構造物として構成され、導体構造物間において有効になる相互インダクタンスに相関する変数を測定装置によって測定することができる。導体構造物を連結コイルとして構成することが特に有利である。第1導体構造物の第2導体構造物に対する相互インダクタンスと、逆の形に存在する相互インダクタンスとの両者を測定することができる。この場合、第1又は第2導体構造物は、パティキュレートフィルタの外側に、それらがパティキュレートフィルタのいかなる部分をも囲繞しないように配置することもできる。一方、それぞれもう一方の導体構造物は、パティキュレートフィルタの少なくとも1つの部分容積領域を囲繞している。従って、パティキュレートフィルタの外側で励起されかつ好ましくはコイルとして構成される導体構造物の磁界は、測定装置によって規定することができるが、しかし、それに連関している誘導の流れは、もう1つの導体構造物が囲繞しているパティキュレートフィルタの部分容積領域を貫通しており、そこに存在するつまり具合によって変化する。その結果、相互インダクタンス又はそれに相関する変数を測定することによって、パティキュレートフィルタのつまり具合を確実に測定することができる。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態においては、コイル形状の導体構造物が、排気ガスの流れの方向において、第2の導体構造物に対してずらして配置される。これによって、パティキュレートフィルタのすすのつまり具合を、軸方向の分布をもって測定することができる。パティキュレートフィルタのつまり具合は、本質的に排気ガスの流れの方向によって変化するので、すなわち、軸方向の勾配を有しているので、パティキュレートフィルタにおけるつまり具合の軸方向の変化をこれから測定することができる。その結果、パティキュレートフィルタのつまり具合を特に正確に判定することができる。つまり具合がそれぞれ測定される容積領域は、コイル形状の導体構造物の幾何学的形状から定まるものであり、円形のシリンダ状コイルの場合には、特にその直径及び長さから定まる。コイル形状の導体構造物の巻き数によって、コイル形状の導体構造物のインダクタンスが同時に本質的に決定される。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態においては、導体構造物が第1電極及び第2電極の1対の電極を含む測定装置を設ける。この場合、第2電極は第1電極から間隔をおいて配置される。電極対の両電極は、パティキュレートフィルタの少なくとも1つの部分容積領域がその間に位置するように配置される。第1電極及び第2電極間に有効になるインピーダンス又はそれに連関する特性変数を、測定手段によって測定し得るようにするのが好ましい。基本的には複素数と見なされるインピーダンスに連関する特性値として、まず第1に、インピーダンスの絶対値並びにその実数部及び虚数部並びに位相角が考えられる。
【0030】
インピーダンスは最も重要な部分容積領域に存在する材料の誘電率によって変化し、すすは導電材料として、絶縁体よりは1桁高い誘電率を有しているので、電極間の有効なインピーダンスはそこに存在するすすによって大きく影響を受ける。このため、特に、パティキュレートフィルタ本体がセラミックのような電気絶縁材料として構成される場合には、電極対の電極間に有効なインピーダンスを測定することによって、パティキュレートフィルタのつまりの程度又はすすつまり具合を確実に測定することが可能になる。その結果、不必要な再生工程及び再生工程の遅れのいずれをも確実に回避することができる。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態においては、第1電極及び第2電極が平板状であって、平板型コンデンサのプレートとして互いに対向して配置される。パティキュレートフィルタのつまり具合、特にすすのつまり具合を測定するために、コンデンサプレート及びその間の部分フィルタ容積からなるこの構成の電気キャパシタンスが好適に評価される。この電気キャパシタンスは、そこに存在する材料の種類と量とによって変化する。本発明による測定装置によって、パティキュレートフィルタそれ自体が電極を具備したセンサを形成し、パティキュレートフィルタのつまり具合を測定する目的を有している。この測定装置においては、少なくとも電極間のパティキュレートフィルタの容積領域におけるすすのつまり具合をキャパシタンスから測定することが可能である。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態においては、第1電極及び/又は第2電極が、パティキュレートフィルタの表面上に、あるいはパティキュレートフィルタの表面から僅かに距離を置いて配置される。パティキュレートフィルタの形状に応じて、電極は、例えば円形又は楕円形のパティキュレートフィルタの表面輪郭に沿わせることができるように曲面にすることもできる。
【0033】
電極は直径上に互いに対向して配置し、パティキュレートフィルタの外表面上に直接装着するのが好ましい。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態においては、測定装置が少なくとも2対の電極を含んでいる。従って、パティキュレートフィルタのすす及び/又は灰のつまり具合を、パティキュレートフィルタの少なくとも2つの好ましくは異なる部分容積領域において、すなわち空間的分布をもって、測定することができる。これによって、つまり具合を正確に評価することが可能になり、すすの燃焼によるパティキュレートフィルタの再生を起動する最適時期を決定することができる。その結果、不必要な再生工程及び再生工程の遅れのいずれをも確実に回避することができる。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態においては、第1の電極対が、排気ガスの流れの方向において、第2の電極対に対してずらして配置される。これによって、パティキュレートフィルタのすすつまり具合を軸方向の分布をもって測定することができる。パティキュレートフィルタのつまり具合は、本質的に排気ガスの流れの方向によって変化するので、すなわち、軸方向の勾配を有しているので、パティキュレートフィルタにおけるつまり具合の軸方向の変化を測定することができる。これによって、パティキュレートフィルタのつまり具合を特に正確に判定し得るようになる。すすのつまり具合がそれぞれ測定される容積領域は、電極対の電極の幾何学的形状、すなわち、各電極の面積と、その間の距離つまり各位置におけるパティキュレートフィルタの直径もしくは断面寸法とによって定まる。
【0036】
パティキュレートフィルタを一体化した1つの好ましい実施形態においては、少なくとも1つの電極対が、ワイヤ、小さい平板片又は塗着表面の形態で、あるいは厚膜技術を用いて、パティキュレートフィルタの表面上又は内部に直接配置される。パティキュレートフィルタに一体組み込みされる実施形態の場合には、1つの電極対を、パティキュレートフィルタを貫通する異なるダクトの内部又は表面上に配置することができるし、あるいは、その外側、特に長手方向の外側及び/又は端面に配置することができる。
【0037】
別の好適な実施形態においては、複数の電極対を軸方向及び/又は半径方向に互いに並べて配置すること、例えばらせん形状に配置することも可能である。パティキュレートフィルタのすすのつまり具合の空間的分布を、これら複数の電極対の測定手段と関連させて有利に決定することもできる。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態においては、すすの堆積を測定するすすセンサとして有効な第2の電気的測定装置を設け、パティキュレートフィルタを通る流れの方向に関してパティキュレートフィルタの下流側に配置する。
【0039】
この測定装置は、同様に、電気的構成要素に属する導体構造物を好適に備えており、その構成要素の1つ又は複数の電気的特性変数がすすの堆積によって変化するので、その変化を適切な測定手段によって検出する。この別個のすすフィルタセンサの場合には、導体構造物を基板上に適切に配置することが望ましい。
【0040】
パティキュレートフィルタから分離して配置されるセンサの場合は、導体構造物好ましくは電極対を具備する基板を、パティキュレートフィルタを通る流れの方向に関して、パティキュレートフィルタの下流側又はその後側に配置することができる。この場合、電極対は、セラミック基板として構成される基板上に、交差指電極構造の形で配置することができる。これに対して代替的に、温度センサを、測定電極の下又は基板の背後側に、誘電体で分離して配置することもできる。
【0041】
以上の説明から、本発明によれば、成形体として構成されるパティキュレートフィルタに、パティキュレートフィルタの少なくとも1つの部分容積領域を囲繞するコイル形状の導体構造物を含む測定装置を付属させることが可能になる。この結果、電気的構成要素が形成され、部分容積領域に存在する材料の透磁率及び/又はコイル形状の導体構造物のインダクタンスに相関する変数が測定される。
【0042】
同様に、つまり具合を測定するために、第1電極及び第2電極を含む測定装置を配備することが可能になり、第1電極及び第2電極間において有効なインピーダンス又はそれに連関する電気的特性変数が測定される。
【0043】
この場合、各測定装置によって測定される容積領域の形状は、本質的に導体構造物の幾何学的形状によって決定される。
【0044】
次に、測定された各変数からパティキュレートフィルタのつまり具合が決定される。この決定は、測定信号のすすのつまり具合に対する依存性について予め定められた特性曲線を用いて行うことが好ましい。この場合、例えば温度依存性のような2次的な影響を特性図表の形で考慮することも可能である。
【0045】
導体構造物がシリンダ状のコイルとして構成される場合は、そのインダクタンスを適切な手段で測定するのが望ましい。インダクタンスはコイルの芯として有効な材料の種類によって変化するので、最も重要な容積領域におけるつまり具合を、材料によって変化する透磁率によって確実に測定することができる。
【0046】
第1電極及び/又は第2電極をパティキュレートフィルタの外表面上又はその外表面から僅かに距離を置いて配置する場合は、第1電極と、第2電極と、電極間に配置されるパティキュレートフィルタの容積領域とから形成される構成であって電気的な構成要素を形成する構成の電気キャパシタンスを測定して、このキャパシタンスからパティキュレートフィルタのすすのつまり具合を測定するのが有利である。この結果、すすのつまり具合は、少なくとも、シリンダ状のパティキュレートフィルタのほぼディスク形状の部分容積領域の部分において測定される。
【0047】
測定された特性値から導出されるすすのつまり具合が所定の上限値を超えたことが確定されると、パティキュレートフィルタの再生が起動される。この手順によって、パティキュレートフィルタのつまり具合を、1つの容積として拡がっているパティキュレートフィルタ本体の部分領域内で測定することができ、その結果、一方ではつまり具合の区分された評価が可能になり、他方では、パティキュレートフィルタの最も重要な部分を測定することができる。配置及び方位に従って、つまり具合は、パティキュレートフィルタのほとんどいかなる領域においても測定することができる。このため、例えばすすの燃焼によるパティキュレートフィルタ再生を起動する最適時期を決定することが可能になる。その結果、不必要な再生工程及び再生工程の遅れのいずれをも確実に回避することができる。再生起動の最も重要な基準となるすすつまり具合の限界値は、導体構造物が設けられる位置と、存在する灰のつまり具合と、再生時のすすの燃焼による最大許容熱放散量とに応じて、あるいは、他の可能なエンジン関連の運転変数に応じて決定することができる。
【0048】
パティキュレートフィルタのすすのつまり具合は、流れの方向に互いにずらして配置される2つ又はそれより多くの導体構造物によって測定することが好ましい。これによって、パティキュレートフィルタの2つ又はそれより多くの、場合によっては重なり合う領域のすすのつまり具合を測定することができ、パティキュレートフィルタの測定部分容積領域の少なくとも1つにおけるすすのつまり具合が所定の上限値を超えると、パティキュレートフィルタの再生が起動される。再生操作の継続時間は、再生起動前に測定されるパティキュレートフィルタのつまり具合に適合させるのが好適である。この方法で、燃料消費が高い再生運転モードが必要な時間だけに維持され、燃料消費の点で特に経済的なパティキュレートフィルタの再生が可能になる。測定される部分容積領域が複数ある場合は、パティキュレートフィルタの再生継続時間を、各領域のいずれかにおいて測定される最大つまり具合に適合させることが特に有利であり、これによって、パティキュレートフィルタの完全な再生が可能になる。
【0049】
再生開始後に、パティキュレートフィルタのすすつまり具合を測定してそれを所定の設定値と比較し、その比較の結果に応じて、その後引き続く再生の継続時間を規定することが合理的である。この方法によって、再生継続時間を最適化することができる。再生の直前及び直後にすすのつまり具合を測定することも有利である。この方法によって、再生の達成度をすすのつまり具合間の差異から決定することができ、以後の再生の継続時間を、可能な限り完全な再生とするように定めることができる。定めるべき再生継続時間に関する統計的にさらに確実な平均値を得るために、複数の再生工程の結果を上記の方法で測定することが有利である。
【0050】
本発明によれば、パティキュレートフィルタのすすのつまり具合をパティキュレートフィルタの再生中にも測定して、つまり具合が所定の下限値以下に低下すれば再生を完了させることも可能になる。特にすすのつまり具合を複数の箇所で測定する場合には、再生の進行具合を特に正確に追跡することができるので、再生の終点を確実に決定することができる。
【0051】
1つ以上の電気的特性変数を測定することによって、パティキュレートフィルタのつまり具合測定時に、すすのつまり具合成分と灰のつまり具合成分とを測定することができる。すすと、場合によっては鉄を含有する灰との透磁率又は誘電率は異なるので、すすのつまり具合と灰のつまり具合とを区別することが可能になるのである。これによって、パティキュレートフィルタ再生のための適正時間を決定する際の正確さの程度をさらに改善することができる。灰によって構成されるつまり具合成分を、間違ってすすのつまり具合と解釈することがなくなるからである。
【0052】
パティキュレートフィルタ上流側の排気ガス圧力を追加的に測定すること、及び、測定された排気ガス圧力からパティキュレートフィルタのつまり具合に相関する変数を決定して、それを、測定されたすすのつまり具合の修正又は検証に用いることが有利である。好ましくは排気ガス装置のパティキュレートフィルタの流入側に配置される圧力センサ又は差圧センサによって、測定されたパティキュレートフィルタのつまり具合の信頼性を高めることができる。さらに、測定されたつまり具合の整合性を検査し、かつ測定装置の診断又は校正を実施することができる。
【0053】
本発明の有利な実施形態を図面に示しているので、以下、これを詳述する。ここで、上記に述べた特徴及び以下に説明する特徴は、それぞれ規定した特徴の組み合わせにおいて使用し得るのみでなく、他の組み合わせにおいても、あるいは単独でも、本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
図1は、自動車用、特にディーゼル車用のパティキュレートフィルタの概略図である。このフィルタは排気ガスの流入管11と排気ガスの流出管12とを含むハウジング10から構成される。ハウジング10は、流入側に開いている複数の流出側を閉じたダクト14と、流出側に開いている複数の流入側を閉じたダクト15とを有するセラミックフィルタ材からなるパティキュレートフィルタ13を包み込んでいる。排気ガスは、流出側を閉じたダクト14に流入し、その壁面を通過して流入側を閉じたダクト15から流出する。この過程で、すす粒子はこの壁面によってろ過される。
【0055】
すすセンサ16は、流れの方向Aにおいてパティキュレートフィルタ13の下流側の排気ガス流出管12に配置される。原理的には、これは、パティキュレートフィルタ13に近接して配置することもできるし、あるいは、その背後側に配置することもできる。このすすセンサ16は、基本的に小さい平板片の形のセラミック基板17から構成され、そのセラミック基板17の上に少なくとも2つの測定電極18、19が装着されている。それらは、例えば、厚膜技術を用いて、塗布又はスプレーによって、あるいは交差指電極構造の形で装着することができる。すす粒子はセラミック基板17の表面上に堆積し、測定電極18、19間のインピーダンスを変化させるので、このインピーダンスの変化が堆積したすす粒子の量の尺度となる。これについては図4及び図7〜9に関連してさらに詳細に説明する。このすすセンサ16によって、排気ガスの質だけではなく、パティキュレートフィルタ13の状態、例えばこのパティキュレートフィルタの導通開口をも確認することができる。
【0056】
図2に例示する実施例においては、測定電極20〜23から構成される2対の電極が、パティキュレートフィルタ13の長手方向の対向側面に配置される。この測定電極20〜23は、セラミックのパティキュレートフィルタ13上に、例えば、ワイヤ、小さい平板片又は塗着表面の形態で、あるいは厚膜技術を用いて装着することができる。この実施例においては、パティキュレートフィルタ13そのものがセンサとしての機能を果たし、測定電極20、21及び22、23間のインピーダンスが、パティキュレートフィルタへのすす粒子のつまり具合によって変化することが利用される。測定されたインピーダンスは、それぞれ、パティキュレートフィルタのすすのつまり具合の尺度であり、従ってパティキュレートフィルタの状態の尺度である。インピーダンス測定装置24は、単なる抵抗測定装置、例えばDC抵抗測定装置としても具現化することができるが、このインピーダンス測定装置24を用いて測定電極20、21及び22、23間のインピーダンスを測定する。図7は、測定電極間の抵抗が、運転時間tの増大と共に、導電性のすす粒子がパティキュレートフィルタ13の測定電極間に集積することによって減少する状況を示す。同様に、図8は、すすのつまり具合の増大と共に変化する測定電極間のキャパシタンスを示している。この場合はインピーダンス測定装置24がキャパシタンス測定装置として具現化されているのである。最後に、図9も、すすのつまり具合g/l(容積リットル当たりのグラム数)に対する、2つの異なる測定周波数における交流抵抗の変化を示す。左側に示される抵抗測定の目盛りは測定周波数1MHzに対するものであり、右側に示される抵抗測定の目盛りは測定周波数4MHzに対するものである。
【0057】
インピーダンスの絶対値に加えて、インピーダンスの位相もすすフィルタのすすのつまり具合の尺度として使用することができる。
【0058】
上記の測定方法は、当然のことながら、すすセンサ16及びその測定電極18、19にも同等に使用することができる。
【0059】
図2に示す実施例においては、測定電極20、21及び22、23を備えた2対の電極が、流れの方向Aにおいて相前後して配置されている。この結果、すす粒子のつまり具合を、空間的に区分して測定することも可能である。このために使用する測定電極の数は、勿論さらに増やすことができる。この場合、これらの電極対は、軸方向及び半径方向に互いにずらして配置することも可能であり、例えばらせん形状に配置することもできる。代替的又は追加的に、パティキュレートフィルタ13の前端面又は後端面に配置することも可能である。最も簡単な場合は、ただ1対の電極のみを設けることも当然可能である。
【0060】
測定電極のさらに別の可能な装着方式が図4〜6に示されている。例えば図4によれば、2つの測定電極25、26を、パティキュレートフィルタ13の長手方向の隣接する2側面に配置することができる。図5によれば、2つの測定電極27、28を流出側を閉じた、異なるダクト14に配置することが可能であり、図6によれば、2つの測定電極29、30を流出側を閉じた、1つのダクト14の互いに対向する側に配置することができる。これらの実施形態においては、複数の電極対を、流れの方向Aにおいて相前後するように配置することも同様に可能であり、この場合は、図示の配置法を組み合わせて用いることもできる。
【0061】
パティキュレートフィルタ13又はセラミック基板17のすす粒子のつまり具合の測定信号には温度依存性がある。この理由から、補正目的のために、少なくとも1つの温度センサによって温度を測定しなければならない。この場合、温度測定信号は、図7〜9の特性曲線及び測定結果を補正するのに用いられる。このような温度センサは、例えばパティキュレートフィルタ13の任意の位置に配置することができるが、例えば1つの測定電極の内側又は表面上に、例えばプリントされた厚膜金属抵抗器の形で一体化することもできる。この点に関しては、温度センサをプリントされた導電体構造とすることも可能であり、あるいは、1個又は複数個の測定電極を、その抵抗値が温度によって変化する導電体路の形態にすることができる。この場合は、測定電極そのものの抵抗が温度の尺度であり、測定電極間のインピーダンスがフィルタの状態又はフィルタのすすのつまり具合の尺度となる。温度センサを絶縁層で分離して測定電極の下に配置する別の方式も可能である。すすセンサ16の場合は、温度センサを、セラミック基板17の背面側、あるいは誘電体で分離して測定電極18、19の下に配置することもできる。
【0062】
得られる測定値又は得られる図7〜9の測定曲線は、パティキュレートフィルタの自動再生用にも用いることができる。この目的のために、抵抗又はキャパシタンス又はインピーダンスの限界値を定めることができ、その値に達するとフィルタの再生が自動的に行われる。この再生は、通常、比較的高温の排気ガスが生成されて、パティキュレートフィルタに堆積したすす粒子を焼尽してしまうように、エンジンの運転状態を変更することによって行われる。この再生過程によって、抵抗値又はキャパシタンス値及び/又はインピーダンス値が、元に戻る方向に変化し、再生工程を終了する新しい限界値を設定することができる。
【0063】
図10は、パティキュレートフィルタ13のガス流入側の概略断面図を示す。この図では、図1の構成要素に対応する構成要素には同じ参照符号が付せられている。パティキュレートフィルタ13は、ハウジング(図示されていない)の中に搭載され、パティキュレートフィルタ13を包み込む装着用外被33によってハウジングの中に機械的に固定される。
【0064】
本発明によれば、パティキュレートフィルタ13用の測定装置には、パティキュレートフィルタ13のつまり具合を測定し得る第1測定電極31及び第2測定電極32が設けられる。この場合、この測定電極31、32は、平板構造のものが好ましく互いに対向して配置される。この場合、測定電極31、32又はそのいずれかを、パティキュレートフィルタ13の内部に配置することができる。以下に、測定電極31、32を、パティキュレートフィルタ13の外表面上に、あるいはパティキュレートフィルタ13の外表面から僅かに距離を置いて配置する有利な配置法に関する詳細を述べる。
【0065】
図10は、電極31、32が、パティキュレートフィルタ13の外表面に直径上に互いに対向して直接配置される場合を示す。この方式では、測定電極31、32が平板型コンデンサのプレートを形成する。測定電極31、32間に位置する材料がその誘電体を構成するのである。インピーダンス測定装置24を、電圧及び電流供給用と測定信号評価用との両方に用いることが想定されている。
【0066】
測定電極31、32間におけるパティキュレートフィルタ13の部分容積領域において有効なインピーダンスは、一方では測定電極31、32の面積、及びその間の距離すなわち当該位置におけるパティキュレートフィルタ13の直径によって定まるが、他方では、このインピーダンスは、測定電極31、32間に位置する材料の誘電率によっても変化する。パティキュレートフィルタ13に堆積するすすの誘電率は比較的高いので、インピーダンス測定によって測定される容積領域のすすのつまり具合を高い精度で測定することができる。この場合、インピーダンスは、その虚数部及びその実数部の両者に関して、かつ、絶対値及び位相の点で評価することが想定されている。前記の測定変数を、以下においては簡単化のために測定信号と呼称する。この場合、測定信号の評価はインピーダンス測定装置24又は別個の評価装置(図示されていない)によって行うことができる。
【0067】
この点に関して、インピーダンス測定用の測定周波数を、適切に選定すること及び場合によっては変化させることが有利である。これは、可能最大の測定信号と、つまり具合に関するできる限り高信頼度の情報とを得るためである。測定電圧の周波数は1kHzから約30MHzまでの間の範囲に設定することが有利である。約1kHz〜約20MHzの周波数範囲が好ましいが、特に好ましい測定周波数は約10MHzである。この場合、最も重要なパティキュレートフィルタの領域又は測定電極31、32の領域において温度測定を同時に行うことも有利である。これによって、測定されたインピーダンス値の温度依存性の修正が可能になり、あるいは測定信号の温度補正を行うことができる。
【0068】
測定電極31、32は、パティキュレートフィルタ13の表面上に、例えば、厚膜技術によって、あるいは導電材料をスプレー又は塗布することによって装着することができる。フィルタ本体を含む金属含有薄膜を例えば焼結によって密着被覆することも有利である。この測定電極31、32は、組み込み状態において生起する装着用外被33の押圧力によって、フィルタ本体に位置固定することもできる。
【0069】
図11は別の有利な構成を示す。図11においては、図10の構成要素と機能的に同一の要素には同じ参照符号が付されている。図10の配置と対比すると、図11の測定電極31、32は、パティキュレートフィルタ13に直接接触する形ではなく、パティキュレートフィルタ13の表面から僅かに距離を置いて配置されている。例えば、熱負荷の低さの点から、測定電極31、32を装着用外被33の外側の領域に配置すること、あるいは、それを装着用外被33の中に埋め込むことが有利な場合がある。装着用外被33の厚さに応じて、測定電極31、32をパティキュレートフィルタ本体の表面からミリメートル範囲の距離に配置するのが一般的である。この配置の場合には測定電極31、32を膜形状に構成するのが有利である。
【0070】
本発明によれば、測定電極31、32を、少なくとも2つ、好ましくはそれより多く、異なる位置に設けることが想定されている。これによって、パティキュレートフィルタ13内のつまり具合を空間的な分布をもって測定することが可能になる。この場合、インピーダンス測定によって測定される部分容積領域は重なり合うことができるし、あるいは、相互に分離してもよい。この方法で、パティキュレートフィルタ13のつまり具合を場所に応じて測定することが可能になる。パティキュレートフィルタ13の大きさと、目標とする空間的分布とに従って、3個、4個又はそれより多くの電極配置を、好ましくは排気ガスの流れの方向にずらして設けることができる。特に、パティキュレートフィルタ13の流出端領域は閉塞する傾向が強いので、測定される部分容積領域を複数個設ける場合は、その配置密度が排気ガスの流れの方向に高くなるように配置することが有利である。これによってつまり具合測定の精度が改善される。
【0071】
図12は、2対の電極31、32及び31’、32’の電極配置を平面上に展開して表示した概略図である。電極31、32及び31’、32’は、層として、薄いフレキシブルな担体36の上に接着するのが望ましい。この担体36を、パティキュレートフィルタ13又は装着用外被33の上に当てがって装着する。電極31、32及び31’、32’への導線ライン34は担体36上に設けられ、好ましくは担体36の端部領域に配置される接続端子35に繋がっている。このため、プラグ接点又はクランプ接点(図示されていない)によってインピーダンス測定装置24(図12には示されていない)に簡単に接続することができる。この構成は、さらに、インピーダンス測定装置24に接続するために、パティキュレートフィルタ13を包み込むハウジングを貫通する単一の貫通接続を行えばよいだけであるという利点を有している。
【0072】
電極31、32及び31’、32’は、担体36上に、その長手方向の中心軸に関して、パティキュレートフィルタ13の周囲長さの約1/2に等しい距離の間隔aを置いて配置することが有利である。この配置法によって、担体36を装着した状態で、電極31、32及び31’、32’が互いに直径上のほぼ対向する位置に配置される。さらに、電極31、32及び31’、32’を、担体36上において、担体36の横方向又は長手方向にずらして配置することが有利である。
【0073】
図13は、パティキュレートフィルタ13のセグメントの詳細を概略的な斜視図で示している。図13では、図3の構成要素と同等の要素を同じ参照符号で表している。
【0074】
パティキュレートフィルタ13には、パティキュレートフィルタ13のつまり具合測定に用いることができる電極構造を備えた測定装置が装備されている。この場合、この電極構造は、例として、第1のほぼ長方形の平面電極22と、直径上のその対向位置に配置される同じ形状の第2の電極23とによって構成される。電極22、23は、好ましくは、図示のように、各電極の中心点間に延びる仮想の接続ラインが、パティキュレートフィルタ13のダクト14、15の長手方向に対して垂直方位となるように配置する。これによって、電極22、23は、パティキュレートフィルタ13の近似的にシリンダ状の連続した部分容積領域の端面を形成し、この場合、この部分容積領域はその全長にわたってほぼ長方形の断面を有している。このシリンダ状の部分容積領域の縦方向の寸法は、この場合、パティキュレートフィルタ13又はフィルタセグメントの横方向の寸法に等しく、電極22、23は、それぞれ、パティキュレートフィルタの外面に当てがわれている。
【0075】
この方式の場合、電極22、23は、平板型コンデンサのプレートを形成し、電極22、23間に位置する材料がその誘電体となる。
【0076】
上記の構造を、図14に再度概略的な断面図として示す。但し、インピーダンス測定装置24及び関連する導線ラインは図に含まれていない。さらに、流出側を閉じたダクト14の内側に存在し、通常層形状を成しているすす及び/又は灰38も模式的に表現されている。
【0077】
流れに関して平行に接続される複数のセグメントからなるパティキュレートフィルタ13を使用するのが有利である。この場合、長方形又は正方形断面の粒子フィルタセグメントが好ましい。しかし、全体としては、このように個々のセグメントから構成されるパティキュレートフィルタの外側を丸めることによって、円形又は楕円形断面を有するフィルタ本体を得ることが可能である。個々のセグメントは、部分弾性の接合コンパウンドを用いて、同一面に並ぶように相互に機械的に結合する。この場合、電極22、23をそれぞれ隣接する2つのセグメント間の接合部に装着し、その結果、電極22、23が各セグメントの外側に当てがわれて、接合コンパウンドに包み込まれるようにするのが有利である。但し、上記の配置を個別には図示していない。測定装置によって測定されるパティキュレートフィルタ13の部分容積領域は、上記の測定装置と共に完全にフィルタ本体の内部に配置して、パティキュレートフィルタの材料によって取り囲むようにすることも可能である。この方法によって、排気ガスの流れの方向Aに関して、フィルタのつまり具合の半径方向の変化を測定することが可能になる。
【0078】
本発明によれば、電極22、23によって形成されるコンデンサの電気キャパシタンス又は複素インピーダンスをインピーダンス測定装置24によって測定する。この場合、象徴的に示した場の力線37が、インピーダンス測定によって測定されるパティキュレートフィルタ13の部分容積領域を概略的に表している。
【0079】
図15に示す装置においては、パティキュレートフィルタ13が、パティキュレートフィルタ13のつまり具合を測定し得る測定装置と共に示されているが、この測定装置は、導体構造物としてコイル39を具備しており、コイル39の巻線がパティキュレートフィルタ13の一部を包囲している。コイル39の巻線は、パティキュレートフィルタ13の表面に当てがわれるか、あるいはそれから僅かな距離にあることが望ましい。
【0080】
測定装置は、導線ラインによってコイル39に接続されるインピーダンス測定装置24をも含んでいる。コイル39には、好ましくは交流電圧の形の測定電圧がインピーダンス測定装置24から供給される。コイル39が取り囲むパティキュレートフィルタ13の部分はコイルの芯を形成するので、そのインダクタンスLは、本質的にコイル芯として作用する材料又はその透磁率μによって定まる。すすと無機質状の灰との透磁率μが異なるために、この場合、測定されたインダクタンスLによってすすのつまり具合と灰のつまり具合とを区別することができる。さらにこの場合、測定されるインダクタンスが導体構造物39の複素インピーダンスと関連付けられ、後者を、その虚数部及び/又は実数部に関して、あるいはその絶対値と位相とに従って評価することが予定される。インダクタンスLに加えて、抵抗損又は渦電流損のような電気損失も測定し評価することができる。上記の測定変数に関しては、以下、簡単化のために測定信号という用語を用いる。インピーダンス測定装置24は、電圧及び電流両者の供給用として使用すると共に、測定信号評価用としても用いることが想定されている。しかし、測定信号は別個の測定装置によって評価することも可能である。
【0081】
この場合、インダクタンスを測定する際、可能最大の測定信号と、つまり具合に関するできる限り高信頼度の情報とを得るために、測定周波数を適切に選定すること及び場合によっては変化させることが有利である。測定電圧の周波数は1kHzから約30MHzまでの間の範囲に設定することが望ましい。約100kHz〜約10MHzの周波数範囲が好ましいが、特に好ましい測定周波数は約1MHzである。インピーダンス測定装置24によってコイル39に印加される供給電圧の振幅は1V〜1000Vの範囲内で選定することが望ましい。コイル39のインダクタンスLはその形状又は巻数によっても変化するので、これらの変数を調整して感度を適切に調整することもできる。この点に関して、測定されたインダクタンス値又はインピーダンス値の温度依存性を修正し得るようにするため、最も重要なフィルタ領域又は導体構造物39の領域において、温度を同時に測定することも有利である。
【0082】
少なくとも2つのコイル形状の導体構造物を異なる位置に配備することも可能である。これによって、パティキュレートフィルタ13内のつまり具合を空間的な分布をもって測定することが可能になる。図16は、第1コイル39及び第2コイル39’を含む構成の概略図である。第2コイル39’は、パティキュレートフィルタに対して第1コイル39の向かい側に、軸方向にずらして配置されている。この場合、インピーダンス測定装置及びコイル39、39’への導線ラインは、分かりやすくするために表示されていない。図15の構成要素と機能的に同一の要素には同じ参照符号を付している。コイル39、39’をずらして配置しているので、パティキュレートフィルタ13のつまり具合を場所に応じて測定することができる。パティキュレートフィルタ13の大きさと目標とする空間的分布とに従って、3個、4個又はそれより多くの導体構造物を、好ましくは排気ガスの流れの方向に互いに対してずらして配置することができる。特に、パティキュレートフィルタ13の流出端領域は閉塞する傾向が強いので、パティキュレートフィルタ13の流出端領域に少なくとも1つの導体構造物を配置することが有利である。
【0083】
コイル形状の導体構造物39をフィルタ本体の周囲に直接巻線する方式と同様に、簡単な変更によって実現される別の構成も可能であるが、これは詳細には図示していない。例えば、導体構造物39を、コイルの形で、パティキュレートフィルタ13を包み込むハウジングの内面に装着することができる。さらに、コイル形状の導体構造物を、パティキュレートフィルタ13の完全に内部に、排気ガスの流れの方向Aに対して平行に、あるいは横方向に配置することが有利となる場合もある。異なる直径のコイルを重ねて配置すると、事前規定し得る連結部を備えた連結コイル構成を設けることが可能になる。
【0084】
特に相互にずらして配置される複数個のコイルを設ける場合は、コイルの相互インダクタンスに相関する変数、例えば1つのコイルの別のコイルに関する相互インダクタンスを測定して、それを、フィルタのつまり具合に関して評価することも有利である。1つの特に有利な実施形態(図示なし)においては、3つのコイルが、排気ガスの流れの方向に相前後して配置され、例えば、フィルタ本体の周囲に巻かれているか、あるいは、相前後して並ぶフィルタ本体の容積領域を囲繞している。中央のコイルは発信器として作動させることができるのに対して、残りの2つのコイルは、それぞれ、中央のコイルによってこの2つのコイルの中に誘導される磁界の受信器として作動させる。このような配置によって、フィルタのつまり具合の軸方向分布に関する非対称性を測定することが有利に可能になる。この方法で、ほとんどの場合パティキュレートフィルタの流出側に生じる灰の負荷又はフィルタの閉塞を検知し評価することが可能になる。
【0085】
図15の測定装置によって測定される測定効果を明確に説明するため、図17のグラフに、測定されたコイル39のインダクタンスLを、パティキュレートフィルタの容積あたりのすすのつまり具合m/Vの関数として表示している。ディーゼルエンジン(図示なし)のすす粒子含有排気ガスを、実際に近い条件の下で、パティキュレートフィルタ13に導入し、図15の測定装置を連続的に作動させた。この場合、数マイクロヘンリーの範囲のインダクタンス値Lが、フィルタ容積リットル当たりすす数グラムの範囲のすすのつまり具合m/Vに対して測定された。図17のグラフから明らかなように、測定信号として評価されるインダクタンス値Lのすすのつまり具合m/Vに対する依存性はほぼ直線的であるので、パティキュレートフィルタ13のつまり具合を確実に決定することができる。フィルタのつまり具合によって生じるインダクタンスの変化は、例えば、共振回路における共振周波数の変化によって測定することができる。この共振周波数の変化は導体構造物39のインダクタンスによって定まるのである。
【0086】
以上に述べた装置によって、すすの堆積を、空間的分布をもって測定することが可能になり、測定される部分容積領域の少なくとも1つにおいてすすのつまり具合が所定の限界値を超えた場合には、パティキュレートフィルタの再生を起動することができる。これによって、パティキュレートフィルタのすすのつまり具合が箇所によって許容最大レベルを超え、その結果すす燃焼による再生操作実行時に過大な熱が放散されてこの箇所に損傷が生じるという事態が回避される。パティキュレートフィルタの全体的なつまり具合が所定の限界値を超えたことが検知された場合にも、当然、再生操作が起動される。さらに、場合によっては、例えば再生条件の変化に対応するために、再生を起動する限界値を調整することが有利である。これによって、パティキュレートフィルタのつまり具合に起因する許容し得ないような背圧上昇が避けられる。パティキュレートフィルタの再生を必要に応じてかつ実際のすすのつまり具合に適応して起動すると、再生工程の数が最小限度に制限され、その結果、パティキュレートフィルタ及び別に設けられる排気ガス浄化ユニットの熱負荷が低く維持される。
【0087】
再生操作起動の最も重要な基準となる箇所ごとのつまり具合又は全体的なつまり具合の限界値は、制御ユニットに保存しておくと便利である。この制御ユニットによってディーゼルエンジンの運転を制御し、パティキュレートフィルタの再生をリセットすることが望ましい。当分野の当業者はこれに適した運転モードに精通しているので、さらなる説明はここでは必要でない。
【0088】
パティキュレートフィルタの再生時間を、再生起動前に確定される箇所ごとのつまり具合及び/又は全体的なつまり具合に応じて、例えば所定の特性曲線に基づいた再生時間によって規定することができるが、この方式も有利である。この場合は、パティキュレートフィルタ内の温度を測定して、再生時間を、事前に記憶させた各温度に対するすすの燃焼速度に応じて定めることが有利である。再生の結果は、再生完了後につまり具合を再度測定することによって好適に検証される。再生の前後に測定されるつまり具合を比較、評価することによって、事前設定された再生時間を適切に修正することができる。これによって、再生に必要な運転状態が必要な時間よりも長く維持されることが避けられ、従って、再生用のエネルギー経費又は付加的な燃料消費が低く抑えられる。再生工程の継続時間を的確に規定するために、この場合、複数の再生工程の前後の対応する値を平均化することが有益である。
【0089】
パティキュレートフィルタのつまり具合を再生工程中においても監視すれば特に有利である。この場合は、再生運転モードを、対応する電極対によって測定される各部分容積領域におけるつまり具合が所定の下限値以下に低下するまで継続することが望ましい。これによって、パティキュレートフィルタの不完全な再生工程が回避され、パティキュレートフィルタの吸収能力を、ディーゼルエンジンの引き続く正規運転モードに対して最大化することができる。
【0090】
パティキュレートフィルタの2つ又はそれより多くの部分容積領域においてパティキュレートフィルタのつまり具合を測定すると、有利なことに、これを、すすのつまり具合の成分と灰のつまり具合の成分との識別にも用いることができる。これを実行するには、各電極対の測定信号は、すすのつまり具合に起因する成分と、灰のつまり具合に起因する成分とを加え合わせて構成され、この内の灰のつまり具合は連続的に増大するという事実が利用される。灰のつまり具合の全体測定信号に対する寄与度は小さいが、測定信号の時間的変化が測定され、かつ、パティキュレートフィルタ13の使用期間の経過の範囲内で連続的に増大する信号成分が測定されて考慮に入れられると、状況によっては、灰のつまり具合の成分を決定することが可能になる。この場合は、測定頻度を変えることも有利である。
【0091】
特に灰のつまり具合が測定信号のごく僅かな部分しか占めない場合は、測定信号を、その時間的変化及び空間的変化に関して評価することによって、灰のつまり具合を間接的に定めることが有利である。特に、場合によって異なる測定信号の変化に基づいて、パティキュレートフィルタの一部分が他の部分よりもどの程度まで多くのすすのつまり具合を有しているか、あるいは、部分容積領域における大量の灰の堆積によって、すすのつまり具合はごく僅かしかないか又は全くないのかどうかを判定することができる。
【0092】
すす粒子に対する吸収能力は灰のつまり具合の増大と共に低下するので、再生工程の継続時間及び/又は2つの再生工程間の時間間隔を、測定された灰のつまり具合に応じて調整又は規定することが有利である。
【0093】
特殊な状況として、パティキュレートフィルタの測定される部分容積領域のいずれかにすすのさらなる蓄積がなければ、すなわち測定信号が少なくとも近似的に安定していれば、灰の堆積の結果として全面的な閉塞が生じていると結論付けることができる。このため、特に、パティキュレートフィルタの複数の領域でつまり具合が測定される場合は、パティキュレートフィルタの全容積に関して灰による充填程度を決定することができる。その結果、そのようなパティキュレートフィルタが過大な灰のつまり具合によって不安定になる可能性を適時に検知して、適切な警告メッセージを発することが可能になる。この場合、灰の堆積の今後の変化に関する予測計算を行って、パティキュレートフィルタが不安定になる時点までの残存運転時間が所定値以下に低下すると、警告メッセージを発するようにすることが有利である。
【0094】
ウォールフロータイプのフィルタの場合には、ストッパの破損によってもフィルタは使用できなくなる。この場合は、当該領域にはフィルタ効果は全く存在しない。これは、パティキュレートフィルタの下流側に配置される別個のすすセンサによって有利に検知することができる。しかし、この種類の損傷は、対象領域において所定の時間間隔の間、つまり具合の明らかな増加がなければ、それによって検知することも可能である。この種の損傷事故の場合にも欠陥メッセージを発することが想定されている。
【0095】
本発明による測定装置に加えて、圧力センサ又は差圧センサを用いてパティキュレートフィルタ上流側のラム圧を測定すると、つまり具合判定時及びパティキュレートフィルタ運転時の信頼性をさらに高めることができる。パティキュレートフィルタのつまり具合は、対応する圧力信号に基づいても特性化することができる。当分野の当業者には周知の圧力センサ及び信号評価法をこの目的に使用することができるが、これは当業者には周知であるのでこれに関するさらなる情報は省略することができる。
【0096】
圧力センサはパティキュレートフィルタ運転の信頼性及び効率の一層の改善を可能にする。これについて、例えば、インピーダンス測定装置によって測定されるパティキュレートフィルタのつまり具合を、圧力信号によって検証し、整合性について検査し、あるいは修正することが有利である。例えば、相互相関の方式の相関関係を用いて、すすのつまり具合に関して、あるいはパティキュレートフィルタ再生工程にとって最も重要な基準となるつまり具合の限界値に関してインピーダンス測定装置の測定信号から得られる値を、場合によっては圧力信号によって調整しあるいは修正することが有利である。さらに、故障又は欠陥を検知し、場合によってはそれらを指示するために、インピーダンス測定装置を診断する付加的な圧力センサを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】流れの方向においてパティキュレートフィルタの下流側に配置される別個のすすセンサを備えたパティキュレートフィルタの概略図を示す。
【図2】長手方向の側面に複数の電極対が配置された同等のパティキュレートフィルタのすすフィルタ本体を示す。
【図3】測定法を説明する概略図を示す。
【図4】パティキュレートフィルタの2つの隣接する長手方向の側面に配置される1対の電極の別の配置を示す。
【図5】パティキュレートフィルタの内部に配置される1対の電極を示す。
【図6】パティキュレートフィルタの内部に配置される1対の電極の別の配置を示す。
【図7】電気抵抗の変化を説明する特性曲線を示す。
【図8】キャパシタンスの変化を説明する特性曲線を示す。
【図9】異なる周波数における交流抵抗の変化を説明する2つの特性曲線を示す。
【図10】フィルタのつまり具合測定用の関連電極配置を含むパティキュレートフィルタの第1の概略断面図を示す。
【図11】フィルタのつまり具合測定用の関連電極配置を含むパティキュレートフィルタの第2の概略断面図を示す。
【図12】フィルタのつまり具合測定用の―平面上に展開された―電極配置の概略図を示す。
【図13】パティキュレートフィルタの構成要素と、フィルタのつまり具合測定用の関連測定装置との概略的斜視図を示す。
【図14】図13のパティキュレートフィルタ構成要素並びにフィルタのつまり具合測定用の関連測定装置の概略的断面図を示す。
【図15】フィルタのつまり具合測定用のコイル形状の導体構造物を備えたパティキュレートフィルタの第1の概略図を示す。
【図16】フィルタのつまり具合測定用のコイル形状の導体構造物を備えたパティキュレートフィルタの第2の概略図を示す。
【図17】フィルタのつまり具合と、それと相関し、測定器具によって測定される電気的特性変数との間の関係を明解に表示する図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すすの堆積測定用のセンサとして構成される電気的測定装置を有し、該電気的測定装置は、
−すすの堆積によって変化する電界又は磁界を励起する導体構造物を備え、電気的又は磁気的特性変数を規定する電気的構成要素と、
―すすの堆積量の尺度として前記電気的構成要素の電気的又は磁気的特性を測定する測定手段(24)を含む、
内燃機関のパティキュレートフィルタ(13)の状態を判定する装置において、
上記電界が上記パティキュレートフィルタ(13)の部分容積領域を貫通し、該部分容積領域が上記電気的構成要素の一部を形成するように、上記導体構造物が配置されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記すすの堆積を、前記パティキュレートフィルタ(13)の相互に異なる部分容積領域において測定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
インピーダンスと連関する前記構成要素の特性変数を前記測定手段(24)によって測定することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の装置。
【請求項4】
前記インピーダンスの絶対値及び/又は位相を測定することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記構成要素の抵抗及び/又はキャパシタンス及び/又はインダクタンスを測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
測定値が所定の再生起動値に達した場合に、前記フィルタの再生を自動的に起動する切り換え手段が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
測定値が所定の値に達した場合に、前記フィルタの再生を自動的に完了させる切り換え手段が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタの温度を測定し及び/又は前記測定信号の温度補正を行う、温度測定手段が設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
コイル形状の導体構造物(39)が設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記コイル形状の導体構造物(39)が、前記パティキュレートフィルタ(13)の内部において少なくとも部分的に配置されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コイル形状の導体構造物(39)が前記パティキュレートフィルタ(13)の外側に配置されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記パティキュレートフィルタ(13)の形状が円筒状であり、前記コイル形状の導体構造物(39)のコイルの縦軸が、前記パティキュレートフィルタ(13)の縦軸に対してほぼ平行又はほぼ垂直の方位に向けられることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記測定装置が第2の導体構造物を含み、前記コイル形状の導体構造物(39)が該第2の導体構造物と能動的に連結され、該第2の導体構造物が、前記測定手段(24)によって測定し得ると共に前記すすの堆積(38)によって変化し得る電気的特性変数を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の導体構造物が、第2のコイル形状の導体構造物(39’)として構成され、前記コイル形状の導体構造物(39、39’)間において有効な相互インダクタンスに相関する変数を前記測定手段(24)によって測定することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記コイル形状の導体構造物(39)が、排気ガスの流れの方向において、前記第2の導体構造物に対してずらして配置されることを特徴とする請求項13あるいは14に記載の装置。
【請求項16】
前記導体構造物が、第1電極(20、22、25、27、29、31、31’)と、該第1電極(20、22、25、27、29、31)から間隔をおいて配置される第2電極(21、23、26、28、30、32、32’)とを含む電極対(20、21;22、23;25、26;27、28;29、30;31、32;31’、32’)を有しており、前記部分容積領域が、該第1電極(20、22、25、27、29、31、31’)と該第2電極(21、23、26、28、30、32、32’)との間に配置されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1電極(20、22、29、31、31’)及び前記第2電極(21、23、30、32、32’)が平板状であり、平板型コンデンサのプレートとして互いに対向して配置されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1電極(20、22、25、27、29、31、31’)及び/又は前記第2電極(21、23、26、28、30、32、32’)が、前記パティキュレートフィルタ(13)の外表面に配置されるか、あるいは、前記パティキュレートフィルタ(13)の外表面から僅かに距離をおいて配置されることを特徴とする請求項16あるいは17に記載の装置。
【請求項19】
前記測定装置が少なくとも2つの電極対を含むことを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の電極対が、排気ガスの流れにおいて、前記第2の電極対に対してずらして配置されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
すすの堆積測定用のすすセンサ(16)として有効な第2の電気的測定装置が、前記パティキュレートフィルタ(13)を通る流れの方向に関して前記パティキュレートフィルタ(13)の下流側に設けられることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−524786(P2007−524786A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552543(P2006−552543)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001339
【国際公開番号】WO2005/093233
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】