説明

パネル配列

単一の被覆段階で製造される混合信号の多層プリント配線基板が望まれる。PWBは、PWBを構成する異なる回路基板の異なる回路層の間に1又は2以上の高周波相互接続部を含む。PWBは、放射要素を備える多数のユニットセルと、各ユニットセルの回りに配設されたRFケージとを含み、ユニットセルを絶縁する。複数のフリップチップ回路はPWBの外側表面上に配設され、ヒートシンクはフリップチップの構成要素の上方に配設可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般に、比較的低コストで量産に適し比較的低プロフィールの位相配列アンテナに関し、更に特定すれば、位相配列アンテナに利用される高周波(FR)回路と技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本技術分野で公知のように、位相配列アンテナ(更に簡潔に「位相配列」)を利用する高周波(RF)システムの更に低い吸収性及びライフサイクルコストに対する要望がある。同時に、そのようなシステムのバンド帯、偏波多様性及び信頼性の要求を満たすことはますます困難になっている。
【0003】
[0003] これも公知であるが、RFシステムを製造するときのコストを削減する方法は、いわゆる「混合された単一回路」の使用を可能にするプリント配線基板(PWBs)(またときとしてプリント回路基板又はPCBsとして参照される)を利用することである。混合された単一回路は、一般に、同一の回路基板(例えば単一の回路基板上に集積されたアナログとデジタルの両方の回路)上に2又は3以上の異なる型の回路を有する任意の回路を参照する。
【0004】
[0004] またも公知であるが、RF回路は、しばしば、多層PWBSから供給される。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ベースの材料が好適なRF特性(例えば好適な挿入損失特性)を有するので、そのようなPWBSは、そのような材料で作られる。
【0005】
[0005] 混合された単一の多層PWBは被覆され、しばしば、異なる型の回路のために各サブ組立体が整合されたサブ組立体から供給される。例えば、RF回路のためのサブ組立体も、DC電力及び論理回路のためのサブ組立体もあろう。2つのサブ組立体は結合されて、混合された多層PWBを供給する。そのようなPWBSは、一般的に、PTFEベースの材料から供給され、その結果、混合された単一の多層PWBを構成する各サブ組立体のために、多数の工程及び段階のサイクルを要求する。例えば、所望の回路の特定の層に結像してエッチングし、それから、基板を被覆して多層PWBを供給することは必要である。穿孔とめっきの操作は、ときとして、個々の基板上に行われる。最後に、最終の被覆、穿孔、めっきのサイクルが実行されて、仕上げられたPWBサブ組立体または最終PWB組立体を供給する。一般に、各PWBサブ組立体及び/又は最終組立体は、伝達線ジャンクションを超えて延在する各RFビア孔(そのような領域は「ビアスタブ」として参照される)がバックドリルと埋め戻しをされることを必要とする。この工程は、PWBのRF特性を改善するが、コストを上昇させ、バックドリルの許容量と埋め戻し材料の誘電特性と補えられたエアポケットのためにRF特性の質を低下させる。その結果、このアプローチは、多数の製造操作及びバックドリル/埋め戻し操作のために、高コストのRF多層PWB被覆という結果になる。
【0006】
[0006] (PTFEベースの材料よりもむしろ)低温同時焼成セラミックス(LTCC)ベースの材料を使用して提供される混合信号の多層PWBは、製造上の異なる一連の問題を呈する。多層被覆は、一般に、LTCCを使用して1つの被覆工程で作ることが可能であるが、LTCCは、多数の欠陥を有する。例えば、収縮の問題のために、処理は、(一般に38.71cm2(6インチ四方)かそれ以下の大きさの)比較的小さなパネル(又は基板)上にだけ行われることが可能である。また、LTCCベースの材料は、伝送線のための導電性ペーストと接地パネルとを使用し、そのような導電性ペーストは、PTFE基板で使用される純粋な伝送線を貫通して伝播されるRF信号における損失に比較して、RF周波数で損失的である。そのような増加した挿入損失は多くの周波数帯(例えばKuバンドやそれ以上の周波数帯)において認容されない。更に、LTCC材料は、PTFEベースの基板の誘電率よりも高い誘電率を有する傾向にあり、このことは、RF伝送線及び効率的なRF送信アンテナの両方にとって好適ではない。最後に、LTCCは、比較的小さな製造ベースを有する。まとめれば、現時点では、LTCCは高容量の性能を有しないし、LTCC材料は、RF性能に妥協し、Lバンドの周波数範囲への適用に厳しい制限がある。その結果、PTFEのアプローチ及びLTCCのアプローチの両方は、比較的高価な回路でRF性能の品位を低下させ、レーダ及び/又は通信への適用に制限がある。
【0007】
[0007] 当該技術分野で知られるように、位相配列アンテナは、既知の距離だけ互いに離間した複数のアンテナ要素を含み、そのアンテナ要素は、複数の位相シフタ回路を通じて、送信機や受信機の一方又は両方に連結される。いくつかのケースでは、位相シフタ回路は、送信機及び/又は受信機の一部であるように考えられている。
【0008】
[0008] また知られるように、位相配列アンテナシステムは、無線周波数エネルギ(RF)ビームを製造し、送信機又は受信機とアンテナ要素配列との間を通過するRFエネルギの(位相シフタ回路を介する)位相を制御することで、そのようなビームを選択された方向に沿って方向付けるように適合される。電子走査位相配列では、制御信号またはワードを位相シフタセクションの各々に送ることで、位相シフタ回路(及びその結果としてのビームの方向)の位相が選択される。制御ワードは、一般に、所望の減衰レベル及び他の制御データと同様、所望の位相シフタを代表するデジタル信号である。
【0009】
[0009] 位相シフタ回路及び振幅制御回路を位相配列アンテナ内に含むことは、一般に、アンテナが比較的大きく重く高価であるという結果となる。アンテナがいわば「能動孔」(又は更に簡潔に「能動型」)位相配列アンテナとして提供されるとき、能動孔アンテナが送信回路と受信回路の両方を含むので、位相配列アンテナの大きさと重量とコストの問題は、更に悪化される。
【0010】
[0010] 位相配列アンテナは、しばしば、防衛の電気システム及び商業の電気システムの両方で使用される。例えば、能動型電子走査配列(AESAs)は、例えば、レーダ監視、陸上及び衛星通信、携帯電話、ナビゲーション、認証、電気的な計数尺度等、広範囲の防衛の電気システム及び商業の電気システムに対する要求がある。そのようなシステムは、しばしば、国家ミサイル防衛構想(National Missile Defence)、戦域弾道ミサイル防衛(Theater Missile Defence)、艦艇自衛システム(Ship Self-Defence System)及び地域防衛(Area Defense)のためのレーダ、艦船及び航空機搭載レーダシステム、及び衛星通信システムで使用される。その結果、システムは、しばしば、例えば艦船、航空機、ミサイルシステム、ミサイル台、限定された空間だけが利用可能な衛星や建物等、単一の構造物上に配備される。
【0011】
[0011] AESAsは、機械的操作孔と同様に、受動型走査配列に対しても性能面で非常に多数の利益を提供する。しかし、AESAsの配備に関連し得るコストは、それらを特殊な軍事システムに使用することを制限することがある。配列のコストが一桁規模で減少できれば、AESAをレーダや通信、電子戦への適用のために軍事及び商業システムに幅広く投入することを可能にするであろう。AESAアーキテクチャの性能及び信頼性の利益は、艦船、航空機、衛星、ミサイル、潜水艦を含む多様なプラットホームに広げることが可能であろう。
【0012】
[0012] 従来型の多くの位相配列アンテナは、いわば「ブリック」型アーキテクチャを使用する。ブリック型アーキテクチャでは、位相配列の能動型要素に供給される無線周波数(RF)信号及び電力信号は、一般に、アンテナ孔と一致する(又はアンテナ孔によって画定される)平面に垂直な平面に分配される。アンテナ孔の直交する配置及びブリック型アーキテクチャのRF信号は、ときとして、アンテナを単一偏波構成に制限することが可能である。加えて、ブリック型アーキテクチャは、全く大きくて重いアンテナという結果となり、その結果、そのようなアンテナの移送及び配備を困難にすることがある。
【0013】
[0013] 位相配列アンテナのための他のアーキテクチャは、いわゆる「パネル型」又は「タイル型」アーキテクチャである。タイル型アーキテクチャを備えることで、RF回路及び信号は、アンテナ孔によって画定される平面に平行な平面に分配される。タイル型アーキテクチャは、基礎となるビルディング・ブロックを「タイル」の形態で使用する。各タイルは、アンテナ要素及びそれの関連したRF回路を含む多層プリント回路基板で形成可能である。RF回路は、組立体の中に取り囲まれる。また、各アンテナタイルは、実質的に平面の位相配列として単独で動作可能であり、又は、ずっと大きい配列アンテナのサブ配列として動作可能である。
【0014】
[0014] タイル型アーキテクチャを有する例示的な位相配列にとって、各タイルは、送信アンテナ、送信/受信(T/R)チャネル、RF及び電力マニホルド及び制御回路を組み込んだ高度に集積された組立体であることが可能であり、それらのすべてが、AESAを実行するための低コストで軽量の組立体に結合可能である。そのようなアーキテクチャは、以下に述べる適用には特に有利であろう。その適用とは、アンテナの減じられた重量及び大きさが意図された任務(例えば航空機や空間への適用)を遂行するために、又は、所望の配置にて戦術的なアンテナの移送及び配備のために重要である。
【0015】
[0015] それ故に、既存技術に比較して、同時に高度の性能を示しながらも、フロントエンドの能動型配列が大きさと重量とコストとを1桁規模で小さくするAESAを提供することは望まれるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許番号第6,611,180号
【特許文献2】米国特許番号第6,624,787号
【特許文献3】米国特許番号第6,731,189号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
[0016] ここに記述された技術に従えば、複数の個々のプリント回路基板(PCB)から提供される多層プリント配線基板(PWB)を使用するパネル配列を製造する方法は、
(a)PWBを有する複数の回路基板の各々の上の全層を撮像する工程と、
(b)複数の回路基板の各々の上の全層をエッチングする工程と(複数の回路基板の少なくともいくつかの層上のアンテナ要素とRFマッチングパッドとをエッチングする工程を含む)、
(c)回路基板を被覆して被覆された回路基板組立体を提供する工程と、
(d)被覆された回路基板組立体に穿孔する工程であって、孔の各々が被覆された回路基板組立体の最上層から被覆された回路基板組立体の最下層に延在する、工程と、
(e)被覆された回路基板組立体内に穿かれた孔の各々をめっきする工程と、
(f)被覆された回路基板組立体の外部表面上に複数のフリップチップ回路を配設する工程と、
を含む。
【0018】
[0017] この特殊な技術を備えて、単一の被覆段階は、多層RF PWBから提供されるパネル配列を製造する。ある実施形態では、多層PWBは、混合信号の多層PWBとして提供される。この技術は、製造と組立の工程を非常に簡略化し、薄くて軽量のパッケージの中に優れたRF性能を結合するパネル配列という結果となる。ある実施形態では、パネル内に128個のT/Rチャネルを含み、パネルは、だいたい、23.3cm×29.2cm(8.4インチ×11.5インチ)(604.3cm2(93.66平方インチ))、5.33mm(0.210インチ)厚で、0.980kg(2.16ポンド)重(304kg/m3(0.11ポンド/立方インチ))である。パネルは、多層PWBと、T/Rチャネル当たり2個のモノリシック・マイクロウェーブ集積回路(MMIC)と、T/Rチャネル当たり2個のスイッチと、RF、電力・論理コネクタと、バイパスコンデンサと、抵抗器とを含む。単一の被覆及び単一の穿孔及びめっき操作は、結果として、低コストで低プロフィールの(即ち薄い)パネルという結果となる。
【0019】
[0018] ここに記述された進歩性を有する概念の更なる特徴に従えば、多層PWBから提供されるパネル配列は、複数の放射要素を備え、放射要素の各々は、ユニットセルの一部として提供される。パネル配列は更に類似の複数の導波ケージを備え、導波ケージの各々、複数のユニットセルの対応する1つの回りに配設され、各導波ケージは多層PWBの厚さ全部を貫通して延在する。導波ケージは、PWBの第1最外層(例えばPWBの最上層)からPWBの第2最外層(例えばPWBの最下層)に延在するめっきされたスルーホールから形成される。
【0020】
[0019] RF周波数で、導波ケージは、ユニットセルの各々を他のユニットセルから電気絶縁する。そのような絶縁は、パネル配列の改善されたRF特性という結果となる。導波ケージは、以下を実行するように機能する。
(1)走査盲目性(scan blindness)を誘発する表面波モードの抑制(誘電体スラブ上の放射要素と誘電体スラブ内で支持された案内モードとの間の結合による)、
(2)並行した平面モードの抑制(非同期のRFストリップライン構成による)、
(3)ユニットセル間のRF絶縁、
(4)論理電力回路からのRF回路の電気絶縁(従ってそれは同層上にプリントされるはずのRF,電力、論理回路の能力という結果となり、その結果、多層パネル内の層の全数を減らす)、
(5)給電層とRFビーム形成器に対するいくつかのRFビア伝送のための垂直伝送(これはまた、ユニットセル内のスペースを省き、配列が大きな走査量を超えて動作することを所望するとき重要となる更にタイトなユニットセルのパッキングを可能にする)。
【0021】
[0020] 単一の被覆技術により、RF、電力、論理ビアのすべてが1つの操作で穿孔可能となり、RFビア「スタブ」チューニングを利用する(そこでは、RF伝送線ジャンクションを超えて延在するRFビア「スタブ」は、所望のインピーダンスマッチを提供するように調整されたRFである)。このチューニングアプローチは、RFビア伝送線ジャンクションの近くに形成されたスタブを使用する。また、ディスク(取り囲むリリーフを備える)は、接地平面層、及び/又は、ブランク層内で使用され、RFビアがそれを通過して、パネル内で提供される回路の異なる部分と適合するインピーダンスで助ける。
【0022】
[0021] ある実施形態では、パネル配列を提供する多層PWBは、給電回路と放射器との間のスロット結合を利用する。放射器がパッチアンテナ要素として提供される場合、パッチアンテナ要素に結合された給電スロットは、被覆と穿孔とめっきの2つのサイクル全体を省く。それは、先行技術のプローブ給電アプローチがパッチアンテナ要素に給電するために使用されれば、他の方法で要求されるであろう。
【0023】
[0022] 多層PWBパネル配列はまた、均衡された給電スロットを利用する。各スロット対は、2つの直交する偏波方向(例えば垂直および水平偏波)の一つに対応し、ウィルキンソン型抵抗(インク)分配器によって給電される。この給電アプローチの利点は、配列が配列の主軸から離れて走査されるので、走査角を伴う改善された交差偏波性能である。そのような走査モードでは、理想の奇数モード(odd-mode)(即ちパッチの平行のエッジ間で振幅が等しく位相シフトが180度)からパッチアンテナ要素上に誘導される振幅及び/又は位相における任意の不均衡は、その偏波のためのウィルキンソン型給電抵抗器で減衰される。
【0024】
[0023] ここに記述される進歩的な概念の更なる特徴に従えば、ここに記述されるRF回路とシステムもまた、以下の有利な特徴を有する。パッチアンテナ要素は、多層被覆PWBの内側に配設され、その結果、取り囲むユニットセル内の近接するパッチの内部で絶縁される(例えば各ユニットセル回りの導波ケージのために物理的にも電気的にも絶縁される)。ある実施形態では、アンテナ要素は、2重の線形偏波アンテナを形成する。左手、及び/又は、右手の円形偏パは、直角位相のハイブリッド回路層を挿入し、各ハイブリッド回路をアンテナ給電回路に結合することで達成される。ある実施形態では、ウィルキンソン型分配器は、アンテナ給電回路内で使用され、更に低い製造コストのために(オメガ−プライ(omega-ply)の代わりの)インク抵抗器として提供される抵抗器を利用する。垂直及び水平の偏波給電のための給電回路で使用されるウィルキンソン型分配器のため、及び、RFビーム形成器で使用されるウィルキンソン型分配器のための抵抗器の値は、同じ形状と単位面積当たり同じ抵抗値である。このことは、インク抵抗器の製造を容易にし、また、製造コストを削減する。多層PWBのパネル配列はまた、電力及び論理分配回路だけでなく、放射器、RF給電、アナログのRFビーム形成器、T/Rチャネルを少なくとも含む、いわゆる能動型RFフロントエンドを含む。従って、パネル配列の上記の特徴は、商業的な工程を使用し、位相配列の適用に典型的な設計要求の範囲に柔軟性を提供するアーキテクチャを備えて、能動型RFフロントエンドのコストを著しく減らすことが可能である。
【0025】
[0024] まとめると、ここに記述されたパネル配列とパネルアーキテクチャは、比較的低コストの位相配列の製造を可能にする。比較的低電力密度を必要とする位相配列が使用可能な適用では、位相配列は空冷可能で、その結果、液体冷却を必要とする位相配列のコストと比較して、低コストにすることが可能である。更に、電子部品と材料の進歩は、時間と共に、チャネル当たりの放射RF電力の所定ワット数の動作電力レベルのためにシステムが空冷されるという設計制約を伴って、直接の方法で組み込まれるであろう。好適な実施形態ではフィンの付いたヒートシンク(又は類似のもの)を介した空冷が使用されるが、パネル配列もまた液体冷却システムとの使用に好適であることは認識されるべきである。液体冷却の場合、温度密度の消失能力は増すが、コストも増す。
【0026】
[0025] ある実施形態には、パネル配列の製造及び組立に以下に述べる5つの基本的な段階があることは認識されるべきである。
(1)多層PWBを備えるすべての回路基板上の全層を撮像しエッチングする、
(2)回路基板のすべてを被覆し被覆されたPWBを提供する(単一の被覆段階は、本来なら多数の被覆サイクルを備えたサブ組立体の整合を省き、その結果、製造時間とコストを減らし、被覆に先立ち各層は検査されて歩留まりを改善する)、
(3)被覆されたPWBの最上層と最下層とを穿孔しめっきする(単一の穿孔操作で作られるすべてのRF,論理及び電力の相互接続部とすべての孔は固体の多層被覆を製造して充填される)
(4)PWBの外部表面上にすべての能動型及び受動型の構成要素をピックアンドプレース(pick and place)する、
(5)半田リフローしてすべての能動型及び受動型の構成要素をPWBの外部表面に結合する。
【0027】
[0026] この特殊な技術を備えて、製造工程段階の数を減らすことで、能動型のRFフロントエンドのコストを減らすパネル配列の製造工程が提供される。技術は、RF、論理及びDCに分配を能動型電子部品と1つの高度に集積されたプリント配線基板(PWB)内で結合する位相配列パネルを製造する。能動型RFフロントエンドは、放射器、RF給電、アナログのRFビーム形成器、T/Rチャネル、電力及び論理分配回路、半導体MMICを少なくとも含む。能動型RFフロントエンドはまた、バイパスコンデンサ及び抵抗器を含む。
【0028】
[0027] 製造技術は、先行技術の位相配列に対して比較的低電力密度という特徴を有するパネル配列の提供のために使用されることがある。ここに記述されたパネル配列は、いわゆる能動型RFフロントエンドのコストを著しく減らすことで、レーダと通信の適用のための位相配列の広範囲での使用という目的を実現する。1つの高度に集積された多層被覆内の能動型電子部品にRF,論理及びDC分配を結合する位相配列を製造するために必要とされる製造工程段階の数を減らすことで、コスト削減は達成される。低コストのパネル配列を提供することに加えて、ここに記述されるパネル配列の製造技術はまた、機械的に堅牢で低プロフィールで軽量のパッケージという結果となり、更に大きなパネル配列がパネル配列の「ビルディング・ブロック」で構築可能にする。ある実施形態では、パネル配列は、チャネル10W当たりピークのRF出力を要求するモジュール方式/目盛りのある位相配列のための基本的な「ビルディング・ブロック」を形成する。
【0029】
[0028] ここに記述されるパネル配列アーキテクチャは、ある範囲のレーダや通信システムの要求を説明し、以下の全体システムのコストを削減する。
(1)コスト対性能というトレードオフを、RF CMOS、SiGe、GaAs、GaN、SiCという広範囲の能動型電子部品技術からの選択可能にすること、
(2)各送信/受信(T/R)チャネルのための個別のパッケージを省くこと、
(3)パネルの背面(能動型電子部品の側)に金属カバーを結合すること、
(4)周囲環境からの影響を防ぐ保護コーティング(environmental conformal coating)を適用すること、
(5)DC及び論理信号のために「柔軟性を有する」回路を埋め込むこと(その結果、DC、論理コネクタ材料の出費と組立コストとを省く)、
(6)配列の空冷を使用可能にすること(それにより、液体冷却等の更なる高価なアプローチを省く)。
【0030】
[0029] ここに記述されたシステムと技術に従えば、位相配列は、そこに集積された複数の混合信号回路を有する高周波(RF)多層プリント配線基板(PWB)から提供されるパネル配列を含む。PWBは、PWBの第1外部表面の方向に放射するために配設された複数のアンテナ要素を含む。複数のフリップチップ回路は、PWBの第2外部表面上に配設される。フリップチップ回路は、複数のアンテナ要素の少なくとも一部に電気結合するように構成される。ヒートシンクは、複数のフリップチップ回路の上方に配設され、それらと熱接触状態となるように構成される。
【0031】
[0030] この特殊な配置を備えて、空冷可能なパネル配列は提供される。ある実施形態では、位相配列は単一のパネルから提供される一方で、他の実施形態では、位相配列は複数のパネル配列から提供される。RF PWBは、パネル配列のためのRF,論理及び電力回路を含む混合信号回路である。その結果、ここに記述されたパネルとアーキテクチャとは、能動型電子走査配列(AESA)内での使用に好適なパネルの空冷を準備する。能動型回路は、フリップチップとしてPWBの外部表面上に取り付けられる。能動型パネル(PWB)の表面上に配設されたフリップチップ回路にヒートシンクを直接結合することで、ヒートシンクとフリップチップ回路との間のインターフェイスの数を減らせ、その結果、フリップチップ回路の熱生成部分とヒートシンクとの間の温度抵抗を減らせる。ヒートシンクとフリップチップ回路の熱生成部分との間の温度抵抗を減らすことで、パネルの空冷が可能になる。
【0032】
[0031] ある実施形態では、直接の機械的接触は、フリップチップMMICとフィンの付いたヒートシンクの表面との間で使用される。他の実施形態では、中間の「ギャップ・パッド」層は、フリップチップ回路(MMIC)とヒートシンクの表面との間で使用されるであろう。
【0033】
[0032] ここに記述されたパネル配列は、熱(即ち温度エネルギ)をパネルから(そして特にパネルの外部表面上に取り付けられた能動型回路から)ヒートシンクへ効率的に伝達する。能動型回路とヒートシンクとの間の温度インターフェイスの数を減らすことで、能動型回路からヒートシンクへの温度エネルギの迅速な伝達が達成される。好適な実施形態では、能動型回路は、能動型パネル上にフリップチップ回路として取り付けられる。
【0034】
[0033] 空冷アプローチを使用することで(従来技術のブロワや液体冷却アプローチのいずれかの使用に比して)パネル配列の冷却に手頃なアプローチが提供される。更に、多数のフリップチップが搭載された能動型回路を冷却するために単一のヒートシンクを使用することで(従来技術の個別で多数の「ハットシンク」アプローチに比して)、個別のヒートシンクを各フリップチップ回路上に取り付ける必要はないので、パネル配列を冷却するコスト(部品コストと組立コストの両方)を減らせる。
【0035】
[0034] 更に、パネル配列はビルディング・ブロックとして動作し、モジュールAESAを提供するために他のパネル配列と結合可能である(即ちそのようなパネル配列は空冷される能動型位相配列アンテナを形成するために使用可能である)。その結果、空冷可能なパネル配列の提供は、従来技術のアプローチより低コストのAESA製造を可能にする。
【0036】
[0035] ある実施形態では、フリップチップ回路は、モノリシック・マイクロウェーブ集積回路(MMIC)として提供され、ヒートシンクの熱スプレッド要素は、フィン又はピンとして提供される。
【0037】
[0036] ある実施形態では、ヒートシンクは、表面と、パネルの外部表面上に配設された複数のフリップチップMMICとの間に機械的インターフェイスを有する、アルミニウムのフィンの付いたヒートシンクとして提供される。そのようなヒートシンクとパネルの空冷は、高価な材料(ダイヤモンドや他のグラファイト材料等)に対する必要性と、温度管理システムからのヒートパイプの除去とを省く。その結果、ここに記述されたシステムは、熱生成回路要素(例えば能動型MMIC)を有する能動型位相配列アンテナを冷却するために低コストのアプローチを提供する。
【0038】
[0037] ある実施形態では、パネルは、フリップチップが取り付けられたMMICを備えた、多層で混合信号のRFプリント配線基板(PWB)から提供される。単一のヒートシンクは、各フリップチップMMICに温度接触するようにPWBに機械的に取り付けられた第1表面を有する。そのようなパネルアーキテクチャは、異なる負荷サイクルの範囲を備えた、T/Rチャネル当たりmWからT/Rチャネル当たりWの範囲でRF電力レベルにわたる使用に適したパネルを供給するために使用可能である。
【0039】
[0038] 多数の異なる電力レベルと物理的大きさとを有するシステムで共通のパネルアーキテクチャを使用可能な結果として、システムの各々には共通の製造、組立、パッケージもまた使用可能である。例えば、小電力及び大電力の能動型電気走査配列(AESA)は、共通の製造、組立、パッケージのアプローチを利用可能である。このことのために、AESA製造でコスト削減が可能である。その結果、ここに記述されたシステムと技術は、AESA製造を更に手頃なものとすることが可能である。
【0040】
[0039] ここに記述されたモジュールシステムもまた、性能の柔軟性を提供する。T/Rチャネルの電子部品の所望のRF出力電力や雑音指数等は、PWBの外部表面上に広範な表面実装半導体電子部品(即ちフリップチップ)を利用することで達成可能である。能動型構成要素はPWBの外部表面上に取り付けられるので、異なる特性(例えば大電力及び小電力の回路)を有する能動型回路を(例えばフリップチップとして)パネルに取り付けるだけで、同じパネルが広範な応用に使用可能である。その結果、パネルアーキテクチャは、少なくとも以下の半導体電子部品を認容するように構成される点で、設計の柔軟性を提供する。商業的なシリコン技術に基づき、所望のRF特性(例えば最小出力電力で最大雑音指数)を提供するように選択されたRF COMSと、所望のRF出力電力及び雑音指数特性を提供するために選択されたシリコン・ゲルマニウム(SiGe)と、所望のRF出力電力密度及び低雑音指数特性を提供するように選択されたガリウム・ヒ素(GaAs)である。パネルアーキテクチャはまた、すべての既存の半導体に比して相対的に高出力で高効率で高電力密度(ワット/mm2)の特性を示す窒化ガリウム(GAN)等の現れつつある技術も同様に認容する。
【0041】
[0040] 上述したように、比較的高コストの位相配列は、すべての特殊な応用やほとんどの特殊な応用での位相配列の使用を排除してきた。組立体と構成要素のコストは、特に能動型送信/受信チャネルにとって、主要なコスト推進力(driver)である。位相配列のコストは、バッチ処理の利用と、構成要素と組立体を接触する労働の最小化で、削減可能である。コンパクトであってコスト効率の良い方法で製造可能で、自動化された工程で組立可能な、組み立て前に個別に試験可能な能動型電子走査配列(AESA)のためのタイル型サブアレイを提供することは有利であろう。位相配列の低吸収性でライフサイクルコストに対する必要もあるが、同時に、バンド幅、偏波多様性、堅牢なRF性能特性を改善して、ますます増加する更に困難なアンテナ性能要求を満たしている。
【0042】
[0041] ここに記述されるタイル型サブ配列の少なくともいくつかの実施形態は、陸上や海、航空機のプラットホームのための非常に多様な位相配列レーダミッションや通信ミッションのための、コスト効率の良い位相配列の解決策を可能にする。加えて、少なくともある実施形態では、タイル型サブ配列は、航空機の翼や艦船上、無人飛行機(UAV)上の等角配列(conformal arrays)に適用可能な薄くて軽量の構造物を提供する。
【0043】
[0042] いわゆる「パッケージレスのT/Rチャネル」の実施形態では、タイル型サブ配列は、同時に、次世代のレーダと通信システムのためのコストと性能とに注意を向けている。多くの位相配列のデザインは、単一のミッションやプラットホームのために最適化される。対照的に、ここに記述されたタイル型サブ配列アーキテクチャの柔軟性は、更に広い一連のミッションのための解決策を可能にする。例えば、ある実施形態では、いわゆる上方多層組立体(UMLA)及び下方多層組立体(LMLA)は、各々ここで更に記述されるが、共通のビルディング・ブロックとして働く。UMLAは、RF信号分配とインピーダンスマッチングと偏波多様性信号の生成とを実行する、層形成されたRF伝送線組立体である。製造は、多層プリント配線基板(PWB)材料と工程とに基づく。LMLAは、パッケージレス送信/受信(T/R)チャネルと埋め込みサーキュレータ層サブ組立体とを集積する。好適な実施形態では、LMLAは、ボールグリッド配列(BGA)の相互接続アプローチを使用したUMLAに結合される。パッケージレスT/Rチャネルは、高価なT/Rモジュールパッケージ構成要素と、関連する組立コストとを省く。パッケージレスLMLAの主要なビルディング・ブロックは、下方多層基板(LMLB)である。LMLBは、RF,DC及び論理信号分配と、埋め込みサーキュレータ層とを集積する。T/Rチャネル・モノリシック・マイクロウェーブ集積回路(MMIC)及び構成要素、RF,DC/論理コネクタ、温度スプレッダインターフェイス基板のすべては、ピックアンドプレース(pick and place)設備を使用して、LMLA上に組立可能である。
【0044】
[0043] 本発明の更なる特徴に従えば、タイル型サブ配列は、異なる回路基板上の異なる回路層の間の1又は2以上のRF相互接続部を備える少なくともひとつのプリント配線基板組立体を備え、RF相互接続部の各々は、RFスタブのインピーダンス特性を適合させるための機構を提供する1又は2以上のRFマッチングパッドを備えて、所望のRF動作周波数帯にわたって所望の挿入損失とインピーダンス特性とを有するRF相互接続部を提供する。
【0045】
[0044] この特殊な配置を備えて、タイル型のサブ配列は、RFビアスタブを省くために一般に必要とされるバックドリルや埋め戻しを実行する必要性なしで製造可能である。RFマッチングパッド技術は、、回路基板のブランク層(即ち銅を有しない層)上、或いは、回路基板の接地平面層(即ちエッチングされたリリーフ領域)内にコンダクタが提供される技術を参照する。RFビアのインピーダンス特性(RF相互接続部回路として参照される)を調節するための機構を備えたコンダクタ及び関連するリリーフは、回路基板内で提供される。バックドリルと埋め戻しの操作を利用する必要性が省かれるので、RFマッチングパッドアプローチのために標準的な低アスペクト比の穿孔と平面製造の操作が可能になり、内部回路層を接続し、Xバンド(8GHz−12GHz)のような所望の周波数帯にわたる低挿入損失特性をも有するRFビアを製造する。
【0046】
[0045] 知られるように、モード抑制ビアは、取り囲む回路からRF相互接続部が電気絶縁されることを助け、それにより、信号が信号経路間の「漏電」から防ぐ。従来のシステムでは、モード抑制ビアもまた穿孔されめっきされて、同時に、相互接続RFビアは穿孔されめっきされる。
【0047】
[0046] しかし、本発明のRFマッチングパッドアプローチで、RFとモード抑制ビアのすべてが組立体全体を貫通して穿孔されめっきされることが可能であり、RF相互接続部上でバックドリルと充填の操作を利用する必要性はない。その結果、穿孔の許容値と埋め戻し材料の許容値のためにチャネル間の変動量が省かれるから、RF性能を同時に改善する一方、バックドリルと埋め戻しの操作に関連した製造コストは完全に省くことが可能である。
【0048】
[0047] ある実施形態では、RFマッチングパッド技術は、RF相互接続部及びモード抑制回路の接地平面層内の管状リングのリリーフ領域で囲まれた銅ディスクを利用する。RFマッチングパッド技術は、ストリップライン伝送線の中央コンダクタのような、RF相互接続部とRF信号経路との間のRFジャンクションを越えて、1/4波長かそれ以下だけ延在する任意のRFスタブに適用可能な一般的な技術である。
【0049】
[0048] 本発明と同様に、本発明の以上の特徴は、図面についての以下の記述から更に十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】複数のタイル型サブ配列で形成された配列アンテナの平面図である。[0049]
【図1A】図1で示された配列アンテナで使用された型のタイル型サブ配列の斜視図である。[0050]
【図1B】図1Aに示されたタイル型サブ配列の一部の拡大斜視図である。[0051]
【図1C】図1A、1Bに示されたタイル型サブ配列の一部の断面図である。[0052]
【図2】単一の送信/受信(T/R)チャネルを有する2重サーキュラ偏波(CP)タイル型サブ配列の一部のブロック図である。[0053]
【図3】図1Cに示された型の上方多層組立体(UMLA)の断面図である。[0054]
【図4】図3に示された伝送の拡大断面図である。[0055]
【図4A】図4の断面の平面図である。[0056]
【図4B】図4の断面の底面図である。[0057]
【図4C】図3に示されたRF伝送の拡大概観図である。[0058]
【図4D】図3,4に示された伝送のための予測挿入損失対周波数のプロットである。[0059]
【図5】図3に示された伝送の拡大断面図である。[0060]
【図5A】図5の断面の平面図である。[0061]
【図5B】図5の断面の底面図である。[0062]
【図5C】図3に示された伝送の拡大概観図である。[0063]
【図5D】図3,4に示された伝送のための予測挿入損失対周波数のプロットである。[0064]
【図6】RFマッチングパッドの導電性領域又はリリーフ領域のための、例示的な形状の平面図である。[0065]
【図6A】RFマッチングパッドの導電性領域又はリリーフ領域のための、例示的な形状の平面図である。[0066]
【図7】上方多層組立体(UMLA)に結合された下方多層組立体の代替的な実施形態のブロック図である。[0067]
【図8】パネル配列の等角図である。[0068]
【図8A】パネル配列の等角図である。[0069]
【図8B】パネル配列の拡大された等角図である。[0070]
【図8C】パネル配列の拡大された等角図である。[0071]
【図8D】図8Aに示されたパネル配列の線8D−8Dで切った断面図である。[0072]
【図9】多層プリント配線基板(PWB)の断面図である。[0073]
【発明を実施するための形態】
【0051】
[0074] 図面と文章における明瞭性を促進する意図で、図面は等縮尺される必要はなく、替わりに、本発明の原理を説明する上で、一般に、強調がされることは理解されるべきである。
【0052】
[0075] 本発明の様々な実施形態を記述する前に、いくつかの導入概念および専門語を説明する。「パネル配列」(又は更に単純に「パネル」)は、1つの高度に集積されたPWBにおけるRF、論理及びDC分配回路と同様、アンテナ要素(又は更に単純に「放射要素」又は「放射器」)の配列を含む多層プリント配線基板(PWB)を参照する。パネルはまた、ときとして、タイル型配列(又は更に単純に「タイル」)としてここに参照される。
【0053】
[0076] 配列アンテナは、単一のパネル(又はタイル)、又は、複数のパネルで提供されるであろう。配列アンテナが複数のパネルで提供される場合、複数のパネルの単一のものは、ときとして、「パネル型サブ配列」(又は「タイル型サブ配列」)としてここに参照される。
【0054】
[0077] 参照は、ときとして、特殊な数のパネルを有する配列アンテナに対してここでなされる。もちろん、配列アンテナが任意の数のパネルで構成されること、そして、当業者が任意の特殊な応用で使用するために特殊な数のパネルを選択する方法を認識するであろうことは、認識されるべきである。
【0055】
[0078] 参照は、ときとして、特殊な配列形状、及び/又は、物理的な大きさ又は特殊な数のアンテナ要素を有するパネルや配列アンテナに対してここでなされることもまた記述されるべきである。ここに記述された技術がパネル、及び/又は、配列アンテナの様々な大きさと形状に適用可能であることを当業者は認識し、任意の数のアンテナ要素が使用されるであろうことを認識するであろう。
【0056】
[0079] 同様に、参照は、ときとして、特殊な幾何形状(例えば、四角形、長方形、円)、及び/又は、大きさ(例えば、特殊な数のアンテナ要素)、又は、特別な格子型や空間のアンテナ要素を有するパネルやタイル型サブ配列に対してここではなされる。ここに記述された技術が、パネル(又はタイル)及び/又はパネル型サブ配列(又はタイル型サブ配列)の様々な大きさと形状に対するのと同様に、配列アンテナの様々な大きさと形状に適用可能であることを当業者は認識するであろう。
【0057】
[0080] その結果、ここで以下に提供される記述は、実質的に四角形か長方形形状を有し、実質的に四角形か長方形形状を有する複数のタイル型サブ配列で構成される配列アンテナの内容物における進歩的な概念を記述するが、その概念は、多様な異なる大きさ、形状、型のアンテナ要素を有する配列アンテナ及びパネル(又はタイル型サブ配列)の他の大きさと形状にも等しく適用すると、当業者は認識するであろう。また、パネル(又はタイル)は、多様な異なる格子状の配置に並べられることがある。その配置は、限定する意図はないが、任意の形状の配列形状を含む非周期的な他の幾何配置と同様、周期的な格子状の配置や構成(例えば、長方形、円、正三角形や二等辺三角形、渦巻状の構成)を含む。
【0058】
[0081] 参照はまた、ときとして、ここでは、特殊な型や大きさ、及び/又は、形状を有するアンテナ要素を含む配列アンテナに対してなされる。例えば、ある型の放射要素は、特定の周波数(例えば10GHz)や周波数帯(例えばXバンド周波数帯)での動作で受信可能な四角形の形状と大きさとを有する、いわゆるパッチアンテナ要素である。参照はまた、ときとして、ここでは、いわゆる「積層型パッチ(stacked patch)」アンテナ要素に対してなされる。他の形状及び型のアンテナ要素(例えば積層型パッチアンテナ要素以外のアンテナ要素)もまた使用され、1又は2以上のアンテナ要素の大きさがRF周波数帯における任意の周波数(例えば約1GHzから約100GHzの範囲の任意の周波数)での動作のために選択されるであろうことを当業者はもちろん認識するであろう。本発明のアンテナで使用されるであろう送信要素の型は、限定する意図はないが、ノッチ要素(notch element)、ダイポール、スロット、又は、当業者には既知の(要素がプリント回路要素であるかどうかにかかわらず)他の任意のアンテナ要素を含む。
【0059】
[0082] 各パネル又はタイル型サブ配列におけるアンテナ要素が、複数の異なるアンテナ要素の格子状の配置の任意の1つを有して提供されるであろうということもまた認識されるべきである。それは、非周期的な任意の格子状の配置は言うまでもなく、長方形や正方形、三角形(例えば正三角形や二等辺三角形)、渦巻状の構成等の周期的な格子状の配置(又は構成)を含む。
【0060】
[0083] ここに記述したパネル配列(a/k/aタイル型配列)アーキテクチャの少なくともいくつかの実施形態の適用は、限定する意図はないが、艦船ベースの、航空機、ミサイル及び衛星の応用を含む、非常に多様な応用のためのレーダ、電子戦(EW)及び通信システムを含む。少なくとも1つの実施形態では、送信/受信(T/R)チャネル当たり0.454kg(1ポンド)以下の重量と、チャネル当たり100ドル以下の製造コストとを有するパネル(又はタイル型サブ配列)が望まれる。その結果、ここで記述されるパネル(又はタイル型サブ配列)は、レーダシステムや通信システムの一部として使用されることがあることは認識されるべきである。
【0061】
[0084] ここで更にまた説明されるように、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、限定する意図はないが、軍事、航空機、艦船、通信、無人飛行機(UAV)、及び/又は、商業的なワイヤレスの応用に適用可能である。
【0062】
[0085] 以下に記述されるべきタイル型サブ配列はまた、埋め込みサーキュレータと、スロット結合された偏波エッグクレート放射器と、単一集積型のモノリシック・マイクロウェーブIC(MMIC)と、受動型無線周波数(RF)回路アーキテクチャとを利用可能である。例えば、ここに更に記述されるように、以下に共通して付与された米国特許に記述された技術は、全体として又は一部が利用可能であり、及び/又は、ここに記述されたタイル型サブ配列の少なくともいくつかの実施形態と共に使用されるように適合可能である。「組み込みプレーナ・サーキュレータ」と題する米国特許番号第6,611,180号、「スロット結合偏波放射器」と題する米国特許番号第6,624,787号、及び/又は、「多層ストリップライン無線周波数回路および相互接続方法」と題する米国特許番号第6,731,189号。上記特許の各々は、ここに参照されることで、全体として本願に組み込まれる。
【0063】
[0086] さて、図1を参照すれば、配列アンテナ10は、複数のタイル型サブ配列12a−12xを備える。この実施形態では、合計x個のタイル型サブ配列12が配列アンテナ10全体を有することは認識されるべきである。ある実施形態では、タイル型サブ配列の全数は、16個のタイル型サブ配列(即ちx=16)である。完全な配列アンテナを提供するために使用されるタイル型サブ配列12の特殊な数は、多様な要素に従って選択可能であり、限定する意図はないが、動作周波数、配列ゲイン、配列アンテナのために使用可能な利用可能な空間、及び、配列アンテナ10が使用されることを意図された特殊な用途を含む。当業者は、完全な配列アンテナを提供して使用するために、タイル型サブ配列12の数を選択する方法を認識するであろう。
【0064】
[0087] 図1の実施形態では、タイル12b、12iで示されるように、各タイル型サブ配列12a−12xは、各列が8個のアンテナ要素15(又はより簡潔に「要素15」)を含んだ状態で、アンテナ要素15の8個の列13a−13hを有する。タイル型サブ配列12a−12xの各々は、その結果、8掛ける8の(即ち「8×8の」)タイル型サブ配列といわれる。要素15は配列アンテナ10の露出面(又は前面)上で直接に見ることができないので、各アンテナ要素15は図1において透視図として示されることは記述されるべきである。その結果、この特殊な実施形態では、各タイル型サブ配列12a−12xは、64個のアンテナ要素を有する。配列10が16個のそのようなタイルを有する場合、配列10は、全体で、1024個のアンテナ要素15を有する。
【0065】
[0088] 他の実施形態では、タイル型サブ配列12a−12xの各々は、16個の要素を有する。その結果、配列10が16個のそのようなタイルを有し、各タイルが16個の要素15を有する場合、配列10は、全部で256個のアンテナ要素15を有する。
【0066】
[0089] 更に別の実施形態では、タイル型サブ配列12a−12xの各々は、1024個の要素15を有する。その結果、配列10が16個のそのようなタイルを有する場合、配列10は、全部で16384個のアンテナ要素15を有する。
【0067】
[0090] 上記の実施形態を考察すれば、結果として、タイル型サブ配列の各々が任意の所望の数の要素を含むことが可能であることは、認識されるべきである。タイル型サブ配列12a−12xの各々において、含むべき要素の特殊な数は、多様な要素に従って選択可能であり、限定する意図はないが、多様な要素は、所望の動作周波数、配列ゲイン、アンテナに利用な可能な空間、配列アンテナ10が使用されることを意図される特殊な用途、各タイル型サブ配列12の大きさを含む。任意の所定の用途では、各タイル型サブ配列において、含むべき放射要素の適切な数を選択する方法を当業者は認識するであろう。アンテナ配列10のようなアンテナ配列に含まれるアンテナ要素の15の全数は、各タイルに含まれるアンテナ要素の数と同様、アンテナ配列に含まれるタイルの数に依存する。
【0068】
[0091] 以下の記述から明らかになるように、各タイル型サブ配列は、電気的に自律的である(もちろん、タイル内の要素15と、それとは異なるタイルの要素15との間に起こる任意の相互結合を除く)。その結果、RFエネルギをタイル上の各放射器と結合するRF給電回路は、そのタイル内に完全に組み込まれる(即ちRF信号をタイル12b内の要素15と結合するRF給電及びビーム形成回路のすべてがタイル12b内に含まれる)。以下の図1B、1Cと連携して記述されるように、各タイルは1又は2以上のRFコネクタを含み、RF信号は各タイル型サブ配列上に備わるRFコネクタを通じてタイルに提供される。
【0069】
[0092] また、論理信号のための信号経路と電力信号のための信号経路は、信号を送信/受信(T/R)回路と結合するが、T/R回路が存在するタイル内に含まれる。以下に図1B、1Cと連携して記述されるように、RF信号は、タイル型サブ配列上に提供される1又は2以上の電力・論理コネクタを通じてタイルに提供される。
【0070】
[0093] 全体の配列10のRFビームは、外部(即ちタイル型サブ配列12の各々に対する外部)のビーム形成器によって形成され、タイル型サブ配列12a−12xの各々からのRF出力を結合する。当業者には既知のように、ビーム形成器は、従来、プリント配線基板ストリップライン回路として実行され、N個のサブ配列を1個のRF信号ポートの中へと結合する(そして今ではビーム形成器は1:Nのビーム形成器として参照される)。
【0071】
[0094] タイル型サブ配列は、従来技術を使用して、搭載構造部に機械的に締結され、或いは、その他の方法で固定され、その結果、配列格子パターンは、配列アンテナを有する各タイルを横切って継続する。ある実施形態では、搭載構造部は、タイル型サブ配列が締結具(例えば#10−32の大きさのねじ等)を使用して固定される「ピクチャーフレーム」として提供される。タイルの相互係合セクション間の許容値は、好ましくは±約0.127mm(0.005インチ)の範囲内にあるが、更に大きな許容値もまた、限定する意図はないが、動作周波数を含む多様な要素に基づいて認容される。好ましくは、タイル型サブ配列12a−12xは機械的に搭載され、配列格子パターン(図1の実施形態では三角形の格子パターンとして示される)が、配列10の面全体10a(又は「面」)を横切って電気的に継続するように現れる。
【0072】
[0095] ここに記述されるタイル型サブ配列の実施形態(例えばタイル型サブ配列12a−12x)は、タイル型サブ配列のマイクロウェーブ回路が回路層に含まれる点で、従来のいわゆる(ブリック型の)配列アーキテクチャとは異なることは認識されるべきである。回路層は、タイルで形成される配列アンテナの面(又は表面)(例えば配列アンテナ10の面10a)によって画定される平面に対して平行な平面の中に配設される。例えば図1の実施形態では、タイル12a−12xが提供される回路基板の層上に提供される回路は、配列アンテナ10の表面10aに対してすべて平行である。配列アンテナの面で画定される平面に平行な回路層を利用することで、タイル型アーキテクチャのアプローチは、減じられたプロフィール(即ち従来型の配列アンテナの厚さと比較して減った厚さ)を有する配列アンテナという結果となる。
【0073】
[0096] 有利なことに、標準的なプリント配線基板(PWB)製造工程を使用して、高度に集積された受動型RF回路を製造し、商業的なオフシェルフ型(COTS)マイクロウェーブ材料と高度に集積された能動型モノリシック・マイクロウェーブ集積回路IC(MMIC’s)とを使用して、ここに記述されたタイル型サブ配列の実施形態は製造可能である。これは、製造コスト削減という結果となる。タイル型サブ配列は、従来型のPWB製造技術を使用して、比較的大きなパネルやPWBのシートから提供可能であるから、配列アンテナの製造コストもまた削減可能である。
【0074】
[0097] ある実施形態では、0.5m×0.5mの寸法を有し、1024個の2重サーキュラ偏波アンテナ要素を有する配列アンテナ(またはときとしてパネル配列として参照される)は、1個のシート(または1個の多層PWB)上で製造された。ここに記述される技術は、最大寸法を有し最大4096個のアンテナ要素を備えた1m×1mのパネルを1枚の多層プリント配線基板(PWB)から製造するために、標準的なプリント配線基板工程を使用可能にする。「バッチ工程」のアプローチは、配列内のT/Rチャネルの製造を含む製造工程を通じて使用可能であるから、大きなパネルを利用する配列アンテナの製造は、関連するRF給電及びビーム形成回路を備えた多くのアンテナ要素を集積することでコストを削減する。パッチ工程は、自動化された設備を使用して、大きな量の製造、及び/又は、材料と構成要素との組立体の使用を参照する。特殊なアンテナのデザインを製造するためのバッチ工程のアプローチを使用する能力は、一般に比較的低い製造コストという結果になり望ましい。タイル型アーキテクチャの使用は、同じ大きさ(即ち実質的に同じ物理寸法を有する)の先行技術の配列と比較して減じられたプロフィールと重量とを有する配列アンテナという結果となる。
【0075】
[0098] 次に、図1の類似の要素が類似の参照符号を有するものとして提供される図1Aを参照すれば、タイル型サブ配列12bをタイル型サブ配列12a、12c−12xの代表と考えれば、タイル型サブ配列12bは、上方多層組立体(UMLA)18を含む。UMLA18は、この実施形態では、いわゆる「2重サーキュレータ偏波積層型パッチエッグクレート放射器」組立体として提供される放射器サブ組立体22を含む。それは、本発明の出願人に付与されて参照することで全体がここに組み込まれた「スロット結合偏波放射器」と題する米国特許番号第6,624,787号に記述された型と同じか類似である。特殊な型の放射器サブ組立体が、図面と文章によって提供される記述における明瞭性を促進するためだけにここに記述されることは、もちろん正しく評価されるべきである。特殊な型の放射器の記述は、いずれにせよ、限定が意図されず、限定されるものとして解釈されるべきではない。その結果、積層型パッチアンテナ要素以外のアンテナ要素は、タイル型サブ配列内で使用されるであろう。
【0076】
[0099] 放射器サブ組立体22は、レードーム(radome)として動作可能な第1表面22aを有し、第2の対向する表面22bを有して提供される。図1B、1Cと連携して以下に詳細に記述されるように、放射器組立体22は、複数のマイクロウェーブ回路基板(またPWBとして参照される)(図1Aでは見ることはできない)で構成される。放射器要素15は、表面22aの下方に配設され、その結果、図1Aの視点で直接に見ることはできないから、図1A内に透視図として示される。
【0077】
[0100] 放射器サブ組立体22は、上方多層(UML)基板36(またはUMLB236)の上方に配設される。以下に図1B、1Cに連携して詳細に記述されるように、ここに記述された実施形態において、UML基板36は、加えられてUML基板36を形成する8個の個別のプリント回路基板(PCB)で構成される。他の実施形態では、UML基板36が8個以外の数のPCBで構成されることは、もちろん、認識されるべきである。UML基板36は、RF信号を放射器サブ組立体22の一部として提供されるアンテナ要素15と結合するRF給電回路を含む。
【0078】
[0101] UML基板36は、この特殊な実施形態では、いわゆる「ファズボタン」基板50として提供される第1相互接続基板50の上方に配設される。相互接続基板50は、替わって、第2相互接続基板71の上方に配設されたサーキュレータ基板60の上方に配設される。図1Bと連携して記述されるように、第2相互接続基板71は、複数のT/Rモジュール76(図1B)の上方に配設された、いわゆるファズボタンエッグクレート基板として提供されるであろう。ファズボタンエッグクレート基板71は、下方多層(LML)基板80の上方に配設され、LML基板80は、温度スプレッダ板86の上方に配設される。LML基板80及び温度スプレッダ板86は、T/Rモジュール76(図1Aでは見ることができない)と共に、下方多層組立体20(LMLA20)を有する。
【0079】
[0102] 「ファズボタン」基板50は、回路とUML基板36及びサーキュレータ基板60上の信号との間にRF信号経路を提供する。同様に、「ファズボタン」エッグクレート基板71は、サーキュレータ基板60とLML基板80との間にRF信号経路を提供する。図1Bに連携した以下の記述から明らかなように、ファズボタンエッグクレート基板71は、LML基板80の表面上に備えられた複数のT/Rモジュール(図1Aでは見られない)の上方に配設される。ファズボタンエッグクレート基板71と同様に、ファズボタン基板50は、各々、多数の同軸のRF伝送線で構成される。各同軸のRF伝送線は、円筒形状に紡がれたベリリウム銅配線で構成され、(いわゆるファズボタンを形成するように)圧縮されて誘電体スリーブ内に捉えられることが可能であり、ファズボタン/誘電体スリーブの組立体は、それから、金属基板(例えば基板50内として)や金属エッグクレートに組み立てられる。ファズボタン基板50及びファズボタンエッグクレート71は、UML基板36、サーキュレータ基板60、LML基板80の機械的組立体を可能にする。このことは、比較的大きな配列アンテナ(例えば接地ベースのレーダ配列のため領域で約1m四方(1m2)より大きい配列面を有する配列アンテナ)にとって重要である。それは、「既知の良好なサブ組立体」(即ち試験されて実施が認容されることが試験で判明したサブ組立体)を集積することで、比較的高い歩留まりが達成される。しかし、更に小さな配列(例えば携帯型のレーダ配列のため領域で約1m2より小さい配列面を有する配列アンテナ)にとって、UML基板36とサーキュレータ基板60とLML基板80とは、本発明の出願人に付与されて参照することで全体がここに組み込まれた「多層ストリップライン無線周波数回路および相互接続方法」と題する米国特許番号第6,731,189号に記述されるように、ボールグリッド配列相互接続方法を使用して、機械的で電気的に集積可能である。その結果、このアプローチは、応用とプラットホームのために、組立体に柔軟性を許容する。
【0080】
[0103] 上述のように、ファズボタン基板50は、サーキュレータ基板60の上方に配設される。この特殊な実施形態では、サーキュレータ基板60は、いわゆる「RFオンフレックスサーキュレータ(RF-on-Flex circulator)」基板60として提供される。サーキュレータ基板60は、本発明の出願人に付与されて参照することで全体がここに組み込まれた「組み込みプレーナ・サーキュレータ」と題する米国特許番号第6,611,180号に記述された型と同じか類似である。
【0081】
[0104] サーキュレータ基板60は、タイル型サブ配列内で提供される送信信号経路と受信信号経路との間のRF信号の結合を妨げるために配設された複数の組み込みサーキュレータ基板をそこに提供してきた。即ち、サーキュレータ基板60は、送信信号経路を受信信号経路から遮断するように機能する。
【0082】
[0105] サーキュレータ基板60は、第2相互接続基板71(akaファズボタンエッグクレート基板71)の上方に配設され、その中に複数の送信/受信(T/R)モジュール(図1Aでは見ることができない)が配設される。ファズボタンエッグクレート基板71は、T/Rモジュール(半田付けされるか他の方法でLML基板80上の回路に電気結合される)とサーキュレータ基板60との間でRF信号を結合するために配設される。
【0083】
[0106] 上述のように、ファズボタンエッグクレート層71は、下方多層(LML)基板80の上方に配設され、LML基板80は、温度スプレッダ板86及びT/Rモジュール76の上方に配設され、下方多層(LML)基板80は温度スプレッダ板86と共に下方多層組立体(LMLA)20を有する。図1Aに示される特殊な実施形態では、ファズボタンエッグクレート層71がLMLA20の一部として含まれないことは認識されるべきである。
【0084】
[0107] 次に、図1、1Aの類似の要素が類似の参照符号を有するものとして提供される図1Bを参照し、放射器サブ組立体22は、第1放射器基板24と、第1のいわゆる「エッグクレート」基板26(図1C内で見ることが可能なエッグクレート壁部26a、26bを備えた)と、第2放射器基板28と、第2エッグクレート基板30(図1C内で見ることが可能なエッグクレート壁部30a、30bを備えた)とで構成される。第1基板24は、第1の複数の放射アンテナ要素15a(図1C内で最も明確に見ることが可能な第1の複数の放射要素15a)を含む。基板24は第1のいわゆる「エッグクレート」基板26の上方に配設され、放射要素の各々はエッグクレート基板26内の開口部と整合するように整列される。
【0085】
[0108] エッグクレート基板26は、第2基板28の第1表面28aの上方に配設される。基板28bの第2の反対の表面は、その上に配設される第2の複数の放射アンテナ要素15bを有する。第2の複数の放射要素15bは、この視線内では直接に見ることができず、その結果、図1B内に透視図で示される。放射要素15a、15bは、図1Cの視線で明確に見ることが可能である。一緒にとられた第1及び第2要素15a、15bは、一般に、図1,1A内の15で示される。第2基板28は、第2「エッグクレート」基板30の上方に配設される。第2エッグクレート基板30内の開口部が第1エッグクレート基板26内の開口部と整合するように、第1及び第2エッグクレート基板26,30は整合される。第2基板28上のアンテナ要素15bのセットは、第2エッグクレート基板30内の開口部と整合するように配置される。
【0086】
[0109] 放射器サブ組立体22は、RF給電回路を有する複数の基板38,40で構成されるUML基板36の上方に配設される。RF給電回路は、放射器サブ組立体22のアンテナ要素と、以下に記述されるはずのRF送信器及び受信機回路との間で、RF信号を結合する。RF給電回路基板38,40がそれ自身個々の多数の回路基板で構成され、回路基板が結合されるか他の方法で一緒に連結されてUML基板36を提供することは、認識されるべきである。
【0087】
[0110] 放射器サブ組立体22及びUML基板36が一緒になってUMLA18を形成することもまた認識されるべきである。UMLA18は、LMLA20の上方に配設され、それに結合される。特に、UML基板36は、ファズボタン基板50、サーキュレータ基板60、ファズボタンエッグクレート基板71の上方に配設される。その結果、この特殊な実施形態では、ファズボタン基板50、サーキュレータ基板60、ファズボタンエッグクレート基板71は、UMLA18とLMLA20との間に配設される。ファズボタン基板50は、UMLA18内の回路基板とサーキュレータ基板60のビア間のRF接続を利用し、ファズボタンエッグクレート基板71は、サーキュレータ基板60とLMLA20との間のRF接続を利用する。
【0088】
[0111] ファズボタンエッグクレート基板71は、T/Rモジュール及びLMLB80の表面の上方に配設される。図1Bの拡大図でT/Rモジュール76がLML基板80から分離して示されているが、実際には、T/Rモジュール76は従来技術を使用してLML基板80に接続されることは認識されるべきである。LML基板80は、それの中央線の一部に沿って形成されたスロット87を有する熱スプレッダ板86の上方に配設される。
【0089】
[0112] 熱スプレッダ板86、LML基板80、T/Rモジュール76は一緒になって、LMLA20を有する。複数のDC及び論理コネクタ88,90は、温度スプレッダ板86内で提供されるスロット87及び開口部を通じて配設され、電気的な入力/出力接続をLMLA20に提供する。1対のRFコネクタ91a、91bもまた、温度スプレッダ板86内の孔93a、93bを通じて配設され、その結果、LML基板80に電気接続し、タイル12bのためにRF接続ポートを提供する。
【0090】
[0113] UMLA18、ファズボタン基板50、サーキュレータ基板60、ファズボタンクレート基板71、LMLA20は、各々が、その中に複数の孔94を有して提供される。図面で明瞭性を促進するために、各孔94が示されているわけではなく、示された各孔にラベルがされているわけではない。孔94の各々の少なくとも一部はねじが形成されている。一般的に符号92が付された対応する複数のねじは孔94を貫通し、ねじ92のねじは孔94内の対応するねじに螺合する。その結果、ねじ92は、UMLA18をLMLA20に締結し固定して(基板50,60,71をその間に固定することと同様に)、その結果、組み立てられたタイル12bを提供する。図1Bの実施形態では、放射器組立体22内の孔94の一部はねじが形成され、ねじが熱スプレッダ板86及びLMLA20を通じて挿入され、放射器組立体22内の孔94のねじ部分に螺合する。再び、図面では明瞭性を促進するために、各ねじ92が示されていないが、示された各ねじにラベルが付されているわけではない。
【0091】
[0114] ねじ92が孔94を貫通可能にするために、UMLA18及びLMLA20を有する基板の各々において、基板の各々の孔94は整合されなければならないことは認識されるべきである。また、重要なことに、タイル12bを提供する基板内に提供される任意の回路や回路要素を避けるために、孔94は基板内に配置される。
【0092】
[0115] 1対のボス95は、ポイント96で熱スプレッダ板に結合されて、タイル12bとの機械的なインターフェイスのためのポイントを提供する。ある実施形態では、ボス95は、ねじが形成され、空冷による温度管理のために、液体冷却板組立体と(この例にあるように)熱交換組立体(例え、以下に記述される温度スプレッダ板86)のいずれかを受け入れ利用可能とされる。
【0093】
[0116] 2個のLMLA20だけが図1Bに示され、複数のLMLA20がUMLA18に取り付けられて完全なタイル型サブ配列12を形成することは認識されるべきである。図1Bの実施形態では、1個のUMLA22のために4個のLMLAがある。しかし、一般的に、要求されるLMLA20の数は、少なくと一部には、タイル型サブ配列に含まれる放射要素の数に依存する。
【0094】
[0117] この特殊な例では、各タイル型サブ配列12は、8列のサブ配列の中で所定のパターン(ここでは三角形の格子パターン)に統一的に分配された64個の放射アンテナ要素を含む(即ちタイル型サブ配列の各列は同じ数のアンテナ要素を含む)。図1−1Cの例示的なデザインでは、各LMLA20は、全部で16個のアンテナ要素15で構成される2列のアンテナ要素15に結合されるように適合される(図1Bでは各要素15が積層型パッチ要素に対応し、各積層型パッチ要素15が2個のパッチ要素15a、15bからなることはもちろん留意されたい)。異なって述べるが、各LMLA20はサブ配列12bの2×8部分に給電する。その結果、タイル型サブ配列12b内に8列のアンテナ要素があり、各LMLAが2列に給電するから、4個のLMLA20がサブ配列12b全体に給電するように要求される。この実施形態では、タイル型サブ配列12a−12xの各々は8列のアンテナ要素を有するので、タイル型サブ配列12a−12xの各々は、4個のLMLA20を必要とする。
【0095】
[0118] 記述及び図面における明瞭性を促進する努力の中で、2個のLMLA20だけが図1Bの実施形態中に示されていることは認識されるべきである。しかし、上述したように、実際には、4個のLMLA20a−20dがUMLA18の適切な領域に締結されて、完全なタイル12bを提供する。
【0096】
[0119] この例では、各LMLA20は2列のアンテナ要素に給電するが、各LMLAが3列以上又は1列のアンテナ列に電力を供給する実施形態を作ることが可能であることは理解されるべきである。例えば、タイル型サブ配列が、図1−1Cに示されるように8列を有すると仮定すれば、LMLAは、1列のアンテナ要素(その中でタイル型サブ配列当たり8個のLMLAが必要とされるであろう)に結合されるように作られるであろう。或いは、他の実施形態では、LMLAの構成は、4列のアンテナ要素(その中でタイル型サブ配列当たり2個のLMLAが必要とされるであろう)や、8列のアンテナ要素(その中でタイル型サブ配列当たりたった1個のLMLAが必要とされるであろう)に結合されるように作られるであろう。任意の特殊なタイル型サブ配列で使用すべき特殊な数のLMLA(即ち特殊なLMLAの構造)は、多様な要素に依存する。その要素には、限定する意図はないが、タイル型サブ配列の放射要素の数、各LMLAのコスト、タイル型サブ配列が使用される特別の用途、サブ配列でのLMLAの変化の容易性(又は困難性)(例えばLMLAが作動しなくなるとき)、ひとつが作動しなくなるときのタイル型サブ配列内のLMLAの修理、置換、他の方法での変化のコストが含まれる。当業者は、特別な用途のために特別なLMLAの構造を選択する方法を理解するであろう。
【0097】
[0120] 各LMLAは、1又は2以上のT/Rチャネルと関連するであろう。例えば、図1−1Cの実施形態では、各LMLA20は、タイル型サブ配列12bの一部として提供された2×8配列のアンテナ要素に結合された、2×8レイアウトで配置された16個のT/Rチャネルを含む。その結果、4個のそのようなLMLA20は、完全なタイル型サブ配列内で使用される。
【0098】
[0121] 次に、図1−1Bの類似の要素が類似の参照符号を有するものとして提供される図1Cを参照すれば、放射器組立体22は、上方と下方のパッチ放射器15a,15bを有するいわゆる「積層型パッチ」エッグクレート放射器サブ組立体22として提供されて示される。第1アンテナ要素15aは基板24の表面24b上に配設され、第2アンテナ要素15bは基板28の表面28b上に配設される。2つの基板24,28は、エッグクレート基板26によって離間される。放射器組立体22と同じか類似の積層型パッチ放射器組立体の詳細は、本発明の出願人に付与されて参照することで全体がここに組み込まれた「スロット結合偏波放射器」と題する米国特許番号第6,624,787号に記述される。
【0099】
[0122] 2重の積層型パッチエッグクレート放射器組立体22は、偏波及び給電回路基板40,38から提供されるUML基板36の上方に配設される。偏波及び給電回路基板40,38は、複数のRFプリント回路基板100−114から提供される。回路基板100,102は、アンテナ要素給電回路を有し、回路基板104−110は、電力デバイダ回路を有し、回路基板112,114は、偏波回路を有する。この実施形態では、偏波、給電、電力デバイダ回路はいずれも、プリント回路として実行され、しかし、低コスト、低プロフィール、機能的に同等の回路を実行するための技術もまた使用されるであろう。
【0100】
[0123] この実施形態では、回路基板100は、それの表面上に配設されたコンダクタを有する。1対の開口部即ちスロット101a、101bが、コンダクタ101内に形成され、又は他の方法で提供され、RF信号は、スロット101a、101bを通じてアンテナ要素15a、15bに結合される。タイル型サブ配列は、その結果、非共鳴スロット結合を利用するバランスされた給電回路(図1C内に見ることはできない)を利用する。非共鳴スロット結合の使用は、2つの利益を提供する。第1に、スロット(例えばスロット101a、101b)の使用は、実質的にスプリアスの(spurious)放射を妨げることを助けることが可能なアンテナ要素(例えばアンテナ要素15a、15b)から給電ネットワークを遮蔽することを助け、第2に、非共鳴スロットが、放射器のゲインを実質的に減らすことが可能な強いバックローブ放射(共鳴スロットの特徴)を除去することを実質的に助ける。給電回路がストリップライン給電回路として実行される実施形態では、給電回路及びスロットは、UML基板36の適切な部分内で提供されるめっきされたスルーホール(モード抑制ポストとして動作する)で遮断される。
【0101】
[0124] UML基板36(偏波及び給電回路基板40,38で構成される)は、ファズボタン基板50の上方に配設される。ファズボタン基板50は、1又は2以上の電気信号経路116(図1Cでは1つの電気信号経路だけが示される)を含む。電気信号経路116は、UML基板36の一部として含まれる回路(例えば偏波及び給電回路)とサーキュレータ基板60上に含まれる回路との間の電気接続を提供する。
【0102】
[0125] サーキュレータ基板60は、(ある実施形態ではバリウムコバルト磁石として提供される)磁石125当たり5個の回路基板119−123と、(ある実施形態ではガーネットフェライトとして提供される)フェライトディスク124と、(ある実施形態では磁石化可能なステンレス鋼として提供されるが、任意の磁石化可能な材料から提供可能な)磁極片(pole piece)127とで構成される。回路基板121上で提供されるプリント回路は、サーキュレータ回路を完成し、サーキュレータを通じて伝播するRF信号のための信号経路を提供する。ある実施形態では、サーキュレータは、本発明の出願人に付与されて参照することで全体がここに組み込まれた組み込みプレーナ・サーキュレータと題する米国特許番号第6,611,180号に記述された型として、実行される。サーキュレータ基板60は、「ファズボタン」エッグクレート基板70の上方に配設される。
【0103】
[0126] ブリック・スタイル(brick style)型アーキテクチャを有する配列アンテナ内に、図1Cに示されるRFサーキュレータのようなサーキュレータが、一般に、各T/Rチャネルと共に含まれる基板内に組み込まれることは認識されるべきである。
【0104】
[0127] しかし、ここに記述された発明の本実施形態では、タイル型サブ配列12bのデザインは、サーキュレータをT/Rモジュールから除去し、それを分離したサーキュレータ基板60内に埋め込む。例えば、図1C内に示される実施形態では、RFサーキュレータ構成要素(例えばフェライト124の磁石125と磁極片127)は、低損失で低誘電率の一定のポリテトラフルオロエタン(PTFE)ベースの材料のような商業的に利用可能な材料の層内に「埋められ」「埋め込まれる」ことが可能である。その結果、回路基板119−123は、PTFEベースの回路基板として提供されるであろう。
【0105】
[0128] サーキュレータが(T/Rモジュールの一部としてよりもむしろ)埋め込まれたサーキュレータとして提供されることで、T/Rチャネルを大きさの点で非常に減らすことが提供される。T/Rチャネルの大きさを減らすことで、タイル型サブ配列のアンテナ要素における更にタイトな格子スペースが達成可能である。タイトな格子のスペースは、広帯域の位相配列の適用では格子ローブ(gratinglobe)のフリーな走査量を達成するために重要であるから、望ましい。更に、埋め込まれたサーキュレータは、商業的なバッチ処理技術と、更に低コストの位相配列という結果となる商業的に利用可能な材料とを利用して提供可能である。
【0106】
[0129] ファズボタンエッグクレート基板70は、エッグクレート基板71で提供される。T/Rモジュール76は、基板70内に提供される開口部内に配設される。T/Rモジュールは、その上に提供されるボールグリッド配列(BGA)126を有して提供される。T/Rモジュール76は、ボール126aに電気結合される第1信号ポートと、ボール126bに電気結合される第2信号ポートとを含む。BGA126は、T/Rモジュール76が配設されるLML基板80内で提供される電気回路及び信号経路に(例えば半田や当業者に公知の電気結合を行う他の任意の技術を介して)電気結合される。基板71はまた、その中に提供されるファズボタン信号経路116を有する。ファズボタン信号経路116では、RF信号は、T/Rモジュール76の第2ポートから、LML基板80上のボール126bと電気信号経路とを通じてサーキュレータ基板60へ伝播する。
【0107】
[0130] この実施形態では、LML基板80は、2セットのプリント回路基板130,132で構成され、2セット130,132の各々は、それ自体、複数のプリント回路基板134−144,146−154で構成される。当業者には理解されるように、結合接着層は、PCB130、132の一部として示されないが、UMLB36内のPCB38,40と共に示されることは記述されるべきである。この実施形態では、回路基板130(これゆえに回路基板134−144)はLML基板80のRF部分に対応し、一方、回路基板132(これゆえに回路基板146−154)は温度スプレッダ板86上に配設された基板154と共に、LML基板80のDC及び論理信号部分に対応する。
【0108】
[0131] 参照符号162によって示される複数の温度経路は、T/Rモジュール76からLML基板80を通じて、好適な実施形態で冷却された温度板として提供される温度スプレッダ板86へ熱伝達を促進する。この実施形態では、熱スプレッダ板86は、LML基板80の基板154へ温度伝導性エポキシを介して結合される。いったん基板130,132が組み立てられて(例えば結合や他の方法で結合されて)LML基板80を形成すると、温度ピン162は(図1Cでラベルが付されたのはそのうちの2個だけ)は、ピン162のかかりの付いた(barbed)第1端部が孔の中に着座してBGA126との適切な接触を確実にするまで、LML基板80内の孔の中へと揺らされて入れられる。ピン162の第2端部は、LML基板80を通じて短い距離だけ延在し、ピン162の第2端部は、温度スプレッド板86の孔165の中に配設される。それから、孔165は、温度伝導性エポキシで埋められる。その結果、BGA126は、RF信号とDC及び論理信号との結合と、T/Rモジュール76からの熱伝達とを達成する手段を提供する。
【0109】
[0132] いうまでもないことだが、他の技術もまた、スプレッダ板86をLMLA20に結合されるために使用されることは認識されるべきである。また、タイル12b上のスプレッダ板の正確な配置にも関らず、そして、スプレッダ板がどのようにタイル12bに結合されるか(例えば温度伝導性エポキシ、半田、温度グリース等)にも関らず、温度経路(温度経路162等)がT/Rモジュール76のような熱生成デバイスをスプレッダ板86のようなヒートシンクに結合することが好ましいということは認識されるべきである。
【0110】
[0133] RFコネクタ91bは、LMLA20内のRF信号経路168に結合される。この特殊な実施形態では、RFコネクタはGPPOコネクタとして提供されるが、電気的及び機械的な特性を有して特殊な用途に適切に適合した任意のRFコネクタが使用されるであろう。
【0111】
[0134] 断続線で示され参照番号168でラベルされるように、ポート91bに供給されるRF信号は、LML基板80を通じて結合され、BGA126aを通じてT/Rモジュール76に結合される。RF信号は、T/Rモジュール76を通じて伝播し、BGA126aを通じて基板134,136の間の信号経路に沿ってファズボタンエッグクレート基板70内の信号経路116に結合される。信号経路116は、基板50内の信号経路116を通じ、UML基板36上の回路から供給される一連のRF信号経路を通じて、サーキュラ基板60に通じる。UML基板36上のRF回路は、放射器層22に結合される2つの部分168a、168bに信号168を分ける。サーキュレータ基板及びT/Rモジュール76は、システムを2方向性にするように動作することは認識されるべきである。即ち、ポート91bは、入力ポート又は出力ポートのいずれとしても動作するであろう。この方法では、信号168は、タイル型サブ配列内のアンテナ要素のカラム(例えば図1B内に示されるタイル型サブ配列12bのカラム14a)に結合される。
【0112】
[0135] 当業者が認識するように、UMLA(そしてLMLAも同様)の層は、所望のマイクロウェーブ特性を有する実質的に任意のPTFEベースの材料で製造可能である。例えば、本発明では、UMLA及びLMLA内に含まれるプリント回路基板は、織られたガラス布で補強された材料で製造される。
【0113】
[0136] LMLAは、パッケージレスT/Rチャネルと埋め込まれたサーキュレータ層サブ組立体とを集積することは認識されるべきである。上述のように、好適な実施形態では、LMLAは、ボールグリッド配列(BGA)の相互接続アプローチを使用してUMLAに結合される。パッケージレスT/Rチャネルは、高価なT/Rモジュールパッケージ要素と、関連する組立コストとを省く。パッケージレスLMLAの主要なビルディング・ブロックの1つは、下方多層基板(LMLB)である。LMLBは、RF,DC及び論理信号分配及び埋め込みサーキュレータ層を集積する。すべてのT/RチャネルMMIC及び構成要素、RF,DC/論理コネクタ、温度スプレッダインターフェイス板のすべては、ピックアンドプレース(pick and place)設備を使用して、LMLA上に組み立て可能である。以下の図7は、直接のチップ取り付け実施形態を図解する。その実施形態では、MMICチップは、T/Rチャネル当たり比較的高ピークの送信電力を有することが所望の応用のために、LMLBの最下層に直接に取り付けられる。
【0114】
[0137] 次に、図2を参照すれば、例示的なタイル型サブ配列200の一部は、第1インターフェイス205、サーキュレータ206、第2インターフェイス207を通じて、下方多層組立体(LMLA)204に結合された上方多層組立体(UMLA)202を含む。例えば、インターフェイス205は、図1A−1Cと連携して上述されたファズボタン、インターフェイス50に類似の型として提供され、サーキュレータ206は、図1A−1Cと連携して上述されたサーキュレータ基板60に類似の型として提供され、インターフェイス207は、図1A−1Cと連携して上述されたファズボタンエッグクレートインターフェイス71に類似の型として提供されるであろう。
【0115】
[0138] ULMA202は、図1A−1Cと連携して上述されたUMLA18等のUMLA内に含まれる回路の型を図解する。UMLA202は、給電回路210に電気結合されたアンテナ要素208を含む。好適な実施形態では、給電回路210は、バランスされた給電回路として提供される。この特殊な実施形態では、給電回路210は、偏波制御回路211の入力に結合された1対のポートを有すると示される。この実施形態では、偏波制御回路は、直交ハイブリッド回路216に結合された電力デバイダ回路212から提供される。しかし、電力デバイダ回路とハイブリッド回路以外の回路は、偏波制御回路を実行するために使用されることは、当業者が認識するだろう。
【0116】
[0139] 図2の実施形態では、デバイダ回路212は、1対のウィルキンソン型電力デバイダ214a、214bから提供される。他の実施形態では、ウィルキンソン型電力デバイダ以外の電力デバイダもまた使用されるであろう。電力デバイダ回路212は、直交ハイブリッド回路216のポート216a、216bの各1つに結合された1対のポート212a、212bを有する。ハイブリッド回路216の第2の1対のポート216c、216dは、UMLAポート202a、202bに導く。
【0117】
[0140] 上述したように、UMLA202は、図1A−1Cと連携して上述したUMLA18等のUMLA内に含まれる回路のいくつかを図解するように意図される。その結果、図と関連する記述において明瞭性を促進するために、アンテナ要素208は、UMLA202を介してLMLAに結合されたそれらのアンテナ要素だけを代表する。その結果、図2の要素208は、タイル型サブ配列における(例えばタイル型サブ配列だけが単一のLMLAを含む実施形態における)アンテナ要素のすべてを代表し、或いは、代替的には、図2の要素208は、タイル型サブ配列における(例えばタイル型サブ配列が多数のLMLAを含む実施形態における)全数のアンテナ要素の一部だけを代表する。
【0118】
[0141] 違って述べれば、アンテナ要素208は、UMLA202を介してLMLAに結合された全体のタイル型サブ配列内のアンテナ要素の一部を代表する。図1Cに連携して上述されたように、タイル型サブ配列(例えば図1−1C内のタイル型サブ配列12b)は、単一のUMLA(例えば図1A−1C内のUMLA18)から提供され、そこに結合された多数のLMLAを有する。代替的には、タイル型サブ配列(例えば図1−1C内のタイル型サブ配列12b)は、単一のUMLA(例えば図1A−1B内のUMLA18)及びそこに結合された単一のLMLAから提供される。そこでは、単一のLMLAは、UMLAからそこに提供されるすべての信号を処理するために必要とされるT/Rモジュールの数を含む。
【0119】
[0142] 図2内に示されるLMLA204は、給電ネットワーク210を通じてアンテナ要素208に結合された単一の送信/受信(T/R)チャネルだけを含むことは認識されるべきである。その結果、単一のT/Rチャネルは、単一のアンテナ要素に結合される。しかし、他の実施形態では、単一のT/Rチャネルは、複数のアンテナ要素に結合されるであろう。また、LMLAは、単一のT/Rチャネルだけを含むように示されるが、他の実施形態では、各LMLAは、多数のT/Rチャネルを有して提供されるであろう。
【0120】
[0143] 実際のシステムでは、全体のタイル型サブ配列は、複数のT/Rチャネルを含み、記述と図面における明瞭性を促進するための努力において、単一のチャネルだけが、図2の実施形態では使用されることが認識されるべきである。その結果、LMLAが単一のT/Rチャネルだけを含むように図解することは、制限するものとして構成される意図でなく、そのように解釈されるべきでない。
【0121】
[0144] 図2は、図1−1Cと連携して上述されたタイル型サブ配列12a−12xのひとつに含まれる型であるような単一のT/Rチャネルの要素を示すことは認識されるべきである。もちろん、本発明の様々な実施形態に従って提供されたタイル型サブ配列12a−12X(図1)の各々が複数のそのようなT/Rチャネルを含むことが可能である(そして、一般に含むであろう)ことは、当業者が認識するであろう。
【0122】
[0145] UMLAポート202a,202bは、インターフェイス回路205、サーキュレータ回路206、インターフェイス207を通じて、LMLA204のポート204a,204bに結合される。特に、インターフェイス回路206は、RF信号がUMLAからLMLAに伝播可能な信号経路を含む。信号経路の少なくとも一部は、図1A−1Cに連携してここに上述したように、いわゆるファズボタン回路から提供されるであろう。
【0123】
[0146] LMLA204は、T/Rモジュール230を含む。T/Rモジュールは、受信信号経路231と送信信号経路250とを含む。UMLAポート202a,202bからの信号は、ポート204a、204bで受信信号経路231に結合される。第1偏波を有する信号はUMLA202からポート204aに結合し、第2の異なる偏波を有する信号はUMLA202からサーキュレータ基板206を通じてポート204cに結合される。
【0124】
[0147] 受信信号経路は、1対の単一極二重スロー(single pole double throw)(SPDT)スイッチ232,234を含む。スイッチ232,234は、(各々が異なる偏波を有する)2つの信号の所望のひとつをポート204a、204cから好適な実施形態で低ノイズ増幅器(LNA)236として提供される増幅器236の入力ポートへ結合するように協働する。スイッチ232,234が図2に示されるように配置されて、ポート204aでの信号はLNA236の入力ポートに供給される。スイッチ232,234のスイッチアームが図2に破断線で示されるように配置されて、ポート204cでの信号はLNAの入力ポートに供給される。
【0125】
[0148] LNA236に供給される信号は、適切に増幅され、SPDTスイッチ238に結合される。SPDTスイッチ238のスイッチアームは、受信位置または送信位置のいずれかに配置可能である。(図2に示されるように)受信位置では、SPDTスイッチ238は、LNA236の出力から位相シフタ240の入力に信号経路を提供する。信号は、位相シフタを介して増幅制御回路242(例えば減衰器242)に、そして、RFI/O回路246に結合される。回路246は、RF,DC、論理信号をT/Rモジュール230の出力内に結合する。
【0126】
[0149] SPDTスイッチ238、位相シフタ240、増幅制御回路242のすべてもまた、送信信号経路250の一部である。TRモジュールが動作の送信モード状態にあるとき、SPDTスイッチ238のスイッチアームは、送信位置に配置される(即ち位相シフタ240と増幅器252への入力との間に低損失信号経路を提供するために)。スイッチ238のアームがそのように配置されて、送信信号源(図2内には示されない)からの信号は、分配回路246のRF部分を通じて、減衰器242、位相シフタ240、スイッチ238を通じて、電力増幅器252として好適に提供される増幅器に結合される。
【0127】
[0150] 電力増幅器は、適切に増幅された信号(または送信信号として参照される)をインターフェイス207を通じてサーキュレータ206のポート206aに提供する。サーキュレータ206の第2ポート206bはインターフェイス205を通じてUMLAポート202bに結合され、サーキュレータの第3のポート206bはスイッチ232を通じて終端254に結合される。
【0128】
[0151] それから、送信信号は、偏波制御回路211を通じて給電回路210に結合され、最後に、RF送信信号を出射するアンテナ要素208に結合される。
【0129】
[0152] T/Rモジュール76は、タイル型サブ配列12内の能動型回路の実質的にすべてを含むことは認識されるべきである。図1−1Cと連携して上述したように、T/Rモジュール76は送信及び受信信号経路を含み、各経路はLMLA20内のビーム形成器に結合される。
【0130】
[0153] ある実施形態では、LNA236はコンパクトなガリウム砒素(GaAs)低ノイズ増幅器として提供され、電力増幅器252はコンパクトなGaAs電力増幅器として提供される。図2では示されないが、いくつかの実施形態では、TRモジュールはまた、スイッチ232,234,238、位相シフタ240、または、振幅制御回路242のいくつか又はすべてを制御するためのシリコンゲルマニウム(SiGe)制御モノリシック・マイクロウェーブ集積回路(MMIC)も含む。
【0131】
[0154] 次に図3を参照すれば、UMLA260は、UMLB264の上方に配設された(図1−1Cに関連して上述した組立体22と同じか類似の)エッグクレート放射器組立体262で構成される。UMLB264は、2つのサブ組立体310,312で構成される。サブ組立体310,312の各々は製造され、それから、層274を介して結合され、UMLB264を提供する。好適な実施形態では、層274は、結合層274に対応する。ひとつの特殊な実施形態では、層274は、キャネート・イースター樹脂Bステージ(Cyanate Ester resin B-stage)(例えばW.L.ゴア・アンド・アソシエイツ(W. L. Gore & Associates)によって製造されて、スピードボード−C(Speedboard-C)(登録商標)の商標名で販売される)として提供される結合層274に対応する。エッグクレート放射器及びUMLBサブ組立体262,264は、それから、結合されるか、他の方法で固定されて、UMLA260を提供する。エッグクレート放射器262及びUMLA264は、固定されて、導電性エポキシ結合フィルムを介して達成される。当業者には公知の任意でマイクロウェーブ回路サブ組立体を適切に固定する他の結合又は締結の技術もまた使用されるであろうということを、当業者はもちろん認識するであろう。好適な実施形態では、UMLA260は、結合された組立体として提供されることは認識されるべきである。しかし、本発明に従えば、最終的に結合されたUMLA組立体は、多数の被覆、結合及び組立工程の結果である。
【0132】
[0155] UMLAのための多段階の被覆、製造、組立工程は、いくつかの有利な点という結果となる。
(a)各サブ組立体262,310,312は、別個にテストされ、所望の電気的及び/又は機械的な性能特性に適合しない或いは凌ぐことのない任意のサブ組立体262,310,312は特定されて、修理されるか、UMLAを形成するために使用されないであろう。
(b)各サブ組立体310,312は、別個にテストされ、所望の電気的及び/又は機械的な性能特性に適合しない或いは凌ぐことのない任意のサブ組立体310,312は特定されて、修理されるか、UMLBを形成するために使用されないであろう。
(c)サブ組立体262,310,312の別個の製造は、各サブ組立体の製造工程が、そのサブ組立体の最大歩留まりを求めて個別に最適化されることを可能にする。
(d)既知の「良好な」サブ組立体310,312だけがUMLBを製造するために使用されるので、これは高歩留まりのUMLB製造工程という結果となる。
(e)既知の「良好な」サブ組立体262,310,312だけがUMLAを製造するために使用されるので、これは高歩留まりのUMLA製造工程という結果となる。
(f)それから結合層を介して固定されるサブ組立体262,310,312の別個の製造は、各サブ組立体262,310,312のための結合接着剤と結合温度の更に広範な選択という結果となり、各サブ組立体262,310,312のための改善された機械的な性能に導く。
その結果、UMLA260のために開発された製造及び組立のアプローチは、製造歩留まりを著しく改善する堅牢な機械的デザインを生成する。
【0133】
[0156] ある特殊な実施形態では、エッグクレート放射器262及びUMLB264のサブ組立体は、共に、0.5m×0.5mの大きさで、その結果、UMLAは、0.5m長×0.5m幅(19.7インチ×19.7インチ)である。UMLA260は、一般に約6.35mm(0.25インチ)の厚さ又は高さH1を有して提供され、各RFチャネルが約0.16オンス(4.65グラム)の重さを備えた1024個の2重サーキュレータ偏波RFチャネルを有する。更に、上述された多段階の被覆及び製造工程を備えて、UMLAの各回路層は、PWB産業の標準的な工程と製造許容値と商業的に利用可能な材料とを使用して製造可能である。
【0134】
[0157] ある実施形態では、2つのサブ組立体310,312は、FEP結合接着剤267の0.0508ミリメートル(2ミル)厚の層で分離された0.254ミリメートル(10ミル)厚のタコニックRF−30誘電体回路基板266,268,270,272,276,278,280,282の被覆層で構成される。上述したように、エッグクレート放射器262とUMLB264との間の結合は、導電性エポキシフィルムを介して達成可能である。好適なアプローチでは、サブ組立体310,312は、最初に固定されてUMLB264を形成し(即ちサブ組立体310,312を分離する接地平面間にスピードボード−C(登録商標)結合接着剤を使用して基板310,312は結合される)、UMLB264は、それからエッグクレート放射器262に固定されてUMLA260を形成する。
【0135】
[0158] UMLB264は、複数の垂直の相互接合部290−306を含むことは認識されるべきである。垂直の相互結合部290−306はまた、ときとして、「RFビア」としてここに参照される。RFビア290−306は、UMLB264を有する回路基板266−282の異なる層上に提供される回路間又は信号経路間にRF信号経路を提供する。
【0136】
[0159] 例えば、サブ組立体310では、回路基板270は、それの層270b上に配設された50オームの入力ポートから25オームの出力ポートのウィルキンソン型抵抗デバイダを有して提供される(抵抗デバイダの部分320だけが図3の断面図で見ることができる)。抵抗デバイダの部分320は、RFビア294,296を介して、回路基板268の層268a上のストリップライン給電回路322に結合される(給電回路322の一部だけが図3の断面図で見ることができる)。それから、給電回路322は、RF信号を1又は2以上のスロット放射器314aに提供する。スロット放射器は、エッグクレート放射器サブ組立体262の一部として提供された1対の積層型パッチ放射器を励起する。
【0137】
[0160] 同様に、サブ組立体312は、回路基板280の層280b上の50オームの入力ポートから50オームの3ブランチの直交ハイブリッド回路324と、回路基板278の層278a上の50オームの入力ポートから25オームの出力ポートのウィルキンソン型抵抗デバイダ326とを含む(回路324,326の部分だけが図3で見ることができる)。直交ハイブリッド324は、そこに提供される入力信号を分けて、アンテナ内の偏波制御を提供するために必要な±90度の位相関係を提供する(例えば図2に連携して上述されたような偏波制御回路内で)。特に、±90度の位相関係は、アンテナ内の左手及び右手のサーキュラ偏波を達成するために必要である。ウィルキンソン型抵抗デバイダ320,326は、信号を再度分けて、サブ組立体262内の放射器263a、263bに供給する空間的に(spatially)直交の信号を提供する。ウィルキンソン型ポート供給294,296,304,306で奇数モード(odd-mode)の励起を停止することで、配列がボアサイトを走査停止されるとき(is scanned off bor sight)、抵抗器は軸方向のレシオ性能を改善する。抵抗器は、例えばオメガ−プライ(登録商標)のような銅フィルムの一部として提供可能であり、或いは、インクやチップ抵抗器として回路基板の誘電体材料上の銅回路に直接に適用可能である。RF相互接続部290,302は、層270b、278a上に提供される直交ハイブリッド回路324とウィルキンソン型デバイダ回路320,326とを電気結合する。
【0138】
[0161] RF接続部294,296は、UMLB264の単一のサブ組立体(即ちサブ組立体310)内の層上で提供される回路を相互接続することは認識されるべきである。同様に、RF相互接続部292,302は、サブ組立体312(即ちUMLB264の単一のサブ組立体)内の異なる層上で提供される回路を相互接続する。
【0139】
[0162] しかし、RF相互接続部290,304,306は、UMLB264の異なるサブ組立体内の異なる層上で提供される回路を相互接続する。例えば、RF相互接続部304,306は、層上278a上で提供されるウィルキンソン型デバイダ回路326と、層268a上で提供される給電回路322とを電気結合し、一方、RF相互接続部290は、層280b上で提供される直交ハイブリッド回路324と、層270b上で提供されるデバイダ回路320とを電気結合する。RF相互接続部290は、RF相互接続部304,306と同様、UMLB264の最下層(即ち層282b)からUMLB264の最上層(即ち層266a)まで延在するから、RF相互接続部290,304,306は、UMLB264上の任意の層上の回路を結合可能である。
【0140】
[0163] 上述のように、限定する意図はないが、UMLA260の製造コストを含む理由で、UMLB264のサブ組立体310,312を製造するために標準的なPWB製造工程を利用することは望ましい。
【0141】
[0164] しかし、そのような製造技術を利用するとき、RF「スタブ」は、(一般に知られるようにRFビアを取り囲んで提供可能なモード抑制ビアと同様に)RFビアを製造するために、標準的な穿孔とめっきの工程から製造される。RFスタブは、RFビアと伝送線コンダクタとの間の相互セクション(又はジャンクション)(例えばストリップラインRF伝送線の中央コンダクタ)の上方及び/又は下方に延在するRFビアのその部分である。RFスタブは、2つの(又はそれ以上の)RF伝送線が接続されるとき、製造される。
【0142】
[0165] 図3のUMLAにおいて、2つの内部の回路層を接続するためにRFビアの穿孔とめっきからUMLB内で製造された4つの明確なRFスタブがある。第1に、サブ組立体310では、スタブ390,392は、上方のウィルキンソン型デバイダ回路層(例えば層270b上の回路320)と給電回路層(例えば層268a上の回路322)との間の接続内で起こる。第2に、サブ組立体312では、スタブ393,394は、直交ハイブリッド回路層(例えば層280b上の回路324)と下方のウィルキンソン型デバイダ回路層(例えば層278a上の回路326)との間の接続内で起こる。第3に、スタブ420(図5)と422とは、直交ハイブリッド回路層(例えば層280b上の回路324)と上方のウィルキンソン型デバイダ回路層(例えば層270b上の回路320)との間の接続内で起こる。第4に、図3には示されないが、スタブは、下方のウィルキンソン型回路層(即ち層278a)と給電回路層(即ち層268a)との間の接続の結果として起こることがある。サブ組立体310がサブ組立体312に結合され、或いは、その他の方法で固定されるとき、第3及び第4の状況が起こることは認識されるべきである。その結果、単一のサブ組立体内における異なる層上の回路間の接続の結果として、或いは、多数のサブ組立体における異なる層上の回路間の接続の結果として、スタブは起こることがある。
【0143】
[0166] 多数の回路基板及び回路層を有する従来のマイクロウェーブ組立体では、RFスタブは、RFビアの直径より大きな径のドリルを使ってRFビアを穿孔することでRFビアのスタブ部分が物理的に除去される、別個のいわゆる「バックドリル操作」によって除去される。穿孔操作後に残る結果としての孔は、非導電性のエポキシで埋め戻される。
【0144】
[0167] この加えられた製造段階(即ちバックドリル操作)は、2つの結果を有する。第1に、RF性能は、RFジャンクションを越えて延在する誘電体「スタブ」によって品位を低下させる。エポキシの充填は、一般に、回りを取り囲むマイクロウェーブ被覆の誘電率が一定で損失を有するという電気特性に適合せず、X、Y、Z方向の温度膨張係数のような機械的特性は、エポキシとマイクロウェーブ被覆との間で適合しない。その結果、RF相互接続部の動作帯幅は減り、RF性能(リターン損失、挿入損失)のチャネル間トラッキングは品位を低下させる。第2に、工程は、重要なコストとリードタイムとを加える。これらの2つの結果は、充填材の電気的及び機械的特徴と回路基板との間の少なくとも製造許容値と変動量の結果であり、システムの性能能力を減らす。
【0145】
[0168] しかし、本発明のタイル型サブ配列は、「RFマッチングパッド」を利用することで、すべてのRFビアスタブのバックドリルと埋め戻しとを除去し、それによって、RFビアスタブは、RF動作周波数帯にわたって電気的に「適合」される。RFマッチングパッド技術は、導電性材料がブランク層(即ち銅を有しない層)上、或いは、接地プレイン層(リリーフ領域を備える)の中で提供される技術であり、標準的な低アスペクト比の穿孔及びめっき製造操作が内部の回路層を接続し、Xバンド(8GHz−12GHz)にわたって低挿入損失のRF伝送を製造するRFビアを製造可能にする。RFマッチングパッドアプローチで、すべてのRF及びモード抑制ビアは、同時に、組立体全体を通じて穿孔されめっき可能である。バックドリルと埋め戻しに関連した製造コストは、完全に除去される。更に、穿孔の許容値と埋め戻し剤の許容値によるチャネル間の変動量が除去されてきたので、RF性能は改善された。
【0146】
[0169] 図3の実施形態では、RFマッチングパッドは、接地平面回路層(即ち層226a、268b、270a、272b、274a、278b、280a、282b)内の導電性ディスク(管状のリングリリーフ領域によって囲まれる)から提供される。RFマッチングパッド技術は、RF相互接続部とRF伝送線との相互セクションによって形成されるRFジャンクションを越えて、1/4波長かそれ以下だけ延在する任意のRFスタブに適用可能な一般的なアプローチである。
【0147】
[0170] 次に、図3の類似の要素が類似の参照符号を有するものとして提供される図4−4Cを参照すれば、RF相互接続部294は、回路基板266の層266a上の第1端部から回路基板272の層272b上の第2端部に延在するように明確に見られることが可能である。図3に関連して議論するように、RF相互接続部294は、回路層270b上の伝送線320を回路層268a上の伝送線322に結合する。図3,4に示される実施形態では、RF伝送線320,322の各々は、ストリップライン構成の接地平面に対応して、各々がコンダクタ320a、320bと322a、322bを備えた、ストリップライン伝送線の中央コンダクタに対応する。
【0148】
[0171] 第1RFスタブ390は、伝送線320とRF相互接続部294との間のジャンクション(相互セクション)の結果として起き、第2RFスタブ392は、伝送線322とRF相互接続部294との間のジャンクション(相互セクション)の結果として起こる。RF相互接続部294の第1端部は、RF相互接続部294に接続される第1導電性領域408から提供されるRFマッチングパッド407を有して提供される。この実施形態では、RFマッチングパッドの第1導電性領域は、円盤形状のコンダクタ408として提供される。第1導電性領域(例えば円盤形状のコンダクタ408)は、コンダクタ408を接地平面322aから電気絶縁する非導電性リリーフ領域409によって囲まれる。この実施形態では、リリーフ領域409は、第1の内側の直径と第2又は外側の直径とによって画定された管状リングとして提供される。
【0149】
[0172] 同様に、RF相互接続部294の第2端部は、接地平面320bをコンダクタ411から分離する非導電性リリーフ領域412によって囲まれた第1導電性領域411から提供されるRFマッチングパッド410を有して提供される。
【0150】
[0173] RFマッチングパッド407,410の大きさと形状は、各々のRFスタブ392,390の任意のインピーダンス及び/又は伝送特性を「調節する」(又は「適合する」)ように選択される。RFマッチングパッド407は、RFマッチングパッド410と同じ大きさ又は形状である必要がないことは認識されるべきである。即ち、ディスク408,411の直径は、同じである必要はない。また、管状リング409,412の内側の直径及び外側の直径は、同じである必要はない。むしろ、各RFマッチングパッド407,410は、所望の機械的及び電気的性能特性を有するRF相互接続部294を最も効率的に提供する形状と寸法(即ち大きさ)を有して提供される。
【0151】
[0174] また、以下に図6、6Aと連携して説明するように、RFマッチングパッドの第1導電性領域の形状は、円盤である必要はない。むしろ、RFマッチングパッドの第1導電性領域は、任意の規則的又は非規則的な幾何形状を有して提供されるであろう。同様に、リリーフ領域(例えば領域409,412)は、管状形状を有して提供される必要はない。むしろ、第1導電性領域が起こる層上の接地平面からリリーフ領域がRFマッチングパッドの第1導電性領域(即ち領域408,411)を実質的に電気絶縁する限り、リリーフ領域は、任意の規則的又は非規則的な幾何形状を有して提供されるであろう。例えば、図4に示されるように、接地平面322aは導電性領域408と同じ回路層上にある。その結果、リリーフ領域409は(導電性領域408の大きさ及び/又は形状にもかかわらず)、導電性領域408を接地平面コンダクタ322aから電気絶縁すべきである。
【0152】
[0175] RFマッチングパッドは、図4C内の伝送線セクション321によって図解されるように、伝送線のインピーダンスマッチングセクションで利用されることもまた認識されるべきである。マッチングセクション321のインピーダンス特性の効果は、RFマッチングパッド410の設計の際に(即ち形状と寸法の選択の際に)考慮されるべきである。
【0153】
[0176] 次に図4Dを参照すれば、RF相互接続部294の挿入損失と周波数の関係のプロットが示される。
【0154】
[0177] 次に、図3の類似の要素が類似の参照符号を有するものとして提供される図5−5Cを参照すれば、RF相互接続部290は、回路基板266の層266a上の第1端部から回路基板282の層282b上の第2端部に延在するように明確に見られることが可能である。図3と連携して議論されるように、RF相互接続部290は、回路層270b上の伝送線320を回路層280b上の伝送線324に結合する。伝送線320がサブ組立体310内に配置され、伝送線324がサブ組立体312内に配置されることは記述されるべきである。その結果、RF相互接続部290は、サブ組立体310とサブ組立体312の両方を通過する。
【0155】
[0178] 図3、4Aに示される実施形態では、RF伝送線320,324の各々は、各々、コンダクタ320a、320bと324a、324bを備えたストリップライン伝送線の中央コンダクタに対応することは認識されるべきである。
【0156】
[0179] RFスタブ420,422は、伝送線320とRF相互接続部290との間のジャンクション(又は相互セクション)の結果として起こる。追加のRFスタブ422は、伝送線324とRF相互接続部290との間のジャンクション(又は相互セクション)の結果として起こる。
【0157】
[0180] スタブ420−422によるRF相互接続部290上の効果を減らすために、RF相互接続部290は、複数のRFマッチングパッド424,426,428,430,432を有して提供される。RFマッチングパッド424は、RF相互接続部290に結合された第1導電性領域434から提供される。この実施形態では、RFマッチングパッドの第1導電性領域は、円盤形状のコンダクタ434として提供される。第1導電性領域434は、コンダクタ434を接地平面322aから電気絶縁する非導電性リリーフ領域436によって囲まれる。この実施形態では、リリーフ領域436は、第1の(又は内側の)直径及び第2の(又は外側の)直径によって画定される管状リングとして提供される。
【0158】
[0181] 同様に、RFマッチングパッド426,428,430,432の各々は、非導電性リリーフ領域439,441,443,445の各々のひとつによって囲まれる第1導電性領域438,440,442,444の各一つを含む。リリーフ領域439,441,443,445の各々は、導電性領域438,440,442,444を各々、接地平面320a、320b、450,324bから電気絶縁する。
【0159】
[0182] RFマッチングパッド424−432の大きさと形状は、各々のRFスタブ420,421,422の任意のインピーダンス及び/又は伝送特性を「調節する」(又は「適合する」)ように選択される。RFマッチングパッドが、互いと同じ大きさや形状である必要がないことを認識するべきである。即ち、ディスク434,438,440,442,444の直径は、同じである必要でない。また、管状リング436,439、441,443,445の内側の直径及び外側の直径は、同じである必要はない。むしろ、各RFマッチングパッド424−432は、所望の機械的及び電気的性能特性を有するRF相互接続部290を最も効率的に提供する形状と寸法(即ち大きさ)を有して提供される。
【0160】
[0183] また、以下に図6、6Aと連携して説明するように、RFマッチングパッド424−432の第1導電性領域の形状は、円盤である必要はない。むしろ、RFマッチングパッドの第1導電性領域は、任意の規則的又は非規則的な幾何形状を有して提供されるであろう。同様に、リリーフ領域は、管状形状を有して提供される必要はない。むしろ、第1導電性領域が起こる層上の接地平面からリリーフ領域がRFマッチングパッドの第1導電性領域を実質的に電気絶縁する限り、リリーフ領域は、任意の規則的又は非規則的な幾何形状を有して提供されるであろう。例えば、図5に示されるように、接地平面320aは導電性領域438と同じ層上にある。その結果、リリーフ領域439は(導電性領域426の大きさ及び/又は形状にもかかわらず)、導電性領域438を接地平面コンダクタ320aから電気絶縁すべきである。
【0161】
[0184] RFマッチングパッドは、図5C内の伝送線セクション321’によって図解されるように、伝送線のインピーダンスマッチングセクションで利用されることもまた認識されるべきである。マッチングセクション321’のインピーダンス特性の効果は、RFマッチングパッドの設計の際に(即ち形状と寸法の選択の際に)考慮されるべきである。
【0162】
[0185] 次に、図5Dを参照すれば、RF相互接続部290の挿入損失と周波数の関係のプロットが示される。
【0163】
[0186] 次に、図6、6Aを参照すれば、1対の幾何形状460、462は、RFマッチングパッドの第1導電性領域及び/又はリリーフ領域が提供される形状を図解する。上述したように、RFマッチングパッドの第1導電性領域(例えば図4A,4B内の領域408,411や、図5内の領域434,438,440,442,444)は、任意の規則的又は非規則的な幾何形状を有して提供されるであろう。同様に、リリーフ領域(例えば図4A,4B内の領域409,412や図5内の領域436,439,441,443,445)は、管状形状を有して提供される必要はない。むしろ、第1導電性領域が起こる層上の接地平面からリリーフ領域がRFマッチングパッドの第1導電性領域を実質的に電気絶縁する限り、リリーフ領域は、任意の規則的又は非規則的な幾何形状を有して提供されるであろう。その結果、それらの大きさ及び/又は形状にもかかわらず、リリーフ領域は導電性領域を接地平面コンダクタから電気絶縁すべきである。
【0164】
[0187] RFマッチングパッドの導電性領域及びリリーフ領域は、限定する意図はないが、長方形、正方形、円形、三角形、菱形、円弧形状を含む任意の形状を有して提供されるであろう。また、RFマッチングパッドの導電性領域及びリリーフ領域は、上記形状の任意の組み合わせから提供されるであろう。また、RFマッチングパッドの導電性領域及びリリーフ領域は、規則的及び非規則的形状の任意の組み合わせから提供されるであろう。
【0165】
[0188] 次に図7を参照すれば、タイル型サブ配列470は、RF回路基板474上に配設されたT/Rモジュール回路基板472を含む。DC/論理回路基板476は、RF回路基板の上方に配設される。サーキュラ回路基板478は、DC/論理回路基板の上方に配設される。T/Rモジュール回路基板、RF回路基板、DC/論理回路基板、及びサーキュラ回路の各々は、図1A−2と連携して上述されたT/Rモジュール回路、RF回路、DC/論理回路及びサーキュラ回路と実質的に同じ機能を実行する。
【0166】
[0189] 最後に、UMLA480は、サーキュラ回路基板の上方に配設される。UMLAは、図1A−5と連携して、上述されたUMLAと同じ又は類似であろう。
【0167】
[0190] 図7の実施形態は、T/Rモジュール472がLMLBの最下層に直接に取り付けられるであろうことを図解する。即ち、LMLBの最下層にMMICチップを直接取り付けるアプローチ(MMICチップは示されない)は、使用されるであろう。このアプローチは、T/Rチャネル当たり比較的高ピークの送信電力が所望されるこれらの適用において有利であろう。
【0168】
[0191] 次に、いくつかの図面を通じて類似の要素が類似の参照符号を有するものとして提供される図8−8Dを参照すれば、パネルアーキテクチャを有する例示的な能動型電気走査配列(AESA)は、符号500を付された集積ヒートシンクパネル組立体を含む。パネル組立体500は、それに結合されたヒートシンク504を有するパネルアレイ502(又は更に簡潔にパネル502)を含む。
【0169】
[0192] 以下に図9に連携して詳細に記述されるように、パネル502は、複数の回路基板で構成されるPTFEの多層PWBから提供される。パネル502は、厚さTを有し、一般に平面的であり、それの第1表面502aを通して放射するように配設された複数のアンテナ要素503(それらは図8内で直接見ることはできないから透視図で示される)を有する。多層PWBは、RF、電力及び論理回路を含み、単一の被覆と単一の穿孔及びめっき操作から提供される。単一の被覆、単一の穿孔及びめっき操作は、低コストで低プロフィールの(即ち薄い)パネルという結果となる。その結果、パネル502が提供されるPWBは、低コストの混合信号PWBである(即ち単一PWB内でRFのデジタルの電力信号を混合する)。
【0170】
[0193] すべての能動型電気部品及び受動型電気部品508(図8C)は、パネル502の第2表面502b(図8C)上に配設される。ある実施形態では、電気部品508は、MMICフリップチップ回路として提供される。T/Rチャネルのパネルレベルのパッケージの利用は、T/Rチャネルを個別にパッケージする必要を除去する。ある実施形態では、能動型電気部品及び受動型電気部品508は、表面取り付け構成要素として提供され、金属カバー(不図示)は構成要素508上に結合され、周囲環境からの影響を防ぐ保護コーティング(environmental conformal coating)がそれから適用されることは認識されるべきである。1又は2以上の「柔軟性を有する」回路509(図8C)は、パネルに結合される。DC、論理信号のための埋め込まれた「柔軟性を有する」回路509の利用は、DC、論理コネクタ材料の出費及び組立体コストを省く。また、1又は2以上のRFコネクタ510が、パネルに結合される(図面と記述において明瞭性を促進するために図8C内には1個のRFコネクタだけが示されている)。
【0171】
[0194] ヒートシンク504の第1表面504a(図8B,8C)は、PWB502の第2表面502b(図8C)に結合される。ヒートシンクは、RFコネクタ510(図8A参照)がその中に配設されて提供される開口部511を有する。好適な実施形態では、ヒートシンク504は、フリップチップ508に直接結合される。その結果、ヒートシンクの表面は、配設されて、多層の混合信号PWB−−−例えばパネル502−−−の外部表面上に配設された複数の電子部品508(即ち受動型回路と能動型回路の両方)の上方に配設されて、それと熱接触状態となるように構成される。ヒートシンクの第2表面504b(図8D)は、そこから突出する複数の熱スプレッド要素506を有して提供される。図8Cの実施形態では、熱スプレッド要素506は、フィンとして提供される。
【0172】
[0195] ヒートシンクをパネル(PWB)の外部表面上に配設されたフリップチップ回路に直接結合することは、ヒートシンク504とフリップチップ回路508との間の温度インターフェイスの数を減らし、その結果、フリップチップ回路の熱生成部分とヒートシンクとの間の温度抵抗を減らす。ヒートシンクとフリップチップ回路の熱生成部分との間の温度抵抗を減らすことで、パネルを空冷することが可能になる。
【0173】
[0196] このことは、液体冷却又は大きな空気ボロワやムーバが使用される従来技術のアプローチと対照的である。
【0174】
[0197] 空冷によるアプローチを使用することで(従来技術のブロワや液体冷却アプローチの1つの使用に比して)、能動型パネルを冷却するための手頃な価格のアプローチが提供される。更に、多数のフリップチップ搭載回路を冷却するために単一のヒートシンクを使用することで(従来技術の個別で多数の「ハットシンク」アプローチに比して)、各フリッピチップ回路上に個別のヒートシンクを取り付ける必要がないので、パネルを冷却するコスト(部品コストと組立体コストの両方)を減らす。
【0175】
[0198] 上述したように、ある実施形態では、フリップチップ回路はモノシリック・マイクロウェーブ集積回路(MMIC)として提供され、ヒートシンクの熱スプレッド要素はフィンやピンとして提供される。
【0176】
[0199] ある実施形態では、ヒートシンクは、それの表面とパネル502の表面上に配設された複数のフリップチップMMICとの間の機械的インターフェイスを有するアルミニウムのフィンの付いたヒートシンクとして提供されるであろう。そのようなヒートシンクと能動型パネルの空冷は、高価な材料(ダイヤモンドや他のグラファイトの材料)の必要性を減らし、温度管理システムからヒートパイプを省く。
【0177】
[0200] ある実施形態では、能動型パネル502は、フリップチップ搭載MMICを備えた多層の混合信号プリント配線基板(PWB)として提供される。単一のヒートシンクは、各フリップチップMMICの背面と温度接触するために、PWBに機械的に取り付けられた第1表面を有する。そのような能動型パネルアーキテクチャは、T/Rチャネル当たりmWからT/Rチャネル当たりWの範囲のRF電力レベルにわたって約25%の範囲内の負荷サイクルでの使用に適した能動型パネルを提供するために使用可能である。
【0178】
[0201] 多数の異なる電力レベルと物理的大きさとを有するシステム内で共通のパネル型アーキテクチャと温度管理アーキテクチャを使用することが可能な結果、システムの各々に対して共通の製造、組立、パッケージアプローチを使用することもまた可能である。例えば、小電力及び大電力の能動型電気走査配列(AESA)は、共通の製造、組立、パッケージアプローチを利用可能である。このことは、AESAの製造において大きなコスト削減につながる。その結果、ここに記述されたシステムと技術とは、AESA製造を更に手頃な価格にすることが可能である。
【0179】
[0202] フリップチップ回路とヒートシンクとの間の温度インターフェイスの数を最小化することが望ましい。その結果、ある実施形態では、直接の機械的接触が、フリップチップMMICとフィンの付いたヒートシンク表面との間で使用される。他の実施形態では、中間の「ギャップ・パッド」層が、フリップチップ回路(例えばMMIC)とヒートシンク表面との間で使用されるであろう。いくつかの実施形態では、そのようなギャップ・パッド層の使用は、ある回路や回路基板を再度動作させる必要がある場合に(即ち電気的組立体を再度仕上げる操作や修理が実行される必要がある場合に)、配列の解体と同様、配列の機械的組立を容易にする。
【0180】
[0203] ある実施形態では、PWB502は、Xバンド周波数での動作のために構成された積層型パッチアンテナパネルを含み、5.1mm(0.2インチ)が好ましいが約2.54mm(0.1インチ)から約10.2mm(0.4インチ)の範囲の厚さ(T)を有し、128個のパッチ要素(図8では見られない)を備えた127mm(5インチ)幅で254mm(10インチ)長を有する。
【0181】
[0204] ここに記述されたパネル型ヒートシンクの配置は、能動型パネルから(及び特に能動型パネル上に取り付けられた能動型回路から)ヒートシンクへと熱(即ち温度エネルギ)を効率良く伝達する。能動型回路とヒートシンクとの間の温度インターフェイスの数を減らすことで、能動型回路からヒートシンクへの温度エネルギの迅速な伝達は達成される。
【0182】
[0205] 次に図9を参照すれば、図8内のパネル配列502と同じか類似のパネル配列520の一部が示される。パネル配列520は、各基板が第1及び第2の対向する層を備えた9個の回路基板524−542で構成された多層PWB522から提供されるであろう。その結果、PWB522は、18個の層を有し、そのうちのいくつかは回路層に対応し、いくつかは接地平面層に対応し、いくつかはブランク層(即ち電気回路目的のために存在する導電性材料を有しない)に対応する。結合材料550(いわゆる「プリプレグ」結合エポキシ)は、各回路基板間に配設される。
【0183】
[0206] 回路基板524は、表面524b上に配設された第1又は上方のパッチアンテナ要素552を有し、回路基板528は、表面528a上に配設された第2又は下方のパッチアンテナ要素554を有する。回路基板526は、アンテナ要素552,554の間のスペーサとして動作し、その結果、アンテナ要素552,554は、いわゆる積層型経路アンテナ要素を形成する。回路基板530の層530a上のコンダクタ556は、積層型パッチアンテナ要素552,554のためのスロット給電を形成し、一方、回路基板530の層530b上のコンダクタ558は、RFウィルキンソン型電力デバイダ及びRFビーム形成回路を形成する。層534a上のコンダクタ559は接地平面に対応し、一方、回路基板534の層534b上のコンダクタ560は、RFウィルキンソン型電力デバイダ及びRFビーム形成回路の第2のセットを形成する。層536a上のコンダクタ561と層536b上のコンダクタ562とは、デジタル回路と電子部品につながるデジタル信号回路経路に対応する。層540a上のコンダクタ564はRF接地平面に対応し、層540b上のコンダクタ566は電力回路、電子部品、デジタル信号回路経路につながる電力回路経路に対応する。デジタル信号回路経路は、デジタル回路と電子部品とRF接地平面につながる。回路基板542は、RF接地回路とRF回路パッドと同様に、共平面の導波回路をサポートする。
【0184】
[0207] PWB522はまた、一般に570で表示される複数のめっきされたスルーホール570a−570lを含む。めっきされたスルーホール570a−570lの各々は、層524a(即ちPWB522の最上層)から層542b(即ちPWB522の最下層)に延在する。めっきされたスルーホール570k、570lは、単一の回路基板(即ち回路基板542)だけを通じて延在する。めっきされたスルーホール570のいくつかは、積層型パッチアンテナ要素552,554の回りの導波ケージを形成する。その結果、放射要素は、各ユニットセルの回りの導波ケージを効率的に形成する、めっきされたスルーホール570を備えたユニットセルの一部として提供される。導波ケージの一部だけが図9に示されることは、認識されるべきである。
【0185】
[0208] 上述されたように、導波ケージは、PWBの第1最外層(例えばPWBの最上層)からPWMの第2最外層(例えばPWBの最下層)に延在するめっきされたスルーホール570で形成される。その結果、導波ケージは、多層PWB522の厚さ全部を通じて延在する。
【0186】
[0209] RF周波数では、導波ケージは、ユニットセルの各々を他のユニットセルから電気絶縁する。そのような絶縁は、結果として、パネル配列の改善されたRF性能となる。導波ケージは、以下を実行するために機能する。
(1)表面波モードの抑制(誘電体スラブ上の放射要素及び誘電体スラブ内に支持された案内モード間の結合に起因する走査盲目性を引き起こす恐れがある)、
(2)平行した平面モードの抑制(非対称性のRFストリップライン構成に起因する)、
(3)ユニットセル間のRF絶縁、
(4)論理及び電力回路からのRF回路の絶縁(最終的に同層上にプリントされるはずのRF、電力及び論理回路の能力という結果となり、その結果、多層パネル内の層の全数を減らす結果となる)、
(5)給電層とRFビーム形成器のためのいくつかのRFビア伝送のための垂直伝送(これはまたユニットセル内のスペースを節約し、配列が大走査量を超えて動作することを所望するときに重要となる更にタイトなユニットセルパッケージを可能にする)。
ある実施形態では、導波ケージは、層534b、530b間のウィルキンソン型給電伝送、及び、層534b、542b間のRFビーム形成器伝送のためのRF信号分配のための垂直伝送として機能する。
【0187】
[0210] 最後に、能動型電子部品及び受動型構成要素508(図8C)は、層542bの上方に配設される。その結果、パネル配列は、高度に集積されたPWB522内のRF、論理、及びDC分配を結合する。PWBの最上層(即ち層524a)はRF放射側であり、最下層(即ち層542b)は能動型電子部品及び受動型構成要素が組み立てられる(及び電気結合される)側である。
【0188】
[0211] 一般的に見て、パネル配列PWB522の製造及び組立には5つの基本的な段階がある。第1に、PWB522を有する回路基板524−542上の全層を撮像しエッチングする。各回路基板524−542は、異なる厚さを有して提供されることは認識されるべきである。また、回路基板524−542は、各々が異なる材料で提供されても良い。各基板524−542のための特殊な材料及び厚さは、回路基板上に配設された回路の型を含む多様な要素に基づいて選択される。加えて、大きな或いは規格を上回る回路パッドの寸法が形成され電気的に調整されて(例えば上述したマッチングディスク技術を使用して)、めっきされたスルーホール570と、RF,電力及び/又は論理回路を必要とする層上に見られる関連する内部パッドとの間の機械的整合を改善する。単一の穿孔及びめっき操作が使用されるように、層の所定の層上に配設されたRFパッド、DC電力パッド、論理パッドを整合することは必要であることは認識されるべきである。即ち、複数の層の各々の上のRFパッドは可能な限り整合されて、各穿孔操作が複数の異なる層上のRFパッドと交差する。同様に、複数の層の各々の上の電力パッドは可能な限り整合されて、各穿孔操作が複数の異なる層上の電力パッドと交差する。同様に、複数の層の各々の上の論理パッドは可能な限り整合されて、各穿孔操作が複数の異なる層上の論理パッドと交差する。その結果、単一の穿孔及びめっき操作のために、RF,電力及び論理パッドを可能な限り整合することは望ましい(即ちRFパッドはRFパッドと整合され、電力パッドは電力パッドと整合され、論理パッドは論理パッドと整合される)。
【0189】
[0212] 各層は、歩留まりを改善するために、被覆に先立って検査される。次に、PWBを備えるすべての回路基板が被覆される。単一の被覆工程は、サブ組立体の整合リスクを省き、その結果、生産時間とコストを減らす。穿孔及びめっきの操作は、それから、実行される。すべてのRF,論理、電力相互接続部は、単一の穿孔操作と連続しためっき操作の中でされ、すべての孔は固体の多層被覆を生産して充填される。RF、電力及び論理パッドはすべて整合されるので、この技術は、RF,電力、及び論理信号のための分離したビアを提供した(即ちいくつかのビアはRF信号ビアで、いくつかのビアは電力信号ビアで、いくつかのビアは論理信号ビアである)。最後に、能動型及び受動型構成要素は、パネルの底面上に配設され(即ちピックアンドプレース(pick and place)操作を介して)、それから、半田のリフロー操作が実行される。
【0190】
[0213] Xバンドの周波数範囲で動作するパネル配列の実施形態では、約284.5mm(11.2インチ)長(L)、約215.9mm(8.5インチ)幅(W)、5.31mm(0.209インチ)厚(T)を有するパネルが提供される。パネル配列は、8列16カラムで整列された128個のユニットセルを含む。回路基板524,530,534,542は、約0.254mm(0.0100インチ)厚を有する基板524,530,534と約0.51mm(0.0200インチ)厚を有する基板542とを備え、織られたガラス補強の被覆として提供される。回路基板524,530,534,542は、各々が、タコニックによって製造されRF−60Aとして特定される、セラミックのロードされた/PTFE基板として提供されるであろう。同じか実質的に類似の機械的で電気的な特性を有する他の材料もまた使用されるであろうことを当業者はもちろん認識するであろう。
【0191】
[0214] 回路基板526,532,536,540は、約0.254mm(0.0100インチ)を有する基板532,536,540と約0.762mm(0.0300インチ)厚を有する基板526とを備えて、織られたガラス補強の被覆として提供される。回路基板526,532,536,540は、各々が、タコニックによって製造されTLG−29として特定される、BT/エポキシ/PTFEの織られたガラス補強の被覆として提供されるであろう。同じか実質的に類似の機械的で電気的な特性を有する他の材料もまた使用されるであろうことを、当業者はもちろん認識するであろう。
【0192】
[0215] 回路基板528は、約0.279mm(0.0110インチ)厚を有する織られたガラス補強の被覆として提供される。基板528は、タコニックによって製造されRF60Aとして特定される、セラミックのロードされた/PTFEの織られたガラス補強の被覆として提供されるであろう。いくつかの実施形態では、CEr−10のような他の材料もまた使用されるであろう。同じか実質的に類似の機械的で電気的な特性を有する他の材料もまた使用されるであろうことを、当業者はもちろん認識するであろう。
【0193】
[0216] 結合層550は、各々が、TPG−30として特定されるタコニックのBT/エポキシのプリペッグとして提供されるであろう。類似の機械的で電気的な特徴を有する他の結合材料もまた、もちろん使用されるであろう。TPG−30の材料は、約392°F(200℃)の結合温度と約3.10MPa(450psi)の結合力とを有する。ある実施形態では、2つの結合層550は、基板540と542との間で使用されるであろう。
【0194】
[0217] 様々な誘電体の層上に沈積された或いは他の方法で提供された銅が、名目約0.018mm(0.0007インチ)厚に予めめっきされた14.2g(1/2オンス)の銅として提供される。
【0195】
[0218] 各ビア孔570は、それからめっき段階の間でめっきされる約0.51mm(0.020インチ)の直径を有して提供される。ビア570K、570Lは、約0.51mm(0.020インチ)の直径を有し、被覆の間にTPG−30樹脂で充填され、その結果、そのような樹脂の存在のためにめっきされないことは記述されるべきである。各ユニットセルは、それを囲むおおよそ74個のビア孔570を有する。その結果、128個のユニットセルを有するパネルでは、基板当たりおおよそ9472個のビア孔がある。もちろん、他の直径もまた使用されるであろう。任意の適用における使用に対する特別の直径は、特別の適用の必要性に従って選択されるであろう。めっきされたスルーホール570k、570lは、アスペクト比がそのような制御された穿孔操作(ひとつの基板だけを貫通する)を許容する範囲内にあるので、単一の被覆工程後の制御された穿孔操作で穿孔されめっきされることが可能なことはもちろん理解されるべきである。他のめっきされたスルーホール570の高アスペクト比はこれを許容しない。
【0196】
[0219] 更に詳細には、多層プリント配線基板(PWB)から提供されるパネル配列の製造は、PWB(例えば基板524−542の各々)を有する各回路基板上の全層を撮像する工程と、それから、RFマッチングパッドをエッチングする工程を含むPWBを備える各回路基板上の全層をエッチングする工程で始まる。好適な実施形態では、検査は、エッチングされた各層上に実行される。次に、複数の回路基板の各々(回路基板の各々の間にプレプレグ材料を含む)は、整合される。いったん回路基板とプレプレグ材料とが整列されると、回路基板は、単一の被覆段階で被覆され、被覆された回路基板組立体を提供する。被覆工程は、回路基板を所定温度に加熱する工程と、所定時間の間に所定圧力を回路基板に印加する工程とを含む。被覆が完成した後、穿孔操作は実行され、その中で、孔は、被覆された回路基板組立体において穿かれる。重要なことに、孔の各々は、被覆された回路基板組立体全体を通じて(即ち被覆された回路基板組立体の最上層から最下層まで)穿孔される。いったん穿孔されると、孔は、めっきされ、それから、導電性を有する。孔はまた、充填され、固体の多層被覆回路基板組立体を提供可能である。その結果、単一の被覆技術は、すべてのRF、電力及び論理ビアがひとつの操作で穿孔可能となり、RFビア「スタブ」チューニングを利用する(その中でRF伝送線ジャンクションを越えて延在するRFビア「スタブ」は所望のインピーダンスマッチを提供するために調整されたRFである)。このチューニングのアプローチは、RFビア伝送線ジャンクション近くに、形成されたコンダクタを使用する。また、(取り囲まれたリリーフを備えた)ディスクは、接地平面層及び/又はブランク層内で使用され、そこを通ってRFビアが通過し、(例えば図4−6Aと連携して上述したように)パネル内で提供される回路の異なる部分に適合するインピーダンスで助ける。ここに記述された単一の被覆製造技術は、RF,電力及び論理信号が同じ層上で伝播することを可能にすることを認識されるべきである。その結果、混合信号の多層RF PWBは、単一の被覆操作で提供される。
【0197】
[0220] 上述の見地から、位相配列の更に低吸収性とライフサイクルコストに対する必要性が存在する一方で、同時にバンド幅と偏波多様性と信頼性のための要求はますます困難になることは今や認識されるべきである。ここに記述されたパネル配列アーキテクチャと製造技術とは、位相配列の製造のための、特に低密度から中密度のRF電力密度範囲で動作する位相配列の製造にコスト効率の良い解決策を提供する。そのような位相配列は、陸、海、航空のプラットホームのための非常に多様な位相配列レーダミッションや通信ミッションで使用可能である。ある実施形態では、Xバンドで示される、128個のT/Rチャネルの低電力密度のパネル配列は、23.3cm×29.2cm(8.4インチ×11.5インチ)(604.3cm2(93.66平方インチ))、5.33mm(0.210インチ)厚で、0.980kg(2.16ポンド)重である(304kg/m3(0.11ポンド/立方インチ))の量だけ単位重量に対応し、T/Rチャネル当たり2個のMMIC、T/Rチャネル当たり2個のスイッチ、RF,電力・論理接続具、バイパスコンデンサ、抵抗器の、プリント配線基板を含む)。この実施形態では、パッチアンテナ要素は、18層PWBを有するPWB522の層524b、528a上に提供され、能動型電子部品、コネクタ、バイパスコンデンサ、抵抗器のすべてが、層524b(即ち層18)に表面実装される。Xバンドの周波数範囲での動作のために示される例示的な128個のT/Rチャネルの低電力密度のパネル配列は、送信及び受信での2重線形偏波(水平/垂直)に切り替えられ、「フリップ・チップ」の能動型の電子部品を使用する。
【0198】
[0221] ここで引用されるすべての刊行物と参照物は、参照されることにより全体としてここに組み込まれる。
【0199】
[0222] 本出願の図では、いくつかの例で、複数の要素は、特殊な要素の例示として示され、そして、単一の要素は、複数の特殊な要素の例示として示されるであろう。複数の特殊な要素を示すことは、本発明に従って実行されるシステムや方法がその要素や段階を2以上備える必要があることを示す意図はないし、また、単一の要素を図解することで、本発明がその各要素の単一のひとつだけを有する実施形態に限定されることを意図していない。少なくともいくつかの例では、図で示される特殊な要素の数が特殊なユーザの必要性に適合するために選択されることを当業者は認識するであろう。
【0200】
[0223] 上の詳細な実施形態での要素と特徴の特殊な結合は、例示的であることだけが考慮されることは意図され、これらの開示を、ここでの、及び、参照して組み込まれる特許と出願での他の開示と相互交換すること及び代用することもまた、表示的に熟考されるべきである。ここに記述されたものの変形、修正、ここに記述されたものの他の実行は、本明細書や特許請求の範囲で示される概念の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者に想起されるであろうことを当業者は認識するであろう。その結果、上記した記述は、例示だけを目的とし、なんら制限されることを意図していないし、そのように解釈されるべきである。
【0201】
[0224] 更に、本発明を記述することや図における概念を示す実施形態を図解することで、特殊用語、数、寸法、材料等は、明瞭性のために使用される。しかし、概念は、そのように選択された特殊用語、数、寸法、材料等に限定されず、少なくとも各特殊用語、数、寸法、材料等は、類似の目的を達成するために類似の方法で動作するすべての技術的で機能的な同等物を含む。所定の単語、句、数、寸法、材料、言語用語、製品ブランド等の使用は、すべての文法的な、文字通りの、科学的な、技術的な、機能的な同等物を含むことが意図される。ここで使用される用語は、記述のためであり、制限のためでない。
【0202】
[0225] 保護された探られた概念の好適な実施形態を記述して、の概念を組み込む他の実施形態は、使用されるであろうことは当業者には今や明らかであろう。更に、ここに記述された本発明の実施形態は、適用可能な技術とここで参照される標準において、変化と完全に適用する、及び/又は、適合するように修正可能であることは当業者に認識されるであろう。例えば、技術は、多くの他の異なる形式で、そして、多くの異なる環境で、実行可能であり、ここに開示された技術は、他の技術と連携し使用可能である。ここに記述されるものの変形、修正、他の実行は、本明細書に記述され、特許請求の範囲で請求される概念の精神と範囲を逸脱することなく、当業者に想起可能である。それゆえに、保護の範囲は、記述された実施形態に限定されず、むしろ、添付された特許請求の範囲の精神及び範囲によってだけ、制限されるべきであることが感じられる。
【0203】
[0226] 特許請求の範囲は以下の通りである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路基板で構成される多層プリント配線基板(PWB)で提供されるパネル配列を製造する方法であって、
(a)前記PWBを有する各回路基板上の全層を撮像する工程と、
(b)RFマッチングパッドをエッチングする工程と、エッチングされた各層を検査する工程とを含み、前記PWBを有する各回路基板上の全層をエッチングする工程と、
(c)プレプレグ材料を前記回路基板の各々の間に挿入する工程を含み、前記複数の回路基板の各々を整合する工程と、
(d)前記回路基板を被覆して被覆回路基板組立体を提供する工程であって、当該回路基板を所定温度に加熱する工程と、当該回路基板に所定圧力を所定時間だけ印加する工程とを有する、工程と、
(e)前記被覆された回路基板組立体に第1の複数の孔を穿つ工程であって、当該第1の複数の孔の各々が当該被覆回路基板組立体の最上層から最下層に延在し、当該被覆されたプリント回路基板組立体が、アンテナ要素と、前記少なくともひとつのアンテナ要素に結合したRFアンテナ給電回路と、RF電力分配回路と、DC電力分配回路と、論理信号分配回路と、を有する、工程と、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法は、
前記被覆回路基板組立体内に穿かれた孔の各々をめっきして、RF、DC電力、及び/又は、論理回路の間に電気的相互接続部を完成する工程(f)を更に有する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法は、
前記複数のすべての孔の各々を充填して、固体の多層被覆回路基板組立体を提供する工程(g)を更に有する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法は、
前記固体の多層被覆回路基板組立体の外部表面上に電気的構成要素を配設する工程(h)を更に有する、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法は、
(i)半田リフロー動作を実行し、電気部品を前記固体の被覆回路基板組立体の外部表面に結合する工程と、
(j)前記電気部品の少なくともいくつかの上方に金属カバーを結合する工程と、
(k)前記電気部品が配設される前記固体の多層被覆回路基板組立体の前記外部表面の上方に保護コーティングを適用する工程と、
を更に有する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法は、
ウィルキンソン型電力デバイダ回路を有する全RF層上にインク抵抗器を追加する工程を更に有する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法は、
前記電気部品は、前記固体の多層被覆回路基板組立体の前記外部表面に直接に結合されたフリップチップ回路である、方法。
【請求項8】
請求項4に記載の方法は、
ヒートシンクをフリップチップ回路上方に搭載する工程を更に有する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法は、
ヒートシンクを前記フリップチップ回路上方に搭載する工程は、液体冷却されたブレーズメントを当該フリップチップ回路上方に搭載する工程を有する、方法。
【請求項10】
第1及び第2の対向する表面を有する多層被覆回路基板組立体であって、複数の回路基板で構成され、当該多層被覆回路基板組立体の前記第1表面を通じて放射するためにその上に配設された複数の放射アンテナを有する当該回路基板の少なくとも第1のひとつと、その上に配設されたRF給電回路を有する当該回路基板の少なくとも第2のひとつと、その上に配設された論理回路を有する当該回路基板の少なくとも第3のひとつと、その上に配設されたDC回路を有する当該回路基板の少なくとも第4のひとつと、を備え、当該多層被覆回路基板組立体の前記第1表面が当該多層被覆回路基板組立体の最上層に対応し、当該多層被覆回路基板組立体の前記第2表面が当該多層被覆回路基板組立体の最下層に対応し、当該多層被覆回路基板組立体の当該最上層から当該最下層に延在する第1の複数のめっきされたスルーホールであって前記放射アンテナ要素の回りに導波ケージを形成する第1の複数のめっきされたスルーホールを更に含む、多層被覆回路基板組立体と、
前記最下層上に配設された複数のフリップチップ回路と、
を有する、パネル配列。
【請求項11】
請求項10に記載のパネル配列は、
前記フリップチップ回路の上方に配設されたヒートシンクを更に有する、パネル配列。
【請求項12】
請求項11に記載のパネル配列は、
前記多層被覆回路基板組立体上のDC及び論理回路に電気結合された1又は2以上の柔軟性を有する回路を更に有する、パネル配列。
【請求項13】
請求項12に記載のパネル配列は、
前記多層被覆回路基板組立体上のRF回路に電気結合された1又は2以上のRFコネクタを更に有する、パネル配列。
【請求項14】
請求項13に記載のパネル配列は、
前記フリップチップ回路の上方に配設されたヒートシンクを更に有する、パネル配列。
【請求項15】
請求項14に記載のパネル配列は、
前記ヒートシンクが液体冷却されるブレーズメントとして提供される、パネル配列。
【請求項16】
パネル配列を形成する多層プリント配線(PWB)であって、
複数のプリント回路基板(PCB)であって、その上に配設された第1の複数の放射アンテナ要素を有する当該PCBの少なくとも第1のひとつと、その上に配設され前記複数の放射アンテナ要素に電気結合されたRF給電回路を有する当該PCBの少なくとも第2のひとつと、その上に配設された論理回路を有する当該PCBの少なくとも第3のひとつと、その上に配設されたDC回路を有する当該PCBの少なくとも第4のひとつと、を備えた複数のプリント回路基板(PCB)と、
第1の複数の導波ケージであって、当該第1の複数の導波ケージの各々が前記第1の複数の放射アンテナ要素の各々に対応し、当該第1の複数の導波ケージの各々が前記PWBの第1最外層から当該導波ケージが配設された当該PWBの第2最外層に延在するめっきされたスルーホールから形成された、第1の複数の導波ケージと、
を備える、多層プリント配線(PWB)。
【請求項17】
請求項16に記載の多層プリント配線(PWB)は、
前記PWBの最下層上に配設された複数のフリップチップ回路を更に備える、多層プリント配線(PWB)。
【請求項18】
請求項17に記載の多層プリント配線(PWB)は、
前記フリップチップ回路の上方に配設されたヒートシンクを更に備える、多層プリント配線(PWB)。
【請求項19】
請求項18に記載の多層プリント配線(PWB)は、
前記ヒートシンクは、液体冷却されるブレーズメントとして提供される、多層プリント配線(PWB)。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−521716(P2012−521716A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502088(P2012−502088)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026861
【国際公開番号】WO2010/111038
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】