説明

パワーマネージメントシステム

【課題】携帯型パワーマネージメントシステム及び方法を提供する。
【解決手段】エネルギのパルスを供給するためのパルス発生手段と、パルス発生手段に接続したスイッチ手段(14)と、加熱器(22)とを有する、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるために加熱器(22)に電力を供給するためのパワーマネージメントシステム。スイッチ手段(14)は、パルス発生手段からエネルギのパルスを受け取り、加熱器(22)を十分に加熱して化学調剤を気化させるために、パルス発生手段によって制御された速度で加熱器(22)に増幅されたエネルギのパルスを送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型パワーマネージメントシステム及び方法に関し、殺虫剤又は芳香剤のような化学調剤の発散を可能にするように制御された速度で加熱器手段に電力を提供するための特定の用途を有する。本発明はまた、加熱器手段のパラメータをモニタするシステム及び方法、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、殺虫剤、又は他の揮発性材料を分散させるシステムを開示する特許文書は数多くある。例えば、米国特許第6,426,051号では、香料入り燃料から揮発するようにされた芳香剤を分散させるようになったオイル燃焼ランプが開示されている。従来技術はまた、一般的に、芳香剤又は殺虫剤を含浸することができるワックス又はゲルから得られる溶融材料が毛管作用によって吸い上げられる芯を有するろうそくを含む。
【0003】
米国特許第6,368,564号は、ゲルベースの水性リザーバに芳香剤を含浸させて小型電動モータ及びファンを組み込んだ芳香剤を分散させるためのシステムを開示している。ファンは、モータによって駆動され、ハウジング内の小さな開口を通じてリザーバの表面から雰囲気に芳香剤を分散させる。同様に、欧州特許第0089214号では、太陽電池によって電力供給され、ファンを駆動してリザーバから香料を分散させるモータが開示されている。米国特許第6,197,263号では、ベースパワーユニット、例えば、バッテリ又はシガレットライタープラグ、及び取外し可能芳香剤分散ユニットを有する自動車用空気清浄機を開示している。分散ユニットは、交換可能ゲル香料入りカートリッジを収容するようになった加熱要素を有する。空気清浄機は、自動車内の換気システムに取り付けられて芳香剤を分散させる。また、米国特許第6,103,201号では、空気がロータを回転させて芳香剤又は芳香を分散させるように、芳香剤を含浸させて換気ルーバーに取付可能なプラスチックロータを有するプロペラ式空気清浄機が開示されている。米国特許第5,038,972号では、芳香剤を計量された量でスプレーするエーロゾル装置が開示されている。米国特許第6,085,026号には、ベース部分を有し、その底部が電源に接続された電気器具がある。このベース部分は、容器に蓄えられた揮発性物質を加熱して発散させるための加熱手段と発散手段を有する。この電気器具は使い捨てであり、従って一度だけ使用される。
【0004】
米国特許第5,574,821号では、ある一定の区域に蒸気を散布するための電気コンセントに接続した揮発性物質ディスペンサが開示されている。揮発性物質が消費された後に、ディスペンサは廃棄される。それは、抵抗器加熱パッドスクリーンとディスペンサ内の揮発性材料吸収基板に結合された熱導体とを使用する。
最後に、米国特許出願番号2002/0080330A1及び米国特許出願番号2002/0081229A1では、芳香送出装置に挿入されてコンピュータシステムと共に使用される芳香貯蔵装置が開示されている。芳香貯蔵装置は、いくつかの芳香チャンネルを有し、また、芳香材料と芳香送出装置に電気的に接続した芳香活性化システムとを含む。芳香材料は、いくつかの個々のイベント部分を含み、活性化システムは、個々のイベント部分を必要に応じて選択的に活性化して消費する。芳香活性化システムは、各イベント部分に対して1つの抵抗器がある一連の抵抗器を含む。パルスによって抵抗器アレイ内の第1の抵抗器が加温され、関連するイベント部分内の材料を気化させて芳香材料が放出される。パルスは、抵抗器自体を気化させ、それによってイベント部分を回路から切り離し、次に一連の抵抗器内の次の抵抗器を回路に接続させる。すなわち、抵抗器は、芳香を放出するために各電気パルスが印加された後に破壊され、従って再使用はできない。
【0005】
総じて、全ての上述の文献は、芳香剤又は殺虫剤の制御された量の放出を可能にするものではない。それらは、モータ及びファンを含んで一般的に扱いにくく、再使用できない例もある。従来技術の一部は、揮発性材料を分散させるために特別なユニットを車両の換気口のような他の装置に取り付ける必要がある。
本発明は、好ましくは微小加熱器要素の形態の加熱器手段に送出される電力量を制御し、制御された量で芳香剤又は殺虫剤を分散するパワーマネージメントシステムを提供することにより、これらの欠点を克服しようとするものである。それは、芳香剤又は殺虫剤リザーバが必要なだけ多くの回数補充又は交換することができるという意味で再使用されるように意図されている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,426,051号
【特許文献2】米国特許第6,368,564号
【特許文献3】欧州特許第0089214号
【特許文献4】米国特許第6,197,263号
【特許文献5】米国特許第6,103,201号
【特許文献6】米国特許第5,038,972号
【特許文献7】米国特許第6,085,026号
【特許文献8】米国特許第5,574,821号
【特許文献9】米国特許出願番号2002/0080330A1
【特許文献10】米国特許出願番号2002/0081229A1
【発明の開示】
【0007】
本発明の第1の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるために、加熱器手段に電力を提供するための携帯型パワーマネージメントシステムが提供され、システムは、エネルギパルスを供給するためのパルス発生手段と、パルス発生手段と加熱器手段とに接続されてパルス発生手段からエネルギパルスを受け取るスイッチ手段とを含み、スイッチ手段は、更に、加熱器手段を十分に加熱して化学調剤を気化させるために、パルス発生手段によって制御された速度で加熱器手段に増幅エネルギパルスを送出し、加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分は、第2の部分よりも多くのエネルギを有する。
【0008】
システムは、パルス発生手段を制御してそれによりスイッチ手段に送出されるパルスの周波数を制御するために、マイクロコントローラの形態の処理手段を更に含むことができる。マイクロコントローラはまた、予め設定された期間にわたってパルス発生手段からスイッチ手段に送出されるパルスの数を制御又は変更することができる。
パルス発生手段は、好ましくはパルス幅変調器である。パルス発生手段は、パルスのパルス幅を設定し、従って、パルス波形の負荷サイクルを設定することができる。システムは、好ましくは、1以上のバッテリによって電力を供給される。システムは、好ましくは、バッテリ電圧を感知して1つ又は複数のバッテリ内の相対電荷を指示するためにバッテリ電圧感知手段を含む。
システムは、更に、加熱器手段にわたる電圧を記録するための加熱器電圧感知手段と、加熱器手段を流れる電流を記録するための電流感知手段とを含むことができる。
【0009】
すなわち、システムは、バッテリ電圧が下がっている間でさえもパルス(又はパルス群)当たり実質的に一定のエネルギを加熱器手段に送出し、比較的一定の性能をもたらすことを可能にすることができる。熱損失を最小にするために、例えば殺虫剤又は芳香剤に対して使用される特定の化学調剤に応じて異なるパワーマップを使用することができる。例えば、パルス繰返し数を増加又は低減するか、又はサイクル当たりに送出されるパルス数を変更することができる。
【0010】
システムは、好ましくは、加熱器手段の状態をユーザに指示するために加熱器指示手段に連結される。
好ましくは、加熱器手段は、好ましくはインピーダンス手段であり、より好ましくは抵抗器である微小加熱器要素である。好ましくは、微小加熱器要素は、パワーマネージメントシステムに別に装着される。スイッチ手段は、トランジスタ手段、より具体的には、1以上の電界効果トランジスタとすることができる。
【0011】
本発明の第2の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるために加熱器手段に電力を提供する方法が提供され、本方法は、スイッチ手段によって受け取られるエネルギパルスを発生させる段階と、化学調剤を気化させるように加熱器手段を加熱するために、制御された速度でスイッチ手段から加熱器手段に増幅エネルギパルスを送出する段階とを含み、加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分は、第2の部分よりも多くのエネルギを有する。
【0012】
本方法は、更に、予め設定された期間にわたって加熱器手段によって受け取られるパルスの数を変更する段階を含むことができる。
本方法は、更に、電流パルスの幅、従って加熱器手段に送出されるエネルギの量を制御する段階を含むことができる。
パルスは、マイクロコントローラの形態の処理手段の制御の下でパルス幅変調器によって発生させることができる。パルスの周波数は、スイッチ手段によって制御することができる。
本方法は、更に、電力が1以上のバッテリから供給される場合にバッテリ電圧を感知し、1つ又は複数のバッテリ内の相対電荷を指示する段階を含むことができる。
本方法は、更に、加熱器手段の状態をユーザに指示する段階を含むことができる。
【0013】
本発明の第3の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスを供給される加熱器手段のパラメータをモニタするためのシステムが提供され、システムは、コンピュータ処理手段と、加熱器手段へのエネルギパルスの送出を制御し、かつパラメータに関するデータを受け取るためのパワーコントローラ手段とを含み、コンピュータ処理手段は、パラメータデータを解析のためにコンピュータ処理手段に送信することができるようにパワーコントローラ手段に連結され、加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分は、第2の部分よりも多くのエネルギを有する。
【0014】
モニタされる加熱器手段のパラメータは、電圧、電流、又は温度を含むことができ、データは、ある一定の期間にわたる電圧、電流、又は温度のマグニチュードを含むことができる。
システムは、更に、加熱器手段にわたる電圧を記録するための電圧感知手段を含むことができる。システムは、更に、加熱器手段を流れる電流を記録するための電流感知手段を含むことができる。システムは、更に、加熱器手段の温度を記録するための温度感知手段を含むことができる。
電力は、1以上のバッテリを通じて加熱器手段に送出することができる。システムは、更に、1つ又は複数のバッテリの電圧を感知するためのバッテリ電圧感知手段を含むことができる。
【0015】
コンピュータ処理手段は、パワーコントローラ手段に指令を送信することができる。指令は、加熱器手段への電力の供給を開始するための開始指令と、加熱器手段へのそのような電力の供給を終了するための停止指令とを含むことができる。
開始指令は、加熱器手段に送出されるある一定期間内のエネルギパルスの継続時間を表すデジタル値(ON TIME)を含むことができ、その時にパワーコントローラ手段は、供給されたエネルギパルス継続時間を実施する。停止指令はまた、パワーコントローラ手段によって加熱器手段に送出されるある一定の期間内のエネルギパルスのない継続時間を表すデジタル値(OFF TIME)を含むことができる。
開始指令はまた、ある一定の期間内にパワーコントローラ手段からコンピュータ処理手段へのパラメータデータの伝送の数を示すデータログ速度を含むことができる。好ましくは、データログ速度は、ゼロと20Hzの間である。
【0016】
本発明の第4の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタする方法が提供され、本方法は、加熱器手段へのエネルギパルスの送出を制御する段階と、パラメータに関するデータを測定して記録する段階と、更に別の解析のためにコンピュータ処理手段にパラメータデータを送信する段階とを含み、加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分は、第2の部分よりも多くのエネルギを有する。
【0017】
本発明の第5の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタするための手順を、加熱器手段へのエネルギパルスの送出を制御する段階と、パラメータに関するデータを測定して記録する段階と、更に別の解析のためにコンピュータ処理手段にパラメータデータを送信する段階とによって実行するように処理手段を制御するためのコンピュータプログラムコード手段を含み、加熱器手段に送出される最初のパルスが第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分が第2の部分よりも多くのエネルギを有する、コンピュータプログラム要素が提供される。
【0018】
本発明の第6の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタするための手順を、加熱器手段へのエネルギパルスの送出を制御する段階と、パラメータに関するデータを測定して記録する段階と、更に別の解析のためにコンピュータ処理手段にパラメータデータを送信する段階とによって実行するように処理手段に命令するためのコンピュータプログラムを表すデータで符号化され、加熱器手段に送出される最初のパルスが第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分が第2の部分よりも多くのエネルギを有する、コンピュータ可読メモリが提供される。
【0019】
本発明の第7の態様により、周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるように加熱器手段に電力を提供するための手順を、加熱器手段を加熱して化学調剤を気化させるために加熱器手段によって受け取られるエネルギパルスの発生を制御する段階と、加熱器手段によって受け取られる発生パルスの周波数を制御する段階とによって実行するように処理手段を制御するためのコンピュータプログラムコード手段を含み、加熱器手段に送出される最初のパルスが第1の部分と第2の部分を有し、第1の部分の送出によって加熱器手段の所定温度が達成されて第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、第1の部分が第2の部分よりも多くのエネルギを有する、コンピュータプログラム要素が提供される。
添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を単に例示的に以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1を参照すると、芳香剤又は殺虫剤のような揮発性化学調剤を発散させるのに使用される携帯型バッテリ式装置のためのパワーマネージメントシステムに関係する様々な構成要素のブロック図が示されている。それは、パワーマネージメントモジュール10を含み、このモジュールは、マイクロコントローラ12の形態の処理手段、スイッチ手段14、電圧感知手段16、及びインタフェース18を含む。スイッチ手段14、電圧感知手段16、及びインタフェース18の各々は、マイクロコントローラ12に連結され、このコントローラはまた、制御ユニット20に連結される。微小加熱器要素22の形態の加熱器手段が、スイッチ手段14、加熱器指示手段24、及びバッテリ26に接続される。コイル又は回路要素のような他の加熱器手段を使用することもできる。バッテリ26はまた、指示器モジュール30内のバッテリ指示手段28に連結される。バッテリ26はまた、制御ユニット20、電圧感知手段16、及びスイッチ手段14に電力を供給する。任意的に、PCの形態のコンピュータ処理手段33が設けられ、この処理手段は、微小加熱器要素22のパラメータをモニタするためにインタフェース18を通じてマイクロコントローラ12に連結される。好ましくは抵抗器のようなインピーダンス、より具体的には表面装着型抵抗器の形態の微小加熱器要素22は、溶液を吸収した芯構成との接触を通してオイルベースの溶液を大気中に気化させるためにバッテリ26からの電流の供給を通じて加温される。マイクロコントローラ12内のパルス幅変調器のようなパルス発生手段の作動により、スイッチ手段14を通じて電流がパルス駆動される。すなわち、スイッチ手段14は、マイクロコントローラ12によって制御され、バッテリの電圧を維持するためにある一定の負荷サイクルのパルスを送出する。以下に説明するような代替的なパワーマップを使用することもできる。
【0021】
図2に示されているのは、図1のシステムの詳細回路図である。表面装着型抵抗器のようなインピーダンスの形態の微小加熱器要素22は、最小限のエネルギで高温度まで駆動することができる小さなパッケージ内に理想的に装着される。その抵抗値は十分に小さいので、発散のために十分に高い温度に達するように、少数のバッテリに接続した時にかなり高い電力消耗を可能にする。3−6ボルトのバッテリで約600mWの消耗を可能にするために、抵抗値は、通常約2オームから10オームの範囲に入ることになる。それはまた、バッテリ電圧が1.5−2.0ボルトのような低い状況にもまた適合する。抵抗値は、バッテリの内部抵抗のような回路内の他の抵抗性構成要素の電力損失が切り替わり、抵抗器22内で消耗される電力と比較して他の回路が無視することができるように選択される。抵抗器22のサイズは十分に小さいので、小さな電流で有効に加温される一方、材料の発散のために添付された芯の必要なだけの面積を加温するのに十分なほど大きいものである。この観点において、有害生物駆除用途では、0402パッケージが適切であろうが、他の用途では、より低温度でより大きな表面積がより有効な場合がある。抵抗器パッケージのサイズは、小さいサイズ又は63mW(0402と0603)、中間サイズ又は125mW(0805)及び250mW(1206)、及び大きいサイズ又は500mW(2010)及び1000mW(2512)になるであろう。
【0022】
表面装着型抵抗器22は、パワーマネージメントモジュール10の回路基板に配置された差し込み式モジュールに組み込むことができる。差し込み式モジュールの例は、図2の32に示されている。常に2つまでの抵抗器をモジュール32に挿入することができる。ピン配置を伴ったモジュール32の例は、図3に示されている。より詳細には、抵抗器R1(36)と抵抗器R2(38)を挿入することができる5x2のピンアレイ34が存在する。黒く塗ったピンの円は、アクティブな接続、すなわち、抵抗器R2がアクティブであることを表すものである。端部ピンは、指示器又はLEDユニット40に接続するために使用され、正しいコネクタの配置又は方向を確認する。抵抗器が180度回転されるとR1抵抗器がアクティブな抵抗器になる。指示器40は、抵抗器が適切に装着されていることを指示するために緑色LEDを使用することができ、又は、抵抗器が不適切に装着されていることを指示するために赤色LEDを使用することができる。電力は、任意的に、バッテリ26を経由するか、又はバッテリ電力を節約するためにモジュールが主電源に接続されている、すなわち、部屋のような指定区域に固定されている状況に対してはVCCを通じて供給される。抵抗器を収納するためのモジュール32のサイズは、それが、パワーマネージメントモジュール10との組合せでサイズが72x36mmまでの分散装置を支持することができるようなものであることになる。多くのモジュール32は、標準的な典型PCBパネル上に装着することができる。この特性は、モジュールのサイズに依存することになる。微小加熱器要素又は抵抗器22は、定格が125℃である0402及び2512型以外は150℃までの温度に耐えることができる。
【0023】
本発明の中心には、回路全体の様々な部分との接続を有するマイクロコントローラ12がある。特に、それは、n−チャンネル電界効果トランジスタの形態のスイッチ手段14に連結されたピン13で接続されたパルス幅変調器の形態のパルス発生器を有する。スイッチ14の出力は、次に、表面装着型抵抗器22を支持するモジュール32と連結される。バッテリの電圧は、利得を約0.43とすることができる演算増幅器42を通じてピン2上で検出される。負荷抵抗器22を通って流れる電流は、利得が約50に設定された別の演算増幅器46に流れ込む定格51Mオームの抵抗器44の形態の負荷電流センサからもたらされるピン3上で感知することができる。これは、電流を約2アンペアまで増幅し、次に、マイクロコントローラ12に入力する。電流と抵抗器の値から抵抗器22にわたる電圧を判断することができる。モジュール32内の表面装着型抵抗器の温度は、別の演算増幅器50に入力される負の温度係数のサーミスタ48を通じてピン4上で感知することができる。サーミスタは、抵抗器の温度を測定してその測定値をマイクロコントローラ12に送るために、抵抗器22にケーブルを通じて物理的に又はそうでなければ自動的に接続することができる。ピン5上でマイクロコントローラ12に入力される最初の試験のためにトリムポット52もまた使用することができる。定格が20MHzまでの水晶発振器が、マイクロコントローラのピン9と10の間に接続される。ピン14上には、負荷又は表面装着型抵抗器22に現在電力が印加されていることを示すために使用されるLED54の形態の指示器がある。マイクロコントローラ12は、好ましくは、アナログデジタル変換器、タイマ、メモリ、及びUARTを有するPIC16F876型である。電源56は、マイクロコントローラ内のアナログデジタル変換器によって使用される基準として正確な5ボルトの出力を供給する。それは、LED58により、オン状態であることが指示される。
【0024】
スイッチ14は、好ましくは、定格が約50ミリオームのオン抵抗のn−チャンネルパワーFETである。それは、負荷抵抗器22に送出されるエネルギの速度を正確に制御することができるように、マイクロコントローラ12内で10ビットパルス幅変調器と共に使用される。従って、パルス幅変調器に対する最小値又は基本時間速度は、約10マイクロ秒に設定されることになり、これは、1024の可能な値がある結果として、オン時間が0から10.24ミリ秒に10マイクロ秒の増分で増加し、サイクルの全期間が約10.24ミリ秒であることになることを意味する。本質的に、スイッチ14は、抵抗器22を十分に加温することができるマグニチュードである一般的に0.5アンペアの一連の増幅電流パルスを分配する。パルス幅変調器は、このマグニチュードの電流パルスを抵抗器22に直接供給することができない。スイッチ14は、パルス幅変調器から送出された実際のパルスを含めて、上述のようにパルス幅変調器からそのゲート入力で受け取られた信号に従って作動する。スイッチ14は、開回路又は閉回路条件のいずれかを提供し、パルス幅変調器から受け取られた信号に従って抵抗器22を通って電流が流れるようにする。
【0025】
表面装着型抵抗器22に電力を供給するために、理想的には100秒当たり1パルスが利用可能であることになる。しかし、消費者が即効力を得るように殺虫剤蒸気又は芳香剤のバーストを生成するために、装置は、最初にオンになった時に少しの期間にわたって重い負荷の下にあるべきである。換言すれば、消費者は、蒸気の濃度が有効なレベルに達する前にしばらくの間待つ必要がない。従って、100秒当たり1パルスの制御レベルに戻る前に、装置は、最初の1分又は2分の間に恐らく10秒当たり1パルスを生成することになる。消費者は、これに対する制御を有し、それによって消費者がユニットのオフとオンを切り換え、同じくそれを高バーストモードに切り換えることができるように、制御スイッチ21を使用することによって蒸気のバーストを供給する効果を増大させることができる。パワーマネージメントモジュールは、各1秒のオン時間と99秒のオフサイクルの間に例えば600mWの最小電力を引き出し、毎秒6mWの平均電力消費をもたらさなければならない。理想的には、回路の残りから引き出される電力は、この1/10を超えないか、又は600マイクロワット未満か、又は回路インピーダンスが約10Kオームでなければならない。
【0026】
2つの標準的なAAバッテリの好ましいバッテリ構成を用いて、装置は、毎晩8時間使用ベースの実地使用で3ヶ月間、従って、合計720時間運転で、先に説明したような100秒当たり1パルスが1秒間持続する適切な負荷サイクル条件で作動できなければならない。バッテリの数は、3つのAAバッテリ又は4つのAAAバッテリに拡張することができる。パワーマネージメント回路は、バッテリ電圧が低下し、従って、パルスが負荷に送出されている間の負荷のバッテリ電圧センサ16と電流センサ44の要件がある間でさえも、表面装着型抵抗器22を実質的に一定の電力で駆動することができる。これは、電圧が低下する時に回路構成要素とバッテリのために失われることになる電力のより多くの部分の割合に対して何らかの補償を必要とする。
【0027】
先に言及したように、殺虫剤又は芳香剤のような使用される特定の調剤次第で異なるパワーマップを使用することができ、それが熱損失を最小にすることになる。例えば、基本的に1サイクル以内で互いに接近する2つの高速パルスである2段階の高−低パワーマップなどのような最大効率を達成するために、電力は、パルス数において変える必要がある場合がある。ある時点で、バッテリ電圧は、600mWの電力を抵抗器に消耗させるのに必要な最小値未満に低下することになる。パルス繰返し数を例えば50秒毎に1まで増加することにより、満足できる殺虫力を依然として実現可能である。従って、パルス周波数は変更を必要とする場合がある。
【0028】
次のいくつかの段落では、熱箔と表面装着型抵抗器加熱器に対する熱モデルが提供される。これは、簡単な物理的モデルを使用して小型バッテリ電力加熱器の温度の予測を可能にするためである。小数の物理定数を使用して加熱器の挙動を特徴付けることもまた提供され、これらの定数を測定して異なる加熱器を比較する方法も提供される。
加熱器に供給された電気エネルギと熱拡散による損失とによって加熱器温度が判断される単純なエネルギ平衡が仮定される。熱拡散に関する詳細は、現時点では無視され、加熱器は、熱輸送係数a〔J/K/s〕を有するニュートンの法則に従って熱を消散させる熱容量c〔J/K〕の単一要素としていずれかの熱電対又はアクティブな芯を使用してそのマウント内にモデル化される。
【0029】
熱容量cと熱輸送係数aは、加熱器を完全に説明するものである。これら2つの加熱器定数の測定値は、異なる加熱器の直接比較、温度予測を可能にし、更なる開発の間の最適化のための変数である。
加熱器q〔J〕のエネルギ含有量は、エネルギ平衡方程式によって与えられる。
【0030】

【0031】
ここで、等号の右辺の第1項は、バッテリによって送出された電流、第2項は、熱拡散のための熱損失である。TとT0は、それぞれ加熱器温度と周囲温度である。熱と温度は、熱容量方程式によって結びつけられる。
q=cT (2)
従って、微分方程式は次の通りである。
【0032】

【0033】
電圧が一定か又は電力が他のいずれかのやり方でパルスを通して変動しない場合、解は以下の通りである。
【0034】

【0035】
可変電圧は、恐らく数値積分を要求することになる。低い抵抗器に通電するバッテリの場合は、初期の急速な電圧降下が起こりやすい。これを無視することができる場合には、この結果は、時間依存の温度を提供するばかりでなく、熱容量と搬送係数の測定を可能にする。
【0036】
2.8V開回路の読み取りであるが、負荷に駆動する時に即座に2.6Vまで低下するバッテリによって駆動される、PC基板にテープ留めされた5.5オームの熱箔加熱器から得られた温度データに式(4)を当て嵌めると、0.43J/Kの熱容量cと0.0233J/K/sの熱輸送係数とが与えられる。最初の点上での不適切な一致は、恐らく短時間での単一熱質量というモデル仮定の崩壊のためであり、その場合は、加熱器とPC基板は、恐らく別々に処理されるべきである。摂氏で表した温度に対する秒で表した熱箔のウォームアップ時間のプロットは、熱箔加熱器温度が約90℃に達するのに約60秒掛かることを明らかにしている。
【0037】
上述のモデル解析では、加熱器を所定温度までウォームアップするのにどれだけ長い時間を要するかを判断することができる。ウォームアップ時間の方程式(4)を並べ替えることによって次の式が得られる。
【0038】

【0039】
有用なことに、級数展開の最初の項は以下のように表される。
【0040】

【0041】
最初の項は、熱消散が全くなかった場合に加熱器を加温するのに要する時間である。係数aによって表される熱消散は、より高次の項で発生する。熱消散は失われたエネルギであり、従って、より高次の項は避ける必要がある。効率的なウォームアップは、以下のように2次の項が無視することができる場合に発生することになる。
2/aR>>T−T0 (7)
この条件は、効率的なウォームアップのレジームを定めるものである。
式(4)でT=∞に設定することによって最高温度を判断することができる。最高温度は、次の式によって表される。
max=(V2/aR)+T0 (8)
式(7)を書き直すことにより、最も効率的なウォームアップのレジームは、条件が次式を与える時である。
T<<Tmax (9)
換言すれば、最も効率的なウォームアップは、システムが大きな「熱的ヘッドルーム」で設計される時、すなわち、最高温度よりも十分に低い温度で作動する時に発生する。
【0042】
所定温度まで加熱器をウォームアップするのにどれだけのエネルギを要するかに関する判断を行うことができる。所定温度を達成するためにt秒要する場合、必要なエネルギは、式(5)から次のように表すことができる。
【0043】

【0044】
最高温度に近づくと、Qは漸近的に増加する。実験的な例を使用すると、ウォームアップ段階で100℃の最高温度に到達するために必要なエネルギは、約120ジュールである。100℃の最高温度に近づく温度は、使用されるエネルギの量が、それらが100℃の温度に近づく時に漸近的に増加するので無駄である。
式(10)を参照すると、電圧を関数とするウォームアップ段階で70℃を達成するためのエネルギのプロットは、より高い電圧が、ある一定の点まではエネルギ消費の減少をもたらすことを与えている。電圧が増加すると必要なエネルギは、次式の最小値に到達する。
Q=c(T−T0
これは、単に損失なく抵抗器を加熱するのに必要なエネルギであり、式(10)の展開における第1項である。
【0045】
所定の温度を維持するために必要な電力もまた判断することができる。最初のウォームアップ段階で目標の温度を達成すると、電力消費を保守レベルまで低下させ、印加される電圧も相応に低下させることができる。電力要件は、以下の定常状態条件で表される。
【0046】

【0047】
実験的な例では、70℃を維持するために2.2Vが必要である。これは、ウォームアップ段階で使用される電力の約70%の量になる。
所定パルスで消費される全エネルギに対しても同様に判断することができる。τ秒間維持するためにTの温度が必要な場合、これを達成する最も効率的な方法は、最初の過渡期を通して最大電力で駆動し、次に、電圧又は負荷サイクルを修正し、電圧を規定時間の間維持レベルまで低下させることである。次に、エネルギ消費は、次の式で表される。


【0048】

【0049】
異なる抵抗器パッケージサイズに対していくつかの熱特性を測定するために、表面装着型NTC抵抗器が使用されることになる。これらの構成要素の抵抗値は、次の式によって表される。
R=Aexp(β/T) (14)
ここで、βは、製造業者によって指定されることになる。パラメータAは、次に、単一温度における抵抗値の測定によって求められる。
装着型抵抗器を安定した電圧で駆動すると、最終的に定常状態の温度になる。平衡状態に達する時間依存性に差があるにも関わらず、平衡温度は、依然として次の式の通りである。
max=(V2/aR)+T0 (8)
これは、aの推定を可能にする。これは、恐らく同じパッケージサイズの非表面装着型加熱抵抗器に対する良好なaの推定になることになる。
これらの構成要素に関するcの推定は、cを単一の測定値に関連付ける単純な方程式がないためにいくらか更に困難である。代わりに、それは、温度−時間曲線に対する当て嵌めパラメータとして判断されるべきである。
【0050】
NTC抵抗器の温度は、Rが式(14)に従った温度によって変化することを除いて先の結果によって表される。
【0051】

【0052】
得られる微分方程式に対する解析解がないので、例えば有限差分方式を使用することによって数値的に解かなければならない。
【0053】

【0054】
この結果を用いて微分方程式の数値解を実験に当て嵌めると、NTC構成要素に対するcの推定を与えることになる。このcの値は、同じパッケージサイズの固定抵抗器と類似であると期待されるが、構成と材料が同一でないことになるので、必ずしも同じである必要はない。定常状態温度に近づく力学的な粗い推定としては、それは恐らく妥当であろう。定常状態温度が問題の量である場合は、cを正確に知らないことはそれほど重要ではないことになる。
【0055】
従って、この熱解析中に特定された最も効率的な駆動方式は、式(13)をもたらした。理想的には、目標温度に到達するまで加熱器が最大利用可能電力で駆動される2段階パルスが実施される。この後に、電力は、保守速度まで減らされる。保守電力レベルは、バッテリ電圧の低下に適応されるが、最大電力段階の継続時間は、バッテリ電圧に適応される。
これは、温度対時間の第1のプロットで目標温度が100℃の正方形パルスが使用され、それによってパルス当たり655ミリジュールが使用される図4に明白に示されている。温度対時間の図4の第2のプロットでは、パルス当たり485ミリジュールのエネルギコストで同じ目標温度の階段状パルスが使用される。すなわち、温度がより長時間維持されることで25%のエネルギが節約される。これは、1秒の最初の半分で750ミリワットの電力が使用され、次に、1秒の次の半分でこれが225ミリワットに低下するためである。
【0056】
図5は、分で表した時間に対するグラムで表した補充質量、又は最終的に時間当たり160マイクログラムになる質量送出速度を示している。定格3Vで0.3秒のオン時間の2つのAAバッテリで80マイクロミリメートルの芯が使用され、60秒毎に1.7秒のパルス幅を送出した。
図6には、秒で表した時間に対する軽負荷電圧のバッテリの消耗のプロットが示されている。2つのAAバッテリが、時間当たり50マイクログラムの送出速度で1から2ヶ月の性能を示すのを見ることができる。
【0057】
図7は、時間当たりマイクログラムで表した公称アクティブ放出速度に対してプロットして示す虫刺されとランディングの数を有する3ボルト定格の2つのAAバッテリの微小装置の必要な有効性を示している。時間当たり50マイクログラムは、3分12秒毎に放射される1つの2秒パルスに相当し、15分で90%の虫刺され阻止が達成されたことが分かる。
電圧降下に対する要求に応じるように電力を増加させるために、ある一定の電圧でこの作業を実行し、次に加熱器にパルスが供給される速度が低下する特定のマイクロコントローラが選択される。マイクロコントローラは、「フェアチャイルドACE1101L」であり、ある一定の温度範囲にわたって1.8Vまで指定された8ビット8ピンのフラッシュベースマイクロコントローラである。マイクロコントローラは、低バッテリ検出用として使用することができる1.8Vの低電圧節電リセットを有する。それはまた、その内部発振器が2.2V未満の電圧に対して顕著に速度を落とす、換言すれば、低バッテリ電圧を補償するという特性を有する。内部発振器は、オンとオフ時間の両方で使用される。
【0058】
指示器モジュール30で先に言及されたように、例えば抵抗器22が焼損した場合に、例えば高い抵抗が感知された時に消えない照明によってユーザに指示するように使用することができる加熱器指示器24が存在する。指示器は、LED又はブザーにすることができ、又は指示方式は、自動車の指示灯と類似にすることができ、例えば、正しい装置の作動は、数秒間オフにされて次に装置が最初オンにされた時にオフにすることによって指示され、点灯しなかったことがバッテリ不良を意味し、消灯しなかったことが装置又は抵抗器の不良を意味する。バッテリ不足指示器28又は代替的にバッテリOK指示器を使用することができる。バッテリOK指示器は、LEDを数秒間オンして次にオフにするか、又はバッテリが良好な時にブザー音を鳴らすことによって開始することができる。これらの指示器の全ては、芳香剤又は殺虫剤が放出されている点で製品の効果が見えないので必要であり、それはまた、聞き取れないので、枯渇バッテリ又は壊れた微小加熱器要素の唯一の指示は、消費者が苦しむ虫刺され又はいずれの芳香にも気づかないことを意味することになる。
【0059】
先に言及されたように、パワーマネージメントモジュール10は、PCの形態のコンピュータ処理手段33に連結されたインタフェース18を有する。インタフェース18とPC33との間のリンク60は直列リンクであり、マイクロコントローラ12からPC33に伝送される負荷電流、負荷電圧、バッテリ電源電圧、及び負荷温度をモニタしてログすることができる。インタフェース18は、本質的に標準的PCのシリアルポートに対する一対一の接続に対してモデムとして配線された9ピンを有するDB9雌コネクタであるコネクタ62を含む。インタフェース18はまた、電流、電圧、及び温度を表す様々な信号を送受信するためにコネクタ62に接続されてマイクロコントローラ12のそれぞれのピンに接続された2つの送信用ピンと2つの受信用ピンとを有するRS232ドライバ回路64を含む。微小加熱器要素33に関して伝える必要がある他の特性又は測定値もPC33に送信することができる。
【0060】
直列リンク60は、好ましくは、RS232、19.2Kボー、8ビット、1ストップビットでパリティなしの伝送特性を有する。詳細には、それはコネクタ62とPCのシリアルポートとに接続される。単純なプロトコルを実施することができ、特に、PC33から停止及び開始指令を含む制御指令を送信することができる。マイクロコントローラ12から開始指令が受け取られた時に、以下の値もまた送られる。
最低がゼロで最高が65,535の十分の一秒単位のオン時間、
最低がゼロで10ビット表示による最高65,535までの十分の一秒単位のオフ時間、
最低がゼロで最高65,535まで、又は手動で停止するまで増大する秒単位の全試験時間、
最低がゼロで最高が100のオンタイム中の百分率パルス幅、及び
PC33にデータが送り戻される速度であり、最低が0Hzで最高が20Hzであり、従って、1秒当たり20個までの別々の測定値の伝送を考慮したデータログ速度。
【0061】
マイクロコントローラ12からPC33に送られるログデータは、タイムスタンプが試験開始からの秒単位で負荷電流、負荷又はバッテリ電圧、サーミスタ温度であるフォーマットになっている。
マイクロコントローラ12のソフトウエアは、シリアルリンクの駆動、スイッチ14の制御を含む様々な機能を実行し、このスイッチは、次に、PC33からの停止及び開始指令を通じて負荷に電力を供給し、並びに電流、電圧、及び温度測定のためのデータを読み取り、ログし、送信する。マイクロコントローラ12は、自由に使える5つまでのオフ10ビットアナログ対デジタルチャンネルを有するが、データ処理を簡単にして変換時間をサンプル当たり約20マイクロ秒まで高速化する実用上の目的のために、8ビットモードで3つのオフチャンネルのみが使用されることになる。
【0062】
先に説明したように、微小加熱器要素22の負荷電圧は、設定利得が0.3の演算増幅器42を使用して電源又はバッテリ電圧から測定される。これによって16.7Vまでの電源電圧の測定が可能になる。これから電流センサ抵抗器44からの余分な電圧降下が減算され、抵抗器22にわたる負荷電圧の数値を指示する。このデータは、次に、タイムスタンプされてシリアルリンク60上でPC33に送られる。温度は、演算増幅器50を駆動する抵抗器ディバイダからの値を与える負の温度係数のガラスビードサーミスタ48から読み込まれることになる。この値は、次に温度に変換される。
【0063】
CALSとして公知のPC33上のメモリに保存されたソフトウエア、又は制御及びログソフトウエアは、それがパワーマネージメントモジュール10及びより詳細にはマイクロコントローラ12に送る上述の2つの指令を処理する。ソフトウエアは、「ウインドウズ2000」プラットフォーム上で作動するビジュアルベーシックで書くことができる。ソフトウエアは、PC33の表示を更新し、最新のログデータをそれがマイクロコントローラ12から到着した時に示すものである。CALSユーザインタフェースは、制御指令への参照と共に全てのユーザ変数の編集を可能にするダイアログボックスを有することになる。ダイアログボックスは、PC33のメモリに保存される電流、負荷又はバッテリ電圧、及び温度のようなログデータに対してファイル名を与えるために提供されることになる。これは、好ましい場合には、データと時間をファイル名として使用するように自動化することができる。ファイルは、開かれてログが終了するまで頻繁に更新され、その結果、試験が終了するまでは利用できないことになる。しかし、実験又は試験を通じて、データはアクセス可能にされてコピーファイルに書き込まれることになる。更に、電圧時間特性のプロット又は数値としての電圧さえも同様に示すことができる。その上、ログデータは、PCソフトウエアの制御の下でスプレッドシートに容易にインポートすることができるように、各読み取りに対して新しい線を有する区切られたテキスト値とすることができる。
データはまた、PC33からマイクロコントローラ12にアップロード又は伝送することができ、そのうちで開始及び停止指令は一例である。
【0064】
この装置が、潜在的に空気清浄機と他の多くの用途に使用することができることに留意されたい。芳香物の気化温度は殺虫剤よりも低いので、空気清浄機は、恐らくより低い電力要件で作動するであろう。従って、回路設計は、例えば、装置を有害生物、空気、又は他の用途として指定する0オームリンクの有無又は同様な方法により、マップ間の選択が製造時に可能な異なるパワーマップを考慮することになる。必要とあれば、異なる抵抗値又はパッケージサイズの加熱器も製造時に選択することができるであろう。
特定的な実施形態に示すように、広範に説明した本発明の精神又は範囲から逸脱することなく本発明に対して多くの変形及び/又は修正を行うことができることは当業者により認められるであろう。本発明の実施形態は、従って、制限的ではなくあらゆる点で例示的であると考えるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるパワーマネージメントシステムの概略ブロック図である。
【図2】パワーマネージメントシステムの詳細回路図である。
【図3】微小加熱器要素の形態の加熱器手段の装着法を示す概略図である。
【図4】正方形パルスと階段状パルスのエネルギ効率の比較プロットを示す図である。
【図5】システムの特定の構成に対する化学調剤の質量送出速度のプロットを示す図である。
【図6】一組の所定の条件下でのバッテリ消耗のプロットを示す図である。
【図7】このシステムを使用する特定の微小装置の有効性を示す一組のグラフである。
【符号の説明】
【0066】
10 パワーマネージメントモジュール
12 マイクロコントローラ
14 スイッチ手段
16 電圧感知手段
18 インタフェース
22 加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるために加熱器手段に電力を提供するための携帯型パワーマネージメントシステムであって、
エネルギパルスを供給するためのパルス発生手段と、
前記パルス発生手段と前記加熱器手段とに接続されて、該パルス発生手段からエネルギパルスを受け取るスイッチ手段と、
を含み、
前記スイッチ手段は、更に、前記加熱器手段を十分に加熱して化学調剤を気化させるために、前記パルス発生手段によって制御された速度で該加熱器手段に増幅されたエネルギパルスを送出し、
前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記パルス発生手段を制御し、それによって前記スイッチ手段に送出されるパルスの周波数を制御するための処理手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理手段は、予め設定された期間にわたって前記パルス発生手段から前記スイッチ手段に送出されるパルスの数を変化させることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記最初のパルスの後に前記エネルギ発生手段によって供給されるエネルギパルスの各々は、該最初のパルスの特性を有することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記パルス発生手段は、パルス幅変調器であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱器手段のパラメータの値を判断するための手段を更に含むことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記判断するための手段は、前記加熱器手段を通る電流の値を判断するために前記処理手段に位置する電流センサを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記判断するための手段は、前記加熱器手段を通る前記電流の値と組み合わせて該加熱器手段にわたる電圧の値を判断することを可能にする抵抗要素を更に含むことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記判断するための手段は、前記加熱器手段の温度を判断するために前記処理手段に連結された負の温度係数のサーミスタを更に含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
システムに電流を供給するための1以上のバッテリを更に含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記1以上のバッテリのバッテリ電圧を感知するための電圧感知手段を更に含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記化学調剤を急速に気化させ、その後にエネルギパルスの供給を前記制御された速度まで低下させるために、エネルギパルスの最初のバーストが、前記パルス発生手段によって供給されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記加熱器手段が最初に前記所定温度に到達すると、システムの電力消費は、保守レベルまで低減され、システムに印加されるバッテリ電圧が低減されることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記加熱器手段は、インピーダンスであることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記加熱器手段は、抵抗器であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1以上のバッテリからの電力を使用する代わりに主電源から電力を送出することができることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるために加熱器手段に電力を提供する方法であって、
スイッチ手段によって受け取られるエネルギパルスを発生させる段階と、
前記加熱器手段を加熱して化学調剤を気化させるために、前記スイッチ手段から該加熱器手段へ制御された速度で増幅されたエネルギパルスを送出する段階と、
を含み、
前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
予め設定された期間にわたって前記加熱器手段によって受け取られるパルスの数を変化させる段階を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスの幅と、従って前記加熱器手段に送出されるエネルギの量とを制御する段階を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記スイッチ手段に送出されるパルスの周波数を制御する段階を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記最初のパルスの後に生成されたエネルギパルスの各々は、該最初のパルスの特性を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化学調剤を急速に気化させ、その後に、生成されたパルスの数を前記制御された速度まで低下させるために、エネルギパルスの最初のバーストが生成されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱器手段が最初に前記所定温度に到達すると、システムの電力消費は、保守レベルまで低減され、該システムに印加されるバッテリ電圧が低減されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタするためのシステムであって、
コンピュータ処理手段と、
加熱器手段へのエネルギパルスの送出を制御し、パラメータに関するデータを受け取るためのパワーコントローラ手段と、
を含み、
前記コンピュータ処理手段は、前記パラメータデータを解析のために前記コンピュータ処理手段に送信することができるように、前記パワーコントローラ手段に連結され、前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
前記コンピュータ処理手段は、前記パワーコントローラ手段に指令を送信することを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記加熱器手段にわたる電圧を記録するための電圧感知手段を更に含むことを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記加熱器手段を通る電流を記録するための電流感知手段を更に含むことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記加熱器手段の温度を記録するための温度感知手段を更に含むことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記指令の1つは、前記加熱器手段への電力の供給を開始するための開始指令であることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記開始指令は、前記パワーコントローラ手段によって前記加熱器手段に送出されるある一定の期間内のエネルギパルスの継続時間を表すデジタル値を含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記開始指令は、前記期間内の前記パワーコントローラ手段から前記コンピュータ処理手段へのパラメータデータの伝送の数を示すデータログ速度を含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記指令の1つは、前記加熱器手段への電力の供給を止めるための停止指令であることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記停止指令は、前記パワーコントローラ手段によって前記加熱器手段に送出されるある一定の期間内のパルスのない継続時間を表すデジタル値を含むことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記パワーコントローラ手段は、パルス発生手段を有して前記エネルギパルスを送出するためにそれを制御するマイクロコントローラであることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記パルス発生手段によって制御された速度で前記エネルギパルスを増幅するためのスイッチ手段を更に含むことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記パラメータは、前記加熱器手段の電圧、電流、又は温度のうちのいずれか1つ又はそれ以上であることを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタする方法であって、
加熱器手段へのエネルギパルスの送出を制御する段階と、
パラメータに関するデータを測定して記録する段階と、
更に別の解析のためにコンピュータ処理手段に前記パラメータデータを送信する段階と、
を含み、
前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項38】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタするための手順を、該加熱器手段への該エネルギパルスの送出を制御する段階と、該パラメータに関するデータを測定して記録する段階と、更に別の解析のためにコンピュータ処理手段に前記パラメータデータを送信する段階とによって実行するように処理手段を制御するためのコンピュータプログラムコード手段、
を含み、
前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム要素。
【請求項39】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるためにエネルギパルスが供給される加熱器手段のパラメータをモニタするための手順を、該加熱器手段への該エネルギパルスの送出を制御する段階と、該パラメータに関するデータを測定して記録する段階と、更に別の解析のためにコンピュータ処理手段に前記パラメータデータを送信する段階とによって実行するように処理手段に命令するためのコンピュータプログラムを表すデータで符号化されたコンピュータ可読メモリであって、
前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とするコンピュータ可読メモリ。
【請求項40】
周囲の雰囲気に化学調剤を気化させるように加熱器手段に電力を提供するための手順を、該加熱器手段を加熱して該化学調剤を気化させるために該加熱器手段によって受け取られるエネルギパルスの発生を制御する段階と、加熱器手段によって受け取られる発生パルスの周波数を制御する段階とによって実行するように処理手段を制御するためのコンピュータプログラムコード手段、
を含み、
前記加熱器手段に送出される最初のパルスは、第1の部分と第2の部分を有し、該第1の部分の送出によって該加熱器手段の所定温度が達成されて該第2の部分の送出によってその温度が実質的に維持されるように、該第1の部分は、該第2の部分よりも多くのエネルギを有する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−531202(P2007−531202A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519995(P2006−519995)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003041
【国際公開番号】WO2005/008352
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(501214502)レキット ベンキサー (オーストラリア) プロプライエタリー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】