パワーモジュールとその製造方法および空気調和機
【課題】本発明の課題は、製造コストを低く抑えることができるパワーモジュールを提供することにある。
【解決手段】パワーモジュール5Fは、パワー半導体53a、非パワー半導体53b、1枚の樹脂基板51F、および冷却ジャケット58Fを備える。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。樹脂基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路59が設けられている。
【解決手段】パワーモジュール5Fは、パワー半導体53a、非パワー半導体53b、1枚の樹脂基板51F、および冷却ジャケット58Fを備える。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。樹脂基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路59が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換を行うパワーモジュールとその製造方法に関する。また、本発明は、パワーモジュールを搭載する空気調和機にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パワーモジュールは、主に、パワー半導体等の比較的発熱の大きなチップを実装したパワー半導体実装基板と、マイクロコンピュータ等の比較的発熱の小さなICチップを実装した非パワー半導体実装基板と、主にパワー半導体を冷却するための冷却部(例えば、放熱フィン等)とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−111619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、通常、パワー半導体実装基板としては、パワー半導体から生じる多量の熱を系外に放出する必要があるため、高い熱伝導性を有するアルミニウム製のものやセラミック製のもの等が採用される。一方、非パワー半導体実装基板としては、パワー半導体のように発熱量の大きい半導体を実装しないので、ガラス繊維強化エポキシ樹脂のような樹脂製のもの等が採用される。通常、アルミニウム製やセラミック製などの実装基板は樹脂製の実装基板よりも高価であり、これがパワーモジュールのコスト増を招いている大きな原因となっている。また、このような二種類の実装基板にパワー半導体と非パワー半導体とを分けて実装することはパワーモジュール製造時の人件費や設備費の増加を招いている。
【0004】
本発明の課題は、製造コストを低く抑えることができるパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係るパワーモジュールは、パワー半導体、非パワー半導体、1枚の樹脂基板、および冷却ジャケットを備える。なお、ここにいう「パワー半導体」とは、例えば、ダイオードおよびパワートランジスタ等である。また、ここにいう「非パワー半導体」とは、例えば、マイコンやROM(Read Only Memory)等である。また、ここにいう「樹脂基板」とは、例えば、樹脂のみで製造された基板、繊維強化プラスチックで製造された基板、その他粉体等が分散された樹脂から製造された基板などであって少なくとも片面あるいは内部に回路パターンが形成されている基板である。ちなみに、このような樹脂基板の中でも、両面に回路パターンが形成されている両面樹脂基板や、板厚方向に複数の回路が絶縁層(樹脂層)と交互に積層されている積層樹脂基板などが特に好ましい。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。樹脂基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路が設けられる。
【0006】
パワー半導体から生じる熱を放熱フィンにより排出するタイプのパワーモジュールでは、通常、気温あるいはそれよりも数十℃高い温度の風が放熱フィンに供給されることによりパワー半導体から生じる熱がパワーモジュールの系外に排出されている。このような放熱方法を採用する場合、パワーモジュールでは、十分な放熱性を確保するため、パワー半導体が実装される基板としてアルミニウム基板やセラミック基板などの高熱伝導性を有する基板が必要とされている。
【0007】
しかし、本発明に係るパワーモジュールの冷却手段において例えば通常よりも低温の冷却媒体(気体であっても液体であってもよい)等を利用すれば、パワー半導体の実装基板として低熱伝導性の樹脂基板を採用してもパワー半導体から生じる熱を十分にパワーモジュールから排出することができる。もちろん、このときの冷却媒体の温度は、パワー半導体から生じる熱の量や樹脂基板の厚みによって適宜変更される必要はある。このような前提において、このパワーモジュールでは、パワー半導体と非パワー半導体とを1枚の樹脂基板に実装することが可能となる。したがって、このパワーモジュールでは、パワー半導体を実装する基板として高コストなアルミニウム基板やセラミック基板などを採用する必要がない。この結果、このパワーモジュールの製造において、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。このため、このパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0008】
第2発明に係るパワーモジュールは、第1発明に係るパワーモジュールであって、温度検知手段および温度制御手段をさらに備える。温度検知手段は、パワー半導体またはその近傍の温度を検知する。温度制御手段は、温度検知手段において検知される温度が所定の温度になるように冷却流体の温度を制御する。
【0009】
このパワーモジュールでは、温度検知手段が、パワー半導体またはその近傍の温度を検知する。そして、温度制御手段が、温度検知手段において検知される温度が所定の温度になるように冷却流体の温度を制御する。このため、このパワーモジュールでは、冷却流体の温度を適切に維持することができる。
【0010】
第3発明に係るパワーモジュールは、第1発明または第2発明に係るパワーモジュールであって、パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離は、非パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離よりも短い。
【0011】
このパワーモジュールでは、パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離が、非パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離よりも短い。このため、このパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0012】
第4発明に係るパワーモジュールは、第1発明から第3発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、樹脂基板のうちパワー半導体を実装する部分の厚みは、非パワー半導体を実装する部分の厚みよりも薄い。
【0013】
このパワーモジュールでは、樹脂基板のうちパワー半導体を実装する部分の厚みが、非パワー半導体を実装する部分の厚みよりも薄い。このため、このパワーモジュールでは、非パワー半導体に比べパワー半導体の方が冷却流体通路に近くなる。したがって、このパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。また、非パワー半導体は、パワー半導体と段違いで配置されることとなるため、パワー半導体から生じる熱の影響を受けにくくなる。
【0014】
第5発明に係るパワーモジュールは、第4発明または第5発明に係るパワーモジュールであって、樹脂基板は、板厚方向に積層される複数の積層単位体から構成されている。また、パワー半導体を実装する部分の厚みおよび非パワー半導体を実装する部分の厚みは、積層単位体それぞれの形状により調節される。
【0015】
このパワーモジュールでは、樹脂基板が、板厚方向に積層される複数の積層単位体から構成されている。また、パワー半導体を実装する部分の厚みおよび非パワー半導体を実装する部分の厚みが、積層単位体それぞれの形状により調節される。このため、このパワーモジュールでは、複雑な機械加工を行うことなく複雑な形状の樹脂基板を製造することができる。
【0016】
第6発明に係るパワーモジュールは、第1発明から第5発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、熱拡散部をさらに備える。熱拡散部は、少なくともパワー半導体から生じる熱を拡散させるためのものである。なお、ここにいう「熱拡散部」とは、例えば、ヒートスプレッダや、サーマルビア、熱伝導性フィラー、熱伝導性シート等である。
【0017】
このパワーモジュールでは、熱拡散部がさらに備えられる。このため、パワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0018】
第7発明に係るパワーモジュールは、第6発明に係るパワーモジュールであって、電気絶縁層をさらに備える。電気絶縁層は、熱拡散部と冷却流体通路との間に配置される。なお、ここにいう「電気絶縁層」は、電気絶縁シートであってもよいし接着剤などであってもよいし多層樹脂基板の樹脂層の一部であってもよい。
【0019】
このパワーモジュールでは、電気絶縁層が、熱拡散部と冷却流体通路との間に配置される。このため、このパワーモジュールでは、放電を有効に防止することができる。
【0020】
第8発明に係るパワーモジュールは、第6発明または第7発明に係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、ヒートスプレッダが含まれる。ヒートスプレッダは、パワー半導体と樹脂基板の実装面との間に配置される。
【0021】
このパワーモジュールでは、ヒートスプレッダが、パワー半導体と樹脂基板の実装面との間に配置される。このため、このパワーモジュールでは、パワー半導体から生じる熱を効率よく処理することができる。
【0022】
第9発明に係るパワーモジュールは、第6発明から第8発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、サーマルビアが含まれる。サーマルビアは、樹脂基板の板面に交差する方向に沿って樹脂基板の内部に設けられる。また、このサーマルビアは、樹脂基板の板面に直交する方向に設けられるのが好ましい。
【0023】
このパワーモジュールでは、サーマルビアが、樹脂基板の板面に交差する方向に沿って樹脂基板の内部に設けられる。このため、このパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0024】
第10発明に係るパワーモジュールは、第6発明から第9発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、熱伝導性フィラーが含まれる。熱伝導性フィラーは、樹脂基板の樹脂部に分散配合される。なお、ここにいう「熱伝導性フィラー」とは、例えば、絶縁性を有するセラミック粉体などである。
【0025】
このパワーモジュールでは、熱伝導性フィラーが、樹脂基板の樹脂部に分散配合される。このため、このパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0026】
第11発明に係るパワーモジュールは、第6発明または第7発明に係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、熱伝導性シートが含まれる。熱伝導性シートは、樹脂基板の樹脂部に埋設される。なお、ここにいう「熱伝導性シート」とは、例えば、絶縁性を有するセラミックプレートなどである。
【0027】
このパワーモジュールでは、熱伝導性シートが、樹脂基板の樹脂部に埋設される。このため、このパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0028】
第12発明に係るパワーモジュールは、パワー半導体、非パワー半導体、1枚の実装基板、および冷却ジャケットを備える。なお、ここにいう「パワー半導体」とは、例えば、ダイオードおよびパワートランジスタ等である。また、ここにいう「非パワー半導体」とは、例えば、マイコンやROM(Read Only Memory)等である。また、ここにいう「実装基板」とは、例えば、樹脂のみで製造された基板、繊維強化プラスチックで製造された基板、その他粉体等が分散された樹脂から製造された基板などであって少なくとも片面あるいは内部に回路パターンが形成されている基板である。ちなみに、このような樹脂基板の中でも、両面に回路パターンが形成されている両面樹脂基板や、板厚方向に複数の回路が絶縁層(樹脂層)と交互に積層されている積層樹脂基板などが特に好ましい。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。実装基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。なお、この実装基板の板厚方向の熱伝導率は、10W/(m・K)以下である。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、実装基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも実装基板側に突出し、内部に冷却流体通路が設けられる。
【0029】
パワー半導体から生じる熱を放熱フィンにより排出するタイプのパワーモジュールでは、通常、気温あるいはそれよりも数十℃高い温度の風が放熱フィンに供給されることによりパワー半導体から生じる熱がパワーモジュールの系外に排出されている。このような放熱方法を採用する場合、パワーモジュールでは、十分な放熱性を確保するため、パワー半導体が実装される基板としてアルミニウム基板やセラミック基板などの高熱伝導性を有する基板が必要とされている。
【0030】
しかし、本発明に係るパワーモジュールの冷却手段において例えば通常よりも低温の冷却媒体(気体であっても液体であってもよい)等を利用すれば、パワー半導体の実装基板として熱伝導率が10W/(m・K)以下の低熱伝導性の実装基板を採用してもパワー半導体から生じる熱を十分にパワーモジュールから排出することができる。もちろん、このときの冷却媒体の温度は、パワー半導体から生じる熱の量や実装基板の厚みによって変更される必要はある。この前提において、このパワーモジュールでは、パワー半導体と非パワー半導体とを1枚の低熱伝導率の実装基板に実装することが可能となる。通常、熱伝導率が10W/(m・K)以下の低熱伝導性の実装基板は、樹脂や繊維強化プラスチック等から製造されており、アルミニウム基板やセラミック基板などに比べて安価なものが豊富に存在する。したがって、このパワーモジュールの製造において、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。このため、このパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と実装基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0031】
第13発明に係る空気調和機は、冷媒回路およびパワーモジュールを備える。パワーモジュールは、パワー半導体、非パワー半導体、1枚の樹脂基板、および冷却ジャケットを有する。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。樹脂基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出する。そして、冷却ジャケットは、内部に、冷媒回路に流れる冷媒を通過させるための冷却流体通路が設けられる。
【0032】
通常、空気調和機にはパワー半導体から生じる熱を放熱フィンにより排出するタイプのパワーモジュールが採用されており、そのようなパワーモジュールでは、一般に、気温あるいはそれよりも数十℃高い温度の風が放熱フィンに供給されることによりパワー半導体から生じる熱がパワーモジュールの系外に排出されている。このような放熱方法を採用する場合、パワーモジュールでは、十分な放熱性を確保するため、パワー半導体が実装される基板としてアルミニウム基板やセラミック基板などの高熱伝導性を有する基板が必要とされている。
【0033】
しかし、空気調和機の冷媒回路では冷媒温度が十分に低温となる箇所があり、このような冷媒をパワーモジュールの冷媒通路に流すことができれば、パワー半導体の実装基板として低熱伝導性の樹脂基板を採用してもパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールから十分に排出することができる。もちろん、このときの冷却媒体の温度は、パワー半導体から生じる熱の量や樹脂基板の厚みに依存する。この前提において、この空気調和機のパワーモジュールでは、パワー半導体と非パワー半導体とを1枚の樹脂基板に実装することが可能となる。したがって、この空気調和機のパワーモジュールでは、パワー半導体を実装する基板として高コストなアルミニウム基板やセラミック基板などを採用する必要がない。この結果、このパワーモジュールの製造において、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。このため、このパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。引いては、空気調和機の製造コストも低減することができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0034】
第14発明に係るパワーモジュールの製造方法は、電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体および非パワー半導体と、パワー半導体と非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板と、第1板部、および、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路が設けられる第2板部を有する冷却ジャケットとを有するパワーモジュールの製造方法であって、パワー半導体固定工程、ワイヤ接続工程、非パワー半導体接続工程、および冷却手段固定工程を備える。パワー半導体固定工程では、パワー半導体が樹脂基板の規定の位置に固定される。ワイヤ接続工程では、パワー半導体と樹脂基板に設けられる回路とがワイヤ接続される。非パワー半導体接続工程では、非パワー半導体と回路とが接続される。なお、この非パワー半導体接続工程ではリフロー方式が採用されるのが好ましい。冷却ジャケット固定工程では、樹脂基板が冷却ジャケットに固定される。なお、パワー半導体固定工程、ワイヤ接続工程、非パワー半導体接続工程、および冷却ジャケット固定工程は適宜入れ換えられてもよい。
【0035】
このパワーモジュールの製造方法では、パワー半導体固定工程で、パワー半導体が樹脂基板の規定の位置に固定される。また、ワイヤ接続工程で、パワー半導体と樹脂基板に設けられる回路とがワイヤ接続される。また、非パワー半導体接続工程で、非パワー半導体と回路とが接続される。また、冷却ジャケット固定工程で、樹脂基板が冷却ジャケットに固定される。このため、このパワーモジュールの製造方法では、パワー半導体と非パワー半導体とが1枚の樹脂基板に実装される。したがって、このパワーモジュールの製造方法を利用すれば、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。
【発明の効果】
【0036】
第1発明に係るパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0037】
第2発明に係るパワーモジュールでは、冷却流体の温度を適切に維持することができる。
【0038】
第3発明に係るパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0039】
第4発明に係るパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。また、非パワー半導体は、パワー半導体と段違いで配置されることとなるため、パワー半導体から生じる熱の影響を受けにくくなる。
【0040】
第5発明に係るパワーモジュールでは、複雑な機械加工を行うことなく複雑な形状の樹脂基板を製造することができる。
【0041】
第6発明に係るパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0042】
第7発明に係るパワーモジュールでは、放電を有効に防止することができる。
【0043】
第8発明に係るパワーモジュールでは、パワー半導体から生じる熱を効率よく処理することができる。
【0044】
第9発明に係るパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0045】
第10発明に係るパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0046】
第11発明に係るパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0047】
第12発明に係るパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と実装基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0048】
第13発明に係る空気調和機は、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0049】
第14発明に係るパワーモジュールの製造方法では、パワー半導体と非パワー半導体とが1枚の樹脂基板に実装される。したがって、このパワーモジュールの製造方法を利用すれば、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
〔空気調和機の全体構成〕
図1には、本実施の形態に係る空気調和機1の外観斜視図を示す。
【0051】
この空気調和機1は、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機2と、室外に設置される室外機3とを備える。
【0052】
室内機2内には室内熱交換器が収納され、室外機3内には室外熱交換器が収納されており、各熱交換器が冷媒配管4により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0053】
〔空気調和機の冷媒回路の構成概略〕
空気調和機1の冷媒回路の構成を図2に示す。この冷媒回路は、主として室内熱交換器20、アキュムレータ31、圧縮機32、四路切換弁33、室外熱交換器30、および電動膨張弁34で構成される。
【0054】
室内機2に設けられている室内熱交換器20は、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内機2には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器20に通し熱交換が行われた後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン21が設けられている。クロスフローファン21は、円筒形状に構成され、周面には回転軸方向に羽根が設けられているものであり、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。このクロスフローファン21は、室内機2内に設けられる室内ファンモータ22によって回転駆動される。
【0055】
室外機3には、圧縮機32と、圧縮機32の吐出側に接続される四路切換弁33と、圧縮機32の吸入側に接続されるアキュムレータ31と、四路切換弁33に接続された室外熱交換器30と、室外熱交換器30に接続された電動膨張弁34とが設けられている。電動膨張弁34は、フィルタ35および液閉鎖弁36を介して配管41に接続されており、この配管41を介して室内熱交換器20の一端と接続される。また、四路切換弁33は、ガス閉鎖弁37を介して配管42に接続されており、この配管42を介して室内熱交換器20の他端と接続されている。この配管41,42は、図1の冷媒配管4に相当する。また、室外機3には、室外熱交換器30での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン38が設けられている。このプロペラファン38は、ファンモータ39によって回転駆動される。なお、この冷媒回路には、圧縮機32、ファンモータ39、および電動膨張弁34等の電力変換を行うパワーモジュール5(後述)に設けられる冷却ジャケット58(図3参照)も接続される。
【0056】
〔パワーモジュールの構成〕
図3(a)には、本実施の形態に係るパワーモジュール5の縦断面図を示す。
【0057】
本実施の形態に係るパワーモジュール5は、主に、ケーシング50、第1電子部品53a、第2電子部品53b、実装基板51、および冷却ジャケット58から構成される。
【0058】
ケーシング50は、実装基板51の側縁から電子部品53a,53bの実装面側に立設される側壁50aと、側壁50aの上端から電子部品53a,53bの上部を覆うように設けられる蓋50bとから構成される。
【0059】
第1電子部品53aは、通電時に多量の熱を発生する、いわゆるパワー半導体である(ベアチップ等を含む)。本実施の形態において、パワー半導体とは、例えば、ダイオードおよびパワートランジスタ等をいう。
【0060】
第2電子部品53bは、いわゆる非パワー半導体やその他の電子部品(コンデンサや抵抗などの表面実装部品)である。本実施の形態において、非パワー半導体とは、例えば、マイコンやROM等をいう(ベアチップ等を含む)。
【0061】
実装基板51は、主に、第1電子部品53aが実装されるエリア(以下、第1実装エリアという)と、第2電子部品53bが実装されるエリア(以下、第2実装エリアという)とから成る。第1実装エリアは、1プライのシート状のガラス繊維強化エポキシ樹脂(以下、ガラスエポキシシートという)51aから形成されており、その厚みは約100μm前後である。ちなみに、この厚みは、第1電子部品53aからの発熱量を40W、発熱面積を4cm2として、第1電子部品53aを100℃以下に保つことを考慮して算出された値である(図4参照)。この第1実装エリアでは、第1電子部品53aが、ヒートスプレッダ54および導電体を介して1プライのガラスエポキシシート51aに実装され、さらにシリコーンゲル56などの封止剤により封止されている。一方、第2実装エリアは、導電体パターン52とガラスエポキシシート51aとが交互に積層された積層型樹脂基板から形成されている。この第2実装エリアでは第2電子部品53bが積層型樹脂基板に実装されており、第2電子部品53bは、ガラスエポキシシート51aの間に配置されている導電体パターン52と接続され3次元形状の複雑な制御回路を形成している。なお、この導電体パターン52には第1電子部品53aもワイヤー55を介して接続されており、電源回路の一部が形成されている。リード57は、外部回路への接続に用いられる。ちなみに、本実施の形態に係る実装基板51を形成するためには、(i)均一な板状の積層型実装基板を調製した後に機械加工によって実装基板51の第1実装エリアの厚みを薄くする方法(回路パターンは機械加工を考慮して形成する必要がある)、あるいは(ii)実装基板が予め設計した形状になるようにガラス繊維織物1枚1枚を形作っておき、n段目のガラス繊維織物にエポキシ樹脂原液を含浸した後にそれらを加熱・圧縮などし、さらにその後にその両面あるいは片面に回路パターンを形成し(以下、このガラス繊維強化エポキシ樹脂を回路パターン保持ガラスエポキシシートという)、さらにその後に、エポキシ樹脂原液を含浸した(n+1)段目のガラス繊維織物を回路パターン保持ガラスエポキシシートに挟み込み再度加熱・圧縮する方法などが考えられる。なお、後者の場合、設計形状に沿った金型が必要になる。
【0062】
冷却ジャケット58は、直方体の金属の箱体であって、実装基板51の電子部品53a,53bの実装面の反対側に、実装基板51の実装面と反対の面に接するように設けられている。そして、この冷却ジャケット58の内部には、第1実装エリアに対応する部分に複数本のヘアピン形状の通路(以下、冷媒通路という)59が形成されている(図3(b)参照)。この冷媒通路59は、図2に示されるように、電動膨張弁34を挟み込むように冷媒回路に接続されている。このため、この冷媒通路59には冷媒回路から液冷媒が流入するようになっており、主に第1電子部品53aから生じる熱がその液冷媒によりパワーモジュール5から排出されるようになっている。なお、通常、冷媒通路に流入する液冷媒の温度は、30〜60℃程度である。
【0063】
〔パワーモジュールの製造方法〕
ここでは、図5を用いて本発明の実施の形態に係るパワーモジュール5の製造方法について説明する。
【0064】
図5において、ステップS1では、第1電子部品53aとヒートスプレッダ54とがボンディングされる。ステップS2では、ステップS1で得られた第1電子部品53aとヒートスプレッダ54とのボンディング品が実装基板51の第1実装エリアへボンディングされる。なお、このとき、上記ボンディング品は、ヒートスプレッダ54が実装基板51に密接するようにボンディングされる。ステップS3では、第1電子部品53aと実装基板51の導電体パターン52とがワイヤーを介してボンディングされる。ステップS4では、第2電子部品53bが導電体パターン52の規定の位置に置かれた状態で所定温度に加熱され、第2電子部品53bが導電体パターン52にリフロー方式によりハンダ付けされる。なお、この導電体パターン52上には、あらかじめリフロー可能な材質(クリームハンダ等)が印刷あるいは塗布されている。ステップS5では、リード部品53c(第2電子部品53bに含まれる)が導電体パターン52にフロー方式によりハンダ付けされる。
【0065】
〔パワーモジュールの特徴〕
(1)
本実施の形態に係るパワーモジュール5では、第1電子部品53aと第2電子部品53bとの両方が、ガラス繊維強化エポキシ樹脂から成る同一の実装基板51に実装されている。このため、このパワーモジュール5は、第1電子部品53a用の実装基板と第2電子部品53b用の実装基板とを分けて製造していた従来のパワーモジュールよりも低コストで製造されることができる。
【0066】
(2)
本実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の第1実装エリアの厚みが十分に薄く、第1電子部品53aが、ほぼ50℃の冷媒により有効に冷却される。このため、このパワーモジュール5は、第1電子部品53a実装用としてアルミニウム基板やセラミック基板などを採用していた従来のパワーモジュールよりも低コストで製造されることができる。また、このパワーモジュール5では、実装基板51がガラス繊維強化エポキシ樹脂から成るので、上記のような従来のパワーモジュールよりも加工性に優れる。また、このパワーモジュール5では、実装基板51がガラス繊維強化エポキシ樹脂から成るので、上記のような従来のパワーモジュールよりも第1電子部品53aの実装信頼性に優れる。
【0067】
(3)
本実施の形態に係るパワーモジュール5では、第1電子部品53aと冷媒通路59との最短距離が、第2電子部品53bと冷媒通路59との最短距離よりも短い。このため、このパワーモジュール5では、第2電子部品53bから生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュール5の系外に排出することができる。
【0068】
〔変形例〕
(A)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、冷却ジャケット58が、実装基板51の電子部品53a,53bの実装面の反対側に、実装基板51の実装面と反対の面に接するように設けられており、さらにその冷却ジャケット58の内部に冷媒通路59が形成されていた。しかし、図6に示されるように、冷媒通路59Aが実装基板51Aの内部に形成されてもかまわない。このようにすれば、第1電子部品53aと冷媒通路59Aとの距離をさらに短くすることができる。
【0069】
(B)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の第1実装エリアの厚みが第2実装エリアの厚みよりも薄かったが、第1実装エリアの厚みが第2実装エリアの厚みと同じであってもかまわない。この場合、図4の表に示されるとおり、第1電子部品53aから生じる熱がパワーモジュール5から十分に排出されない懸念があるため、図7に示されるように、第1電子部品53aの周囲の実装基板51B内部にサーマルビア54Bを設けるのが好ましい。さらには、冷却ジャケット58と実装基板51Bとの間に接触伝熱層57Bを設けてもかまわない。また、さらに、第1電子部品53aと実装基板51Aとの間にヒートスプレッダを挿入してもかまわない。
【0070】
(C)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、冷凍サイクルの流れにより冷媒通路59に流入する冷媒の温度がほぼ決まっていた。しかし、第1電子部品53aの周辺に温度センサを設け、さらに冷媒通路59の出入口付近に膨張弁を設けて、第1電子部品53aの周辺温度を一定に保つように、冷媒の蒸発温度を制御してもよい。このようにすれば、より確実に第1電子部品を保護することができる。なお、かかる場合、冷媒通路59の出口を圧縮機32の吸入配管に接続するようにしてもよい。
【0071】
(D)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の第1実装エリアの厚みが100μm前後とされていたが、冷媒通路59に流入する温度によってはそれ以上の厚みであってもかまわない(図4参照)。また、これとは逆に実装基板51の第1実装エリアの厚みを100μm以下としてもかまわないが、この場合は、絶縁破壊強度に留意する必要がある。
【0072】
(E)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の原料としてエポキシ樹脂が採用されたが、絶縁性を有するセラミック粒子などを配合したエポキシ樹脂が採用されてもかまわない。このようすれば、実装基板の熱伝導率を向上することができ、さらに効率よく第1電子部品53aから生じる熱をパワーモジュール5の系外に排出することができる。
【0073】
(F)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51として積層型樹脂基板が採用されたが、これに代えて、図8、図9、および図10に示されるような、両面にのみ導電体パターンが設けられている両面樹脂基板51C,51D,51Eが採用されてもよい。このようなパワーモジュール5C,5D,5Eでは、第1電子部品53aから生じる熱を冷媒通路59方向へ拡散させるために両面樹脂基板51C,51D,51Eの樹脂部にサーマルビア54Cを設けたり、樹脂部に熱伝導性フィラー54Dを分散させたり、樹脂部に熱伝導性シート54Eを挿入したりするのが好ましい。また、第1電子部品53aから生じる熱を実装面に沿って拡散させるヒートスプレッダ54を設ければ更に効果的である。また、かかる場合、両面樹脂基板51C,51D,51Eの絶縁性を確保するために両面樹脂基板51C,51D,51Eと冷却ジャケット58との間に電気絶縁層57C,57D,57Eを設けるのが好ましい。ただし、熱伝導性フィラー54Dや熱伝導性シート54Eがセラミック等であって電気絶縁性を有する場合、この電気絶縁層57C,57D,57Eは省くことができる。
【0074】
(G)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51との接触面がフラットな形状の冷却ジャケット58が採用されたが、これに代えて、図11に示されるような段差付きの冷却ジャケット58Fが採用されてもよい。このようにすれば、第1電子部品53aなどの実装面の反対側の面にのみ冷却ジャケット58Fが接触し、他の部分では両面実装を行うことが可能となる。したがって、このようなパワーモジュール5Fでは、不必要な冷却(あるいは加熱)を防ぐことができると同時に更なるコンパクト化が可能となる。また、このようにすれば、実装面と反対側の面にリード線が出てしまうような場合でも対応可能となる。また、冷却ジャケット58Fと実装基板51Fとの間に電気絶縁層57Fを設けてもよい。
【0075】
(H)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5の製造方法では、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5の順序で各処理が行われたが、この順序は入れ替えられてもよい。例えば、ステップS1→ステップS4→ステップS2→ステップS3→ステップS5の順序で各処理が行われてもよいし、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS3→ステップS5の順序で各処理が行われてもよいし、ステップS5→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4の順序で各処理が行われてもよい。
【0076】
(I)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の原料としてエポキシ樹脂が採用されたが、これ以外の樹脂(例えば、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂など)が採用されてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係るパワーモジュールは、従来のパワーモジュールよりも低い製造コストで製造されることができ、かつ、コンパクト化されることができるという特徴を有し、パワーモジュールの低コスト化およびコンパクト化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施の形態に係る空気調和機の外観斜視図。
【図2】本実施の形態に係る空気調和機の冷媒回路図。
【図3】(a)本実施の形態に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの縦断面図、(b)本実施の形態に係るパワーモジュールの冷却ジャケット部の上面透視図。
【図4】本実施の形態に係る実装基板の厚みと放熱特性との関係を示す表。
【図5】本実施の形態に係るパワーモジュールの製造工程を表すフローチャート。
【図6】変形例(A)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図7】変形例(B)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図8】変形例(F)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図9】変形例(F)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図10】変形例(F)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図11】変形例(G)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【符号の説明】
【0079】
1 空気調和機
5F パワーモジュール
51F 実装基板(樹脂基板)
53a 第1電子部品(パワー半導体)
53b 第2電子部品(非パワー半導体)
57F 電気絶縁層
58F 冷却ジャケット
59 冷媒通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換を行うパワーモジュールとその製造方法に関する。また、本発明は、パワーモジュールを搭載する空気調和機にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パワーモジュールは、主に、パワー半導体等の比較的発熱の大きなチップを実装したパワー半導体実装基板と、マイクロコンピュータ等の比較的発熱の小さなICチップを実装した非パワー半導体実装基板と、主にパワー半導体を冷却するための冷却部(例えば、放熱フィン等)とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−111619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、通常、パワー半導体実装基板としては、パワー半導体から生じる多量の熱を系外に放出する必要があるため、高い熱伝導性を有するアルミニウム製のものやセラミック製のもの等が採用される。一方、非パワー半導体実装基板としては、パワー半導体のように発熱量の大きい半導体を実装しないので、ガラス繊維強化エポキシ樹脂のような樹脂製のもの等が採用される。通常、アルミニウム製やセラミック製などの実装基板は樹脂製の実装基板よりも高価であり、これがパワーモジュールのコスト増を招いている大きな原因となっている。また、このような二種類の実装基板にパワー半導体と非パワー半導体とを分けて実装することはパワーモジュール製造時の人件費や設備費の増加を招いている。
【0004】
本発明の課題は、製造コストを低く抑えることができるパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係るパワーモジュールは、パワー半導体、非パワー半導体、1枚の樹脂基板、および冷却ジャケットを備える。なお、ここにいう「パワー半導体」とは、例えば、ダイオードおよびパワートランジスタ等である。また、ここにいう「非パワー半導体」とは、例えば、マイコンやROM(Read Only Memory)等である。また、ここにいう「樹脂基板」とは、例えば、樹脂のみで製造された基板、繊維強化プラスチックで製造された基板、その他粉体等が分散された樹脂から製造された基板などであって少なくとも片面あるいは内部に回路パターンが形成されている基板である。ちなみに、このような樹脂基板の中でも、両面に回路パターンが形成されている両面樹脂基板や、板厚方向に複数の回路が絶縁層(樹脂層)と交互に積層されている積層樹脂基板などが特に好ましい。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。樹脂基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路が設けられる。
【0006】
パワー半導体から生じる熱を放熱フィンにより排出するタイプのパワーモジュールでは、通常、気温あるいはそれよりも数十℃高い温度の風が放熱フィンに供給されることによりパワー半導体から生じる熱がパワーモジュールの系外に排出されている。このような放熱方法を採用する場合、パワーモジュールでは、十分な放熱性を確保するため、パワー半導体が実装される基板としてアルミニウム基板やセラミック基板などの高熱伝導性を有する基板が必要とされている。
【0007】
しかし、本発明に係るパワーモジュールの冷却手段において例えば通常よりも低温の冷却媒体(気体であっても液体であってもよい)等を利用すれば、パワー半導体の実装基板として低熱伝導性の樹脂基板を採用してもパワー半導体から生じる熱を十分にパワーモジュールから排出することができる。もちろん、このときの冷却媒体の温度は、パワー半導体から生じる熱の量や樹脂基板の厚みによって適宜変更される必要はある。このような前提において、このパワーモジュールでは、パワー半導体と非パワー半導体とを1枚の樹脂基板に実装することが可能となる。したがって、このパワーモジュールでは、パワー半導体を実装する基板として高コストなアルミニウム基板やセラミック基板などを採用する必要がない。この結果、このパワーモジュールの製造において、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。このため、このパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0008】
第2発明に係るパワーモジュールは、第1発明に係るパワーモジュールであって、温度検知手段および温度制御手段をさらに備える。温度検知手段は、パワー半導体またはその近傍の温度を検知する。温度制御手段は、温度検知手段において検知される温度が所定の温度になるように冷却流体の温度を制御する。
【0009】
このパワーモジュールでは、温度検知手段が、パワー半導体またはその近傍の温度を検知する。そして、温度制御手段が、温度検知手段において検知される温度が所定の温度になるように冷却流体の温度を制御する。このため、このパワーモジュールでは、冷却流体の温度を適切に維持することができる。
【0010】
第3発明に係るパワーモジュールは、第1発明または第2発明に係るパワーモジュールであって、パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離は、非パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離よりも短い。
【0011】
このパワーモジュールでは、パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離が、非パワー半導体と冷却流体通路との間の最短距離よりも短い。このため、このパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0012】
第4発明に係るパワーモジュールは、第1発明から第3発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、樹脂基板のうちパワー半導体を実装する部分の厚みは、非パワー半導体を実装する部分の厚みよりも薄い。
【0013】
このパワーモジュールでは、樹脂基板のうちパワー半導体を実装する部分の厚みが、非パワー半導体を実装する部分の厚みよりも薄い。このため、このパワーモジュールでは、非パワー半導体に比べパワー半導体の方が冷却流体通路に近くなる。したがって、このパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。また、非パワー半導体は、パワー半導体と段違いで配置されることとなるため、パワー半導体から生じる熱の影響を受けにくくなる。
【0014】
第5発明に係るパワーモジュールは、第4発明または第5発明に係るパワーモジュールであって、樹脂基板は、板厚方向に積層される複数の積層単位体から構成されている。また、パワー半導体を実装する部分の厚みおよび非パワー半導体を実装する部分の厚みは、積層単位体それぞれの形状により調節される。
【0015】
このパワーモジュールでは、樹脂基板が、板厚方向に積層される複数の積層単位体から構成されている。また、パワー半導体を実装する部分の厚みおよび非パワー半導体を実装する部分の厚みが、積層単位体それぞれの形状により調節される。このため、このパワーモジュールでは、複雑な機械加工を行うことなく複雑な形状の樹脂基板を製造することができる。
【0016】
第6発明に係るパワーモジュールは、第1発明から第5発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、熱拡散部をさらに備える。熱拡散部は、少なくともパワー半導体から生じる熱を拡散させるためのものである。なお、ここにいう「熱拡散部」とは、例えば、ヒートスプレッダや、サーマルビア、熱伝導性フィラー、熱伝導性シート等である。
【0017】
このパワーモジュールでは、熱拡散部がさらに備えられる。このため、パワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0018】
第7発明に係るパワーモジュールは、第6発明に係るパワーモジュールであって、電気絶縁層をさらに備える。電気絶縁層は、熱拡散部と冷却流体通路との間に配置される。なお、ここにいう「電気絶縁層」は、電気絶縁シートであってもよいし接着剤などであってもよいし多層樹脂基板の樹脂層の一部であってもよい。
【0019】
このパワーモジュールでは、電気絶縁層が、熱拡散部と冷却流体通路との間に配置される。このため、このパワーモジュールでは、放電を有効に防止することができる。
【0020】
第8発明に係るパワーモジュールは、第6発明または第7発明に係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、ヒートスプレッダが含まれる。ヒートスプレッダは、パワー半導体と樹脂基板の実装面との間に配置される。
【0021】
このパワーモジュールでは、ヒートスプレッダが、パワー半導体と樹脂基板の実装面との間に配置される。このため、このパワーモジュールでは、パワー半導体から生じる熱を効率よく処理することができる。
【0022】
第9発明に係るパワーモジュールは、第6発明から第8発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、サーマルビアが含まれる。サーマルビアは、樹脂基板の板面に交差する方向に沿って樹脂基板の内部に設けられる。また、このサーマルビアは、樹脂基板の板面に直交する方向に設けられるのが好ましい。
【0023】
このパワーモジュールでは、サーマルビアが、樹脂基板の板面に交差する方向に沿って樹脂基板の内部に設けられる。このため、このパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0024】
第10発明に係るパワーモジュールは、第6発明から第9発明のいずれかに係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、熱伝導性フィラーが含まれる。熱伝導性フィラーは、樹脂基板の樹脂部に分散配合される。なお、ここにいう「熱伝導性フィラー」とは、例えば、絶縁性を有するセラミック粉体などである。
【0025】
このパワーモジュールでは、熱伝導性フィラーが、樹脂基板の樹脂部に分散配合される。このため、このパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0026】
第11発明に係るパワーモジュールは、第6発明または第7発明に係るパワーモジュールであって、熱拡散部には、熱伝導性シートが含まれる。熱伝導性シートは、樹脂基板の樹脂部に埋設される。なお、ここにいう「熱伝導性シート」とは、例えば、絶縁性を有するセラミックプレートなどである。
【0027】
このパワーモジュールでは、熱伝導性シートが、樹脂基板の樹脂部に埋設される。このため、このパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0028】
第12発明に係るパワーモジュールは、パワー半導体、非パワー半導体、1枚の実装基板、および冷却ジャケットを備える。なお、ここにいう「パワー半導体」とは、例えば、ダイオードおよびパワートランジスタ等である。また、ここにいう「非パワー半導体」とは、例えば、マイコンやROM(Read Only Memory)等である。また、ここにいう「実装基板」とは、例えば、樹脂のみで製造された基板、繊維強化プラスチックで製造された基板、その他粉体等が分散された樹脂から製造された基板などであって少なくとも片面あるいは内部に回路パターンが形成されている基板である。ちなみに、このような樹脂基板の中でも、両面に回路パターンが形成されている両面樹脂基板や、板厚方向に複数の回路が絶縁層(樹脂層)と交互に積層されている積層樹脂基板などが特に好ましい。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。実装基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。なお、この実装基板の板厚方向の熱伝導率は、10W/(m・K)以下である。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、実装基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも実装基板側に突出し、内部に冷却流体通路が設けられる。
【0029】
パワー半導体から生じる熱を放熱フィンにより排出するタイプのパワーモジュールでは、通常、気温あるいはそれよりも数十℃高い温度の風が放熱フィンに供給されることによりパワー半導体から生じる熱がパワーモジュールの系外に排出されている。このような放熱方法を採用する場合、パワーモジュールでは、十分な放熱性を確保するため、パワー半導体が実装される基板としてアルミニウム基板やセラミック基板などの高熱伝導性を有する基板が必要とされている。
【0030】
しかし、本発明に係るパワーモジュールの冷却手段において例えば通常よりも低温の冷却媒体(気体であっても液体であってもよい)等を利用すれば、パワー半導体の実装基板として熱伝導率が10W/(m・K)以下の低熱伝導性の実装基板を採用してもパワー半導体から生じる熱を十分にパワーモジュールから排出することができる。もちろん、このときの冷却媒体の温度は、パワー半導体から生じる熱の量や実装基板の厚みによって変更される必要はある。この前提において、このパワーモジュールでは、パワー半導体と非パワー半導体とを1枚の低熱伝導率の実装基板に実装することが可能となる。通常、熱伝導率が10W/(m・K)以下の低熱伝導性の実装基板は、樹脂や繊維強化プラスチック等から製造されており、アルミニウム基板やセラミック基板などに比べて安価なものが豊富に存在する。したがって、このパワーモジュールの製造において、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。このため、このパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と実装基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0031】
第13発明に係る空気調和機は、冷媒回路およびパワーモジュールを備える。パワーモジュールは、パワー半導体、非パワー半導体、1枚の樹脂基板、および冷却ジャケットを有する。パワー半導体および非パワー半導体は、電力変換を行うための電源回路を構成する。樹脂基板には、パワー半導体と非パワー半導体との両者が実装される。冷却ジャケットは、第1板部および第2板部を有する。第2板部は、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出する。そして、冷却ジャケットは、内部に、冷媒回路に流れる冷媒を通過させるための冷却流体通路が設けられる。
【0032】
通常、空気調和機にはパワー半導体から生じる熱を放熱フィンにより排出するタイプのパワーモジュールが採用されており、そのようなパワーモジュールでは、一般に、気温あるいはそれよりも数十℃高い温度の風が放熱フィンに供給されることによりパワー半導体から生じる熱がパワーモジュールの系外に排出されている。このような放熱方法を採用する場合、パワーモジュールでは、十分な放熱性を確保するため、パワー半導体が実装される基板としてアルミニウム基板やセラミック基板などの高熱伝導性を有する基板が必要とされている。
【0033】
しかし、空気調和機の冷媒回路では冷媒温度が十分に低温となる箇所があり、このような冷媒をパワーモジュールの冷媒通路に流すことができれば、パワー半導体の実装基板として低熱伝導性の樹脂基板を採用してもパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールから十分に排出することができる。もちろん、このときの冷却媒体の温度は、パワー半導体から生じる熱の量や樹脂基板の厚みに依存する。この前提において、この空気調和機のパワーモジュールでは、パワー半導体と非パワー半導体とを1枚の樹脂基板に実装することが可能となる。したがって、この空気調和機のパワーモジュールでは、パワー半導体を実装する基板として高コストなアルミニウム基板やセラミック基板などを採用する必要がない。この結果、このパワーモジュールの製造において、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。このため、このパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。引いては、空気調和機の製造コストも低減することができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0034】
第14発明に係るパワーモジュールの製造方法は、電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体および非パワー半導体と、パワー半導体と非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板と、第1板部、および、樹脂基板のうち少なくともパワー半導体の実装面の裏側面に接触するように第1板部の板厚方向に沿って第1板部よりも樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路が設けられる第2板部を有する冷却ジャケットとを有するパワーモジュールの製造方法であって、パワー半導体固定工程、ワイヤ接続工程、非パワー半導体接続工程、および冷却手段固定工程を備える。パワー半導体固定工程では、パワー半導体が樹脂基板の規定の位置に固定される。ワイヤ接続工程では、パワー半導体と樹脂基板に設けられる回路とがワイヤ接続される。非パワー半導体接続工程では、非パワー半導体と回路とが接続される。なお、この非パワー半導体接続工程ではリフロー方式が採用されるのが好ましい。冷却ジャケット固定工程では、樹脂基板が冷却ジャケットに固定される。なお、パワー半導体固定工程、ワイヤ接続工程、非パワー半導体接続工程、および冷却ジャケット固定工程は適宜入れ換えられてもよい。
【0035】
このパワーモジュールの製造方法では、パワー半導体固定工程で、パワー半導体が樹脂基板の規定の位置に固定される。また、ワイヤ接続工程で、パワー半導体と樹脂基板に設けられる回路とがワイヤ接続される。また、非パワー半導体接続工程で、非パワー半導体と回路とが接続される。また、冷却ジャケット固定工程で、樹脂基板が冷却ジャケットに固定される。このため、このパワーモジュールの製造方法では、パワー半導体と非パワー半導体とが1枚の樹脂基板に実装される。したがって、このパワーモジュールの製造方法を利用すれば、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。
【発明の効果】
【0036】
第1発明に係るパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0037】
第2発明に係るパワーモジュールでは、冷却流体の温度を適切に維持することができる。
【0038】
第3発明に係るパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0039】
第4発明に係るパワーモジュールでは、非パワー半導体から生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュールの系外に排出することができる。また、非パワー半導体は、パワー半導体と段違いで配置されることとなるため、パワー半導体から生じる熱の影響を受けにくくなる。
【0040】
第5発明に係るパワーモジュールでは、複雑な機械加工を行うことなく複雑な形状の樹脂基板を製造することができる。
【0041】
第6発明に係るパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0042】
第7発明に係るパワーモジュールでは、放電を有効に防止することができる。
【0043】
第8発明に係るパワーモジュールでは、パワー半導体から生じる熱を効率よく処理することができる。
【0044】
第9発明に係るパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0045】
第10発明に係るパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0046】
第11発明に係るパワーモジュールでは、樹脂基板内部の熱伝導性を高めることができる。したがって、このパワーモジュールでは、さらに効率よくパワー半導体から生じる熱をパワーモジュールの系外に排出することができる。
【0047】
第12発明に係るパワーモジュールは、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と実装基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0048】
第13発明に係る空気調和機は、低い製造コストで製造されることができる。また、このパワーモジュールでは、第1板部と樹脂基板との間に空間が形成される。このため、このパワーモジュールでは、その空間に非パワー半導体を配置することができる。したがって、このパワーモジュールは、コンパクト化されることができる。
【0049】
第14発明に係るパワーモジュールの製造方法では、パワー半導体と非パワー半導体とが1枚の樹脂基板に実装される。したがって、このパワーモジュールの製造方法を利用すれば、基材の原料コスト、人件費、および設備費などを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
〔空気調和機の全体構成〕
図1には、本実施の形態に係る空気調和機1の外観斜視図を示す。
【0051】
この空気調和機1は、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機2と、室外に設置される室外機3とを備える。
【0052】
室内機2内には室内熱交換器が収納され、室外機3内には室外熱交換器が収納されており、各熱交換器が冷媒配管4により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0053】
〔空気調和機の冷媒回路の構成概略〕
空気調和機1の冷媒回路の構成を図2に示す。この冷媒回路は、主として室内熱交換器20、アキュムレータ31、圧縮機32、四路切換弁33、室外熱交換器30、および電動膨張弁34で構成される。
【0054】
室内機2に設けられている室内熱交換器20は、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内機2には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器20に通し熱交換が行われた後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン21が設けられている。クロスフローファン21は、円筒形状に構成され、周面には回転軸方向に羽根が設けられているものであり、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。このクロスフローファン21は、室内機2内に設けられる室内ファンモータ22によって回転駆動される。
【0055】
室外機3には、圧縮機32と、圧縮機32の吐出側に接続される四路切換弁33と、圧縮機32の吸入側に接続されるアキュムレータ31と、四路切換弁33に接続された室外熱交換器30と、室外熱交換器30に接続された電動膨張弁34とが設けられている。電動膨張弁34は、フィルタ35および液閉鎖弁36を介して配管41に接続されており、この配管41を介して室内熱交換器20の一端と接続される。また、四路切換弁33は、ガス閉鎖弁37を介して配管42に接続されており、この配管42を介して室内熱交換器20の他端と接続されている。この配管41,42は、図1の冷媒配管4に相当する。また、室外機3には、室外熱交換器30での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン38が設けられている。このプロペラファン38は、ファンモータ39によって回転駆動される。なお、この冷媒回路には、圧縮機32、ファンモータ39、および電動膨張弁34等の電力変換を行うパワーモジュール5(後述)に設けられる冷却ジャケット58(図3参照)も接続される。
【0056】
〔パワーモジュールの構成〕
図3(a)には、本実施の形態に係るパワーモジュール5の縦断面図を示す。
【0057】
本実施の形態に係るパワーモジュール5は、主に、ケーシング50、第1電子部品53a、第2電子部品53b、実装基板51、および冷却ジャケット58から構成される。
【0058】
ケーシング50は、実装基板51の側縁から電子部品53a,53bの実装面側に立設される側壁50aと、側壁50aの上端から電子部品53a,53bの上部を覆うように設けられる蓋50bとから構成される。
【0059】
第1電子部品53aは、通電時に多量の熱を発生する、いわゆるパワー半導体である(ベアチップ等を含む)。本実施の形態において、パワー半導体とは、例えば、ダイオードおよびパワートランジスタ等をいう。
【0060】
第2電子部品53bは、いわゆる非パワー半導体やその他の電子部品(コンデンサや抵抗などの表面実装部品)である。本実施の形態において、非パワー半導体とは、例えば、マイコンやROM等をいう(ベアチップ等を含む)。
【0061】
実装基板51は、主に、第1電子部品53aが実装されるエリア(以下、第1実装エリアという)と、第2電子部品53bが実装されるエリア(以下、第2実装エリアという)とから成る。第1実装エリアは、1プライのシート状のガラス繊維強化エポキシ樹脂(以下、ガラスエポキシシートという)51aから形成されており、その厚みは約100μm前後である。ちなみに、この厚みは、第1電子部品53aからの発熱量を40W、発熱面積を4cm2として、第1電子部品53aを100℃以下に保つことを考慮して算出された値である(図4参照)。この第1実装エリアでは、第1電子部品53aが、ヒートスプレッダ54および導電体を介して1プライのガラスエポキシシート51aに実装され、さらにシリコーンゲル56などの封止剤により封止されている。一方、第2実装エリアは、導電体パターン52とガラスエポキシシート51aとが交互に積層された積層型樹脂基板から形成されている。この第2実装エリアでは第2電子部品53bが積層型樹脂基板に実装されており、第2電子部品53bは、ガラスエポキシシート51aの間に配置されている導電体パターン52と接続され3次元形状の複雑な制御回路を形成している。なお、この導電体パターン52には第1電子部品53aもワイヤー55を介して接続されており、電源回路の一部が形成されている。リード57は、外部回路への接続に用いられる。ちなみに、本実施の形態に係る実装基板51を形成するためには、(i)均一な板状の積層型実装基板を調製した後に機械加工によって実装基板51の第1実装エリアの厚みを薄くする方法(回路パターンは機械加工を考慮して形成する必要がある)、あるいは(ii)実装基板が予め設計した形状になるようにガラス繊維織物1枚1枚を形作っておき、n段目のガラス繊維織物にエポキシ樹脂原液を含浸した後にそれらを加熱・圧縮などし、さらにその後にその両面あるいは片面に回路パターンを形成し(以下、このガラス繊維強化エポキシ樹脂を回路パターン保持ガラスエポキシシートという)、さらにその後に、エポキシ樹脂原液を含浸した(n+1)段目のガラス繊維織物を回路パターン保持ガラスエポキシシートに挟み込み再度加熱・圧縮する方法などが考えられる。なお、後者の場合、設計形状に沿った金型が必要になる。
【0062】
冷却ジャケット58は、直方体の金属の箱体であって、実装基板51の電子部品53a,53bの実装面の反対側に、実装基板51の実装面と反対の面に接するように設けられている。そして、この冷却ジャケット58の内部には、第1実装エリアに対応する部分に複数本のヘアピン形状の通路(以下、冷媒通路という)59が形成されている(図3(b)参照)。この冷媒通路59は、図2に示されるように、電動膨張弁34を挟み込むように冷媒回路に接続されている。このため、この冷媒通路59には冷媒回路から液冷媒が流入するようになっており、主に第1電子部品53aから生じる熱がその液冷媒によりパワーモジュール5から排出されるようになっている。なお、通常、冷媒通路に流入する液冷媒の温度は、30〜60℃程度である。
【0063】
〔パワーモジュールの製造方法〕
ここでは、図5を用いて本発明の実施の形態に係るパワーモジュール5の製造方法について説明する。
【0064】
図5において、ステップS1では、第1電子部品53aとヒートスプレッダ54とがボンディングされる。ステップS2では、ステップS1で得られた第1電子部品53aとヒートスプレッダ54とのボンディング品が実装基板51の第1実装エリアへボンディングされる。なお、このとき、上記ボンディング品は、ヒートスプレッダ54が実装基板51に密接するようにボンディングされる。ステップS3では、第1電子部品53aと実装基板51の導電体パターン52とがワイヤーを介してボンディングされる。ステップS4では、第2電子部品53bが導電体パターン52の規定の位置に置かれた状態で所定温度に加熱され、第2電子部品53bが導電体パターン52にリフロー方式によりハンダ付けされる。なお、この導電体パターン52上には、あらかじめリフロー可能な材質(クリームハンダ等)が印刷あるいは塗布されている。ステップS5では、リード部品53c(第2電子部品53bに含まれる)が導電体パターン52にフロー方式によりハンダ付けされる。
【0065】
〔パワーモジュールの特徴〕
(1)
本実施の形態に係るパワーモジュール5では、第1電子部品53aと第2電子部品53bとの両方が、ガラス繊維強化エポキシ樹脂から成る同一の実装基板51に実装されている。このため、このパワーモジュール5は、第1電子部品53a用の実装基板と第2電子部品53b用の実装基板とを分けて製造していた従来のパワーモジュールよりも低コストで製造されることができる。
【0066】
(2)
本実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の第1実装エリアの厚みが十分に薄く、第1電子部品53aが、ほぼ50℃の冷媒により有効に冷却される。このため、このパワーモジュール5は、第1電子部品53a実装用としてアルミニウム基板やセラミック基板などを採用していた従来のパワーモジュールよりも低コストで製造されることができる。また、このパワーモジュール5では、実装基板51がガラス繊維強化エポキシ樹脂から成るので、上記のような従来のパワーモジュールよりも加工性に優れる。また、このパワーモジュール5では、実装基板51がガラス繊維強化エポキシ樹脂から成るので、上記のような従来のパワーモジュールよりも第1電子部品53aの実装信頼性に優れる。
【0067】
(3)
本実施の形態に係るパワーモジュール5では、第1電子部品53aと冷媒通路59との最短距離が、第2電子部品53bと冷媒通路59との最短距離よりも短い。このため、このパワーモジュール5では、第2電子部品53bから生じる熱よりもパワー半導体から生じる熱を効率的にパワーモジュール5の系外に排出することができる。
【0068】
〔変形例〕
(A)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、冷却ジャケット58が、実装基板51の電子部品53a,53bの実装面の反対側に、実装基板51の実装面と反対の面に接するように設けられており、さらにその冷却ジャケット58の内部に冷媒通路59が形成されていた。しかし、図6に示されるように、冷媒通路59Aが実装基板51Aの内部に形成されてもかまわない。このようにすれば、第1電子部品53aと冷媒通路59Aとの距離をさらに短くすることができる。
【0069】
(B)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の第1実装エリアの厚みが第2実装エリアの厚みよりも薄かったが、第1実装エリアの厚みが第2実装エリアの厚みと同じであってもかまわない。この場合、図4の表に示されるとおり、第1電子部品53aから生じる熱がパワーモジュール5から十分に排出されない懸念があるため、図7に示されるように、第1電子部品53aの周囲の実装基板51B内部にサーマルビア54Bを設けるのが好ましい。さらには、冷却ジャケット58と実装基板51Bとの間に接触伝熱層57Bを設けてもかまわない。また、さらに、第1電子部品53aと実装基板51Aとの間にヒートスプレッダを挿入してもかまわない。
【0070】
(C)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、冷凍サイクルの流れにより冷媒通路59に流入する冷媒の温度がほぼ決まっていた。しかし、第1電子部品53aの周辺に温度センサを設け、さらに冷媒通路59の出入口付近に膨張弁を設けて、第1電子部品53aの周辺温度を一定に保つように、冷媒の蒸発温度を制御してもよい。このようにすれば、より確実に第1電子部品を保護することができる。なお、かかる場合、冷媒通路59の出口を圧縮機32の吸入配管に接続するようにしてもよい。
【0071】
(D)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の第1実装エリアの厚みが100μm前後とされていたが、冷媒通路59に流入する温度によってはそれ以上の厚みであってもかまわない(図4参照)。また、これとは逆に実装基板51の第1実装エリアの厚みを100μm以下としてもかまわないが、この場合は、絶縁破壊強度に留意する必要がある。
【0072】
(E)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の原料としてエポキシ樹脂が採用されたが、絶縁性を有するセラミック粒子などを配合したエポキシ樹脂が採用されてもかまわない。このようすれば、実装基板の熱伝導率を向上することができ、さらに効率よく第1電子部品53aから生じる熱をパワーモジュール5の系外に排出することができる。
【0073】
(F)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51として積層型樹脂基板が採用されたが、これに代えて、図8、図9、および図10に示されるような、両面にのみ導電体パターンが設けられている両面樹脂基板51C,51D,51Eが採用されてもよい。このようなパワーモジュール5C,5D,5Eでは、第1電子部品53aから生じる熱を冷媒通路59方向へ拡散させるために両面樹脂基板51C,51D,51Eの樹脂部にサーマルビア54Cを設けたり、樹脂部に熱伝導性フィラー54Dを分散させたり、樹脂部に熱伝導性シート54Eを挿入したりするのが好ましい。また、第1電子部品53aから生じる熱を実装面に沿って拡散させるヒートスプレッダ54を設ければ更に効果的である。また、かかる場合、両面樹脂基板51C,51D,51Eの絶縁性を確保するために両面樹脂基板51C,51D,51Eと冷却ジャケット58との間に電気絶縁層57C,57D,57Eを設けるのが好ましい。ただし、熱伝導性フィラー54Dや熱伝導性シート54Eがセラミック等であって電気絶縁性を有する場合、この電気絶縁層57C,57D,57Eは省くことができる。
【0074】
(G)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51との接触面がフラットな形状の冷却ジャケット58が採用されたが、これに代えて、図11に示されるような段差付きの冷却ジャケット58Fが採用されてもよい。このようにすれば、第1電子部品53aなどの実装面の反対側の面にのみ冷却ジャケット58Fが接触し、他の部分では両面実装を行うことが可能となる。したがって、このようなパワーモジュール5Fでは、不必要な冷却(あるいは加熱)を防ぐことができると同時に更なるコンパクト化が可能となる。また、このようにすれば、実装面と反対側の面にリード線が出てしまうような場合でも対応可能となる。また、冷却ジャケット58Fと実装基板51Fとの間に電気絶縁層57Fを設けてもよい。
【0075】
(H)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5の製造方法では、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5の順序で各処理が行われたが、この順序は入れ替えられてもよい。例えば、ステップS1→ステップS4→ステップS2→ステップS3→ステップS5の順序で各処理が行われてもよいし、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS3→ステップS5の順序で各処理が行われてもよいし、ステップS5→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4の順序で各処理が行われてもよい。
【0076】
(I)
先の実施の形態に係るパワーモジュール5では、実装基板51の原料としてエポキシ樹脂が採用されたが、これ以外の樹脂(例えば、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂など)が採用されてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係るパワーモジュールは、従来のパワーモジュールよりも低い製造コストで製造されることができ、かつ、コンパクト化されることができるという特徴を有し、パワーモジュールの低コスト化およびコンパクト化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施の形態に係る空気調和機の外観斜視図。
【図2】本実施の形態に係る空気調和機の冷媒回路図。
【図3】(a)本実施の形態に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの縦断面図、(b)本実施の形態に係るパワーモジュールの冷却ジャケット部の上面透視図。
【図4】本実施の形態に係る実装基板の厚みと放熱特性との関係を示す表。
【図5】本実施の形態に係るパワーモジュールの製造工程を表すフローチャート。
【図6】変形例(A)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図7】変形例(B)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図8】変形例(F)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図9】変形例(F)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図10】変形例(F)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【図11】変形例(G)に係る空気調和機に搭載されるパワーモジュールの部分縦断面図。
【符号の説明】
【0079】
1 空気調和機
5F パワーモジュール
51F 実装基板(樹脂基板)
53a 第1電子部品(パワー半導体)
53b 第2電子部品(非パワー半導体)
57F 電気絶縁層
58F 冷却ジャケット
59 冷媒通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、
前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板(51F)と、
第1板部と、前記樹脂基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路(59)が設けられる第2板部とを有する冷却ジャケット(58F)と、
を備える、パワーモジュール(5F)。
【請求項2】
前記パワー半導体またはその近傍の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段において検知される温度が前記所定の温度になるように前記冷却流体の温度を制御する温度制御手段と、
をさらに備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記パワー半導体と前記冷却流体通路との間の最短距離は、前記非パワー半導体と前記冷却流体通路との間の最短距離よりも短い、
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記樹脂基板のうち前記パワー半導体を実装する部分の厚みは、前記非パワー半導体を実装する部分の厚みよりも薄い、
請求項1から3のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記樹脂基板は、板厚方向に積層される複数の積層単位体から構成されており、
前記パワー半導体を実装する部分の厚みおよび前記非パワー半導体を実装する部分の厚みは、前記積層単位体それぞれの形状により調節される、
請求項4または5に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
少なくとも前記パワー半導体から生じる熱を拡散させるための熱拡散部をさらに備える、
請求項1から5のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記熱拡散部と前記冷却流体通路との間に配置される電気絶縁層(57F)をさらに備える、
請求項6に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記熱拡散部には、前記パワー半導体と前記樹脂基板の実装面との間に配置されるヒートスプレッダが含まれる、
請求項6または7に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記熱拡散部には、前記樹脂基板の板面に交差する方向に沿って前記樹脂基板の内部に設けられるサーマルビアが含まれる、
請求項6から8のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記熱拡散部には、前記樹脂基板の樹脂部に分散配合される熱伝導性フィラーが含まれる、
請求項6から9のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記熱拡散部には、前記樹脂基板の樹脂部に埋設される熱伝導性シートが含まれる、
請求項6または7に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、
前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する、板厚方向の熱伝導率が10W/(m・K)以下である1枚の実装基板(51,51A,51B,51C,51D,51E,51F)と、
第1板部と、前記実装基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記実装基板側に突出し内部に冷却流体通路(59)が設けられる第2板部とを有する冷却ジャケット(58F)と、
を備える、パワーモジュール(5F)。
【請求項13】
冷媒回路と、
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板(51F)と、第1板部、および、前記樹脂基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記樹脂基板側に突出し内部に、前記冷媒回路に流れる冷媒を通過させるための冷却流体通路(59)が設けられる第2板部を有する冷却ジャケット(58F)とを有するパワーモジュール(5F)と、
を備える、空気調和機(1)。
【請求項14】
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板(51F)と、第1板部、および、前記樹脂基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路(59)が設けられる第2板部を有する冷却ジャケット(58F)とを有するパワーモジュール(5F)の製造方法であって、
前記パワー半導体を前記樹脂基板の規定の位置に固定するパワー半導体固定工程と、
前記パワー半導体と前記樹脂基板に設けられる回路とをワイヤ接続するワイヤ接続工程と、
前記非パワー半導体と前記回路とを接続する非パワー半導体接続工程と、
前記樹脂基板を前記冷却ジャケットに固定する冷却ジャケット固定工程と、
を備える、パワーモジュールの製造方法。
【請求項1】
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、
前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板(51F)と、
第1板部と、前記樹脂基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路(59)が設けられる第2板部とを有する冷却ジャケット(58F)と、
を備える、パワーモジュール(5F)。
【請求項2】
前記パワー半導体またはその近傍の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段において検知される温度が前記所定の温度になるように前記冷却流体の温度を制御する温度制御手段と、
をさらに備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記パワー半導体と前記冷却流体通路との間の最短距離は、前記非パワー半導体と前記冷却流体通路との間の最短距離よりも短い、
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記樹脂基板のうち前記パワー半導体を実装する部分の厚みは、前記非パワー半導体を実装する部分の厚みよりも薄い、
請求項1から3のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記樹脂基板は、板厚方向に積層される複数の積層単位体から構成されており、
前記パワー半導体を実装する部分の厚みおよび前記非パワー半導体を実装する部分の厚みは、前記積層単位体それぞれの形状により調節される、
請求項4または5に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
少なくとも前記パワー半導体から生じる熱を拡散させるための熱拡散部をさらに備える、
請求項1から5のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記熱拡散部と前記冷却流体通路との間に配置される電気絶縁層(57F)をさらに備える、
請求項6に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記熱拡散部には、前記パワー半導体と前記樹脂基板の実装面との間に配置されるヒートスプレッダが含まれる、
請求項6または7に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記熱拡散部には、前記樹脂基板の板面に交差する方向に沿って前記樹脂基板の内部に設けられるサーマルビアが含まれる、
請求項6から8のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記熱拡散部には、前記樹脂基板の樹脂部に分散配合される熱伝導性フィラーが含まれる、
請求項6から9のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記熱拡散部には、前記樹脂基板の樹脂部に埋設される熱伝導性シートが含まれる、
請求項6または7に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、
前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する、板厚方向の熱伝導率が10W/(m・K)以下である1枚の実装基板(51,51A,51B,51C,51D,51E,51F)と、
第1板部と、前記実装基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記実装基板側に突出し内部に冷却流体通路(59)が設けられる第2板部とを有する冷却ジャケット(58F)と、
を備える、パワーモジュール(5F)。
【請求項13】
冷媒回路と、
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板(51F)と、第1板部、および、前記樹脂基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記樹脂基板側に突出し内部に、前記冷媒回路に流れる冷媒を通過させるための冷却流体通路(59)が設けられる第2板部を有する冷却ジャケット(58F)とを有するパワーモジュール(5F)と、
を備える、空気調和機(1)。
【請求項14】
電力変換を行うための電源回路を構成するパワー半導体(53a)および非パワー半導体(53b)と、前記パワー半導体と前記非パワー半導体との両者を実装する1枚の樹脂基板(51F)と、第1板部、および、前記樹脂基板のうち少なくとも前記パワー半導体の実装面の裏側面に接触するように前記第1板部の板厚方向に沿って前記第1板部よりも前記樹脂基板側に突出し内部に冷却流体通路(59)が設けられる第2板部を有する冷却ジャケット(58F)とを有するパワーモジュール(5F)の製造方法であって、
前記パワー半導体を前記樹脂基板の規定の位置に固定するパワー半導体固定工程と、
前記パワー半導体と前記樹脂基板に設けられる回路とをワイヤ接続するワイヤ接続工程と、
前記非パワー半導体と前記回路とを接続する非パワー半導体接続工程と、
前記樹脂基板を前記冷却ジャケットに固定する冷却ジャケット固定工程と、
を備える、パワーモジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−43188(P2007−43188A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258065(P2006−258065)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【分割の表示】特願2005−109720(P2005−109720)の分割
【原出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【分割の表示】特願2005−109720(P2005−109720)の分割
【原出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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