説明

ヒトORL1受容体に対するアゴニストとしてのベンズイミダゾロン及びキナゾリノン誘導体

本発明はヒトORL1(ノシセプチン)受容体に対するアゴニストである新規のベンズイミダゾロン及びキナゾリノン誘導体の1群に関する。本発明は、また、これらの化合物の製造、薬理学的有効量のこれらのイミダゾロン及びキナゾリノン誘導体の少なくとも1種を有効成分として含有する製薬学的組成物並びにORL1受容体が関与する障害の処置のためのこれらの製薬学的組成物の使用に関する。本発明は記号が明細書中に示された意味をもつ一般式(1):
【化1】


の化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒトORL1(ノシセプチン)受容体に対するアゴニストである、新規のベンズイミダゾロン及びキナゾリノン誘導体の1群に関する。本発明はまた、これらの化合物の調製、製薬学的に有効量のこれらのイミダゾロン及びキナゾリノン誘導体の少なくとも1種を有効成分として含有する製薬学的組成物並びにORL1受容体が関与する障害の処置のためのこれらの製薬学的組成物の使用に関する。
【0002】
本発明は有益な効果を与える医薬の製造のための、本明細書に開示される化合物の使用に関する。有益な効果は本明細書に開示されるか又は当該技術分野における明細書及び一般的知識から当業者に明白である。本発明はまた、疾患又は状態を処置又は予防するための医薬の製造のための本発明の化合物の使用に関する。更に特には、本発明は本明細書に開示される又は当該技術分野における明細書及び一般的知識から当業者に明白な疾患又は状態の処置のための新規の使用に関する。本発明の態様において、本明細書に開示される特定の化合物が医薬の製造に使用される。
【背景技術】
【0003】
‘Opioid Receptor−Like 1(オピオイド受容体様1)’受容体はヒトcDNAライブラリーから同定された。この「オーファン受容体(orphan receptor)」はμ−、κ−及びδ−オピオイド受容体と密接な相同性を有することが立証された(非特許文献1及び2参照)。オピオイド受容体とのその密接な配列及び構造の類似にも拘わらず、古典的なオピオイド受容体リガンドはORL1受容体と相互作用しない。1995年に、17−アミノ酸神経ペプチドが脳抽出物から精製され、その後Gタンパク質−結合ORL1受容体の天然のリガンドであることが示された(非特許文献3及び4参照)。このペプチドはオーファンFQ又はノシセプチンと名付けられた。それは3種の伝統的なオピオイド受容体に結合しない。これらの所見はORL1受容体の機能的役割及びそれに対する新規のリガンドの実質的な研究の引き金を引いた。
【0004】
これは、ペプチド及び非ペプチドのリガンド双方につき説明している幾つかのレビュー(例えば、非特許文献5参照)及び多数の特許出願物を含む数百の刊行物をもたらした。記載された化合物はORL1受容体に対する効力及び更に選択性(μ−アヘン剤受容体に対するORL1)において著しく異なる。μ−アヘン剤受容体は身体中に広く分布されているので、選択性の欠如が一連の望ましくないアヘン剤様副作用(例えば、鎮静、呼吸抑制、耐性及び依存性)をもたらす可能性がある(非特許文献6参照)。記載の化合物のインビボの薬理学的及び薬物動態学的特性も同様に著しく異なる。
【0005】
多数のORL1関連特許出願物、例えば、特許文献1〜6はベンズイミダゾロン誘導体に関する(特許文献1〜6参照)。後者のうちでは、特許文献5が本発明にもっとも近い。しかし、そこに記載されたベンズイミダゾロン誘導体は有用な治療剤にとり重要であると一般に認識される基準を満たすとは思われない。それらは次の特徴:
(1)適度の効力(166〜1252nMの範囲内のORL1受容体に対する親和性)、(2)μ−アヘン剤受容体に対する選択性が少ない(19〜457nMの範囲内の親和性)、
(3)経口投与後の利用可能性の証明が存在しない、及び
(4)CNS−利用可能性の証明が存在しないこと、
を有する。
【0006】
記載されたもっとも強力なORL1アゴニストはRo 64−6198である。この化合物はベンズイミダゾロン部分を含まないが、その代わりにスピロコアを有する(特許文献7、非特許文献7及び8参照)。Ro 64−6198は「血液脳関門」を容易に透過する強力な、選択的な化合物であると言及されている。しかし、その好ましいインビトロの結合データにも拘わらず、このリガンドのインビボのプロファイルは幾つかの欠点:
(1)インビボのデータに基づいて予測されたものより不安症モデルにおいて効果が弱い、
(2)ORL1アゴニストとして所望される効果と、インビボの望ましくないアヘン剤の副作用との間の治療濃度域(therapeutic window)がインビトロのデータに基づいて予測される値より小さいこと、
を示す。
【0007】
前記に引用されたベンズイミダゾロン誘導体及びRo 64−6198についての教示は記載された最良の化合物のインビボの薬理学的プロファイルをいかにして改善するかの方向を示していない。主題事項のレビューにおいて(“Characterisation of opiate,neuroleptics,and synthetic analogs at ORL1 and opioid receptors(ORL1及びオピオイド受容体におけるアヘン剤、神経安定剤及び合成類似体の特徴説明)”,非特許文献9)において、Zaveri等は「活性部位における小分子のモデル又は小分子に結合されたORL1受容体の結晶構造の不在下において、非常に密接な構造的類似性をもつものであっても、ORL1受容体リガンドの異なる群の間のSARを評価する際には非常に注意しなければならない」と結論している(非特許文献9参照)。
【特許文献1】国際公開第98/54168号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/36421号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/006545号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/08013号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/39775号パンフレット
【特許文献6】米国特許第20020128288号明細書
【特許文献7】欧州特許第0856514号明細書
【非特許文献1】Mollereau等、FEBS Lett.,341,33−38,1994
【非特許文献2】Bunzow等、FEBS Lett.,347,284−288,1994
【非特許文献3】Reinscheid等、Science,270,792−794,1995
【非特許文献4】Meunier等、Nature,377,532−535,1995
【非特許文献5】Grond等、Anaesthesist.51,996−1005,2002
【非特許文献6】Drug News Perspect.,14,335,2001
【非特許文献7】Eur.J.Med.Chem.,35(2000)839−851
【非特許文献8】Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,2000,97,4938
【非特許文献9】Eur.J.Pharmacol,428,29−36,2001
【発明の開示】
【0008】
驚くべきことには、今回、置換基の新規の組み合わせを有する一連のベンズイミダゾロン及びキナゾリノン誘導体において、1群の化合物がヒトORL1受容体に対して高い親和性をもつことが示されたことが見いだされた。更に、これらの化合物はμ−アヘン剤受容体に関連してORL1受容体に優れた選択性を示し、経口投与後に容易に利用可能であ
り、そして脳血液関門を通過する。幾つかのこれらの化合物のインビトロ及びインビボの薬理学的プロファイルは、とりわけ、ORL1アゴニストとして所望される効力と、インビボの望ましくないアヘン剤の副作用間の治療濃度域に関して、Ro 64−6198のものより優れている。本発明は、一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
はH、アルキル(1−6C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、カルボアルコキシ(2−7C)又はアシル(2−7C)を表わし、
[]は−(CH−を表わし、ここでmは0又は1のいずれかであり、
はハロゲン、CF、アルキル(1−6C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、フェニル、アミノ、アミノアルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)アミノ、ジアルキル(1−3C)アミノ、シアノ、シアノアルキル(1−3C)、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル(1−3C)、(1−3C)アルコキシ、OCF、アシル(2−7C)、トリフルオロアセチル、アミノカルボキシル、(1−3C)アルキルスルホニル又はトリフルオロメチルスルホニルを表わし、そしてnは0〜4の整数であり、ただし、nが2、3又は4である時は、R置換基は同一であるか又は異なってもよく、
Aは飽和又は一部不飽和の環であり、
[]及び[]はそれぞれ−(CH−及び−(CH−を表わし、ただしAが一部不飽和の環であり、そしてo及びpが独立に0、1又は2のいずれかである時は、−CH−の意味もまた可能であり、
、R、R及びRは独立に水素、アルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、CHOHを表わすかあるいは(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)が一緒になって1〜3個の炭素原子のアルキレン橋を形成することができ、ただし、oが2である時は、Rは水素であり、そしてpが2である時は、Rが水素であり、
はH、ハロゲン、CF、アルキル(1−6C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、アミノ、アミノアルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)アミノ、ジアルキル(1−3C)アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル(1−3C)、(1−3C)アルコキシ、OCF3、アシル(2−7C)、アミノカルボキシル又は(1−3C)アルキルスルホニルを表わす]
の化合物及び薬理学的に許容できるそれらの塩及びプロドラッグに関する。
【0011】
式(1)を有する化合物、ラセミ体、ジアステレオマーの混合物及び個々の立体異性体すべてが本発明に属する。従って、不斉な可能性のある炭素原子上の置換基がR−配置又はS−配置のいずれかにある化合物は本発明に属する。更に、プロドラッグ、すなわち任意の知られた経路によりヒトに投与される時に、式(1)をもつ化合物に代謝される化合物、は本発明に属する。プロドラッグは親の薬剤分子の利用に対する何らかの障害を克服するために使用される薬剤分子の生体可逆性誘導体である。これらの障害には、それらに限定はされないが、溶解度、透過性、安定度、前全身的代謝及び標的決定の限界が含まれ
る(J.Stella,“Prodrugs as therapeutics”,Expert Opin.Ther.Patents,14(3),277−280,2004)。とりわけ、これは第一級又は第二級アミノあるいはヒドロキシ基をもつ化合物に関する。このような化合物は有機酸と反応させて、投与後に容易に除去される更なる基、例えば、それらに限定はされないが、アミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレン・カルバメート)誘導体、カルバメート、エステル、アミド又はエナミノンが存在する場合の、式(1)をもつ化合物を生成することができる。プロドラッグは、吸収されると活性形態に転化される不活性化合物である(Medicinal Chemistry:Principles and Practice,1994,ISBN 0−85186−464−5,Ed.:F.D.King,p.216)。
【0012】
本発明は、特に、Aが飽和環であり、Rが水素、アルキル(1−3C)又はアシル(2−4C)を表わし、R、R、R及びRが独立に水素、アルキル(1−3C)を表わすかあるいは(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)が一緒になって1〜3個の炭素原子のアルキレン橋を形成することができ、ただし、oが2である時は、Rが水素であり、そしてpが2である時は、Rが水素であり、RがH、ハロゲン、CF、アルキル(1−3C)、アミノ、アミノアルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)アミノ、ジアルキル(1−3C)−アミノ、ヒドロキシ、(1−3C)アルコキシ又はOCFを表わし、そしてR、m、n、o及びpが前記に示した意味をもつ式(1)をもつ化合物に関する。
【0013】
更にとりわけ、本発明は、Aが飽和環であり、m=0、n=0又は1、o=1、p=1、R=H又はアセチルであり、Rがハロゲン、CF、アルキル(1−3C)、アミノ、シアノ、OCH又はOCFを表わし、R、R、R及びRが独立に水素又はアルキル(1−2C)を表わすかあるいは(R及びR)が一緒になって1〜2個の炭素原子のアルキレン橋を形成することができ、そしてRがH、ハロゲン、CF、アルキル(1−3C)、アミノ、ヒドロキシ又はOCFである式(1)の化合物に関する。
【0014】
更により好ましいものは、式(2)をもつ化合物及びその立体異性体である。以下、この化合物を「実施例1」と称す。
【0015】
【化2】

【0016】
本発明の化合物は、補助物質及び/あるいは液体又は固体の担体物質を使用して通常の方法により、投与に適した形態に至らせることができる。
【0017】
製薬学的に許容できる塩は当該技術分野で周知の標準的方法を使用して、例えば、本発明の化合物を適当な酸と混合することにより得ることができる。適当な酸付加塩は塩酸のような無機酸又はフマル酸のような有機酸により形成することができる。
【0018】
一般式(1)の本発明の化合物並びにそれらの塩はORL1アゴニスト活性を有する。
それらはORL1受容体が関与するか、又はこれらの受容体の操作により処置することができる障害の処置に有用である。例えば、急性及び慢性疼痛状態、中枢神経系障害、特に、それらに限定はされないが、不安及びストレス障害の症候の改善、鬱病、種々の形態の癲癇、発作(stroke)、認知及び記憶の欠陥を特徴とする障害、例えば、アルツハイマー病、クロイツェルト−ヤコブ病、ハンチントン氏病、パーキンソン氏病、神経的リハビリテーション(外傷後脳損傷);急性脳又は脊髄傷害、(依存症及び乱用のような)物質使用障害及び(物質禁断症状のような)物質誘発障害を包含する物質関連障害;摂食障害、例えば、神経性拒食症及び神経性多食症、肥満;胃腸障害、とりわけ過敏性大腸症候群、炎症性大腸疾患(クローン氏病)及び潰瘍性大腸炎、尿路炎症、水分貯留/排泄又は塩排泄の不均衡を特徴とする腎障害;心血管障害、例えば、心筋梗塞、不整脈、高血圧症、血栓症、貧血、動脈硬化症、狭心症、皮膚疾患、例えば、蕁麻疹、紅斑性狼瘡及び掻痒;緑内障のような眼科的障害;慢性閉塞性肺疾患、気管支炎及び嚢胞性繊維症を包含する呼吸器障害;免疫系の疾患、及びウイルス感染症における処置に有用である。
【0019】
本発明の化合物は概括的に化合物、より特には本明細書に開示される特定の化合物の存在のために、本発明の重要なそして新規な態様である製薬学的組成物として投与される。使用することができる製薬学的組成物の種類にはそれらに限定はされないが、錠剤、咀嚼錠、カプセル、液剤、非経口液剤、座薬、懸濁液及び本明細書に開示される、あるいは当該技術分野における明細書及び一般的知識から当業者に明白な他の種類が含まれる。本発明の態様において、本発明の製薬学的組成物の1又は複数の成分を充填された1又は複数の容器を含んでなる製薬学的パック又はキットが提供される。このような1又は複数の容器には、様々な書類物質、例えば、使用説明書あるいは、その情報がヒト又は家畜投与のための製造、使用又は販売機関による認可を反映する、医薬品の製造、使用又は販売を統制する政府機関により記載された形態の情報を添付することができる。
【0020】
合成の概括的アスペクト
本発明の化合物及びそれらの塩はスキーム1において下記に概説される一般的な経路に従って得ることができる:
【0021】
【化3】

【0022】
この概括的経路の出発化合物は以下のように得られる:
ベンズイミダゾロン[(i)、m=0の時]はJ.Med.Chem.30,814−819,1987及び国際公開第99/36421号パンフレットに記載の方法に従って合成することができる。キナゾリノン[(i)、m=1の時]はChem.Phar.Bull.,33.1116−1128,1985に従って合成することができる。(置換)2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−1H−フェナレン−1−オンのN−ニトロ−オキシム(ii)は対応するケトンから調製される。これらのケトンは順次、Eur.J.Med.Chem.35,839−851,2000に記載のような対応する(置換)テトラロンから調製される。
【0023】
合成の具体的実施例
実施例1の合成:
実施例1の合成の詳細な概要はスキーム2に与えられる。
【0024】
【化4】

【0025】
スキーム2からの最初の4段階はEur.J.Med.Chem.35,839−851,2000に従って実施された。中間化合物5(スキーム2参照)で出発すると、合成は以下のとおりである:
【0026】
段階5(スキーム2):2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−1H−フェナレン−1−オン(化合物5)52g(0.28モル)、ヒドロキシルアミン.HClを28.1g(0.40モル)及び酢酸ナトリウム.3HOを55g(0.40モル)の混合物(500mlの96%エタノール中)を80℃で4時間、そして室温で更に16時間撹拌した。生成された混合物を真空下濃縮し、ジクロロメタン750ml及びNaHCOの5%水溶液300mlを添加した。水層をジクロロメタン100mlで2回洗浄し、合わせた有機層を生理食塩水100mlで洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空下濃縮した。
【0027】
段階6(スキーム2):生成されたオフホワイトの固体のオキシム(化合物6)58.8g(定量的収量を表わす)をt−ブチルメチルエーテル600ml中に懸濁させた。室温で、この懸濁液に硝酸ナトリウム41.4g(0.6モル)の水溶液230mlを添加し、次に2N硫酸溶液290mlを添加した。40℃で16時間撹拌後、混合物を室温に冷却し、NaHCO飽和水溶液300mlを添加した。水層をt−ブチルメチルエーテル300mlで2回抽出し、合わせた有機層を生理食塩水150mlで洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空下濃縮した。生成された褐色の油を、溶離剤としてジクロロメタンを使用するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。真空下濃縮後に得られた油状生成物をシクロヘキサンで摩砕し、生成された沈殿物を濾取し、乾燥した。純粋なNO−イミン(化合物7)を64〜69℃の融点をもつオフホワイトの固体として得た(34g、0.148モル、52%収率)。
【0028】
段階7(スキーム2):4−(1−ベンズイミダゾロン)ピペリジン(化合物8、ACROS)6.51g(30ミリモル)、NO−イミン(化合物7)6.9g(30ミリモル)及びジ−イソプロピルエチルアミン5.25mlの混合物(450mlの1,2−ジクロロ−エタン中)を50℃に加熱し、N下で16時間撹拌した。室温に冷却後、NaBH(OAc)12.7g(60ミリモル)を添加し、生成された混合物を室温でN下で24時間撹拌した。反応混合物の真空下濃縮後、ジクロロメタン500ml及びNaHCO5%水溶液500mlを撹拌しながら添加した。水層をジクロロメタン100mlで2回洗浄し、合わせた有機層を生理食塩水100mlで洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空下濃縮した。粗生成物を溶離剤としてジクロロメタン−メタノール−アンモニア(92:7.5:0.5)の混合物によるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。真空下濃縮により純粋生成物を得た(8.09g、21ミリモル、70%収率、融点155〜158℃)。純粋生成物8.09g(21ミリモル)にエタノール60ml及びフマル酸2.44g(21ミリモル)を添加した。生成された溶液の真空下濃縮により358m/zのM及び232〜234℃の融点をもつ白色発泡体として実施例1のフマル酸塩(10.53g、21ミリモル、定量的収率)を与えた。
【0029】
実施例2の合成
窒素下の4−(1−キナゾリノン)ピペリジン2.31g(10ミリモル)及びNO−イミン(化合物7)2.3g(10ミリモル)の混合物(100mlの1,2−ジクロロエタン中)を加熱し、50℃で7時間そして室温で16時間撹拌した。次にNaBH(OAc)4.2g(20ミリモル)を添加し、生成された混合物をN下で室温で24時間撹拌した。反応混合物を真空下濃縮後、ジクロロメタン200ml及びNaHCO5%水溶液200mlを撹拌しながら添加した。水層をジクロロメタン40mlで2回洗浄し、合わせた有機層を生理食塩水40mlで洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして真空下濃縮した。粗生成物を溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:アンモニア(94.5:5:0.5)の混合物によるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。真空下濃縮後に生成された純粋な生成物(2.5g、6.2ミリモル)をHClのエタノール中溶液50mlに溶解した。真空下濃縮すると、402m/zのM及び172〜180℃の融点をもつ白色非晶質固体として実施例2のHCl塩(2.05g、4.7ミリモル,47%収率)を与えた。
【0030】
実施例13の合成:
実施例13の合成の詳細な概観はスキーム3に与えられる:
【0031】
【化5】

【0032】
段階1(スキーム3):2,4−ジクロロニトロベンゼン(化合物9、Aldrich)3.84g(20ミリモル)、4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(化合物10、Aldrich)4.1ml(20ミリモル)、KCO4.46g(32ミリモル)の溶液(50mlのジメチルホルムアミド中)をN下で95℃で18時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水(150ml)−ジクロロメタン(250ml)中に注入した。水層をジクロロメタン50mlで2回抽出し、合わせた有機層を水50mlで2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、真空下濃縮した。生成された粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン:メタノール(97:3)の混合物を使用してカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。真空下濃縮後、純粋な生成物を黄色の油状物質(4.8g、13.8ミリモル、69%収率)として得た。
【0033】
段階2(スキーム3):ラネー−Ni(Aldrich R 2800[7440−02−0]、〜500mg)の一部を96%エタノール10mlで2回洗浄し、次にN下で化合物114.8g(13.8ミリモル)の溶液(200mlの96%エタノール中)に添加した。溶液を室温で、1大気圧で2.5時間、水和させた。次に混合物をHyflo上で濾過し、96%エタノール300mlで洗浄し、濾液を真空下濃縮すると着色油状物質(4.36g、13.8ミリモル、100%収率)として化合物12の定量的収量を与えた。
【0034】
段階3(スキーム3):窒素下で室温で撹拌された、化合物12(前段階からの生成物)4.36g(13.8ミリモル)の溶液(200mlのアセトニトリル中)に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI、ACROS)3.36g(20.7ミリモル)を添加した。10分後に形成を開始し、3時間まで増加する沈殿物を濾取し、アセトニトリル(200ml)で洗浄し、真空乾燥すると、ほとんど純粋な化合物13(3.30g、9.7ミリモル、70%収率)を与えた。
【0035】
段階4(スキーム3):N下で撹拌され、0℃に冷却された化合物133.30g
(9.7ミリモル)の懸濁液(90mlの1,2−ジクロロエタン中)に1−クロロエチルクロロホルメート(1.17ml、10.7ミリモル)の一部を滴下した。0℃で30分間、そして80℃で90分間撹拌後、混合物を再度0℃に冷却し、もう一方の部分の1−クロロエチルクロロホルメート(1.17ml、10.7ミリモル)を滴下した。混合物を0℃で30分間、そして80℃で16時間再度撹拌した。室温に冷却後、混合物を真空下濃縮し、メタノール75mlを残渣に添加した。生成された溶液を65℃で1時間撹拌し、真空下濃縮した。生成された褐色の半固体にジクロロメタン75mlを添加後、それは1時間撹拌下で固化した。沈殿物を濾取し、ジクロロメタン100mlで洗浄し、乾燥した。得られた粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン−メタノール−アンモニア(92:7.5:0.5)の混合物によるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。真空下濃縮後、化合物14を白色固体(1.61g、6.4ミリモル、66%収率)として得た。
【0036】
段階5(スキーム3):N下の化合物141.61g(6.4ミリモル)及びNO−イミン(化合物7)1.47g(6.4ミリモル)の混合物(200mlの1,2−ジクロロエタン中)を加熱し、50℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、NaBH(OAc)2.76g(13ミリモル)を添加し、生成された混合物をN下で室温で24時間撹拌した。僅かに着色された溶液をジクロロメタン300ml、水100ml及び5%NaHCO水溶液50mlの混合物上に注入した。水層をジクロロメタン70mlで2回洗浄し、合わせた有機層をMgSO上で乾燥し、真空下濃縮した。粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン:メタノール:アンモニア(92:7.5:0.5)の混合物によるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製した。純粋な生成物を真空下濃縮し、次にアセトニトリルとともに同時蒸発(co−evaporation)すると固化した。ジ−イソプロピルエーテル100ml中で撹拌後、沈殿物を濾取し、乾燥すると、422m/zのM+及び185〜188℃の融点をもつ僅かに着色した純粋な固体として実施例13(1.35g、3.2ミリモル、50%収率)をもたらした。
【0037】
これらの方法及び匹敵する方法により、以下の特定の実施例が合成された。それらは本発明をより詳細に更に具体的に表わすことを意図し、従って、いかなる方法でも本発明の範囲を限定すると判断されない。すべて一般式(1)により表わされるこれらの化合物の構造的情報は以下の表に提示される。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
薬理学的アッセイ
本発明の化合物のインビトロ及びインビボのORL1アゴニスト特性並びにそれらのμ−アヘン剤活性(の欠如)を以下に概説される方法を使用して決定した。
【0041】
ヒトORL1受容体に対する親和性
ヒトORL1受容体に対する化合物の親和性はArdati等、Mol.Pharmacol.51,816,1997により記載されたインビトロ受容体結合アッセイを使用して決定した。端的に言えば、ヒトORL1受容体が安定に発現されるCHO−細胞から膜プレパラートを得た。膜を、試験化合物の不在下又は適当なバッファー中に希釈された異なる濃度の試験化合物の存在下で[H]−ノシセプチンとともにインキュベートした。非特異的結合は10−6Mのノシセプチンの存在下で残存する結合と定義された。遊離物からの結合物放射活性物の分離はPackard細胞収穫装置(cell harvester)を使用して氷冷バッファーによる数回の洗浄を伴うPackard GF/Bガラス繊維フィルターをとおす濾過により実施された。結合物放射活性を液体シンチレーションカクテル(Microscint 0,Packard)を使用してシンチレーションカウンター(Topcount,Packard)で測定した。測定された放射活性を置換(displacing)試験化合物の濃度に対してプロットされ、置換(displacement)曲線を4−パラメーターのロジスティック回帰により計算して、IC50値、すなわち放射性リガンドの50%が置換される試験化合物の濃度、を与えた。親和性pK値はCheng−Prusoff等式:
pK=−log(IC50/(1+S/K))
[ここでIC50は前記のとおりであり、Sはモル/lで表わされるアッセイに使用され
た[H]−ノシセプチン濃度(典型的には0.2nM)であり、そしてKdはヒトORL1受容体に対する[H]−ノシセプチンの平衡解離定数(0.4nM)である]
に従って、放射性リガンド濃度に対するIC50値及びヒトORL1受容体に対するその親和性を補正することにより計算された。
【0042】
本発明の化合物は前記の結合アッセイにおいてORL1受容体に高い親和性を有する。この特性が、ORL1受容体が関与するか又はこれらの受容体の操作により処置することができる障害の処置にそれらを有用にさせる。
【0043】
ヒトμ−アヘン剤受容体に対する親和性
μ−アヘン剤受容体に対する化合物の親和性はChilders等、Eur.J.Pharm 55,11,1979により記載されたインビトロの受容体結合アッセイを使用して決定した。端的に言えば、ヒトμ−アヘン剤受容体が安定に発現されるCHO−細胞からの膜プレパラートを得て、試験化合物の不在下又は、適当なバッファー中に希釈された、10μM〜0.1nMまでの濃度範囲の試験化合物の存在下で[H]−ナロキソンとともにインキュベートした。非特異的結合は10−7Mのレバロルファン・タルトレートの存在下で残存する結合と定義された。遊離物からの結合放射活性物の分離は前記のように実施され、化合物の親和性は1nMの[H]−ナロキソンの濃度(S)及び1.3nMのK値を使用して同様に計算した。
【0044】
本発明の大部分の化合物は前記の結合アッセイにおいてμ−アヘン剤受容体に低い親和性を有する。従ってそれらはモルヒネのようなアヘン剤で起ることが知られている望ましくない副作用を誘起しそうにない。
【0045】
インビトロのORL1受容体アゴニスム
Gタンパク質結合ORL1受容体の活性化はアデニレート・シクラーゼ活性を阻害し、そして第2メッセンジャーのcAMPの細胞内濃度を減少する。Jenck等、Proc.Naatl.Acad.Sci.USA,97,4938−4943,2000により記載されたアッセイを使用して、ORL1受容体に対する化合物の活性を測定した。それらは強力なアゴニストであることが示された。
【0046】
インビボのORL1受容体アゴニズム
本発明の化合物は、腹腔内及び/又は経口投与後、Van der Poel等、Psychopharmacology,97,147−148,1989により記載されたConditioned Ultrasonic Distress Vocalization(調整超音波苦痛発声)(CUDV)法において著しく有効であることが示された。これは化合物が経口投与後、良好な生体利用能を有するのみならずまた、それらが「血液脳関門」を通過することを示す。ペプチドのノシセプチンもまたこのアッセイで活性であるが、その効果を示すためには、脳中に直接(頭蓋内脳室注入)投与される必要がある。
【0047】
ORL1アゴニストは血圧の低下を誘発した
腹腔内ナトリウムペントバルビタール80mg/kgにより麻酔されたラットに5分間隔で増加する量のORL1アゴニストを静脈内投与すると血圧の低下をもたらした。この低下はED80:対照に比較して血圧の20%低下をもたらす用量,として表わされる。相互作用の実験において、アヘン剤アンタゴニストのナロキソン2mg/kg又は選択的ORL1アンタゴニストのJ−113397の1mg/kgの1回の静脈内投与をアゴニストの第1回投与の10分前に投与した。J−113397のこの用量はノシセプチンの効果に完全に拮抗することができた。ナロキソンのこの用量は血圧のモルヒネ誘導低下に拮抗することが知られているが、血圧のノシセプチン誘導の低下に対しては効果をもたな
かった。
【0048】
食餌摂取に対するORL1アゴニスト及びモルヒネ誘導効果
近年の研究により食餌摂取をアヘン剤受容体のリガンドにより薬理学的に調整することができることが示された。Sanger及びMcCarthy(アヘン剤受容体アゴニストによりラットにもたらされた食餌及び水分摂取増加。Psychopahmacology,74(3):217−220,1981)はモルヒネの全身投与が食餌摂取の増加をもたらし、その効果は非選択的アヘン剤アンタゴニストのナロキソンにより可逆性であることを示した。更に、Ciccocioppo等(合成ノシセプチン/オーファンFQ受容体アゴニスト、Ro 64−6198によるラットのストレス−及びCRF−誘導拒食症の改善(reversal)、Psychopahmacology,161(2):113−119,2002)は、ORL1アゴニストのRo 64−6198の全身投与がまたラットの食餌摂取を増加したことを報告した。
【0049】
雄のウィスターラットを個別ケージにいれ、食餌及び水分を自由に与えた。ビヒクル、Ro 64−6198(1、3、6、10mg/kg)、実施例1(0.3、1、3、6、10mg/kg)又はモルヒネ(1、3、10mg/kg)を腹腔内に1回投与し、食餌を動物の到達範囲から外した。薬剤投与15分後に、秤量した量の食餌(5〜6ペレット=25〜30グラム)を動物のケージに再導入した。次に60分及び120分後に食餌を再秤量した。すべての動物を、実験の間に最短5日の間隔をおいて4種までの別の実験に再利用した。外部の騒音が動物にどんな更なるストレスをも誘発しないことを確保するように注意した。これらの実験で、アヘン剤アンタゴニストのナロキソン(1、3、10mg/kg)又はORL1アンタゴニストのJ113397(3,10,30mg/kg)をアゴニスト(Ro 64−6198、6mg/kg、実施例1、10mg/kg又はモルヒネ2mg/kg)投与前に投与され、アンタゴニストはアゴニスト投与の30分前に腹腔内投与された。すべての実験群が1群当り最少6匹の動物を表わした。
【0050】
動物研究で使用された化合物の調製物
実施例1の調製物:
経口(p.o.)投与のため:ガラス管中の固形の実施例1の所望の量(0.5〜15mg)に対し、幾らかのガラスビーズを添加し、固体を2分間渦流撹拌することにより粉砕した。水中1%のメチルセルロース溶液1mlの添加後、化合物を10分間渦流撹拌すること(vortexing)により懸濁させた。1mg/1ml以上まで濃縮するために、懸濁液中の残りの粒子を更に超音波浴を使用することにより懸濁させた。
【0051】
腹腔内(i.p.)投与のため:ガラス管中の固形の実施例1の所望量(0.5〜15mg)に対して、幾らかのガラスビーズを添加し、固体を2分間渦流撹拌することにより粉砕した。1%メチルセルロース及び5%マニトールの溶液(水中)1mlの添加後、化合物を渦流撹拌することにより10分間懸濁させた。最後にpHを7に調整した。
【0052】
実施例2の調製物:
経口(p.o.)投与のため:ガラス管中の固形の実施例2の所望の用量(0.5〜15mg)に対し、幾らかのガラスビーズを添加し、固体を2分間渦流撹拌することにより粉砕した。1%メチルセルロース水溶液1mlの添加後、化合物を10分間渦流撹拌することにより懸濁させた。NaOH水溶液(0.1N)数滴によりpHを7に調整した。懸濁液中の残りの粒子を超音波浴を使用することにより更に懸濁させた。
【0053】
腹腔内(i.p.)投与のため:調製物を、1%メチルセルロース(水中)の代わりに1%メチルセルロース及び5%マニトールを使用することによりp.o.投与に使用されたものと同様に得た。
【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
前記の表のデータから、腹腔内経路により投与されると実施例1はRo 64−6198の10倍強力であり、経口投与されると3倍強力であることが明白である。
【0057】
【表5】

【0058】
上記のデータは、実施例1(10〜3000μg/kgの範囲)の血圧低下効果がJ−113397により拮抗された(356〜1138μg/kgの用量−反応のシフト)が、その効果はナロキソンでは感受性でなかった(356及び334μg/kgにおいて用量−反応にシフトなし)。Ro 64−6198(10〜1000μg/kgの範囲)の効果はJ−113397により拮抗され(84〜264μg/kgの用量反応のシフト)、そして2種の最大用量における効果はナロキソンに感受性であった(84〜141μg/kgの用量反応のシフト)。Ro 64−6198は明らかにμ−アヘン剤成分を有する。
【0059】
【表6】

【0060】
モルヒネ(1.25、2.5、5及び10mg/kg)、Ro 64−6198(1、3及び10mg/kg腹腔内)及び実施例1(0.3、1、3、6、10mg/kg、腹腔内)はすべて食餌摂取の用量依存性増加をもたらし、それは全例においてビヒクル処置群に対して有意であった。アヘン剤アンタゴニストのナロキソン(3又は30mg/kg腹腔内)単独及びORL1アンタゴニストのJ113397(30mg/kg腹腔内)単
独の全身投与は食餌摂取に対して効果を与えなかった。
【0061】
【表7】

【0062】
モルヒネ投与後の食餌摂取増加はアヘン剤受容体アンタゴニストのナロキソンの存在下で拮抗された。実施例1と関連した食餌摂取の増加はORL1アンタゴニストのJ113397により完全に拮抗されたが、アヘン剤受容体アンタゴニストのナロキソンによっては拮抗されなかった。J113397はRo 64−6198と関連した食餌摂取の増加に拮抗しなかった(統計学的に有意には)が、他方ナロキソンによる前処理は食餌摂取のRo 64−6198誘導の有意な逆転をもたらした。
【0063】
本データは実施例1と関連する食餌摂取の増加がORL1受容体におけるアゴニズムにより仲介され、アヘン剤受容体により仲介されないことを示唆している。Ro 64−6198と関連する食餌摂取の増加はナロキソンにより一部拮抗されたが、J113397により拮抗されなかったことは、Ro 64−6198に対して、実施例1中に存在しないアヘン成分が存在することを示唆している。結論として、実施例1はRo 64−6198に比較して、より選択的なORL1アゴニストとして働く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、
はH、アルキル(1−6C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、カルボアルコキシ(2−7C)又はアシル(2−7C)を表わし、
[]は−(CH−を表わし、ここでmは0又は1のいずれかであり、
はハロゲン、CF、アルキル(1−6C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、フェニル、アミノ、アミノアルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)アミノ、ジアルキル(1−3C)アミノ、シアノ、シアノアルキル(1−3C)、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル(1−3C)、(1−3C)アルコキシ、OCF、アシル(2−7C)、トリフルオロアセチル、アミノカルボキシル、(1−3C)アルキルスルホニル又はトリフルオロメチルスルホニルを表わし、そしてnは0〜4の整数であり、ただし、nが2、3又は4である時は、R置換基は同一であるか又は異なってもよく、
Aは飽和又は一部不飽和の環であり、
[]及び[]はそれぞれ−(CH−及び−(CH−を表わし、ただしAが一部不飽和の環であり、そしてo及びpが独立に0、1又は2のいずれかである時は、−CH−の意味もまた可能であり、
、R、R及びRは独立に水素、アルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、CHOHを表わすかあるいは(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)は一緒になって1〜3個の炭素原子のアルキレン橋を形成することができ、ただし、oが2である時は、Rは水素であり、そしてpが2である時は、Rは水素であり、
はH、ハロゲン、CF、アルキル(1−6C)、アルキル(1−3C)シクロアルキル(3−6C)、アミノ、アミノアルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)アミノ、ジアルキル(1−3C)アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル(1−3C)、(1−3C)アルコキシ、OCF3、アシル(2−7C)、アミノカルボキシル又は(1−3C)アルキルスルホニルを表わす]
の化合物、すべての立体異性体、並びに薬理学的に許容できる塩及び、投与後に容易に除去される基、例えば、アミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレン・カルバメート)誘導体、カルバメート又はエナミノンが存在する場合の、式(1)をもつ化合物の誘導体であるプロドラッグ。
【請求項2】
Aが飽和環であり、Rが水素、アルキル(1−3C)又はアシル(2−4C)を表わし、R、R、R及びRが独立に水素、アルキル(1−3C)を表わすかあるいは(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)又は(R及びR)が一緒になって1〜3個の炭素原子のアルキレン橋を形成することができ、ただし、oが2である時は、Rが水素であり、そしてpが2である時は、Rが水素であり、RがH、ハロゲン、CF、アルキル(1−3C)、アミノ、アミノアルキル(1−3C)、アルキル(1−3C)アミノ、ジアルキル(1−3C)−アミノ、ヒドロキシ、(1−3C)
アルコキシ又はOCFを表わし、そしてR、m、n、o及びpが前記に示した意味をもつ請求項1に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項3】
Aが飽和環であり、m=0、n=0又は1、o=1、p=1、R=H又はアセチルであり、Rがハロゲン、CF、アルキル(1−3C)、アミノ、シアノ、OCH又はOCFを表わし、R、R、R及びRが独立に水素又はアルキル(1−2C)を表わすかあるいは(R及びR)が一緒になって1〜2個の炭素原子のアルキレン橋を形成することができ、そしてRがH、ハロゲン、CF、アルキル(1−3C)、アミノ、ヒドロキシ又はOCFを表わす請求項1に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項4】
式(2)
【化2】

をもつ請求項1に記載の化合物及びその立体異性体。
【請求項5】
一般式(1)をもつ化合物の合成に有用な、Rが請求項1に示した意味をもつ一般式(3)
【化3】

の化合物。
【請求項6】
医薬として使用するための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
薬理学的に有効な量の請求項1〜4のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する製薬学的組成物。
【請求項8】
ORL1受容体が関与するか、又はこれらの受容体の操作により処置することができる障害の処置のための製薬学的組成物の調製のための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
前記障害が急性及び慢性疼痛状態、中枢神経系障害、特に、それらに限定はされないが、不安及びストレス障害の症候の改善、鬱病、種々の形態の癲癇、発作(stroke)、認知及び記憶の欠陥を特徴とする障害、例えば、アルツハイマー病、クロイツェルト−ヤコブ病、ハンチントン氏病、パーキンソン氏病、神経的リハビリテーション(外傷後脳損傷);急性脳又は脊髄傷害、(依存症及び乱用のような)物質使用障害及び(物質禁断症状のような)物質誘発障害を含む物質関連障害;摂食障害、例えば、神経性拒食症及び神経性多食症、肥満;胃腸障害、とりわけ過敏性大腸症候群、炎症性大腸疾患(クローン氏病)及び潰瘍性大腸炎、尿路炎症、水分貯留/排泄又は塩排泄の不均衡を特徴とする腎障害;心血管障害、例えば、心筋梗塞、不整脈、高血圧症、血栓症、貧血、動脈硬化症、狭心症、皮膚疾患、例えば、蕁麻疹、紅斑性狼瘡及び掻痒;緑内障のような眼科的障害;
慢性閉塞性肺動脈疾患、気管支炎及び嚢胞性繊維症を包含する呼吸器障害;免疫系の疾患、及びウイルス感染症であることを特徴とする請求項8に記載の使用。

【公表番号】特表2007−506709(P2007−506709A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527416(P2006−527416)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052275
【国際公開番号】WO2005/028466
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】