ピンヘッダー、電子機器および電子機器の製造方法
【課題】電子機器の組み立て工程を簡略化できると共に電子機器を小型化できるピンヘッダーを提供する。
【解決手段】ピンヘッダー30は、所定間隔をおいて対向する第1の回路基板10と第2の回路基板20とを電気的に接続可能であると共に、第1の回路基板10の上面10aに表面実装可能である。ピンヘッダー30は、第1の回路基板10の上面10aに配置可能なハウジング31と、第2の回路基板20に一端32aが半田付け可能となっており、第1の回路基板10の上面10aに他端32bが半田付け可能となっており、一端32a側が突出するようにハウジング31に配列された、ピン型端子32と、ハウジング31の一部に形成された、第2の回路基板20の方向にハウジング31より高く、第2の回路基板20を支持可能な台座部33と、を備える。台座部33は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面33aを有する。
【解決手段】ピンヘッダー30は、所定間隔をおいて対向する第1の回路基板10と第2の回路基板20とを電気的に接続可能であると共に、第1の回路基板10の上面10aに表面実装可能である。ピンヘッダー30は、第1の回路基板10の上面10aに配置可能なハウジング31と、第2の回路基板20に一端32aが半田付け可能となっており、第1の回路基板10の上面10aに他端32bが半田付け可能となっており、一端32a側が突出するようにハウジング31に配列された、ピン型端子32と、ハウジング31の一部に形成された、第2の回路基板20の方向にハウジング31より高く、第2の回路基板20を支持可能な台座部33と、を備える。台座部33は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面33aを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンヘッダー、電子機器および電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピンヘッダー300は、所定のピッチで複数のピン型端子32を配列させてハウジング310に取り付けた構造を有している。このようなピンヘッダー300を用いた電子機器として、図9に示すように、所定間隔をおいて対向する第1の回路基板10と第2の回路基板20とをピンヘッダー300で電気的に接続した機器が知られている。
【0003】
ピンヘッダー300のハウジング310は、第1の回路基板10の上面に配置されている。ピンヘッダー300のピン型端子32の他端32bは、L字型になっていて、第1の回路基板10の上面のランド部に半田付けされている。このようにして、ピンヘッダー300は第1の回路基板10の上面に表面実装されている。第2の回路基板20は、ケース500に設けられた2つの台座501で支持されている。ピン型端子32の一端32aは、第2の回路基板20に挿入されてそのランド部に半田付けされている。このようにして、ピンヘッダー300のハウジング310と第2の回路基板20との間に、半田フィレット用のスペースSが確保されている。第2の回路基板20とピン型端子32との半田付けの際に、このスペースSに半田が流れることで、良好な形状の半田フィレットが形成される。これにより、第2の回路基板20と、ピンヘッダー300のピン型端子32との半田付けの信頼性が向上する。
【0004】
また、ピン型端子32の一端32aに、自動組み立て装置の部品吸着装置で吸着するための特別な冶具を取り付けたピンヘッダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような特別な冶具を用いることで、自動組み立て装置によってピンヘッダー300を所定位置に配置できるので、上記電子機器の組み立て工程を自動化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−282888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のピンヘッダー300を用いた電子機器の組み立て工程は、部品吸着装置で吸着するための特別な冶具を用いなければ自動化することができない問題がある。また、この組み立て工程では、冶具を取り付けてからピンヘッダー300を第1の回路基板10の上面に実装して、その後、この冶具を除去する必要があるので、工程が複雑になる問題もある。また、電子機器のケース500は、第2の回路基板20を支持する2つの台座501を有しているため、この台座501のスペースが無駄になっている。従って、従来の電子機器は小型化できない問題もある。
【0007】
そこで、本発明に係る実施例では、電子機器の組み立て工程を簡略化できると共に電子機器を小型化できるピンヘッダー、このピンヘッダーを備えた電子機器および電子機器の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る実施例に従ったピンヘッダーは、
所定間隔をおいて対向する第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続可能であると共に、前記第1の回路基板の上面に表面実装可能なピンヘッダーであって、
前記第1の回路基板の上面に配置可能なハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付け可能となっており、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付け可能となっており、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持可能な台座部と、を備え、
前記台座部は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記台座部は、前記第1の回路基板の上面と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記位置決め金属部は、前記第1の回路基板の上面の位置決めランド部に半田付け可能であっても良い。
【0010】
前記位置決め金属部は、前記台座部の重心に対応する位置に配置されていても良い。
【0011】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、多角形であっても良い。
【0012】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の大きさは、等しくても良い。
【0013】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記ハウジングは直方体であり、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、前記ハウジングの長辺方向に長辺を有する長方形であっても良い。
【0014】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記ハウジングは直方体であり、
前記台座部は、前記ハウジングの重心に対応する位置に配置されていても良い。
【0015】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記吸着面は、前記台座部の前記第2の回路基板を支持可能な面であっても良い。
【0016】
本発明の一態様に係る実施例に従った電子機器は、
第1の回路基板と、
前記第1の回路基板と所定間隔をおいて対向した第2の回路基板と、
前記第1の回路基板の上面に表面実装されて、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続しているピンヘッダーと、を備え、
前記ピンヘッダーは、
前記第1の回路基板の上面に配置されたハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付けされ、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付けされ、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を持ち、前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持している台座部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記電子機器において、
前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記位置決め金属部は、前記位置決めランド部に半田付けされていても良い。
【0018】
本発明の一態様に係る実施例に従った電子機器の製造方法は、
前記ピンヘッダーを用いた電子機器の製造方法であって、
前記第1の回路基板の上面のランド部に半田ペーストを塗布する第1の工程と、
前記部品吸着装置によって前記台座部の前記吸着面を吸着して前記ピンヘッダーを移動して、前記台座部が予め定められた位置に配置されるように、前記ピンヘッダーを前記第1の回路基板の上面に搭載する第2の工程と、
リフローにより前記ピン型端子の他端と前記ランド部とを半田付けする第3の工程と、
前記第2の回路基板を、前記台座部によって支持されるように配置する第4の工程と、
前記第2の回路基板と前記ピン型端子の前記一端とを半田付けする第5の工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記電子機器の製造方法において、
前記ピンヘッダーの前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に位置決め金属部を有し、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記第1の工程において、さらに前記位置決めランド部に前記半田ペーストを塗布し、
前記第3の工程において、前記リフローにより、さらに前記位置決め金属部と前記位置決めランド部とを半田付けしても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係るピンヘッダーおよび電子機器によれば、第2の回路基板の方向にハウジングより高く、第2の回路基板を支持可能な台座部を、ハウジングの一部に形成するようにしたので、第2の回路基板とハウジングとの間に半田フィレット用のスペースを確保した上で、電子機器のケースに第2の回路基板を支持する2つの台座が不要となる。これにより、電子機器を小型化できる。
【0021】
また、台座部は自動組み立て装置の部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を有するので、特別な冶具を用いることなく、このピンヘッダーを用いた電子機器の組み立て工程を自動化することができる。従って、冶具の取り付け及び除去工程が必要ないので、組み立て工程を簡略化できる。
【0022】
さらに、台座部は第1の回路基板と対向する下面に位置決め金属部を有しており、この位置決め金属部を、第1の回路基板が有する位置決めランド部に半田付け可能なようにしている。これにより、自動組み立て装置が有する誤差によって、ピンヘッダーが台座部を中心として正しい位置から回転して搭載されても、リフロー時に溶解した半田の表面張力によって、ピンヘッダーは位置決め金属部を中心として回転移動できる。従って、実装を行う作業者は、ピンヘッダーのセルフアライメントを利用して、容易にピンヘッダーを第1の回路基板の正しい位置に表面実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す上面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの下面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1に係る電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図6】図6は、図5に続く、電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図7】図7は、図6に続く、電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図8】図8は、ピンヘッダーが回転して搭載された場合の電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図9】図9は、従来の電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る一実施例について図面に基づいて説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す上面図である。図2は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す側面図である。図2は、図1におけるII方向から電子機器を見た側面図である。図3は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの斜視図である。
【0026】
電子機器は、第1の回路基板10と、第2の回路基板20と、ピンヘッダー30と、を備える。これら第1の回路基板10と、第2の回路基板20と、ピンヘッダー30とは、図示しないケースに収容される。
【0027】
第2の回路基板20は、第1の回路基板10と所定間隔をおいて対向している。
ピンヘッダー30は、第1の回路基板10の上面10aに表面実装されると共に、第1の回路基板10と第2の回路基板20とを電気的に接続している。第1の回路基板10の上面10aは、第2の回路基板20と対向している面である。
【0028】
ピンヘッダー30は、ハウジング31と、8本のピン型端子32と、台座部33と、を有する。
【0029】
ハウジング31は、略直方体形状を有していて、第1の回路基板10の上面10aに配置されている。ハウジング31は、例えば、樹脂で形成されている。
【0030】
円柱形状を有している台座部33は、ハウジング31の一部に形成されている。台座部33は、円柱の軸が第1の回路基板10の上面10aに略直交するように、ハウジング31の略重心に対応する位置に配置されている。台座部33は、第2の回路基板20の方向にハウジング31より高く、上面33aで第2の回路基板20を支持している。
【0031】
台座部33の上面33aは、円形であり、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面として機能する。上述のように、この上面(吸着面)33aは、台座部33の第2の回路基板20を支持可能な面である。本実施例においては、台座部33の第2の回路基板20を支持可能でない面(円柱の側面と下面33b)は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面となっていない。台座部33の上面(吸着面)33aの形状は、部品吸着装置の吸着部の形状と同一であることが好ましい。本実施例では、部品吸着装置の吸着部の形状は円形であるとする。台座部33は、例えば、樹脂で形成されている。
【0032】
ピン型端子32は、例えば、金属で形成されていて、略L字型の形状を有している。ピン型端子32は、L字型の長手方向の一端32a側が第2の回路基板20の方向にハウジング31の上面31aから突出するように、ハウジング31の長辺方向に一列に配列されている。ハウジング31の上面31aは、第2の回路基板20と対向している面である。ピン型端子32は、台座部33を挟んで4本ずつ配列されている。ピン型端子32の他端32bは、ハウジング31の同一の側面31bから突出している。
【0033】
ピン型端子32の一端32aは、第2の回路基板20の対応するスルーホール21を貫通している。ピン型端子32は、第2の回路基板20のスルーホール21の周囲に形成されたランド部(図示せず)に一端32aが半田付けされ、第1の回路基板10の上面10aのランド部11に他端32bが半田付けされている。第1の回路基板10のランド部11と、第2の回路基板20のランド部は、対応する配線パターン等(図示せず)を介して電子部品等(図示せず)に接続されている。これにより、第1の回路基板10と第2の回路基板20との間で、ピンヘッダー30を介して電気信号等を伝達可能となっている。
【0034】
このような構成により、図2に示すように、ピンヘッダー30のハウジング31の上面31aと第2の回路基板20との間に、半田フィレット用のスペースSが確保できる。ピン型端子32の一端32aと第2の回路基板20との半田付けの際に、このスペースSに半田が流れることで、良好な形状の半田フィレットが形成される。これにより、第2の回路基板20と、ピンヘッダー30のピン型端子32との半田付けの信頼性が向上する。
【0035】
図4は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの下面図である。台座部33は、第1の回路基板10と対向する下面33bに、位置決め金属部34を有している。位置決め金属部34は、台座部33の略重心に対応する位置に配置されている。
【0036】
図2に示すように、第1の回路基板10は、位置決め金属部34に対応した位置に、位置決めランド部(捨てランド)12を有している。位置決め金属部34は、位置決めランド部12に半田付けされている。なお、位置決め金属部34および位置決めランド部12は、他の配線パターン等には接続されていなくて良い。つまり、電位や信号が供給されず、電気的にフローティングとなっていて良い。
【0037】
位置決め金属部34および位置決めランド部12の互いに対向する面の大きさは、等しく、それらの面の形状は、ハウジング31の長辺方向に長辺を有する長方形である。
【0038】
(電子機器の製造方法)
次に、図5から図8を参照して、上述のピンヘッダー30を用いた電子機器の製造方法について説明する。
【0039】
図5から図8は、本発明の実施例1に係る電子機器の製造方法を説明する上面図である。図5から図8は、図1に示した上面図に対応する。
【0040】
(第1の工程)
まず、図5に示す第1の回路基板10の上面10aのランド部11と位置決めランド部12とに、半田ペーストを塗布する。
【0041】
(第2の工程)
次に、図6に示すように、部品吸着装置(図示せず)によって台座部33の上面(吸着面)33aを吸着してピンヘッダー30を移動して、台座部33が予め定められた位置に配置されるように、ピンヘッダー30を第1の回路基板10の上面10aに搭載する。このとき、ピン型端子32の他端32bは、対応するランド部11の上に半田ペーストを介して配置される。また、位置決め金属部34は、位置決めランド部12の上に半田ペーストを介して配置される。
台座部33はハウジング31の略重心に対応する位置に配置されているので、部品吸着装置はバランス良くピンヘッダー30を移動できる。
【0042】
(第3の工程)
次に、リフローにより半田ペーストを溶解および固化させて、ピン型端子32の他端32bとランド部11とを半田付けすると共に、位置決め金属部34と位置決めランド部12とを半田付けする。これにより、ピンヘッダー30は、第1の回路基板10の上面10aに表面実装される。
【0043】
(第4の工程)
続いて、図7に示すように、第2の回路基板20を、ピンヘッダー30の台座部33によって支持されるように配置する。このとき、第2の回路基板20に形成された8個のスルーホール21のそれぞれに、対応するピン型端子32の一端32aが挿入されるように配置する。
【0044】
(第5の工程)
次に、第2の回路基板20とピン型端子32の一端32aとを半田付けする。これにより、ピンヘッダー30は、第1の回路基板10と第2の回路基板20とを電気的に接続する。
以上の第1から第5の工程により、図1,2に示した構造の電子機器が製造できる。
【0045】
ここで、図8(a)に示すように、第2の工程において、自動組み立て装置が有する位置決め誤差によって、ピンヘッダー30が、第1の回路基板10の上面10aの面内で台座部33を中心として正しい位置から回転して搭載された場合について説明する。自動組み立て装置は、ピンヘッダー30を一点で吸着及び支持するため、台座部33の中心の位置に関しては高精度に位置決め可能である一方、ピンヘッダー30が回転して搭載される可能性がある。
【0046】
例えば、図8(a)の例では、ピンヘッダー30が正しい位置から反時計回りに回転して搭載されている。しかし、この状態で、続く第3の工程においてリフローを行うと、ピンヘッダー30は、溶解した半田の表面張力がバランスする方向に動くので、台座部33を中心として時計回りに回転移動する(セルフアライメント)。これにより、図8(b)に示すように、ピンヘッダー30はほぼ正しい位置に固定される。
【0047】
このとき、回転移動の中心となる台座部33の位置に、位置決め金属部34および位置決めランド部12が存在する。これらの位置決め金属部34および位置決めランド部12の間にも溶解した半田が介在することにより、台座部33が第1の回路基板10の上面10aから溶解した半田を介して浮いた状態になり、ピンヘッダー30は容易に回転移動できる。これら位置決め金属部34および位置決めランド部12が存在しない場合、台座部33の重量、及び、台座部33の下面33bと第1の回路基板10の上面10aとの摩擦により、ピンヘッダー30は回転移動できない。
【0048】
本実施例では、位置決め金属部34および位置決めランド部12の互いに対向する面の大きさは、等しく、それらの面の形状は、ハウジング31の長辺方向に長辺を有する長方形である。そのため、半田の表面張力により、2つの長方形が重なるように、2つの長方形の対応する長辺同士が引き付けられる力と、対応する短辺同士が引き付けられる力とが効果的に働くので、ピンヘッダー30は容易に回転移動できる。
【0049】
また、前述のように、台座部33はハウジング31の略重心に対応する位置に配置されていると共に、位置決め金属部34は、台座部33の略重心に対応する位置に配置されている。これにより、ピンヘッダー30は、位置決め金属部34を中心としてバランス良く回転移動できる。
【0050】
このように、ピンヘッダー30を第1の回路基板10に搭載した時点で多少位置が回転していても、リフローを行う際に、ピンヘッダー30はセルフアライメントによって正しい位置に回転移動できる。
【0051】
以上で説明した様に、本実施例によれば、第2の回路基板20の方向にハウジング31より高く、第2の回路基板20を支持可能な台座部33を、ピンヘッダー30のハウジング31の一部に形成するようにしている。よって、第2の回路基板20とハウジング31との間に半田フィレット用のスペースSを確保した上で、電子機器のケースに第2の回路基板20を支持する2つの台座が不要となる。これにより、電子機器を小型化できる。
【0052】
また、台座部33は自動組み立て装置の部品吸着装置によって吸着可能な上面(吸着面)33aを有するので、特別な冶具を用いることなく、このピンヘッダー30を用いた電子機器の組み立て工程を自動化することができる。従って、冶具の取り付け及び除去工程が必要ないので、組み立て工程を簡略化できる。
【0053】
さらに、台座部33は第1の回路基板10と対向する下面33bに位置決め金属部34を有しており、この位置決め金属部34を、第1の回路基板10が有する位置決めランド部12に半田付け可能なようにしている。これにより、自動組み立て装置が有する位置決め誤差によって、ピンヘッダー30が台座部33を中心として正しい位置から回転して搭載されても、リフロー時に溶解した半田の表面張力によって、ピンヘッダー30は位置決め金属部34を中心として回転移動できる。従って、実装を行う作業者は、ピンヘッダー30のセルフアライメントを利用して、容易にピンヘッダー30を第1の回路基板10の正しい位置に表面実装できる。
【0054】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【0055】
例えば、位置決め金属部34および位置決めランド部12の互いに対向する面の形状は、長方形に限られず、他の多角形であっても良い。また、これらは、円形等でも良く、大きさが異なっていても良い。
【0056】
また、台座部33の上面(吸着面)33aの形状は、吸着が可能である限り、部品吸着装置の吸着部の形状と異なっていても良い。
また、ピン型端子32の数も、任意の数で良い。
【符号の説明】
【0057】
10 第1の回路基板
11 ランド部
12 位置決めランド部
20 第2の回路基板
21 スルーホール
30 ピンヘッダー
31 ハウジング
32 ピン型端子
32a 一端
32b 他端
33 台座部
33a 上面(吸着面)
34 位置決め金属部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンヘッダー、電子機器および電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピンヘッダー300は、所定のピッチで複数のピン型端子32を配列させてハウジング310に取り付けた構造を有している。このようなピンヘッダー300を用いた電子機器として、図9に示すように、所定間隔をおいて対向する第1の回路基板10と第2の回路基板20とをピンヘッダー300で電気的に接続した機器が知られている。
【0003】
ピンヘッダー300のハウジング310は、第1の回路基板10の上面に配置されている。ピンヘッダー300のピン型端子32の他端32bは、L字型になっていて、第1の回路基板10の上面のランド部に半田付けされている。このようにして、ピンヘッダー300は第1の回路基板10の上面に表面実装されている。第2の回路基板20は、ケース500に設けられた2つの台座501で支持されている。ピン型端子32の一端32aは、第2の回路基板20に挿入されてそのランド部に半田付けされている。このようにして、ピンヘッダー300のハウジング310と第2の回路基板20との間に、半田フィレット用のスペースSが確保されている。第2の回路基板20とピン型端子32との半田付けの際に、このスペースSに半田が流れることで、良好な形状の半田フィレットが形成される。これにより、第2の回路基板20と、ピンヘッダー300のピン型端子32との半田付けの信頼性が向上する。
【0004】
また、ピン型端子32の一端32aに、自動組み立て装置の部品吸着装置で吸着するための特別な冶具を取り付けたピンヘッダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような特別な冶具を用いることで、自動組み立て装置によってピンヘッダー300を所定位置に配置できるので、上記電子機器の組み立て工程を自動化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−282888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のピンヘッダー300を用いた電子機器の組み立て工程は、部品吸着装置で吸着するための特別な冶具を用いなければ自動化することができない問題がある。また、この組み立て工程では、冶具を取り付けてからピンヘッダー300を第1の回路基板10の上面に実装して、その後、この冶具を除去する必要があるので、工程が複雑になる問題もある。また、電子機器のケース500は、第2の回路基板20を支持する2つの台座501を有しているため、この台座501のスペースが無駄になっている。従って、従来の電子機器は小型化できない問題もある。
【0007】
そこで、本発明に係る実施例では、電子機器の組み立て工程を簡略化できると共に電子機器を小型化できるピンヘッダー、このピンヘッダーを備えた電子機器および電子機器の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る実施例に従ったピンヘッダーは、
所定間隔をおいて対向する第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続可能であると共に、前記第1の回路基板の上面に表面実装可能なピンヘッダーであって、
前記第1の回路基板の上面に配置可能なハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付け可能となっており、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付け可能となっており、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持可能な台座部と、を備え、
前記台座部は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記台座部は、前記第1の回路基板の上面と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記位置決め金属部は、前記第1の回路基板の上面の位置決めランド部に半田付け可能であっても良い。
【0010】
前記位置決め金属部は、前記台座部の重心に対応する位置に配置されていても良い。
【0011】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、多角形であっても良い。
【0012】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の大きさは、等しくても良い。
【0013】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記ハウジングは直方体であり、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、前記ハウジングの長辺方向に長辺を有する長方形であっても良い。
【0014】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記ハウジングは直方体であり、
前記台座部は、前記ハウジングの重心に対応する位置に配置されていても良い。
【0015】
また、前記ピンヘッダーにおいて、
前記吸着面は、前記台座部の前記第2の回路基板を支持可能な面であっても良い。
【0016】
本発明の一態様に係る実施例に従った電子機器は、
第1の回路基板と、
前記第1の回路基板と所定間隔をおいて対向した第2の回路基板と、
前記第1の回路基板の上面に表面実装されて、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続しているピンヘッダーと、を備え、
前記ピンヘッダーは、
前記第1の回路基板の上面に配置されたハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付けされ、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付けされ、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を持ち、前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持している台座部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記電子機器において、
前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記位置決め金属部は、前記位置決めランド部に半田付けされていても良い。
【0018】
本発明の一態様に係る実施例に従った電子機器の製造方法は、
前記ピンヘッダーを用いた電子機器の製造方法であって、
前記第1の回路基板の上面のランド部に半田ペーストを塗布する第1の工程と、
前記部品吸着装置によって前記台座部の前記吸着面を吸着して前記ピンヘッダーを移動して、前記台座部が予め定められた位置に配置されるように、前記ピンヘッダーを前記第1の回路基板の上面に搭載する第2の工程と、
リフローにより前記ピン型端子の他端と前記ランド部とを半田付けする第3の工程と、
前記第2の回路基板を、前記台座部によって支持されるように配置する第4の工程と、
前記第2の回路基板と前記ピン型端子の前記一端とを半田付けする第5の工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記電子機器の製造方法において、
前記ピンヘッダーの前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に位置決め金属部を有し、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記第1の工程において、さらに前記位置決めランド部に前記半田ペーストを塗布し、
前記第3の工程において、前記リフローにより、さらに前記位置決め金属部と前記位置決めランド部とを半田付けしても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係るピンヘッダーおよび電子機器によれば、第2の回路基板の方向にハウジングより高く、第2の回路基板を支持可能な台座部を、ハウジングの一部に形成するようにしたので、第2の回路基板とハウジングとの間に半田フィレット用のスペースを確保した上で、電子機器のケースに第2の回路基板を支持する2つの台座が不要となる。これにより、電子機器を小型化できる。
【0021】
また、台座部は自動組み立て装置の部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を有するので、特別な冶具を用いることなく、このピンヘッダーを用いた電子機器の組み立て工程を自動化することができる。従って、冶具の取り付け及び除去工程が必要ないので、組み立て工程を簡略化できる。
【0022】
さらに、台座部は第1の回路基板と対向する下面に位置決め金属部を有しており、この位置決め金属部を、第1の回路基板が有する位置決めランド部に半田付け可能なようにしている。これにより、自動組み立て装置が有する誤差によって、ピンヘッダーが台座部を中心として正しい位置から回転して搭載されても、リフロー時に溶解した半田の表面張力によって、ピンヘッダーは位置決め金属部を中心として回転移動できる。従って、実装を行う作業者は、ピンヘッダーのセルフアライメントを利用して、容易にピンヘッダーを第1の回路基板の正しい位置に表面実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す上面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの下面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1に係る電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図6】図6は、図5に続く、電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図7】図7は、図6に続く、電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図8】図8は、ピンヘッダーが回転して搭載された場合の電子機器の製造方法を説明する上面図である。
【図9】図9は、従来の電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る一実施例について図面に基づいて説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す上面図である。図2は、本発明の実施例1に係る電子機器を示す側面図である。図2は、図1におけるII方向から電子機器を見た側面図である。図3は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの斜視図である。
【0026】
電子機器は、第1の回路基板10と、第2の回路基板20と、ピンヘッダー30と、を備える。これら第1の回路基板10と、第2の回路基板20と、ピンヘッダー30とは、図示しないケースに収容される。
【0027】
第2の回路基板20は、第1の回路基板10と所定間隔をおいて対向している。
ピンヘッダー30は、第1の回路基板10の上面10aに表面実装されると共に、第1の回路基板10と第2の回路基板20とを電気的に接続している。第1の回路基板10の上面10aは、第2の回路基板20と対向している面である。
【0028】
ピンヘッダー30は、ハウジング31と、8本のピン型端子32と、台座部33と、を有する。
【0029】
ハウジング31は、略直方体形状を有していて、第1の回路基板10の上面10aに配置されている。ハウジング31は、例えば、樹脂で形成されている。
【0030】
円柱形状を有している台座部33は、ハウジング31の一部に形成されている。台座部33は、円柱の軸が第1の回路基板10の上面10aに略直交するように、ハウジング31の略重心に対応する位置に配置されている。台座部33は、第2の回路基板20の方向にハウジング31より高く、上面33aで第2の回路基板20を支持している。
【0031】
台座部33の上面33aは、円形であり、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面として機能する。上述のように、この上面(吸着面)33aは、台座部33の第2の回路基板20を支持可能な面である。本実施例においては、台座部33の第2の回路基板20を支持可能でない面(円柱の側面と下面33b)は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面となっていない。台座部33の上面(吸着面)33aの形状は、部品吸着装置の吸着部の形状と同一であることが好ましい。本実施例では、部品吸着装置の吸着部の形状は円形であるとする。台座部33は、例えば、樹脂で形成されている。
【0032】
ピン型端子32は、例えば、金属で形成されていて、略L字型の形状を有している。ピン型端子32は、L字型の長手方向の一端32a側が第2の回路基板20の方向にハウジング31の上面31aから突出するように、ハウジング31の長辺方向に一列に配列されている。ハウジング31の上面31aは、第2の回路基板20と対向している面である。ピン型端子32は、台座部33を挟んで4本ずつ配列されている。ピン型端子32の他端32bは、ハウジング31の同一の側面31bから突出している。
【0033】
ピン型端子32の一端32aは、第2の回路基板20の対応するスルーホール21を貫通している。ピン型端子32は、第2の回路基板20のスルーホール21の周囲に形成されたランド部(図示せず)に一端32aが半田付けされ、第1の回路基板10の上面10aのランド部11に他端32bが半田付けされている。第1の回路基板10のランド部11と、第2の回路基板20のランド部は、対応する配線パターン等(図示せず)を介して電子部品等(図示せず)に接続されている。これにより、第1の回路基板10と第2の回路基板20との間で、ピンヘッダー30を介して電気信号等を伝達可能となっている。
【0034】
このような構成により、図2に示すように、ピンヘッダー30のハウジング31の上面31aと第2の回路基板20との間に、半田フィレット用のスペースSが確保できる。ピン型端子32の一端32aと第2の回路基板20との半田付けの際に、このスペースSに半田が流れることで、良好な形状の半田フィレットが形成される。これにより、第2の回路基板20と、ピンヘッダー30のピン型端子32との半田付けの信頼性が向上する。
【0035】
図4は、本発明の実施例1に係るピンヘッダーの下面図である。台座部33は、第1の回路基板10と対向する下面33bに、位置決め金属部34を有している。位置決め金属部34は、台座部33の略重心に対応する位置に配置されている。
【0036】
図2に示すように、第1の回路基板10は、位置決め金属部34に対応した位置に、位置決めランド部(捨てランド)12を有している。位置決め金属部34は、位置決めランド部12に半田付けされている。なお、位置決め金属部34および位置決めランド部12は、他の配線パターン等には接続されていなくて良い。つまり、電位や信号が供給されず、電気的にフローティングとなっていて良い。
【0037】
位置決め金属部34および位置決めランド部12の互いに対向する面の大きさは、等しく、それらの面の形状は、ハウジング31の長辺方向に長辺を有する長方形である。
【0038】
(電子機器の製造方法)
次に、図5から図8を参照して、上述のピンヘッダー30を用いた電子機器の製造方法について説明する。
【0039】
図5から図8は、本発明の実施例1に係る電子機器の製造方法を説明する上面図である。図5から図8は、図1に示した上面図に対応する。
【0040】
(第1の工程)
まず、図5に示す第1の回路基板10の上面10aのランド部11と位置決めランド部12とに、半田ペーストを塗布する。
【0041】
(第2の工程)
次に、図6に示すように、部品吸着装置(図示せず)によって台座部33の上面(吸着面)33aを吸着してピンヘッダー30を移動して、台座部33が予め定められた位置に配置されるように、ピンヘッダー30を第1の回路基板10の上面10aに搭載する。このとき、ピン型端子32の他端32bは、対応するランド部11の上に半田ペーストを介して配置される。また、位置決め金属部34は、位置決めランド部12の上に半田ペーストを介して配置される。
台座部33はハウジング31の略重心に対応する位置に配置されているので、部品吸着装置はバランス良くピンヘッダー30を移動できる。
【0042】
(第3の工程)
次に、リフローにより半田ペーストを溶解および固化させて、ピン型端子32の他端32bとランド部11とを半田付けすると共に、位置決め金属部34と位置決めランド部12とを半田付けする。これにより、ピンヘッダー30は、第1の回路基板10の上面10aに表面実装される。
【0043】
(第4の工程)
続いて、図7に示すように、第2の回路基板20を、ピンヘッダー30の台座部33によって支持されるように配置する。このとき、第2の回路基板20に形成された8個のスルーホール21のそれぞれに、対応するピン型端子32の一端32aが挿入されるように配置する。
【0044】
(第5の工程)
次に、第2の回路基板20とピン型端子32の一端32aとを半田付けする。これにより、ピンヘッダー30は、第1の回路基板10と第2の回路基板20とを電気的に接続する。
以上の第1から第5の工程により、図1,2に示した構造の電子機器が製造できる。
【0045】
ここで、図8(a)に示すように、第2の工程において、自動組み立て装置が有する位置決め誤差によって、ピンヘッダー30が、第1の回路基板10の上面10aの面内で台座部33を中心として正しい位置から回転して搭載された場合について説明する。自動組み立て装置は、ピンヘッダー30を一点で吸着及び支持するため、台座部33の中心の位置に関しては高精度に位置決め可能である一方、ピンヘッダー30が回転して搭載される可能性がある。
【0046】
例えば、図8(a)の例では、ピンヘッダー30が正しい位置から反時計回りに回転して搭載されている。しかし、この状態で、続く第3の工程においてリフローを行うと、ピンヘッダー30は、溶解した半田の表面張力がバランスする方向に動くので、台座部33を中心として時計回りに回転移動する(セルフアライメント)。これにより、図8(b)に示すように、ピンヘッダー30はほぼ正しい位置に固定される。
【0047】
このとき、回転移動の中心となる台座部33の位置に、位置決め金属部34および位置決めランド部12が存在する。これらの位置決め金属部34および位置決めランド部12の間にも溶解した半田が介在することにより、台座部33が第1の回路基板10の上面10aから溶解した半田を介して浮いた状態になり、ピンヘッダー30は容易に回転移動できる。これら位置決め金属部34および位置決めランド部12が存在しない場合、台座部33の重量、及び、台座部33の下面33bと第1の回路基板10の上面10aとの摩擦により、ピンヘッダー30は回転移動できない。
【0048】
本実施例では、位置決め金属部34および位置決めランド部12の互いに対向する面の大きさは、等しく、それらの面の形状は、ハウジング31の長辺方向に長辺を有する長方形である。そのため、半田の表面張力により、2つの長方形が重なるように、2つの長方形の対応する長辺同士が引き付けられる力と、対応する短辺同士が引き付けられる力とが効果的に働くので、ピンヘッダー30は容易に回転移動できる。
【0049】
また、前述のように、台座部33はハウジング31の略重心に対応する位置に配置されていると共に、位置決め金属部34は、台座部33の略重心に対応する位置に配置されている。これにより、ピンヘッダー30は、位置決め金属部34を中心としてバランス良く回転移動できる。
【0050】
このように、ピンヘッダー30を第1の回路基板10に搭載した時点で多少位置が回転していても、リフローを行う際に、ピンヘッダー30はセルフアライメントによって正しい位置に回転移動できる。
【0051】
以上で説明した様に、本実施例によれば、第2の回路基板20の方向にハウジング31より高く、第2の回路基板20を支持可能な台座部33を、ピンヘッダー30のハウジング31の一部に形成するようにしている。よって、第2の回路基板20とハウジング31との間に半田フィレット用のスペースSを確保した上で、電子機器のケースに第2の回路基板20を支持する2つの台座が不要となる。これにより、電子機器を小型化できる。
【0052】
また、台座部33は自動組み立て装置の部品吸着装置によって吸着可能な上面(吸着面)33aを有するので、特別な冶具を用いることなく、このピンヘッダー30を用いた電子機器の組み立て工程を自動化することができる。従って、冶具の取り付け及び除去工程が必要ないので、組み立て工程を簡略化できる。
【0053】
さらに、台座部33は第1の回路基板10と対向する下面33bに位置決め金属部34を有しており、この位置決め金属部34を、第1の回路基板10が有する位置決めランド部12に半田付け可能なようにしている。これにより、自動組み立て装置が有する位置決め誤差によって、ピンヘッダー30が台座部33を中心として正しい位置から回転して搭載されても、リフロー時に溶解した半田の表面張力によって、ピンヘッダー30は位置決め金属部34を中心として回転移動できる。従って、実装を行う作業者は、ピンヘッダー30のセルフアライメントを利用して、容易にピンヘッダー30を第1の回路基板10の正しい位置に表面実装できる。
【0054】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【0055】
例えば、位置決め金属部34および位置決めランド部12の互いに対向する面の形状は、長方形に限られず、他の多角形であっても良い。また、これらは、円形等でも良く、大きさが異なっていても良い。
【0056】
また、台座部33の上面(吸着面)33aの形状は、吸着が可能である限り、部品吸着装置の吸着部の形状と異なっていても良い。
また、ピン型端子32の数も、任意の数で良い。
【符号の説明】
【0057】
10 第1の回路基板
11 ランド部
12 位置決めランド部
20 第2の回路基板
21 スルーホール
30 ピンヘッダー
31 ハウジング
32 ピン型端子
32a 一端
32b 他端
33 台座部
33a 上面(吸着面)
34 位置決め金属部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をおいて対向する第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続可能であると共に、前記第1の回路基板の上面に表面実装可能なピンヘッダーであって、
前記第1の回路基板の上面に配置可能なハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付け可能となっており、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付け可能となっており、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持可能な台座部と、を備え、
前記台座部は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を有することを特徴とするピンヘッダー。
【請求項2】
前記台座部は、前記第1の回路基板の上面と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記位置決め金属部は、前記第1の回路基板の上面の位置決めランド部に半田付け可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のピンヘッダー。
【請求項3】
前記位置決め金属部は、前記台座部の重心に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のピンヘッダー。
【請求項4】
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、多角形であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のピンヘッダー。
【請求項5】
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の大きさは、等しいことを特徴とする請求項4に記載のピンヘッダー。
【請求項6】
前記ハウジングは直方体であり、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、前記ハウジングの長辺方向に長辺を有する長方形である
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のピンヘッダー。
【請求項7】
前記ハウジングは直方体であり、
前記台座部は、前記ハウジングの重心に対応する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のピンヘッダー。
【請求項8】
前記吸着面は、前記台座部の前記第2の回路基板を支持可能な面であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のピンヘッダー。
【請求項9】
第1の回路基板と、
前記第1の回路基板と所定間隔をおいて対向した第2の回路基板と、
前記第1の回路基板の上面に表面実装されて、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続しているピンヘッダーと、を備え、
前記ピンヘッダーは、
前記第1の回路基板の上面に配置されたハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付けされ、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付けされ、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を持ち、前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持している台座部と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記位置決め金属部は、前記位置決めランド部に半田付けされている
ことを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
請求項1に記載のピンヘッダーを用いた電子機器の製造方法であって、
前記第1の回路基板の上面のランド部に半田ペーストを塗布する第1の工程と、
前記部品吸着装置によって前記台座部の前記吸着面を吸着して前記ピンヘッダーを移動して、前記台座部が予め定められた位置に配置されるように、前記ピンヘッダーを前記第1の回路基板の上面に搭載する第2の工程と、
リフローにより前記ピン型端子の他端と前記ランド部とを半田付けする第3の工程と、
前記第2の回路基板を、前記台座部によって支持されるように配置する第4の工程と、
前記第2の回路基板と前記ピン型端子の前記一端とを半田付けする第5の工程と、を含む
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項12】
前記ピンヘッダーの前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に位置決め金属部を有し、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記第1の工程において、さらに前記位置決めランド部に前記半田ペーストを塗布し、
前記第3の工程において、前記リフローにより、さらに前記位置決め金属部と前記位置決めランド部とを半田付けする
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器の製造方法。
【請求項1】
所定間隔をおいて対向する第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続可能であると共に、前記第1の回路基板の上面に表面実装可能なピンヘッダーであって、
前記第1の回路基板の上面に配置可能なハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付け可能となっており、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付け可能となっており、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持可能な台座部と、を備え、
前記台座部は、部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を有することを特徴とするピンヘッダー。
【請求項2】
前記台座部は、前記第1の回路基板の上面と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記位置決め金属部は、前記第1の回路基板の上面の位置決めランド部に半田付け可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のピンヘッダー。
【請求項3】
前記位置決め金属部は、前記台座部の重心に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のピンヘッダー。
【請求項4】
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、多角形であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のピンヘッダー。
【請求項5】
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の大きさは、等しいことを特徴とする請求項4に記載のピンヘッダー。
【請求項6】
前記ハウジングは直方体であり、
前記位置決め金属部および前記位置決めランド部の互いに対向する面の形状は、前記ハウジングの長辺方向に長辺を有する長方形である
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のピンヘッダー。
【請求項7】
前記ハウジングは直方体であり、
前記台座部は、前記ハウジングの重心に対応する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のピンヘッダー。
【請求項8】
前記吸着面は、前記台座部の前記第2の回路基板を支持可能な面であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のピンヘッダー。
【請求項9】
第1の回路基板と、
前記第1の回路基板と所定間隔をおいて対向した第2の回路基板と、
前記第1の回路基板の上面に表面実装されて、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続しているピンヘッダーと、を備え、
前記ピンヘッダーは、
前記第1の回路基板の上面に配置されたハウジングと、
前記第2の回路基板に一端が半田付けされ、前記第1の回路基板の上面に他端が半田付けされ、前記一端側が突出するように前記ハウジングに配列された、ピン型端子と、
部品吸着装置によって吸着可能な吸着面を持ち、前記ハウジングの一部に形成された、前記第2の回路基板の方向に前記ハウジングより高く、前記第2の回路基板を支持している台座部と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に、位置決め金属部を有しており、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記位置決め金属部は、前記位置決めランド部に半田付けされている
ことを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
請求項1に記載のピンヘッダーを用いた電子機器の製造方法であって、
前記第1の回路基板の上面のランド部に半田ペーストを塗布する第1の工程と、
前記部品吸着装置によって前記台座部の前記吸着面を吸着して前記ピンヘッダーを移動して、前記台座部が予め定められた位置に配置されるように、前記ピンヘッダーを前記第1の回路基板の上面に搭載する第2の工程と、
リフローにより前記ピン型端子の他端と前記ランド部とを半田付けする第3の工程と、
前記第2の回路基板を、前記台座部によって支持されるように配置する第4の工程と、
前記第2の回路基板と前記ピン型端子の前記一端とを半田付けする第5の工程と、を含む
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項12】
前記ピンヘッダーの前記台座部は、前記第1の回路基板と対向する下面に位置決め金属部を有し、
前記第1の回路基板は、前記位置決め金属部に対応した位置に、位置決めランド部を有し、
前記第1の工程において、さらに前記位置決めランド部に前記半田ペーストを塗布し、
前記第3の工程において、前記リフローにより、さらに前記位置決め金属部と前記位置決めランド部とを半田付けする
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−156009(P2012−156009A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14277(P2011−14277)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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