説明

フィルム状物の表面処理装置

【課題】フィルム状物の表面の洗浄能力を高めつつ、しかも、洗浄後の脱水・乾燥をも一つの装置内で行えるようにする。
【解決手段】本装置1では、バックアップロール2に吸着されたフィルム状物Wとクリーニングヘッド3の凹部3aとの間に形成されたギャップGに、噴射通路8bを通って高速高圧の水流が、また、噴射通路9bを通って高速高圧のエア流が流入する。流入した水流は、図1の矢印で示すように、排気通路5b及び排気通路6bに二分されてギャップGから流出する。このとき、この水流によってフィルム状物Wに付着したダストなどが剥離洗浄される。一方、流入したエア流は、図1の矢印で示すように、排気通路5b及び排気通路7bに二分されてギャップGから流出する。このとき、このエア流によってもフィルム状物Wに付着したダストなどが剥離洗浄されるとともに、このエア流によって当該フィルム状物Wに付着した水分が脱水・乾燥される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙などのフィルム状物の表面の剥離洗浄、例えばスリッター後の破片屑の剥離、或いはこれらダストの剥離洗浄などを行う表面処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム状物のスリッター後の破片屑の剥離、或いはこれらダストの剥離洗浄などを行う表面処理装置(例えば、特許文献1)は存在する。
この装置は、超音波除塵ノズルを備えた超音波除塵装置100であり、図3に示すように、超音波除塵ノズルのノズルヘッド101からの超音波振動による脈動波エアを、回転するロール102に所定の抱き角をもって接触するシート(フィルム状物)Sに向けて吹き付け、これによりシートS表面に付着している異物を剥離するものであり、具体的には、ノズルヘッド101が吐出ノズル部と吸引ノズル部とに二分されており、吐出ノズル部の吐出ノズルから超音波振動による脈動波エアをシートS表面に吹き付けることにより、シートS表面に沿って流れるエアの粘着層を打破して異物を剥離させる一方、この剥離された異物を含むエアを吸引ノズル部の吸引スリットからブロアなどで吸引除去するようにしたものである。
尚、符号103,104は、取り合い管であり、このうちの取り合い管103は吐出ノズル部に、また、取り合い管104は吸引ノズル部にそれぞれ接続されている。
【特許文献1】特開平06−165960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した装置は、超音波振動による脈動波エアを吹き付けることによりシートS表面に付着している異物を剥離洗浄させようとするものであるが、結局のところエア圧による洗浄であるために洗浄能力が不十分であるという問題がある。また、洗浄能力を上げるために、例えば振動数を上げたりすると、洗浄能力は少しは改善されるものの騒音が大きくなってしまうなどの問題がある。
ところで、騒音を生ぜしめずに洗浄能力を上げるためには、エア(通常、エア圧は0.5MPaぐらいである。)でなく、例えば水などの液体を用いて液圧を高圧、例えば20〜50MPaにすることが可能と考えられるが、液体を用いると、液体で濡れたフィルム状物を脱水・乾燥するための余分の装置を追加しなければならず煩雑になるという問題がある。
【0004】
解決しようとする課題は、大きな騒音を生ずることなくフィルム状物の表面の洗浄を可能にするとともに、その洗浄能力を高めつつ、しかも、洗浄後の脱水・乾燥をも一つの装置内で行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るフィルム状物の表面処理装置は、回転するバックアップロールに所定の抱き角をもって接触するフィルム状物に向けてクリーニングヘッドから高速に噴射される高圧の、例えば水の液体流と高圧の、例えばエアの気体流により前記フィルム状物の表面の剥離洗浄、例えばフィルム状物のスリッター後の破片屑の剥離、或いはこれらのダストの剥離洗浄及び脱水・乾燥を行う表面処理装置であって、前記バックアップロールは、前記クリーニングヘッドに相対的に離隔、及び接近可能に配設され、また、前記クリーニングヘッドは、前記フィルム状物の上流側に位置するところに前記液体流の噴射通路が、また、前記フィルム状物の下流側に位置するところに前記気体流の噴射通路が、更にまた、これら噴射通路のそれぞれの両側に排気通路が形成され、そして、前記バックアップロールとの最接近位置で当該バックアップロールとの間に、前記抱き角に略等しい、又は前記抱き角より小さい角度範囲に渡って前記液体流や気体流の通過するギャップが形成されるようにしたもので、本装置によれば、大きな騒音を生ずることなくフィルム状物の表面の洗浄が行え、しかも、フィルム状物の上流側に位置するところで高速高圧の液体流を噴射するとともに、フィルム状物の下流側に位置するところで高速高圧の気体流を噴射する構成を採っているので、高速高圧の液体流で洗浄能力を高めつつ、高速高圧の気体流で脱水・乾燥が行え、したがって、脱水・乾燥のための装置を追加することなく一つの装置内で一連の洗浄及び脱水・乾燥を完了させることができる。
ところで、上記所定のギャップは、フィルム状物の種類や厚みにより変えられることはもちろん、最適な洗浄効果が得られるように選定される。
また、上記最接近の距離は、フィルム状物の種類等により異なるが、およそ0.1〜3mmぐらいに選定される。
【0006】
本発明の請求項2に係るフィルム状物の表面処理装置は、前記バックアップロールが前記フィルム状物を吸着可能に稼動されるようにしたもので、これにより、高速高圧流の流体を作用させてもフィルム状物がバックアップロールより剥離されないようになるので、フィルム状物のバックアップロールからの脱落などに起因する品質不良が生じなくなる。
但し、例えばフィルム状物に対する張力が大きい場合など一定の条件を満たせば、フィルム状物をバックアップロールに吸着させる態様を採るには及ばない。
【0007】
本発明の請求項3に係るフィルム状物の表面処理装置において、前記液体流の噴射通路を通って噴射される当該液体流は、その速度ベクトルが、前記フィルム状物に当接するときに、当該フィルム状物の速度ベクトルと鋭角、即ち、0〜90゜内の所望角度をなす態様で噴射されるようにしたものであり、これにより、洗浄能力が更に高まる場合がある。
但し、例えば回路パターンなどが印刷されたネガフィルムのようにフィルム面に凹凸加工が施されているようなフィルム状物については、液体流の速度ベクトルがフィルム状物の速度ベクトルと90゜或いは90゜に近い角度をなす態様で噴射されるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルム状物の表面処理装置は、超音波振動による脈動波エアを用いる構成を採っていないので、大きな騒音を生ずることなくフィルム状物の表面の洗浄が行える利点があり、また、フィルム状物の上流側に位置するところで高速高圧の液体流を噴射するとともに、フィルム状物の下流側に位置するところで高速高圧の気体流を噴射する構成を採っているので、洗浄能力を高めつつ、且つ、脱水・乾燥のための装置を追加することなく一つの装置内で一連の洗浄及び脱水・乾燥を完了させる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係るフィルム状物の表面処理装置を図1を参照して説明する。
本装置1は、図1に示すように、高速高圧の水(液体)流及びエア(気体)流をフィルム状物Wに作用させて当該フィルム状物Wの表面の剥離洗浄及び脱水・乾燥を行う表面処理装置であり、フィルム状物Wが所定の抱き角をもって接触される大径の円筒状バックアップロール2と、このバックアップロール2の真下に位置し、当該バックアップロール2の中心を通る垂直線上にその中心軸が重なるように設置されるクリーニングヘッド3と、このバックアップロール2の中心を通る略水平線上で、且つ、当該バックアップロール2から適宜な距離だけ離隔した位置にそれぞれ配設される小径の円筒状をなす上流側(フィルム状物Wの本装置1への搬入側)ガイドローラ4a及び下流側(フィルム状物Wの本装置1からの搬出側)ガイドローラ4bとで構成され、フィルム状物Wは、上流側ガイドローラ4aからバックアップロール2を通って下流側ガイドローラ4bに案内される走行経路において、バックアップロール2の下部で所定の抱き角をもって接触する態様をなすが、かかる抱き角は、後述するように、バックアップロール2の上下移動に従って変化し、バックアップロール2がクリーニングヘッド3に最接近したときに最大抱き角Aとなる。
【0010】
バックアップロール2は、回転可能に軸着され、また、エアシリンダー(図示せず)により当該バックアップロール2の中心を通る垂直線上に沿って上下(図1中の矢印で示す。)移動できるようになっており、したがって、クリーニングヘッド3に対し離隔(例えば図1中の二点鎖線で示す位置にあるとき)、及び接近(図1中の実線で示す位置は最接近したとき)可能に配される。そして、バックアップロール2は、本実施の形態では、サクションローラの機能を併せ持つもので、フィルム状物Wを吸着可能にして稼動される。したがって、フィルム状物Wの表面の剥離洗浄や脱水・乾燥に際して高速高圧の水流やエア流を作用させてもフィルム状物Wがバックアップロール2から剥離されることがない。
【0011】
また、クリーニングヘッド3は、水平な基盤に固定されて横断面略帽子状をなす部材で、その最上部には円弧状の凹部3aが設けられ、この凹部3aの中心線は当該クリーニングヘッド3の上記中心軸と一致し、且つ、この凹部3aの円弧を含む仮想円とバックアップロール2の外径円とは同心円をなすようになっており、バックアップロール2がクリーニングヘッド3に最接近したときに当該クリーニングヘッド3の凹部3aとの間の角度範囲(図1中、角度Bで示される角度範囲)で所定のギャップGが形成される。そして、クリーニングヘッド3の中心軸に沿う下部に、本実施の形態では、剥離されたダストなどを含む水流及びエア流の吸引口である排気マニホールド5aが設けられ、この排気マニホールド5aから上方に延出して上記凹部3aに開口する態様で細長な排気通路5bが設けられている。また、排気マニホールド5aから略水平方向に離隔して当該クリーニングヘッド3の略中央部の上流側側端寄りのところに、剥離されたダストなどを含む水流の吸引口である排気マニホールド6aが、また、その下流側側端寄りのところに、剥離されたダストなどを含むエア流の吸引口である排気マニホールド7aがそれぞれ設けられ、そして、排気マニホールド6aから上方に延出して上記凹部3aの上流側側端近傍に開口する態様で上記排気通路5bと略同一長の排気通路6bが当該排気通路5bに平行をなして設けられ、また、排気マニホールド7aから上方に延出して上記凹部3aの下流側側端近傍に開口する態様で上記排気通路5bと略同一長の排気通路7bが当該排気通路5bに平行をなして設けられている。
【0012】
更に、上記排気マニホールド5aと排気マニホールド6aとの略中間位置で、且つ、当該クリーニングヘッド3の略中央部からやや下方のところに高速高圧の水流の導入口である給液マニホールド8aが、また、上記排気マニホールド5aと排気マニホールド7aとの略中間位置で、且つ、当該クリーニングヘッド3の略中央部からやや下方のところに高速高圧のエア流の導入口である給気マニホールド9aがそれぞれ設けられている。そして、給液マニホールド8aから上方に延出して上記凹部3aの上流側に位置するところに開口する態様で上記排気通路5bと略同一長の噴射通路8bが当該排気通路5bなどに平行をなして設けられ、また、給気マニホールド9aから上方に延出して凹部3aの下流側に位置するところに開口する態様で上記排気通路5bと略同一長の噴射通路9bが当該排気通路5bなどに平行をなして設けられている。これにより、給液マニホールド8aから噴射通路8bを通り凹部3aの開口口3aから噴出する高速高圧の水流は、上記ギャップG内に流入し、流入したこの水流は、図1の矢印で示すように、排気通路5b及び排気通路6bに二分されて流出する。一方、給気マニホールド9aから噴射通路9bを通り凹部3aの開口口3aから噴出する高速高圧のエア流は、上記ギャップG内に流入し、流入したこのエア流は、図1の矢印で示すように、排気通路5b及び排気通路7bに二分されて流出する。したがって、本実施の形態では、排気通路5bは、水流の排気通路でもあり、また、エア流の排気通路でもある構造となっている。但し、場合によっては、この水流の排気通路とエア流の排気通路を別々に設けた構造であってもよいことはもちろんである。
【0013】
ところで、本実施の形態では、上記開口口3aは、噴射通路8bが凹部3aの曲面に達したところに設けられた開孔であり、かかる開孔からの水流は、その速度ベクトルが、前記フィルム状物Wに当接するときに、当該フィルム状物Wの速度ベクトルと鈍角、即ち、90゜を超える所定の角度をなして噴射される噴射態様が採られている一方、上記開口口3aは、噴射通路9bが凹部3aの曲面に達したところに設けられた開孔であり、かかる開孔からのエア流は、その速度ベクトルが、前記フィルム状物Wに当接するときに、当該フィルム状物Wの速度ベクトルと鋭角、即ち、0〜90゜内の所定角度をなして噴射される噴射態様が採られている。
【0014】
また、バックアップロール2がクリーニングヘッド3に最接近したとき、即ち、フィルム状物Wのバックアップロール2に対する抱き角が最大抱き角Aのときに所定のギャップGが形成されるが、かかるギャップGは、本実施の形態では最大抱き角Aに略等しい角度範囲Bに渡って形成されている。但し、このギャップGは、場合によっては、最大抱き角Aより小さい角度範囲に渡って形成されるものであっても可能である。
【0015】
次に、本装置1によるフィルム状物Wの表面の剥離洗浄及び脱水・乾燥動作について説明する。
本装置1は、洗浄等の開始前にあっては、バックアップロール2がエアシリンダーにより上方に引き上げられて図1の二点鎖線に示すような状態にあり、上記抱き角は、最小の状態になっており、このとき、例えばバックアップロール2がフィルム状物Wを吸着して回転し、フィルム状物Wは走行状態にあるものとする。
この状態において、スイッチがONされて洗浄等の開始が指示されると、バックアップロール2は、フィルム状物Wを吸着した状態で下降を開始し、しかる後、予め設定された下降位置で停止される。
尚、フィルム状物Wを吸着するときに、バックアップロール2は停止状態にあって、下降中に、或いは下降位置で停止した後にバックアップロール2の回転が開始されるようにしてもよい。
このような下降停止位置においてバックアップロール2は、クリーニングヘッド3の凹部3aとの間で所定のギャップGを形成するとともに、上記抱き角は、最大抱き角Aとなる。そして、バックアップロール2(正確には、バックアップロール2に吸着されたところのフィルム状物W)に向けて高速・高圧の水流やエア流が噴射される。詳細には、給液マニホールド8aに高速・高圧水が通気され、また、給気マニホールド9aに高速・高圧エアが通気され、高速・高圧の水流が噴射通路8bを介して上記凹部3aの開口口3aから噴出するとともに、高速・高圧のエア流が噴射通路9bを介して上記凹部3aの開口口3aから噴出してバックアップロール2に当接してから、換言すれば、バックアップロール2に吸着されたところのフィルム状物Wに当接してからギャップGに流入する。
【0016】
そして、バックアップロール2とクリーニングヘッド3の凹部3aとの間に形成されたギャップG、換言すれば、バックアップロール2に吸着されたフィルム状物Wとクリーニングヘッド3の凹部3aとの間に形成されたギャップGに、給液マニホールド8aから噴射通路8bを通り凹部3aの開口口3aから噴出する高速高圧の水流が流入し、給気マニホールド9aから噴射通路9bを通り凹部3aの開口口3aから噴出する高速高圧のエア流が流入するとともに、バックアップロール2の回転に伴って凹部3aの上流側端から外部エア(図1中の矢印で示す)が流入する。このようにして流入した水流や外部エア流のうち水流は、図1の矢印で示すように、排気通路5b及び排気通路6bに二分されてギャップGから流出するとともに、外部エア流は主として排気通路6bから流出する。このとき、フィルム状物Wは、この水流及び外部エア流によって当該フィルム状物Wに付着したダストなどが剥離洗浄される。また、外部エア流は、ギャップGから排気通路6bへの水流の速やかな流出に有効に作用する。そして、剥離されたダストなどを含む水流及び外部エア流は、サクションブロア(図示せず)により排気通路5b及び排気通路6bを通って排気マニホールド5a及び排気マニホールド6aより吸引され外部に排出される。一方、流入したエア流は、図1の矢印で示すように、排気通路5b及び排気通路7bに二分されてギャップGから流出する。このとき、フィルム状物Wは、このエア流によっても当該フィルム状物Wに付着したダストなどが剥離洗浄されるとともに、このエア流によって当該フィルム状物Wに付着した水分が脱水・乾燥される。剥離されたダストなどを含むエア流は、サクションブロア(図示せず)により排気通路5b及び排気通路7bを通って排気マニホールド5a及び排気マニホールド7aより吸引され外部に排出される。
このような洗浄や、脱水・乾燥に際して、高速高圧の水流やエア流を作用させてもフィルム状物Wがバックアップロール2から剥離されないことはもちろんのこと、このためにフィルム状物Wが破損することを防止できることはもちろんである。
【0017】
次に、上述した装置1とは異なる実施の形態に係るフィルム状物の表面処理装置10について図2を参照して説明する。但し、図2において図1中の構成要素と同一のものには同一番号を付し、その説明は割愛する。
本装置10が上記装置1と異なるところは、上記クリーニングヘッド3に代えてクリーニングヘッド11とした点であり、詳細には、クリーニングヘッド3のところの噴射通路8b及び噴射通路9bを、クリーニングヘッド11においては噴射通路12及び噴射通路13とした点である。
このうちの噴射通路12は、図2に示すように、給液マニホールド8aから上方に延出して上記凹部3aに開口する手前の近傍で下流側の方向に折曲され、この折曲された短小の噴射通路部12aが延出して上記凹部3aに開口している。したがって、この凹部3aの開口口3aからの水流は、その速度ベクトルが、フィルム状物Wに当接するときに、当該フィルム状物Wの速度ベクトルと鋭角、即ち、0〜90゜内の所定角度をなして噴射される態様のものになっており、例えばフィルム状物Wの性状によっては、洗浄能力を更に高める効果が得られる場合がある。
また、噴射通路13については、図2に示すように、当該噴射通路13が上記凹部3aに開口するところで、この凹部3aの開口口3aが下流側の方向に向かって拡げられる態様にして形成されており、このため、この開口口3aからのエア流においては、その速度ベクトルは、フィルム状物Wに当接するときに、上述した装置1におけるエア流に比べて当該フィルム状物Wの速度ベクトルと同方向の速度成分が、より増加したものとなっている。
尚、噴射通路13についても、噴射通路12に準じて、フィルム状物Wに当接するときに、エア流の速度ベクトルが当該フィルム状物Wの速度ベクトルと鋭角、即ち、0〜90゜内の所定角度をなすように噴射されるエア流にしてもよい場合があることはもちろんである。
【0018】
ところで、上述した実施の形態では、バックアップロール2をクリーニングヘッド3に対し上下動できるようにしたものについて説明したが、逆にクリーニングヘッド3をバックアップロール2に対し上下動できるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、クリーニングヘッド3をバックアップロール2の真下に位置させる装置について説明したが、両者を上下反対に位置させた装置にしてもよく、また、両者を互いに水平に位置させた装置にしてもよい。
尚、上述した実施の形態のギャップGは、クリーニングヘッド3の凹部3aの円弧を含む仮想円とバックアップロール2の外径円とを同心円上に位置させて形成されるようにしたものであったが、必ずしも同心円上に位置させて形成されることを要せず、バックアップロール2が適宜な範囲でクリーニングヘッド3の凹部3aの形状に略沿うようにして形成されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本表面処理装置のように、大きな騒音を生ずることなく、洗浄及び洗浄後の脱水・乾燥を行えるようにした点で利用価値が高く、とりわけ、一つの装置内で洗浄及び洗浄後の脱水・乾燥を行えるようにした点で利用価値が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る表面処理装置の構成図である。
【図2】図1の装置とは異なる実施の形態に係る表面処理装置の構成図である。
【図3】従来の表面処理装置の構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1,10 表面処理装置
2 バックアップロール
3,11 クリーニングヘッド
5b,6b,7b 排気通路
8b,9b 噴射通路
12,13 噴射通路
G ギャップ
W フィルム状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するバックアップロールに所定の抱き角をもって接触するフィルム状物に向けてクリーニングヘッドから高速に噴射される高圧の液体流と高圧の気体流により前記フィルム状物の表面の剥離洗浄及び脱水・乾燥を行う表面処理装置であって、前記バックアップロールは、前記クリーニングヘッドに相対的に離隔、及び接近可能に配設され、また、前記クリーニングヘッドは、前記フィルム状物の上流側に位置するところに前記液体流の噴射通路が、また、前記フィルム状物の下流側に位置するところに前記気体流の噴射通路が、更にまた、これら噴射通路のそれぞれの両側に排気通路が形成され、そして、前記バックアップロールとの最接近位置で当該バックアップロールとの間に、前記抱き角に略等しい、又は前記抱き角より小さい角度範囲に渡って前記液体流や気体流の通過するギャップが形成されてなることを特徴とするフィルム状物の表面処理装置。
【請求項2】
前記バックアップロールは、前記フィルム状物を吸着可能に稼動されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム状物の表面処理装置。
【請求項3】
前記液体流の噴射通路を通って噴射される当該液体流は、その速度ベクトルが、前記フィルム状物に当接するときに、当該フィルム状物の速度ベクトルと鋭角をなす態様で噴射されることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム状物の表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−99578(P2010−99578A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272564(P2008−272564)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508318395)
【Fターム(参考)】