説明

フェニルフリルメチルチアゾリジン−2,4−ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン−2,4−ジオン化合物、ケラチン繊維の成長を誘発または刺激し、および/またはその喪失を遅延化させることにおける使用、ならびに、これらを含む組成物

【課題】ケラチン繊維の成長の誘発や刺激、喪失の遅延化をさせる組成物の提供。
【解決手段】式(I)で表わされる新規なフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物、およびそれらの塩またはそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、新規なフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物、ならびに、ケラチン繊維の成長を誘発または刺激し、および/またはその喪失を遅延化し、および/またはその密度を増大させ、および/またはその外観を改善することにおけるこれらの化合物の1使用である。
【0002】
本発明の別の主題は、特有の構造を有するフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物の有効量を含む、ケラチン繊維の密度を増大させ、および/またはその外観を改善することを意図した、ケラチン繊維のケアおよび/またはメイクアップのための組成物である。
【0003】
特に、本発明は、毛髪および/または睫毛の成長を誘発または刺激し、および/または脱毛を遅延化させ、および/またはこれらの密度を増大させ、および/またはその外観を改善することを意図した、毛髪および/または睫毛のケアおよび/またはメイクアップのための組成物に関する。
【0004】
さらに、本発明は、ケラチン繊維の成長、特に毛髪の成長を刺激し、および/またはその喪失を遅延化することを意図した、美容処理方法に関する。
【0005】
本発明が適用されるヒトのケラチン繊維は、特に毛髪、眉毛、睫毛、あごひげ、または口ひげである。特に本発明は、ヒトの毛髪および/または睫毛に適用される。
【0006】
本発明は、特に、特有の構造を有するフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物を含む、毛髪および/または睫毛の密度を増大させ、および/またはその外観を改善することを意図した、毛髪および/または睫毛のケアおよび/またはメイクアップのための、局所適用のための組成物に関する。
【背景技術】
【0007】
本発明が適用されるヒトのケラチン繊維は、特に毛髪、眉毛、睫毛、あごひげ、口ひげおよび陰毛である。特に本発明は、ヒトの毛髪および/または睫毛に適用される。
【0008】
毛髪の成長および再生は、主として毛包およびこれらの基質環境の活性によって決まる。これらの活性は周期的で、本質的に3つの段階、つまり発育期、退行期および休止期を含む。
【0009】
発育期(活性期または成長期)は、数年間続き、その間に毛髪が伸長するが、その次の非常に短く一時的である退行期は数週間続く。この期間に毛髪は変化し、毛包は退化し、その皮膚における着床は、次第に浅くなるようである。
【0010】
末期または休止期は、数ヶ月続き、毛包の休止段階に相当し、毛髪は抜け落ちて終わる。この休止段階の最後に、新しい毛包がそこで再生されて、別のサイクルが再開する。
【0011】
したがって、毛髪は連続的に再生されており、毛髪をつくる約150000本の個々の毛髪のうちの約10%が休止していて、数カ月で生え替わる。
【0012】
自然な脱毛は、正常な生理状態で、平均して、1日当たり毛髪数100本であると推定される。この永続的な物理的再生のプロセスは、加齢中に自然に変化を受ける。すなわち、毛髪はより細くなり、それらのサイクルは短くなる。
【0013】
さらに、種々の原因より、結果として、有意に、一時的にまたは最終的に、脱毛がおこる可能性もある。妊娠(分娩後)からの回復中、栄養不良またはアンバランスな食事の状態中、生理学的なストレス中、または無気力症またはホルモン機能障害の状態中は、毛髪は喪失されたり悪影響を受けたりし、同様に更年期障害中または更年期障害からの回復中のケースにおいてもそうである。また季節的現象に関連して、毛髪が喪失され、または悪影響を受けるおそれもある。
【0014】
また、脱毛症の問題でもある可能性がある。脱毛症は、本質的に毛髪の再生障害に起因し、最初にサイクル頻度が加速され、毛髪の質が損なわれ、その後毛髪の量が損なわれる結果になる。この一連の成長サイクルにより、毛髪は次第に細くなり、また次第に短くなり、徐々に色素脱失される。特に男性では側頭葉および前頭葉の領域が優先的に影響を受け、女性では、頭頂部に広汎性脱毛症がみられる。
【0015】
用語「脱毛症」は、その最終結果として部分的または全体的に毛髪が永久的に喪失される毛包の一群の状態の全てを包含する。これは、より具体的にはアンドロゲン性脱毛症の問題である。かなり多くのケースにおいて、早期の脱毛が、遺伝的素因のある人に起こり、したがって男性加齢脱毛症(androchronogenetic alopecia)の問題である。この形態の脱毛症は、特に男性に発症する。
【0016】
炎症性を伴う頭皮のいくつかの皮膚病、例えば乾癬または脂漏性皮膚炎においては、脱毛が大幅に増加し、または毛包のサイクルに高度の障害を引き起こすおそれがある。
【0017】
脱毛症を排除または軽減することができる組成物、特に、毛髪の成長を誘発または刺激すること、または脱毛を低減させることができる組成物が、化粧品または製薬産業において、長年探究されてきた。
【0018】
この観点において、かなり多様な活性成分、例えば、特許第4139619号および米国特許第4596812号に開示されている2,4-ジアミノ-6-ピペリジノピリミジン-3-オキシド、すなわち「ミノキシジル」、またはその多数の誘導体、例えば、欧州特許第0353123号、同0356271号、同0408442号、同0522964号、同0420707号、同0459890号および同0519819号に開示されているものを含む多数の組成物が既に提供されている。
【0019】
臨床的研究では、PGF2α類似体が、男性および動物の体毛および睫毛を成長をもたらす性質を有することが実証されてた(Murray A. and Johnstone M.D., 1997. Am. J. Opht., 124(4), 544-547)。男性において頭皮でなされたテストでは、プロスタグランジンE類似体(ビプロストール(viprostol))が毛髪密度を増大させる性質を有していることが示されている(Roenigk HH., 1988, Clinic Dermatol, 6(4), 119-121)。
【0020】
さらに、国際公開第98/33497号パンフレットには、男性の脱毛に抗することを意図したプロスタグランジン類またはプロスタグランジン誘導体類を含む医薬組成物が開示されている。A、F2αおよびE型のプロスタグランジン類が特に好ましいものとして挙げられる。
【0021】
しかし、プロスタグランジン類は、生物学的半減期の非常に短い、オートクリン的またはパラクリン的に作用する分子であり、これは、プロスタグランジン類の代謝の性質が局所的で、不安定であることを示している(Narumiya S et al., 1999, Physiol Rev, 79(4), 1193-1226)。
【0022】
したがって、男性において毛髪密度を維持および/または増加させること、毛包またはその近傍の皮膚環境の多様な区画におけるPGF2αおよびPGEの内因性蓄積を保持することが重要であると考えられる。
【0023】
良好な結果をもたらすための解決策は、毛髪の成長を促進させる目的で、リポキシゲナーゼの阻害剤、および/またはシクロオキシゲナーゼの誘発剤である化合物を投与することである。1つの仮説は、このような化合物を投与すると、脂肪酸の代謝が、他の経路に優先してプロスタグランジン類の内因性合成の方向に向けられるというものである。
【0024】
しかしながら、結果をさらに改善するために、個々の生きた毛髪の成長および維持に関与するプロスタグランジン類の活性を長期化させることが可能になることが所望されている。
【0025】
さらに、表皮のケラチン生成細胞の分化プログラムと、毛包のケラチン生成細胞の分化プログラムとが明らかに異なっていることはよく知られている。例えば、毛幹のケラチンが、表皮で発現するものとは異なるファミリーを表すこと(Langbein et al., 2001, J. Biol. Chem. 276:35123-35132)、分化マーカー(例えばケラチンKおよびK10)は毛包、特に外鞘では発現されないこと(Lenoir et al., 1988, Dev. Biol. 130:610-620)、トリコヒアリン(O'Guin et al., 1992, J. Invest. Dermatol. 98:24-32)およびケラチンK6irs(Porter et al., 2001, Br. J. Dermatol. 145:558-568)は毛包、特に内鞘で発現されるが、表皮では発現されないこと、および、シクロオキシゲナーゼI型は、表皮で発現する一方、毛包のケラチン生成細胞では発現されず真皮乳頭では発現されること(Michelet et al., 1997, J. Invest. Dermatol. 108:205-209)が知られている。
【0026】
本出願人は、これらのプロスタグランジン類の分解に特異的に関与する酵素が、個々の毛髪の寿命にとって重要な区画である、個々の毛髪の真皮乳頭に存在していることを明らかにした。これは、本出願人が、そこにI型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素(15-PGDHと省略)が存在していることを証明したことによる。さらに、I型15-PGDHを阻害すると、毛髪の成長に有益な効果があることも明らかにした。
【0027】
この理由から、本発明は、I型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素の特定の阻害剤を少なくとも1種と、生理学的に許容可能な媒体とを含む、毛髪のケアまたは処置のための組成物に関している。
【0028】
I型15-PGDHは、個々の毛髪の成長および生存の重要な介在物質であるプロスタグランジン類、特にPGF2α、およびPGEの非活性化における鍵酵素である。これは、EC.1.1.1.141の分類に相当し、NAD依存性である。ブタの腎臓から単離された。この酵素は、特に、甲状腺ホルモンであるトリヨードチロニンにより、生理学的投与量よりもかなり多い投与量で阻害されることが観察されている。II型15-PGDHのほうは、NADP依存性である。
【特許文献1】Murray A. and Johnstone M.D., 1997. Am. J. Opht., 124(4), 544-547
【特許文献2】Roenigk HH., 1988, Clinic Dermatol, 6(4), 119-121
【非特許文献1】国際公開第98/33497号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
塩の形態であってもなくてもよい、フェニルフラン化合物およびフェニルチオフェン化合物が、I型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素に関する阻害活性を有することが、国際公開第04/028441号の特許出願により知られている。しかし、本出願人会社は、これらの化合物が着色し、それにより、適用時にケラチン物質、特に毛髪、眉毛、睫毛、あごひげ、または口ひげのケラチン繊維を着色する傾向があるという不利な点があることに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本出願人会社は、塩の形態であってもなくてもよい一部の複素環式化合物、特に、一部のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物が、驚くべきことに、ヒトのケラチン繊維、特に毛髪繊維の密度の改善に好ましい活性を有することを見出した。さらに、これらの化合物は、15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素の阻害物質であることを見出した。これらの化合物は、従来技術のフェニルフラン化合物およびフェニルチオフェン化合物の不利な点を示さない。
【0031】
本発明の主題は、したがって、以下に詳細に定義する、式(I)の新規なフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物、およびそれらの塩および/またはそれらの溶媒和物である。
【0032】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の成長を誘発および/または刺激し、および/またはこれらの喪失を遅延化させ、および/またはこれらの密度を増加させるための薬剤としての、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物およびそれらの塩および/またはそれらの溶媒和物の有効量の使用である。
【0033】
本発明のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物およびそれらの塩ならびに/またはそれらの溶媒和物は、次の構造式:
【化1】

[式中、
a)Xは、OまたはSを表し;
b)Aは、
1)水素原子、または、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和ま
たは不飽和の、C−C20アルキル基、
を表し;
c)A、A、A、およびA基は、個別に、
1)水素原子、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、
3)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、3個から7個の原子を含む、飽和または不飽和の炭化水素環、または、
4)Z基、
を表し;
d)pは、0から5までであり、pが1より大の場合、A置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;
e)Z基は、
1)ハロゲン、例えばF、Cl、またはBr等、
2)CF3、OCF3、CN、NO2、OZ2、OCOZ2、OCONZ2Z’2、SZ2、SCOZ2、SCONZ2Z’2、SCSOZ2、SCSNZ2Z’2、NZ2Z’2、NZ2C(=NZ’2)NZ”2Z’”2、NZ2SO2Z’2、COZ2、COOZ2、CONZ2Z’2、CSZ2、CSNZ2Z’2、SO3Z、SO2NZ2Z’2、SO2Z2、SiZ2Z’2Z”2、または
Si(OZ2)(OZ’2)OZ”2から選択される基、
3)直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C−C20アルキル基、または、
4)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、任意選択で1個以上の、OZ2、CF3、ハロゲン、または直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C−C20アルキル基で置換されていてもよく、さらに、カルボニル官能基またはチオカルボニル官能基を含んでいてもよい環、
を表し(ただしA基がCH2である場合、ZおよびZ’はHまたはMeではない);
f)Z、Z’、Z’’、およびZ’’’基は、個別に、
1)水素原子、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、または、
3)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、これらの環は任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよく、有利にはフェニルである環、
を表し;
g)Z基は、
1)Z基、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、または、
3)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、これらの環は任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい環、
を表し;
h)Z基は、
1)ハロゲン、例えばF、Cl、またはBr等、または、
2)CF3、OCF3、CN、NO2、OZ5、OCOZ5、OCONZ5Z’5、SZ5、SCOZ5、 SCONZ5Z’5、SCSOZ5、SCSNZ5Z’5、NZ5Z’5、NZ5COZ’5、NZ5CONZ’5Z”5、NZ5C(=NZ’5)NZ”5Z’”5、NZ5SO5Z’5、COZ5、COOZ5、CONZ5Z’5、CSZ5、CSNZ5Z’5、SO3Z、SO2NZ5Z’5、SO2Z5、SiZ5Z’5Z”5、またはSi(OZ5)(OZ’5)OZ”5の群からの1つの基、
を表し;かつ、
i)Z、Z’、Z’’、およびZ’’’基は、個別に、
1)水素原子、
2)直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、または、
3)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、これらの環は任意選択で1個以上のCF3、ハロゲン、または、直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C−C20アルキル基で置換されていてもよい環、
を表す]
で示される。
【0034】
本発明において、用語「式(I)の化合物の塩」は、式(I)の化合物の有機または無機の塩を意味すると理解される。
【0035】
本発明で使用可能な無機塩としては、ナトリウムまたはカリウムの塩、ならびに、アンモニウム、亜鉛(Zn2+)、カルシウム(Ca2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+およびFe3+)、ストロンチウム(Sr2+)、マグネシウム(Mg2+)、およびマンガン(Mn2+)の塩;水酸化物、ハロゲン化水素酸塩(例えば塩酸塩)、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸水素塩、またはリン酸塩を挙げることができる。
【0036】
本発明で使用可能な有機塩は、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、エタノールアミン、ヘキサデシルアミン、およびN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの塩、ならびに、有機酸の塩(例えば、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、および酒石酸塩等)である。
【0037】
式(I)の化合物の可能な溶媒和物としては、水和物、アルコール溶媒和物、または水/アルコール溶媒和物を挙げることができる。
【0038】
本発明において、式(I)の化合物は、単離された形態、すなわちポリマー状ではない形態である。
【0039】
本発明において、用語「少なくとも1種」は、1種またはそれ以上(2種、3種またはそれ以上)を意味する。特に、本組成物は、式(I)の化合物1種またはそれ以上を含んでいてよい。これらの化合物は、互変異性型であってよい。これらの化合物は、鏡像体、および/またはジアステレオ異性体、および/またはこれらの異性体の混合物、特にラセミ混合物であってよい。
【0040】
本発明の趣意の範囲内において、用語「アルキル基」は、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の、炭化水素基を意味すると理解される。特に、アルキル基は、1個から20個の炭素原子を含み、好ましくは1個から10個の炭素原子を含む。本発明で使用可能なアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、エチレンまたはプロピレン基を挙げることができる。
本発明で使用可能なハロゲン原子としては、塩素、フッ素、および臭素原子を挙げることができ、塩素またはフッ素原子がさらに好ましい。
【0041】
本発明で使用可能な飽和環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルまたはアダマンチル基を挙げることができる。
【0042】
本発明で使用可能な不飽和環としては、シクロヘキセニルまたはフェニル基を挙げることができる。本発明で使用可能な縮合炭化水素環としては、ナフチルまたはアズレニル基を挙げることができる。
【0043】
本発明で使用可能な異なる種類の縮合環としては、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、カルボリン、クロメン、カルバゾールまたはフルオレン基を挙げることができる。
【0044】
本発明で使用可能な、カルボニルまたはチオカルボニル官能基を含む環の例としては、以下の環:
【化2】

を挙げることができる。
【0045】
本発明で使用可能な複素環の例としては、アゼチジン、ピロール、ジヒドロピロール、ピロリジン、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾール、ジヒドロイミダゾール、イミダゾリジン、チアゾール、ジヒドロチアゾール、チアゾリジン、ピラゾール、ジヒドロピラゾール、ピラゾリジン、オキサゾール、ジヒドロオキサゾール、オキサゾリジン、イソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、イソオキサゾリジン、イソチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、イソチアゾリジン、トリアゾール、ジヒドロトリアゾール、トリアゾリジン、オキサジアゾール、ジヒドロオキサジアゾール、オキサジアゾリジン、チアジアゾール、ジヒドロチアジアゾール、チアジアゾリジン、テトラゾール、ピリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ピペラジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、モルフォリン、アゼピン、ジアゼピンまたは15−C−5クラウンエーテル環を挙げることができる。好ましくは、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアゾール、ピラジン、ピリダジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルフォリン環を使用することができる。
【0046】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、以下の条件:
(a)A、A、A、およびA基は、同時に水素を表し;
(b)pは0、1、または2の値であり;
(c)A基は、同一でも異なっていてもよく、任意選択でZ基またはZ基で置換さ
れていてもよい、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、C−C10アルキル基を表
し;
(d)Z基は、ハロゲン、CN、NO2、CF3、OZ2、OCOZ2、COOZ2、または、任意選択で他の環と縮合していてもよく、任意選択で上記により定義したZ基1個以上で置換されていてもよいフェニル環、を表し;かつ、
(e)Z基は、水素、または、飽和もしくは不飽和の、直鎖もしくは分岐の、C−C
10アルキル基を表す、
を満たす化合物である。
【0047】
好ましい式(I)の化合物として、以下の化合物:
【化3A】

【化3B】

【化3C】

【化3D】

【化3E】

およびそれらの塩ならびに/またはそれらの溶媒和物を挙げることができる。
【0048】
これらの化合物のうち、特に、次の式:
【化4】

で示される4-{5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]-2-フリル}安息香酸、または、
次の式:
【化5】

で示される4-{5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]-2-フリル}安息香酸二ナトリウム塩、
およびそれらの塩、および/またはそれらの溶媒和物、
から選択される化合物を使用することができる。
【0049】
本発明の式(I)の化合物は、以下の構造:
【化6】

(式中、AおよびAおよびXおよびpは、式(I)において上述により定義したものと同様のものを意味する)
で示される化合物を、以下の反応スキーム:
【化7】

に従って還元する方法により得ることができる。
【0050】
式(II)の化合物は、国際公開第04/028441号の特許出願で開示および合成されている。
【0051】
本発明はまた、上述により定義した、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の成長を誘導および/または刺激し、および/またはその喪失を遅延化させ、および/またはその密度を増加させるための薬剤としての使用、特に美容的使用に関する。
【0052】
本発明の別の主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の美容的使用であって、ケラチン繊維の喪失を低減し、および/またはその密度を増加させることを意図した、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維をケアまたは処置するための組成物における美容的使用に関する。さらに、この組成物は、ケラチン繊維を良好な状態に維持し、および/またはその外観を改善することを可能にする。
【0053】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、ケラチン繊維の成長を誘発および/または刺激し、および/またはその喪失を遅延化させ、および/またはその密度を増加させることを意図した、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維をケアまたは処置するための組成物の製造における使用である。
【0054】
本発明は、哺乳類の動物種(例えばイヌ類、ウマ類またはネコ類)のケラチン繊維にも当てはまる。
【0055】
本発明が適用されるヒトのケラチン繊維は、特に毛髪、眉毛、睫毛、あごひげ、または口ひげである。
【0056】
したがって、本発明はまた、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の美容的使用であって、脱毛を低減し、および/または毛髪密度を増加させ、および/またはアンドロゲン性脱毛症を処置することを意図した、ヒトの毛髪をケアするための化粧品用組成物における美容的使用に関する。
【0057】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、毛髪の成長を誘発および/または刺激し、および/または脱毛を遅延化させ、および/または毛髪密度を増加させ、および/またはアンドロゲン性脱毛症を処置することを意図した、ヒトの毛髪用組成物の製造における使用である。
【0058】
本発明はまた、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の美容的使用であって、天然由来、特にアンドロゲン由来の脱毛症を処置することを意図した、ヒトの毛髪をケアするための化粧品用組成物における美容的使用に関する。
【0059】
本発明はまた、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、天然由来、特にアンドロゲン由来の脱毛症を処置することを意図した、ヒトの毛髪のケアのための組成物の製造における使用に関する。したがって、この組成物は、毛髪を良好な状態に維持し、および/または自然な脱毛、特に男性の自然な脱毛に抗することができる。
【0060】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の美容的使用であって、睫毛の成長を誘発および/または刺激し、および/またはその密度を増加させることを意図した、ヒトの睫毛のケアおよび/またはメイクアップのための化粧品用組成物における美容的使用である。
【0061】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、睫毛の成長を誘発および/または刺激し、および/またはその密度を増加させることを意図した、ヒトの睫毛をケアおよび/または処置するための組成物の製造における使用である。したがって、この組成物は、睫毛を良好な状態に維持し、および/またはその状態を改善し、および/またはその外観を改善することを可能にする。
【0062】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、特にヒトの皮膚のための、I型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素阻害剤としての使用である。
本発明のさらなる主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、特に男性において、I型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素の存在に関連する障害を処置することを意図した組成物の製造における使用である。
【0063】
本発明の別の主題は、ヒトのケラチン繊維(特に毛髪または睫毛)および/または前記繊維が出ている皮膚(頭皮および瞼を含む)の美容処理方法であって、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物を含む化粧品用組成物を前記ケラチン繊維および/または前記皮膚に適用し、この組成物をケラチン繊維および/または前記繊維が出ている皮膚と接触させておき、さらに任意選択で前記繊維および/または前記皮膚をすすぐことを特徴とする、美容処理方法である。
【0064】
この処理方法は、それがヒトのケラチン繊維、特に毛髪および睫毛の魅力を、それらをより活力的にし、外観を改善することにより改善することを可能にすることに関する限り、明らかに美容方法の性質がある。さらに、この方法は、処方箋なしで毎日、数ヶ月間使用することができる。
【0065】
とりわけ、本発明の主題は、ヒトの毛髪および/またはヒトの頭皮の状態および/またはその外観を改善することを意図した、毛髪および/または頭皮の美容的ケア方法であって、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物を有効量含む化粧品用組成物を毛髪および/または頭皮に適用し、この組成物を毛髪および/または頭皮と接触させておき、さらに任意選択で毛髪および/または頭皮をすすぐことを特徴とする、毛髪および/または頭皮の美容的ケア方法である。
【0066】
本発明の別の主題は、ヒトの睫毛の状態および/またはその外観を改善することを意図した、ヒトの睫毛の美容的ケア方法および/またはメイクアップ方法であって、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物を含むマスカラ組成物を睫毛および/または瞼に適用し、この組成物を睫毛および/または瞼と接触させておくことを特徴とする、ヒトの睫毛の美容的ケア方法である。このマスカラ組成物は、それだけを適用するかまたは従来の有色マスカラの下塗りとして適用することができ、従来の有色マスカラと同様に除去することができる。
【0067】
本発明の別の主題は、局所適用のために化粧品として許容できる媒体と、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物とを含む、毛髪または睫毛のためのケア用組成物および/またはマスカラ組成物である。
【0068】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維のケアおよび/またはメイクアップのための組成物であって、生理学的に許容できる媒体、特に化粧品用の媒体と、式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物と、アミネキシル、FP受容体作動薬、プロスタグランジン類およびその誘導体類、ならびに血管拡張薬から選択され、特に、アミネキシル、ミノキシジル、ラタノプロスト、(5E)-7- {(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]シクロペンチル}ヘプト-5-エン酸、ブタプロストおよびトラボプロストから選択され、ヒトのケラチン繊維の再成長を促進させ、および/またはケラチン繊維の喪失を制限する、少なくとも1種の追加の活性成分と、を含む組成物である。
【0069】
本発明の別の主題は、式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の、毛包内のプロスタグランジン類の量および活性を維持するための薬剤としての美容的使用である。
【0070】
本発明の別の主題は、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の、毛包内のプロスタグランジンの量および活性を維持することを意図した組成物の製造における使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
(本発明の詳細な記載および実施形態)
用語「15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素阻害剤」は、酵素I型15-PGDHの活性を特に男性において阻害または低減することができ、および/またはこの酵素により触媒される反応を阻害、低減または遅延化することができる、式(I)の化合物を意味すると理解される。
【0072】
本発明の有利な実施態様において、式(I)の化合物は、15-PGDHに特異的な阻害剤であり、用語「特異的な阻害剤」は、プロスタグランジン類の合成、特にPGF2αまたはPGEの合成の阻害剤ではないかまたはほんのわずかしか阻害剤ではない活性成分を意味すると理解される。本発明の特定の実施態様において、15-PGDHの阻害剤は、プロスタグランジン類の合成、特にPGF2αまたはPGEの合成の阻害剤ではないかまたはほんのわずかしか阻害剤ではない。特に、I型15-PGDHの阻害剤は、プロスタグランジン合成酵素(PGF合成酵素またはPGFSと称される)の阻害剤ではないかまたはほんのわずかしか阻害剤ではない。
【0073】
これは、本出願人が、PGF合成酵素が、真皮乳頭においても発現されることを見出したことによる。このため、作用部位における有効量のプロスタグランジン類は、これらの分子の合成と分解との間の複雑な生物学的平衡よって維持される。したがって、異化作用を阻害する化合物を外因的に供給しても、その活性がこれらのプロスタグランジン類の合成阻害と組み合わさった場合は、効果がより低くなる。
【0074】
塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい、式(I)の化合物は、有利には、PGF合成酵素阻害活性よりも高い15-PGDH阻害活性を示す。これらの化合物は、PGF合成酵素との関係において15-PGDHに対する選択的な阻害剤と称される。特に、所与の濃度における、PGF合成酵素に対する阻害活性度と15-PGDHに対する阻害活性度の比は〔これらの活性度は、特に、PGF合成酵素の酵素活性の50%を阻害する濃度(IC50fs)および15-PGDHの酵素活性の50%を阻害する濃度(IC50dh)によって決定する〕、少なくとも1より大、特に少なくとも3:1、有利には5:1以上である。
【0075】
以下の記載において、特に記載しない限りは、用語「式(I)の化合物」の使用は、式(I)の化合物と、その塩もしくはその溶媒和物(特に水和物)の1つまたは溶媒和された塩(特に水和された塩)の1つとの両方を意味すると理解すべきである。
【0076】
式(I)の化合物(塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい)の有効量は、所望する結果(すなわち、ケラチン繊維、特に毛髪および睫毛の密度を増加させ、またはそれらの成長を促進させる結果)を得るのに必要な量に相当する。したがって、当業者は、使用される化合物の性質、適用されるヒト、およびこれの適用時間に応じて、この有効量を判断することができる。
【0077】
以下の記載において、特に示さない限りは、組成物の種々の成分の量は、組成物の総重量に対する重量パーセンテージで表す。
【0078】
概略の量を示すと、本発明において、式(I)の化合物(塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい)または式(I)の化合物および/またはそれらの塩の混合物は、組成物の総重量に対して10−3%から10%の量、好ましくは組成物の総重量に対して10−3%〜5%、より好ましくは10−2%から2%の量、例えば0.5から2%の量で使用することができる。
【0079】
本発明の組成物は、化粧品または製薬品に使用することができる。好ましくは、本発明の組成物は化粧品に使用するものである。このため、本組成物は、頭皮および瞼を含むヒトの皮膚、およびヒトのケラチン繊維に適用可能な、無毒で生理学的に許容可能な媒体を含むべきである。本発明の趣意の範囲内において、用語「化粧品」は、好ましい外観、匂いおよび感触を有する組成物を意味すると理解される。
【0080】
式(I)の化合物(塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい)は、摂取、注射、または、皮膚もしくはケラチン繊維に(処置される任意の皮膚領域または全ての繊維の上に)適用する必要がある組成物に使用することができる。
【0081】
本発明において、式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物は、1日当たり0.1mg〜300mg、特に5mg/日〜10mg/日の量で、経口的に使用することができる。
【0082】
本発明の好ましい組成物は、化粧品に使用される、特に皮膚およびケラチン繊維、とりわけ頭皮、毛髪および睫毛に局所適用される組成物である。
【0083】
この組成物は、使用方法に適した任意の公知の投与形態で提供することができる。
【0084】
皮膚またはケラチン繊維に局所適用するために、本組成物は、水性、アルコール性または水性/アルコール性の溶液または懸濁液の形態、または油性懸濁液または溶液の形態、多かれ少なかれ流動的なコンシステンシー、特に、液体または半液体のコンシステンシーを有し、水性相への脂肪相の分散 (O/W)またはその逆(W/O)により得られる、エマルションまたは分散体の形態、(O/W)または(W/O)の固体状エマルションまたは分散体の形態、多かれ少なかれ流動的または固体状の、水性、水性/アルコール性または油性のゲルの形態、そのままで使用されるか、または生理学的に許容可能な媒体に組み込まれるフリーまたはコンパクトパウダーの形態、またはマイクロカプセルもしくは微小粒子の形態、またはイオン性および/もしくは非イオン性の小胞体分散液の形態にすることができる。
【0085】
フォームの形態、またはスプレーもしくはエアゾールの形態の形態の組成物、ひいては加圧された噴霧剤を含有する組成物も想定することができる。
【0086】
したがって、本組成物は、ローション、漿液、ミルク、O/WまたはW/Oのクリーム、ゲル、軟膏、ポマード、パウダー、バルム、パッチ、含浸パッド、ケーキまたはフォームの形態で提供することができる。
【0087】
特に頭皮または毛髪に適用するための組成物は、ヘアケア用ローション(例えば毎日もしくは週に2回適用されるもの)、シャンプーまたは毛髪のコンディショナー(特に週に2回または1回適用されるもの)、毎日適用される液状または固体状の頭皮洗浄用の石鹸、ヘアスタイルを整えるための製品(ラッカー、毛髪のセット用製品、スタイリングゲル)、トリートメントマスク、毛髪の洗浄用のクリームまたは発泡ゲルの形態で提供することができる。また、ブラシまたは櫛で適用される毛髪用染料またはマスカラの形態で提供することもできる。
【0088】
さらに、睫毛および体毛に適用するために、本発明を適用する組成物を、有色または非有色のマスカラの形態で提供することができ、睫毛、またはあごひげもしくは口ひげにブラシで適用することができる。
【0089】
噴射により使用する組成物を目的として、本組成物を、水性ローションまたは油性懸濁液の形態で提供することができる。経口経路で使用する組成物を目的として、本組成物を、カプセル、顆粒、飲用シロップまたは錠剤の形態で提供することができる。
【0090】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、毛髪用のクリームまたはローション、シャンプー、毛髪用コンディショナー、毛髪用マスカラ、または睫毛用マスカラの形態で提供される。
【0091】
本発明の組成物の種々の成分の量は、関係する分野で一般的に使用される量である。さらに、これらの組成物は従来の方法に従い調製される。
【0092】
本組成物がエマルションである場合、脂肪相の割合は、本組成物の総重量の2重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲であってよい。水性相は、脂肪相および化合物(I)の含有量、および可能な追加の成分の含有量に応じて、全体が100重量%になるように調節する。実際には、水性相は5重量%〜99.9重量%である。
【0093】
脂肪相は、一般的にオイルとして知られている、周囲温度(25℃)および大気圧(760mm/Hg)で液状である脂肪族化合物または油性化合物を含むことができる。これらのオイルは、互いに相溶性であってもなくてもよく、肉眼で均質な液状脂肪相の系または2相系もしくは3相系を形成することもできる。
【0094】
オイルに加えて、脂肪相は、ワックス、ガム、親油性ポリマー、または固体部分と液状部分とを含む、「ペースト状」または粘性の製品を含むことができる。
【0095】
水性相は、水を含み、さらに任意選択で、水と任意の割合で混和可能な成分、例えば低級C1〜C8アルコール(例えばエタノールまたはイソプロパノール)、ポリオール(例えばプロピレングリコール、グリセロールまたはソルビトール)、またはアセトンもしくはエーテルを含む。
【0096】
エマルションの形態の組成物を製造するために使用する乳化剤および共乳化剤は、化粧品および製薬品の分野で一般的に使用されているものである。さらに、これらの性質はエマルションの性状(sense)によって決まる。実際には、乳化剤および任意選択による共乳化剤は、0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、さらに好ましくは1重量%〜8重量%の範囲の割合で組成物中に存在する。さらにエマルションは脂質小胞、特にリポソームを含むことができる。
【0097】
組成物が油状溶液またはゲルの形態である場合、脂肪相は本組成物の総重量に対して90%を超えていてよい。
【0098】
有利には、毛髪に局所適用するために、本組成物は、水性、アルコール性または水性/アルコール性の溶液または懸濁液、好ましくは水/エタノールの溶液または懸濁液である。アルコールの割合は5〜99.9%、好ましくは8%〜80%であり得る。
【0099】
マスカラの局所適用のために、本組成物は特に、顔料を含んでいるかまたは含んでいない、水中油型または油中水型の分散液の形態、ゲル化オイルの形態、または水性ゲルの形態である。
【0100】
本発明の組成物は、関係する分野において一般的に使用されている他の追加の成分、すなわち、溶媒、水性相用または脂肪相用の増粘剤またはゲル化剤、本組成物の媒体中に可溶な着色材料、充填剤型または顔料型の固形粒子、酸化防止剤、防腐剤、香料、電解質、中和剤、皮膜形成性ポリマー、紫外線遮断剤(例えばサンスクリーン剤)、式(I)の化合物以外の皮膚またはケラチン繊維に有益な効果を有する化粧品用または医薬用の活性成分、またはこれらの混合物から選択される成分をさらに含んでいてよい。これらの添加剤は、化粧品および皮膚科学の分野で一般的に使用されている量、特に、本組成物の総重量に対して0.01%〜50%の割合、好ましくは0.1%〜20%、例えば0.1%〜10%の割合で本組成物に存在していてよい。これらの添加剤は、それらの性質次第で、脂肪相、水性相および/または脂質小胞、特にリポソームに導入することができる。
【0101】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物の有利な特性、すなわちI型15-PGDHの阻害および特にケラチン繊維の密度の増加が、想定された追加により悪影響を受けないか、または実質的に受けないように留意して、可能な追加の成分および/またはその量を選択するであろう。
【0102】
本発明で使用できる溶媒としては、低級C2〜C8アルコール類(例えばエタノールまたはイソプロパノール)、プロピレングリコール、およびある種の軽質化粧品用オイル(例えばC6〜C16アルカン類)を挙げることができる。
【0103】
本発明で使用できるオイルとしては、鉱物起源のオイル(流動パラフィン、水添イソパラフィン)、植物起源のオイル(カリテバターの液状留分、ヒマワリ油、アプリコットオイル、脂肪族アルコールまたは脂肪酸)、動物起源の油(ペルヒドロスクアレン)、合成オイル(脂肪酸エステル、パーセリンオイル)、シリコーンオイル(フェニルトリメチコーン、直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン)およびフッ化オイル(パーフルオロポリエーテル)を挙げることができる。ワックスとしては、シリコーンワックス、ミツロウ、コメヌカロウ、カンデリラワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックスまたはポリエチレンワックスを挙げることができる。
【0104】
本発明で使用可能な乳化剤としては、W/O型エマルションのために、例えば、ステアリン酸グリセリルまたはラウリン酸グリセリル、ステアリン酸ソルビトールまたはオレイン酸ソルビトール、アルキルジメチコーンコポリオール類(C8以上のアルキルを有するもの)およびこれらの混合物を挙げることができる。また、O/W型エマルションのためには、ポリエチレングリコールのモノステアラートまたはモノラウラート、ポリオキシエチレン化されたステアリン酸ソルビトールまたはオレイン酸ソルビトール、ジメチコーンコポリオール、およびそこれらの混合物も使用することができる。
【0105】
本発明で使用可能な親水性のゲル化剤としては、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリルコポリマー(例えばアクリラート/アルキルアクリラートコポリマー)、ポリアクリルアミド類、多糖類(例えばヒドロキシプロピルセルロース)、天然ゴムおよび粘土を挙げることができ、親油性のゲル化剤としては、変性粘土(例えばベントン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸アルミニウム)、疎水化処理したシリカ、エチルセルロース、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0106】
本発明で使用することができる、式(I)の化合物以外の化粧品用または医薬用の活性成分としては、親水性活性成分〔例えば、タンパク質、タンパク質加水分解物、アミノ酸、ポリオール類、尿素、アラントイン、糖および糖誘導体、水溶性ビタミン類、植物抽出物(アヤメ科植物または大豆の抽出物)、ならびに、ヒドロキシ酸(例えば果実酸またはサリチル酸)等〕;および、親油性活性成分〔例えば、レチノール(ビタミンA)およびその誘導体(特にエステル(パルミチン酸レチノール))、トコフェロール(ビタミンE)およびその誘導体(特にエステル(酢酸トコフェロール))、必須脂肪酸、セラミド類、精油、サリチル酸誘導体(例えば5-オクタノイルサリチル酸等)、ヒドロキシ酸エステル、リン脂質(例えばレシチン等)等〕、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0107】
本発明の特定の実施態様において、式(I)の化合物もしくはその塩のうちの1種および/またはその溶媒和物は、ケラチン繊維(毛髪、睫毛)の再成長を促進し、および/またはその喪失を制限する追加の化合物と組合せることができる。これらの追加の化合物は、特に、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、欧州特許第0648488号に開示されている)、ブラジキニン阻害剤(特に、欧州特許第0845700号に開示されている)、プロスタグランジン類およびその誘導体(特に国際公開第98/33497号、同第95/11003号、日本国特許出願第97-100091号または同第96-134242号に開示されているもの)、プロスタグランジン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、非プロスタン酸系(nonprostanoic)プロスタグランジン類似体(例えば欧州特許第1175891号および同第1175890号、国際公開第01/74307号、同第01/74313号、同第01/74314号、同第01/74315号または同第01/72268号に開示されているもの)、またはこれらの混合物から選択される。
【0108】
本発明の組成物中に存在していてもよい、ケラチン繊維(特に毛髪または睫毛)の成長を促進させ、および/またはその喪失を制限する他の追加の活性化合物としては、血管拡張剤、抗アンドロゲン物質、サイクロスポリン類およびその類似体、抗菌剤および抗真菌剤、抗炎症剤、またはレチノイド類を単独で、または混合物として挙げることができる。
【0109】
使用できる血管拡張剤は、特にカリウムチャンネルアゴニストであり、ミノキシジル、米国特許第3382247号、同5756092号、同5772990号、同5760043号、同5466694号、同5438058号または同第4973474号に開示される化合物、クロマカリム、ニコランジルおよびジアゾキシドが単独で、または組合せとして含まれる。
【0110】
使用できる抗アンドロゲン物質としては、特にステロイド性または非ステロイド性5α-還元酵素阻害剤(例えば、フィナステリドおよび米国特許第5516779号に開示されている化合物等)、酢酸シプロステロン、アゼライン酸、その塩およびその誘導体および米国特許第5480913号に開示されている化合物、フルタミド、オキセンドロン、スピロノラクトン、ジエチルスチルベストロール、および米国特許第5411981号、同第5565467号および同第4910226号に開示されている化合物が挙げられる。
【0111】
抗菌または抗真菌化合物は、セレン誘導体、オクトピロックス、トリクロカルバン、トリクロサン、ピリチオン亜鉛、イトラコナゾール、アシアチン酸、ヒノキチオール、ムピロシン、テトラサイクリン、特に、エリスロマイシンおよび欧州特許第0680745号に開示されている化合物、クリニシン塩酸塩、過酸化ベンゾイルまたは過酸化ベンジル、ミノサイクリン、および、イミダゾールのクラスに属する化合物(例えば、エコナゾール、ケトコナゾール、またはミコナゾール、またはその塩等)またはニコチン酸エステルのクラスに属する化合物〔特に、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、およびニコチン酸C−Cアルキル(例えばニコチン酸メチルまたはニコチン酸ヘキシル等)〕から選択することができる。
【0112】
抗炎症剤は、ステロイド性抗炎症剤〔例えば、グルココルチコイドまたはコルチコステロイド(例えば:ヒドロコルチゾン)等〕、および非ステロイド系抗炎症剤(例えば、グリシルレチン酸およびα-ビサボロール等)、ベンジダミン、サリチル酸、ならびに、欧州特許第0770399号、国際公開第94/06434号およびフランス特許第2268523号に開示されている化合物から選択することができる。
レチノイド類は、イソトレチノイン、アシトレチン、タザロテン、レチナール、およびアダパレンから選択することができる。
【0113】
ケラチン繊維(例えば毛髪および睫毛等)の成長を促進し、および/またはその喪失を制限するための、塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい、式(I)の化合物と組み合わせて使用できる他の追加の活性化合物としては、アミネクシル、6-O-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル]ヘキサピラノース、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、エストラジオール、マレイン酸クロルフェニラミン、クロロフィリン誘導体、コレステロール、システイン、メチオニン、メントール、ハッカ油、パントテン酸カルシウム、パンテノール、レゾルシノール、タンパク質キナーゼC活性化剤、グリコシダーゼ阻害剤、グリコサミノグリカナーゼ阻害剤、ピログルタミン酸エステル、六糖酸(hexosaccharidic acid)またはアシル六糖酸(acylhexosaccharic acid)、アリール置換エチレン、N-アシル化アミノ酸、フラボノイド、アスコマイシン誘導体および類似体、ヒスタミンアンタゴニスト、サポニン、プロテオグリカナーゼ阻害剤、エストロゲンアゴニストおよびアンタゴニスト、シュードプテリン(pseudopterin)、サイトカインおよび成長因子促進剤、IL-1またはIL-6の阻害剤、IL-10促進剤、TNF阻害剤、ベンゾフェノンおよびヒダントイン、レチノイン酸;ビタミン類(例えば、ビタミンD、ビタミンB12類似体、およびパントテノール等);トリテルペン類(例えば、ウルソル酸および米国特許第5529769号、同第5468888号または同第5631282号に開示されている化合物等);止痒剤(例えば、テナルジン、トリメプラジンまたはシプロヘプタジン等);寄生虫駆除剤(特に、メトロニダゾール、クロタミトンまたはピレスロイド類等);カルシウム拮抗剤(例えば、シンナリジン、ジルチアゼム、ニモジピン、ベラパミル、アルベリンおよびニフェジピン等);ホルモン類(例えば、エストリオールまたはその類似体、チロキシンおよびその塩、またはプロゲステロン等);FP受容体(プロスタグランジンF型の受容体)の拮抗剤(例えば、ラタノプロスト、(5E)-7-{(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]シクロペンチル}ヘプト-5-エン酸、ビマトロプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、およびブタプロスト等);これらの混合物を挙げることができる。
【0114】
有利には、本発明の組成物は、上述により定義した、少なくとも1種の15-PGDH阻害剤と、少なくとも1種のプロスタグランジン若しくはプロスタグランジン誘導体〔例えば、特にPGF2αおよびPGEを含む、シリーズ2のプロスタグランジン類であって塩またはエステルの形態のもの(例えばイソプロピルエステル)、それらの誘導体類(例えば16,16-ジメチルPGE、17-フェニルPGE、および16,16-ジメチルPGF2α、17-フェニルPGF2α)、またはシリーズ1のプロスタグランジン類(例えば、11-デオキシプロスタグランジンE、または1-デオキシプロスタグランジンE)であって塩またはエステルの形態のもの、それらの類似体類、特に、ラタノプロスト、(5E)-7-{(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]シクロペンチル}ヘプト-5-エン酸、ビプロストール、ビマトプロスト、クロプロステノール、トラボプロスト、フルプロステノール、ブタプロスト、ウノプロストン、ミソプロストール等〕、それらの塩、またはそれらのエステルと、を含む。
【0115】
好ましくは、本組成物は、特に欧州特許第1175892号に開示されている、EP2および/またはEP4受容体の非プロスタン酸系アゴニストを少なくとも1種含む。
【0116】
塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい、式(I)の化合物を少なくとも含む本発明の組成物は、特に国際公開第94/22468号公報に開示されているように、リポソームに内封した形態にすることもできる。よって、リポソームにカプセル化された本化合物は、毛包に選択的に送達され得る。
【0117】
本発明の組成物は、脱毛症に罹患した頭皮の領域および個人の毛髪に適用可能で、任意選択で数時間接触させておくことができ、任意選択ですすぐこともできる。
【0118】
塩を形成していてもいなくてもよく、溶媒和されていてもいなくてもよい、式(I)の化合物を有効量含む組成物を、例えば夕方に適用し、一晩、この組成物を接触させたままにし、任意選択で次の朝シャンプーすることができる。これらの適用を、個人に応じて1ヶ月またはそれ以上、毎日繰り返すことができる。
【0119】
本発明の方法において、0.001%〜5%の15-PGDH阻害剤を含む上述により定義した溶液または組成物5〜500μlを、処置すべき頭皮領域に適用することが有利である。
次に、本発明の実施例を例として挙げるが、これらの例は決して本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0120】
[実施例1]:5-([5-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]フル-2-イルメチル)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物2)の合成
【化8】

三口フラスコ中、窒素気流下で、5-[5-(3-(トリフルオロ-メチル)フェニル)フル-2-イルメチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン 500mg(1.47mmol、1当量)を無水THF 2mlに溶解し、さらに、KOH上のピリジン 2mlを添加する。水素化ホウ素リチウム 1.71mlを少しずつ加える(発泡し、温度が上昇する)。反応媒体を65℃で3時間加熱する。この混合物は均一である。この媒体を室温で放置した後、冷1N塩酸溶液にゆっくりと注ぐ。次に、この媒体を、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、できるだけ濃縮する。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(溶出液:ジクロロメタン)。所望の化合物が、粉末形態で得られる。
【0121】
(結果)
外観:明るいベージュ色の粉末
重量=84mg
収率=17%
融点=138℃
分子量=341g・mol−1
分析:NMRおよびマススペクトルは、所望の構造と一致する。
【0122】
[実施例2]:5-{[5-(3-クロロフェニル)-2-フリル]メチル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物3)の合成
【化9】

手順は、実施例1と同じである。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(溶出液:ジクロロメタン)。所望の化合物が、粉末形態で得られた。
【0123】
(結果):
外観:粉末
重量=114mg
収率=6%
融点=104℃
分子量=307g・mol−1
【0124】
分析:NMRおよびマススペクトルは、所望の構造と一致する。
(元素分析):
【表1】

【0125】
[実施例3]:5-({5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエン-2-イル}メチル)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(化合物5)の合成
【化10】

手順は、実施例1と同じである。
精製は、シリカゲルクロマトグラフィーにより行った(溶出液:ヘキサン/酢酸エチルによる勾配溶出:80/20から50/50)。
所望の化合物が、粉末形態で得られた。
【0126】
(結果):
外観:明るいベージュ色の粉末
重量=79mg
収率=15%
分子量=357g・mol−1
【0127】
分析:NMRおよびマススペクトルは、所望の構造と一致する。
【0128】
[実施例4]:4-{5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]2-フリル}安息香酸(化合物1)の合成
【化11】

手順は、実施例1と同じである。
【0129】
分析:NMRおよびマススペクトルは、所望の構造と一致する。
【0130】
[実施例5]:4-{5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]-2-フリル}安息香酸二ナトリウム塩(化合物10)の合成
【化12】

水 20ml中に、化合物1を2.12g仕込む。1規定水酸化ナトリウム溶液 6.7mlを添加する。固体が溶解する。30分間攪拌した後、溶液をアセトンに注ぐ。固体が生じる。これを濾過し、減圧下で乾燥する。このアセトンを含む固体を、水に溶解した後、乾燥する。残渣をエタノール中で16時間攪拌し、その後濾過し乾燥する。
【0131】
外観:粉末
重量=1.68g
収率=69%
分子量=361g・mol−1
【0132】
分析:NMRおよびマススペクトルは、所望の構造と一致する。
【0133】
[実施例6]:15-PGDHに対する化合物1の特異的阻害特性の実証
(I型15-PGDHの試験)
L’Oreal名義で出願されたフランス特許出願第02/05067号に開示されているように、酵素15-PGDHを、培養液中で濃度0.3mg/mlに調節された懸濁液として得、次いで−80℃でブロックする。試験の必要に応じて、この懸濁液を解凍して氷中に保存する。
【0134】
さらに、0.1mMのジチオトレイトール(D5545、シグマ‐アルドリッチ、L’isle D’Abeau Chesne, BP 701,38297, Saint Quentin Fallavier)、1.5mMのβ-NAD(N6522、シグマ‐アルドリッチ、L’isle D’Abeau Chesne, BP 701,38297, Saint Quentin Fallavier)および50μMのプロスタグランジンE(P4172、シグマ‐アルドリッチ、L’isle D’Abeau Chesne, BP 701,38297, Saint Quentin Fallavier)を含む、100mMトリス緩衝液、pH=7.4を調製する。
【0135】
(予め37℃にした)この緩衝液 0.965mlを、37℃に恒温制御した分光光度計(パーキンエルマー、ラムダ2)のセルに入れ、測定波長を340nmに調整する。37℃の酵素懸濁液 0.035mlを、(340nmでの光学密度の増大に対応する)記録を行いながらセルに入れる。反応速度の最大値を記録する。
【0136】
(化合物(I)を含む)試験値を(化合物(I)を含まない)対照値と比較する。示した結果は、所与の濃度の式(I)の化合物が15-PGDHの酵素活性を阻害するパーセンテージ、または、化合物1が15-PGDHの酵素活性を50%低下させる濃度、すなわちIC50dhを表している。
【0137】
結果を以下の表に示す。
【表2A】

【表2B】

この表から、本発明の化合物1から4、5、および7は、I型15-PGDHの阻害剤であることが明らかにされている。
【0138】
[実施例7]:従来技術(国際公開第04/028441号)の化合物と、本発明によるその還元型相同体との比較試験
[使用した毛髪]
この試験において使用した毛髪は、SA40グレード(強く脱色したもの)である。約1gの毛髪の房を準備し、0.4gのシャンプーで洗浄した。これらをリンスし、ヘアドライヤで乾燥させ、もつれをほぐした。
【0139】
[生成物を希釈するための手順]
生成物 100mgを秤量し、水 3ml、エタノール 1ml、および20%アンモニア水溶液 0.5mlで処理した(媒体は塩基性であり、したがって、試験した2つの化合物は調製媒体中で塩の形態である)。攪拌を10分間続けた。毛髪の房を結晶皿にふたをせずに入れ、ピペットを用いて溶液をこの房に付着させ、房に完全に浸透するようにした。結晶皿を時計皿でふたをし、40℃の加熱板上に1時間置いた。その後、この房を、吸い取り紙で表面的に乾燥させた後、もつれをほぐし、ヘアドライヤで乾燥させた。
【0140】
[試験した化合物]
−国際公開第04/028441号に記載された、式:
【化13】

の4-{5-[(2,4-ジスルホ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]-2-フリル}安息香酸(Z異性体)に由来するイオン性化合物。
−式:
【化14】

の本発明の化合物。
−対照:生成物を使用せずに、同様の操作を行った。
【0141】
従来技術の化合物は毛髪の房に着色したのに対し、本発明の化合物は着色しなかった。
【0142】
以下の組成物を、化粧品または医薬品の分野で広く用いられている通常の技術により得た。
【0143】
[実施例8]:毛髪用ローション
化合物1 1.00g
プロピレングリコール 30.00g
エチルアルコール 40.00g
水 100gとするための適量
【0144】
このローションを頭皮に、1日に1回または2回、1回当たりの適用量1mlで適用し、頭皮を軽くマッサージして、活性成分を浸透させる。続いて、毛髪を開放空気で乾燥させる。このローションによって、脱毛を低減し、毛髪の再成長を促進することが可能になる。このローションによって、毛髪の外観を改善することもできる。
【0145】
[実施例9]:毛髪用ローション
化合物1 1.00g
プロピレングリコール 30.00g
エチルアルコール 40.00g
水 100gとするための適量
【0146】
このローションを頭皮に、1日に1回または2回、1回当たりの適用量1mlで適用し、頭皮を軽くマッサージして、活性成分を浸透させる。続いて、毛髪を開放空気で乾燥させる。このローションによって、脱毛を低減し、毛髪の再成長を促進することが可能になる。このローションによって、毛髪の外観を改善することもできる。
【0147】
[実施例10]:ワックス/水のマスカラ
ミツロウ 6.00%
パラフィンワックス 13.00%
水添ホホバオイル 2.00%
水溶性皮膜形成性ポリマー 3.00%
ステアリン酸トリエタノールアミン 8.00%
化合物1 1.00%
黒色顔料 5.00%
防腐剤 適量
水 100%とするための適量
このマスカラを、睫毛に、従来のマスカラと同様にマスカラブラシを用いて適用する。
【0148】
[実施例11]:毛髪用ローション
化合物1 0.10g
ラタノプロスト 0.10g
プロピレングリコール 30.00g
エチルアルコール 40.00g
水 100gとするための適量
【0149】
このローションを頭皮に、1日に1回または2回、1回当たりの適用量1mlで適用し、頭皮を軽くマッサージして、活性成分を浸透させる。続いて、毛髪を開放空気で乾燥させる。このローションによって、脱毛を低減し、毛髪の再成長を促進することが可能になる。このローションによって、毛髪の外観を改善することもできる。
【0150】
[実施例12]:毛髪用ローション
(5E)-7-{(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]シクロペンチル}ヘプト-5-エン酸 0.10g
化合物1 0.10g
プロピレングリコール 30.00g
エチルアルコール 40.00g
水 100gとするための適量
【0151】
このローションを頭皮に、1日に1回または2回、1回当たりの適用量1mlで適用し、頭皮を軽くマッサージして、活性成分を浸透させる。続いて、毛髪を開放空気で乾燥させる。このローションによって、脱毛を低減し、毛髪の再成長を促進することが可能になる。このローションによって、毛髪の外観を改善することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式:
【化1】

[式中、
a)Xは、OまたはSを表し;
b)Aは、
1)水素原子、または、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和ま
たは不飽和の、C−C20アルキル基、
を表し;
c)A、A、A、およびA基は、個別に、
1)水素原子、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、
3)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、3個から7個の原子を含む、飽和または不飽和の炭化水素環、または、
4)Z基、
を表し;
d)pは、0から5までであり、pが1より大の場合、A置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;
e)Z基は、
1)ハロゲン、例えばF、Cl、またはBr等、
2)CF3、OCF3、CN、NO2、OZ2、OCOZ2、OCONZ2Z’2、SZ2、SCOZ2、SCONZ2Z’2、SCSOZ2、SCSNZ2Z’2、NZ2Z’2、NZ2C(=NZ’2)NZ”2Z’”2、NZ2SO2Z’2、COZ2、COOZ2、CONZ2Z’2、CSZ2、CSNZ2Z’2、SO3Z、SO2NZ2Z’2、SO2Z2、SiZ2Z’2Z”2、または
Si(OZ2)(OZ’2)OZ”2から選択される基、
3)直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C−C20アルキル基、または、
4)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、任意選択で1個以上の、OZ2、CF3、ハロゲン、または直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C−C20アルキル基で置換されていてもよく、さらに、カルボニル官能基またはチオカルボニル官能基を含んでいてもよい環、
を表し;
f)Z、Z’、Z’’、およびZ’’’基は、個別に、
1)水素原子、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、または、
3)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、これらの環は任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよく、有利にはフェニルである環、
を表し(ただしA基がCH2である場合、ZおよびZ’はHまたはMeではない);
g)Z基は、
1)Z基、
2)任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、または
3)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、これらの環は任意選択で1個以上のZ基で置換されていてもよい環、
を表し;
h)Z基は、
1)ハロゲン、例えばF、Cl、またはBr等、または、
2)CF3、OCF3、CN、NO2、OZ5、OCOZ5、OCONZ5Z’5、SZ5、SCOZ5、 SCONZ5Z’5、SCSOZ5、SCSNZ5Z’5、NZ5Z’5、NZ5COZ’5、NZ5CONZ’5Z”5、NZ5C(=NZ’5)NZ”5Z’”5、NZ5SO5Z’5、COZ5、COOZ5、CONZ5Z’5、CSZ5、CSNZ5Z’5、SO3Z、SO2NZ5Z’5、SO2Z5、SiZ5Z’5Z”5、またはSi(OZ5)(OZ’5)OZ”5の群からの1つの基、
を表し;かつ、
i)Z、Z’、Z’’、およびZ’’’基は、個別に、
1)水素原子、
2)直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、C−C20アルキル基、または、
3)4個から15個の原子を含む、飽和または不飽和の環であって、任意選択でO、N、またはSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含んでいてよく、任意選択で他の環と縮合していてもよく、これらの環は任意選択で1個以上のCF3、ハロゲン、または、直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和の、C−C20アルキル基で置換されていてもよい環、
を表す]
で示される、フェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物、およびそれらの塩、ならびに/またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
以下の条件:
(a)A、A、A、およびA基は、同時に水素を表し;
(b)pは0、1、または2の値であり;
(c)A基は、同一でも異なっていてもよく、任意選択でZ基またはZ基で置換さ
れていてもよい、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、C−C10アルキル基を表
し;
(d)Z基は、ハロゲン、CN、NO2、CF3、OZ2、OCOZ2、COOZ2、または、任意選択で他の環と縮合していてもよく、任意選択で請求項1において定義したZ基1個以上で置換されていてもよいフェニル環、を表し;かつ、
(e)Z基は、水素、または、飽和もしくは不飽和の、直鎖もしくは分岐の、C−C
10アルキル基を表す、
を満たす、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の化合物:
【化2A】

【化2B】

【化2C】

【化2D】

【化2E】

、および/またはそれらの塩、および/またはそれらの溶媒和物の群から選択される請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
次の式:
【化3】

で示される4-{5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]-2-フリル}安息香酸、または、
次の式:
【化4】

で示される4-{5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]-2-フリル}安息香酸二ナトリウム塩、
およびそれらの塩、および/またはそれらの溶媒和物、
から選択される化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、I型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素の阻害剤、特にヒトのI型15-ヒドロキシプロスタグランジン脱水素酵素の阻害剤としての使用。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の、少なくとも1種の式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物の使用であって、毛髪の成長を誘発および/または刺激し、および/または脱毛を遅延化させ、および/または毛髪密度を増加させ、および/またはアンドロゲン性脱毛症を処置し、および/または天然由来の脱毛症を処置することを意図したヒトの毛髪の化粧品用組成物の製造における使用。
【請求項7】
前記式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物を、組成物の総重量に対して10−3から10%までの範囲の濃度、好ましくは10−2から2%までの範囲の濃度で使用することを特徴とする、請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
ケラチン繊維をケアおよび/またはメイクアップするための組成物であって、生理学的に許容できる媒体と、有効量の、請求項1から4のいずれか一項に記載の、式(I)のフェニルフリルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物もしくはフェニルチエニルメチルチアゾリジン-2,4-ジオン化合物またはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物とを含む組成物。
【請求項9】
ケラチン繊維の再成長を促進させ、および/またはケラチン繊維の喪失を制限する、少なくとも1種の追加の活性化合物を含むことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記追加の活性化合物が、アミネキシル、ミノキシジル、ラタノプロスト、(5E)-7- {(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]シクロペンチル}ヘプト-5-エン酸、ブタプロスト、ビマトプロストおよびトラボプロストから選択される、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の、少なくとも1種の式(I)の化合物もしくはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物を含む化粧品用組成物をケラチン繊維および/または皮膚に適用し、この組成物をケラチン繊維および/または前記繊維が出ている皮膚と接触させておき、さらに任意選択で前記繊維および/または前記皮膚をすすぐことを特徴とする、ケラチン繊維および/または前記繊維が出ている皮膚の状態および/または外観の改善を意図した、ヒトのケラチン繊維および/または前記繊維が出ている皮膚の美容処理方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項に定義した、少なくとも1種の式(I)の化合物もしくはそれらの塩のうちの1種および/またはそれらの溶媒和物を含むマスカラ用組成物を、睫毛および/または瞼に適用し、この組成物を睫毛および/または瞼と接触させておくことを特徴とする、ヒトの睫毛の状態および/または外観の改善を意図した、ヒトの睫毛の美容的ケアおよび/またはメイクアップ方法。

【公開番号】特開2007−126451(P2007−126451A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−273313(P2006−273313)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】