説明

フォトレジストに対して高選択性を有するハロゲンフリーのアモルファスカーボンマスクエッチング

【課題】本発明の一実施形態において、ハロゲンフリーのプラズマエッチングプロセスを用いて、アモルファスカーボン層を含む多層マスキングスタックにフィーチャーを画定する。
【解決手段】特定の実施形態において、酸素(O)、窒素(N)及び一酸化炭素(CO)を利用して、アモルファスカーボン層をエッチングし、ラインエッジ粗さ値の減じた基板フィルムにサブ100nmのフィーチャーを製造できるマスクを形成する。他の実施形態において、本発明は、ハロゲンフリーのアモルファスカーボンエッチングの前に、Oプラズマ前処理を用いて、パターン化フォトレジスト層に酸化ケイ素領域を形成して、未酸化ケイ素を含有するパターン化フォトレジスト層に対するアモルファスカーボンエッチングの選択性を増大する。

【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
1.分野
本発明は、エレクトロニクス製造工業に係り、特に、多層マスキングスタックにフィーチャーをエッチングするプロセスに関する。
【0002】
2.関連技術の説明
デバイスパターンのフィーチャーサイズが100nmより小さくなるにつれて、フィーチャーの限界寸法(CD)要件は、安定した再現可能なデバイス性能にとって、より重要な基準となってきている。フォトレジストフィルムは、ある光学透明性で良好な解像度のために薄くしなければならず、十分な耐エッチング性を、ハードマスクなしで得るのはますます困難になってきている。フィーチャーの側壁のストライエーションは、CD変動の主たる原因の1つである。通常、ストライエーションは、マスクの側壁で始まり、エッチングし、フィーチャーを形成するにつれて、基板へと下方に広がっていく。ストライエーションは、フォトリソグラフィープロセスとエッチングプロセスの両方の結果である。現像中の酸の拡散により生じる初期のラインエッジ粗さ(LER)は、エッチング中に悪化する可能性がある。ストライエーションは、典型的には、フィーチャーを逆さまにして行うLER測定により定量化される。更に、機械的な柔軟性、粗さ、現像された通りの側壁、193nmのArFフォトレジスト(PR)の厚さの減少が、組み合わさって、サブ100nmのフィーチャーをストライエーションを招くことなくエッチングするのを難しくさせている。
【0003】
小さなLER値については、より耐エッチング性及び/又は厚いマスク材料を用いるか、エッチングプロセスの選択性を改善する必要がある。前者の選択だと、製造工程の数が増え、その結果、ウェハ当たりのコストが高くなり、複雑な一体化の問題となる。しかしながら、後者の選択だと、典型的に、いくつかのエッチングプロセスの制限、例えば、厳しいローディング効果や、CDコントロールに悪影響を及ぼす不規則なポリマー堆積によるLERの増加等を示す。
【概要】
【0004】
本発明の一実施形態において、ハロゲンフリーのプラズマエッチングプロセスを用いて、アモルファスカーボン層を含む多層マスキングスタックにフィーチャーを画定する。特定の実施形態において、酸素(O)、窒素(N)及び一酸化炭素(CO)を利用して、アモルファスカーボン層をエッチングし、ラインエッジ粗さ値の減じた基板フィルムにサブ100nmのフィーチャーを製造できるマスクを形成する。他の実施形態において、本発明は、ハロゲンフリーのアモルファスカーボンエッチングの前に、Oプラズマ前処理を用いて、パターン化フォトレジスト層に酸化ケイ素領域を形成して、未酸化ケイ素を含有するパターン化フォトレジスト層に対するアモルファスカーボンエッチングの選択性を増大する。更なる実施形態において、Oプラズマ前処理はまた、アモルファスカーボン層上に形成された有機反射防止コーティングをパターン化して、低ラインエッジ粗さ値を有する誘電体フィルム中にサブ100nmのフィーチャーをエッチングするための多層マスクを形成する。
【詳細な説明】
【0005】
様々な実施形態において、新規な基板処理方法を、図面を参照して説明する。しかしながら、様々な実施形態は、これらの具体的な詳細のうち1つ以上がなくても、又は、他の公知の方法、材料及び装置と組み合わせて実施してもよい。以下の詳細な説明では、数多くの具体的な詳細、例えば、具体的な材料、寸法及びプロセスパラメータ等が規定されていて、本発明が完全に理解される。他の例では、周知の半導体プロセス及び製造技術は、本発明を不必要に曖昧にしないようにするため、詳細には記載しなかった。本明細書全体にわたって、「実施形態」とは、実施形態に関連して記載された特定の構成、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書全体の様々な場所において現れる「一実施形態において」という言い回しは、本発明の同じ実施形態を必ずしも指すものではない。更に、特定の構成、構造、材料又は特性は、1つ以上の実施形態において好適なやり方で組み合わせてよい。
【0006】
図1に、本発明の一実施形態により、フィーチャーをエッチングする方法100のフローチャートを示す。方法100は、製造プロセス中、基板上で実施される。図2A〜2Fに、図1に示した方法の実施形態により製造されたフィーチャーを有する基板の断面図を示す。図3に、本発明の実施形態で用いるプラズマエッチングシステム300を示す。
【0007】
図1の方法100は、サポート210上の基板フィルム220(図2A)で始まる。一実施形態において、サポート210は、半導体ウェハであり、例えば、これらに限られるものではないが、ケイ素、ゲルマニウム又は一般的に知られているIII−V化合物半導体材料である。他の実施形態において、サポート210は、ガラス又はサファイヤ材料である。基板フィルム220は、通常、誘電体層を含む。一実施形態において、誘電体層は、窒化物フィルムであり、他の実施形態においては、誘電体層は、ケイ素の酸化物である。しかしながら、基板フィルム220は、業界で一般的に知られている様々なその他の材料の多層、例えば、これらに限られるものではないが、ケイ素の酸化物、低−k材料及び金属を含んでいてもよいものと考えられる。
【0008】
一実施形態において、操作105で、アモルファスカーボン層225を、基板層220上に形成する。アモルファスカーボン材料は、米国カリフォルニア州のアプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.,CA,U.S.A.)よりアドバンスドパターニングフィルム(Advanced Patterning Film)(商標名)(APF)という商品名で入手できる。アモルファスカーボン層225は、多層マスクの第1の層を形成する。アモルファスカーボン層225は、感光性でなく、その代わりに、プラズマエッチングにより画定されると、信頼性良く、上を覆う感光性層のパターンを複製する。アモルファスカーボンフィルム225は、従来のハードマスク(ケイ素の窒化物又は酸化物を用いる)のように、マスクに厚さを追加する一方で、有利である。アモルファスカーボンフィルム225は、感光層、例えば、Oプラズマアッシュを除去するのに用いるのと同じ方法により容易に除去することができるためである。このように、追加のマスク除去操作が必要ないため、従来のハードマスクプロセスに比べ、プロセスがあまり複雑でなくなる。一実施形態において、アモルファスカーボン層は、PECVDプロセスを用いて、100Å〜3000Åの厚さまで形成された無機カーボン材料である。特定の実施形態において、層225の厚さは、約2000Åで、全体のマスク厚さを画定するのにフォトリソグラフィープロセスを必要とせずに、基板フィルム220上のマスクの全厚を増やす。アモルファスカーボン層はまた、窒素又はその他添加剤を含んでいてもよい。更に、アモルファスカーボン層は、典型的にSiONで作成された無機反射防止コーティング(ARC)層(図示せず)によりキャッピングしてもよい。
【0009】
図2Bに、フォトリソグラフィー操作110(図1)後の多層マスク250を示す。一実施形態において、操作110中、下部反射防止コーティング(BARC)230を適用する。BARC230を用いて、感光層のパターニング中、光の反射を減じる。BARC230はまた、薄いケイ素フォトレジストコーティングにも有用である。BARC230は、マスキングフィルムの厚さを増やして、基板フィルム220のエッチング中の耐エッチング性を改善するからである。BARC230は、典型的に、有機材料、例えば、これらに限られるものではないが、ポリアミド及びポリスルホンである。通常、BARC230の最低厚さは、露光に用いる光を消光するのに必要なものである。193nmの適用については、この厚さは、様々な一般的に知られた有機BARC処方について、約400Åである。通常、アモルファスカーボン層225の上にBARC230とARC層(図示せず)との両方を与える必要はないが、そのようにしてもよい。
【0010】
操作中110、感光層(フォトレジスト)を、一般的に知られた技術を用いてコート、露光及び現像して、アモルファスカーボン層225上にパターン化されたフォトレジスト240を形成する。一実施形態において(図示せず)、BARC230は用いず、パターン化されたフォトレジスト240をアモルファスカーボン層225(又は無機ARC)にコートする。他の実施形態において、図2Bに示す通り、パターン化されたフォトレジスト240は、BARC230により、アモルファスカーボン層225から分離されている。パターン化されたフォトレジスト240及びBARC230が、「二層」レジストと一般的に呼ばれるものを形成する。一実施形態において、パターン化されたフォトレジスト240は、100nm未満の限界寸法を有するフィーチャーを形成する。具体的な実施形態において、パターン化されたフォトレジスト240は、約70nm〜80nmの限界寸法を有するフィーチャーを形成する。
【0011】
一実施形態において、パターン化されたフォトレジスト240は、2000Å〜6000Åの厚さの従来のアクリレート組成物である。変形実施形態において、パターン化されたフォトレジスト240は、シロキサン及びシルセスキオキサン(SSQ)系である。特定の実施形態において、パターン化されたフォトレジスト240は、日本、九州のJSRマイクロ九州株式会社(JSR Micro Kyushu Co.,Ltd.Kyushu,Japan)より入手可能なJSR EBX(商標名)シリーズのような約15%(原子)ケイ素を含有している。他のケイ素フォトレジストは、米国、ロードアイランド州の富士フィルムエレクトロニックマテリアルズU.S.A.社(FUJIFILM Electronic Materials U.S.A.Inc.RI,U.S.A.)より入手可能な富士フィルム(FujiFilm)TIS−2000(商標名)である。更なる実施形態において、ケイ素を含有するパターン化されたフォトレジスト240の厚さは1000Å〜2000Åである。
【0012】
このように、図1の操作110の完了時、パターン化されたフォトレジスト240の層をパターン化されていないアモルファスカーボン層225上に含む多層マスクスタックが、基板フィルム220上に形成される。更なる実施形態において、図2Bに示す通り、多層マスクスタック250は、パターン化されていないアモルファスカーボン層225からパターン化されたフォトレジスト240の層を分離するパターン化されていない有機BARC230を含む。
【0013】
操作120で、本発明の特定の実施形態は、パターン化されたフォトレジスト240のプラズマ前処理を含んでおり、アモルファスカーボン層225を画定する前に、パターン化されたフォトレジスト240に含まれるケイ素の一部を酸化又は窒化する。図2Cに示す通り、フォトレジストケイ素部分の酸化又は窒化により、パターン化されたフォトレジスト240に変性フォトレジスト245を形成する。変性フォトレジスト245は、アモルファスカーボン層225の後のエッチング中、未処理のパターン化フォトレジスト240よりもエッチングレートが遅い。この方法の詳細は後述する。この遅いエッチングレートによって、アモルファスカーボン層225及び最終的に基板フィルム220のラインエッジ粗さが減少する。変性フォトレジスト245の遅いエッチングレートによって、アモルファスカーボン層225の後のエッチングの選択性(S)が増大する。選択性(S)は、マスキングフィルムのエッチングレートに対するエッチングされるフィルムのエッチングレートの比率として定義される。特定の実施形態において、詳細は後述するが、変性フォトレジスト245に対するアモルファスカーボンエッチングの選択性(S)は、10:1〜100:1である。この高い選択性(S)によって、多層マスク250中のアモルファスカーボン層225が厚くなって、基板フィルム220の主エッチングにおける制約が緩和され、側壁の平滑度が改善される。
【0014】
一実施形態において、変性フォトレジスト245は、パターン化されたフォトレジスト240におけるケイ素のプラズマ酸化により形成される。Si−Oボンドを形成するためのケイ素部分の酸化は、フォトレジストにおける有機部分の酸化と競合する機構である。有機種の酸化を好む条件では、有益な変性フォトレジスト245が形成されず、典型的なフォトレジストトリミングプロセスのように、パターン化フォトレジスト240の限界寸法が収縮してしまう。フォトレジストにおけるケイ素種の酸化を好む条件下では、パターン化されたフォトレジスト240の限界寸法が僅かながら減じ、変性フォトレジスト245が厚くなる。この後者の条件では、ライン限界寸法(CD)が許容できない喪失となることなく、後のアモルファスカーボン層225のエッチング選択性(S)が改善される。
【0015】
一実施形態において、1分当たり約40〜50標準立方センチメートル(sccm)を超えるOフローを用いると、この閾値より低いフローレートで生じるよりも、パターン化フォトレジスト240におけるCDの喪失が少ない。40〜50sccmを超えるOフローの実施形態だと、比較的一定量のCD喪失を示す。一実施形態においては、NやCO等の添加剤をOプラズマに導入しない。非酸化添加剤は、変性フォトレジスト245の形成を妨げるからであり、アモルファスカーボン層225の後のエッチングの、パターン化フォトレジスト240に対する選択性が低くなる。NやCO添加剤は、プラズマの酸化化学反応を弱め、イオン衝突を増やして、変性フォトレジスト245をスパッタし、パターン化フォトレジスト240の隅部を面取りする傾向があるものと考えられる。
【0016】
更なる実施形態においては、200Wを超えるソース電力を用いる。200W閾値未満のソース電力では、パターン化フォトレジスト240のケイ素を酸化して、変性フォトレジスト245を形成するには不十分である。従って、この閾値を超えるソース電力だと、選択性(S)が大幅に改善される。更なる実施形態において、50W〜200Wのバイアス電力を用いる。バイアス電力が大きいと、パターン化フォトレジスト240の酸化量も増大するが、パターン化フォトレジスト240の限界寸法(CD)の喪失が増大し、不利である。
【0017】
このように、ある実施形態においては、基板を−10℃〜20℃まで冷やしながら、10〜200mTorrに維持した200mmチャンバにおいて、50W〜200Wのバイアス電力及び250W〜500Wのソース電力で電圧印加した40〜500sccmのOを導入することにより、酸素プラズマ前処理を実施する。変形実施形態において、アンモニア(NH)や窒素酸化物等、窒素プラズマ前処理を用いて、パターン化フォトレジスト240に窒化領域を形成して、ケイ素含有フォトレジストにSi−Nボンドを形成する。
【0018】
本発明の一実施形態において、BARC230をプラズマエッチングして、操作125で、多層マスク250を更に画定する。一実施形態において、BARC230を、ガス、例えば、これに限られるものではないがCFを含む従来のハロゲン系化学反応によりエッチングする。ハロゲン系化学反応により、通常、現像した層に対して、かなり高いエッチングレートが達成され、4:1を超える有機BARCに対するエッチング選択性が得られる。他の実施形態において、BARC230のハロゲンフリーのプラズマエッチングを用いる。比較的薄いBARC層(約400Å)を用いる実施形態については、有機BARCのハロゲンフリーのプラズマエッチングが有利である。後述する通り、本発明のハロゲンフリーのBARCエッチングの実施形態を、上述したプラズマ前処理120と同時に実施することができるからである。ハロゲンフリーの一実施形態において、BARC230は、Oプラズマによりエッチングする。更なる実施形態において、Oプラズマは、75W〜150Wのバイアス電力、200W〜300Wのソース電力により電圧印加される。バイアス電力は、パターン化フォトレジスト240(前処理したもの、又はしないもの)に対して、BARC230のエッチングレートを増大し、300Wを超えるソース電力は、BARC層の側部のエッチングレートを増大する。この結果、パターン化フォトレジスト240下のアンダーカットが増大する。しかしながら、薄いBARC層については、大量のBARCアンダーカットは許容できる。後述する後のアモルファスカーボンエッチングは、比較的異方性で、アモルファスカーボン層225の側壁は、パターン化フォトレジスト240の張り出した側壁に従うためである。このように、アモルファスカーボン層225のラインエッジ粗さ(LER)も限界寸法制御も、約400ÅのBARC230をアンダーカットすることによる悪影響は受けない。従って、一実施形態において、5〜25mTorrの200mmチャンバにおいて、75W〜150Wのバイアス電力及び200W〜300Wのソース電力で電圧印加された1分当たり25〜75標準立法センチメートル(sccm)のOを導入することにより、BARC230はエッチングされる。基板は、−10℃〜15℃まで冷やす。この操作の時間は、BARC230の厚さに応じて異なるが、一実施形態においては、400ÅのBARC層は15秒未満で除去される。
【0019】
更に他の実施形態において、BARC層アンダーカットは、NとCO添加剤の両方をOプラズマに導入することにより、略排除することができる。COと共にNを導入すると、O対N対COの比が略1:1:1の時は、BARC230の側壁が良好に保護される。このように、500Åより大幅に厚いBARC230の実施形態においては、5〜25mTorrの200mmチャンバにおいて、75W〜150Wのバイアス電力及び200W〜300Wのソース電力で電圧印加された25〜75sccmのOを、25〜75sccmのNと25〜100sccmのCOと共に、1:1:1〜1:1:3のO:N:COガス比で導入することによりアンダーカットが防止される。更に、変形実施形態において、本明細書に詳細を説明したN源は、これらに限られるものではないが、窒素酸化物(NO、NO等)又はアンモニア(NH)等の他の窒素源に代えてもよいことを記しておく。
【0020】
BARC230と、ケイ素を含有するパターン化フォトレジスト240との両方を用いる本発明の更なる実施形態において、現像した層のプラズマ前処理は、有機BARCエッチングと同時に実施される。本実施形態において、単一のプラズマ露光を、操作120及び125と組み合わせて、図2Cに示す構造を作成する。パターン化フォトレジスト240におけるケイ素の酸化は、上述した通り、N及びCO添加剤により妨げられるため、これらの添加剤のないO BARCエッチングが有利である。上述した通り、BARC230が、約500Åよりも大幅に厚くない限りは、BARC230のアンダーカットは許容できる。非ゼロバイアス電力は、BARC230のパターン化フォトレジスト240に対するエッチング選択性を増大し、且つ、パターン化フォトレジスト240におけるケイ素の酸化も増大する。ケイ素フォトレジストを酸化するのと同時にBARC230をエッチングするのに好適な一実施形態では、200mmの基板を−10℃〜15℃に制御しながら、25mTorrで約15秒間、100Wのバイアス電力及び250Wのソース電力で電圧印加する。変性フォトレジスト245をパターン化フォトレジスト240上に形成し、且つ約400Aの厚さの有機BARC層を除去するには、15秒の露光で十分である。
【0021】
本発明の一実施形態において、操作130で、アモルファスカーボン層225をエッチングして、多層マスク250の画定を完了する。特定の実施形態においては、エッチングには、酸素(O)、窒素(N)及び一酸化炭素(CO)を含むハロゲンフリーの化学反応を用いて、図2Dに示すような多層マスクを画定する。ハロゲンフリーの化学反応は、パターン化フォトレジスト240に良好な選択性(S)を有しており、断面を良好に制御しながら、アモルファスカーボンフィルム225に平滑な側壁を与えることができる。希薄な化学反応によって、ポリマー堆積と、フィーチャー側壁への不均一なポリマー堆積により生じ得るLERとが減じる。これによってまた、チャンバを清浄にする頻度を減らすことができ、装置の生産性が上がる。エッチングチャンバが、多層マスクのフィーチャーのエッチング専用である特定の実施形態においては、エッチングシステムにおいて典型的な望ましくない「チャンバ履歴」の影響を生じる恐れのあるチャンバ壁にフッ素化ポリマーを形成せずに、図1の操作120、125及び130を実施することができる。アモルファスカーボン層のエッチングレートは、O及びNフローの増大と共に大幅に増大する。しかしながら、BARC層について上述した通り、パターン化フォトレジスト240の選択性は、酸化層245があっても、Nフローが増大すると減少する。ただし、アモルファスカーボン層225のエッチング断面は、より異方性となり、ラインCD喪失は、Nの添加と共に減少する。COを用いる実施形態だと、フォトレジスト選択性とアモルファスカーボン層225の線幅の喪失の間のこの相殺がなくなる。CO添加は、アモルファスカーボン層におけるラインCD喪失を、Nよりも遥かに良好に阻止する。従って、パターン化フォトレジスト240の選択性は、アモルファスカーボン層225におけるある量のラインCD喪失について改善することができる。しかしながら、COによるアモルファスカーボン層225のエッチングは、Nよりも緩慢である。従って、O、N及びCOの混合物を用いる実施形態が有利である。
【0022】
:N:COの比は、アモルファスカーボン層225の断面に影響する。例えば、一実施形態において、1:1:1のガス比だと、1400Åの厚さのパターン化フォトレジスト240が、リソグラフィー露光時に70nmのCDを有していると、2000Åのアモルファスカーボン層225に略垂直な側壁があってエッチングストライエーションのない63nmの線幅が提供される。O:CO比を1:1より大きくして、アモルファスカーボンラインのCDを狭めることができる。一実施形態において、1:1:1のO:N:COの第1のエッチングを用いて、アモルファスカーボン層225を除去した後、1:1:0.5のO:N:CO比を用いる第2のエッチングにより、アモルファスカーボン層225をトリミングして、多層マスクにおいて略垂直な側壁を保持しつつ、線幅を減少させる。本発明の実施形態において、O、N及びCO混合物の合計ガスフローは、10mTorr〜200mTorrの間のプロセス圧力で、約75sccm〜200sccmの間である。ここでも、O、N、CO化学反応の挙動のこの詳細な説明は、これらに限られるものではないが、窒素酸化物(NO、NO等)又はアンモニア(NH)等の他の窒素源を用いる変形実施形態に適用可能であるものと考えられる。
【0023】
本発明の実施形態において、アモルファスカーボン層225は、200mm基板について、150W〜300Wのバイアス電力及び0W〜200Wのソース電力により電圧印加された、O、N及びCOを含むプラズマによりエッチングされる。ソース電力の量は、導入されたCOの量に応じて異なる。ソース電力の量を増大すると、COを導入する時のアモルファスカーボン層225のエッチングレートの減少と相殺することができる。しかしながら、200W未満のソース電力による実施形態が有利である。NとCO添加剤のスパッタリング効果のために、ソース電力の増大によって、パターン化フォトレジスト240(ケイ素を含有していても)が腐食される傾向があるためである。低ソース電力の実施形態においては、COの量を制限すると、相当のアモルファスカーボンエッチングレートが維持される。特定の実施形態において、200mm基板を5℃〜20℃の間に保持しながら、25mTorrで、150Wのバイアス電力及び0Wのソース電力により電圧印加して、1:1:1〜1:1:3の比率で25〜100sccmのO、25〜100sccmのN及び25〜100sccmのCOを導入することにより、アモルファスカーボン層225はエッチングされる。
【0024】
本発明のハロゲンフリーのアモルファスカーボン層のエッチング化学反応により、従来のパターン化フォトレジスト240に、3.1を超えるかなり高い選択性が得られる。アモルファスカーボン層エッチングのO、N、CO化学反応は、一実施形態においては、高電圧源でOプラズマ中に最初に形成された変性フォトレジスト245が保持され有利である。操作120で、第1の高電圧源により、フォトレジスト中のケイ素を酸化することにより形成された変性フォトレジスト245は、操作130で、低電圧源により電圧印加されたO、N、CO化学反応に耐えることができる。このように、パターン化フォトレジスト240の前処理と、O、N、COを利用するアモルファスカーボンエッチングの両方を用いる実施形態は、アモルファスカーボン層225に有利な10:1〜100:1という非常に高いエッチング選択性(S)を有する。
【0025】
図1の操作140で、本発明の実施形態により画定された多層マスクを用いて、主エッチングを実施する。主エッチングは、多層マスクを用いて、図2Eに示すように、基板フィルム220へフィーチャーを信頼性良く転写する。フィルムに応じて、様々な公知のエッチング技術及び化学反応、例えば、これに限られるものではないが、窒化物又は酸化物フィルムのフッ素系プラズマエッチングを主エッチングで用いてよい。一実施形態において、基板フィルムは、多層マスクを用いて、80nm下のフィーチャーにより画定される。O、N、CO化学反応により形成されたアモルファスカーボン層225の平滑な側壁によって、基板フィルム220の、ライン幅粗さ(LER)の減じたエッチングが可能となり、高信頼性でサブ80nmのフィーチャーを得ることができる。
【0026】
最終的に、操作150で、アッシュ又はストリッピングプロセスを用いて、多層マスクの各層を除去し、図1の方法100を終了する。一実施形態において、イン・サイチュのアッシュプロセスを、操作120、125、130及び140で利用した同じエッチングチャンバで実施する。更なる実施形態において、Oの高フローに、少なくとも300Wのソース電力で電圧印加する。バイアス電力は150W未満である。高ソース電力は、ケイ素を含有していても、パターン化フォトレジスト240、BARC及びアモルファスカーボン層230、225を侵食する。イン・サイチュのアッシュでまた、チャンバを整えて、後の基板で方法100を繰り返す。
【0027】
一実施形態において、方法100のプラズマエッチングプロセスは、磁気強化反応性イオンエッチャー(MERIE)エッチングチャンバ、例えば、米国、カリフォルニア州のアプライドマテリアルズ(Applied Materials,CA,USA)製MxP(商標名)、MxP+(商標名)、Super−E(商標名)又はE−MAX(商標名)チャンバ等で実施される。業界に知られた高性能エッチングチャンバの他のタイプ、例えば、マイクロ波又は電子サイクロトロン共鳴(ECR)技術を用いてプラズマが形成されるチャンバも用いてよい。例示の二重周波数MERIEシステム300の断面図を図3に示す。システム300は、接地されたチャンバ305を含む。一例のシステムにおいて、チャンバ305は、約25リットルの体積を有する。基板310は、開口部315を通してロードされ、温度制御されたカソード320へクランプされる。プロセスガスは、ガス源346、347及び348から、各マスフローコントローラ349を通って、チャンバ305内部へ供給される。チャンバ305は、ターボ分子ポンプを含む高容量真空ポンプスタック355に接続された排気バルブ350を介して、5mTorr〜500mTorrまで排気される。
【0028】
RF電力を印加すると、チャンバ処理領域360にプラズマが形成される。磁気コイル340が、チャンバ305を囲んでいて、0G〜100Gの回転磁場を与えて、プラズマの密度を制御する。バイアスRF生成器325が、カソード320に結合している。バイアスRF生成器325は、バイアス電力を与えて、プラズマに電圧を印加する。バイアスRF生成器325は、典型的には、約4MHz〜60MHzの周波数を有し、特定の実施形態においては、13.56MHzである。ソースRF発生器330が、カソード320に対して陽極であるプラズマ生成要素335に結合されていて、ソース電力を提供して、プラズマに電圧を印加する。ソースRF生成器330は、典型的には、バイアスRF生成器325より高い周波数、例えば、40〜180MHzを有しており、特定の実施形態においては、60MHzである。バイアス電力は、基板310のバイアス電圧に影響して、基板310のイオン衝突を制御する。一方、ソース電力は、基板310のバイアスからは比較的独立して、プラズマ密度に影響する。プラズマが生成されるあるセットの入力ガスのエッチング性能は、プラズマ密度及びウェハバイアスによって大幅に異なるため、プラズマに電圧を印加する電力の量とソースの両方が重要である。基板の直径は、長い間に、150mm、200mm、300mm等と進んできたため、業界においては、プラズマエッチングシステムのソース及びバイアス電力を基板面積に対して標準化するのが一般的である。本明細書全体にわたって、ワット(W)については、直径200mmの丸い基板を収容するべく設計されたシステムに関してのものであるため、電力は、適切な基板サイズに合わせるものとする。
【0029】
本発明の一実施形態において、システム300は、コントローラ370によりコンピュータ制御されて、バイアス電力、ソース電力、磁場強度、ガスフロー、圧力、カソード温度及びその他プロセスパラメータを制御する。コントローラ370は、汎用データ処理システムの任意の形態の1つであってよく、様々なサブプロセッサ及びサブコントローラを制御するための工業環境で用いることができる。通常、コントローラ370は、メモリ373及び入力/出力(I/O)回路374、特に共通のコンポーネントと通信する中央演算装置(CPU)372を含む。CPU372により実行されるソフトウェアコマンドによって、システム300は、例えば、O、N及びCOにより、フォトレジスト層中のケイ素部分を酸化したり、BARC層をエッチングしたり、アモルファスカーボン層をエッチングしたり、本発明による他のプロセスを実施する。本発明の一部は、コンピュータプログラム製品として提供される。これには、命令がストアされたコンピュータ読取り可能な媒体が含まれ、これを用いて、コンピュータ(又はその他電子装置)がプログラムされて、O、N及びCOにより、フォトレジスト層中のケイ素部分を酸化したり、BARC層をエッチングしたり、アモルファスカーボン層をエッチングしたり、本発明による他のプロセスを実施する。コンピュータ読取り可能な媒体としては、フロッピーディスク、光学ディスク、CD−ROM(コンパクトディスク読取り専用メモリ)、磁気光学ディスク、ROM(読取り専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、EPROM(消去可能プログラム可能読取り専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能プログラム可能読取り専用メモリ)、磁石又は光学カード、フラッシュメモリ、その他一般的に知られたタイプの電子命令をストアするのに好適なコンピュータ読取り可能媒体が挙げられるが、これらに限られるものではない。更に、本発明はまた、コンピュータプログラム製品としてダウンロードしてもよく、プログラムは、遠隔コンピュータから、要求元コンピュータまで転送される。
【0030】
本発明を構造的な構成及び/又は方法論的作用に特有の表現で説明したが、添付の特許請求の範囲で定義された本発明は、説明した特有の構成又は作用に必ずしも限定されないと理解すべきである。開示された特有の構成及び作用は本発明を限定するものではなく、例示するものであり、権利請求された本発明の特に典型的な実施と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の特定の実施形態による多層マスクに、フィーチャーをエッチングする方法を示すフローチャートである。
【図2A】〜
【図2F】本発明の一実施形態による多層マスクにフィーチャーをエッチングする方法の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による方法を実施するためのプラズマエッチングシステムの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層マスクにフィーチャーをエッチングする方法であって、
パターン化フォトレジスト層とアモルファスカーボン層とを含む多層マスクを基板に提供する工程と、
、N及びCOを含むプラズマにより、前記アモルファスカーボン層をエッチングする工程とを含む方法。
【請求項2】
前記O、N及びCOを含むプラズマが、200mmの基板に標準化された、75W未満のソース電力及び少なくとも150Wのバイアス電力により電圧印加される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記O:N:COガス比が、1:1:1〜1:1:3である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記Oのフローが15〜50sccmである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アモルファスカーボン層が、アドバンスパターニングフィルム(Advance Patterning Film、商標名)である請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アモルファスカーボン層をエッチングする前に、前記現像された層を、Oを含むプラズマにより前処理して、前記パターン化されたフォトレジスト層に含有されるケイ素を酸化する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマが、200mmの基板に標準化された、150W未満のバイアス電力により電圧印加される請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマが、200mmの基板に標準化された、200W〜400Wのソース電力により電圧印加される請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記パターン化フォトレジスト層が、5〜25秒間、前処理される請求項8記載の方法。
【請求項10】
多層マスクにフィーチャーをエッチングする方法であって、
アモルファスカーボン層上にあって、有機反射防止コーティングにより分離されたパターン化フォトレジスト層であって、ケイ素を含有する前記パターン化フォトレジスト層を含む多層マスクを、基板に提供する工程と、
第1のバイアス電力及び第1のソース電力により電圧印加されたOを含むプラズマにより、前記パターン化フォトレジスト層を前処理して、前記パターン化フォトレジスト層のケイ素を酸化する工程と、
、N及びCOを含み、第2のバイアス電力及び第2のソース電力により電圧印加されたプラズマにより、前記アモルファスカーボン層をエッチングする工程であって、前記第2のソース電力が、前記第1のソース電力より低い工程とを含む方法。
【請求項11】
前記パターン化フォトレジスト層の前記前処理中、前記有機反射防止コーティングを通してエッチングする工程を含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
200mmの基板に標準化された、前記第1のバイアス電力が、150W未満であり、前記第1のソース電力が、200W〜400Wである請求項10記載の方法。
【請求項13】
200mmの基板に標準化された、前記第2のバイアス電力が少なくとも200Wである請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記第1のソース電力が、前記第2のソース電力より大きい請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記第2のソース電力が、0Wである請求項14記載の方法。
【請求項16】
ハロゲンを含むプラズマにより、誘電体フィルムをエッチングする工程と、
第3のバイアス電力及び第3のソース電力により電圧印加されたOを含むプラズマにより、多層マスクの大部分をアッシングする工程とを含む請求項10記載の方法。
【請求項17】
200mmの基板に標準化された、前記第3のバイアス電力が、150W未満であり、前記第3のソース電力が、少なくとも300Wである請求項16記載の方法。
【請求項18】
一組の機械読取り可能な命令がストアされたコンピュータ読取り可能な媒体であって、データ処理システムにより実行されると、
アモルファスカーボン層上にパターン化フォトレジスト層を含む多層マスクを、基板に提供する工程と、
、N、COを含むプラズマにより、前記アモルファスカーボン層をエッチングする工程とを含む方法をシステムに実行させるコンピュータ読取り可能な媒体。
【請求項19】
前記アモルファスカーボン層が、0Wのソース電力によりエッチングされる請求項18記載のコンピュータ読取り可能な媒体。
【請求項20】
一組の機械読取り可能な命令を含み、データ処理システムにより実行されると、
を含むプラズマにより、前記パターン化フォトレジスト層を前処理して、前記アモルファスカーボン層のエッチングの前に、前記パターン化フォトレジスト層に含有されるケイ素を酸化する工程を含む方法をシステムに実行させる請求項18記載のコンピュータ読取り可能な媒体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−263186(P2008−263186A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−72128(P2008−72128)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】