説明

フッ素アルコール化合物、含フッ素単量体、高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法

【解決手段】一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物。


(R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。k1は1〜3の整数である。)
【効果】本発明のフッ素アルコール化合物は、波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線に対して優れた透明性を有し、現像特性の良好な感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性材料、医薬・農薬等の原料として有用なフッ素アルコール化合物、及びこれに由来する含フッ素単量体(モノマー、即ち重合性化合物)に関する。この含フッ素単量体は、波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線、例えばKrFレーザー光、ArFレーザー光、F2レーザー光に対して優れた透明性を有し、かつ現像特性に優れた感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための重合体(ポリマー)の原料単量体として非常に有用である。
【0002】
更に、本発明は、この含フッ素単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体(高分子化合物)、この高分子化合物を含むフォトレジスト材料、及びこのフォトレジスト材料を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもKrFレーザー光、ArFレーザー光、F2レーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは、0.3μm以下の超微細加工に不可欠な技術としてその実現が切望されている。これらのレジスト組成物のベース樹脂としては種々のアルカリ可溶性樹脂が用いられている。
【0004】
KrFレジスト組成物のベース樹脂としては、アルカリ可溶性官能基としてフェノール性水酸基を有するポリヒドロキシスチレン樹脂が事実上の標準となっている。ArFレジスト組成物用ベース樹脂では、カルボキシル基をアルカリ可溶性基として用いるポリ(メタ)アクリレート樹脂やノルボルネン等の脂肪族環状オレフィンを重合単位として用いた樹脂が検討されている。これらのうち、ポリ(メタ)アクリレートは重合の容易さから実用が有望視されている。しかしながら、フェノール性水酸基に比べ酸性度の高いこれらのカルボキシル基をアルカリ可溶性官能基として用いるレジスト樹脂の場合には、溶解の制御が課題で、膨潤等によるパターン崩壊を起こし易い。
【0005】
フェノール性水酸基様の酸性度を有する官能基として、α位、α’位に複数のフッ素原子置換されたアルコール(例えば、部分構造−C(CF32OHを有するもの)をアルカリ可溶性官能基として用いる樹脂も提案されている。非特許文献1:2nd International Symposium on 157nm LithographyにおけるG. WallraffらのActive Fluororesists for 157nm Lithography等にその例をみることができる。彼らはベース樹脂の製造に用いられるモノマーとして、スチレンやノルボルネンにフルオロアルコール−C(CF32OHを導入した化合物を提案している。同様に、フルオロアルコール置換ノルボルネンの例は、特許文献1:特開2003−192729号公報や特許文献2:特開2002−72484号公報にも見られるが、ノルボルネンモノマーは同種のモノマー同士のラジカル重合は困難で、特殊な遷移金属触媒を用いた配位重合、開環メタセシス重合等の特殊な重合法が必要とされる。ノルボルネンモノマーと無水マレイン酸又はマレイミド等のコモノマーとの交互重合はラジカル重合で実施できるが、コモノマーの存在は樹脂設計の自由度を大きく制限する。
【0006】
フルオロアルコール置換アクリレートモノマーについては、特許文献3:特開2003−040840号公報に記載がある。これらの製造方法は必ずしも明確ではないが、出発原料としてヘキサフルオロアセトン(沸点−27℃)を用いており、このものは常温で気体のため取り扱いにくく、また、重合性化合物合成のための工程が長く、高コストかつ工業的な製造が難しい等の問題点を有している。
【0007】
このため、低コスト、かつ工業的に製造(重合)が容易な(メタ)アクリレート構造等の重合性不飽和基とフェノール性水酸基様の酸性度を有する官能基を併せ持つ重合性化合物(単量体)の出現が強く望まれていた。
【0008】
また、10年ほど前から精力的に検討されてきたArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーは、当初180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーが130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々の問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献2:Proc. SPIE Vol.4690 xxix)。
【0009】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44にまで上げることができる。NAの向上分だけ解像力が向上し、NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示されている(非特許文献3:Proc. SPIE Vol.5040 p724)。
【0010】
ここで、レジスト膜の上に水が存在することによる様々な問題が指摘されている。発生した酸や、クエンチャーとしてレジスト膜に添加されているアミン化合物が水に溶解してしまうことによる投影レンズの汚染やパターン形状の変化などである。また、これとは反対にレジスト膜への水の浸入による膨潤やウォーターマークと呼ばれる円形欠陥の発生も指摘されている。これら問題点の解決策として、レジスト膜と水との間に保護膜を導入する手法(非特許文献4:2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography)や、酸発生剤(PAG)やベース樹脂等のレジスト材料の撥水性をコントロールし、水への溶出、水の浸入を抑制する手法(非特許文献5:J. Photopolymer Sci. and Technol. Vol.18 No.5 p603 (2005))が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−192729号公報
【特許文献2】特開2002−72484号公報
【特許文献3】特開2003−040840号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】2nd International Symposium on 157nm Lithography
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol.4690 xxix
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol.5040 p724
【非特許文献4】2nd Immersion Work Shop, July 11, 2003, Resist and Cover Material Investigation for Immersion Lithography
【非特許文献5】J. Photopolymer Sci. and Technol. Vol.18 No.5 p603 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ArFエキシマレーザー光等の高エネルギー線を光源としたフォトリソグラフィー、特に液浸リソグラフィーにおいて、高解像性かつ液浸媒体への溶出及び液浸媒体の浸入を抑制するレジスト材料のベース樹脂用の単量体として有用な含フッ素化合物とこれを得るためのフッ素アルコール化合物、その含フッ素単量体から得られる高分子化合物、その高分子化合物をベース樹脂として含有するレジスト材料及びこのレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物及び下記一般式(2)で示される含フッ素単量体が極めて容易に得られること、更にこの含フッ素単量体から得られた高分子化合物をベース樹脂として用いたレジスト材料が、高解像性、膨潤抑止効果に優れ、かつ液浸液である水への溶出及び水の浸入を抑制し、この高分子化合物がレジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料として精密な微細加工に極めて有効であることを知見するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、下記のフッ素アルコール化合物、含フッ素単量体、高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物。
【化1】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。k1は1〜3の整数である。)
請求項2:
請求項1に記載の一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(2)で示される含フッ素単量体。
【化2】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R2は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。Abは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。k1は1〜3の整数である。k2は0又は1である。)
請求項3:
下記一般式(2a)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R2は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。Abは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。k1は1〜3の整数である。k2は0又は1である。)
請求項4:
更に、下記一般式(2A)〜(2D)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の高分子化合物。
【化4】


(式中、R1Aは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。XAは酸不安定基を示す。XB、XCはそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す。YAはラクトン構造を有する置換基を示す。ZAは水素原子、又は炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。k1Aは1〜3の整数を示す。)
請求項5:
更に、下記一般式(d1)〜(d3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3又は4に記載の高分子化合物。
【化5】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。)
請求項6:
請求項3、4又は5に記載の高分子化合物を含むベース樹脂、酸発生剤及び有機溶剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
請求項7:
請求項5に記載の高分子化合物を含むベース樹脂、及び有機溶剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
請求項8:
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項9:
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法において、屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光を行うことを特徴とするパターン形成方法。
請求項10:
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法において、レジスト塗布膜の上に更に保護膜を塗布し、屈折率1.0以上の高屈折率液体を該保護膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光を行うことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフッ素アルコール化合物及び含フッ素単量体は、機能性材料、医薬・農薬等の原料として有用であり、中でも波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線に対して優れた透明性を有し、現像特性の良好な感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。また、本発明の高分子化合物を感放射線レジスト材料のベース樹脂として用いた場合、高解像性、膨潤抑止効果に優れ、かつ液浸媒体である水への溶出及び水の浸入を抑制し、この高分子化合物はレジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として精密な微細加工に極めて有効である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の化学式において、化学構造上、エナンチオ異性体(Enantiomer)あるいはジアステレオ異性体(Diastereomer)が存在し得るものが多数あるが、特に記載がない限り、いずれの場合も各化学式はこれらの立体異性体のすべてを代表して表すものとする。また、これらの立体異性体は、単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0018】
本発明のフッ素アルコール化合物は、下記一般式(1)で示されるものである。
【化6】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。k1は1〜3の整数である。)
【0019】
1の1価炭化水素基としては、アルコール性水酸基の保護基を種々用いることができるが、具体的には下記一般式(R1−1)、(R1−2)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜5のトリアルキルシリル基、炭素数4〜15のオキソアルキル基、炭素数1〜10のアシル基等を挙げることができる。
【0020】
【化7】

【0021】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0022】
【化8】

【0023】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0024】
L04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(R1−1)で示される基を示す。
【0025】
上記R1あるいはRL04の三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示でき、アシル基としては、具体的にはフォルミル、アセチル、エチルカルボニル、ピバロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル等を例示できる。yは0〜6の整数である。
【0026】
上記式(R1−1)で示される保護基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化9】

【0027】
上記式(R1−1)で示される保護基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0028】
上記式(R1−2)の保護基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0029】
Aaの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基として、具体的には下記の基が例示できる。
【化10】

【0030】
Aaの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価のフッ素化炭化水素基として、具体的には上記の炭化水素基中の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子に置換されたものを例示できる。
【0031】
本発明の含フッ素単量体は、上記一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(2)で示されるものである。
【化11】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R2は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。Abは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。k1は1〜3の整数である。k2は0又は1である。)
【0032】
Abの炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基として、具体的には下記の基が例示できる。
【化12】

【0033】
上記一般式(2)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化13】


(式中、R2は上記と同様である。)
【0034】
【化14】


(式中、R2は上記と同様である。)
【0035】
【化15】


(式中、R2は上記と同様である。)
【0036】
【化16】


(式中、R2は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0037】
【化17】


(式中、R2は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0038】
【化18】


(式中、R2は上記と同様である。Meはメチル基を示す。)
【0039】
本発明の上記一般式(1)で示される含フッ素アルコール化合物は、例えば、下記反応式に示したスキームにより得ることができるが、これに限定されるものではない。
【化19】


(式中、R1、Aa及びk1は、上記と同様である。R3は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0040】
フッ素化合物(7)と対応する多価アルコール化合物(8)とのエステル交換反応によりフッ素アルコール化合物(1)を合成し得る。
なお、上記一般式(7)で示される3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)プロピオン酸誘導体は、例えばヘキサフルオロプロペンなどを合成した際に副生するオクタフルオロイソブチレンを原料として得られるが、供給源が工業製品の副生物であることから、大量に比較的安価に入手可能なフッ素化合物である。
【0041】
反応は、無溶媒で行うことができるが、溶媒を補助的に使用することも可能である。この場合、溶媒として、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類等を例示でき、これらは、単独又は混合して用いることができる。触媒としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、マグネシウムエトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド等の金属アルコキシド類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基類等が例示でき、これらは、単独又は混合して用いることができる。触媒の使用量は、フッ素化合物(7)に対し、0.001〜5.0モル、特に0.001〜0.1モルの使用が好ましい。反応温度は、反応条件により異なるが、50〜200℃が好ましく、反応により生じるR3OHを留去しながら行うとよい。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜20時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的の含フッ素アルコール化合物(1)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0042】
本発明の上記一般式(2)で示される含フッ素単量体は、一般式(2)中のk2が0である場合は、下記反応式に示したスキームi)により、また一般式(2)中のk2が1である場合は、下記反応式に示したスキームii)〜iv)により、それぞれ得ることができるが、これに限定されるものではない。
【化20】


(式中、R1、R2、Aa、Ab、k1及びk2は、上記と同様である。R4はハロゲン原子、水酸基又は−OR8を示す。R8はメチル基、エチル基又は下記式(16)
【化21】

を示す。R5はハロゲン原子、水酸基又は−OR9を示す。R9はメチル基、エチル基又は下記式(17)
【化22】

を示す。R6はハロゲン原子を示す。R7はハロゲン原子、水酸基又は−OR10を示す。R10はメチル基、エチル基又は下記式(18)
【化23】

を示す。MaはLi、Na、K、Mg1/2、Ca1/2又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示す。)
【0043】
ステップi)は、エステル化剤(9)とアルコール化合物(1)との反応により単量体(10)、即ち本発明の含フッ素単量体(2)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(9)としては、酸クロリド{式(9)において、R4が塩素原子の場合}又はカルボン酸無水物{式(9)において、R4がOR8で、R8が下記式(16)の場合}
【化24】

が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1)、メタクリル酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸無水物を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1)とメタクリル酸無水物等の対応するカルボン酸無水物を酸触媒の存在下加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除くなどして行うのがよい。用いる酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0044】
ステップii)は、エステル化剤(11)とアルコール化合物(1)との反応により単量体(15)、即ち本発明の含フッ素単量体(2)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(11)としては、酸クロリド{式(11)において、R5が塩素原子の場合}又はカルボン酸無水物{式(11)において、R5がOR9で、R9が下記式(17)の場合}
【化25】

が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1)、メタクリロイルオキシ酢酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸無水物を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1)とメタクリロイルオキシ酢酸無水物等の対応するカルボン酸無水物を酸触媒の存在下加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除くなどして行うのがよい。用いる酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0045】
ステップiii)は、エステル化剤(12)とアルコール化合物(1)との反応によりハロエステル化合物(13)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(12)としては、酸クロリド{式(12)において、R7が塩素原子の場合}又はカルボン酸{式(12)において、R7が水酸基の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中、アルコール化合物(1)と、2−クロロ酢酸クロリド、4−クロロ酪酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1)と2−クロロ酢酸、4−クロロ酪酸等の対応するカルボン酸を酸触媒の存在下加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除くなどして行うのがよい。用いる酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0046】
ステップiv)は、ハロエステル化合物(13)とカルボン酸塩化合物(14)との反応により単量体(15)、即ち本発明の含フッ素単量体(2)に導く工程である。
反応は、常法に従って行うことができる。カルボン酸塩化合物(14)としては、各種カルボン酸金属塩などの市販のカルボン酸塩化合物をそのまま用いてもよいし、メタクリル酸、アクリル酸等の対応するカルボン酸と塩基より反応系内でカルボン酸塩化合物を調製して用いてもよい。カルボン酸塩化合物(14)の使用量は、原料であるハロエステル化合物(13)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。対応するカルボン酸と塩基より反応系内でカルボン酸塩化合物を調製する場合に用いることができる塩基としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化物類;炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩類;ナトリウムなどの金属類;水素化ナトリウムなどの金属水素化物;ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどの金属アルコキシド類;ブチルリチウム、臭化エチルマグネシウムなどの有機金属類;リチウムジイソプロピルアミドなどの金属アミド類から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。塩基の使用量は、対応するカルボン酸1モルに対し0.2〜10モル、特に0.5〜2.0モルとすることが好ましい。0.2モル未満の使用では大量のカルボン酸が無駄になるためコスト面で不利になる場合があり、10モルを超える使用では副反応の増加により収率が大幅に低下する場合がある。
【0047】
上記ステップiv)で示される反応に用いられる溶媒としてはトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相関移動触媒を添加してもよい。その場合の相関移動触媒の添加量は原料であるハロエステル化合物(13)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では原料費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0048】
上記エステル化反応の反応温度は−70℃から使用する溶媒の沸点程度が好ましく、反応条件により適切な反応温度を選べるが、通常0℃から使用する溶媒の沸点程度が特に好ましい。反応温度が高くなると副反応が顕著になる場合があるため、現実的速度で反応が進行する範囲のなるべく低温で反応を行うことが高収率を達成するために重要である。上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により単量体(15)、即ち本発明の含フッ素単量体(2)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0049】
なお、特許文献3(特開2003−040840号公報)、特開2007−204385号公報及び特許第4475435号公報には、本発明の含フッ素単量体と同様に、部分構造−C(CF32OHを有する構造が開示されているが、本発明の化合物は、トリフルオロメチル基が置換している炭素に、更に下記式(19)
【化26】


で示される電子吸引基が置換しており、当該水酸基の酸性度はより強くなる。よって本発明の新規性及び進歩性は該先行特許文献に何ら否定されるものでない。
【0050】
本発明の高分子化合物は、一般式(2)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物である。
【0051】
一般式(2)で示される含フッ素単量体から得られる繰り返し単位として、具体的には下記式(2a)を挙げることができる。
【化27】


(式中、R1、R2、Aa、Ab、k1及びk2は、上記と同様である。)
【0052】
また、本発明の高分子化合物は、上記一般式(2a)で示される化合物の繰り返し単位に加え、更に下記一般式(2A)〜(2D)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することが好ましい。
【化28】


(式中、R1Aは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。XAは酸不安定基を示す。XB、XCはそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。YAはラクトン構造を有する置換基を示す。ZAは水素原子、又は炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。k1Aは1〜3の整数を示す。)
【0053】
上記一般式(2A)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基XAとしては種々用いることができるが、具体的には、下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【化29】


(式中、RL01及びRL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。RL03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができる。RL04は炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示す。RL05は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。RL06は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基である。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の1価の非置換又は置換炭化水素基を示す。yは0〜6の整数である。mは0又は1、nは0〜3の整数であり、2m+n=2又は3である。なお、破線は結合手を示す。)
【0054】
式(L1)において、RL01及びRL02の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が例示できる。
【0055】
L03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上記RL01、RL02と同様のものが例示でき、置換アルキル基としては下記の基等が例示できる。
【0056】
【化30】

【0057】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0058】
式(L2)において、RL04の三級アルキル基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示できる。また、トリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基の具体例としては、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。
【0059】
式(L3)において、RL05の炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換されたもの等が例示できる。また、炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。
【0060】
式(L4)において、RL06の炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基の具体例としては、RL05と同様のもの等が例示できる。
【0061】
L07〜RL16において、炭素数1〜15の1価の炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。
【0062】
L07〜RL16は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のアルキレン基等の2価の炭化水素基を示し、具体的には上記1価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0063】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化31】

【0064】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0065】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0066】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−(7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0067】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【化32】

(式中、RL41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。破線は結合位置及び結合方向を示す。)
【0068】
上記式(L4−1)〜(L4−4)中、RL41の1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0069】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)には、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在しえるが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0070】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)と(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化33】


(式中、RL41は前述と同様である。)
【0071】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化34】


(式中、RL41は前述と同様である。)
【0072】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
【0073】
なお、式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する三級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50%以上であることが好ましく、exo比率が80%以上であることが更に好ましい。
【0074】
【化35】


(式中、RL41は前述と同様である。)
【0075】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【化36】

【0076】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0077】
上記一般式(2A)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【0078】
【化37】

【0079】
【化38】

【0080】
【化39】

【0081】
【化40】

【0082】
【化41】

【0083】
【化42】

【0084】
【化43】

【0085】
前記一般式(2B)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化44】

【0086】
【化45】

【0087】
前記一般式(2C)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化46】

【0088】
【化47】

【0089】
【化48】

【0090】
【化49】

【0091】
前記一般式(2D)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化50】

【0092】
【化51】

【0093】
更に、本発明の高分子化合物には、下記一般式で示されるスルホニウム塩(d1)〜(d3)のいずれかを共重合することもできる。
【化52】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。)
【0094】
更に本発明の高分子化合物は、上記以外に、炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン誘導体などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0095】
なお、本発明の高分子化合物の重量平均分子量はポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した場合(溶媒;テトラヒドロフラン)、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜100,000である。この範囲を外れると、エッチング耐性が極端に低下したり、露光前後の溶解速度差が確保できなくなって解像性が低下したりすることがある。
【0096】
本発明の高分子化合物において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されるものではない。
(I)上記式(2)の単量体に基づく式(2a)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%を超え100モル%、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%含有し、
(II)上記式(2A)〜(2D)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%以上、100モル%未満、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%含有し、必要に応じ、
(III)上記式(d1)〜(d3)で示される構成単位の1種又は2種以上を0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%、より好ましくは0〜10モル%含有し、更に必要に応じ、
(IV)その他の単量体に基づく構成単位の1種又は2種以上を0〜80モル%、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%含有することができる。
【0097】
本発明の高分子化合物の製造は、上記一般式(2)で示される化合物を第1の単量体に、重合性二重結合を含有する化合物を第2以降の単量体に用いた共重合反応により行う。
【0098】
本発明の高分子化合物を製造する共重合反応は種々例示することができるが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。
【0099】
ラジカル重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール等のアルコール類、又はメチルイソブチルケトン等のケトン類を用い、(イ)重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0100】
アニオン重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、又は液体アンモニアを用い、(イ)重合開始剤としてナトリウム、カリウム等の金属、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等のアルキル金属、ケチル、又はグリニャール反応剤を用い、(ウ)反応温度を−78℃〜0℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とし、(オ)停止剤としてメタノール等のプロトン供与性化合物、ヨウ化メチル等のハロゲン化物、その他求電子性物質を用いるのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0101】
配位重合の反応条件は、(ア)溶剤としてn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素類を用い、(イ)触媒としてチタン等の遷移金属とアルキルアルミニウムからなるチーグラー−ナッタ触媒、クロム及びニッケル化合物を金属酸化物に担持したフィリップス触媒、タングステン及びレニウム混合触媒に代表されるオレフィン−メタセシス混合触媒等を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0102】
[レジスト材料]
本発明の高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベースポリマーとして好適に用いられ、本発明は上記高分子化合物を含有するレジスト材料、とりわけ化学増幅ポジ型レジスト材料を提供する。この場合、レジスト材料としては、
(A)ベース樹脂として上記高分子化合物、
(B)酸発生剤、
(C)有機溶剤
必要により、
(D)含窒素有機化合物、
(E)界面活性剤
を含有するものが好ましい。
なお、上記高分子化合物が上記繰り返し単位(d1)〜(d3)のいずれかを有する場合、(B)酸発生剤の配合を省略し得る。
【0103】
上記(A)成分のベース樹脂として、本発明の高分子化合物以外に、必要に応じて他の、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂を加えてもよい。例としては、i)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ii)ノルボルネン誘導体−無水マレイン酸の共重合体、iii)開環メタセシス重合体の水素添加物、iv)ビニルエーテル−無水マレイン酸−(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体などを挙げることができるがこれに限定されない。
【0104】
このうち、開環メタセシス重合体の水素添加物の合成法は特開2003−66612号公報の実施例に具体的な記載がある。また、具体例としては以下の繰り返し単位を有するものを挙げることができるがこれに限定されない。
【0105】
【化53】

【0106】
【化54】

【0107】
本発明の高分子化合物と別の高分子化合物との配合比率は、100:0〜10:90、特に100:0〜20:80の質量比の範囲内にあることが好ましい。本発明の高分子化合物の配合比がこれより少ないと、レジスト材料として好ましい性能が得られないことがある。上記の配合比率を適宜変えることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0108】
なお、上記高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0109】
本発明で使用される(B)成分の酸発生剤として光酸発生剤を添加する場合は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでもかまわない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等が挙げられ、その具体例としては、特開2009−269953号公報の段落[0151]〜[0156]に記載されている。
【0110】
中でも、より好ましく用いられるものは、下記一般式(B)−1で示される酸発生剤である。
【化55】


(式中、R405、R406、R407はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基、特にアルキル基又はアルコキシ基を示す。R408はヘテロ原子を含んでもよい炭素数7〜30の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。)
【0111】
405、R406、R407のヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基、及びこれらの基の任意の炭素−炭素結合間に−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−等のヘテロ原子団が挿入された基、任意の水素原子が−OH、−NH2、−CHO、−CO2H等の官能基に置換された基を例示することができる。R408はヘテロ原子を含んでもよい炭素数7〜30の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示し、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
【化56】

【0113】
(B)−1で示される酸発生剤の具体例としては、以下のものが例示できるが、これに限定はされない。
【化57】

【0114】
【化58】

【0115】
なお、光酸発生剤を2種以上混合して用い、一方の光酸発生剤がいわゆる弱酸を発生するオニウム塩である場合、酸拡散制御の機能を持たせることもできる。即ち、強酸(例えばフッ素置換されたスルホン酸)を発生する光酸発生剤と弱酸(例えばフッ素置換されていないスルホン酸もしくはカルボン酸)を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、高エネルギー線照射により光酸発生剤から生じた強酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
【0116】
ここで強酸を発生する光酸発生剤がオニウム塩である場合には上記のように高エネルギー線照射により生じた強酸が弱酸に交換することはできるが、高エネルギー線照射により生じた弱酸は未反応の強酸を発生するオニウム塩と衝突して塩交換を行うことはできない。これらはオニウムカチオンがより強酸のアニオンとイオン対を形成し易いとの現象に起因する。
【0117】
光酸発生剤の添加量は、レジスト材料中のベース樹脂(A)100質量部に対して0.1〜40質量部、好ましくは0.1〜20質量部である。光酸発生剤が40質量部以下であれば、レジスト膜の透過率が十分大きく、解像性能の劣化が起こるおそれが少ない。上記光酸発生剤は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0118】
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物についてはJ. Photopolym. Sci. and Tech., 8. 43−44, 45−46 (1995)、J. Photopolym. Sci. and Tech., 9. 29−30 (1996)において記載されている。
【0119】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル2−メチル2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル2−(2−トシロキシエチル)1,3−ジオキソラン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0120】
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対して2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0121】
本発明で使用される(C)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0122】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100質量部に対して200〜1,000質量部、特に400〜800質量部が好適である。
【0123】
更に、本発明のレジスト材料には、(D)成分として含窒素有機化合物を1種又は2種以上配合することができる。
含窒素有機化合物は、光酸発生剤より発生する酸などがレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適しており、このようなクエンチャーの配合により、レジスト感度の調整が容易となることに加え、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上させることができる。
含窒素有機化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられ、その具体例としては、特開2009−269953号公報の段落[0122]〜[0141]に記載されている。
【0124】
なお、配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.001〜8質量部、特に0.01〜4質量部が好ましい。配合量が0.001質量部より少ないと配合効果がなく、8質量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。含窒素有機化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。含窒素有機化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0125】
ここで、界面活性剤としては非イオン性のものが好ましく、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルEO付加物、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。例えばフロラード「FC−430」、「FC−431」(いずれも住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」、「S−145」、「KH−10」、「KH−20」、「KH−30」、「KH−40」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−403」、「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(大日本インキ工業(株)製)、「X−70−092」、「X−70−093」(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。好ましくは、フロラード「FC−430」(住友スリーエム(株)製)、「KH−20」、「KH−30」(いずれも旭硝子(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0126】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として、塗布膜上部に偏在し、表面の親水性・疎水性バランスを調整したり、撥水性を高めたり、あるいは塗布膜が水やその他の液体と触れた際に低分子成分の流出や流入を妨げる機能を有する高分子化合物を添加してもよい。なお、該高分子化合物の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができるが、好ましくはベース樹脂100質量部に対して15質量部以下、特に10質量部以下である。
【0127】
ここで、塗布膜上部に偏在する高分子化合物としては、1種又は2種以上のフッ素含有単位からなる重合体、共重合体、及びフッ素含有単位とその他の単位からなる共重合体が好ましい。フッ素含有単位及びその他の単位としては具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
【化59】

【0129】
上記塗布膜上部に偏在する高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは2,000〜20,000である。この範囲から外れる場合は、表面改質効果が十分でなかったり、現像欠陥を生じたりすることがある。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値を示す。
【0130】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は、上記の重合体、酸発生剤、有機溶剤及び含窒素有機化合物であるが、上記成分以外に任意成分として必要に応じて更に、溶解阻止剤、酸性化合物、安定剤、色素などの他の成分を添加してもよい。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0131】
本発明のレジスト材料を使用したパターン形成は公知のリソグラフィー技術を利用して行うことができ、塗布、加熱処理(プリベーク)、露光、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク、PEB)、現像の各工程を経て達成される。必要に応じて、更にいくつかの工程を追加してもよい。
【0132】
パターン形成を行う際には、まず本発明のレジスト材料を集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜、Cr、CrO、CrON、MoSi等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01〜2.0μmとなるように塗布し、ホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。
【0133】
レジスト膜の薄膜化と共に被加工基板のエッチング選択比の関係から加工が厳しくなっており、レジスト膜の下層に珪素含有中間膜、その下に炭素密度が高くエッチング耐性が高い下層膜、その下に被加工基板を積層する3層プロセスが検討されている。酸素ガスや水素ガス、アンモニアガスなどを用いる珪素含有中間膜と下層膜とのエッチング選択比は高く、珪素含有中間膜は薄膜化が可能である。単層レジストと珪素含有中間層のエッチング選択比も比較的高く、単層レジストの薄膜化が可能となるのである。この場合、下層膜の形成方法としては塗布とベークによる方法とCVDによる方法とが挙げられる。塗布型の場合は、ノボラック樹脂や縮合環などを有するオレフィンを重合した樹脂が用いられ、CVD膜作製にはブタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン等のガスが用いられる。珪素含有中間層の場合も塗布型とCVD型が挙げられ、塗布型としてはシルセスキオキサン、かご状オリゴシルセスキオキサン(POSS)等が挙げられ、CVD用としては各種シランガスが原料として挙げられる。珪素含有中間層は光吸収を持った反射防止機能を有していてもよく、フェニル基などの吸光基や、SiON膜であってもよい。珪素含有中間膜とフォトレジストの間に有機膜を形成してもよく、この場合の有機膜は有機反射防止膜であってもよい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、保護膜を塗布してもよい。
【0134】
次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線等から選ばれる光源を用い、目的のパターンを形成するための所定のマスクを通して露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm2程度が好ましく、特に10〜100mJ/cm2程度がより好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法を用いて現像することにより、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、好ましくは波長254〜193nmの遠紫外線、波長157nmの真空紫外線、電子線、軟X線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、より好ましくは波長180〜200nmの範囲の高エネルギー線による微細パターンニングに最適である。
【0135】
また、本発明のレジスト材料は、液浸リソグラフィーに適用することも可能である。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術であり、開発が加速されている。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。
【0136】
液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。
【0137】
更に、ArFリソグラフィーの32nmまでの延命技術として、ダブルパターニング法が挙げられる。ダブルパターニング法としては、1回目の露光とエッチングで1:3トレンチパターンの下地を加工し、位置をずらして2回目の露光によって1:3トレンチパターンを形成して1:1のパターンを形成するトレンチ法、1回目の露光とエッチングで1:3孤立残しパターンの第1の下地を加工し、位置をずらして2回目の露光によって1:3孤立残しパターンを第1の下地の下に形成された第2の下地を加工してピッチが半分の1:1のパターンを形成するライン法が挙げられる。
【実施例】
【0138】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記式中、Meはメチル基を示す。
【0139】
[合成例1]
本発明の含フッ素単量体を以下に示す処方で合成した。
[合成例1−1]モノマー1の合成
【化60】

【0140】
[合成例1−1−1]原料アルコール1の合成
精留塔を装着したフラスコに、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)プロピオン酸メチル20.0g、エチレングリコール16.5g、ベンゼン50mL、ナトリウムメトキシド(28質量%メタノール溶液)0.9gを仕込み、反応により生じたメタノールを徐々に留去しながら、窒素雰囲気下、6時間加熱還流した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、原料アルコール1 17.2g(収率76%)を得た。
沸点:64℃/170Pa。
【0141】
[合成例1−1−2]モノマー1の合成
得られた原料アルコール1 3.30gに、メタクリル酸無水物1.92g、トルエン10mL、メタンスルホン酸0.05gを加え、窒素雰囲気下、50℃で10時間加熱撹拌した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、モノマー1 3.40g(収率81%)を得た。
沸点:51℃/17Pa。
IR(薄膜):ν=3392、2967、1766、1722、1639、1456、1375、1317、1299、1241、1162、1056、1025、1010、977cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=1.84(3H、m)、4.34(2H、m)、4.62(2H、m)、5.69(1H、m)、5.99(1H、m)、9.23(1H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−75.03(6F、s)ppm。
【0142】
[合成例1−2]モノマー2の合成
メタクリル酸無水物の代わりにアクリル酸無水物を使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でモノマー2を得た(二工程収率58%)。
【0143】
[合成例1−3]モノマー3の合成
【化61】

【0144】
[合成例1−3−1]原料アルコール2の合成
エチレングリコールの代わりにネオペンチルグリコールを使用した以外は合成例1−1−1と同様な方法で原料アルコール2を得た(収率72%)。
IR(薄膜):ν=3546、3515、3164、2978、2950、2889、1764、1480、1379、1328、1256、1225、1162、1040、1014、998、978cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=0.84(6H、s)、3.17(2H、s)、4.10(2H、s)、4.70(1H、s)、9.11(1H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−75.06(6F、s)ppm。
【0145】
[合成例1−3−2]モノマー3の合成
原料アルコール1の代わりに原料アルコール2を使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でモノマー3を得た(収率92%)。
沸点:69℃/12Pa。
IR(薄膜):ν=3460、3385、2973、1765、1716、1639、1477、1457、1376、1322、1241、1225、1162、1012、977、946cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=0.95(6H、s)、1.86(3H、s)、3.89(2H、s)、4.19(2H、s)、5.67(1H、m)、6.03(1H、m)、9.21(1H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−75.14(6F、s)ppm。
【0146】
[合成例1−4]モノマー4の合成
原料アルコール1の代わりに原料アルコール2を、メタクリル酸無水物の代わりにアクリル酸無水物を使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でモノマー4を得た(二工程収率59%)。
【0147】
[合成例1−5]モノマー5の合成
原料アルコール1の代わりに原料アルコール2を、メタクリル酸無水物の代わりにα−トリフルオロメチルアクリル酸無水物を使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でモノマー5を得た(二工程収率48%)。
【0148】
[合成例1−6]モノマー6の合成
エチレングリコールの代わりに4−メチルペンタン−1,3−ジオールを使用した以外は合成例1−1−1、1−1−2と同様な方法でモノマー6を得た(二工程収率38%)。
沸点:85−86℃/28Pa。
IR(薄膜):ν=3459、2972、1760、1716、1638、1469、1373、1324、1241、1224、1009、977cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=0.87(6H、t)、1.87(3H、s)、1.90−2.03(3H、m)、4.24−4.31(1H、m)、4.33−4.37(1H、m)、4.78−4.82(1H、m)、5.66(1H、m)、6.03(1H、m)、9.13(1H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−75.09(6F、s)ppm。
【0149】
[合成例1−7]モノマー7の合成
エチレングリコールの代わりに3−メチルブタン−1,3−ジオールを使用した以外は合成例1−1−1、1−1−2と同様な方法でモノマー7を得た(二工程収率42%)。
【0150】
[合成例1−8]モノマー8の合成
エチレングリコールの代わりにネオペンチルグリコールを使用した以外は合成例1−1−1、1−1−2と同様な方法でモノマー8を得た(二工程収率37%)。
IR(薄膜):ν=3461、3334、2995、1763、1711、1640、1474、1317、1303、1246、1220、1163、1016、975cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=1.04(3H、s)、1.86(3H、s)、4.02(2H、s)、4.31(4H、s)、5.69(1H、m)、6.06(1H、m)、9.30(2H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−75.28(12F、s)ppm。
【0151】
[合成例1−9]モノマー9の合成
エチレングリコールの代わりにネオペンチルグリコールを、メタクリル酸無水物の代わりにアクリル酸無水物を使用した以外は合成例1−1−1、1−1−2と同様な方法でモノマー9を得た(二工程収率34%)。
【0152】
[合成例1−10]モノマー10の合成
エチレングリコールの代わりにグリセリンを使用した以外は合成例1−1−1、1−1−2と同様な方法でモノマー10を得た(二工程収率39%)。
沸点:97−98℃/11Pa。
IR(薄膜):ν=3469、2972、1766、1722、1638、1455、1382、1314、1227、1161、1013、978cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=1.81(3H、s)、4.55−4.68(4H、m)、5.39−5.43(1H、m)、5.70(1H、m)、5.97(1H、m)、9.30(2H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−75.20(12F、m)ppm。
【0153】
[合成例1−11]モノマー11の合成
エチレングリコールの代わりに2,2−ジフルオロ−4−メチルブタン−1,3−ジオールを使用した以外は合成例1−1−1、1−1−2と同様な方法でモノマー11を得た(二工程収率31%)。
【0154】
[合成例1−12]モノマー12の合成
【化62】

【0155】
モノマー3 36.6g、ジイソプロピルエチルアミン16.2g及びアセトニトリル70.0gの混合溶液にクロロメチルメチルエーテル9.7gを20℃以下にて滴下した。そのままの温度で3時間撹拌した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、モノマー12 39.8g(収率97%)を得た。
沸点:78−79℃/12Pa。
IR(薄膜):ν=2970、2935、1766、1723、1639、1477、1402、1374、1296、1257、1229、1161、1074、1028、994、935cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=0.97(6H、s)、1.86(3H、s)、3.38(3H、s)、3.89(2H、s)、4.20(2H、s)、5.04(2H、s)、5.67(1H、m)、6.03(1H、m)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−72.49(6F、s)ppm。
【0156】
[合成例1−13]モノマー13の合成
クロロメチルメチルエーテルの代わりにイソ酪酸クロリドを使用した以外は合成例1−12と同様な方法でモノマー13を得た(収率96%)。
沸点:90−91℃/11Pa。
IR(薄膜):ν=2979、1773、1724、1639、1472、1401、1374、1260、1235、1163、1117、1086、1041、999、943cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=0.95(6H、s)、1.14(6H、d)、1.86(3H、s)、2.86(1H、sept)、3.85(2H、s)、4.17(2H、s)、5.67(1H、m)、6.03(1H、m)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−71.57(6F、s)ppm。
【0157】
[合成例1−14]モノマー14の合成
モノマー3の代わりにモノマー8を使用した以外は合成例1−12と同様な方法でモノマー14を得た(収率96%)。
沸点:116−117℃/9Pa。
IR(薄膜):ν=2970、2837、1769、1726、1640、1474、1453、1404、1380、1295、1255、1229、1159、1145、1074、1029、994、934cm-1
1H−NMR(600MHz、DMSO−d6中):δ=1.05(3H、s)、1.87(3H、s)、3.38(6H、s)、4.01(2H、s)、4.31−4.36(4H、m)、5.05(4H、s)、5.70(1H、m)、6.07(1H、m)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d6中):δ=−72.58(12F、s)ppm。
【0158】
[合成例1−15]モノマー15の合成
【化63】

【0159】
[合成例1−15−1]クロロ酢酸エステル1の合成
原料アルコール1の代わりに原料アルコール2を、メタクリル酸無水物の代わりにクロロ酢酸無水物を使用した以外は合成例1−1−2と同様な方法でクロロ酢酸エステル1を得た(収率88%)。
【0160】
[合成例1−15−2]モノマー15の合成
メタクリル酸129g、[1−15−1]で得たクロロ酢酸エステル1 139g、ヨウ化ナトリウム22.0g及びジメチルホルムアミド400gの混合物にトリエチルアミン137g及びジメチルホルムアミド100gの混合物を、25℃以下にて滴下した。そのままの温度で8時間撹拌した。10質量%塩酸300gを30℃以下で加え、通常の後処理操作を行った。減圧蒸留を行い、モノマー15 132g(収率84%)を得た。
【0161】
【化64】

【0162】
[合成例2]
本発明の高分子化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例2−1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気下、80℃で撹拌したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.2gに、モノマー1 27.1gとメタクリル酸3−エチル−3−exo−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル22.9gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1,097mgと2−メルカプトエタノール196mgをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。更に80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000mLのn−ヘキサンに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、下記式ポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は46.5g、収率は93%であった。なお、Mwはポリスチレン換算でのGPCを用いて測定した重量平均分子量を表す。
【0163】
【化65】

【0164】
[合成例2−2〜12、比較合成例1−1〜4]ポリマー2〜12、比較ポリマー1〜4の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、合成例2−1と同様の手順により、ポリマー2〜12、及び比較合成例用の比較ポリマー1〜4を製造した。なお、導入比はモル比である。
【0165】
【化66】

【0166】
【化67】

【0167】
【化68】

【0168】
【化69】

【0169】
[実施例、比較例]
レジスト材料の調製
[実施例1−1〜15、比較例1−1〜4]
上記で製造した本発明の樹脂(ポリマー1〜12)及び比較例用の樹脂(比較ポリマー1〜4)をベース樹脂として用い、酸発生剤、塩基性化合物、及び溶剤を表1に示す組成で添加し、混合溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、本発明のレジスト材料(R−01〜15)及び比較例用のレジスト材料(R−16〜19)とした。なお、溶剤はすべて界面活性剤としてKH−20(旭硝子(株)製)を0.01質量%含むものを用いた。
【0170】
【表1】

【0171】
表1中、略号で示した酸発生剤、塩基及び溶剤は、それぞれ下記の通りである。
PAG−1:トリフェニルスルホニウム 2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート
Base−1:トリ(2−メトキシメトキシエチル)アミン
PGMEA:酢酸1−メトキシイソプロピル
CyHO:シクロヘキサノン
GBL:γ−ブチロラクトン
【0172】
液浸液(水)の浸入抑止効果の評価
[実施例2−1〜5、比較例2−1,2]
本発明の高分子化合物をベースポリマーとしてレジスト材料に配合した際の液浸液(水)の浸入抑止効果の評価を行った。
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理したシリコンウエハー上に上記表1に示す本発明のレジスト材料(R−01,03,05,12,13)及び比較例用のレジスト材料(R−16,18)を塗布し、100℃で60秒間ベークして厚さ50nmのレジスト膜を作製した。
協和界面科学(株)製の傾斜法接触角計Drip Master 500を用いて、上記方法でレジスト膜を形成して水平に保ったウエハー上に50μLの純水を滴下し、水玉を形成した。次にこのウエハーを徐々に傾斜させ、水玉が転落し始めるウエハーの角度(転落角)と後退接触角を求めた。結果を表2に示す。
【0173】
【表2】

【0174】
表2の結果から、本発明の高分子化合物をベースポリマーとして利用したレジスト材料の転落角が小さく、かつ後退接触角が高く、液浸液(水)の浸入を抑制する高い効果を有することが確認できた。また、転落角が小さいことは、水が流動し易いことを示し、スキャン露光におけるスキャンスピードを高くできる点でも有利であり、後退接触角が大きいことは高速のスキャン露光においても液滴が残りづらいことを示す。
【0175】
膨潤低減効果の評価
[実施例3−1〜8、比較例3−1〜4]
本発明の高分子化合物をベースポリマーとしてレジスト材料に配合した際の膨潤低減効果の評価を行った。
上記表1に示す本発明のレジスト材料(R−01,02,04,06〜09,11)及び比較例用のレジスト材料(R−16〜19)を90℃で90秒間ヘキサメチルジシラザンを噴霧したシリコンウエハー上へ回転塗布し、110℃で60秒間の熱処理を施して、厚さ200nmのレジスト膜を形成した。これをArFエキシマレーザーステッパー((株)ニコン製、NA=0.68)を用い、別途測定した感度(Eth、mJ/cm2)を中心値に、5%のピッチで上下5点ずつ、合計11点の露光量で露光した後、110℃で90秒間の熱処理を施した。ここで各露光点の膜厚を測定し、現像前膜厚(Å)とした。次にこのシリコンウエハーを2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に200秒間浸漬して現像し、再び各露光点の膜厚を測定し、現像後膜厚(Å)とした。各露光点の現像前膜厚と現像後膜厚を比較し、現像前後で膜厚が増加している点については膨潤が起こったものとし、その増加量の最大値を膨潤量(Å)とした。評価結果を表3に示す。
【0176】
【表3】

【0177】
表3の結果より、本発明のレジスト材料が、高い膨潤低減効果を有していることが確認された。
【0178】
レジスト材料(パターン倒れ)の評価
[実施例4−1〜15、比較例4−1〜4]
上記表1に示す本発明のレジスト材料(R−01〜15)及び比較用のレジスト材料(R−16〜19)を、反射防止膜(日産化学工業(株)製、ARC29A、90nm)を塗布したシリコンウエハー上へ回転塗布し、100℃で60秒間の熱処理を施して、厚さ100nmのレジスト膜を形成した。このレジスト膜上にレジスト保護膜材料(信越化学工業(株)製、SIOC−3、50nm)を回転塗布、熱処理(90℃、60秒間)し、これをArF液浸エキシマレーザーステッパー((株)ニコン製、NA=1.30)を用いて6%ハーフトーン位相差マスクに描画された一定のパターンを転写露光し、60秒間の熱処理(PEB)を施した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて30秒間パドル現像を行い、ラインアンドスペースパターンを形成した。PEBにおいては、各レジスト材料に最適化した温度を適用した。40nm1:1ラインアンドスペースパターンを上空SEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、パターン線幅の露光量依存性を調べた。一般的に露光量が大きくなるほど線幅は小さくなり、パターンは倒れ易くなる。高露光量方向でパターンが倒壊しない最小線幅を求め、倒れ限界寸法(nm、寸法が小さいほど良好)とした。評価結果を表4に示す。
【0179】
【表4】

【0180】
表4の結果より、ArFエキシマレーザー液浸露光において、本発明のレジスト材料のパターン倒れ耐性が高いことが確認できた。本発明のレジスト材料の優れた溶解特性、即ち膨潤低減効果が発揮された結果と考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物。
【化1】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。k1は1〜3の整数である。)
【請求項2】
請求項1に記載の一般式(1)で示されるフッ素アルコール化合物をエステル化して得られる下記一般式(2)で示される含フッ素単量体。
【化2】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R2は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。Abは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。k1は1〜3の整数である。k2は0又は1である。)
【請求項3】
下記一般式(2a)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】


(式中、R1は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示し、1価炭化水素基を構成する−CH2−が−O−又は−C(=O)−に置換されていてもよい。R2は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aaは、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の(k1+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。Abは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。k1は1〜3の整数である。k2は0又は1である。)
【請求項4】
更に、下記一般式(2A)〜(2D)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の高分子化合物。
【化4】


(式中、R1Aは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。XAは酸不安定基を示す。XB、XCはそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す。YAはラクトン構造を有する置換基を示す。ZAは水素原子、又は炭素数1〜15のフルオロアルキル基又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。k1Aは1〜3の整数を示す。)
【請求項5】
更に、下記一般式(d1)〜(d3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3又は4に記載の高分子化合物。
【化5】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。)
【請求項6】
請求項3、4又は5に記載の高分子化合物を含むベース樹脂、酸発生剤及び有機溶剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項7】
請求項5に記載の高分子化合物を含むベース樹脂、及び有機溶剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法において、屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光を行うことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法において、レジスト塗布膜の上に更に保護膜を塗布し、屈折率1.0以上の高屈折率液体を該保護膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光を行うことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2012−92086(P2012−92086A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204129(P2011−204129)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】