説明

フラッシュ装置、カメラ、およびカメラフラッシュシステム

【課題】リアルタイムで正確に、カメラから離れて配置したフラッシュ装置の照射エリアを確認できるようにしたフラッシュ装置、カメラ、およびカメラフラッシュシステムを提供する。
【解決手段】カメラ1と、このカメラ1から分離可能であり写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置100A、100Bとからなるカメラフラッシュシステムである。被写体に向けてフラッシュ光を照射する発光部11と、発光部11による照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像ユニット15と、撮像ユニット15によって撮像した撮像画像をカメラ1に送信する送受信回路201と、カメラ1側からフラッシュ装置100A、100Bに対して制御信号を出力するための内蔵フラッシュ64と、フラッシュ装置100A、100Bから照射エリアの撮像画像を受信する通信回路304と、照射エリアを表示するカメラ1の背面LCD67を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ装置、カメラ、およびカメラフラッシュシステムに関し、詳しくは、撮像装置等のカメラの補助照明装置として用いられ、カメラに固定装着しても、カメラから分離した位置においても使用可能なフラッシュ装置、このフラッシュ装置と連携して動作可能なカメラ、およびこれらからなるカメラフラッシュシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュ装置の補助光を用いて撮影する場合には、そのフラッシュ装置の照射エリアを考慮しながら撮影を行う必要がある。特に、フラッシュ装置をカメラから分離した位置に配置する場合には、フラッシュ光の位置や発光部の向きによって被写体の照明状態が変化するので、フラッシュ装置のセッティングは撮影にあたって重要である。そこで、撮影前にフラッシュ装置による照明状態を確認可能なストロボシステムが種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マスターストロボからの発光に応答してスレーブストロボもプリ発光し、このときの反射光量と設定されている光量比から、マスターストロボとスレーブストロボの発光量を制御するストロボシステムが開示されている。すなわち、この特許文献1には、モデリングによってカメラからはなれて配置されたフラッシュ装置のライティングを確認することができる。
【特許文献1】特開2000−89305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モデリングは発光のための電力消費が大きく、電池が消耗してしまう。モデリング発光は一時的に照明光を照射するだけなので、フラッシュ装置のセッティングを行いながら、リアルタイムで照射エリアを確認することはできない。また、モデリング発光時にはフラッシュ光が照射エリア外にも拡散するので、モデリングによって照射エリアを人の目で確認しようとしても、照度が不十分なエリアまで、照射されていると認識してしまう虞がある。フラッシュ装置がカメラに装着されている場合は、カメラの撮影範囲とフラッシュ装置のズームを連動させて、カメラのファインダで確認する方法があるが、フラッシュ装置がカメラから離れて配置されている場合には、この方法が採用できない。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、リアルタイムで正確に、カメラから離れて配置したフラッシュ装置の照射エリアを確認できるようにしたフラッシュ装置、カメラ、およびカメラフラッシュシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるフラッシュ装置は、写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、フラッシュの照射エリアを変更可能な発光部と、上記照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像手段と、上記フラッシュ装置の設定値または照射エリアを表示可能な表示手段と、上記照射エリアを上記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0007】
第2の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第1の発明において、上記発光部は、照射方向を変更できる可動ヘッドであり、上記撮像手段は、上記可動ヘッドに一体的に構成されている。
また、第3の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第1の発明において、上記照射エリアの表示は、上記発光部のズーム状態に対応して、上記撮像手段による撮像画像をデジタル拡大して当該エリアを表示する。
さらに、第4の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第1の発明において、上記撮像手段は、フラッシュ側での発光量制御のための調光機能を兼用する。
【0008】
第5の発明に係わるフラッシュ装置は、写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、フラッシュの照射エリアの被写体を撮像可能な撮像手段と、上記フラッシュ装置の設定値または照射エリアを表示可能な表示手段と、上記フラッシュ装置が写真撮影を行うカメラに、撮影画像範囲と照射エリアを略同一とするように固定接続されているか、または分離されているかを検出する検出手段と、上記検出手段の出力に基づいて、上記表示手段に表示する内容を切り換える切換手段と、を備える。
【0009】
第6の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第5の発明において、上記フラッシュ装置は、上記カメラに固定接続されている場合はフラッシュの照射エリアを示す画像を表示せずにフラッシュの設定情報のみを表示し、カメラと分離されている場合はフラッシュの照射エリアを示す画像を表示する。
また、第7の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第5の発明において、上記検出手段は、上記フラッシュ装置と上記カメラを接続する接続端子の接続状態に応じて、上記固定接続と上記分離のいずれであるかを検出する。
【0010】
第8の発明に係わるフラッシュ装置は、写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、被写体に向けてフラッシュ光を照射する発光部と、上記発光部の照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像手段と、上記撮像手段によって撮像した撮像画像をカメラに送信する送信手段と、を備える。
【0011】
第9の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第8の発明において、上記照射エリアの画像を表示する表示手段を有する。
第10の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第8の発明において、上記カメラからの制御信号を受信するための受信手段を有する。
【0012】
第11の発明に係わるカメラは、カメラ本体から分離されたフラッシュ装置に対して制御信号を出力するためのカメラ側送信手段と、上記フラッシュ装置から照射エリアの撮像画像を受信するカメラ側受信手段と、上記照射エリアの撮像画像を表示する表示手段と、を備える。
第12の発明に係わるカメラは、上記第11の発明において、上記カメラ側受信手段は、複数の上記フラッシュ装置からの照射エリアの撮像画像を受信可能であり、上記表示手段は、上記複数の撮像画像を同時に表示可能である。
【0013】
第13の発明に係わるカメラフラッシュシステムは、カメラと、このカメラから分離可能であり写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置とからなるカメラフラッシュシステムであって、被写体に向けてフラッシュ光を照射する発光部と、上記発光部による照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像手段と、上記撮像手段によって撮像した撮像画像を上記カメラに送信するフラッシュ側送信手段と、上記カメラ側から上記フラッシュ装置に対して制御信号を出力するためのカメラ側送信手段と、フラッシュ装置から照射エリアの撮像画像を受信するカメラ側受信手段と、上記照射エリアを表示するカメラ側表示手段と、を備える。
【0014】
第14の発明に係わるカメラフラッシュシステムは、上記第13の発明において、上記カメラ側表示手段における上記照射エリアの表示は、複数のフラッシュ装置の照射エリアを同時に表示する。
第15の発明に係わるカメラフラッシュシステムは、上記第13の発明において、上記フラッシュ装置は、上記照射エリアを表示するフラッシュ側表示手段を有し、上記カメラの操作部材が操作された場合は上記フラッシュ側表示手段による上記照射エリアの表示を中止し、また上記フラッシュ装置の操作部材が操作された場合は上記カメラ側表示手段による上記照射エリアの表示を中止すると共に上記フラッシュ側表示手段によって上記照射エリアを表示する。
【0015】
第16の発明に係わるフラッシュ装置は、写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、照射エリアを切り換え可能な発光部と、上記照射エリアよりも十分に広い範囲を撮像可能な撮像手段と、上記発光部の予備発光で取得された画像をもとに上記発光部によって照射された範囲を判定し、照射範囲の画像を出力する照射範囲画像出力手段と、を備える。
【0016】
第17の発明に係わるフラッシュ装置は、上記第16の発明において、上記フラッシュ装置は、天井範囲と水平範囲とを判別可能であり、上記水平範囲でフラッシュ発光により明るさが所定値よりもアップした範囲を照射範囲として出力する。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、フラッシュの照射方向や照射角などの照射エリアを変更する際、フラッシュ発光させることなく、フラッシュエリアを画像によりリアルタイムかつ正確に確認することができ、また、エネルギロスも少なくすることができる。
【0018】
第2の発明によれば、ヘッドの方向をフラッシュ本体に対して動かしても、照射エリアの表示はヘッドの動きに追従可能である。
第3の発明によれば、照射エリアの画像を取得する撮像手段に光学ズームが不要となり、小型軽量にすることが可能となる。
第4の発明によれば、照射エリア外の部分も表示されるため、被写界全体とのバランスを見ながら照射エリアを確定することができる。
【0019】
第5の発明によれば、カメラにフラッシュ装置を取り付けているか、分離しているかによって最適な表示を自動的に行うことができる。
第6の発明によれば、フラッシュ装置がカメラから分離されている場合のみフラッシュ装置の照射エリアを表示するようにしているので、カメラに取り付けられ、カメラのファインダで画角を確認できる場合にフラッシュ装置の撮像手段が動作して無駄な電力を消耗することを防止することができる。また、画角以外のフラッシュの設定情報を見やすく表示することが可能となる。さらに、カメラと分離してズームがカメラの画角に連動しない場合には、照射エリアを自動的に表示するようにしても良く、この場合には、照射エリア自動的に表示されるので、ズームの設定を忘れて失敗することを防止することができる。
第7の発明によれば、フラッシュ装置とカメラとの接続端子によって、カメラから分離されているか否かを判定することができ、簡単な構成とすることができる。
【0020】
第8の発明によれば、フラッシュ装置の照射エリアをカメラ側に送信できるので、カメラ側で照射エリアを確認することが可能となり、この場合には、フラッシュ装置まで移動しなくてもよく、フラッシュの設定の確認を迅速に行える。
第9の発明によれば、フラッシュ装置に照射エリアの確認を行う表示装置を設けているので、フラッシュエリアを画像によりリアルタイムかつ正確に確認することができ、また、エネルギロスも少なくすることができる。
第10の発明によれば、カメラから制御信号を受信することができるので、制御信号に応じて動作することができる。
【0021】
第11の発明によれば、フラッシュ装置から照射エリアの画像を受信し、表示するので、フラッシュ装置まで移動しなくてもよく、フラッシュ装置の設定の確認を迅速に行える。
第12の発明によれば、多灯フラッシュ撮影する場合の照射エリアを瞬時に確認することができ、多灯フラッシュ撮影の場合でも設定の確認を迅速に行える。
【0022】
第13の発明によれば、フラッシュ装置の照射エリアをリアルタイムで、カメラ側で集中的にモニタすることができるため、撮影者が照射エリアの確認のためにフラッシュ装置の位置まで移動する必要がなく、設定の確認を迅速に行える。
第14の発明によれば、多灯フラッシュ撮影する場合の照射エリアを瞬時に確認することができ、多灯フラッシュ撮影の場合でも設定の確認を迅速に行える。
第15の発明によれば、撮影者がリモートフラッシュのそばで設定を行っている際にはカメラ側の照射エリア表示を中止し、カメラのそばで設定を行っている際にはカメラ側に照射エリアを表示するので、フラッシュ装置とカメラの双方で無駄な表示をせず、電源の消耗を防止することができる。
【0023】
第16の発明によれば、照射エリアを特定しにくいバウンス撮影の照射エリアをフラッシュ装置またはカメラ等に表示可能としているので、迅速にバウンス撮影の設定を行うことができる。
第17の発明によれば、バウンス撮影の際に、天井等における反射部分と撮影対象を分離し、照射エリアを出力することを可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラ1とフラッシュ装置100とからなるカメラフラッシュシステムを用いて好ましい第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るフラッシュ装置100について正面側からみた外観斜視図であり、図2はこのフラッシュ装置100を背面側からみた外観斜視図である。
【0025】
フラッシュ制御部本体21の内部には、フラッシュ装置100の全体を制御するための制御回路等が設けられている。フラッシュ制御部本体21の正面側には、AF補助光窓22Aとスレーブセンサ窓23Aが設けられている。AF補助光窓22Aは、被写体が暗い場合に、被写体を照明することによりカメラのオートフォーカスを補助する補助光投射用の投光用のレンズを含む窓である。
【0026】
スレーブセンサ窓23Aは、コマンダーフラッシュから信号発光を受光するための受光用レンズを含む窓である。すなわち、フラッシュ装置100がワヤレスフラッシュとして動作する場合、コマンダー機能を備えたカメラの内蔵フラッシュ等のコマンダーフラッシュから信号発光を、スレーブセンサ窓23Aを通して受信し、このフラッシュ装置100はコマンダーフラッシュからの信号発光に従ってスレーブ発光を行う。
【0027】
フラッシュ制御部本体21の下部には脚33が固設されおり、この脚33の端部側にはホットシュー31が設けられている。ホットシュー31の下部には、カメラ1との有線通信を行うための信号端子31a(図3参照)が配設されている。シューロックナット32は、ホットシュー31をカメラ1のホットシュー63(図4参照)に装着時に、カメラ1に固定するための固定部材であり、脚33に螺合している。
【0028】
フラッシュ制御部本体21の上部には軸部34が設けてあり、この軸部34に発光部ユニット12が軸支されている。発光部ユニット12は、軸部34の回り(矢印A回り)を回動自在であり、また、バウンス解除ボタン13を通る軸回り(矢印B回り)を回動自在となっている。バウンス解除ボタン13を押して固定を解除すると、発光部ユニット12は、上下左右に回動させることができる。
【0029】
発光部ユニット12の前面側には、フラッシュ発光部11が配置されており、このフラッシュ発光部11はフレネルレンズ11a(図3参照)を含み、また後述するように、内部にはキセノン管101(図3参照)が配置されており、フラッシュ発光部11のフレネルレンズ11aを通してフラッシュ光が照射される。
【0030】
発光部ユニット12の底部には撮像部ユニット15が固設されており、この撮像部ユニット15の前面側には撮像レンズ14が配置されている。撮像部ユニット15は発光部ユニット12と一体に構成されていることから、発光部ユニット12によるフラッシュ光の照射の方向と、撮像部ユニット15の撮像の方向は常に一致している。したがって、撮像部ユニット15によって発光部ユニット12による照射方向の画像を取得することができる。
【0031】
フラッシュ制御部本体21の背面には、図2に示すように、ズームボタン20、背面表示LCD(液晶ディスプレイ:Liquid Crystal Display)24、モードボタン25、充電/テストボタン26、パワーボタン27、十字ボタン28、およびメニューボタン30が配置されている。背面表示LCD24は、撮像ユニット15によって取得した画像やその他の撮影情報を表示し、STN(Super-Twisted Nematic Display)液晶やTFT(Thin Film Transistor)などで構成される高精細な表示用モニタである。
【0032】
モードボタン25は、フラッシュ装置100の発光制御の各種モード、例えば、TTLオートモード、オートモード、マニュアルモード、RCモード(ワイヤレスリモートコントロールモード)等を設定するボタンである。充電/テストボタン26は、フラッシュ装置100の充電が完了すると点灯し、また、このボタン26を押すとフラッシュ装置100のテスト発光を行う。パワーボタン27は、フラッシュ装置100のパワーを投入するためのボタンである。
【0033】
十字ボタン28は、上下左右の4方向について、それぞれ設けられた方向キーと、この方向キーの中央に設けられたOKボタンとから構成されている。4つの方向キーをそれぞれ操作することにより、背面表示LCD24上に表示されるカーソルを移動させることができ、OKボタンを操作することにより、選択された項目を確定する。
【0034】
メニューボタン30は、メニューモード設定用の操作部材であり、メニューボタン30を操作すると、背面表示LCD24にメニュー画面が表示され、この状態で十字ボタン28を操作することにより、所望の設定等を行うことができる。ズームボタン20は、発光部ユニット12によるフラッシュ光のズーミングを行わせるための操作部材である。このズーミングについては、後述するがフラッシュ発光部11のフレネルレンズ11aとキセノン管101の距離を変化させることにより行う。ズームボタン20を押すたびに、1ステップずつズームアップを行い、テレ端に達するとワイド端に戻る。
【0035】
フラッシュ制御部本体21の側面には、無線電波通信用のアンテナ29が配置されている。後述するように、本実施形態においては、フラッシュ装置100からカメラ1への画像データ等の送信は無線通信によって行っており、このアンテナ29を介してカメラ1に送信する。
【0036】
次に、本実施形態に係わるフラッシュ装置100の電気系について図3に示すブロック図を用いて説明する。発光部ユニット12内において、フラッシュ発光部11を構成するフレネルレンズ11aの後方には、リフレクタユニット102に保持されたキセノン管101が配置されている。このキセノン管101には、充電・発光回路103が接続されており、バッテリ206の電源電圧を昇圧した高圧電圧が印加可能となっている。充電・発光回路103はフラッシュ制御部本体21内に配置された演算制御回路202に接続されており、充電・発光回路103は、演算制御回路202の指示により、動作する。
【0037】
リフレクタユニット102に設けられたギアは、モータ104の駆動軸に設けられたギアと噛合している。モータ104はステッピングモータ等で構成され、モータドライバ105に接続されており、このモータドライバ105は演算制御回路202に接続されている。このため、演算制御回路202からの指示によって、モータ104が正転または逆転方向に回転すると、リフレクタユニット102に保持されたキセノン管101は、フレネルレンズ11aに近づき、または遠ざかり、これによって照射角が変化し、ズーミング動作が行われる。
【0038】
撮像素子ユニット15の先端部には撮像レンズ14が配置されており、フラッシュ装置100の照射角に対応する画像を取得する。撮像レンズ14の結像位置付近には、撮像素子107が配置されており、撮像素子107としては、CCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)等の二次元撮像素子が使用される。
【0039】
撮像素子107の出力は画像処理回路108に接続されており、この画像処理回路108の出力は演算制御回路202に接続されている。撮像素子107から読み出された画像信号は、画像処理回路108によって処理され、演算制御回路202に送られる。
【0040】
無線電波通信用のアンテナ29は、電波送受信回路201に接続されており、この電波送受信回路201は演算制御回路202に接続されている。カメラに送信する種々のデータは、演算制御回路202の制御に従って電波送受信回路201からアンテナ29を介して無線で送信される。
【0041】
フラッシュ制御部本体21の前面側にはAF補助光窓22Aを通してAF補助光を投射するためのAF補助光部22が配置されており、AF補助光部22はAF補助光駆動制御回路204に接続され、AF補助光駆動制御回路204は演算制御回路202に接続されている。AF補助光駆動制御回路204は演算制御回路202から制御信号を受け、AF補助光の投光制御を行う。
【0042】
また、フラッシュ制御部本体21の前面側には、前述のスレーブセンサ窓23Aを通してコマンダーフラッシュからの信号発光を受光するスレーブセンサ23が配置されており、このスレーブセンサ23はスレーブ信号処理回路205が接続され、スレーブ信号処理回路205は演算制御回路202に接続されている。スレーブセンサ23は、カメラ本体1の内蔵フラッシュ64またはカメラ本体1に装着したフラッシュ装置100等のコマンダーフラッシュから信号発光を受光し、スレーブ信号処理回路205は信号発光に基づく信号を処理し、演算制御回路202は充電・発光制御回路103の制御を行い、フラッシュ発光を行う。
【0043】
背面表示LCD24は、LCDドライバ203に接続されており、LCDドライバ203は演算制御回路202に接続されている。演算制御回路202は、撮像素子107によって取得された画像や、フラッシュ装置100自身の情報や、カメラ1と通信によって取得した情報等を背面表示LCD24に表示させる。
【0044】
前述のズームボタン20、モードボタン25、充電/テストボタン26、パワーボタン27、十字ボタン28、メニューボタン30等の各種スイッチは、演算制御回路202に接続されており、これらのスイッチ状態の検出が可能となっている。着脱自在の電源電池で構成されたバッテリ206は、フラッシュ装置100の動作電源であり、演算制御回路202、モータ104、充電・発光回路103等の各部にエネルギ供給を行う。
【0045】
通信接点31aは、前述したようにホットシュー31の端部に設けられており、本実施形態においては端子a〜eの5端子で構成されている。この内、端子a〜dはカメラ1との通信に用いられ、端子eはカメラ1のホットシュー63に接続されているか否かを判定する。カメラのホットシュー63は、図3(B)に示すように、端子a〜eが設けられており、端子eからは所定の識別信号が出力される。このため、この端子e−端子eを介して得られる識別信号を解析することにより、フラッシュ装置100がカメラ1に装着されているか否かを判定することができる。
【0046】
フラッシュ装置100がカメラ1から分離されワイヤレスで使用する場合には、フラッシュ装置100の端子eは、識別信号を受信することはないので、フラッシュ装置100がカメラ1に装着されていないことを判定することができる。また、フラッシュ装置100とカメラ1を図3(C)に示すようなオフフラッシュケーブル80で接続した場合には、ケーブル端子81とケーブル端子82の間には、端子e−端子eを接続するラインが設けられておらず電気的にオープン状態となり、フラッシュ装置100がカメラ1に直接装着されていないことを判定することができる。なお、この図3(C)に示す状態は、フラッシュ装置100とカメラ1の間で有線通信を維持しつつ、フラッシュ装置100をカメラ1から離して使用する場合である。
【0047】
次に、本実施形態に係わるカメラ1について説明する。図4(A)は本実施形態に係わるカメラ1の正面側から見た外観斜視図であり、図4(B)は内蔵フラッシュ64をポップアップした状態を示す。また、図5は、カメラ1を背面側から見た外観斜視図である。このカメラ1は、撮影素子を備えた一眼レフタイプの電子カメラであり、撮像素子からの出力に基づく画像データを記録媒体に記録可能であると共に、被写体観察時には、画像データに基づいてリアルタイムで背面に設けた背面LCD67に表示する所謂ライブビューが可能である。
【0048】
カメラ本体60の正面側の略中央には撮影レンズユニット50が装着されている。撮影レンズユニット50はカメラ本体60に対して一体に固定されていても良いが、本実施形態においては、着脱自在な交換レンズで構成されている。撮影レンズユニット50内には、被写体像を形成するための撮影レンズ51が配置されている。この撮影レンズ51は固定焦点レンズで構成しても良いが、本実施形態においては、変倍機能を有するズームレンズである。ズームリング52を回動させることにより、ズーミング動作を行うことができ、また、変倍状態(焦点距離情報)は、図示しない接点を介してカメラ本体60に送信される。
【0049】
カメラ本体60の上部には、レリーズボタン61、パワーボタン62、ホットシュー63、内蔵フラッシュ64が設けられている。レリーズボタン61は静止画等の撮影を指示するための操作部材であり、パワーボタン62はカメラ本体60にカメラ動作を開始させるための操作部材である。
【0050】
ホットシュー63はフラッシュ装置100のホットシュー31に係合可能であり、通信用の端子a〜eが設けられている(図3(B)参照)。これらの端子a〜eを介してカメラ1とフラッシュ装置100は有線通信を行う。
【0051】
内蔵フラッシュ64は発光部64aを有し、ポップアップすると発光部64aが被写体方向に向けて照射可能であり、ポップダウンすると発光部64aがカメラ本体60内に収納される。この内蔵フラッシュ64はカメラ単体で撮影時の照明光源のほか、ワイヤレスフラッシュでの撮影時には、コマンダーフラッシュとしての信号発光を行うことが可能である。
【0052】
カメラ本体60の正面右上隅には、無線電波通信用のアンテナ65が設けられている。このアンテナ65によって、フラッシュ装置100の無線電波通信用のアンテナ29との間で無線通信を行う。
【0053】
カメラ本体60の背面の上部には、ファインダ窓66が設けられている。撮影レンズ51によって形成される被写体像は、カメラ本体60内の可動反射鏡、ファインダスクリーン、ペンタプリズム等のファインダ光学系を介し、ファインダ窓66から観察することが可能である。
【0054】
また、カメラ本体60の背面には背面LCD67、DSPボタン68、INFOボタン69、モードボタン70、メニューボタン71、および十字ボタン72が配置されている。背面LCD67は、カメラによって撮影され記録されている画像の再生、各種情報の設定画面、およびライブビュー画像の表示を行う。
【0055】
DSPボタン68は背面LCD67で表示されるライブビューのオンオフの切換を行う操作部材である。INFOボタン69は、背面LCD67に表示する情報の表示形態の切り換えを行う操作部材である。モードボタン70は、プログラムモード、絞り優先モード、シャッタ優先モード、マニュアルモード等のカメラ1の撮影モードを切り換えるための操作部材である。
【0056】
十字ボタン72は、図2に示した十字ボタン28と同様に、上下左右の4方向について、それぞれ設けられた方向キーと、この方向キーの中央に設けられたOKボタンとから構成されている。4つの方向キーをそれぞれ操作することにより、背面LCD67上に表示されるカーソルを移動させることができ、OKボタンを操作することにより、選択された項目が確定する。
【0057】
メニューボタン71は、図2に示したメニューボタン30と同様に、メニューモード設定用の操作部材であり、メニューボタン71を操作すると、背面LCD67にメニュー画面が表示され、この状態で十字ボタン72を操作することにより、所望の設定等を行うことができる。
【0058】
次に、本実施形態に係わるカメラの電気系について図6に示すブロック図を用いて説明する。レンズ駆動制御回路301は、撮影レンズユニット50内に設けられており、撮影レンズ51のフォーカス駆動や絞りの制御を行う。ボディ駆動制御回路302は、カメラ本体60内に設けられており、カメラ全体のシーケンス制御等の各種の制御を行う。
【0059】
アンテナ65は通信回路304に接続されており、この通信回路304はボディ駆動制御回路302に接続されている。通信回路304は無線電波による通信回路であり、ボディ駆動制御回路302によって制御される。内蔵フラッシュ64はフラッシュ制御回路305によって充電や発光制御がなされ、フラッシュ制御回路305はボディ駆動制御回路302に接続され、これによって制御される。
【0060】
フラッシュ制御回路305は、内蔵フラッシュ64のみ、またはフラッシュ装置100が単独で装着されている場合には、通常撮影時の照射の制御を行う。また、フラッシュ装置100A、100Bがカメラ本体60から分離され、RCモード(ワイヤレスリモートコントロールモード)で使用される場合には、フラッシュ制御回路305は、フラッシュ装置100A、100Bに対してコマンダーフラッシュとしての信号発光を行わせる。
【0061】
TTL調光回路307は、内蔵フラッシュ64またはフラッシュ装置100の発光量を制御するために、フラッシュを発光しない場合の被写界の明るさ、およびフラッシュを発光させた場合の被写界の明るさを測光可能である。TTL調光回路307の出力は、ボディ駆動制御回路302に送られ、ここでフラッシュの発光量等の発光データを生成する。
【0062】
撮像回路310は、撮影レンズ51の結像面近傍に配置された撮像素子を含み、被写体像の画像データを出力する。画像処理回路308は、撮像回路310からの画像データを入力し、画像データの圧縮、ノイズ除去等の画像処理を行う。画像記録媒体309は、画像処理回路308によって処理された画像データを記録するための媒体であり、画像処理回路308によって書き込みが行われる。
【0063】
前述の背面LCD67は、ボディ駆動制御回路302に接続されており、画像記録媒体309に記録されている画像を画像処理回路308によって読み出し、これを再生表示することができる。また、画像処理回路308によって処理されたライブビューを表示することができる。さらに、メニューモードに設定されている場合には、メニュー設定画面を表示し、また各種撮影情報の表示を行う。
【0064】
操作部材306は、前述のレリーズボタン61、パワーボタン62、DSPボタン69、INFOボタン69、メニューボタン71、および十字ボタン72等の操作部材であり、これらの操作部材306の操作状態は、ボディ駆動制御回路302によって読み取り可能となっている。
【0065】
次に、図7を用いて、フラッシュ装置100の背面表示LCD24における照射範囲の画像表示を説明する。前述したように、フラッシュ装置100には撮像素子107が設けてある。この撮像素子107によって取得した画像を用いて、フラッシュ装置100による照射範囲を表示することが可能である。
【0066】
本実施形態においては、次の3つの表示方法が可能であり、いずれか一つのみ表示するようにしても良く、また、メニューモードにて選択できるようにしても良い。図7(a)(b)に示す表示スタイル1は、フラッシュ装置100の照射角をデジタルズームで表示する方法である。
【0067】
フラッシュ装置100内の演算制御回路202は、フラッシュ装置100のズーム位置から、照射角に相当する画像のエリアを算出し、これに基づいて撮像ユニット15で取得した画像にデジタルズーム処理を行い、背面表示LCD24に表示する。なお、ズーム位置はモータ104によるリフレクタユニット102の移動量に基づいて算出する。
【0068】
図7(a)はフラッシュ装置100がワイド端に設定された場合であり、また図7(b)はテレ端に設定された場合を示す。また、図中、「RC」は、RCモード(ワイヤレスリモートコントロールモード)に設定されていることを示し、また、「Ch1」は無線通信のチャンネルを示し、同一のシステムを構成する場合には同一のチャンネルを選択する。また、「GrA」は各フラッシュ装置に与えられた識別符号であり、「+0.3」は、露光補正値を示す。これらのフラッシュの設定値は、画面内の照射エリアの画像にスーパーインポーズ表示される。
【0069】
図7(c)(d)に示す表示スタイル2は、デジタルズームを行わず、照射エリア内を明るく表示し、照射エリア外を暗く表示する方法である。フラッシュ装置100内の演算制御回路202はフラッシュのズーム位置から照射角に相当する画像のエリアを算出し、それに基づいて撮像ユニット15で取得した画像の照射エリア外を暗く表示させる。この表示スタイル2においても、フラッシュ装置100の設定値をスーパーインポーズ表示している。
【0070】
図7(c)はフラッシュ装置100の発光部がワイド端に設定された場合であり、また図7(d)は発光部がテレ端に設定された場合を示す。この表示スタイル2は、照射エリア外でかつズーム設定で照射可能な範囲の画像を観察することができる。このため、テレ端からワイド端にズーミングする際に分かりやすい。この表示スタイル2の変形例として、撮像画像をデジタルズームすることなく、照射エリアを枠で囲んで表示するようにしても良い。
【0071】
図7(e)(f)に示す表示スタイル3は、前述の表示スタイル1と表示スタイル2を組み合わせた表示である。この表示スタイル3では、表示スタイル1のようにデジタルズーム処理された画像を表示する表示領域24aと、表示スタイル2のように照射エリアを明るく表示する表示領域24bに分けて、両表示スタイルによって照射エリアを表示するようにしている。フラッシュの設定値は、撮像画像にスーパーインポーズすることなく、表示領域24a、24b以外の領域に表示している。
【0072】
なお、ワイド端においては、表示領域24aと表示領域bの画像が一致するので、図7(e)においては一つの画像のみ表示している。しかし、ワイド端においても、図7(f)のように表示領域24a、24bでそれぞれ同一の画像を表示するようにしても勿論かまわない。
【0073】
この表示スタイル3の表示制御も演算制御回路202によって、前述の表示スタイル1および表示スタイル2での処理結果を合成して行う。表示スタイル3での表示は、表示スタイル1および表示スタイル2の表示方法を同時にモニタすることができ、設定をより迅速に行うことができる。
【0074】
次に、カメラ1と2台のフラッシュ装置100A、100Bを組み合わせたシステムにおいて、ワイヤレスTTL撮影を行う場合について、図8を用いて説明する。本実施形態のシステムにおいては、フラッシュ装置100A、100Bの状態と照射エリアの画像データは電波信号でカメラ1に送信し、カメラ1は受信し、照射エリアの画像を表示する。一方、フラッシュ装置100A、100Bの発光制御については、カメラ1の内蔵フラッシュ64等のコマンダーフラッシュからの信号発光によって制御を行っている。すなわち、フラッシュ装置100A、100Bからカメラ1への情報伝達は電波通信で行い、フラッシュ装置100A、100Bからカメラ1への情報伝達は光通信で行っている。
【0075】
被写体320に向かって左側のフラッシュ装置100AはグループAに設定され、右側のフラッシュ装置100BはグループBに設定されている。このグループ設定は、各フラッシュ装置100A、100Bのメニュー画面上において行う。フラッシュ装置100Aにおいてグループ設定を行うと、背面表示LCD24の画面24Aに表示され、フラッシュ装置100Bにおいてグループ設定を行うと背面表示LCD24の画面24Bに表示される。
【0076】
また、各フラッシュ装置100A、100Bでは、撮像ユニット15によって取得された照射エリアが画面24A、24Bにそれぞれ表示される。なお、図8では、表示スタイル1による表示方法を示している。
【0077】
カメラ1の背面LCD67には、それぞれのフラッシュ装置100A、100Bのフラッシュの設定が表示される。すなわち、画面67Aに示すように、ライブビュー表示67aおよびカメラ撮影情報67bに加えて、フラッシュ情報67cが表示される。また、INFOボタン69を操作することにより画面67Bのように表示形態が変わり、フラッシュ装置100A、100Bの照射エリアが同時に表示される。
【0078】
すなわち、画面67Bの略中央には、ライブビュー表示67dとカメラ撮影情報67eが表示され、画面67Bの左側にはフラッシュ装置100Aの照射エリア情報67fがフラッシュ設定値と共に表示され、画面67Bの右側にはフラッシュ装置100Bの照射エリア情報67gがフラッシュ設定値と共に表示される。ここで、照射エリア情報67f、67gには、フラッシュ装置100A、100Bから無線通信で送信されてきた照射エリアの画像が表示されるので、カメラ1の撮影者はフラッシュ装置100A、100Bの設置位置まで行かなくても、カメラ1の設置位置で照射エリアを確認することができる。
【0079】
フラッシュ装置100A、100Bの照射エリアが撮影者の意図通りでない場合には、フラッシュ装置100A、100Bの照射エリアの画像を見ながら発光部ユニット12の向きを上下左右に回動させ、またズームボタン20の操作によってズーミングすることにより、照射エリアが適切になるように調整できる。
【0080】
また、カメラ1の背面LCD67の画面67A、67Bには、フラッシュ装置100A、100Bの設定が表示され、この設定はカメラ側のメニュー画面上におけるフラッシュ設定変更において、十字ボタン72等の操作部材を操作することにより設定変更することができる。そして、この設定値はレリーズボタン61の押下時に、所定のフォーマットによるコマンダーフラッシュによってフラッシュ装置100A、100Bに伝達され、フラッシュ装置は、その指示に従って発光を行う。
【0081】
次に、フラッシュ装置100に照射エリアの画像表示を背面LCD67に行うか否かについて、図9を用いて説明する。図9に示すように、フラッシュ装置100が、3つの条件、すなわち、(1)カメラ1に装着され、(2)フラッシュ装置100がオートズームに設定され、(3)発光部ユニット12の発光部11が正面を向いている場合には、照射エリアの画像を表示せず、フラッシュの設定値のみを表示する。一方、これらの3つの条件の内、いずれかの条件を満たしていない場合には、フラッシュの設定値を表示すると共に照射エリアの画像表示を行うようにしている。
【0082】
これは、上述の3つの条件を満たしている場合には、カメラ1の光学ファインダを通して観察している被写体320と、照射エリアが一致しているので、照射エリアの画像を表示する必要性は低く、撮像部ユニット15の撮像素子107や画像処理回路108等の回路をオフにし電源の消耗を防止する。一方、上述の3つの条件のいずれかを満たしていない場合には、カメラ1の撮影画角とフラッシュ装置100の照射エリアが異なる可能性があることから、照射エリアの画像を表示する。
【0083】
また、上述の3つの条件を満たしていても、例えば、フラッシュ装置100をマニュアルズームに切り換えた場合や、発光部ユニット12を動かした場合には、照射エリアの表示を自動的に開始するようにしている。また、オフフラッシュケーブル80によってフラッシュ装置100とカメラ1を接続している場合にも、フラッシュ装置100は端子eの信号によってカメラ1に未装着を検知し、照射エリアの画像の自動表示を行う。
【0084】
次に、フラッシュモードの切り換えについて、図10および図11を用いて説明する。図10は、フラッシュ装置100と連動可能なカメラ1に、フラッシュ装置100が装着された場合のフラッシュモードの切り換えを示す。このようなクリップオンで使用する場合には、カメラ1とフラッシュ装置100との間で通信がなされ、互いに相手を認識することができる。
【0085】
このクリップオン状態で、フラッシュ装置100のモードボタン25を操作するたびに、図10に示すように、TTLオートモード(a−1)、オートモード(a−2)、マニュアルモード(a−3)、フラットTTLオートモード(a−4)、フラットマニュアルモード(a−5)に順次変化する。ここで、TTLオートモード(TTL−AUTO)は、カメラ1のTTL調光回路307で、フラッシュ装置100のプリ発光時と非発光時に測光し、これに基づいてボディ駆動制御回路がフラッシュ装置100の発光量を演算し設定する。このTTLオートモードの動作については、図12を用いて後述する。
【0086】
オートモード(AUTO)は、カメラ1から送信されたISO感度や絞りの情報に基づいて、フラッシュ装置100のセンサによって本発光時の光量を測定し、適正露光となるタイミングで発光を停止するモードである。本実施形態においては、撮像素子107を本発光時の光量測定のセンサとして兼用している。このオートモードについては、図13を用いて後述する。
【0087】
マニュアルモード(MANUAL)は、フラッシュ装置100の発光量を直接設定するモードである。マニュアル発光量は、メニュー画面において設定する。フラットTTLオートモード(FP TTL−AUTO)は、高速シャッタ時は、フラット発光に切り替わるTTLオートモードである。なお、フラット発光はフォーカルプレーンシャッタの先幕が走行開始から終了までの時間の間、ほぼ一定輝度で発光を持続する発光形式である。
【0088】
一般にフラッシュ装置の発光はきわめて短時間であることから、先幕が走行を開始し、全開状態となってから後幕が走行を開始するシャッタ秒時より高速シャッタ秒時では、フラッシュ装置を使用することができない。しかし、フラット発光にすることにより、高速シャッタ秒時でもフラッシュ装置を使用することができる。フラットマニュアルモード(FP−MANUAL)は、発光量を直接設定するフラット発光モードであり、メニュー画面で発光量を設定することができる。
【0089】
図11は、フラッシュ装置100と連動可能なカメラ1に、フラッシュ装置100が未装着、すなわちカメラ1から分離した状態で使用する場合のフラッシュモードの切り換えを示す。フラッシュ装置100がカメラ1から分離された状態では、カメラ1とフラッシュ装置100の接点を介しての通信が成立しないために、撮影画角が伝達されない。また、カメラ1とフラッシュ装置100の設置位置が異なるため、RCモードが設定されると、フラッシュ装置100の照射エリア設定のために、図8を用いて説明したように、フラッシュ装置100の照射角に対応した画像をフラッシュ装置100の背面表示LCD24に表示し、また、この画像に重畳してフラッシュの設定情報も表示する。
【0090】
フラッシュ装置100のモードボタン25を操作するたびに、図11に示すように、オートモード(b−1)、マニュアルモード(b−2)、RCモード(b−3)に順次変化する。ここで、オートモード(AUTO)は、前述のオートモードと同じである。ただし、ISO感度および絞り値は、カメラ1からフラッシュ装置100に自動的に伝達されないので、撮影者が設定する。また、マニュアルモード(MANUAL)は、前述のマニュアルモードと同じである。
【0091】
RCモードは、ワイヤレスフラッシュ撮影する場合に設定され、このモードでは、カメラ1のコマンダーフラッシュによる信号発光によって伝達される情報に基づいて、ワイヤレス発光を行う。このRCモードの動作については、図14および図15を用いて後述する。
【0092】
次に、TTLオートモードが設定されている場合のカメラ1の動作について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。TTLオートのフローが開始すると、まず、レリーズボタン61がオンになったか否かを判定する(S1)。レリーズボタン61がオンとなると通信端子31aを介してフラッシュ装置100にプリ発光の指示を送信する(S3)。
【0093】
プリ発光の指示を受けると、フラッシュ装置100はプリ発光を行う。すなわち、演算制御回路202は充電・発光回路202に対してプリ発光指令を出力し、キセノン管101がプリ発光する。
【0094】
次に、プリ測光を行う(S5)。このステップでは、カメラ1はプリ発光に同期して被写体からの反射光を、TTL調光回路307が撮影レンズ51を通して受光し(プリ測光)、このときの受光量をボディ駆動制御回路302に送る。続いて、発光量の決定を行い(S7)。すなわち、ボディ駆動制御回路302は、プリ測光時の受光量に基づいて、適正露光が得られるフラッシュ装置100の発光量を演算し決定する。次に、この決定された発光量をフラッシュ装置100に通信端子31aを介して送信する(S9)。
【0095】
これで、フラッシュ装置100の発光量を、プリ発光時に撮影レンズ51を通して得た光量に基づいて決定することができたので、続いて、露光と本発光動作に移る。まず、カメラ本体60内の可動反射ミラーを上昇させ(S11)、シャッタの先幕を走行させシャッタを開放する(S13)。シャッタの開放によって被写体像が撮像回路310内の撮像素子上に結像し、撮像素子の電荷蓄積を開始する。
【0096】
また、シャッタが全開状態となると、フラッシュ装置100に通信端子31aを介して、発光トリガ信号を送信する(S15)。この発光トリガ信号に応じて、充電・発光回路103はキセノン管101に本発光させる。予め決められたシャッタ秒時が経過すると、シャッタの後幕を走行させ、シャッタを閉じる(S17)。
【0097】
これで、露光動作が終わり、続いて、撮像回路310の撮像素子から画像信号の読出しを行い(S19)、画像処理回路308は、読み出された画像信号に対して画像処理を行う(S21)。この後、画像処理回路308は、画像処理を行って得られた画像データを画像記録媒体309に記録を行って(S23)、TTLオートによる撮影動作を終了する。
【0098】
次に、オートモードが設定されている場合のカメラ1の動作について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。オートモードのフローが開始すると、まず、ステップS1と同様にレリーズボタン61がオンになったか否かを判定する(S31)。レリーズボタン61がオンとなると、通信端子31aを介してフラッシュ装置100に、設定ISO感度と設定絞り値(FNo)を送信する(S33)。続いて、フラッシュ装置100に、プリ発光とプリ測光の指示を行う(S35)。
【0099】
フラッシュ装置100は、プリ発光とプリ測光の指示を受けると、ステップ5と同様にプリ発光を行う。さらに、このとき、被写体からの反射光を撮像ユニット15の撮像素子107で受光し、このときの受光量に基づいて、本発光時に適正露光となる発光量を演算し、決定する。
【0100】
カメラ1は、フラッシュ装置100のプリ発光の所定時間後に、ステップS11、S13、S15と同様に可動反射ミラーを上昇させ(S37)、シャッタを開放し(S39)、発光トリガをフラッシュ装置100に送信し(S41)、フラッシュ装置100は本発光を行う。この後、ステップS17、S19、S21、S23と同様に、シャッタを閉じ(S43)、画像信号を読出し(S45)、この画像信号を処理し(S47)、この画像信号に基づく画像データの記録を行って(S49)、オートモードによる撮影動作を終了する。
【0101】
次に、図11のb−3で示したRCモードが設定されている場合におけるフラッシュ装置100とカメラ1の動作について説明する。図14に示すフローチャートは、RCモードが設定されている場合のフラッシュ装置100の動作である。モードボタン25の操作によってRCモードが設定されると、このフローが開始する。まず、撮像ユニット15の撮像素子107で撮像し、このときの画像信号を画像処理回路108によってライブビュー表示できるように画像処理する(S61)。
【0102】
画像処理された画像データは、演算制御回路202を介して背面表示LCD24に送られライブビュー表示される(S63)。このとき撮影者は、背面表示LCD24を観察することにより、フラッシュ装置100の照射エリアを観察することができる。続いて、電波送受信回路201は画像データを電波信号に変換して送信する(S65)。このとき、併せて、グループA等の各フラッシュ装置に与えられた識別符号や、CH1等の使用電波チャンネル、露出補正値、各フラッシュ装置の発光モード等の設定データも送信する。カメラ1はこの電波信号を受信すると、後述するように、照射エリアを背面LCD67に動画で表示する。
【0103】
次に、スレーブセンサ23からの出力に基づいて、リモート制御信号を受信したか否かの判定を行う(S67)。前述したように、カメラ1から分離されたフラッシュ装置100A、100Bへのリモート制御信号は、カメラ1の内蔵フラッシュ64やカメラ1に装着したフラッシュ装置100等のコマンダーフラッシュの信号発光によって行っている。したがって、このステップS67では、スレーブセンサ23の出力を検出することにより、カメラ1からリモート制御信号を受信したか否かの判定を行っている。
【0104】
ステップS67における判定の結果、リモート制御信号を受信していなかった場合には、ズームボタン20、モードボタン25、充電/テストボタン26、パワーボタン27、十字ボタン28等のフラッシュ装置100の操作ボタンが操作されたか否かの判定を行う(S69)。判定の結果、操作されていなかった場合には、ステップS61に戻り、前述動作を行う。一方、判定の結果、操作されていた場合には、操作されたボタン等に対応した動作や設定を行い(S71)、ステップS61に戻る。
【0105】
ステップS67における判定の結果、リモート制御信号を受信していた場合には、リモート制御信号に応じたモードや設定を受信する(S73)。すなわち、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bを発光制御する場合には、TTLオートモードやオートモード等のモードや、モードによって必要なる設定値(例えば、オートモードの場合には、ISO感度や絞り値)を、発光に先立って、コマンダーフラッシュ(信号発光)で送信してくるので、ステップS73では、この光信号を受信する。
【0106】
続いて、プリ発光トリガ信号の受信を行う(S75)。すなわち、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bにプリ発光を指令する場合には、そのタイミングでコマンダーフラッシュが信号発光で送信してくるので、ステップS75では、この光信号を受信するのを待つ。
【0107】
ステップS75において、プリ発光トリガ信号を受信すると、プリ発光を行う(S77)。このプリ発光は、充電・発光回路103に対して、所定発光量で発光を指令することにより行う。続いて、発光データ信号の受信を行う(S79)。すなわち、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bに本発光を指令する前に、本発光を行うに必要な発光データをコマンダーフラッシュが信号発光で送信してくるので、ステップS75では、この光信号を受信する。発光データとしては、例えば、TTLオートモードの場合には、プリ発光の結果で得た、適正露光となる本発光量等である。
【0108】
続いて、本発光トリガ信号の受信を行う(S81)。すなわち、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bに本発光を指令する場合には、そのタイミングでコマンダーフラッシュが信号発光で送信してくるので、ステップS81では、この光信号を受信するのを待つ。
【0109】
ステップS81において、本発光トリガ信号を受信すると、本発光を行う(S83)。この本発光は、充電・発光回路103に対して、本発光を指令することにより行う。本発光での発光量は、例えば、TTLオートモードの場合には、ステップS79において受信した発光データに基づき、またオートモードの場合には、プリ発光時の被写体からの反射光に基づく受光量、およびステップS73において予め受信したISO感度や絞り値に基づいて演算された発光量である。
【0110】
本発光が終わると、ステップS61に戻り、前述のステップを実行する。このRCモード設定のフローは、フラッシュ装置100、100A、100BのモードとしてRCモードが解除されると終わる。
【0111】
なお、カメラ1に装着または内蔵されたフラッシュ装置等のコマンダーフラッシュと、カメラ1から分離されたフラッシュ装置100A、100B等のリモートフラッシュとの間は、信号発光による光通信を行っているが、この通信方法は、パルスの発光間隔に対応するコードやデータが取り決めてあり、その間隔時間を判定することによりデータや制御命令の認識を行う。
【0112】
次に、図11のb−3で示したRCモードが設定されている場合におけるカメラ1の動作について、図15に示すフローチャートを用いて説明する。メニューモードにおいてRCモードが設定されると、このフローが開始する。まず、ライブビュー画像の取得を行う(S91)。ライブビュー画像は、撮像回路310によって取得した画像を画像処理回路308によって処理することのより取得する。
【0113】
続いて、フラッシュ装置100A、100Bから照射エリアの画像データおよび設定データの受信を行う(S93)。前述したように、ステップS65(図14)において、フラッシュ装置100A、100Bから電波信号で照射エリアの画像データがカメラ1に送信されるので、このステップでは、アンテナ65で電波信号を受信する。
【0114】
続いて、ステップS91で取得したライブビュー画像と、ステップS93において取得した照射エリアの画像および設定値を、図8の画面67A、67Bに示すように、背面LCD67に表示する(S95)。
【0115】
続いて、レリーズ操作がなされたか否かの判定を行う(S97)。このステップでは、レリーズボタン61が全押しされたか否かを検出する。判定の結果、レリーズ操作がなかった場合には、操作部材が操作されたか否かの判定を行う(S99)。このステップでは、パワーボタン62、DSPボタン68、INFOボタン69、モードボタン70、メニューボタン71等の操作部材の操作状態を検出する。
【0116】
ステップS99における判定の結果、操作部材が操作されていなかった場合には、そのままステップS91に戻る。一方、操作部材が操作されていた場合には、その操作部材に対応した動作や設定を行い(S101)、ステップS91に戻る。
【0117】
ステップS97における判定の結果、レリーズ操作があった場合には、モード・設定送信を行う(S103)。前述したように、ステップS73(図14)において、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bを発光制御する場合には、TTLオートモードやオートモード等のモードや、モードによって必要なる設定値(例えば、オートモードの場合には、ISO感度や絞り値)を、発光に先立って、コマンダーフラッシュから信号発光で送信を行う。
【0118】
続いて、プリ発光トリガ信号の送信を行う(S105)。この送信は、リモートのフラッシュ装置100A、100Bにプリ発光を行わせる制御信号であり、カメラ1の内蔵フラッシュ64または装着されたフラッシュ装置100等のコマンダーフラッシュから信号発光で送信する。
【0119】
次に、プリ発光時の被写体からの反射光を測光し、発光量を決定する(S107)。すなわち、TTLオートモードでは、プリ発光時の被写体からの反射光量をTTL調光回路307によって測光し、この反射光量に基づいて、適正露光を得るためのフラッシュ装置100の発光量を演算により求める。なお、オートモードにおいては、フラッシュ装置100A、100Bにおいて測光し、発光量を決定する。
【0120】
発光量を決定すると、次に、この決定された発光量の発光データを信号送信する(S109)。前述したように、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bに本発光を指令する前に、本発光を行うに必要な発光データをコマンダーフラッシュから信号発光で送信する。
【0121】
発光データ信号の送信を行うと、次に、撮影準備動作を行う(S111)。撮影準備動作としては、可動反射ミラーを上昇させ、シャッタの開放動作を開始させる。続いて、本発光トリガ信号の送信を行う(S113)。前述したように、カメラ1がリモートのフラッシュ装置100A、100Bに本発光を指令する場合には、シャッタが全開となるタイミングで、コマンダーフラッシュから信号発光で送信する。
【0122】
本発光トリガ信号を送信し、露光秒時が経過すると、シャッタの閉じ動作を行い、撮影画像の読み出し(S115)、記録媒体309に記録を行う(S117)すなわち、撮像回路310の撮像素子から静止画像の画像データを読出し、画像処理回路308において画像処理を行った後、画像記録媒体309に記録を行う。この記録が終わると、ステップS91に戻る。なお、カメラ側のRCモード設定のフローは、メニュー画面でRCモードの設定を解除すると終了する。
【0123】
次に、フラッシュ装置100、100A、100Bのオートモードにおける測光について、図16を用いて説明する。フラッシュ装置100等は、プリ発光のタイミングで測光を行い、そのときの撮像素子ユニット15中の撮像素子107の出力に基づいて、本発光時の発光量を決定する。フラッシュ装置100等の発光部ユニット12は、キセノン管101とフレネルレンズ11aとの距離を変化させることにより、フラッシュ照射にあたってズーム機能を有している。しかし、撮像素子ユニット15に像を形成するための撮像レンズ14は、固定焦点距離であるため、ズーム値に応じて照射エリアの画像データのみを切り出し、抽出するようにしている(トリミング処理)。
【0124】
フラッシュ装置100等の照射エリアの最大照射エリアは、図16(a)に示す撮像ユニット15の撮像全画角15aに相当する。フラッシュ装置100等の発光部ユニット12がズーミングを行うと、その焦点距離に応じた照射範囲15bの画像データのみを、例えば、図16(b)に示すように、切り出す。この画像データは、その照射範囲15bに属する画素(pixel)からの画像信号によって構成される。
【0125】
照射範囲15b内の画像データは、図16(c)に示すようになる。ここで、横軸は撮像素子の画素(pixel)の出力を、縦軸はその出力を示す画素の数を示す。測光値としては、異常反射物と思われる出力や、反射光が極端に低い部分を除外した所定範囲の出力の加重平均した値とし、この測光値に基づいてオートモードにおける発光量を演算する。
【0126】
以上、説明したように、本実施形態においては、フラッシュ装置100、100A、100Bに設けた撮像素子107を用いて、照射エリアに対応した画像を表示させるようにしている。オフフラッシュ撮影(フラッシュをカメラから離した状態で撮影)でライティングを行う場合に、照射エリアをリアルタイムで確認しながら迅速に行うことができる。
【0127】
また、本実施形態においては、照射エリアの表示の際に、撮像素子107からの出力をズーミングに応じてトリミング処理を行っている。このため、フラッシュ装置100等の撮像レンズ14に光学ズーム機構を搭載する必要がなく、小型安価にすることができる。また、光学ズームを行う必要がないことから、照射エリア外の画像も取得し、表示することが可能である。
【0128】
さらに、本実施形態においては、照射エリアの画像取得用の撮像レンズ14、撮像部ユニット15を、発光部ユニット12に一体に設けているので、発光部ユニット12の照射方向に連動させることができる。また、撮像部ユニット15等を発光部ユニット12の下部側に配置しているので、屋外など光源が撮像素子107に入り、ゴーストやフレアなどの悪影響を与えるおそれが小さい。
【0129】
さらに、本実施形態において、図7(a)(b)に示したように照射エリアをデジタルズームで表示する場合には、照射エリアが拡大表示されるので、部分照射の場合など、照射エリアを拡大表示で確認することができ、正確なフラッシュエリアの設定に役立つ。
【0130】
さらに、本実施形態において、図7(c)(d)で示したようにフラッシュエリアを枠、マーキング、画像明るさの相違等で表示する場合には、照射エリア外の様子も同時に観察することができ、全体を観察しながら照射エリアを設定することができ、また、テレからワイドにズームさせ照射エリアを広げる場合などの場合に設定が容易となる。
【0131】
さらに、本実施形態において、図(e)(f)で示したように上述の2つの照射エリアの表示を組み合わせる場合には、各照射エリアの表示は小さくなるが、上述の2つの特性を同時に生かすことができる。
【0132】
さらに、本実施形態においては、フラッシュ装置100A等とカメラ1とのデータ通信として、カメラ1からフラッシュ装置100A等への通信は光によって行い、フラッシュ装置100A等からカメラ1への通信は電波によって行うようにしている。このため、通信方向を切り換える必要がなく制御が容易となる。また、カメラ1からフラッシュ装置100A等への通信には光を使用しているので、レリーズタイムラグを短縮することができ、カメラ1との発光の同期をとるにあたって即時性に優れている。また、フラッシュ装置100A等からカメラ1への通信には電波を使用しているので、多くのデータ量を含む画像データ送信に好適である。
【0133】
さらに、本実施形態においては、フラッシュ装置100A等からカメラ1に照射エリアの画像を送信し、この画像を背面表示LCD24に表示している。このため、フラッシュの照射エリアの画像をカメラ1で確認でき、カメラ1の撮影範囲とフラッシュ装置100A等の照射エリアを同一画面で確認でき、かつカメラ1で確認できるため、わざわざフラッシュ装置100A等の位置まで行って確認する必要がなく便利である。
【0134】
さらに、本実施形態においては、図6に示したように、フラッシュ装置100A等の照射エリアとカメラ1の撮影範囲が一致する条件を満たしている場合には、自動的に照射エリアの画像をオフするようにしている。このため、フラッシュ装置100A等が不必要な電力を消耗することがない。一方、照射エリアと撮影範囲が一致しない可能がある場合には、照射エリアを表示させるようにしているので、照射エリアと撮影範囲が不一致であることを知らずに撮影してしまう虞がない。
【0135】
さらに、本実施形態においては、フラッシュ装置100等に設けられた照射エリアの画像取得用の撮像素子107は、外光オート撮影用の調光センサを兼ねている。このため、別途、センサを設ける必要がなく、安価・小型にすることができる。撮像素子107は、照射エリアの部分を切り出し・抽出して測光することができ、また、その測光範囲内をさらに分割して検出することもでき、フラッシュ単体でもより高度な調光を行うことが可能になる。
【0136】
次に、本発明の第2実施形態について、図17乃至図25を用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、撮像部ユニット15は発光部ユニット12と一体に構成され、発光部ユニット12の向いている方向を撮像部ユニット15は撮像していた。それに対して第2実施形態においては、撮像部ユニット95の撮像レンズ94を魚眼レンズ等の超広角レンズで構成し、発光部ユニット12の向きに連動していない。この第2実施形態におけるフラッシュ装置110は、バウンス撮影にも対応することができる。
【0137】
図17は、本実施形態におけるフラッシュ装置110を前方からみた外観斜視図であり、図18は後方からみた外観斜視図である。第1実施形態に係わるフラッシュ装置100と同一の部材については、同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0138】
第1実施形態において、撮像ユニット15は発光部ユニット12の下部に一体に設けられていたが、第2実施形態において撮像部ユニット95は発光部ユニット12の脇に発光部ユニット12とは別体に設けられている。この撮像部ユニット95はアンテナ99を一体に構成しており、このアンテナ99は棒状に構成された撮像部ユニット95の略中央付近に設けられている。
【0139】
また、撮像部ユニット95は上方を向いており、その棒状の先端には超広角の魚眼レンズで構成された撮像レンズ94が配置されている。発光部ユニット12は、第1実施形態と同様に軸部34の回りを回動可能であり、この回動に伴って、撮像部ユニット95も回動する。しかし、発光部ユニット12が上下方向に回動する回動軸の軸回りに、回動しても撮像部ユニット95は回動しない。
【0140】
したがって、撮像部ユニット95の先端に設けられた撮像レンズ94は、発光部ユニット12が回動しても、上方を向いたままであり、また超広角の魚眼レンズであることから、周囲360度の全視野の撮像を可能としている。なお、発光部ユニット12の上下方向および水平方向の回動は、後述するように、モータによって電動駆動によって行われる。
【0141】
フラッシュ装置110の背面から見た図18に示す外観斜視図では、撮像レンズ94、撮像部ユニット95およびアンテナ99を除けば、第1実施形態のフラッシュ装置100の背面から見た外観斜視図と同様の構成である。なお、発光部ユニット12を動かす場合は、フラッシュ装置110の背面に設けられている十字ボタン28を操作する。メニュー画面を開いていたり、設定画面にしていない場合には、十字ボタン28の内の左右キーで発光部ユニット12の水平方向の駆動を行わせ、また上下キーで発光部ユニット12の上下方向の駆動を行なわせる。
【0142】
次に、本実施形態に係わるフラッシュ装置110の電気系について図19に示すブロック図を用いて説明する。第1実施形態に係わるフラッシュ装置100と同一の部材については、同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。第1実施形態との大きな相違点は、発光部ユニット12が電動で上下方向および水平方向に駆動される点である。
【0143】
撮像部ユニット95は、軸部34に配置されており、この軸部34にはギア522と一体に構成されている。このギア522には、フラッシュ制御部本体21内に設けられたギア523が噛合しており、このギア523はモータ521の駆動軸と一体である。モータ521はモータドライバ524に接続しており、モータドライバ524は演算制御回路202に接続され、これによって駆動制御される。なお、モータ521はステッピングモータで構成され、リセット位置検出用の接点が設けてあるので、水平方向の回動位置を算出することができる。
【0144】
発光部ユニット12は、撮像部ユニット95に対して、扇型のギア512の回動中心に対して回動可能である。このギア512にはギア513が噛合しており、このギア514はモータ511の駆動軸と一体に構成されている。モータ511はモータドライバ514に接続しており、モータドライバ514は演算制御回路202に接続され、これによって駆動制御される。なお、モータ511はステッピングモータで構成され、リセット位置検出用の接点が設けてあるので、上下方向の回動位置を算出することができる。
【0145】
また、本実施形態のフラッシュ装置110は、発光部ユニット12等の状態記憶のために演算制御回路202に接続された電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリ207を備えている。フラッシュ装置110のパワーがオフの場合には発光部ユニット12を収納に適した形状に駆動し、またメモリ207にパワーオフ直前のフラッシュ装置110の状態を記憶してからオフする。パワーオンのときには、メモリ207からパワーオフ直前のフラッシュ装置110の状態を読み出し、この状態に復帰するように発光部ユニット12等の駆動制御を行う。
【0146】
撮像部ユニット95内には、演算制御回路202に接続された電波送受信回路201が配置されており、この電波送受信回路201にはアンテナ99が接続されている。また撮像部ユニット95内の棒状部の先端部には、魚眼レンズ等の超広角レンズで構成された撮像レンズ94が配置され、この撮像レンズ94の結像面に付近には撮像素子107が配置されている。
【0147】
次に、撮像ユニット15において形成される画像について、図20および図21を用いて説明する。前述したように本実施形態における撮像レンズ94は、魚眼レンズ等の超広角レンズであり、この超広角レンズによって形成された画像は、図20(a)に示すように、ほぼ360度を見渡せる画像であり、このままでは画像は歪んでいる。
【0148】
そこで、発光部ユニット12の向いている方向を前述のモータ511、521のリセット位置からの駆動量に基づいて求め、また、フラッシュ装置110のズーム状態を用いて、演算制御回路202は、発光部ユニット12による照射範囲551を切り出し、図20(b)に示すように、歪み補正を行った画像を取得する。ここで取得した歪みのない画像は背面表示LCD24に表示する。
【0149】
また、本実施形態において、フラッシュ装置110を天井バウンスなど用いる場合には、バウンスで照射される範囲を照射エリアとして表示させる。例えば、発光部ユニット12が、水平基準で上方60度等の場合には、天井バウンスと推測される。この角度に設定後、バウンス状態でフラッシュ装置110は照射し、このときの天井や被写体からの反射光を、撮像素子107によって受光する。このときの反射光のうち、図21(a)に示す天井エリア552にあり反射光強度の強い高反射領域553は、フラッシュ照射の天井からの反射光を示している。また、水平方向の画像領域を示すレベルエリア554のうち、フラッシュ照射を受け明るくなった被写体領域555は撮影対象の存在する領域である。
【0150】
演算制御回路202は、撮像素子107からの画像データを解析し、レベルエリア554の中から被写体領域555の画像データを切り出し抽出し、歪み補正を行った画像を取得する。ここで取得した歪みのない画像(図21(b)参照)は、背面表示LCD24に表示される。
【0151】
続いて、本実施形態において、カメラ1と2台のフラッシュ装置110A、110Bを用いて、ワイヤレス撮影を行う場合について、図22を用いて説明する。本実施形態においては、電波送受信回路201は電波により双方向送受信が可能であり、それぞれの設定値の情報や画像データのやり取りを行うことができる。また、即時性を必要とする、レリーズ操作後の発光のための情報などは、カメラ1からフラッシュ装置110A、110Bに第1実施形態と同様に光通信によって行う。
【0152】
また、フラッシュ装置110A、110Bは、第1実施形態と同様に、電波信号によって照射エリアの画像を送信可能であり、カメラ1は受信した照射エリアの画像を背面LCD67の画面67Cに表示することができる。また、前述したように、フラッシュ装置110A、110Bの発光部ユニット12はモータ511、521によって電動駆動可能であるので、カメラ1から電波信号によってこれらの発光部ユニット12の角度を変更可能である。
【0153】
また、キセノン管101とフレネルレンズ11aとの間隔は、モータ104によって駆動可能であることから、フラッシュ装置110A、110Bのズーミングを行うことも可能である。このように、発光部ユニット12の角度やズーム値などをカメラ1からリモート制御で変化させることが可能であり、カメラ1側から直接手の届かないワイヤレスフラッシュの照射エリアを照射範囲の画像を見ながら制御可能となっている。
【0154】
また、第1実施形態と同様に、電力を節約するために、演算制御回路202は、カメラ1の操作部材が操作されている場合は、フラッシュ装置110A、110Bの撮像ユニット15は動作させるが、背面表示LCD24の表示はオフさせ、照射エリアの画像はカメラ1側で観察可能としている。
【0155】
カメラ1の背面LCD67には、図22の画面67Cに示すように、カメラ本体で得られる撮影範囲を示すライブビュー画像、それぞれのフラッシュ装置110A、110Bの照射エリアを示す画像が表示される。また、同時に、各装置の制御値の設定値が表示され、これらの設定を変更可能である。
【0156】
例えば、画面67Cにおいて、カメラ1の背面に設けられている十字ボタン72の中央に設けられたOKボタンを押すと、設定のボタンの1つがライトアップされ、十字ボタン72で変更したい項目を選択してOKボタンを押すと、押すたびに設定値が変化する。また、十字ボタン72中の矢印ボタンはフラッシュ装置110A、110Bの電動駆動ボタンであり、選択してOKを押すたびに、発光部ユニット12の角度を変更する。また、画面67C中のZUPはズームアップで照射角を狭め、ZDNはズームダウンで照射角を広げる。
【0157】
次に、フラッシュ装置110Aまたは110Bにおいて、フラッシュ操作を行った場合について、図23を用いて説明する。被写体に向かって右側に配置されたフラッシュ装置110Bを操作すると、撮影者がフラッシュ装置110Bの近くに行ったと認識して、フラッシュ装置110Bの演算制御回路202は背面表示LCD24の表示をオンさせる。このとき、カメラ1の背面LCD67と、フラッシュ装置110Aの背面表示LCD24の表示はオフとなる。
【0158】
このときのフラッシュ装置110Bの背面表示LCD24の画面24Cを、図23に示す。画面24Cの右下には、フラッシュの照射エリアを示す照射エリア表示24Caがなされる。画面24Cに左上には、カメラ1のライブビュー表示24Cbがなされ、その下にはカメラ1の基本設定値表示24Ccがなされる。さらにその下にはグループAに設定されているフラッシュ(ここではフラッシュ装置110A)の照射エリア表示24Ccがなされ、ここにはカメラ1を経由してフラッシュ装置110Bの照射エリアがリアルタイムで送信され、表示される。
【0159】
さらにその下は、グループCに設定されたフラッシュ装置の表示領域24Cdであるが、この例ではフラッシュ装置そのものが動作していないために表示されていない。画面24Cの右上は、フラッシュ装置110Bがテスト発光した場合の発光状態を表示するためのテスト発光表示24Ceである。
【0160】
このような構成であるので、フラッシュ装置110Aまたは110Bの充電/テストボタン26を押すと、まず電波信号によりテスト発光要求がカメラ1に伝達される。次に、テスト発光要求を受けて、カメラ1がワイヤレスフラッシュ撮影を実行し、このときカメラ1内の撮像回路310によって取得した画像データをフラッシュ装置110Aまたは110Bに電波信号により送信する。この画像データを受信したフラッシュ装置110Aまたは110Bは、背面表示LCD24の画面24Ceにテスト発光時の画像を表示する。
【0161】
このテスト発光機能によれば、フラッシュ装置110A、110Bの位置にて照射エリアの条件を変更しながら、テスト発光時にカメラ1で取得した画像を確認することができ、フラッシュ装置110A、110Bの位置や発光部ユニット12の角度やズーム値を調整し、最適のライティングに設定することが容易にできる。
【0162】
次に、本実施形態に係わるフラッシュ装置110がカメラ1と有線接続していない状態において、フラッシュ装置110のパワーオフ時における動作について、図24を用いて説明する。
【0163】
まず、フラッシュ装置110のパワーボタン27を押してパワーオン状態からパワーオフ状態にすると、フラッシュ装置110の発光部ユニット12等(ヘッド)を上下方向および水平方向を含む設定値や、フラッシュ装置110のズーム値や、モード設定や、その他の設定をメモリ207に記憶する(S201)。続いて、発光部ユニット12(ヘッド)等をモータ511、521により駆動し、水平方向の角度は正面、上下方向の角度は上方90度にセットする(S203)。そして、フラッシュ装置110の回路電源をオフにし(S205)、フラッシュ装置のパワーオフ操作を終了する。
【0164】
次に、フラッシュ装置110をパワーオフ状態からパワーオン状態にすると、まず、メモリ207からステップS201において記憶した各種の設定値等の情報を読み出す(S211)。続いて、この読み出された情報を用いて、直前の発光部ユニット12等(ヘッド)の方向や、ズーム値や、モード設定等を前回パワーオフした直前の状態となるように、モータ105、511、521等の駆動制御を行い(S213)、フラッシュ装置のパワーオン操作を終了する。
【0165】
続いて、パワーをオンとし、必要な全回路に通電し、表示もオンとする(S215)。なお、不図示のカスタム設定によって、発光部ユニット12の上述の動作を禁止し、パワーのオンオフによっては作動しないようにしても勿論構わない。
【0166】
次に、フラッシュ装置110とカメラ1を接続した状態で、パワーオフした場合について、カメラ1側の動作について、図25を用いて説明する。フラッシュ装置110とカメラ1が共にパワーオン状態の際に、カメラのパワーボタン62を操作してパワーオフとすると、カメラ1のメモリにフラッシュ装置110A、110Bの発光部ユニット12(ヘッド)の方向を含む設定値を記憶する(S221)。
【0167】
続いて、フラッシュ装置110に対してパワーオフ状態への移行を指示する(S223)。フラッシュ装置110は、この指示を受けてパワーオフ状態となる。フラッシュ装置110に対してパワーオフを指示すると、次に、カメラ1はパワーオフ状態となり(S225)、カメラパワーオフ操作を終了する。なお、フラッシュ装置110はカメラ1に装着されたままであり、パワーオフ時に発光部ユニット12等をリセット位置に駆動すると、再度、パワーをオンした場合に、撮影可能になるまでにタイムラグが生ずることから、発光部ユニット12等をリセット位置に駆動することはしない。
【0168】
次に、フラッシュ装置110とカメラ1を有線接続した状態で両装置が共にパワーオフ状態から、カメラ1のパワーボタン62を操作してパワーオンとする場合について説明する。まず、カメラ1のメモリに記憶されている前回のフラッシュ装置の発光部ユニット12のヘッド方向を含む設定情報をメモリから読み出す(S231)。
【0169】
続いて、フラッシュ装置110を起動し、その設定状態が前回と同じであるかを検出し、検出された結果が異なっていた場合には、前の状態になるように復帰させる(S233)。例えば、パワーオフの後に、発光部ユニット12が手動で動かされていたり、また別のフラッシュ装置に交換されていた場合には、前の状態となるように、発光部ユニット12の方向を再設定する。前回の状態に戻ると、撮影待機状態となる(S235)。
【0170】
なお、不図示のカメラ1のカスタム設定によって、フラッシュ装置110の状態を復帰させる動作を禁止するように設定する機能を設けても良い。また、良く使用するフラッシュ装置の発光部ユニットを含む設定をカメラ1内に記憶しておき、必要に応じて呼び出して、フラッシュ装置にその設定を指示するようにしても良い。さらに、フラッシュ設定のカメラ1での記憶、読み出し、フラッシュ装置への指示は、有線接続されている場合のほか、ワイヤレスで無線通信している場合にも同様に使用できるようにしてもよい。
【0171】
以上、説明したように本実施形態によれば、撮像部ユニット15が超広角で360度全周をモニタしているので、フラッシュ装置110によってバウンス光が照射される場合など、発光部ユニット12の向きと異なる部分が照射される場合であっても、照射エリアを表示することが可能である。
【0172】
また、本実施形態によれば、発光部ユニット12等のヘッドの駆動が電動であり、パワーオフした際に収納に適した形態、例えば、上方90度バウンス位置、水平方向は制御部本体21の前面と同じ方向に駆動され、ケースに収納する場合には便利である。また、パワーオフにしても、オフ直前の設定が記憶されているので、パワーオン時には発光部ユニット12等のヘッドのセッティングが前回の設定になり、セッティングをすばやく行うことができる。
【0173】
さらに、本実施形態によれば、フラッシュ装置110がカメラ1に装着されている際には、パワーオフしても取り付けられていない場合とは異なり、発光部ユニット12等のヘッドの向きをそのままで停止するので、再度撮影を行う場合にはすばやく開始することができる。
【0174】
さらに、本実施形態によれば、発光部ユニット12等のヘッドの方向を含むフラッシュの設定をカメラ1内のメモリに記憶し、再起動の際に、同じ状態に復帰させるようにしている。このため、電池消耗や発熱によりフラッシュ装置110を交換し、撮影を行う場合でも、一度カメラ1のパワーをオフとし、フラッシュ装置110を交換してからパワーを再投入することにより、引き続き同じ設定で撮影を続行することができる。
【0175】
さらに、本実施形態によれば、カメラ1内によく使用するフラッシュの設定値を記憶しておき、所定の操作によって設定値を呼び出し、フラッシュ装置側に通信伝達することにより、良く使用するフラッシュの設定を簡単に迅速に設定することも可能である。
【0176】
さらに、本実施形態によれば、カメラ1側に各フラッシュ装置110A、110Bの照射エリアや設定値が表示されるだけではなく、カメラ1の位置から発光部ユニット12等のヘッドの上下・左右方向の駆動や、フラッシュ装置110A、110Bのズームの設定の変更を含む各種設定が可能となっている。このため、フラッシュ装置110A、110Bの位置まで行かなくてもワイヤレスフラッシュのセッティングをすばやく行うことができる。
【0177】
さらに、本実施形態によれば、フラッシュ装置110A、110Bの位置に行っても、充電・テストボタン26によって、現在のセッティングにおけるテスト発光した際の撮影画像を表示させることができる。このため、フラッシュ装置110A、110Bの設置位置の変更など、カメラ1の位置から遠隔操作だけではできない設定の変更も、カメラ1の位置へ移動することなくフラッシュ装置110A、110Bの位置で確認することができる。
【0178】
さらに、本実施形態によれば、フラッシュ装置110A、110Bの位置からのテスト撮影は、フラッシュ装置110A、110Bからカメラ1に対して要求信号を送信し、後はカメラ1側より通常の撮影時と同様の制御である。このため、フラッシュ装置にコマンダー機能を設ける必要がなく、フラッシュ装置110A、110Bの回路やソフトウエアを簡単化し、小型化、コストダウンを図ることができる。
【0179】
さらに、本実施形態によれば、フラッシュ装置110A、110Bの背面表示LCD24に、カメラ1のライブビュー表示、他のフラッシュ装置の照射エリアの画像、テスト撮影画像などを表示する際に、カメラ1経由でカメラ1からまとめて必要な情報や画像が送信されている。このため、フラッシュ装置110A、110Bでの処理が簡単になり、フラッシュ装置の回路やソフトウエアを簡単化し、小型化・コストダウンができる。
【0180】
さらに、本実施形態によれば、フラッシュ装置110A、110B、およびカメラ1で操作がなされていない場合には、背面表示LCD24または背面LCD67の表示をオフするようにしている。このため、不必要に表示を行い、電源が消耗してしまうことを防止できる。
【0181】
なお、本発明の実施形態においては、デジタルカメラとして一眼レフタイプに適用した例を説明したが、カメラとしては所謂コンパクトカメラでもよく、また、携帯電話やPDA(携帯情報端末:Personal Digital Assistant)等の内蔵タイプのカメラでもよい。いずれにしても、本発明におけるカメラとフラッシュ装置と一緒に使用するものであれば、適用することができる。
【0182】
以上、本発明の第1および第2実施形態を用いて説明したが、本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の第1実施形態におけるフラッシュ装置を正面から見た外観斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるフラッシュ装置を背面から見た外観斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるフラッシュ装置の電気系を示す図であり、(A)はフラッシュ装置の電気系を示すブロック図であり、(B)はカメラのホットシューを示す断面図であり、(C)はフラッシュ装置100とカメラ1をオフフラッシュケーブル80で接続した場合を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるカメラを示す図であり、(A)はカメラを正面から見た外観斜視図であり、(B)は内蔵フラッシュ64をポップアップした状態を示す要部斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるカメラを背面から見た外観斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態におけるカメラの電気系を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるフラッシュ装置の照射範囲の表示方法を示す図であり、(a)(b)はスタイル1の表示方法であり、(c)(d)はスタイル2の表示方法であり、(e)(f)はスタイル3の表示方法である。
【図8】本発明の第1実施形態におけるカメラとフラッシュの配置と背面表示LCD24と背面LCD67における表示を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるカメラフラッシュシステムにおいて、フラッシュ装置に照射エリアの画像表示を背面LCD67に行うか否かの関係を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態におけるカメラフラッシュシステムにおいて、フラッシュ装置をカメラにクリップオンで装着した場合のフラッシュ装置の発光モードを示す図である。
【図11】本発明の第1実施形態におけるカメラフラッシュシステムにおいて、フラッシュ装置をカメラから分離した場合のフラッシュ装置の発光モードを示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態におけるTTLオートモードに設定されたカメラの動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態におけるオートモードに設定されたカメラの動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第1実施形態におけるRCモードに設定されたフラッシュ装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態におけるRCモードに設定されたカメラの動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態におけるオートモードに設定されたフラッシュ装置において測光の仕方について説明する図であり、(a)は撮像ユニットにおいて取得した画像であり、(b)はフラッシュ装置の焦点距離に応じて生成された画像であり、(c)は撮像素子の出力分布を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態におけるフラッシュ装置を正面から見た外観斜視図である。
【図18】本発明の第2実施形態におけるフラッシュ装置を背面から見た外観斜視図である。
【図19】本発明の第2実施形態におけるフラッシュ装置の電気系を示すブロック図である。
【図20】本発明の第2実施形態におけるフラッシュ装置の撮像ユニットにおいて形成される画像を示す図であり、(a)は魚眼レンズ等の超広角レンズを通して得た撮像画像を示し、(b)は(a)の撮像に対して歪み補正を行った画像を示す。
【図21】本発明の第2実施形態におけるフラッシュ装置において、バウンス撮影を行った場合において、撮像ユニットにおいて取得される画像を示す図であり、(a)は魚眼レンズ等の超広角レンズを通して得た撮像画像を示し、(b)は(a)の撮像に対して歪み補正を行った画像を示す。
【図22】本発明の第2実施形態におけるカメラとフラッシュの配置と背面表示LCD24と背面LCD67における表示を示し、カメラにおいて操作を行った場合の図である。
【図23】本発明の第2実施形態におけるカメラとフラッシュの配置と背面表示LCD24と背面LCD67における表示を示し、フラッシュ装置において操作を行った場合の図である。
【図24】本発明の第2実施形態におけるフラッシュ装置のパワーオンオフ時における動作を示すフローチャートであり、(a)はパワーオフ時、(b)はパワーオン時の動作を示す。
【図25】本発明の第2実施形態におけるカメラのパワーオンオフ時における動作を示すフローチャートであり、(a)はパワーオフ時、(b)はパワーオン時の動作を示す。
【符号の説明】
【0184】
1・・・カメラ、11・・・フラッシュ発光部、11a・・・フレネルレンズ、12・・・発光部ユニット、13・・・バウンス解除ボタン、14・・・撮像レンズ、15・・・撮像部ユニット、15a・・・撮像全画角、15b・・・照射範囲、20・・・ズームボタン、21・・・フラッシュ制御部本体、22・・・AF補助後部、22A・・・AF補助光窓、23・・・スレーブセンサ、23A・・・スレーブセンサ窓、24・・・背面表示LCD、24A・・・画面、24B・・・画面、24C・・・画面、24Ca・・・照射エリア表示、24Cb・・・ライブビュー表示、24Cc・・・基本設定値表示、24Cd・・・表示領域、24Ce・・・テスト発光表示、25・・・モードボタン、26・・・充電/テストボタン、27・・・電源ボタン、28・・・十字ボタン、29・・・アンテナ、30・・・メニューボタン、31・・・ホットシュー、31a・・・通信端子、32・・・シューロックナット、33・・・脚、34・・・軸部、50・・・撮影レンズユニット、51・・・撮影レンズ、52・・・ズームリング、60・・・カメラ本体、61・・・レリーズボタン、62・・・パワーボタン、63・・・ホットシュー、64・・・内蔵フラッシュ、64a・・・発光部、65・・・アンテナ、66・・・ファインダ窓、67・・・背面LCD、67A・・・画面、67B・・・画面、67a・・・ライブビュー表示、67b・・・カメラ撮影情報、67c・・・フラッシュ情報、68・・・DSPボタン、69・・・INFOボタン、70・・・モードボタン、71・・・メニューボタン、72・・・十字ボタン、80・・・フラッシュケーブル、81・・・ケーブル端子、82・・・ケーブル端子、94・・・撮像レンズ、95・・・撮像部ユニット、99・・・アンテナ、100・・・フラッシュ装置、100A・・・フラッシュ装置、100B・・・フラッシュ装置、101・・・キセノン管、102・・・リフレクタユニット、103・・・充電・発光回路、104・・・モータ、105・・・モータドライバ、107・・・撮像素子、108・・・画像処理回路、110・・・フラッシュ装置、201・・・電波送受信回路、202・・・演算制御回路、203・・・LDCドライバ、204・・・AF補助光駆動制御回路、205・・・スレーブ信号処理回路、206・・・バッテリ、207・・・メモリ、301・・・レンズ駆動制御回路、302・・・ボディ駆動制御回路、304・・・通信回路、305・・・フラッシュ制御回路、306・・・操作部材、307・・・TTL調光回路、308・・・画像処理回路、309・・・画像記録媒体、310・・・撮像回路、320・・・被写体、511・・・モータ、512・・・ギア、513・・・ギア、514・・・モータドライバ、521・・・ギア、522・・・ギア、523・・・ギア、524・・・モータドライバ、551・・・照射範囲、552・・・天井エリア、553・・・高反射領域、554・・・レベルエリア、555・・・被写体領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、
フラッシュの照射エリアを変更可能な発光部と、
上記照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像手段と、
上記フラッシュ装置の設定値または照射エリアを表示可能な表示手段と、
上記照射エリアを上記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項2】
上記発光部は、照射方向を変更できる可動ヘッドであり、
上記撮像手段は、上記可動ヘッドに一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュ装置。
【請求項3】
上記照射エリアの表示は、上記発光部のズーム状態に対応して、上記撮像手段による撮像画像をデジタル拡大して当該エリアを表示することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュ装置。
【請求項4】
上記撮像手段は、フラッシュ側での発光量制御のための調光機能を兼用することを特徴とする請求項1に記載のフラッシュ装置。
【請求項5】
写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、
フラッシュの照射エリアの被写体を撮像可能な撮像手段と、
上記フラッシュ装置の設定値または照射エリアを表示可能な表示手段と、
上記フラッシュ装置が写真撮影を行うカメラに、撮影画像範囲と照射エリアを略同一とするように固定接続されているか、または分離されているかを検出する検出手段と、
上記検出手段の出力に基づいて、上記表示手段に表示する内容を切り換える切換手段と、
を備えたことを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項6】
上記フラッシュ装置は、上記カメラに固定接続されている場合はフラッシュの照射エリアを示す画像を表示せずにフラッシュの設定情報のみを表示し、カメラと分離されている場合はフラッシュの照射エリアを示す画像を表示することを特徴とする請求項5に記載のフラッシュ装置。
【請求項7】
上記検出手段は、上記フラッシュ装置と上記カメラを接続する接続端子の接続状態に応じて、上記固定接続と上記分離のいずれであるかを検出することを特徴とする請求項5に記載のフラッシュ装置。
【請求項8】
写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、
被写体に向けてフラッシュ光を照射する発光部と、
上記発光部の照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像手段と、
上記撮像手段によって撮像した撮像画像をカメラに送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項9】
上記照射エリアの画像を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項8に記載のフラッシュ装置。
【請求項10】
上記カメラからの制御信号を受信するための受信手段を有することを特徴とする請求項8に記載のフラッシュ装置。
【請求項11】
カメラ本体から分離されたフラッシュ装置に対して制御信号を出力するためのカメラ側送信手段と、
上記フラッシュ装置から照射エリアの撮像画像を受信するカメラ側受信手段と、
上記照射エリアの撮像画像を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項12】
上記カメラ側受信手段は、複数の上記フラッシュ装置からの照射エリアの撮像画像を受信可能であり、
上記表示手段は、上記複数の撮像画像を同時に表示可能である、
ことを特徴とする請求項11に記載のカメラ。
【請求項13】
カメラと、このカメラから分離可能であり写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置とからなるカメラフラッシュシステムであって、
被写体に向けてフラッシュ光を照射する発光部と、
上記発光部による照射エリアの被写体を含む画像を撮像可能な撮像手段と、
上記撮像手段によって撮像した撮像画像を上記カメラに送信するフラッシュ側送信手段と、
上記カメラ側から上記フラッシュ装置に対して制御信号を出力するためのカメラ側送信手段と、
フラッシュ装置から照射エリアの撮像画像を受信するカメラ側受信手段と、
上記照射エリアを表示するカメラ側表示手段と、
を備えたことを特徴とするカメラフラッシュシステム。
【請求項14】
上記カメラ側表示手段における上記照射エリアの表示は、複数のフラッシュ装置の照射エリアを同時に表示することを特徴とする請求項13に記載のカメラフラッシュシステム。
【請求項15】
上記フラッシュ装置は、上記照射エリアを表示するフラッシュ側表示手段を有し、
上記カメラの操作部材が操作された場合は上記フラッシュ側表示手段による上記照射エリアの表示を中止し、また上記フラッシュ装置の操作部材が操作された場合は上記カメラ側表示手段による上記照射エリアの表示を中止すると共に上記フラッシュ側表示手段によって上記照射エリアを表示することを特徴とする請求項13に記載のカメラフラッシュシステム。
【請求項16】
写真撮影の補助光源として使用可能なフラッシュ装置であって、
照射エリアを切り換え可能な発光部と、
上記照射エリアよりも十分に広い範囲を撮像可能な撮像手段と、
上記発光部の予備発光で取得された画像をもとに上記発光部によって照射された範囲を判定し、照射範囲の画像を出力する照射範囲画像出力手段と、
を備えたことを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項17】
上記フラッシュ装置は、天井範囲と水平範囲とを判別可能であり、上記水平範囲でフラッシュ発光により明るさが所定値よりもアップした範囲を照射範囲として出力することを特徴とする請求項16に記載のフラッシュ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−186702(P2009−186702A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25952(P2008−25952)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】